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初等中等教育局長諮問理由説明 (教育課程審議会(諮問))

平成9年11月1日
初等中等教育局小学校課教育課程企画室

初等中等教育局長補足説明

平成8年8月27日

 ただいま、大臣から諮問に対する基本的な考え方を御説明申し上げましたが、その趣旨をさらに補足して、具体的に御検討いただきたい課題等について御説明申し上げます。
 まず、諮問事項の検討全体を通して御配慮いただきたいことを2つほど申し上げたいと存じます。

 御承知のように、文部省においては、本審議会から、昭和62年に「幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善について」、昭和63年に「盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」それぞれ答申をいただき、それらに基づき各学校種別ごとの教育要領及び学習指導要領の改訂を行いました。現行の教育課程は、幼稚園及び特殊教育諸学校の幼稚部について平成2年度から実施したのを始めとして、その後、平成4年度から、小学校、中学校、高等学校と順次実施してまいりました。
 文部省では、これらの教育課程の実施状況や実施上の問題点について、各種の調査を行ったり、教育課程研究指定校等を設けたりしてその把握に努めてきております。諮問事項の検討に当たっては、これらの成果を参考にしていただきたいと存じます。このことが第1点であります。

 第2点は、第15期中央教育審議会の第1次答申の趣旨を踏まえた検討をお願いしたいということでございます。同答申は、これからの学校教育においては、これまでの知識の習得に偏りがちであった教育から、自ら学び、自ら考える力などの「生きる力」を育成する教育へとその基調を転換し、ゆとりのある教育環境の中で、生き生きとした教育活動を展開する必要があるとしております。このような基本的な考え方の下に、これまで段階的に実施してきた学校週5日制については、学校・家庭・地域社会が相互に連携しつつ、子供たちに「生きる力」をはぐくむという観点から、21世紀初頭を目途に完全実施を目指すべきであるとされております。諮問事項の検討に当たっては、このような答申の趣旨を踏まえて御検討いただきたいと存じます。

 次に検討に当たっての5つの観点について御説明申し上げます。
 まず、第一は、自ら学び、自ら考える力などをはぐくみ、創造性を育てることについてであります。
 現行の学習指導要領においても、自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などを重視する学力観に立った教育を推進してきておりますが、これからの社会が更に変化の激しい社会であると予想される中にあって、こうした教育は今後一層充実・発展させる必要があると考えます。すなわち、これからの教育においては、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力などの「生きる力」の育成を図ることや創造性を積極的に伸ばしていくことが一層強く求められております。また、自ら学ぶ意欲を高めたり、学習の仕方をこそしっかりと身に付け

るようにするための問題解決的な学習や体験的な学習の充実を図ることも求められていると考えます。そこで、このような点に配慮した教育内容の在り方について御検討をお願いしたいと存じます。同時に、このような教育にふさわしい学力の評価の在り方についても御検討をお願いしたいと存じます。

 第二は、一人一人の個性を生かし、豊かな人間性を育てることについてであります。
 これからの初等中等教育においては、幼児児童生徒一人一人の個性を生かし、基礎・基本の徹底を図るとともに、能力・適性等に応じた教育を一層充実する必要があると考えます。特に、中学校については各教科等の選択幅の一層の拡大を図ることが課題となっており、また、高等学校については、生徒の多様化に対応した高等学校教育の在り方、生徒による選択の一層の拡大、学校外における学習の積極的な評価などが課題となっております。さらに、各学校段階を通じて、個に応じた指導の充実、特色ある学校づくりを一層推進する観点から、教育課程の基準の一層の弾力化を図ること、各教科等間の関連を図った横断的・総合的な学習を推進することも課題となっております。そこで、このような点についても配慮した御検討をお願いしたいと存じます。
 また、幼児児童生徒に豊かな人間性とたくましい体を育てるためには、自然や社会、他者と積極的にかかわったり、優れた文化に触れたりする中で、正義を愛し、他人を思いやる心、望ましい社会性や倫理観などを培い、人間としての生き方や在り方を考えさせるとともに、ボランティア活動や自然体験などの体験活動や心身の健康増進活動、スポーツ活動などの実践を促すことが大切であります。家庭や地域社会における教育との関連を考慮しつつ、これらの指導の在り方に関し、道徳教育をはじめ学校の教育活動全体を通じた改善方策について御検討をお願いしたいと存じます。

 第三は、基礎・基本の指導の徹底を図ることについてであります。
 教育内容については、これまでの改訂においても幼児児童生徒の心身の発達段階や学習負担などを考慮して精選に努めてきたところでありますが、「生きる力」をはぐくむためには、ゆとりのある教育課程を編成することが不可欠であります。そのためには、基礎・基本を重視し、教育内容について更に徹底した厳選を行うとともに、その指導の徹底を図ることが必要であると考えます。なお、その際、完全学校週5日制の円滑な実施のためには授業時数の縮減をも図る必要があると考えているところでありますし、また、単なる知識の伝達や暗記に陥りがちな内容、各学校段階間又は各学年間、各教科間で重複する内容、学校外活動や将来の社会生活で身に付けることが適当な内容の精選など、第15期中央教育審議会の第1次答申が示している教育内容の厳選の視点を踏まえた検討も必要と考えております。

 第四は、社会の変化に適切に対応することについてであります。
 我が国は、国際化、情報化、科学技術の発展、環境問題への関心の高まり、高齢化・少子化等の社会の様々な面での変化が急速に進んでおりますが、このような変化は、今後、更に進展していくものと予想されております。このような社会の変化を見通すとき、これからの社会においては、異文化に対する理解を深め、異文化の人々と共に生きていくこと、情報や情報機器を主体的に選択・活用し、情報を発信していくこと、豊かな科学的素養を身に付けること、環境問題への認識を深めその保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動すること、高齢化や少子化が進む中で豊かな人間関係を築くことなどはますます重要な課題となっていくものと考えます。
 このような変化が予想される社会の教育の在り方としては、豊かな人間性や正義感、自国の文化、歴史や伝統など時代を超えて変わらない価値のあるものを大切にしつつ、同時に、社会の変化により生ずる新たな要請に柔軟に対応していくことが重要であると考えます。幼児児童生徒の発達段階をも考慮しつつ、全体として教育内容の厳選の方針の下で、このような新たな社会的要請に対応する教育内容の在り方について御検討をお願いしたいと存じます。

 第五は、各学校段階を通じて調和と統一を図ることについてであります。
 初等中等教育の教育内容は、幼児児童生徒の心身の発達に応じてそれぞれの学校段階の相互の間に緊密な関連をもち、全体として調和のとれたものでなければなりません。
 この点については、前回、中学校教育については中等教育の前期としてとらえる考え方に留意して改訂したところでありますが、高等学校教育の著しい普及の状況等を踏まえ、幼稚園段階から高等学校段階までの教育内容の一貫性を図るという観点に立って、その在り方について改めて検討する必要があると考えます。特に、今回は、教育内容の厳選が大きな課題となっておりますので、この観点からも教育内容の一貫性について配慮した御検討をお願いしたいと存じます。
 また、特殊教育諸学校に関しても、幼稚部から高等部までの一貫した教育内容について、障害のある幼児児童生徒の社会参加・自立を一層推進する観点から、御検討をお願いしたいと存じます。

 以上、諮問事項に関連して、文部省としてただいま考えておりますいくつかの具体的な事項について申し上げましたが、御検討に当たっては、学習指導上大きな役割を担っている教科書やその他の教材との関連、一人一人の個に応じた指導、ティーム・ティーチングなど指導方法や指導体制との関連、学校と家庭や地域社会との連携の在り方その他、種々の学習条件との関連についても御留意をお願いしたいと存じます。
 なお、このほかにも取り上げる必要があると考えられる事項につきましては、適時取り上げて御検討いただきたいと存じます。
 以上をもちまして、私の補足説明を終わります。

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初等中等教育局小学校課教育課程企画室

(初等中等教育局小学校課教育課程企画室)

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