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教育課程の基準の改善の基本方向(中間まとめ)の概要

平成9年11月1日
初等中等教育局小学校課教育課程企画室

はじめに

 教育課程審議会は、平成8年8月、文部大臣から「幼稚園、小学校、中学校、高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について」諮問を受け、初等中等教育の教育課程の全体を通じた改善の基本的な方向について総括的な検討を行ってきた。

 今後、初等教育、中学校教育、高等学校教育及び特殊教育の各分科審議会等を設けて各学校段階ごとの具体的な検討を行うこととしているが、その指針となるものとして、これまでの検討の結果についての中間的なとりまとめを行った。

1 教育課程の基準の改善の基本的考え方

(1)教育課程の基準の改善に当たっての基本的考え方

(子どもたちの成長への願いと学校への期待)

 教育は、子どもたちが、幼児期から思春期を経て、自我を形成し、自らの個性を伸長・開花させながら発達を遂げていく過程を扶ける営みである。その営みは学校のみが担うものではなく、学校、家庭、地域社会が連携を図り、それぞれの教育機能を十分発揮してはじめて子どもたちのよりよい発達が促される。子どもたちの生活の在り方や学習の環境を変え、学校、家庭及び地域社会の役割を見直し、学校では学ぶことの動機付けや学び方の育成を重視し、家庭や地域社会で担うべきものや担った方がより効果が得られるものについては家庭や地域社会において担うなどして、よりバランスのとれた教育が行われることが必要である。
 学校は、子どもたちにとって伸び伸びと過ごせる楽しい場でなければならない。また、学校では、教科の授業だけでなく、学校でのすべての生活を通して、子どもたちが友達や教師と共に学び合い活動する中で、存在感や自己実現の喜びを味わうことができるようにすることが必要である。
 教育課程審議会においては、このような子どもの成長への願いと学校への期待をもちながら、次のような基本的な考え方に立って検討した。

ア 各学校段階の役割の基本

 各学校段階の役割の基本については、次のように考えた。
 幼稚園においては、幼児の欲求や自発性、好奇心を重視した遊びや体験を通した総合的な指導を行うことを基本とし、人間形成の基礎となる豊かな心情や想像力、ものごとに自分からかかわろうとする意欲、健全な生活を営むために必要な態度の基礎を培う。
 小学校においては、個人として、また、国家・社会の一員として社会生活を営む上で必要とされる知識・技能・態度の基礎を身に付け、豊かな人間性を育成するとともに、様々な対象とのかかわりを通じて自分のよさ・個性を発見する素地を養い、自立心を培う。
 中学校においては、個人として、また、国家・社会の一員として社会生活を営む上で必要とされる知識・技能・態度を確実に身に付け、豊かな人間性を育成するとともに、自分の個性の発見・伸長を図り、自立心を更に育成していく。
 高等学校においては、自らの在り方生き方を考えさせ、将来の進路を選択する能力や態度を育成するとともに、社会についての認識を深め、興味・関心等に応じ将来の学問や職業の専門分野の基礎・基本の学習によって、個性の一層の伸長と自立を図る。
 盲学校、聾学校及び養護学校においては、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校に準ずる教育を行うとともに、障害の状態を改善・克服するために必要な知識や技能等を養い、個性を最大限に伸長し、社会参加・自立に必要な資質や能力の育成を図る。

イ 子どもの現状、教育課程実施の現状と教育課題

 現行の教育課程の下における我が国の子どもたちの学習状況は全体としてはおおむね良好であるが、一方、教育内容を十分に理解できない子どもたちが少なくないこと、自ら調べ判断し、自分なりの考えをもちそれを表現する力が十分育っていないこと、多角的なものの見方や考え方が十分ではないことなどの問題点も見られる。

ウ 「時代を超えて変わらない価値あるもの」を身に付ける

 教育においては、どんなに社会が変化しようとも「時代を超えて変わらない価値あるもの」を子どもたちがしっかりと身に付ける必要がある。

エ 社会の変化に柔軟に対応し得る人間の育成

 教育においては、社会の変化を見通しつつ、これに柔軟に対応し得る人間の育成を期する必要がある。

オ 完全学校週5日制下の教育内容の在り方

 完全学校週5日制の導入を契機に、教育は学校教育のみで完結するものではないこと、学校教育では生涯学習の基礎となる力を育成することが重要であるとの観点に立った教育活動が展開されることが大切である。

カ 教育内容の厳選と基礎・基本の徹底

 教育内容の厳選をその後の学習や生活に必要な最小限の基礎的・基本的内容に徹底的に厳選する一方、その厳選された基礎的・基本的内容については、繰り返し粘り強く学習させるなどして、確実に習得させるようにする。

キ 学習の指導と評価の在り方

 学力については、これを単なる知識の量と捉えるのではなく、自ら学び自ら考える力などの[生きる力]を身に付けているかどうかによって捉えるべきである。各教科の学習の評価の在り方についても、学校・学年段階、教科の特性等を考慮しつつ改善を図る必要がある。

(2)教育課程の基準の改善のねらい

1)豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること

 相手を思いやる心、互いを認め合い共に生きていく態度、自他の生命や人権を尊重する心、美しいものに感動する心、ボランティア精神などを育成するとともに、社会生活上のルールや基本的なモラルなどの倫理観の育成を重視し、規範意識や公徳心、正義感や公正さを重んじる心、善悪の判断、強靱な意志と実践力、自己責任の自覚や自律・自制の心などを育て、調和のとれた豊かな人間性や社会性を育成する。また、たくましく生きるための健康や体力の基礎をはぐくむ。
 我が国や郷土の歴史や文化・伝統の理解を深め、これらを愛する心を育成するとともに、広い視野をもって異文化を理解し国際協調の精神を培い、国際社会に生きる日本人としての自覚を育成する。

2)自ら学び、自ら考える力を育成すること

 多くの知識を教え込むことになりがちであった教育の基調を転換し、幼児児童生徒の立場に立って、知的好奇心・探究心をもたせ、自ら学ぶ意欲と主体的に学ぶ力を身に付け、論理的な思考力、判断力、表現力、問題を発見し解決する能力を育成し、創造性の基礎を培い、社会の変化に主体的に対応し行動できる力をはぐくむ。また、知識と生活との結び付きを重視し、体験的な学習、学び方や問題解決能力の育成を重視した学習を推進し、豊かな自己実現を図る。

3)ゆとりのある教育活動を展開する中で、基礎・基本の確実な定着を図り、個性を生かす教育を充実すること

 義務教育で共通に教育すべき内容は、社会生活を営む上で必要な内容を中心に構成し、基礎的・基本的な内容に教育内容を厳選する。時間的・精神的にゆとりある教育活動を展開する中で、厳選された内容の確実な定着を図るとともに、一人一人の個性を生かす教育を充実する。
 そのため、幼児児童生徒の興味・関心等を生かし、主体的な学習の充実を図るとともに、個に応じた指導の一層の工夫改善を図る。また、小学校高学年から、課題選択などを取り入れ、中学校においては、学年段階に応じ漸次選択幅の拡大を図り、高等学校においては、生徒による選択を基本とし、共通に履修させる内容は最小限にとどめる。

4)各学校が創意工夫を生かし特色ある教育を展開すること

 各学校において、地域や学校、幼児児童生徒の実態等に応じて、創意工夫を生かした特色ある教育を展開できるよう、教育課程の基準の大綱化、弾力化を図り、時間割や教育課程を各学校が一層創意工夫を生かして編成できるようにする。また、選択学習の幅を拡大するとともに、「総合的な学習の時間」(仮称)を創設し、各学校の創意工夫を生かした教育活動が一層展開できるようにする。
 学校と家庭・地域社会が十分連携を図るとともに、開かれた学校づくりを推進する。

(3)各学校段階・各教科等を通じる主な課題に関する基本的考え方

ア 道徳教育

 各学校において学校や幼児児童生徒の実態、地域の実情などに応じ、幼児児童生徒の発達段階を踏まえた創意工夫ある指導が重点的に展開されるようにする。また、指導されたことが、日常生活に生かされ実践に結び付くようにするため、体験的・実践的な活動を通した指導を徹底する。特に、ボランティア活動の教育的意義にかんがみその一層の促進を図る。

イ 国際化への対応

 我が国の歴史や文化・伝統に誇りと愛情をもち、理解を深めるとともに、広い視野をもって異文化を理解し、異なる文化や習慣をもった人々と共に生きていくための資質や能力の育成を一層重視する。外国語による基礎的・実践的コミュニケーション能力の育成を一層重視するとともに、中学校において外国語(英語)を必修とする。また、小学校において「総合的な学習の時間」(仮称)などで、外国語に触れ、外国の生活や文化に慣れ親しむなどの体験的な学習活動を行うようにする。

ウ 情報化への対応

 各学校段階を一貫した系統的な情報教育を行うよう、各教科等の学習においてコンピュータ等の積極的な活用を図る。また、小学校において「総合的な学習の時間」(仮称)でコンピュータ等の情報手段を活用した学習活動に取り組むようにするとともに、中学校においてはコンピュータの基礎的な活用技術の習得など情報に関する基礎的内容を必修とし、高等学校においても教科「情報」(仮称)を適切に位置づける。

エ 環境問題への対応

 環境やエネルギーについての理解を深め、環境を大切にする心を育成するとともに、環境の保全やよりよい環境の創造のために主体的に行動する実践的な態度や資質、能力を育成するため、各教科等において、地域の実情を踏まえた環境に関する学習を充実するとともに、問題解決的な学習や体験的な学習を一層重視する。

オ 高齢社会への対応

 高齢社会についての理解を深め、高齢者のために主体的に行動し実践する態度を育成するため、各教科等において、高齢社会に関する基礎的理解や介護・福祉の問題など高齢社会の課題に関する理解を深めるとともに、実際に高齢者などと触れ合う活動や、介護・福祉に関するボランティア活動の体験を重視する。

カ 横断的・総合的な学習など

 学校の創意工夫を生かした特色ある横断的・総合的な学習活動などを一層展開できるようにするため、「総合的な学習の時間」(仮称)を創設する。また、各学校の創意工夫を生かした指導が一層行われるよう、教育課程の基準の一層の大綱化や弾力化を図る。

2 各学校段階等を通じる教育課程の編成及び授業時数等の枠組み

(1)教育課程の領域編成

 小学校、中学校及び高等学校等の教育課程の領域は、現行の各教科、道徳、特別活動に、「総合的な学習の時間」(仮称)を加えて編成することとする。

(2)「総合的な学習の時間」(仮称)

 新たに創設される「総合的な学習の時間」(仮称)は、例えば、国際理解・外国語会話、情報、環境、福祉などについての横断的・総合的な学習などを、地域や学校の実態に応じ、学校の創意工夫を生かして実施する時間とする。
 そのねらい等は、次のとおりである。

ア 自ら課題を見つけ、よりよく課題を解決する資質や能力の育成を重視し、自らの興味・関心に基づき、課題解決や探究活動に主体的に取り組む態度の育成を図ることをねらいとする。また、情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方の習得を重視する。

イ 学習活動としては、自然体験やボランティアなどの社会体験といった実体験、実験・観察、調査、ものづくりや生産活動など体験的な学習、問題解決的な学習を重視する。

ウ 教育課程上の位置づけは、小学校及び中学校においては、教科ではなく教科以外の教育活動として小学校第3学年以上に設定する。高等学校についても必修とするが、その位置づけについては、更に検討する。

エ 授業時数は、小学校及び中学校では、各学年年間70単位時間(週当たりに換算して2単位時間)以上配当する。

(3)授業時数の基本的な考え方等

ア 年間総授業時数については、現行の授業日となっている土曜日分の授業時数である年間70単位時間(週当たりに換算して2単位時間)程度を削減する。

イ 年間授業週数や授業の1単位時間については、各学校の創意工夫を生かした時間割や教育課程が編成できるよう一層の弾力化を図る。

3 各学校段階等ごとの教育課程の編成及び授業時数等

(1)幼稚園の教育課程の編成及び教育時間等

ア 教育内容は現行どおり「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域で編成する。幼児の主体的な活動としての遊びを中心とした生活を通して、一人一人に応じた総合的な指導を行うという幼稚園教育の基本的考え方に立った教育を引き続き充実発展させていく。

イ 地域に開かれた幼稚園づくりや預かり保育など地域の実情や保護者の要請等を踏まえた幼稚園運営の弾力化を推進する。

(2)小学校の各教科の編成及び年間授業時数

ア 教育課程は、現行の各教科、道徳、特別活動に「総合的な学習の時間」(仮称)を加えて編成する。なお、小学校高学年から課題選択などの選択的要素を取り入れ、選択能力の基礎を養う。

イ 小学校の各学年の年間総授業時数は、年間70単位時間(週当たりに換算して2単位時間)削減する。

ウ 各教科等の教育内容を基礎的・基本的な内容に厳選し、確実に身に付けるようにする。

(3)中学校の各教科の編成及び年間授業時数

ア 教育課程は、現行の必修教科、選択教科、道徳、特別活動に「総合的な学習の時間」(仮称)を加えて編成する。外国語又は英語を必修とする。

イ 中学校の各学年の年間総授業時数については、各学年年間70単位時間(週当たりに換算して2単位時間)削減する。

ウ 必修教科については、教育内容を基礎的・基本的な内容に厳選し、授業時数を縮減する。

エ 選択教科に充てる授業時数は学年進行に応じて拡大する。特に、第2学年ではすべての生徒が選択教科を履修できるようにするとともに、第3学年ではより多様な選択教科を履修できるようにする。
 選択教科の種類を拡大し、全学年ですべての教科を開設できるようにする。選択教科の内容については、各学校の主体的判断により、課題学習、補充学習や発展的な学習も含め一層多様な学習活動ができるようにする。また、各選択教科の授業時数の上限の時数を年間70単位時間に拡大する。

オ 必修教科の授業時数の示し方については、下限及び上限の幅をもって示すことは行わず、選択教科や「総合的な学習の時間」(仮称)の授業時数は、各学校において創意工夫を生かした特色ある教育課程の編成が行われるような示し方とする。

(4)高等学校の各教科・科目の編成並びに卒業に必要な各教科・科目の修得総単位数及び必修の各教科・科目の単位数等

ア 高等学校の卒業に必要な修得総単位数及び必修教科・科目の単位数等
  1. 高等学校の卒業に必要な各教科・科目の修得総単位数については、現行の80単位を74〜76単位程度とする。
  2. 必修の各教科・科目の合計単位数については、現行の普通科で最低38単位、専門学科及び総合学科で最低35単位を必要最小限に削減することとする。
  3. 専門教育を主とする学科における専門教育に関する各教科・科目の必修単位数は、現行の30単位を25〜28単位程度とする。
  4. 全日制課程における週当たりの標準授業時数については、現行の32単位時間を30単位時間とする。
イ 高等学校における各教科・科目の編成
  1. 普通科、専門学科及び総合学科を通じて共通の必修教科・科目の在り方
    a 必修教科・科目の設定の具体的な方法としては、現在必修が課されている教科について、国の基準上、履修すべき単位の総数が縮減できるように、各教科において必修となる科目として可能な限り小さい単位数の科目を設定する。その際、選択必修を基本的な方向とする。
    b 普通教育に関する教科として教科「情報」(仮称)を設置する。
    c 総合学科において現在原則履修科目とされている「課題研究」や「産業社会と人間」の普通科及び専門学科における取扱いについて、更に検討する。
  2. 普通教育に関する教科・科目については、学習指導要領に示す以外の教科・科目の一層の設置を促進する。
  3. 職業に関する教科・科目については、教科「福祉」(仮称)、教科「情報」(仮称)を新設する。総合学科の原則履修科目の学習指導要領上の位置づけを明確にする。

(5)盲学校、聾学校及び養護学校の教育課程の編成と年間授業時数等

 幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の教育課程の基準の改善に準じた改善を行うとともに、社会の変化や幼児児童生徒の障害の重度・重複化、多様化の実態等に対応し、社会参加・自立を一層推進する観点から、次のような改善を図る。

  1. 卒業後の職業的な自立を推進するため、盲学校、聾学校及び肢体不自由者又は病弱者を教育する養護学校に、情報に関する学科など社会の変化や多様な進路希望等に対応した学科を設置することについて検討する。また、精神薄弱者を教育する養護学校に、新たな学科として「商業科」(仮称)や「産業科」(仮称)を設置することについて検討する。
  2. 高等部における訪問教育、小学校・中学校における特殊学級及び通級による指導の学習指導要領の位置づけ等について検討する。
  3. 障害のある幼児児童生徒と障害のない幼児児童生徒との交流教育の一層の充実を図る。

4 各教科・科目等の内容

(1)幼稚園

 遊びを中心とした生活を通して、一人一人に応じた総合的な指導を行うという幼稚園教育の基本的考え方は維持しつつ、幼児の主体的活動が十分に確保されるよう教師は幼児理解に基づき、計画的に環境を構成していくことや教師の遊びへのかかわりなどその役割の基本について明らかにするとともに、次のような改善を図る。

  1. 心身の健康を培う活動を積極的に取り入れるとともに、幼児期にふさわしい道徳性を生活の中で身に付けるよう指導を充実すること
  2. 自然体験、社会体験などの直接的、具体的生活体験を重視すること
  3. 幼児期にふさわしい知的発達を促す教育の在り方を明確に示すこと
  4. 自我が芽生え、自己を抑制しようとする気持ちが生まれる幼児期の発達の特性に応じたきめ細かな対応を図ること
  5. 集団とのかかわりの中で幼児の自己実現を図ること
     さらに、家庭や社会のニーズの多様化に対応し、地域に開かれた幼稚園づくりや預かり保育を推進するとともに、幼稚園と保育所の在り方について、両施設の合築等による共用化など運用の弾力化を推進する。

(2)小学校、中学校及び高等学校

1)国語

  1. 文学的な文章の詳細な読解に偏りがちであった指導の在り方を改め、自分の考えをもち、論理的に表現する能力などを育成する指導を充実させ、例えば、スピーチ、討論、報告をまとめることなどの学習活動を重視する。
  2. 漢字の指導については、読みの指導は基本的に現行どおりとし、書きの指導は上学年に移行する。また、小学校の学年別漢字配当表の取扱いの一層の弾力化を図る。
  3. 古典に関する指導については、生涯にわたって古典に親しむ態度の育成を重視し、小学校では文語調の文章に触れ、中学校では文語文法や文学史等の指導に深入りせず、古典に親しむことに重点を置き、高等学校では生徒の興味・関心に応じて幅広く古典に接し読解・鑑賞の能力を伸ばすようにする。

2)社会、地理歴史、公民

  1. 網羅的で知識の記憶に偏った学習とならないよう、日本や世界の諸事象を多面的に考察し、公正に判断する能力や態度、我が国の国土や歴史に対する理解と愛情、国際協調の精神など国際社会に生きる日本人としての資質の育成を一層重視する。
  2. 小学校第6学年では、取り上げる歴史的事象を一層精選し、人物の働きや代表的な文化遺産を中心にした歴史学習を徹底する。中学校の歴史的分野では、世界の歴史を背景に我が国の歴史を学習することを徹底するとともに、時代区分を大きくとって我が国の歴史の大きな流れを理解し、歴史についての学び方や調べ方を身に付け、多面的な見方ができるようにする。このような学習を通して文化と伝統を尊重する態度を養い、我が国の歴史に対する理解と愛情を深める。
  3. 中学校の地理的分野や公民的分野では、具体的な事例を通した学習を重視する。
  4. 高等学校の地理歴史科や公民科では、課題を設定し追究する学習を重視する。地理歴史科では、例えば地域の変容や衣食住などについての主題を設定し追究する学習を重視し、歴史的、地理的な見方や考え方を身に付け、多面的に考察する力の育成を一層充実する。

3)算数、数学

  1. 実生活との関連を考慮しつつ、作業的・操作的学習や問題解決的学習を通して、数量や図形に関する基礎的・基本的な知識・技能に習熟させるとともに、数学的に考える力を身に付け、創造性の基礎を培うことを重視する。
  2. 小学校では、基礎的な計算技能などを繰り返し学習し確実に身に付けさせる。また、分数を上学年に移行したり、複雑な図形の内容などを軽減するなどして内容を精選する。中学校では、数量や図形などに関する基礎的な知識を確実に身に付け、問題解決的な学習活動を進める。また、複雑な計算などを軽減し基礎的・基本的事項に重点化する。
  3. 高等学校では、数学史的な話題や日常の事象についての統計的な処理などの内容を取り入れた新たな科目を設け、必修科目として選択的に履修できるようにする。

4)理科

  1. 自然体験や日常生活との関連を図り、児童生徒が観察・実験に取り組み、自然に対する知的好奇心や探究心を高め、問題解決能力や総合的なものの見方を一層培い、創造性の基礎を育てることを重視する。
  2. 児童生徒にとって高度な内容の精選又は上学年への移行を行い、小学校では、身近な自然について生活経験と関連付けた学習を重視するとともに、中学校では、学年段階に応じて内容の重点化を図りつつ、野外観察や探究活動、課題研究を取り入れ、自ら問題を見出し、解決していく力の育成を充実する。
  3. 高等学校では、科学の歴史や科学と人間生活とのかかわりなどを学ばせ科学的素養を育成する新たな科目を設け、必修科目として選択的に履修できるようにする。

5)生活

  1. 児童が身近な社会や自然、人と直接かかわることのできる活動や体験を一層重視するとともに、創意工夫ある活動が一層展開できるよう内容を2学年まとめて示す。

6)音楽、芸術(音楽)

  1. 児童生徒が楽しく音楽にかかわり、音楽活動の喜びを得、生涯にわたって音楽に親しむ態度を育成することを重視する。
  2. 内容を選択して学習できるようにしたり、内容を複数学年まとめて示したりして、地域や学校、児童生徒の実態に応じた弾力的な指導が一層できるようにする。
  3. 我が国や諸外国の音楽文化についての理解を一層深めるようにする。

7)図画工作、美術、芸術(美術、工芸)

  1. 児童生徒が生涯にわたり美術や工芸に親しみ、楽しく造形的な創造活動にかかわることを重視し、その基礎となる資質・能力を育てるため、感覚・感性や想像力、技能を十分働かせ、個性を生かした多様で創造的な造形活動ができるようにする。
  2. 内容を選択して学習できるようにしたり、内容を複数学年まとめて示したりして、地域や学校、児童生徒の実態に応じた弾力的な指導が一層できるようにする。
  3. 中学校や高等学校では、我が国やアジアなどの美術の特質や作品の味わい方を深めるなどの鑑賞活動を重視する。

8)芸術(書道)

  1. 生涯にわたり書を愛好することを重視し、表現と鑑賞が調和的に行われるようにするとともに、書体など表現を選択して学習できるようにする。

9)家庭、技術・家庭

  1. 生活と技術とのかかわり、家庭生活や家族関係、子育ての意義などを理解させるとともに、基礎的・基本的な知識・技術を確実に身に付けさせ、男女が協力して家庭生活をよりよくしようとする意欲と実践的な態度を育てることを重視する。
  2. 小学校では、内容を2学年まとめて示し、学校や児童の実態に応じた弾力的な指導ができるようにする。また、中学校では、現行の「木材加工」「電気」「金属加工」「機械」「栽培」「情報基礎」「家庭生活」「食物」「被服」「住居」「保育」の11領域構成を見直し、「木材加工」と「金属加工」、「家庭生活」と「保育」を統合するとともに、「情報基礎」をすべての生徒に履修させる領域とする。

10)体育、保健体育

  1. 生涯にわたって運動に親しむとともに、健康な生活を送る能力や態度を育成することを重視し、体育の分野については、発達段階に応じた体力の向上や運動の選択の幅の拡大を図り、保健の分野については、近年の生活行動や疾病構造等の変化に伴う心の健康、薬物乱用、生活習慣病、防災や性など新たな課題についての指導に重点を置く。
  2. 体育については、小学校では運動種目を選択するなど運動の取り上げ方の改善を図り、中学校及び高等学校では運動領域・種目を選択して学習することを一層拡大する。また、保健については、他教科との関連を考慮して精選を図る。
  3. 小学校の体育における保健については、中学年においても指導できるようにし、薬物乱用防止などについて取り扱う。

11)外国語

  1. 外国語の教育課程上の位置付けを、中学校においては必修教科とする。その際、外国語を必修とするか、英語を必修とするかは更に検討する。また、高等学校については、更に検討する。
  2. 聞く話す教育を重視し、言語の現実的な使用を念頭においた実践的コミュニケーション能力の育成を目指した指導に一層の重点を置く。
  3. 中学校においては、「電話での応答」「買い物」など具体的な言語の使用場面やはたらきを考慮した言語活動を中心とし、文型、文法事項及び語彙などは、このような言語活動に必要な基本的なものに精選する。

12)職業に関する各教科・科目

  1. 社会の変化や産業の動向等に適切に対応し、将来のスペシャリストとして必要な専門性の基礎的・基本的な知識と技術を確実に習得させるよう内容を精選するとともに、実験・実習等の実際的、体験的な学習の充実を図る。
  2. 高齢化の進展等に伴い、介護福祉士などの福祉に関する人材の養成の必要性に対応するため、教科「福祉」(仮称)を新設する。また、高度情報通信社会における情報関連の人材の養成の必要性に対応するため、教科「情報」(仮称)を新設する。

13)道徳教育

  1. 子どもたちの道徳性に関して、社会生活上のルールの習得や基本的なモラルなどの倫理観が低下している等の指摘がなされている状況を踏まえ、例えば小学校低学年では学校生活への適応や基本的な生活習慣、中学年では自主性をはぐくむ中での節度ある生活態度、高学年では集団や社会の一員としての役割の自覚と責任、中学校では中学生としての規律ある生活態度の確立、国民としての自覚と国際協調の精神、高等学校では社会人として自立し責任をもって生きていこうとする態度、国際社会に主体的に貢献しようとする意欲など、児童生徒の発達段階を踏まえた指導の充実を図る。
  2. 小学校及び中学校における道徳の時間については、各学校において、学校や児童生徒、地域等の実態や課題に応じて時間配当の一層の重点化を図るようにする。また、実際の観察や調査、実物に触れる、ボランティア、劇化といった体験的な活動などを積極的に取り入れるとともに、学級や学校生活における具体的事柄等を積極的に取り上げ、指導の内面化、道徳的実践力の充実を期する。
  3. 高等学校においては、特に人間としての在り方生き方教育の視点から、自らの義務と責任を果たそうとする態度やボランティア精神、民主社会の一員としての倫理観が一層育成されるよう、公民科やホームルーム活動などの改善を図る。

14)特別活動

 特別活動は、学級(ホームルーム)活動、児童(生徒)会活動、クラブ活動及び学校行事で構成されているが、次のような改善を図る。

  1. 好ましい人間関係の醸成や豊かな体験的な活動の充実、基本的モラルや社会生活上のルールの習得、集団の一員としてよりよい生活を築こうとする自主的、実践的な態度の育成などを重視する。
  2. 学級(ホームルーム)活動については、中学校、高等学校では、人間としての在り方生き方の指導の一層の充実を図るため、体験的、実践的な活動を重視する。
  3. 学校行事については、自然体験、異年齢集団の活動や高齢者との触れ合い、ボランティア活動等体験的な活動を重視するとともに、行事間の関連を図った活動の推進、練習や準備の見直しを行う。
  4. クラブ活動については、部活動や学校外活動との関連や、創設される「総合的な学習の時間」(仮称)との関連を考慮して、小学校においては、学校において適切な授業時数を配当できるようにし、中学校及び高等学校においては、廃止する。

(3)盲学校、聾学校及び養護学校

  1. 養護・訓練については,一人一人の幼児児童生徒の実態に対応した活動であることや、自立を目指した主体的な活動であることを一層明確にする観点から、目標及び名称について見直すなどの改善を図る。
  2. 精神薄弱者を教育する養護学校の各教科については、高等部の選択教科として外国語(英語)科やサービス産業に関する教科を新設することなどを検討する。
  3. 早期からの教育的対応を一層重視する観点から、3歳未満の乳幼児を含む教育相談に関する事項を幼稚部教育要領に位置づけることなどについて検討する。

5 教育課程の基準の改善の関連事項

(1)教科書及び補助教材

  • 教科書については、教育内容の厳選、学び方や問題解決能力の育成の重視など、教育課程の基準の改善の趣旨が適切に反映された教科書が作成されることが大切である。
  • 道徳教育においては、単に読み物資料だけでなく、道徳的価値や人間の生き方などについて多様な学習活動が展開できるような教材の開発や活用を図る。

(2)指導方法

  • 児童生徒一人一人の興味・関心を生かした指導や、学習内容の理解や習熟の程度に応じ、個に応じた指導の工夫改善を一層進める。
  • 異なる教科間の教師の協力も含め、ティーム・ティーチングなど協力的な指導を一層進めるとともに、特別非常勤講師の制度等を積極的に活用するようにする。
  • コンピュータ等の教育機器や情報通信ネットワーク、学校図書館における情報機器や図書、視聴覚資料、学校外の教育施設・設備などの一層の整備充実と活用を図る。

(3)学習の評価

  • 児童生徒の学習の評価については、学ぶ意欲や思考力・判断力・表現力などの資質や能力の育成に資するよう、評価方法の一層の工夫改善を進め、指導要録においては、学校段階・学年段階、教科の特性などに応じた評価方法を取り入れる。

(4)上級学校の入学者選抜

  • 入学者選抜については、教育内容の厳選、学び方や問題解決能力の育成の重視などの方向を尊重し、単なる断片的な知識の量を競うのでなく、学び方や考え方、自らの考えを表出する力を問うような多様な工夫をする。外国語については、聞き取り試験を一層取り入れる。
  • 選択学習の幅の拡大の方向を尊重し、選抜方法の多様化や評価尺度の多元化を一層進める。中学校の選択教科については高等学校入学者選抜の学力検査で評価の対象としない。

(5)教員

  • 自ら学び自ら考える力の育成の重視、教育内容の厳選、創意工夫を生かした教育活動の充実などを進めるに当たっては、教員の意識改革が必要であり、養成・採用・研修の充実を図る。
  • 教育課程の基準の改善の趣旨の実現のためには、指導体制の充実が大切であり、教職員の配置について考慮する必要がある。特に、選択履修の幅の拡大に伴い、その趣旨を十分に生かせるよう教職員の配置の在り方を検討する必要がある。

(6)家庭及び地域社会における教育との連携

  • 学校は、開かれた学校づくりを一層進めるため、休業日を含め学校施設の開放や、地域の人々や幼児児童生徒向けの学習機会の提供を積極的に進める。
  • 学校は、学校教育の状況等を家庭や地域社会に知らせ、学校の取り組みについて理解を求める必要がある。また、家庭や地域の人々の積極的な協力を得るとともに、地域の施設や環境などを学校の教育活動に積極的に生かすようにする。
  • 家庭や地域社会においては、幼児児童生徒が様々な生活体験、ボランティアなどの社会体験や自然体験、文化・スポーツ活動などを行えるよう、夏休みなどの長期休業期間などを含め、多様な場や機会を充実する。

(7)学校運営

  • 教育課程、行事や会議などについて、その在り方を常に見直し、家庭や地域社会で担うべきものや担った方がよいものは家庭や地域社会が担うよう促していく。
  • 学校の中には教育課程の基準を逸脱した現状も一部に見られる。今回の改訂を機に、教育課程の基準の改善の趣旨を十分理解するよう要請する。
  • 教育委員会は、教育課程の基準の弾力化の趣旨を踏まえ、各学校において創意工夫を生かした教育課程の編成が可能となるよう、柔軟に支援を行う。また、地域コミュニティー育成の観点から、教育委員会の機能の充実を図る。

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初等中等教育局小学校課教育課程企画室

(初等中等教育局小学校課教育課程企画室)

-- 登録:平成21年以前 --