教科用図書検定調査審議会総会における文部科学大臣あいさつ要旨

平成20年2月28日

○ 教科書は、児童・生徒の教育にとって極めて重要な役割を果たしている主たる教材であり、これまでも、児童・生徒により良い教科書が提供されるよう教科書検定等について、制度や運用の改善充実を図ってきたところである。

○ 今回は、教科書検定の改善について、「教科書検定手続きの改善方策」及び「新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策」の2つの事項について、審議をお願いするものである。

(検定手続きの改善方策について)

○ 教科書検定手続きについては、これまでも、適時、見直しを図ってきたところであるが、平成18年度の高等学校日本史教科書の沖縄戦に係る記述の教科書検定について、その一連の過程において、審議の透明性の向上や専門的見地からのきめ細やかな審議の必要性など、様々な事項が指摘された。
 これらの記述については、昨年11月に訂正申請がなされ、その調査審議についての審議の経過や内容等を、日本史小委員会の報告として公表されたところである。

○ 私としては、これまで国会等でも述べているように、教科書検定は、静かな環境の中で、専門家である委員の知見によって、公平中立に、専門的・学術的審議がなされることが重要であると考えているが、同時に、その手続きの透明性を可能な限り向上させることが、教科書検定の信頼性を高めるためには大切であると考えている。

○ これらのことを踏まえ、教科書検定の手続きについて、例えば、1.検定手続きの透明性の一層の向上、2.専門的見地からのきめ細やかな審議の確保、3.静ひつな環境における公正・中立な審議の確保などについて検討をしていただき、方向性をお示しいただきたい。

(新しい教育課程の実施に対応した教科書の改善方策について)

○ 現在、文部科学省では、小学校、中学校の学習指導要領の改訂案を公表し、パブリック・コメントを実施しており、本年度中には小学校・中学校の学習指導要領を告示したいと考えている。

○ 学習指導要領は、教科書に記述されることによって初めて目に見える形で実現されるものであり、今回の改訂が教科書に十分反映され、児童・生徒が理解しやすく、かつ教師が教えやすい教科書となるよう、必要な改善方策について御検討いただきたい。

○ 今回の検討に当たっては、例えば、

  •  繰り返し学習や知識・技能を活用する学習、発展的な学習に児童生徒が自ら取り組むような読み応えのある教科書記述や、
  •  児童生徒の学習意欲を高め、教師が児童生徒により教えやすくするような教科書内容の創意工夫をどのように求めていくか

 などについて、幅広い観点から、御審議をいただき、教科書の質及び量の両面で充実するような方策について御提示いただきたい。

(審議のスケジュールについて)

○ 新しい教育課程に対応した教科書検定は、平成21年度から順次実施される予定であり、今回の検討をまとめていただいた成果は、平成21年度に検定を行う際の検定規則や検定基準に反映されるものであることから、本年夏頃までを目途に方向性をお示しいただきたいと考える。

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