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3 関連施策の推進

 教員の流動性を高めるためにどのような方法を採用するかは、各大学がその理念・目的等との関係において自主的に判断すべきことであり、任期制もそのための一方策である。教員の流動性向上のための取組については、各大学における多様な工夫や努力が必要であると同時に、国においても、その阻害要因を取り除き、任期制をはじめとする各種の取組が真に大学における教育研究の活性化に生かされるよう、積極的に支援していくことが肝要である。このため、当面、以下のような方策を推進していくことが求められる。

(1)教育研究環境の整備充実

a.教員が大学等の間を異動する場合、同一専門分野であっても研究テーマなどが異なるために、異動先の大学において自分に適した教育研究環境(文献や施設・設備等)が整備されるまでに時間がかかるなどのため、異動後の教育研究を円滑に進める上で配慮を要することがある。また、民間の研究機関等の学外から優秀な人材を採用する場合には、研究費を含む教育研究環境の整備について特に配慮することが必要である。
 欧米等の大学においては、他大学等から教員を採用するに当たって、当該教員が異動後速やかに快適な環境の下で教育研究に従事できるように、特別な資金を用意して、必要に応じて研究設備の整備や研究費の提供等を行っている場合がある。
 任期制が導入されれば、現在以上に、教員が大学や民間の研究機関等の間を異動する機会が増加することが予想されるが、我が国においても、任期制による場合に限らず、教員の異動を円滑化するために、民間の研究機関等から教員を採用する場合に教育研究環境を整備するための資金を提供できるよう、必要な措置を講じるべきである。また、こうした措置によって各大学の教育研究基盤が充実されることは、我が国全体の教育研究の活性化を促進する上で重要である。

b.大学院における教育や研究指導については、研究テーマの設定や論文作成が、特定の指導教官との密接な関係の下で行われる傾向がある。その場合には、教育、研究指導に係る学生の学習の継続性に配慮して、教員が事実上異動しにくいことがあると言われている。
 このため、本年10月の「大学院の教育研究の質的向上に関する審議のまとめ」の報告においても提言しているように、各大学において、複数指導教員制の採用など指導方法の改善を図るとともに、単位互換や研究指導委託の制度の活用等を図り、教員の異動による大学院教育への影響を少なくすることが大切である。

(2)教員採用に関する情報提供の充実等

 大学教員の採用については、形式的には公募制がとられていても、その情報の流通が十分でないために、結果として閉鎖的な人事が行われている場合もあると言われている。こうした問題を解消するためには、教員採用に関する情報を各大学が積極的に発信することが重要である。その意味において、近年、学会誌など従来の方法だけではなく、インターネットを活用した教員募集を試みる大学が出てきていることは、有意義である。
 公募制を実質的に推進していくためには、こうした各大学の積極的な取組を促す一方で、組織的に情報を収集・提供していくことが重要である。また、任期制の導入に当たり、任期の満了する教員が異動先を確保する上でも、教員採用情報の流通を促進することが必要である。このため、「教員採用の改善について」の答申で提言したように、学術情報センターにおいて、研究者ディレクトリデータベースの情報検索サービスを引き続き充実するとともに、各大学における教員の採用に関する情報の収集・提供システムを整備することなどにより、教員、研究者に関する情報や、教員採用関連の情報の流通を一層促進していくことが求められる。
 なお、大学教員に占める女性の割合が低い現状を踏まえ、各大学においては、女性の教員への積極的な採用に配慮していく必要がある。

(3)若手教員の発想を生かした教育研究の推進

 若い人材の大学教員としての能力を伸ばすとともに、大学における教育研究の活力を維持していく上で、若手教員が独自の発想に基づいて、教育研究に従事できるようにすることが必要である。
 このため、講座等若手教員が所属する組織においては、これら若手教員が、その柔軟な発想を生かした教育研究を展開できるように、職務分担の見直しを含めて環境を整備することが望まれる。また、国においても、科学研究費補助金をはじめ若手教員が利用できる研究費を充実して、独創的な研究を助長していくことが肝要である。とりわけ、若手教員の任期制が人材の育成という面で重要な役割を果たすことを考えた場合、任期付き教員が意欲的に研究に取り組むことができるよう、必要な研究費を確保することは、極めて重要である。
 なお、助手の職務内容、名称の見直し等を含めた教員組織の在り方については、今後、本審議会として早期に検討を行う必要があると考える。

(4)教員の処遇の改善

 国公立大学については、私立大学や民間の研究機関等から優れた人材を採用する際の給与が、前職で得ていた給与を下回ることとなる場合があることなどが指摘されている。近年、優れた人材を確保し、研究活動の活性化を図るために、その業績等に応じた処遇に向けての措置が進められつつあるが、業績評価の基準・方法等を工夫しつつ、引き続き適切な給与上の取扱いが図られることが重要である。
 また、任期制が制度として導入された場合、優れた人材を確保する上で、教育研究環境の充実だけでなく、給与面においても何らかのインセンティブを工夫することが望ましい。その際、別途任期制の導入が予定されている国立試験研究機関等における任期付き研究公務員に対する給与上の措置とのバランスにも配慮して検討する必要がある。

(5)産官学の交流の促進

 大学教員が、国立試験研究機関や民間等において研究、指導等に従事することは、異なる経験・発想を有する者との交流や多様な経験を積む機会の増加につながることから、大学における教育研究を活性化させる上で有意義である。
 この意味で、科学技術基本計画において、(a)国立大学と民間との共同研究を積極的に進めることとし、民間研究施設等でも共同研究に従事できる場合を拡大するなど、共同研究に係る規程等を見直すこと、(b)国立大学の教員が研究休職により民間において国との共同研究等に参画する場合の休職期間の退職手当算定上の取扱いを検討すること、また、(c)国の研究者の勤務時間外の民間等での研究、指導等への従事に係る兼業の許可について、円滑な運用に努めるものとし、そのため、各省庁において、その必要に応じ、当該国の研究者と兼業先との間に特別の利害関係又はその発生のおそれがなく、かつ、職務の遂行に支障がない場合には、原則として許可できることを明確化するなどの措置を講じること、等が盛り込まれたことは望ましい方向である。
 これらの諸点については、科学技術の振興とともに大学における各分野の教育研究の活性化にも資することから、適切な対応が図られる必要がある。公私立大学についても、民間等との交流の促進に関連する施策が講じられることが望ましい。

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