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加速器科学関係機関等における今後の連携・協力の在り方について(報告) (学術審議会特定研究領域推進分科会加速器科学部会 平成11年4月9日)

平成11年4月9日
学術審議会特定研究領域推進分科会
加速器科学部会

1.はじめに

 本部会は、平成10年1月の文部大臣からの諮問「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」のうち、特定分野の推進及びこれに関連する研究機関等の在り方として、今後の加速器科学分野の研究の展望を踏まえつつ関係機関間の連携・協力の在り方について検討を行った。
 検討に当たっては、これまでの本部会報告を踏まえるとともに、大学等における研究を主眼としつつも、学術研究と科学技術研究の総合的で調和のとれた振興を図るとの観点から、関連特殊法人機関等との関係についても視野に入れた検討を行った。

2.加速器科学研究の現状

 加速器科学は、加速器そのものに関する研究・技術開発及び加速器が生み出す粒子ビームを直接又は間接に用いて行われる研究分野である。加速器は、素粒子や原子核の研究、物質の性質や構造の解明、新物質の創製、生命現象の解明などの基礎研究のほか、物質の分析・加工、長寿命核種の消滅処理など工業的応用から品種改良や医療までの幅広い分野の研究に用いられている。
 また、加速器科学は、宇宙、原子力、核融合などの諸科学と並んで大型研究施設が中心となることが特徴の一つであり、その発展は、科学技術や工業の発展と密接に関連している。
 1930年代に開発された加速器は、物質のよりミクロな領域を探索すべく高エネルギー、高輝度を求めて技術が進んだ結果、今日では、ビッグバンによる物質創成直後の宇宙における粒子反応の様子を加速器により再現できるまでに至っている。
 我が国では、1937年に初の加速器が理化学研究所において建設されて以来、大学等では1971年に創設された高エネルギー物理学研究所等において、我が国独自の新技術の開発を含め様々な加速器の建設とそれらを用いた研究が展開されてきた。そして、高エネルギーの加速器の開発が進んだ結果、今日では、米国欧州と並ぶ世界の研究拠点を形成している。
 加速器科学研究は、初期の段階では原子核の性質や未知の素粒子の探索などが主流を占めてきたが、その後、これらの分野から派生した学際的応用として、放射光、パルス中性子、パルスミュオン、イオンなどのビームを利用した物理学、化学、生物学、工学、薬学、医学などの研究、さらに高エネルギー粒子線の医学治療への応用などへと研究領域は次第に広がりを見せてきている。
 現在、学術研究としての高エネルギー領域の加速器科学研究は、大学共同利用機関である高エネルギー加速器研究機構を中心に行われてきており、同機構においては、高エネルギー加速器による素粒子・原子核の実験的研究、高エネルギー加速器による物質の構造及び機能に関する実験的研究及びこれらに関連する理論的研究を行っている。主な加速器及び関連施設として、トリスタン2(Bファクトリー)加速器、12GeV陽子シンクロトロン、放射光研究施設、中性子・中間子研究施設等が設置されている。
 また、世界最強度の高エネルギー陽子を大量に生産する加速器設備等を用いて、素粒子、原子核、物質科学、生命科学などの広範な研究分野にユニークな研究手段の提供を図る大型ハドロン計画を推進することとしている。
 このほか、大学等においても、例えば、大阪大学核物理研究センターのAVFサイクロトロン、東北大学大学院理学研究科附属原子核理学研究施設の電子加速器施設、東京大学大学院理学系研究科附属原子核科学研究センターのSFサイクロトロンによる原子核研究、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所、広島大学、立命館大学における固有の光源リングによる放射光研究、さらに、大阪大学産業科学研究所や東京大学大学院工学系研究科附属原子力工学研究施設における極超短電子ビームによるラジオリシスなど、それぞれ比較的小規模の装置を保有して、加速器科学に関する極めて独創的な研究及び人材養成が行われている。
 大学関係以外では、科学技術に関する試験研究を行っている理化学研究所において、重イオン加速器により、新しい原子核及び原子の構造解明、新材料の開発、放射線生物効果の研究等を実施するとともに、全元素にわたる世界最高の大強度RIビームを発生させるRIビームファクトリー計画を推進している。
 また、原子力に関する基礎的研究及び応用の研究を行っている日本原子力研究所においては、高崎研究所におけるイオン照射研究施設(TIARA)及び東海研究所におけるタンデム加速器等により、核物理、核化学、材料・物質科学、バイオ技術、環境保全技術及び生物資源の有効利用等に関する研究開発を行っている。東海研究所では、大強度高エネルギー陽子ビームを発生させる超伝導陽子線形加速器及び大強度中性子源の建設を計画し、生命科学、物質科学等の基礎研究と長寿命放射性廃棄物の消滅処理等の応用研究が一体となった中性子科学研究計画を推進することとしている。
 さらに、理化学研究所と日本原子力研究所は、共同で高輝度X線光源である大型放射光施設(SPring-8)を建設し、その後設立された財団法人高輝度光科学研究センターがその運営に当たり、1997年10月から供用を開始している。同施設では、外部の利用者に対するビームラインの共同利用を円滑に進めるとともに、大学、国立試験研究機関、産業界、地方自治体によるビームラインの専用利用にも供している。
 このほか、国立試験研究機関である放射線医学総合研究所や電子技術総合研究所では、重粒子線がん治療装置(HIMAC)を使用した重粒子線によるがん治療の研究や電子線形加速器、蓄積リングを利用した放射光利用や自由電子レーザーの開発研究を推進している。

3.今後の加速器科学研究

 加速器は、素粒子・原子核物理学、物質科学、生命科学などの分野に新たな研究手段を提供するものであり、これまで、加速器の性能の向上がそれを用いた研究の広がりをもたらしてきた。
 エネルギー・フロンティアにおける実験研究を可能とするための高エネルギーの加速器は、素粒子物理学の進展に寄与し、また、ビーム強度、エミッタンスの改良は、全ての加速器科学の進展に寄与した。
 さらに、放射光を含む二次ビーム発生法の改良や新手法の開発は、放射光の輝度、中性子の強度、ミュオンの強度、RIビーム種の拡大と高品質化等の二次ビームの性能向上をもたらし、新たな応用分野の開拓やユーザー数の増加に繋がっている。
 加速器科学は、科学技術の発展の一翼を担うものであるが、加速器の性能の向上は他方で建設コストや運転経費の増大を招いている。人材養成や比較的小規模の研究のために、小型の加速器が大学に分散していることも必要であるが、今後、大型の加速器は、国内各地域に一つのもの、我が国に一つのもの、国際地域に一つのもの、世界に一つのものなどその数は限られざるを得ない。
 我が国の主な加速器関連の将来計画としては、高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画、電子・陽電子リニアコライダー計画(JLC計画)、東京大学及び東北大学の軟X線・真空紫外高輝度光源計画、理化学研究所の次期RIビームファクトリー計画、日本原子力研究所の中性子科学研究計画等がある。
 大学等の学術研究機関と理化学研究所、日本原子力研究所等の研究開発機関については、それぞれの意義や役割に応じて引き続きその研究環境の整備充実を図る必要があるが、研究手段としての加速器が次第に大型化・高度化してきており、かつ加速器科学に関する人材の有効な活用を図る必要からも、今後は、加速器科学の諸研究分野について、学術研究機関である大学等と科学技術研究を推進している研究開発機関は、それぞれの役割を十分踏まえつつ、より密接な連携・協力体制を構築することが必要である。
 また、将来の先端的な加速器科学研究を担う人材の養成についても、大学等と研究開発機関との連携・協力に配慮していくことが必要である。

(1)素粒子・原子核物理研究

 素粒子物理研究は、自然界を支配する基本原理を追究する学問であり、物質を構成する究極の基本粒子とそれらの間に働く相互作用の解明を進めるものである。これまでの数十年の研究により、いわゆる標準模型の範疇で物質を構成するクォークやレプトンと呼ばれる素粒子は全て発見され、また相互作用を媒介する素粒子も重力子以外は全て発見されている。
 今後、21世紀に向けては、標準模型に残された問題及び標準模型によっては説明できない現象の追究が大きな課題である。前者は、素粒子の質量を生み出す起源となるヒッグス粒子と呼ばれる粒子の探索、CP非保存と呼ばれる素粒子の基本的な対称性の破れの解明等であり、場合によっては標準模型の範疇を越える結果が得られる可能性がある。
 また、後者は、ニュートリノの質量の解明、超対称素粒子の探索等である。
 このうち、ヒッグス粒子と超対称素粒子の探索には、極めて高エネルギー領域の電子・陽電子リニアコライダーが有力と考えられており、高エネルギー加速器研究機構のJLC計画の実現が望まれている。
 また、原子核物理研究は、核子やハドロンの集合体を研究する多体系物理であり、これまでは核子多体系を対象とする研究に主眼が置かれていたが、今後はこのような核力に支配される多体系から、量子色力学に支配される多体系の研究に移行するものと考えられている。さらに、不安定原子核や高スピン原子核等、極端条件下の原子核研究も進展しつつある。
 そのため、この分野では、今後、世界的に、重イオン衝突型加速器による研究、ハドロンビームを用いる研究、電子加速器による研究、RIビーム(不安定原子核ビーム)を用いる研究の4つの方向が重要であり、21世紀における原子核物理研究は、これらを機軸として発展するものと考えられる。その中で我が国に期待されているのは、大型ハドロン計画の高エネルギー粒子実験施設(Kアレナ)における研究とRIビームを用いる研究である。
 大型ハドロン計画は、高エネルギー加速器研究機構が提案している計画であり、その中の50GeV陽子シンクロトロンを用いて大強度ハドロンビームを発生させ、高エネルギー粒子実験施設に供給する。RIビームファクトリー計画は、理化学研究所において第一期計画の建設が進行中であり、その次期計画においては大強度RIビームの提供が可能となる。この他に、高エネルギー光子と原子核の衝突を用いた原子核物理研究も、大型放射光施設(SPring-8)における電子ビームの応用の一環として始まりつつある。
 このような状況の中で、今後新たに早期の着手が望まれる計画として高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画が挙げられる。

(2)中性子・中間子科学研究

 高い透過力と特異なエネルギー波長関係を持つ中性子は、磁石としての性質や水素など軽元素識別能力に優れているので、磁性体や超伝導体等のハードマテリアルから、高分子や生体物質等ソフトマテリアルに至る物質の構造解析のみならず、原子・分子の運動状態と物性や機能の関係を解明する上で最適なプローブである。このため、21世紀に向けて一層の発展が見込まれる物質科学や生命科学の研究にとって極めて重要である。
 プローブとしての中性子を核破砕反応によって発生させる核破砕中性子源は、元来、我が国がそれを用いて先端的な研究を行ってきたが、現在では我が国で唯一の線源である高エネルギー加速器研究機構の中性子科学研究施設(KENS)のビーム強度は、英国のラザフォード研究所の施設(ISIS)の50分の1に過ぎない上に、年間約400人の利用者に対して実験時間数の不足が顕著となっている。
 世界的な核破砕中性子源の建設計画は、日米欧三箇所に数メガワット級の計画があり、米国では1999年度からオークリッジ国立研究所で建設が開始されている。我が国では、高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画のNアレナにおいて、また日本原子力研究所の中性子科学研究計画において、いずれも1~5メガワット(ISISの約6~30倍)の中性子源の建設が計画されており、早期に整備する必要がある。これにより我が国が世界一級の中性子源を利用して先端的研究を飛躍的に発展させることができるとともに、アジア・オセアニア地域のセンターとしての役割を果たすことが期待されている。
 また、大強度陽子加速器により大量に生成されるパイオンやミュオン等の中間子は、これまで多くの学際領域の研究に用いられている。特に、正負の電荷を持ち、寿命が長く、スピン偏極性を持つミュオンは極めて広い応用性があり、多数の隣接する研究分野と活発な交流が行われている。
 我が国では、1980年から高エネルギー加速器研究機構の中間子科学研究施設を用いて世界に先駆けてパルス状ミュオンによる研究を開始し、ミュオン基礎物理、ミュ・エス・アール物性、ミュオン触媒核融合、ミュオン非破壊分析などの研究を推進している。しかし、線源のビーム強度が世界の他の施設に比べ数10分の1であることから、対象とする試料や研究課題の多様性、さらには実験データの質に大きな制限があり、現状ではこれを利用する研究者は150~200人に止まっている。
 物質研究を中心に多岐にわたる分野に利用者は潜在的に存在しており、高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画のMアレナで計画されているように、ビーム強度が現状の数10倍以上に引き上げられれば、実験の質の向上とともに、これまで実質的に閉ざされていた極低温、高圧、高磁場の極端条件実験や物質表面研究等の新たな研究フロンティアを世界に先駆けて切り開くことが可能となる。このため今後、この計画実現によるビーム強度の格段の強化を図る必要がある。

(3)放射光科学研究

 放射光は、指向性、パルス性、偏光特性を持った赤外からX線にまでわたる幅広い領域をカバーする光源であり、物質科学、生命科学の様々な分野の研究に不可欠なものとなっている。
 高エネルギー加速器研究機構の大型の放射光研究施設(フォトン・ファクトリー(PF))は、稼働後17年を経過したが年間内外の2,000人以上の研究者に活発に利用されている。また、岡崎国立共同研究機構分子科学研究所の比較的小型の放射光実験施設(UVSOR)も年間500人以上の研究者に利用されている。
 さらに、全国共同利用型の高輝度X線光源として1997年度から稼働を開始した大型放射光施設(SPring-8)は、まだ全体の1/4のビームラインしか稼働していないにもかかわらず、利用者は既に1,500人を超えている。その供用開始後もフォトン・ファクトリー(PF)を共同利用する研究者の数は減少しておらず、現在、放射光利用研究者は全体で4,000人を超えており、将来の潜在的な利用者も含めればかなりの数にのぼることが予想される。
 一般に、放射光を利用した研究は広範な分野にわたり、かつ先端的な物質科学基礎研究から応用研究・産業利用に及び、利用方法が多様化している。このようなニーズに応えるためには、全国共同利用型の最先端放射光源施設と地域に密着した特定目的指向型の比較的小規模な光源施設の整備が必要である。
 特に、1994年(平成7年)6月の本部会放射光科学に関するワーキンググループの「放射光を利用する研究について(報告)」に述べられているように、全国共同利用型の軟X線・真空紫外領域の高輝度光源の整備は重要である。欧米はもとよりアジア諸国においても既に数施設が稼働している現在、その後の進展を踏まえ、整備の在り方について早急に検討する必要がある。
 また、近年、X線自由電子レーザーが将来の第四世代光源として注目を集めている。この開発のため、高エネルギー加速器研究機構を中心にした関係研究機関、大学の連携・協力により基礎研究を推進する必要がある。
 なお、放射光科学研究は、中性子・中間子科学研究とともに大型研究施設である加速器を必要とするが、研究課題は小規模かつ個別的であることから、利用体制については十分な配慮が必要である。さらに、これらの研究施設の利用体制は、企業等の需要にも柔軟に応じられることが望ましい。

4.加速器科学関係機関及び大学の間の連携・協力の在り方

(1)大型研究施設の共同利用及び共同研究

 大学共同利用機関である高エネルギー加速器研究機構においては、大学の研究者を中心に大型研究施設の広範な共同利用が図られている。
 また、理化学研究所においては、一般的な共同利用施設の形態はとっていないものの、独自の運営方針の下、共同研究を通じて研究所外の研究者にも一定程度施設が開放されており、日本原子力研究所の施設も開かれた利用運営のもとで協力研究、共同研究及び共同利用として外部の研究者の利用に供されている。
 このような加速器等の大型研究施設の共同利用を効果的に行うためには、施設を有する機関自身が高い研究能力を有すること、機関外の研究者も共同利用の研究において主導的な役割を果たしうること、そして、研究課題を客観的に選定・評価する仕組みが充実していることなどが重要である。
 近年の加速器の高度化、大型化を踏まえた場合、今後、共同利用を前提とする大型実験施設の建設に当たっては、建設後の利用のみならず、計画段階、建設段階から、関係する大学等及び研究開発機関の研究者の参画が積極的に図られることが必要である。
 したがって、研究内容や加速器計画において共通部分がある高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画と日本原子力研究所の中性子科学研究計画については、それぞれの計画の研究面の有用性を十分に勘案しつつ、これらの計画を統合し、段階的に整備を推進していく方途について積極的に検討することが必要である。その際、計画の統合に当たっては、それぞれの機関の役割を十分踏まえつつ責任分担を明確にして、パートナーシップに基づいて行うことが大切である。
 そのため、今後、統合計画の立案、研究施設の建設、完成後の施設運営等を総合的に推進するための関係の研究機関間における協議機関を設置することが適当である。
 なお、これらの計画については、既に加速器や中性子発生ターゲットについての共同研究等が進められている。また、大学は、日本原子力研究所の研究用原子炉を用いた中性子散乱研究について、これまで30年にわたって共同利用を行ってきており、統合計画における測定装置等の開発に十分な協力体制をとることができる。
 一方、大型放射光施設(SPring-8)の利用者は、約7割が大学の研究者であることから、今後とも共同利用が円滑に図られるよう、関係機関間において一層の連携・協力関係を築く必要がある。
 さらに、各研究機関固有の研究施設について、現在は共同利用の形態を採っていないものであっても、当該研究機関の研究目的に沿い、かつ共同利用等を行うことにより一層の研究成果が期待できる場合には、できる限り大学等の研究者に広く開放することが望ましい。

(2)国際協力への対応

 加速器の性能の向上は、建設コストや運転経費の増大を招き、世界的に加速器の数は限られざるを得ない状況となっている。このことは、特に、原子核物理研究や素粒子物理研究の分野において顕著になってきている。このような中で、我が国は、アジア圏の中心としての役割を担い、国際的な役割は一層増大すると考えられる。
 国際協力は、我が国の研究者が海外において研究に従事する場合と、諸外国の研究者が我が国を訪れて研究を行う場合の双方が重要であるが、今後は、後者の比重が高まると考えられる。
 そのため、外国人研究者の受け入れの促進、受け入れ体制の充実、外国資金の国内での運用の弾力化等これまで我が国の研究者が欧米諸国において受けてきた措置を踏まえつつ我が国が行うための方策を検討する必要がある。
 また、国際協力への対応については、これまで各研究機関毎に進められてきたが、研究分野により、今後は関係研究機関間において十分協議することが必要である。

(3)人事交流

 加速器そのものを研究開発する研究者の人事交流は、主として加速器を有する研究所の間に限られることから、これを活発化し、研究者の活力を高めることが必要である。
 また、現在加速器科学研究の分野において重要な役割を果たしている高エネルギー加速器研究機構、理化学研究所、日本原子力研究所、財団法人高輝度光科学研究センター及び大学等における研究者の流動性を高める方策について検討する必要がある。

5.まとめ

 加速器科学は、加速器自体の性能の向上のための研究・技術開発と加速器を用いた諸科学の研究が相互に影響を及ぼし合いながら発展してきており、このような関係は、今後とも維持・強化する必要がある。
 他方、このような発展経過の中で、世界最先端の研究を行うために加速器等の大型研究施設は、高度化・大型化の傾向をたどり、その結果、建設コストや運転経費の増大を招き、世界的にも大型の加速器の数は限られざるを得ない状況にある。
 したがって、今後、高エネルギー加速器研究機構、大学、理化学研究所及び日本原子力研究所等の大型の加速器を有する研究機関は、それぞれの機関の役割を十分踏まえつつ、より一層密接かつ効果的な連携・協力体制を構築することが必要である。
 そのため、これらの関係機関の長による常設の協議の場を設けることが適当である。
 また、今後の共同利用を前提とする大型研究施設の建設に当たっては、建設後の利用のみならず、計画段階、建設段階から、関係する大学等及び関係機関の研究者の参画を積極的に図る必要がある。例えば、高エネルギー加速器研究機構の大型ハドロン計画と日本原子力研究所の中性子科学研究計画を統合し、段階的に整備を推進していくため、今後、統合計画の立案、研究施設の建設、完成後の施設運営等を総合的に推進するための協議機関を設置することが適当である。
 さらに、このような機関間の連携・協力の進展を踏まえつつ、例えば、中性子科学研究分野のように、関連の研究分野の研究者が一体となってより総合的な研究を推進することが適切と考えられる分野の研究組織について、より有効な研究体制の構築を検討する必要がある。

学術審議会特定研究領域推進分科会加速器科学部会(第16期)委員

〔委員〕 河合 隼雄 国際日本文化研究センター所長
(部会長) 末松 安晴 高知工科大学長
  菅原 寛孝 高エネルギー加速器研究機構長
  高橋 真理子 朝日新聞東京本社論説委員
  増本 健 財団法人電気磁気材料研究所長
〔専門委員〕 井口 洋夫 宇宙開発事業団宇宙環境利用研究システム長
  上坪 宏道 財団法人高輝度光科学研究センター副理事長
  京極 好正 福井工業大学教授
  黒田 晴雄 東京理科大学教授(総合研究所附属赤外自由電子レーザー研究センター長)
  砂本 順三 新居浜工業高等専門学校長
  津本 忠治 大阪大学教授(大学院医学研究科附属バイオメディカル教育研究センター)
  長島 順清 大阪大学教授(大学院理学研究科)
  藤井 保彦 東京大学教授(物性研究所附属中性子散乱研究施設長)
  山田 作衛 高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所長
  太田 俊明 東京大学教授(大学院理学系研究科)
  菊田 惺志 財団法人高輝度光科学研究センター副所長
  木村 嘉孝 高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所長
  田中 隆一 日本原子力研究所高崎研究所長
  永宮 正治 高エネルギー加速器研究機構素粒子原子核研究所教授
  向山 武彦 日本原子力研究所東海研究所中性子科学研究センター長
  矢野 安重 理化学研究所加速器基盤研究部長

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学術国際局研究機関課

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