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科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について (学術審議会に諮問)

平成10年1月14日
文部大臣 町村信孝

平成10年1月14日(水曜日)、学術審議会総会(第91回)が開催され、町村文部大臣が同審議会に対して「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」諮問を行った。

○ 諮問文

 次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。
 科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について

(理由)

  1. 我が国の学術研究は、貴審議会答申「21世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」(平成4年7月)において長期的かつ総合的な観点から示された方向に沿って、学術研究基盤の計画的整備及び世界に開かれた研究体制の整備が進められ、各分野にわたり着実な進展が図られてきた。
  2. しかし、学術研究を取り巻く我が国あるいは世界の状況は、近年著しく変化している。
    (1)平成7年11月に科学技術基本法が国会で可決・成立し、同法に基づき、平成8年7月に閣議決定された科学技術基本計画を踏まえ、学術研究及び科学技術研究に関する施策の総合的かつ計画的な推進が図られている。
    (2)平成8年末からは政府において「六大改革」が推進されており、昨年12月の行政改革会議の最終報告においては、文部省と科学技術庁を統合した教育科学技術省を設置し、学術・科学技術行政に関する総合的取組を強化することとされている。
    (3)大学改革が着実に進められてきているが、昨年10月には、大学審議会に対し「21世紀の大学像と今後の改革方策について」諮問し、審議が進められている。
    (4)そのほか、地球温暖化等の地球環境問題やクローン技術等の生命倫理問題への取組、高度情報化の進展への対応、あるいは、産業の発展や国民生活の向上への貢献など、国内のみならず国際的にも、学術研究が積極的な役割を果たす必要性が指摘されている。
  3. このような状況において、我が国が科学技術創造立国を目指し、活力あふれる豊かな社会を実現し、国際社会においてその地位にふさわしい役割を果たしていくためには、科学技術の発展の基盤となる学術研究の総合的で調和のとれた振興を図ることが喫緊の課題となっている。
    そのため、これらを踏まえ、平成4年の貴審議会答申以後における状況の変化に対応した学術研究の総合的推進の在り方、特定分野の推進及びこれに関連する研究機関等の在り方、学術行政に係る組織や運営の在り方などについて検討を行う必要がある。

○文部大臣諮問理由説明

平成10年1月14日

  1. 本日は、委員の皆様方には、お忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
    また、日頃、我が国の学術研究の振興に関し、貴重な御意見を賜るなど、格段の御協力をいただいていることに対しまして、この機会に厚く御礼申し上げます。
  2. 申すまでもなく、学術審議会は、我が国の学術に関する重要事項について総合的な調査審議をいただく重要な審議会であり、昭和42年に発足して以来、数々の貴重な答申・建議等を頂いております。文部省といたしましても、これらの答申・建議等の趣旨に沿って、学術振興のための各般の施策を進めてまいりました。
    平成4年7月には、長期的かつ総合的な観点から御検討いただいた結果を「21世紀を展望した学術研究の総合的推進方策について」という答申におまとめいただき、その後、この方向に沿って、学術研究基盤の計画的整備や世界に開かれた学術研究体制の整備が進められ、各分野にわたり国際的な広がりを持って、学術研究の着実な進展が図られてきております。
  3. しかし、この平成4年の答申を頂いた後、学術を取り巻く我が国あるいは世界の状況は、次のように著しく変化しております。
    (1)平成7年11月に科学技術基本法が国会で可決・成立し、同法に基づき、平成8年7月には、平成8年度から12年度までの5年間の科学技術政策を示した科学技術基本計画が閣議決定されました。
    (2)平成8年末からは政府において「六大改革」が推進されておりますが、昨年12月3日には、行政改革会議の最終報告がまとめられ、内閣府に総合科学技術会議を設置するとともに、文部省と科学技術庁を統合した教育科学技術省を設置し、学術・科学技術行政に関する総合的取組を強化することなどが求められております。これを踏まえ、現在、文部省と科学技術庁との合同検討チームにより、今後の行政の在り方について検討を進めているところであります。
    (3)また、大学改革につきましては、これまで、大学審議会の答申等の趣旨に沿って各般の施策を進めてまいっておりますが、これを更に押し進めるため、昨年10月には、同審議会に対し「21世紀の大学像と今後の改革方策について」諮問し、審議を進めていただいているところであります。
    (4)そのほか、近年、地球温暖化等の地球環境問題や、クローン技術等の生命倫理問題への取組、あるいは高度情報化の進展への対応などの必要性が指摘されており、加えて、我が国の経済・社会が厳しい状況に直面する中、産業の発展や国民生活の向上に対する学術研究の一層の貢献への期待が高まっております。
    これらの課題に対し、現在、学術研究が果たすべき役割が問われているところであります。
    (5)このような状況において、我が国が科学技術創造立国を目指し、活力あふれる豊かな社会を実現し、国際社会においてその地位にふさわしい役割を果たしていくためには、科学技術の発展の基盤となる学術研究の総合的で調和のとれた振興を図ることが喫緊の課題となっております。
    以上のようなことから、このたび、「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」諮問し、御検討をお願いすることとした次第であります。
  4. 次に、今後、御審議を進めていただくに当たり、諮問事項に関して私の考えておりますところを申し上げ、委員各位の参考に供したいと存じます。
    (1)第一に、平成4年の答申以後における状況の変化に対応した学術研究の総合的推進の在り方に関してであります。
    平成4年の答申において、学術研究の総合的な推進方策をお示しいただいたところでありますが、先ほど申し上げた学術研究を取り巻く状況の著しい変化を踏まえ、これに対応した学術研究の総合的推進の在り方について御検討をお願いいたします。
     1)はじめに、学術研究の総合的推進のための基本的考え方に関してであります。
     まず、先ほど申し上げた学術研究を取り巻く状況の著しい変化、とりわけ省庁再編等の行財政改革の動向を考慮し、我が国の研究開発活動全般の動向を視野に入れた学術研究の位置付けをどのように考えるかについて御検討いただきたいと存じます。また、大学等は、基礎研究の中心的な担い手でありますが、これと一体的に応用・開発研究をも推進するとともに、その成果を不断に教育・人材養成に活用・還元しているということを踏まえ、科学技術の発展の基盤としての学術研究の役割について御検討いただきたいと存じます。さらに、来るべき新しい時代を展望し、新たに取り組むべき分野や重点的・集中的に取り組むべき分野の推進の在り方などについても御検討いただきたいと存じます。
     2)次に、学術研究の総合的推進のための具体的施策に関してであります。
     ただ今、御検討をお願いいたしました基本的考え方を踏まえつつ、研究体制の改善・整備、研究者の養成・確保、研究費の改善・充実、学術国際交流の推進、学術研究に関する国民の理解の増進などについて御検討いただきたいと存じますが、これらのうち、二、三の事項について若干の説明を加えさせていただきます。
     まず、研究体制の改善・整備に関してであります。
     国際的にも高水準の学術研究を担うことができるような大学及び大学共同利用機関等の望ましい研究組織の在り方、最先端の学術研究を担う研究施設・設備の充実・高度化の方策について御検討いただきたいと存じます。また、産学官の連携・交流の強化について、民間企業や大学に加え、国立試験研究機関等も協力して、独創的な研究開発や技術移転を円滑かつ効率的に行うための条件整備の方途についても御検討いただきたいと存じます。
     次に、研究者の養成・確保に関してであります。
     学術研究の進展を担う人材の育成の重要性に鑑み、平成8年度から、文部省をはじめ関係省庁により、「ポストドクター等1万人支援計画」が着実に進められてきております。この計画による若手研究者の養成の実績やその後の活動状況を検証し、また、大学審議会における大学院の今後の拡充に関する審議状況を参考にしつつ、改めて長期的展望に立って、量的側面と質的側面の両面を考慮した、若手研究者の育成・支援の計画的推進の在り方について御検討いただきたいと存じます。
     さらに、研究費の改善・充実に関してであります。
     科学技術基本計画におきましては、競争的資金、多様な研究開発の推進のための重点的資金、基盤的資金及び民間の研究開発の促進のための資金といった多元的な研究資金を拡充することとされております。また、現下の厳しい財政事情の下で、財政構造改革の推進方策に沿った研究資金配分の重点化及び効率化が求められております。これらの観点を踏まえつつ、種々の研究費全体を視野に入れ、研究費の充実、多様な研究費の有機的、効果的、弾力的な活用など、研究費の充実・改善の在り方について御検討いただきたいと存じます。
    (2)第二に、特定分野の推進及びこれに関連する研究機関等の在り方に関してであります。
     今後の学術研究の推進に当たっては、新たに取り組むべき分野や重点的・集中的に取り組むべき分野の設定が大変重要であります。また、これに関連して、学術研究の担い手としての大学や研究機関等の在り方も大きな課題であると考えられます。
     例えば、加速器科学、宇宙科学、天文学、核融合研究等の大型研究が、大学共同利用機関等において進められてきており、また、地球環境科学、情報に関する研究、生命科学などについては、関連する研究分野、研究機関が広範にわたっております。これらの研究を推進するに当たっては、大学や大学共同利用機関を中心としつつも、関連する国立試験研究機関等、さらには民間研究機関等との関係を十分考慮し、適切な体制を整備する必要があります。
     このような特定分野の推進の在り方、そして、大学共同利用機関等と関連する国立試験研究機関等との望ましい連携・協力の在り方について御検討をお願いいたします。
    (3)第三に、学術行政に係る組織や運営の在り方に関してであります。
     行政改革会議の最終報告におきましては、行政改革の要諦として「簡素にして効率的かつ透明な政府を実現すること」が挙げられております。また、昨年11月に国会で可決・成立した財政構造改革の推進に関する特別措置法におきましては、「科学技術振興費」の予算区分に係る改革の基本方針として「重点化及び効率化を進める」ことが挙げられております。
     このような観点を踏まえつつ、行政の簡素化・効率化にも配慮した、学術行政に係る適切な組織や運営の在り方、例えば、研究費の審査・配分事務体制の改善について御検討をお願いいたします。
  5. 以上、今後の御審議に当たり、特に御検討をお願いいたしたい点について申し上げましたが、これらに関連する事項についても、幅広い視野の下に忌憚のない御意見を賜りたいと存じます。
     会長をはじめ、委員各位におかれましては、以上の趣旨を御理解いただき、十分御審議くださるようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。

「科学技術創造立国を目指す我が国の学術研究の総合的推進について」の具体的な審議事項例

1.平成4年の答申以後における状況の変化に対応した学術研究の総合的推進の在り方

(1)基本的考え方

  • 研究開発活動全般の動向を視野に入れた学術研究の位置付け
  • 科学技術発展の基盤としての学術研究の役割
  • 新たに取り組むべき分野や重点的・集中的に取り組むべき分野の推進の在り方

(2)具体的方策

1)研究体制の改善・整備
  • 新しい時代に即応した大学(学部、大学院、附置研究所等)、大学共同利用機関等の望ましい研究組織の在り方
  • 最先端の学術研究を担う研究施設・設備の充実・高度化
  • 独創的な研究開発や技術移転を促進するための産学官の連携・交流の強化
2)研究者の養成・確保
  • 「ポストドクター等1万人支援計画」の実施状況を踏まえた若手研究者の計画的育成・支援(質的側面と量的側面の両面から)
3)研究費の改善・充実
  • 財政構造改革も踏まえた多様な研究費の充実・改善(有機的、効果的、弾力的活用など)
4)学術国際交流の推進
  • 国際的な学術情報発信機能の強化
5)学術研究に関する国民の理解の増進
  • 国民の期待や関心の把握、社会への情報発信の推進

2.特定分野の推進及びこれに関連する研究機関等の在り方

  • 特定分野(加速器科学、宇宙科学、天文学、核融合研究、地球環境科学、情報に関する研究、生命科学など)の推進
  • 大学共同利用機関等と国立試験研究機関等との望ましい連携・協力の在り方

3.学術行政に係る組織や運営の在り方

  • 研究費の審査・配分事務体制の改善

お問合せ先

学術国際局学術課

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