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児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について(答申)

平成12年12月1日
初等中等教育局小学校課

目次

はじめに

第1章 評価の機能とこれからの評価の基本的な考え方
第1節 評価の機能と今後の課題
 1 評価の機能と役割
 2 評価の重要性の高まり
 3 評価の現状と今後の課題
第2節 これからの評価の基本的な考え方
 1 学力と評価
 2 目標に準拠した評価及び個人内評価の重視
 3 指導と評価の一体化
 4 評価方法の工夫改善
 5 学校全体としての評価の取組

第2章 指導要録の取扱い
 1 指導要録の基本的な性格及び機能
 2 指導要録改善の基本方針
 3 小・中学校の指導要録
 4 高等学校の指導要録
 5 盲・聾・養護学校等の指導要録
 6 指導要録の様式
 7 指導要録の開示の取扱い
 8 高等学校入学者選抜の調査書の取扱い

第3章 児童生徒の学習状況を客観的に評価するための方策
第1節 児童生徒の学習状況の評価規準、評価方法等の研究開発
第2節 全国的かつ総合的な学力調査の実施
 1 全国的かつ総合的な学力調査の必要性
 2 全国的かつ総合的な学力調査の実施方法

第4章 教育課程の実施状況等から見た学校の自己点検・自己評価の推進

指導要録(参考様式)(この参考様式はPDFファイルです。)

はじめに

 教育課程審議会は、これまで教育課程の改善について数次の答申を行ってきた。
 当審議会は、平成8年7月の中央教育審議会第一次答申を受け、「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」審議を行い、平成10年7月に答申を取りまとめた。この答申を受けて、平成10年12月に幼稚園、小学校及び中学校の学習指導要領等が改訂され、平成11年3月に高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の学習指導要領等が改訂された。新しい学習指導要領等は、幼稚園については平成12年度から実施されており、小学校及び中学校については平成14年度から全面実施され、高等学校については平成15年度から学年進行により実施されることとなっている。また、盲学校、聾学校及び養護学校についてはそれぞれの学校段階に準じて実施されることとなっている。
 新しい学習指導要領等は、基礎的・基本的な内容の確実な習得を図り、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成することを基本的なねらいとしており、そのねらいを実現するため、当審議会は、平成11年12月17日に、文部大臣から「児童生徒の学習と教育課程の実施状況の評価の在り方について」諮問を受けた。
 具体的な審議事項としては、
(1)今後の児童生徒の学習の評価の在り方、
(2)学習指導要領に示す目標・内容の達成状況の評価の在り方、
(3)教育課程の実施状況等から見た学校の自己点検・自己評価の在り方、
の三つが挙げられた。
 当審議会では、諮問を受けて以来、17回にわたる総会を開催し、有識者からのヒアリング、諸外国の状況や国、教育委員会の施策、学校の取組の状況などについての検討などを行うとともに、関係団体からの書面による意見の聴取などを通じて審議を重ねてきた。また、平成12年5月には、専門調査員を任命して、指導要録の取扱いについて専門的な調査を行った。さらに、平成12年10月には「中間まとめ」を提出し、国民からの意見募集や関係団体からの書面による意見の聴取などにより、広く各方面からの意見に耳を傾け、慎重に審議を重ねた。
 審議に当たっては、新しい学習指導要領等のねらいを十分踏まえることはもちろん、平成11年12月に出された中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」などにおける提言事項に留意した。
 以上のような審議を経て、第1章以下に述べるような結論に達したので、ここに答申するものである。
 なお、この答申において、新しい学習指導要領の下での小、中、高等学校、盲・聾・養護学校の指導要録の取扱いについてまとめているが、幼稚園の指導要録については、新しい幼稚園教育要領が本年4月から実施に移されているため、当審議会において報告を受け、改善がなされている。

第1章 評価の機能とこれからの評価の基本的な考え方

第1節 評価の機能と今後の課題

ア 学校が児童生徒の学習状況等の評価を行うことは、公の教育機関である学校の基本的な責務である。評価の機能は、各学年、各学校段階等の教育目標を実現するための教育の実践に役立つようにすること及び児童生徒のよさや可能性を評価し、豊かな自己実現に役立つようにすることであり、学校教育における評価の役割は重要である。

イ 今日、我が国においても、また、国際的にも、学力や評価の問題に対する問題意識が高まっており、児童生徒の学習状況と教育課程の実施状況等の評価の在り方を検討する意義は大きい。その際、児童生徒個人の学習状況等の評価、各学校における児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価、国全体あるいは地域全体として見た児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価のそれぞれの段階において充実を図ることが重要である。

ウ 児童生徒個人、各学校、国あるいは地域全体のそれぞれの段階での評価の充実を図り、児童生徒の学習状況等について、各学年、各学校段階等の目標を実現しているかどうかを的確に評価し、学校教育の成果等について保護者や地域の人々に説明し、国民全体に伝えることは、学校教育への信頼を一層高めるとともに、評価の結果を指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させていく上で重要である。

1 評価の機能と役割

(1)学校の教育活動は、意図的、計画的、組織的に行われるものであり、一般的に、計画、実践、評価という一連の活動が繰り返されながら、児童生徒のよりよい成長を目指した指導が展開されている。学習の評価は、教育がその目標に照らしてどのように行われ、児童生徒がその目標の実現に向けてどのように変容しているかを明らかにし、また、どのような点でつまずき、それを改善するためにどのように支援していけばよいかを明らかにしようとする、言わば教育改善の方法とも言うべきものであり、学習の評価を適切に行うことは公の教育機関である学校の基本的な責務である。
 また、児童生徒にとって評価は、自らの学習状況に気付き、自分を見つめ直すきっかけとなり、その後の学習や発達を促すという意義がある。
 児童生徒がそれぞれの個性や能力に応じて、自ら学び、自ら知識や技能などを習得し、自ら創造的な活動を行うのを助けていくことがこれからの教育と教員の重要な役割であることを考えるとき、評価は大きな意味を持つ。

(2)評価の機能と役割は、一つには、各学年、各学校段階等の教育目標を実現するための教育の実践に役立つようにすることであり、もう一つには、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成を目指すこれからの教育の在り方から考えて、児童生徒一人一人のよさや可能性を積極的に評価し、豊かな自己実現に役立つようにすることである。これは、学校や教員が、指導計画や指導方法、教材、学習活動等を振り返り、よりよい指導に役立つようにすることであり、評価とは、児童生徒のための評価であると同時に、学校や教員が進める教育自体の評価でもあるとも言うことができる。このようなことから、指導と評価は表裏一体をなすものであり、学校においては、学習指導と評価が常に一体となって行われることが求められる。

(3)また、どのような評価を行うかということが、これからの社会における教育のあるべき姿を明らかにすることにもなる。そのような意味でも、評価は重要である。すなわち、評価の在り方が示されることにより、どのような資質や能力がこれからの児童生徒に必要であるかを一層明確にすることとなり、新しい教育の在り方について理解を深め、その定着を確かなものにしていく効果が期待される。

(4)さらに、今日、学校教育においては、保護者、地域の人々、国民全体に対し、学校ではどのような教育を進めているのか、児童生徒にどのような資質や能力が身に付いているのか、児童生徒の学習状況等にどのような問題があり今後どのような改善を図る必要があるのか、そのために家庭や地域の人々とどのような協力をしていく必要があるのかなどについて十分に説明していくことが重要である。
 このような観点から、児童生徒の学習状況等を適切に評価し、明らかにしていくことは、学校教育への信頼を向上させていく上で欠かすことのできないものと考えられる。保護者や地域の人々に説明を行っていくことの重要性が高まるにつれて、学校教育の中での評価の役割は一層大きくなるものと考えられる。

2 評価の重要性の高まり

(1)児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価については、新しい学習指導要領等のねらいを実現すること、各学校段階間の教育の円滑な接続を図ること、学校の自主性・自律性を確立することなど、今日の学校教育の諸課題に対応していく上で、様々な形でその重要性が指摘されるようになっている。

(2)今回の学習指導要領等の改訂の基本的な方向を提言した平成10年7月の本審議会の答申は、「教育課程の基準の改善に当たっての基本的考え方」の中で、「これからの学校教育における学習の指導と評価の在り方が極めて重要である」とした上で、学力については「これを単なる知識の量ととらえるのではなく、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を身に付けているかどうかによってとらえるべきである」とし、新しい教育課程の下での評価の在り方について、「基礎・基本の徹底や個性を生かす教育を充実する観点からは、学習の過程を重視したり、児童生徒のよい点や進歩の状況を積極的に評価すること、また、児童生徒が自らの学習過程を振り返り、新たな自分の目標や課題を持って学習を進めていけるような評価を行うことなどが求められるとともに、いわゆる絶対評価や相対評価、個人内評価を含め評価の在り方について検討する必要がある」と指摘した。

(3)また、平成11年12月に出された中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」においては、「各学校段階において、児童・生徒が当該学校段階の教育目標を達成しているかどうか、修了時等において評価することは、各学校が教育上の責務として適切に行うべきものであり、また、上級の学校段階の教育との円滑な接続に資する観点からも重要である」と指摘された。そして、「各学校における評価の参考とできるような客観的な評価基準や評価方法・・(中略)・・について国立教育研究所、都道府県の教育研究所、大学等において積極的な研究、開発を行うことが必要である」、また、「児童・生徒の学力の実態を把握するため、総合的な調査を行う必要がある」などと提言された。

(4)このほか、平成10年9月の中央教育審議会答申「今後の地方教育行政の在り方について」においては、学校の自主性・自律性の確立が必要であるとした上で、そのための具体策として、「各学校においては、教育目標や教育計画等を年度当初に保護者や地域住民に説明するとともに、その達成状況等に関する自己評価を実施し、保護者や地域住民に説明するように努めること」が提言された。

(5)諸外国においても、基礎学力の向上が教育改革の大きな目標とされるようになっており、国において教育内容の基準を定め、それを身に付けているかどうかを検証するための学力テストを導入するなどの動きが見られるようになっている。例えば、アメリカ合衆国では、1983年の連邦報告書「危機に立つ国家」が多くの州における教育改革の契機となり、現在、多くの州で教育スタンダード(教育内容の基準)が策定され、それに対応した共通学力テストが実施されるようになっている。イギリスでも、1989年から、従来なかったナショナル・カリキュラム(全国共通カリキュラム)が導入され、その定着を見る全国学力テストの実施などの改革が進められている。
 国際的な学力テストについても、我が国においては国立教育研究所を実施機関として、1964年以来、国際教育到達度評価学会(IEA)の「国際数学・理科教育調査」が実施されているほか、経済協力開発機構(OECD)において、各国の教育制度や政策を様々な側面から比較する教育インディケーター事業の一環として、2000年から、国際的な「生徒の学習到達度調査」(PISA)が始められている。

3 評価の現状と今後の課題

(1)以上のように、我が国でも、また、国際的にも、学力や評価の問題に対する関心は高まっている。
 その意味で、児童生徒の学習と教育課程の実施状況等の評価の在り方を検討する今日的な意義は大きい。
 評価の問題を検討する際、評価は、次の三つの段階で充実を図っていくことが必要である。
 第一は、児童生徒の個人の学習状況等の評価、
 第二は、各学校における児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価、
 第三は、国全体あるいは地域全体として見た児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価、
である。

(2)このうち、児童生徒の個人の学習状況等の評価については、従来からの評価の議論の中で中心的な位置を占めてきている。各学校段階の評価も、国や地域全体の評価も、いずれも児童生徒個人の学習状況等の評価の積み重ねであり、児童生徒個人の学習状況等の評価が出発点となるものである。
 現行の学習指導要領の下においては、基礎・基本を重視し、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力の育成とともに、児童生徒のよさや進歩の状況などを積極的に評価し、児童生徒の可能性を伸ばすことを重視した「新しい学力観」に立つ評価が行われており、このことは各学校にも浸透してきている現状にあるが、従来どおりの知識の量のみを測るような評価が依然として行われている面も見られる。
 今後は、新しい学習指導要領等が、基礎・基本を確実に身に付けさせることはもとより、それにどどまることなく、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力などの「生きる力」の育成を目指していることを踏まえ、これからの児童生徒の学習状況等の評価の在り方を検討することが課題である。

 次に、学校としての児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価については、これまでも、学校評価に関する研究や都道府県教育委員会等による学校評価に関する基準の策定などが盛んに行われた時期はあるが、今日、必ずしも全体的な動きにはなっておらず、各学校の個々の取組にとどまっている場合が多いと言える。
 今後は、児童生徒の学習状況等の評価は、同時に各学校の教育活動の評価でもあるという認識の下、各学校における教育課程の実施状況等の評価を推進していく方策を検討することが課題である。

 また、国全体としての児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価については、我が国では、昭和31~41年度に全国学力調査が実施されて以降は、学習指導要領の改訂の基礎資料を得ることを目的とした「教育課程実施状況調査」(昭和56~58年度、平成5~7年度)が文部省において実施されている。また、国際教育到達度評価学会(IEA)の「国際数学・理科教育調査」に、昭和39年(1964年)の第1回調査以来参加している。「教育課程実施状況調査」や「国際数学・理科教育調査」は、これまでは十数年に1回という間隔で、全国的な学習状況の把握や国際比較を行う上で統計的に必要な児童生徒数により実施されてきた。
 今後は、国として継続的に児童生徒の学力の実態を把握するための方策を検討することや、各学校が、全国的・総合的な学力調査により自校の児童生徒の学習状況を客観的に評価できるようにするための方策を検討することが課題である。
 さらに、都道府県教育委員会や市町村教育委員会においては、現在、それぞれの実情に応じて、学力調査の実施、学習評価のための研修の実施や指導資料の作成などの取組が行われている。今後は、各教育委員会において、児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の評価に関する取組を、一層積極的に進めていくことが課題である。

(3)以上のような課題を踏まえると、これからの児童生徒の学習状況の評価の在り方としては、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現の状況を見る評価(いわゆる絶対評価)を基本に据えるとともに、児童生徒の自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成の状況を総合的に評価する工夫をしていくことが必要である。このことについては、次節で具体的に提言したい。

 その上で、評価の充実のための具体的な方策として、まず、指導要録の取扱いについて、第2章で具体的に提言したい。

 また、目標に準拠した評価を適切に行うため、児童生徒の学習の到達度を客観的に評価するための評価規準等の研究開発を行い、学校の評価活動を支援することが必要である。また、国全体として、学習指導要領の目標の実現状況を把握するとともに、教育課程の基準の改善等に生かしていくため、全国的な学力調査を継続的に実施することが適当である。これらについて、第3章で具体的に提言したい。

 さらに、各学校において、児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価を行い、指導の改善に生かすとともに、保護者や地域の人々へ十分説明し、意見を聞くことにより、学校教育への信頼を一層高め、かつ、学校の行う評価の客観性や信頼性の確保につなげていくことが必要である。これについては、第4章で具体的に提言したい。

 なお、都道府県教育委員会や市町村教育委員会においては、指導要録の様式の策定をはじめとする評価に関するそれぞれの役割を果たしていくことが大切であるが、このことについては、次節以降のそれぞれの箇所で触れていきたい。

第2節 これからの評価の基本的な考え方

ア 学力については、知識の量のみでとらえるのではなく、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けることはもとより、それにとどまることなく、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」がはぐくまれているかどうかによってとらえる必要がある。

イ これからの評価においては、観点別学習状況の評価を基本とした現行の評価方法を発展させ、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)を一層重視するとともに、児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを評価するため、個人内評価を工夫することが重要である。

ウ 学校の教育活動は、計画、実践、評価という一連の活動が繰り返されながら展開されるものであり、指導と評価の一体化を図るとともに、学習指導の過程における評価の工夫を進めることが重要である。また、評価が児童生徒の学習の改善に生かされるよう、日常的に児童生徒や保護者に学習の評価を十分に説明していくことが大切である。

エ 評価に当たっては、教育活動の特質や評価の目的等に応じ、評価の方法、場面、時期などを工夫し、児童生徒の成長の状況を総合的に評価することが重要である。

オ 評価活動を充実するためには、各学校において、評価の方針、方法、体制などについて、校長のリーダーシップの下、教員間の共通理解を図り、一体となって取り組むことが不可欠である。また、各教員が、評価についての専門的力量を高めるため、自己研鑽に努めたり、校内研究・研修を実施することなどが重要である。  

1 学力と評価

(1)従来から文部省は、学習指導要領等と指導要録の様式において、学校教育で身に付けるべき学力とその評価に関する大きな枠組みを示してきた。
 現行の学習指導要領等は、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力の育成を重視しており、現行の指導要録もこうした資質や能力の育成を目指し、観点別学習状況の評価を各教科の基本に据え、その観点は「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点を基本としている。

(2)新しい学習指導要領は、完全学校週5日制の下、教育内容を厳選し、ゆとりの中で学習指導要領に示す基礎・基本を確実に身に付け、「生きる力」すなわち1.自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、2.自らを律しつつ、他人と協調し、他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、3.たくましく生きるための健康と体力を育成することを基本的なねらいとしている。自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成する上で、基礎・基本の確実な定着は、欠くことのできない要素である。ここでいう基礎・基本には、知識や技能だけでなく、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力なども含まれる。
 新学習指導要領では、完全学校週5日制の実施に伴い、授業時間を週当たり2単位時間縮減しているが、それに伴い教育内容を厳選し、児童生徒がゆとりを持って学習できるようにしている。これは、1.基礎・基本を確実に身に付けることができるよう、個別指導やグループ別指導、ティームティーチングなど個に応じた指導を十分に行うとともに、2.単なる知識の暗記ではなく、思考力、判断力、表現力などを身に付けられるよう観察・実験、調査・研究、発表・討論など、体験的な学習、問題解決的な学習に積極的に取り組むことができるようにしたものである。
 また、知識と生活との結び付き、知の総合化の視点を重視し、各教科等で得た知識・技能等が生活において生かされ、総合的に働くよう「総合的な学習の時間」の創設などを行っている。このことにより、単に知識を覚え込むのではなく、児童生徒が実感を伴って基礎的・基本的な内容を自らのものとして確実に習得し理解を深め、その後の学習や将来の生活に生きて働くようにすることを目指しているのである。厳選された基礎・基本については、児童生徒のその後の学習を支障なく進めるためにも、確実に身に付けさせる必要がある。
 さらに、中、高等学校においては、生徒が選択して学習できる幅を従来以上に拡大し、生徒の興味・関心、進路希望等に応じて、より深く高度に学ぶことができるようにしており、基礎・基本の確実な習得とあいまって、学ぶことの楽しさを味わわせ、学ぶ意欲や知的好奇心・探究心などを高めることとしている。また高等学校段階では、各学校が独自の教科・科目を設けたり、高等学校在学中に大学で履修した単位を高等学校の単位として認められるような制度も設けられている。

(3)我が国の児童生徒の学力は、国際教育到達度評価学会(IEA)の行っている国際比較の調査(国際数学・理科教育調査)によると、第1回調査以来トップクラスを維持しており、国際的に見ておおむね良好と考えている。しかし、数学や理科が好きであるとか、将来これらに関する職業に就きたいと思う者の割合が国際的に見て低いレベルであるなどの問題点が指摘されている。
 新学習指導要領は、このような児童生徒の学力の現状等を踏まえて、ややもすると一斉、画一的に知識を教え込むことになりがちであったこれまでの教育の基調を転換し、基礎・基本を確実に身に付けさせ、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力などを重視することとしたものである。
 学力については、従来から、「読・書・算」の能力などに限定してとらえる考え方と、理解力、思考力、創造力、問題解決能力などまで含める考え方がある。ともすれば、過度の受験競争や偏差値偏重の風潮の中で、知識の量の多少によって学力をとらえる傾向が強かったことも事実である。
 しかしながら、学力については、これまで示したように、知識の量の多少によってとらえるのではなく、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けることはもとより、それにとどまることなく、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」がはぐくまれているかどうかによってとらえる必要がある。現行の学習指導要領においては、知識や技能だけでなく、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力などまで含めて学力ととらえており、新しい学習指導要領は、こうした学力のとらえ方を一層深め、言わば学力の質の向上を図ることをねらいとしているのである。
 これからの児童生徒の学習状況の評価に当たっても、このことを適切に評価できるよう、工夫することが必要となる。
 また、このような学力についての考え方が定着していくためには、教員が学習指導要領の趣旨を十分に理解し、日々の指導と評価に生かしていくことが、何よりも肝要である。

2 目標に準拠した評価及び個人内評価の重視

(1)新しい学習指導要領においては、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむことを目指し、学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容の確実な習得を図ることを重視していることから、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を見る評価(いわゆる絶対評価)を一層重視し、観点別学習状況の評価を基本として、児童生徒の学習の到達度を適切に評価していくことが重要となる。
 現行の学習指導要領及び指導要録の下での評価の一つの特徴は、集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)ではなく、目標に準拠した評価である観点別学習状況の評価を基本に据えていることであるが、新しい学習指導要領の下では、この考え方を一層発展させていくことが重要である。

(2)評価に当たっては、知識や技能の到達度を的確に評価することはもとより大事であるが、それにとどまることなく、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までを含めた学習の到達度を適切に評価していくことが大切である。
 このため新学習指導要領の下でも、現行の指導要録における評価の観点、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点による評価を基本とすることが適当である。その場合、例えば「知識・理解」についても、単に覚え込むものととらえるのではなく、児童生徒が自ら体験して実感を持って学ぶことにより、学習や生活に生きて働くものととらえる必要がある。

(3)児童生徒一人一人のよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価することは、これまでと同様重要である。
 既に述べてきたように、これからは、課題を発見する能力や自ら学び自ら考える力、よりよく問題を解決する能力などの育成が重要である。また、児童生徒の興味・関心、進路、習熟度などに応じ、選択学習の幅の拡大や個に応じた指導の充実を図り、個性を生かす教育を推進することが求められている。
 このような自ら学ぶ意欲や問題解決の能力、個性の伸長などに資するよう、個人内評価(児童生徒ごとのよい点や可能性、進歩の状況などの評価)を工夫することも大切である。
 その際、児童生徒を励ましたり、努力を支援したりする観点に立って、児童生徒の進歩を促したり、努力を要する点を伝えたりすることにも配慮する必要がある。

(4)集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)は、集団の中での相対的な位置付けによって児童生徒の学習の状況を評価するものであることから、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に習得し、目標を実現しているかどうかの状況や、一人一人の児童生徒のよい点や可能性、進歩の状況について直接把握することには適していない。また、児童生徒数の減少などにより、学年、学級の中での相対的な位置付けを明らかにする評価では、客観性や信頼性が確保されにくくなっていることも指摘されている。
 しかし、目標に準拠した評価や個人内評価に関する情報とともに、集団の中での自分の相対的な位置付けに関する情報も、自分の適性を知る手掛かりとなるのであり、児童生徒は、これにより自分の目標を定めて学習に取り組む動機付けを得たり、将来の進路を考えていく際の情報として活用したりすることができる。したがって、各学校においては、必要に応じ、集団の中での相対的な位置付けに関する情報を提供することが考えられる。
 これからは、目標に準拠した評価及び個人内評価が柱となる中で、集団に準拠した評価については、児童生徒の発達段階などに配慮した上で、目的に応じて指導に生かすことが必要である。

3 指導と評価の一体化

(1)学校の教育活動は、計画、実践、評価という一連の活動が繰り返されながら、児童生徒のよりよい成長を目指した指導が展開されている。すなわち、指導と評価とは別物ではなく、評価の結果によって後の指導を改善し、さらに新しい指導の成果を再度評価するという、指導に生かす評価を充実させることが重要である(いわゆる指導と評価の一体化)。評価は、学習の結果に対して行うだけでなく、学習指導の過程における評価の工夫を一層進めることが大切である。また、児童生徒にとって評価は、自らの学習状況に気付き、自分を見つめ直すきっかけとなり、その後の学習や発達を促すという意義がある。
 自ら学び自ら考える力などの「生きる力」は、日々の教育活動の積み重ねによって児童生徒にはぐくまれていくものであり、その育成に資するよう、日常の指導の中で、評価が児童生徒の学習の改善に生かされることが重要である。また目標に準拠した評価においては、児童生徒の学習の到達度を適切に評価し、その評価を指導に生かすことが重要である。そのため評価活動を、評価のための評価に終わらせることなく、指導の改善に生かすことによって、指導の質を高めることが一層重要となる。

(2)評価が児童生徒の学習の改善に生かされるようにするためには、学習の評価を、日常的に、通信簿や面談などを通じて、児童生徒や保護者に十分説明し、学習の評価を児童生徒や保護者と共有していくことが大切である。
 特に、通信簿については、その扱いや様式は各学校の判断で決められるものであるが、その役割は大きい。このことを踏まえ、児童生徒の学習の過程や成果、一人一人の進歩の状況などを適切に評価し、それが評価だけに終わるのではなく、その後の学習を支援することに有効に役立てられるものとなるよう、記載内容や方法、様式などについて改善充実が図られることが期待される。
 また、学習の結果としての評価の情報とともに、どのような観点や規準で評価を行うのか、どのような方法で評価を行うのかといった学校としての評価の考え方や方針を、教育活動の計画などとともにあらかじめ説明することも大切である。
 評価には、信頼性が求められるが、評価を指導に生かしていくためには、単に数値化されたデータだけが信頼性の根拠になるのではなく、評価の目的に応じて、評価する人、評価される人、それを利用する人が、互いにおおむね妥当であると判断できることが信頼性の根拠として意味を持つ。その意味でも、評価規準や評価方法等に関する情報が児童生徒や保護者に適切に提供され、共通に理解されていることが大切である。

4 評価方法の工夫改善

(1)全人的な力である「生きる力」の育成を目指す新しい学習指導要領の下では、児童生徒の学習状況を、単一の時期や方法によって評価するのではなく、各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの教育活動の特質や評価の目的に応じ、評価方法、評価の場面や時期などについて適切な方法を工夫し、それらの積み重ねによって児童生徒の成長の状況を総合的に評価することが一層重要である。
 そのため、第一に、評価を、学習や指導の改善に役立たせる観点から、総括的な評価のみではなく、分析的な評価、記述的な評価を工夫すること、
 第二に、評価を行う場面としては、学習後のみならず、学習の前や学習の過程における評価を工夫すること、
 第三に、評価の時期としては、学期末や学年末だけでなく、目的に応じ、単元ごと、時間ごとなどにおける評価を工夫すること、
 第四に、具体的な評価の方法としては、ペーパーテストのほか、観察、面接、質問紙、作品、ノート、レポート等を用い、その選択・組合せを工夫すること、
などが求められる。

(2)また、児童生徒による自己評価や児童生徒同士の相互評価などを生かすことや、保護者による評価、教育活動に協力した地域の人々などによる評価を参考にすることなども有効である。
 とりわけ、自己評価については、自ら学ぶ意欲などを見る上で有効であるばかりでなく、児童生徒が自分自身を評価する力や他人からの評価を受け止める力を身に付け、自己の能力や適性などを自分で確認し、将来を探究できるようにするためにも大切である。
 さらに、学習活動の特質に応じ、学習の過程における児童生徒のレポートや作品など具体的な事例を保存し、学習の進め方などの指導に役立てる評価も有効であると考えられ、各学校や関係機関などにおいて評価方法についての研究が進められることが期待される。

(3)評価の方法としては、ペーパーテストのほか、観察、面接、質問紙、作品、ノート、レポートなどを用いることが考えられるが、その選択に当たっては、各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの学習活動の特質、児童生徒の発達段階などを考慮することが重要である。
 例えば、各教科の評価についても、教科や評価の観点などによって、ペーパーテスト、実技テストなどによる評価が重視されるもの、児童生徒のノート、レポートや作品などによる評価が重視されるもの、教員による観察、面接や児童生徒の自己評価、相互評価などが重視されるものなど、評価方法の重点の置き方に違いがある。各学校における評価においては、このような教科の特性や観点の趣旨にふさわしい評価の方法を適切に選択し組み合わせるなどの工夫が大切である。

(4)障害のある児童生徒については、一人一人の障害の状態等を十分把握した上で、それぞれに応じた指導の目標の設定、指導内容・方法の工夫を進め、児童生徒が持てる力を発揮して学習活動に取り組む状況などをきめ細かく評価し、指導に生かすことが重要である。また、自立し社会参加する力を培うためには、障害の状態や学習状況に関する情報が指導にかかわる教員間で共有され、組織的・継続的に指導が行われる必要がある。このため、それらの情報を学年等を超えて引き継ぎ、一貫した指導が行われるようにすることが大切である。

5 学校全体としての評価の取組

(1)評価活動の充実のためには、各学校において日ごろから教員間の共通理解を図り、各教員が評価についての力量を高め、一体となって評価方法の改善充実に努めることが必要である。また、目標に準拠した評価を重視する上では、各学校における評価の根拠が明確で信頼でき、保護者や児童生徒に説明できるものであることが重要である。
 各学校においては、各教員が児童生徒の学習の状況を日ごろからどのように把握し、指導に生かしていくかなど、学校としての評価の方針、方法、体制などについて、校長のリーダーシップの下、教員間の共通理解を図り、一体となって取り組むことが不可欠である。
 新しい学習指導要領の下では、「総合的な学習の時間」の創設や選択学習の幅の拡大が図られるとともに、学習内容の習熟の程度に応じた指導やティームティーチング、合同授業、交換授業など、個に応じた指導などの充実のための多様な学習形態、指導体制が一層取り入れられることも踏まえ、複数の教員で協力して評価を行うなど、多角的・多面的な評価を行うことが求められる。

(2)教員が評価についての考え方を深め、評価方法を改善したり、その結果を指導に生かしたりするためには、教員一人一人が教育の専門職として自己研鑽に努めるとともに、学校全体で校内研究・研修を通じて評価についての力量を高めることが必要である。とりわけ、評価方法の中でも、教員による観察は重要な意味を持つものであり、そのためにも、校内研究・研修の在り方を一層工夫し、学校全体として評価の力量を高めることが重要である。
 各教育委員会等においては、教育センター等で行う教員研修において、学習の評価についての講座を充実させるなど、学校や教員の評価活動に対する支援を積極的に行うことが大切である。
 さらに、学校や教員の評価活動を支援し、客観的で信頼できる評価が行われるようにするため、後述するように、児童生徒の学習の到達度を客観的に評価するための評価規準等の研究開発、全国的かつ総合的な学力調査の実施、各学校における教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価の実施などを進めることが必要である。
 なお、各学校は、学習の評価の内容について保護者や児童生徒に十分説明し、共通理解を図りながら指導に生かすとともに、評価の改善に努めていくことが大切である。

第2章 指導要録の取扱い

ア 指導要録は、児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるものであるが、指導に役立たせるという面では、日常の学習指導の評価活動に対して基盤となる考え方や方法を示すものであり、その役割は大きい。

イ 新しい学習指導要領の下での小・中学校の指導要録の在り方については、現行の様式を基本的に維持した上で、第一に、評定を目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)に改めること、第二に、「総合的な学習の時間」について、各学校で評価の観点を定めて、評価を文章記述する欄を新設すること、第三に、「行動の記録」の項目を見直すこと、第四に、児童生徒の成長の状況を総合的にとらえる工夫ができるよう所見欄等を統合すること、などの改善を図る必要がある。

ウ 指導要録の様式について、本審議会として参考様式例を示すが、各教育委員会等においては、これを参考として、地域の実情等に応じて工夫し、所管の学校の指導要録の様式を定めることが大切である。

エ 国において、個人情報保護基本法制に関する大綱が取りまとめられ、個人情報の本人への開示について、業務の適正な実施に支障を及ぼすおそれがあるとき等を除き開示することとされている。指導要録の本人への開示についても、個人情報保護基本法制の基本的な考え方に基づいて対応する必要がある。具体的な開示の取扱いについては、各教育委員会等において、条例等に基づき、それぞれの事案等に応じて判断することが適当である。

1 指導要録の基本的な性格及び機能

(1)指導要録は、児童生徒の学籍並びに指導の過程及び結果の要約を記録し、その後の指導及び外部に対する証明等に役立たせるための原簿となるものであり、今後も、この基本的な性格を維持することが適当である。

(2)指導要録は、指導のための資料としては、学年末に1年間の学習の状況を総括的に評価するものであるが、その記録を確かなものにするため、そこに至るまでの日ごろの継続的な評価の充実が重要である。
 その意味から、指導要録における評価の方法や観点等は、日ごろの指導と評価に当たって重要な役割を果たすものである。
 現行の指導要録は、指導と評価の一体化という考え方の確立に大きな役割を果たしている。

2 指導要録改善の基本方針

(1)新しい学習指導要領の下での小・中学校の指導要録については、前章で述べた評価の基本的な考え方を踏まえ、日ごろの評価の充実を促し、指導に生きる評価が行われるようにするという役割が新しい学習指導要領の趣旨に即して発揮されるよう、現行の様式を基本的に維持した上で、主に次のような点について改善を図る必要がある。
 第一に、学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な習得を図るなどの観点から、学習指導要領に示す目標を実現しているかどうかの評価を重視し、現在いわゆる絶対評価を加味した相対評価をすることとされている各教科の評定を、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)に改めること、
 第二に、「総合的な学習の時間」について、各学校で評価の観点を定めて、評価を文章記述する欄を新たに設けること、
 第三に、「生きる力」の育成を目指し、豊かな人間性を育てることが重要であることを踏まえ、「行動の記録」の項目を見直すこと、
 第四に、「生きる力」は全人的な力であることを踏まえ、児童生徒の成長の状況を総合的にとらえる工夫ができるようにする趣旨から、所見欄等を統合すること、
などの改善を図ることとする。

(2)高等学校の指導要録については、各学校において生徒の能力・適性、興味・関心等に応じて多様な教育課程が編成されていることから、国の示す参考様式としてはできる限り大枠にとどめるという考え方を維持した上で、「総合的な学習の時間」の欄を新設するなどの改善を図ることが適当である。

(3)盲・聾・養護学校の指導要録については、児童生徒の障害の状態等に応じた指導の目標の実現状況の評価や個人内評価を重視することとし、「自立活動」の欄の設定、個別の指導計画を踏まえた評価の推進、教育課程や学習指導の状況及び障害の重度・重複化や多様化等に応じた適切な記録の充実などの改善を図ることとする。

3 小・中学校の指導要録

(1)各教科の学習の記録
ア 観点別学習状況

(ア)既に述べてきたように、新しい学習指導要領においては、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」をはぐくむことを目指し、学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容の確実な習得を図ることを重視していることから、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を見る評価(いわゆる絶対評価)を一層重視する必要がある。したがって新学習指導要領の下においても、目標に準拠した評価である観点別学習状況の評価を基本とし、現行の四つの観点により、実現の状況を3段階で評価することを基本的に維持することとする。
 なお、各教科の観点別学習状況の観点の具体的な示し方については、新しい学習指導要領における目標、内容の改訂などを考慮して、必要な見直しをした結果、次のように改めることとする。(下線部は変更部分)

小学校

国語
(現) 「国語への関心・意欲・態度」「表現の能力」「理解の能力」「言語についての知識・理解・技能」
(新) 「国語への関心・意欲・態度」「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」 

中学校

国語
(現) 「国語への関心・意欲・態度」「表現の能力」「理解の能力」「言語についての知識・理解・技能」
(新) 「国語への関心・意欲・態度」「話す・聞く能力」「書く能力」「読む能力」「言語についての知識・理解・技能」 

数学
(現) 「数学への関心・意欲・態度」「数学的な考え方」「数学的な表現・処理」「数量、図形などについての知識・理解」
(新) 「数学への関心・意欲・態度」「数学的な見方や考え方」「数学的な表現・処理」「数量、図形などについての知識・理解」 

技術・家庭
(現) 「生活や技術への関心・意欲・態度」「生活を創意工夫する能力」「生活の技能」「生活や技術についての知識・理解」 
(新) 「生活や技術への関心・意欲・態度」「生活を工夫し創造する能力」「生活の技能」「生活や技術についての知識・理解」 

(イ)なお、留意すべき事項の第一として、「関心・意欲・態度」の観点が挙げられる。この観点は、本来、それぞれの教科の学習内容や学習対象に対して関心を持ち、進んでそれらを調べようとしたり、学んだことを生活に生かそうとしたりする資質や能力を評価するための観点である。
 しかし、その評価については、情意面にかかわる観点であることなどから、目標に準拠した評価であることが十分理解されていなかったり、授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみで評価されるなど、必ずしも適切とは言えない面も見られる。また、評価が教員の主観に頼りがちであるという指摘もある。
 「関心・意欲・態度」の観点の評価に当たっては、例えば、態度や行動、発言内容の観察による評価、作品の評価、児童生徒の自己評価や相互評価、予習・復習の状況の評価など多様な評価方法により継続的・総合的に行う必要がある。評価には信頼性が求められるが、単に数値化されたデータだけが信頼性の根拠になるのではなく、評価する人、評価される人、それを利用する人が、互いにおおむね妥当であると判断できることが信頼性の根拠として意味を持つのであり、今後、教員の観察力や分析力など評価に関する力量を高めるとともに、多様な評価方法の工夫改善を進める必要がある。

(ウ)留意すべき事項の第二として、既に述べたように、観点別学習状況の実際の評価においては、教科や評価の観点などによって、ペーパーテスト、実技テストなどによる評価が重視されるもの、児童生徒のノート、レポートや作品などによる評価が重視されるもの、教員による観察、面接や児童生徒の自己評価、相互評価などが重視されるものなど、評価方法の重点の置き方に違いがある。
 各学校における実際の評価に当たっては、教科の特性や観点の趣旨に応じて評価方法の適切な選択や組合せを工夫し、できるだけ客観的で妥当な評価が行われるようにすることが大切である。

イ 評定

(ア)小・中学校の各教科の学習の記録は、昭和55年改訂の指導要録では、集団に準拠した評価(いわゆる相対評価)である評定を主体とした評価としていたが、平成3年の改訂による現行の指導要録において、目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)である観点別学習状況の評価を基本とすることとし、目標に準拠した評価への転換を図った。評定は観点別学習状況の評価を補完するものとして、目標に準拠した評価を加味しつつ、集団に準拠した評価とされた。
 これからの評価方法として、目標に準拠した評価を一層重視することは既に述べた。それを受け、今回、指導要録についても、現行の指導要録の考え方を更に発展させ、評定についても目標に準拠した評価に改め、学習指導要領に示す目標が実現されたかどうかを客観的に評価していくことが適当であると考えるが、ここで、その理由を改めて整理すると、次のとおりである。
 第一に、新しい学習指導要領の下では、自ら学び、自ら考え、よりよく問題を解決する資質や能力などの評価を重視することが必要であり、児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすことが一層重要であるが、そのためには、目標に準拠した評価が適当であること。
 第二に、新学習指導要領では、教育内容を厳選し、基礎・基本の確実な定着を図ることを重視していることから、学習指導要領に示す内容を確実に習得したかどうかの評価を一層徹底することが必要であり、そのためには、目標に準拠した評価が優れていること。
 第三に、初等中等教育における各学校段階において、児童生徒がその学校段階の目標を実現しているかどうかを評価することは、上級の学校段階の教育との円滑な接続に資する観点から重要となっており、そのためには、目標に準拠した評価を適切に行うことが必要となっていること。
 第四に、新学習指導要領においては、児童生徒の学習の習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導を一層重視しており、学習集団の編成も多様となることが考えられるため、指導に生きる評価を行っていくためには、目標に準拠した評価を常に行うことが重要となること。
 第五に、今日、少子化等により、かなり広範囲の学校で、学年、学級の児童生徒数が減少してきており、評価の客観性や信頼性を確保する上でも、集団に準拠した評価によるよりも、目標に準拠した評価の客観性を高める努力をし、それへの転換を図ることが必要となっていること。

(イ)評定は、現行同様、小学校第3学年以上において3段階、中学校の必修教科においては5段階で行うこととする。なお、小学校第1・2学年については、既に評定を行わない評価が定着していること、身に付ける内容等が基本的なものであることなどから、これまで同様、評定は行わないこととする。

(ウ)集団に準拠した評価については、既に述べたように、各学校において、必要に応じ、集団の中での相対的な位置付けに関する情報を提供することも考えられる。
 指導要録においても、目的に応じて、集団に準拠した評価に関する情報を、後述する「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に記録することができるようにすることが適当である。

ウ 所見

(ア)全人的な力である「生きる力」の育成を目指す学習指導要領のねらいを踏まえ、指導要録においても、児童生徒の成長の状況を総合的にとらえる工夫をすることが必要である。
 現在、所見欄等は各教科の学習、特別活動、行動の記録等のそれぞれに分かれており、それぞれの項目に応じて児童生徒の特徴、指導上留意すべき事項等を記入することとされている。また、指導上参考となる諸事項の欄には、それ以外の指導上参考となる事項を記入することとされている。これらの欄を統合し総合的に記入できるよう「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄を設けることとする。

(イ)なお、留意事項として、これまで同様、一人一人のよさや可能性、進歩の状況などを適切に評価していく上で、個人内評価を一層充実していくことが重要であり、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄の記載を重視することが大切である。

エ 各教科の学習の記録の全体にわたる事項

(ア)観点別学習状況の評価と評定とは、ともに目標に準拠した評価となるが、分析的な評価を行う観点別学習状況の評価に対して、評定は、簡潔で分かりやすい評価情報を提供するものとして、教科を総括的に評価するものと位置付けることが適当である。
 その際、観点別学習状況の評価を、どのように評定に総括するかの具体的な方法等については、各学校において、各教科の特性や観点の趣旨等を十分踏まえ、研究し工夫することが大切である。

(イ)中学校の選択教科については、各学校の主体的な判断により生徒の興味・関心等に応じた多様な学習活動が行われるようにしたことを踏まえ、各学校で定める観点による観点別学習状況の評価を3段階で行うとともに、評定についても各学校で設定した目標に準拠した3段階の評価を行うことが適当である。また、個人内評価として特筆すべき事項については「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に記載することが適当である。

(ウ)なお、現行の指導要録の下で、目標に準拠した評価である観点別学習状況の評価が定着してきており、評定も目標に準拠した評価を加味して行うようになっている。また、中学校では、選択教科の評定においても目標に準拠した評価が行われている。このような取組を踏まえ、今後一層、目標に準拠した評価を客観的に行うことができるよう、評価についての教員の専門的力量を高めることが重要な課題である。
 目標に準拠した評価の客観性や信頼性を確保し、教員の恣意的な判断による評価とならないよう、後述するように、児童生徒の学習の状況を客観的に評価するための評価規準の研究開発などの取組を進める必要がある。

(2)特別活動の記録

 特別活動は、学校における教育課程の中で「生きる力」の育成において重要な役割を果たすものである。
 特別活動の評価においては、活動の状況を内容ごとに評価する現行の方法を維持することが適当である。また、事実及び所見については、児童生徒の成長の全体像をとらえられるようにする趣旨から、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に合わせて記載することが適当である。

(3)行動の記録

 心の教育、道徳教育は、学校教育活動の中で重要性を増しており、「生きる力」の育成において重要な要素である。このため、行動の記録の評価は一層充実することが必要である。
 行動の記録については、行動の状況を項目ごとに評価する現行の方法を維持することが適当である。その際、行動の状況の項目については、「生きる力」の育成の状況などを適切に評価できるものとなるよう、「健康・体力の向上」「自律」「生命尊重」「公徳心」などを示すことが適当である。
 また、所見については、児童生徒の成長の全体像をとらえられるようにする趣旨から、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に合わせて記載することが適当である。

(4)進路指導の記録(中学校)

 中学校の進路指導の記録については、児童生徒の成長の全体像をとらえられるようにする趣旨から、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に合わせて記載することが適当である。
 進路指導については、ガイダンスの機能の充実を図った趣旨や高等学校が一層多様化していることを踏まえ、生徒の進路や将来についての希望及び指導内容等で特筆すべき事項を記載することが重要である。

(5) 指導上参考となる諸事項

 指導上参考となる諸事項の欄については、既に述べてきたように、児童生徒の成長の状況を総合的にとらえられるようにする趣旨から、各教科の学習の記録についての所見、特別活動の記録についての事実及び所見、行動の記録についての所見等と合わせ、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄として設けることが適当である。

(6)総合所見及び指導上参考となる諸事項(新設)

ア 新たに設ける「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄には、

 第一に、各教科や総合的な学習の時間の学習に関する所見、
 第二に、特別活動に関する事実及び所見
 第三に、行動に関する所見、
 第四に、進路指導に関する事項、
 第五に、児童生徒の特徴・特技、学校内外における奉仕活動、表彰を受けた行為や活動、知能、学力等について標準化された検査の結果など、指導上参考となる諸事項、
 第六に、児童生徒の成長の状況にかかわる総合的な所見、
などを記録することが適当である。

イ 「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄については、これまで同様、児童生徒の優れている点や長所を取り上げることを基本とする。児童生徒の努力を要する点などについても、その後の指導において特に配慮を要するものがあれば、次年度の学級担任等へ引き継ぎ、指導に生かされるようにするなど、各学校の実情や児童生徒の実態に応じた工夫をする必要がある。

(7)「総合的な学習の時間」の評価

ア 「総合的な学習の時間」については、各学校において学習活動を定め、学校や児童生徒の実態に応じた特色ある教育活動が展開される。このような趣旨から、学習の状況や成果などについて、児童生徒のよい点、学習に対する意欲や態度、進歩の状況などを踏まえて評価することが適当であり、数値的な評価をすることは適当ではない。

イ また「総合的な学習の時間」は、横断的・総合的な課題などについて、体験的な学習、問題解決的な学習を取り入れ、各教科等で身に付けた知識や技能を相互に関連付け、総合的に働かせることをねらいとしており、それを通じて、自ら学び、自ら考える力や学び方、ものの考え方などの確かな育成に資するよう、評価に当たっては、各教科の学習の評価と同様、観点別学習状況の評価を基本とすることが必要である。
 この時間の学習活動の展開に当たっては、学習指導要領に示された二つのねらい(1.自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること、2.学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること)などを踏まえ、各学校において具体的な目標、内容を定めて指導を行うことが必要である。そして、その目標、内容に基づき、観点を定めて評価を行うことが必要である。

ウ 以上の点を踏まえ、「総合的な学習の時間」の評価については、この時間において行った「学習活動」を記述した上で、指導の目標や内容に基づいて定めた「観点」を記載し、それらの「観点」のうち、児童生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記載するなど、児童生徒にどのような力が身に付いたかを文章で記述する「評価」の欄を設けることが適当である。
 「観点」については、各学校において、指導の目標や内容に基づいて定めることとなるが、例えば、学習指導要領に定められた「総合的な学習の時間」のねらいを踏まえ、「課題設定の能力」「問題解決の能力」「学び方、ものの考え方」「学習への主体的、創造的な態度」「自己の生き方」というような観点を定めたり、教科との関連を明確にして、「学習活動への関心・意欲・態度」「総合的な思考・判断」「学習活動にかかわる技能・表現」「知識を応用し総合する能力」などの観点を定めたり、あるいは、各学校の定める目標、内容に基づき、例えば、「コミュニケーション能力」「情報活用能力」などの観点を定めたりすることなどが考えられる。

4 高等学校の指導要録

(1)高等学校の指導要録については、各学校において生徒の能力・適性、興味・関心等に応じて多様な教育課程が編成されていることから、現在、国の示す参考様式としてはできる限り大枠の形のみが示されているところであり、基本的にはこのような考え方を維持することが適当である。

(2)高等学校の各教科・科目の評定については、従来から、目標に準拠した5段階評価とされており、現行の評価方法を維持することとする。この場合、ペーパーテスト等による知識や技能のみの評価など一部の観点に偏した評定が行われることのないように、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の四つの観点による評価を十分踏まえながら評定を行っていく必要がある。
 また、各学校における評定が客観的で信頼できるものであることが重要であり、小・中学校と同様、後述するように、生徒の学習の状況を客観的に評価するための評価規準の研究開発などの取組を進める必要がある。

(3)高等学校においては、各教科の学習の記録について、観点別学習状況の欄は設けず、各教科の観点を踏まえた評価をすることから、「総合的な学習の時間」についても、欄としては「学習活動」と「評価」から構成し、評価に当たっては、各学校において指導の目標や内容に基づいて定められた観点を踏まえて行うこととすることが適当である。

(4)学校設定教科に関する科目は、教科・科目として評定及び修得単位数を記載するが、当該教科・科目の目標や内容等から数値的な評価になじまない科目については、評定は行わず、学習の状況や成果などを踏まえて、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」欄に所見等を記述するなど、各学校で評価の在り方等について工夫することが適当である。

5 盲・聾・養護学校等の指導要録

(1)盲・聾・養護学校の指導要録については、児童生徒それぞれの障害の種類や程度等を踏まえて設定した指導の目標の実現状況などを適切に評価することや個人内評価を重視して改善を図る必要がある。

(2)盲学校、聾学校、肢体不自由養護学校及び病弱養護学校の指導要録については、小、中、高等学校の指導要録の改善に準じた改善を図ることが適当である。

(3)「養護・訓練」の欄を「自立活動」の欄に改めるとともに、個別の指導計画を踏まえた記載をするように改善を図ることが適当である。

(4)知的障害養護学校の各教科、特別活動、自立活動の記録について、各教科等の目標、内容を踏まえつつ、教育課程や学習指導の状況に応じて一層適切な記録が行われるようにするとともに、障害の重度・重複化や多様化等に応じた記入の工夫ができやすくすることが必要である。

(5)小・中学校の特殊学級の児童生徒の指導要録については、特に必要がある場合には、盲・聾・養護学校の指導要録に準じて作成することが適当である。

(6)通級による指導を受けている児童生徒については、「総合所見及び指導上参考となる諸事項」の欄に、通級による指導を受ける学校名、通級による指導の授業時数、指導期間、指導の内容や成果等を記録することが適当である。

6 指導要録の様式

 これまでに述べてきた評価の観点や方法等を指導要録の様式の形で具体化した場合の一つの案を、本答申の添付資料として示している。各教育委員会等においては、これを参考として、地域の実情等に応じて工夫し、所管の学校の指導要録の様式を定めることが必要である。

7 指導要録の開示の取扱い

(1)今日、個人情報に対する国民の関心の高まりなどを背景として、個人情報を保護するための条例等を制定する地方公共団体が増えてきている。また、国においては、個人情報保護基本法制に関する大綱が取りまとめられ、個人情報の本人への開示について、業務の適正な実施に支障を及ぼすおそれがあるとき等を除き開示することとされている。また、地方公共団体については、基本法制の趣旨にのっとり、必要な施策の策定・実施に努めることとされている。
 指導要録の本人への開示についても、このような個人情報保護基本法制の基本的な考え方に基づいて、対応する必要がある。

(2)指導要録は、指導のための資料でもあることから、これを本人に開示するに当たっては、個々の記載内容、特に文章で記述する部分などについては、事案によっては、それを開示した場合、評価の公正や客観性の確保、本人に対する教育上の影響の面で問題が生ずることなども考えられる。既に制定されている地方公共団体の個人情報保護条例においても、個人の評価等に関する情報については、事務の適正な執行に支障を生ずるおそれがある場合、開示しないことができる旨の規定が置かれているのが一般的であり、具体的な開示の取扱いについては、その様式や記載事項等を決定する権限を有する教育委員会等において、条例等に基づき、それぞれの事案等に応じ判断することが適当である。

(3)なお、これからの評価においては、教員が評価の専門的力量を更に高め、根拠が明確で説明のできる評価をしていくことや、日ごろから、評価の内容について保護者や児童生徒に十分説明し、共通理解を図りながら指導に生かしていくことが一層大切であると考えられる。

8 高等学校入学者選抜の調査書の取扱い

 高等学校等の入学者選抜のための資料である調査書は、中学校における平素の学習状況等を評価し、学力検査で把握できない学力や学力以外の生徒の個性を多面的にとらえたり、生徒の優れている点や長所を積極的に評価しこれを活用していくという趣旨から、学力検査と並んで重要な資料として用いられている。このような特質を踏まえ、各都道府県教育委員会等の判断において、その様式や記載事項等が定められている。
 今回、中学校の指導要録における各教科の評定を、現行の集団に準拠した評価から目標に準拠した評価に改めることとしたところである。これに伴い、調査書の取扱いが問題となるが、指導要録と調査書とは作成の目的や機能が異なるものであることから、調査書の各教科の評定を指導要録に合わせて目標に準拠した評価とするか、集団に準拠した評価とするかなど、具体的な取扱いについては、従来どおり、各都道府県教育委員会等の判断において適切に定めることが適当と考える。これまで、高等学校の入学者選抜については、単に学力の評価に重点が置かれるのではなく、生徒の多様な能力、適性等を多面的に評価できるよう、各都道府県教育委員会等において受験機会の複数化や面接、作文・小論文等の活用など、選抜方法の多様化や評価尺度の多元化のための取組が行われている。調査書についても、例えば、観点別学習状況の記載や学習の記録以外の諸活動の積極的な評価などの改善が図られているが、指導要録の評価の考え方を踏まえ、各都道府県教育委員会等において、その在り方の検討を進める必要がある。今後、評価の客観性、信頼性を高める取組を一層進めることにより、調査書の評定を目標に準拠した評価とするための努力が行われることを期待したい。
 なお、調査書の開示の取扱いについては、調査書は生徒の平素の学習状況やその評価等を記述するものであること、その様式や記載事項等は各都道府県が定めるものであることから、基本的に指導要録の開示と同様、各教育委員会等において、条例等に基づき、それぞれの事案等に応じ判断することが適当である。

第3章 児童生徒の学習状況を客観的に評価するための方策

第1節 児童生徒の学習状況の評価規準、評価方法等の研究開発

ア 児童生徒が学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容を確実に身に付けているかどうかを各学校において適切に評価できるようにするため、学習指導要領に示す目標に照らして、児童生徒の学習の到達度を客観的に評価するための評価規準、評価方法等を、関係機関において研究開発し、各学校における評価規準の作成に活用できるようにし、各学校における目標に準拠した評価の客観性、信頼性を高めるようにすることが必要である。

イ 評価規準等の研究開発に当たっては、知識や技能の評価だけにとどまるのではなく、思考力、判断力、表現力や自ら学ぶ意欲、態度など、学習指導要領に示す目標に照らして、学習の到達度を適切に評価できるものにすることが必要である。評価規準については、学習指導要領に示された各教科の内容ごとに、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点に基づいて研究開発が更に進められることが必要である。

ウ 評価規準等に基づき、評価者の主観に流されずできるだけ客観的な評価ができるよう、実際の児童生徒のレポートや作品など学習状況の事例を盛り込んだ評価事例集を作成したり、都道府県等の教育センター・教育研究所等において評価に関する研修の充実を図ったりすることが大切である。

エ 各学校においては、校内研究・研修を通じて評価に関する研究を進め、教員間の共通理解を図るとともに、関係機関において研究開発された評価規準等を参考に、評価規準の改善を図ることが望まれる。このため国においては、国立教育政策研究所において、早急に評価規準、評価方法等の研究開発を進める必要がある。  

(1)児童生徒に学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容が確実に身に付いているかどうかを適切に評価し、指導や学習の改善に生かしていくためには、児童生徒の学習の状況をどのような規準や方法等で明らかにしていくかが重要である。特に、今後、目標に準拠した評価を重視していく上では、各学校における評価が客観的で、信頼できるものであることが重要である。
 そのため、これまでの関係機関や各学校における評価規準、評価方法等の研究や実践を生かすとともに、学習指導要領の目標に照らして、児童生徒の学習の到達度を客観的に評価するために参考となる評価規準や評価方法等を関係機関において研究開発し、各学校における評価規準の作成に活用できるようにすることが必要である。

(2)評価規準や評価方法等の研究開発に当たっては、知識や技能の評価だけにとどまるのではなく、思考力、判断力、表現力や自ら学ぶ意欲、態度などを含めて、学習指導要領の目標に照らして、学習の到達度を適切に評価できるものにすることが必要である。その際、現行の指導要録の下での評価規準、評価方法等の研究や実践を一層進める形で行うことが必要である。
 評価規準については、観点別学習状況の評価を基本とした評価活動を支援できるよう、学習指導要領に示された各教科の内容の項目ごとに、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4観点を原則とする指導要録における各観点に基づいて研究開発が更に進められることが必要である。
 評価方法については、既に述べたように、評価方法の工夫改善を進めることが必要であるが、そのような取組に資するよう、教科やその内容、評価の観点などに即した評価方法の研究開発が更に進められることが必要である。

(3)評価規準等に基づき、評価者の主観に流されずできるだけ客観的に学習の到達度の評価ができるようにするため、教科や評価の観点によっては、評価規準や評価方法を示すことに加え、実際の児童生徒のレポートや作品など学習状況の事例を盛り込んだ評価事例集を作成するなどの工夫をすることも有効である。
 また、評価規準や評価方法の運用について、都道府県等の教育センター・教育研究所等で開催されている学習の評価のための研修を充実することや、教育委員会の指導主事の学校訪問の際などに指導を行うことなどにより、各学校における評価の客観性を高めるようにすることも重要である。

(4)各学校においては、これまでも評価規準を設定するなどの工夫等を行ってきているところであるが、引き続き校内研究・研修を通じて評価に関する研究を進め、教員間の共通理解を図るとともに、関係機関において研究開発された評価規準等を参考に、評価規準の改善を図ることが望まれる。
 このため国においては、平成13年1月に設置される国立教育政策研究所の教育課程研究センターにおいて、平成14年度からの新学習指導要領の実施に向け、早急に評価規準、評価方法等の研究開発を進め、参考となる指針などを示す必要がある。盲・聾・養護学校や小・中学校の特殊学級における児童生徒の障害の状態等に応じた評価の方法等については、国立特殊教育総合研究所での積極的な研究の推進が必要である。
 また、都道府県や市町村の教育センター・教育研究所等や、教員養成大学・学部等の教育研究機関においても、評価規準や評価方法等の研究開発を行い、各学校の評価活動を支援する取組を進めることが求められる。
 なお、関係機関においては、各学校が、開発された評価規準や評価方法等を活用して、児童生徒の学習の到達度をどの程度客観的に評価し、その評価を児童生徒の学習の改善にどう生かしたかなどの検証を行うなど、評価規準や評価方法等の在り方の研究を継続的に行うことが大切である。

第2節 全国的かつ総合的な学力調査の実施

ア 小、中、高等学校における児童生徒の学習の到達度について全国的な状況を把握し、それを国民に明らかにするとともに、指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させていくため、国において全国的かつ総合的な学力調査を実施することが適当である。その際、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までを含めた到達度を適切に評価していくことが必要であり、ペーパーテストだけでなく、調査研究協力校などを設けて調査することが必要である。

イ 全国的・総合的な学力調査は、継続的・定期的に実施することが必要であり、学校や児童生徒の負担などに配慮すると、学年や教科を年度ごとに分けて抽出調査により行うことが適当である。また、児童生徒の学習の到達度を客観的に把握するため、各学校において調査の問題や結果等を活用し得るようにすることが必要である。

ウ 具体的にどのような方法や規模等で学力調査を実施するかについては、文部省の「教育課程実施状況調査」などこれまでの調査の実績等も踏まえ、更に専門的に検討することが必要である。

1 全国的かつ総合的な学力調査の必要性

(1)児童生徒が学習指導要領に示す目標・内容をどの程度実現しているかを把握し、児童生徒の学習の到達度を明らかにするため、国において小、中、高等学校の各段階の全国的な学力調査を実施することが適当である。
 文部省では、これまでも学習指導要領の改訂の基礎資料を得ることを目的として「教育課程実施状況調査」を実施するとともに、国際教育到達度評価学会(IEA)の行う「国際数学・理科教育調査」に参加してきている。今後は、経年的に児童生徒の学力の実態を把握するとともに、指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させていくため、全国的かつ総合的な学力調査を継続的に実施することが必要である。

(2)全国的・総合的な学力調査を実施することは、第一に、児童生徒の学習の到達度を明らかにし、学習指導要領の目標の全国的な実現状況を国民全体に伝えるために重要である。
 第二に、学習指導要領の内容の習得状況を把握し、指導の改善や教育課程の基準の改善に反映させていくために重要である。学力調査の結果は、指導の改善に生かされるよう、各教育委員会や各学校に伝えられることが大切である。国においては、全国的・総合的な学力調査を、学習指導要領の目標や内容が適切であるかどうかを点検・評価する機会と位置付け、教育課程の基準の改善に生かしていくことが必要である。
 また、第三として、教育課程の基準の改善がどのようなねらいを持ったものであるか、あるいはこれからの児童生徒にどのような力が必要であるかなどを明らかにしていく上でも、全国的・総合的な学力調査の意義は大きい。国の行う学力調査の出題内容が、各教育委員会の行う学力調査や各学校で作成されるテスト問題などに影響を与えるという効果があることを十分考慮して実施することが大切である。
 さらに、第四として、全国的・総合的な学力調査を行うことにより、各学校に対し、目標に準拠した評価を行う際の客観的な評価規準を定める上で参考となるデータを提供することが可能となる。各学校の行う評価の客観性や信頼性を高めるためにも、全国的・総合的な学力調査の問題や結果等についての情報を提供していくことが重要である。

(3)学力調査の実施、結果の分析や教育政策への反映に当たっては、平成13年に設置される国立教育政策研究所の教育課程研究センターが大きな役割を果たすことが期待される。
 平成13年1月以降、教育課程審議会は廃止され、中央教育審議会初等中等教育分科会が常設化されるとともに、それと緊密な連携を図って、国立教育政策研究所の教育課程研究センターにおいて、カリキュラムの在り方等について恒常的に調査研究を行うことにより、教育課程の基準について不断に見直しをする体制が整備されることになるが、その際、全国的・総合的な学力調査の結果を十分生かした研究や施策が推進されることが望まれる。

2 全国的かつ総合的な学力調査の実施方法

(1)全国的・総合的な学力調査は、児童生徒が学習指導要領に示す目標・内容をどの程度実現しているかを把握し、児童生徒の学習の到達度を明らかにするために行われるものである。このため、知識や技能の到達度を的確に評価するのみならず、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質や能力までを含めた到達度を適切に評価していくことが必要である。また、学力の全体を評価するためには、ペーパーテストだけでなく、調査研究協力校などを設けて調査することが必要である。
 全国的・総合的な学力調査の実施に当たっては、対象学年、対象教科、実施方法、実施規模、調査の頻度などが問題となる。
 調査の頻度については、経年的に児童生徒の学力の実態を把握する必要があることから、継続的・定期的に実施することが必要である。
 また、実施に当たっては、学校や児童生徒の負担が過重にならないようにすることや、学校間の序列化などの問題が生じないようにすることなどに配慮する必要がある。このため、学年や教科を年度ごとに分けて、それぞれについて抽出調査により行うことが適当である。
 さらに、全国的・総合的な学力調査の結果を生かして、各学校において児童生徒の学習の到達度を客観的に把握できるようにするため、調査は一定以上の規模で実施するとともに、調査の問題や結果等を各学校で活用し得るようにすることが必要である。

(2)ペーパーテストによる調査については、知識・理解や技能の評価に偏ることなく、新しい学習指導要領の示す目標を踏まえ、関心・意欲・態度、思考・判断、表現などまでを視野に入れて、調査方法や出題方法について研究することが必要である。その基盤として、教員養成大学・学部等教育研究機関や都道府県等の教育センター・教育研究所などでテスト問題の研究が深められることが期待される。
 同時に、ペーパーテストで測ることのできる学力にはおのずと限界があることから、その結果が児童生徒の学力の全体を評価するものとの誤解を与えることのないよう、関係者の理解を得て実施することが必要である。

(3)また、ペーパーテストでは測りにくい資質・能力や態度などを含めた学力の全体を評価するため、これまでも文部省の「教育課程実施状況調査」で行われているような調査研究協力校などを設けて、定点的・継続的に児童生徒の学習の状況や指導上の問題点等を把握することも必要である。特に、自ら学び自ら考える力や児童生徒の道徳性の育成の状況、「総合的な学習の時間」の成果などについて、調査方法等を含め、検討する必要がある。
 なお、「国際数学・理科教育調査」で行われているような、各教科を好きだと思う気持ちや各教科の学習を続けたいと思う気持ちなど児童生徒の学ぶ意欲等についての自己評価の状況を把握することなどについても、調査方法等を含め、検討する必要がある。

(4)以上のような基本的な考え方を踏まえ、具体的にどのような方法や規模等で調査を実施するかについては、これまでの文部省の「教育課程実施状況調査」や国際教育到達度評価学会の「国際数学・理科教育調査」の実績等も踏まえ、更に専門的に検討することが必要である。

(5)なお、都道府県教育委員会や市町村教育委員会においても、その地域における学力調査の実施、指導主事の学校訪問による状況の把握等、域内の児童生徒の学習状況の把握に努めることが大切である。
 全国的・総合的な学力調査の在り方を検討するに当たっては、こうした都道府県教育委員会等における学力調査との連携・協力も視野に入れて、検討する必要がある。

第4章 教育課程の実施状況等から見た学校の自己点検・自己評価の推進

ア 各学校が、児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価を行い、それに基づき、学校の教育課程や指導計画、指導方法等について絶えず見直しを行い改善を図ることは、学校の責務である。

イ 各学校が行う自己点検・自己評価の内容としては、教育課程の編成状況・実施状況、指導方法や指導体制の工夫改善の状況、児童生徒の学習状況等があるが、具体的な項目、方法等は、各学校や設置者が地域や学校の実態に応じて適切に工夫する必要がある。

ウ 各学校における自己点検・自己評価に当たっては、学校評議員制度を活用することなどにより、結果を保護者や地域の人々に説明することが重要である。また、点検・評価の実施に当たっても、保護者や地域の人々の声を参考に進めることが大切である。

エ 今後、各学校における自己点検・自己評価が適切に行われるよう、関係機関において自己点検・自己評価の内容、方法、公表の在り方等についての研究開発を進めることが必要であり、それらに基づく各学校での実践を進めることが期待される。

(1)各学校が、適切な教育課程を編成・実施した上で、児童生徒の学習状況や教育課程の実施状況等について自己点検・自己評価を適切に行い、それに基づき、学校の教育課程や指導計画、指導方法等について、絶えず見直しを行い改善を図ることは、学校の責務であり、極めて重要な課題である。各学校が自己点検・自己評価を行うことは、学校の自主性・自律性の確立と学校の経営責任の明確化にも資するものである。
 各学校が、児童生徒の学習状況についての学校全体の状況を自己点検・自己評価することは、各学校の行った目標に準拠した評価の結果を点検・評価することになり、それを通じて各学校は、目標に準拠した評価の客観性や信頼性を高めることが必要である。

(2)各学校における教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価は、各学校の教育目標等に照らし、校長の責任の下に行うものであるが、具体的にどのような項目をどのような方法で評価するかについては、それ自体が各学校の特色になるとも考えられ、各学校や設置者が地域や学校の実態に応じて適切に工夫する必要がある。
 小、中、高等学校においては、1.各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間それぞれについての指導目標、指導計画、授業時数、評価の規準など具体的な教育課程の編成状況、2.各教科等の授業時数や指導内容の実績など事実としての教育課程の実施状況、3.個別指導やグループ別指導、ティームティーチングなどの個に応じた指導や、体験的な学習、問題解決的な学習、選択学習への取組状況など指導方法や指導体制の工夫改善の状況、4.年度当初の指導目標の実現状況、児童生徒の基礎・基本の習得状況など児童生徒の学習状況、5.目標に準拠した評価の結果の状況や全国的な学力調査の結果との比較など学校全体としての児童生徒の学習状況、などを自己点検・自己評価することが考えられる。その際、小・中学校の特殊学級において特別の教育課程による場合には、盲・聾・養護学校の自己点検・自己評価の観点や方法も参考にして、適切なものとなるよう工夫することが大切である。

(3)幼稚園においては、1.幼児の生活や発達に即してどのようなねらいを持ち、どのような指導計画を作成しているかなど、具体的な教育課程の編成状況、2.どのような点に園としての重点を置いたり特色を生かしたりして指導したかなど、事実としての教育課程の実施状況、3.ティーム保育など園全体の協力体制による指導をどの程度取り入れているかなど、指導方法や指導体制の工夫改善の状況、4.年度当初に立てられた指導目標がどの程度実現されたか、「生きる力」の基礎となる心情、意欲、態度はどのように育ったのかなどの状況、などを自己点検・自己評価することが考えられる。

(4)盲・聾・養護学校においては、小、中、高等学校及び幼稚園同様、教育課程の編成や実施の状況、指導方法や指導体制の工夫改善の状況、児童生徒の学習の状況などを自己点検・自己評価することが考えられる。
 盲・聾・養護学校の新しい学習指導要領では、自立活動や重複障害の児童生徒の指導に当たって個別の指導計画を作成することとしている。また、盲・聾・養護学校については、教育課程編成等の特例により障害の状態等に応じて弾力的な教育課程の編成や学習指導の工夫ができるようになっている。盲・聾・養護学校にあっては、これらのことも踏まえ、幼稚部から高等部までを通じ、幼児児童生徒一人一人の障害の状態等を的確に把握し、それに応じた教育活動を適切に計画、実施することができたかといった観点に十分留意して、自己点検・自己評価を行うことが重要である。

(5)各学校において教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価を進めるに当たっては、学校を地域に開かれたものとし、家庭や地域社会との連携を深めるという視点が重要である。新しい学習指導要領等では、「総合的な学習の時間」が創設されるなど特色ある学校づくりが求められており、教育活動の計画や実施の場面において保護者や地域の人々の協力を得ることや、学校の特色を保護者や地域の人々に説明するなど、開かれた学校づくりを一層進める必要がある。
 このような観点から、自己点検・自己評価の実施に当たっては、学校評議員制度を活用することなどにより、保護者や地域の人々の声を参考にして進めるとともに、その結果を、保護者や地域の人々に説明し、意見を聞き、その後の教育課程の編成や指導の改善に反映させ、保護者や地域の人々の協力を得て教育活動を展開していくことが、必要である。
 なお、自己点検・自己評価の公表については、地域や学校の実情に応じて、各教育委員会等においてその在り方を検討することが望ましい。また、公表に当たっては、序列化などの問題が生じないよう、十分留意する必要がある。 

(6)今後、各学校における自己点検・自己評価が適切に行われるよう、関係機関において、教育課程の実施状況等の自己点検・自己評価の内容、方法、公表の在り方等について研究開発し、各学校において活用できるようにすることが必要である。その際、国立教育政策研究所、国立特殊教育総合研究所、都道府県や市町村の教育センター・教育研究所等、教員養成大学・学部等教育研究機関の果たす役割が期待される。
 また、それらに基づき、各学校での実践を進めることが期待される。既に教育委員会によっては、学校運営の自己点検・自己評価のための項目等を定め、各学校に示している例も見られる。都道府県教育委員会や市町村教育委員会によるガイドラインづくりなどの支援策が講じられることも有効であり、また各学校が自己点検・自己評価した結果を、都道府県教育委員会や市町村教育委員会が把握し今後の指導に生かすとともに、それぞれの地域における学校教育の改善充実に生かしていくことが重要である。
 国においては、評価項目、評価方法等についての研究開発に対し、支援策を講じていくことが必要である。

お問合せ先

初等中等教育局小学校課

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