3. 教科書検定手続き改善の具体的方策

○ 1.で示した、「教科書改善に当たっての基本的な方向性」においては、6として以下の三つの観点が掲げられた。

教科書検定の信頼性を一層高めるための検定手続きの改善-基本的な方向性6-

  •  申請図書に対し、審議会や教科書調査官がどのように関与し、結果としてどのような過程によって検定意見が付され、合否判定がなされたかなど審議結果に至る一連のプロセスを一層透明化する
  •  検定手続きの透明性の向上に当たっては、静ひつな環境における専門的かつ自由闊達な審議の確保との十分な両立を図る
  •  審議に当たって特に慎重な判断を要する事項を審議会が選定し、より専門性の高い重点的な審議を行う

○ 我が国の教科書制度は、著作・編集に係る民間の創意工夫を生かしながら、教科書検定により適切な教科書を確保するという仕組みであり、教科書の改善については、教科書検定の手続き自体の改善を進めることが重要である。

○ 教科書検定においては、申請者から検定申請された申請図書について、教科用図書検定調査審議会において、教科書として適切か否かの審査が行われ、その結果に基づき文部科学大臣が合否の決定を行っている。
 また、同審議会において、必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当であると判断した申請図書については、文部科学大臣は合否の判定を留保した上で、修正等を求める検定意見を文書により申請者に対して通知する。
 なお、申請者は、不合格の決定に際しては反論書を、検定意見に対しては意見申立書を提出することができる。

○ 検定に係る審議会の審議は、検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行うものであり、静ひつな環境の下で、公正・中立で専門的・学術的な審議が確保されることが重要であるが、同時に透明性の向上などの面については更なる改善が求められている。

○ 検定に当たっては、専門的見地からのきめ細やかな質の高い審議の確保をすることが求められている。外部の専門家からの意見聴取などを一層充実することにより、審議会における専門的・学術的な調査審議の充実を図るための改善方策も必要である。

○ これらを踏まえ、以下のような事項について具体的な見直しを行い、教科書検定に対する国民の信頼を一層確保するために、教科書検定手続きの改善を図ることが必要である。なお、ここに示す教科書検定手続きの改善方策については、小学校、中学校及び高等学校の教科書検定に共通するものである。

○ 「教科書記述の正確性の確保」については、2.の「教科書改善の具体的方策」の1(4)において、既に具体的な改善方策を示したところであり、そこで示されたとおり検定基準の改善等を図るとともに、審査体制の改善や、著作・編集体制の強化を促していくことが必要である。

教科書検定の流れの図

1 教科書検定手続きの透明性の一層の向上

○ これまでも教科書検定手続きについては、申請図書、検定意見書、見本の内容等の公開、検定意見の文書化など、適時、見直しを図ってきたところであるが、教科書検定に対する国民の信頼を一層高めるためには、検定手続きの透明性を更に向上させることが必要である。

○ この場合、教科書検定において、審議会や教科書調査官がどのような形で関与し、審議会において、どのような過程によって検定意見を付すこととされたのかなどの一連のプロセスを透明化することが必要である。審議会の会議や議事録については、「審議会等の運営に関する指針」において公開することが原則とされているが、行政処分に関する事務を行う審議会については非公開とすることが認められており、申請図書の検定に係る審議は、行政処分を前提とする審査を行うものであることから、これによっている(※1) 。検定に係る審議については、外部からの影響を受けない、静ひつな環境の下で、各々の委員の識見に基づく率直で活発な議論がなされ、より公正・中立で専門的・学術的な審議が確保されることが必要である。このバランスを取りながら改善方策を検討していくことが求められる。

○ 今回、透明化のための具体的方策を提示するに当たっては、外部からの影響がない静ひつな環境の下での専門的かつ中立な審議の確保と、検定に対し国民の信頼を高めるための透明性の向上との調和が図れるよう、様々な角度から十分な審議を行った。その結果、審査における静ひつな環境と、自由闊達な議論の確保を保障しつつ、検定審査終了後において、審議結果に至ったプロセスや審議に携わった者について一層の透明化を図る方策を提示した。

○ このような審議プロセスの透明化によって、教師が検定結果に対する理解を深め、自信と確信を持って教科書による指導ができることにもつながることが期待される。

【見直しの内容】
透明性の一層の向上

(検定における審査過程の一層の公開)
◇ 検定審査の過程における様々な資料のうち、申請者からの申請図書、申請者に対して示された検定意見書、検定意見を受けた申請者からの修正表、最終的な検定決定後の見本等については、文部科学省が検定審査終了後に実施する検定結果の公開事業(※2) において既に公開されている。
 今後、現在は公開対象とされていない、教科書調査官が作成する検定意見書の原案である調査意見書や、審議会に付議する判定案等の資料について、検定結果の公開事業において新たに公開することとし、規則(※3) 上も明確化する。

(部会、小委員会における議事の概要の作成・公表)
◇ 検定は、各教科ごとに実施されることから、審議会には各教科ごとの部会が置かれ、さらに部会によっては各科目ごとの小委員会が置かれる構成となっている。検定における実質的な審議は、これらの部会や小委員会において行われている。
 今後、それぞれの部会、小委員会について、開催日、出席委員、付議事項、決定事項、議事の概略を記載した議事概要を作成し、申請されたすべての図書に係る検定審査が終了した後に公表(※4) することとする。
 なお、本審議会は行政処分の前提となる審査を行うものであり、外部からの圧力がなく静ひつな環境の下、委員が自らの識見に基づき、専門的・学術的に審議するとともに、委員が自由闊達に議論することを通して合意形成を図っていくことが重要である。
 このため、審議における個々の意見のやりとりを発言者の氏名も含めて作成し、公表することや会議自体を公開することについては、このような審議に支障が生ずるおそれがあることから、行わないことが適当である。

(委員分属の公表(※5) )
◇ 審議会の各委員が、どの部会や小委員会に属しているのかを示す委員分属を公表することについては、今回の議論の中で、公表した場合、外部からの圧力が生じ、静ひつな環境において、委員が自由闊達な議論を行い合意形成を図るという審議を確保する上で支障が生じるのではないか、という意見もあったが、検定に対する信頼性をより一層高める観点も考慮し、検定審査が終了した後に公表することとする。

静ひつな環境の確保

(審査過程における申請図書等の適切な情報管理)
◇ 検定における審議においては、静ひつな環境が確保されることが重要である。仮に、検定審査中に申請図書等の内容が流出した場合には、静ひつな環境の確保に支障が生じる可能性が大きいことから、申請者においては、申請図書等の内容が検定審査中に流出することのないよう、適切に管理することが求められる。

◇ 現在、本審議会における検定に関する調査審議に支障があると認めるときは、調査審議の一時停止等の措置を講じることができることとなっている(※6) 。このことに関し、例えば、申請者側の不適切な情報管理により、申請図書等の情報が検定審査終了前に流出し、その結果、正常な状況で会議が開催できないなど、調査審議に支障があると認めた場合には、部会や小委員会の判断に基づき、審議会運営規則の当該規定を適用することについて、運用上明確化を図る。

◇ 現在、申請者は、検定審査が終了するまで、申請図書等の内容について、当該申請者以外の者の知るところとならないよう適切に管理することとされている(※7) が、検定審査が終了した図書に関する訂正申請(※8)の内容については、申請者の情報管理について、現行の関係規定上、必ずしも明らかでない。
 このため、申請者は、申請図書等の内容だけでなく、検定済図書の訂正申請の内容についても適切な情報管理を行うことを規定上明確化する。


※1 審議会等の整理合理化に関する基本的計画(平成11年4月27日閣議決定)
〔別紙3 審議会等の運営に関する指針 3.議事〕
(4)公開
2. 会議又は議事録を速やかに公開することを原則とし、議事内容の透明性を確保する。なお、特段の理由により会議及び議事録を非公開とする場合には、その理由を明示するとともに、議事要旨を公開するものとする。
 ただし、行政処分、不服審査、試験等に関する事務を行う審議会等で、会議、議事録又は議事要旨を公開することにより当事者又は第三者の権利、利益や公共の利益を害するおそれがある場合は会議、議事録又は議事要旨の全部又は一部を非公開とすることができる。

※2 検定結果の公開事業
 教科書に対する関心に応え、教科書への信頼を確保するとともに、教科書検定へのより一層の理解に資するため、検定結果に関連する各種資料を公開展示の形で一般の閲覧に供する事業。
 教科用図書検定規則等に基づき、平成3年度(平成2年度の検定に係る図書)から、毎年4月下旬から7月下旬頃にかけて実施されており、現在では全国8カ所において、申請図書、検定意見書、修正表、見本等が公開されている。

※3 教科用図書検定規則〔第4章 雑則〕(申請図書の公開)
第17条 文部科学大臣は、検定審査終了後、別に定めるところにより、申請図書を公開することができる。
教科用図書検定規則実施細則 〔第5 申請図書の公開(規則第17条関係)〕
1. 申請図書は、検定審査終了後初等中等教育局教科書課長の指定する場所と日時において閲覧することができる。

※4 教科用図書検定調査審議会の議事内容の公開について(平成13年1月15日教科用図書検定調査審議会決定)
1 会議は非公開とする。
<理由>
 本審議会は、主として、検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行うものであるが、会議を公開した場合、委員の自由闊達な論議を通じて合意形成を図っていく上で支障が生じるおそれがある。
2 議事録については、原則として公開する。ただし、行政処分の前提となる審査については、議事録、議事要旨ともに公開しない。議事録は、匿名とし、会議終了後、事務局案を作成し出席委員・臨時委員に確認した上で公開する。
<理由>
 検定申請された図書を対象として行政処分の前提となる審査を行う会議の議事録又は議事要旨を公開した場合、委員の自由な意見交換が制約され、円滑な運営が妨げられるおそれがあり、検定を公正、円滑に実施する上で支障が生ずる。
3 上記方針は、平成13年1月15日以降の会議から適用する。
議事録等の公開の状況
 教科用図書検定調査審議会の総会については、「教科用図書検定調査審議会の議事内容の公開について(平成13年1月15日  同審議会決定)」により、発言者を匿名とした議事の概要を記載した文書を作成し、文部科学省のホームページにおいて公開している。また、部会、小委員会については、期日、会場、出席委員、検定申請に係る各図書の合否の判定等の内容が記載された文書を作成しているが、議事の内容が記載された文書は作成していない。

※5 委員の公表の現状
 教科用図書検定調査審議会の各委員の氏名及び職名については、委員発令時に、文部科学省のホームページにおいて公表している。また、各委員の分属については、検定結果の報告が行われる総会の参考資料として、部会の委員分属を公表しているが、小委員会については公表していない。

※6 教科用図書検定調査審議会運営規則(昭和31年11月30日教科用図書検定調査審議会決定)(議事)
第3条
3 会長は、調査審議に支障があると認めるときは、調査審議の一時停止その他必要な措置を講ずることができる。

※7 教科用図書検定規則実施細則 〔第5 申請図書の公開(規則第17条関係)〕
2. 申請者は、申請図書の検定審査が終了するまでは、当該申請図書並びに当該申請図書の審査に関し文部科学大臣に提出した文書及び文部科学大臣から通知された文書について、その内容が当該申請者以外の者の知るところとならないよう適切に管理しなければならない。

※8 検定済図書の訂正申請
 検定審査が終了した合格図書について、その後に誤記、誤植、脱字若しくは誤った事実の記載又は客観的事情の変更に伴い明白に誤りとなった事実の記載、学習を進める上に支障となる記載、更新を行うことが適切な事実の記載等が発見された場合に、文部科学大臣の承認を受けて教科書発行者が必要な訂正を行う制度(教科用図書検定規則第13条)。

2 専門的見地からのきめ細やかな審議の確保

○ 教科書検定においては、各分野の専門的な知見を有する教科用図書検定調査審議会の委員によって、専門的・学術的な審議が行われているが、検定に関係して、特に慎重な判断が必要な事項などについては、これまでも外部の専門家を活用するなど、より専門的できめ細やかな審議を行うなどの対応(※1)がなされてきた。
 検定においては今後とも、審議会の委員による審議を行うことが基本であるが、特に慎重な判断が必要な事項については、これまでの対応なども参考に、外部の専門家などを活用し、より専門的できめ細やかな審議を行う。
 また、検定におけるきめ細やかな対応という面では、検定意見の伝達に当たっても、検定意見の趣旨が申請者に正確に理解されることが求められる。
 このため、以下の取組が必要である。

【見直しの内容】

(より専門的できめ細やかな審査を行う場合の審議の方法)
◇ 例えば、「高度な専門性を要する新たな記述の審査」、「学説が複数ある記述に意見を付す審査」などについては、検定の審議において、特に慎重な判断を要することが予想されるが、このような事項を審議する場合には、教科・科目ごとの審議を行う部会、小委員会において、検定審査の初期の段階で、より専門的な審議を行うかどうかを判断する。
  また、これらの事項については、必要に応じて、部会や小委員会の判断に基づき、関連する分野の専門委員を任命することや、外部の専門家からの意見聴取等を行うなど、より専門的できめ細やかな審議を行うよう審査の運用改善を図る。

(検定意見の伝達方法等)
◇ 検定意見については、現在、申請者に対して文書(検定意見書)により通知(※2)している。また、検定意見を通知する時に申請者の希望に応じて口頭による補足説明を行っている。
 これについては、申請者に検定意見の趣旨等が正確に伝わらず、適切な修正がなされないことがあるとの指摘がある。
 このため、検定意見の趣旨や理由、背景にある考え方等が、申請者に対しできる限り正確に伝えられるよう、特に慎重な判断を要する事項などは、必要に応じ検定意見書をさらに分かりやすく記述することや、検定意見の通知から時間的余裕をもって補足説明の場を設けるなど、より丁寧に検定意見が伝達されるよう運用改善を図る。


※1  これまでの対応の例
・ 平成18年度検定高等学校日本史教科書の沖縄戦における集団自決に関する訂正申請を受け、日本史小委員会において、専門的見地から慎重かつ丁寧に調査審議を行った。その際、外部の専門家(9人:沖縄戦、沖縄史、軍事史等の専門家)から文書により意見を聴取した。
・ 平成12年度検定中学校歴史教科書に関して、中国、韓国からの修正要求に対し、専門家(18人:教科用図書検定調査審議会第2部会歴史小委員会のうち修正事項に関する委員、及び外部の歴史学者)の意見を聴取した。

※2  教科用図書検定規則実施細則 〔第2 申請図書の審査手続〕
1 検定意見の通知(規則第7条関係)
 検定意見の通知は、別紙様式2の「検定意見書」を交付することにより行う。

3 文部科学大臣と審議会の関係及び審議会委員や教科書調査官の役割・選任の改善等

○ 検定制度に対する国民の信頼性を向上させるため、教科書検定の一連の過程において、どのような者が、どのような権限を有し、どのような役割を担っているのかについて、明確にしていくことが求められている。
 このため、具体的には、文部科学大臣と審議会の関係や審議会委員の役割と選任、教科書調査官の役割と選任について、以下のような取組が必要である。

【見直しの内容】

(文部科学大臣と審議会の関係及び教科書調査官の役割)
◇ 文部科学大臣と審議会との関係については、審議会における教育的・学術的に公正・中立な審議の結果に基づいて、文部科学大臣が決定を行うという教科書検定制度の基本を検定に携わる者が十分認識し、引き続き、以下のとおり対応することが必要である。
(※1)

  •  申請図書について、文部科学大臣が審議会に諮問し、審議会における調査審議を経て、審議会からの報告に基づき検定意見を付す。
  •  検定意見に従った修正案について、審議会の答申に基づき検定の決定をする。

◇ 教科書調査官は、その職務について文部科学省組織規則第22条第3項において「検定申請のあった教科用図書の調査にあたる」と規定(※2)されており、検定審査において、申請図書の調査を行い、検定意見書の原案である調査意見書を作成するなどの役割を担っている。
 現在、検定における教科書調査官の職務は、教科用図書検定審査要項(教科用図書検定調査審議会決定)に示されている(※3) ところであるが、審議会に資料を提出するため、必要な専門的調査を行うなど、審議会の調査審議における教科書調査官の具体的役割・職務について、規則上明確にすることが求められる。

(審議会委員の役割・選任)
◇ 現在、教科用図書検定調査審議会委員の選任については、各年度において検定が実施される学校種なども勘案しつつ、各分野ごとのバランスにも配慮しながら、学識経験に優れた候補者の中から選任し、文部科学大臣が任命している。
 教科用図書検定調査審議会の委員については、児童生徒が使用する教科書を審査することから、専門的な知見だけでなく、教育関係法規等への理解、児童生徒の発達段階や教育現場の状況などについても十分に精通していることが求められる。
 このような点も踏まえ、本審議会の委員の選任に当たっては引き続き、学識経験に優れた委員を幅広く選任することが必要である。またあわせて、指導や教科書の使用実態に詳しい学校現場の経験豊かな人材の活用についても引き続き配慮することとする。

(教科書調査官の選任及び職歴等の公表等)
◇ 現在、教科書調査官の選任は、国家公務員法及び人事院規則に基づき、競争試験ではなく選考基準に基づく選考により採用を行うことができるとされている(※4) 。
 これを踏まえ、教科書調査官の選考については「教科書調査官選考基準(※5)」に基づき採用を行っている。
 教科書調査官の選任に当たっては、その職務内容にかんがみ、今後とも、高度に専門的な学識を有することや、視野が広く初等中等教育に関し理解と見識を有すること、関係法令に精通していることなどの観点から、能力・適性を総合的に判断し、幅広い観点から職務に見合った適切な人材を確保することが必要である。
 なお、教科書調査官の選考については、公募により選考を行う必要があるのではないかという指摘があるが、これについては、公募により幅広く適材を確保できる面がある一方で、教科書調査官は、高度に学術的な知識・能力や公正・中立に判断する資質を有することなどの観点から、総合的に人物を見極めることが必要であり、公募を行った場合、そのような人材を確実に確保できるかどうかという点からも慎重な対応が必要である。

◇ 現行の「教科書調査官選考基準」は、昭和44年に定められたものであり、例えば年齢要件については、「原則として35歳以上55歳未満」とされているなど、今日的な状況にそぐわない面があるため、それらを含め、より幅広く適材を確保する観点から、必要な見直しを行うこととする。

◇ 行政の適正・公正な遂行に対する国民の信頼を得るためには、検定の業務に携わった者が、どのような者であるかを国民に対して明らかにすることが重要であることから、教科書調査官の氏名や職歴などの情報について公表することとする。


※1 学校教育法
 第34条 小学校においては、文部科学大臣の検定を経た教科用図書又は文部科学省が著作の名義を有する教科用図書を使用しなければならない。
2 前項の教科用図書以外の図書その他の教材で、有益適切なものは、これを使用することができる。
3 第1項の検定の申請に係る教科用図書に関し調査審議させるための審議会等(国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第8条に規定する機関をいう。以下同じ。)については、政令で定める。
学校教育法施行令(昭和28年10月3日政令第340号)(法第34条第3項の審議会等)
第41条 法第34条第3項(法第49条、第62条、第70条第1項及び第82条において準用する場合を含む。)に規定する審議会等は、教科用図書検定調査審議会とする。
文部科学省組織令(平成12年6月7日政令第251号)(教科用図書検定調査審議会)
第87条 教科用図書検定調査審議会は、学校教育法の規定に基づきその権限に属させられた事項を処理する。
2 前項に定めるもののほか、教科用図書検定調査審議会に関し必要な事項については、教科用図書検定調査審議会令(昭和 25年政令第140号)の定めるところによる。
教科用図書検定規則 〔第2章 検定手続〕(申請図書の審査)
第7条 文部科学大臣は、申請図書について、検定の決定又は検定審査不合格の決定を行い、その旨を申請者に通知するものとする。ただし、必要な修正を行った後に再度審査を行うことが適当である場合には、決定を留保して検定意見を申請者に通知するものとする。

※2 文部科学省組織規則(平成13年1月6日文部科学省令第1号)(企画官、教科書調査官及び視学官)
第22条 初等中等教育局に、企画官2人、教科書調査官57人及び視学官13人を置く。
3 教科書調査官は、命を受けて、検定申請のあった教科用図書の調査に当たる。
4 教科書調査官のうち文部科学大臣が指名する者14人を、担当する教科を定めて主任教科書調査官とし、主任教科書調査官は、命を受けて、その担当する教科について、教科書調査官の職務の連絡調整に当たる。

※3 教科書調査官の職務(教科用図書検定審査要項 平成13年1月15日教科用図書検定調査審議会決定)(抜粋)
○ 教科書調査官は、自らの調査の結果に基づき、以下のような資料を作成。
・ 合格又は不合格の判定案。
・ 検定意見書の原案である調査意見書。
・ 検定審査不合格となるべき理由書の案。
・ 反論の認否の判定案。
・ 意見申立の意見の認否の判定案。

※4 国家公務員法(昭和22年10月21日法律第120号)(採用の方法)
第36条 職員の採用は、競争試験によるものとする。但し、人事院規則の定める官職について、人事院の承認があった場合は、競争試験以外の能力の実証に基く試験(以下選考という。)の方法によることを妨げない。
2 前項但書の選考は、人事院の定める基準により、人事院又はその定める選考機関がこれを行う。
人事院規則8-12(職員の任免)(昭和27年5月23日人事院規則8-12)(選考の方法)
第44条 選考は、選考される者の当該官職の職務遂行の能力の有無を選考の基準に適合しているかどうかに基づいて判定するものとし、人事院が定める場合にあつては、その定める方法を用いるものとするほか、必要に応じ、経歴評定、実地試験、筆記試験その他の方法を用いるものとする。

※5 教科書調査官選考基準(昭和44年4月1日施行 初等中等教育局長決裁)
教科書調査官となることのできる者は、次の各号に該当する者とする。
1.大学の学部を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者。ただし、音楽、美術、職業、家庭などの特殊の教科を担当する者については、旧制の高等学校若しくは専門学校を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者。
2.大学若しくは高等専門学校又は旧制の高等学校若しくは専門学校において、教授又は助教授の経歴がある者又は経歴、業績等からみて調査官として担当すべき事項に関し、これらと同程度の専門の学識があると認められる者。
3.初等中等教育に関し、理解と識見を有する者。
4.視野が広く、かつ、人格が高潔で円満である者。
5.思想が穏健中性で、身体健全である者。
6.原則として年齢35才以上55才未満の者。
7.現に発行されている教科用図書及びその教師用指導書の著作、編集に従事していない者、その他教科書の発行者と密接な関係のない者。

お問合せ先

初等中等教育局 教科書課

電話番号:03-5253-4111(体表)(内線2396)