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グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について (諮問)

平成11年11月18日
大学審議会

文高企第231号
大学審議会

 次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。

グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について

文部大臣 中曽根 弘文

(理由)

  1. 今日の世界は、情報通信技術の発展、自由貿易体制の拡大などを背景として、社会、経済、文化の地球規模での交流が一般化し、国際的な流動性と相互依存関係が高まるとともに、国際的な競争も激しさを増している。このような中で、我が国の高等教育機関が、国民の生涯にわたるニーズにこたえ、急速な時代の変化に対応し得る創造的な知識・技術を習得するために必要な教育を適時、適切に提供し、また、国際交流の一層の活発化を図ることにより、世界で活躍できる人材を養成することは、知的創造立国を目指す我が国の将来を左右する喫緊の課題であるとともに、国際社会において主要な役割を果たす我が国の重要な使命である。
  2. 本年6月のケルン・サミットのコミュニケ及び特に教育に関して採択されたケルン憲章においても、来るべき新世紀は柔軟性と変化の世紀であり、その中ですべての人々にとって流動性に対応するためのパスポートは教育と生涯学習であるとして、生涯にわたる学習機会の確保と学生、教員等の国際交流の重要性を強調している。このようにグローバル化時代に対応して教育の在り方を見直す必要性については、国際的にも共通の認識となっている。
  3. 我が国の各高等教育機関は、累次にわたる大学審議会の答申などを踏まえ、教育研究の高度化、個性化及び活性化を目指して着実な改革を進めてきており、その改革の方向は上述のような要請に基本的に沿っているものと考えられる。しかし、このような改革もいまだ必ずしも十分な成果をあげるに至っていない状況であり、一方で、学力低下の問題など、大学教育の質について懸念する指摘もある。
  4. このような状況を踏まえ、新世紀を目前に控えた今、グローバル化時代に求められる高等教育の在り方という高い視点に立ち、高等教育制度全体を見据えた上で、特に次のような諸点について検討を行う必要があると考えられる。

(1)国際的通用性・互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりを推進するための方策について

(2)高等教育機関と社会との往復型による生涯学習を推進するための方策について

(3)高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等を推進するための方策について

文部大臣諮問理由説明

平成11年11月18日

  1. 本日は、お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
     また、このたびは、皆様方に第7期大学審議会委員の御就任をお願い申し上げましたところ、快くお引き受けいただき、厚く御礼申し上げます。
     申すまでもなく、大学審議会は、我が国の大学等に関する基本的事項について御審議をいただく重要な審議会であり、昭和62年に臨時教育審議会の提言を受けて発足して以来、これまで25回にわたって貴重な答申・報告を行っており、文部省といたしましても、これらの答申等を踏まえ、この12年間、様々な制度改正や各般の施策に取り組んでまいりました。また、全国の大学等においては、教育研究の高度化、個性化及び活性化を図る観点から、大学等関係者の御努力により、着実な改革が進められてきております。
     しかし、21世紀を目前に控えまして、世界の状況に目を投じますと、情報通信技術の発展、自由貿易体制の拡大などを背景として、社会、経済、文化の地球規模での交流が進むなど国際的な流動性が高まり、あらゆる面で世界の一体化が急速に進んでおります。そして国際的な相互依存関係が増大する中、地球規模での協調と共生の必要性が高まる一方で、国際的な競争が激しさを増し、国際競争力の強化が重要な課題となっております。
     このような状況におきまして、我が国の高等教育機関が、国民の生涯にわたるニーズにこたえ、急速な時代や産業構造の変化に対応し得る創造的な知識・技術を習得するために必要な教育を適時、適切に提供すべく、教育研究の質の高度化や人材養成に対する要請等の多様化に一層適切に対応するとともに、学生、教員等の国際交流の一層の活発化を図ることにより、世界で活躍できる人材を養成することは、国際社会において主要な役割を果たす我が国の重要な使命であります。
     また、皆様も御承知のとおり、本年6月のケルン・サミットにおきまして、サミット史上初めて教育が主要なテーマの一つとして取り上げられました。そのコミュニケ及び特に教育に関して採択されたケルン憲章におきましては、来るべき新世紀は柔軟性と変化の世紀であり、その中ですべての人々にとって流動性に対応するためのパスポートは教育と生涯学習であるとして、生涯にわたる学習機会の確保と学生、教員等の国際交流の重要性が強調されており、グローバル化時代に対応して教育の在り方を見直す必要性については、国際的にも共通の認識となっております。
     我が国の高等教育機関は、各々、これまでの大学審議会の答申などを踏まえ、教育研究の高度化、個性化及び活性化を目指して着実な改革を進めてきており、その改革の方向は、以上申し上げたような要請に基本的に沿っているものと認識しておりますが、このような改革もいまだ必ずしも十分な成果をあげるに至っていない状況であり、一方で、学生の道徳観の低下や学力低下の問題など、大学教育の質について懸念する声も聞かれるところであります。
     このような状況を踏まえ、このたび、グローバル化時代に求められる高等教育の在り方という高い視点に立ち、高等教育制度全体を見据えた上で、所要の改革方策を探るべく、諮問することとした次第であります。
     次に、今後、御審議を進めていただくに当たり、諮問事項に関連し、私の考えておりますところを申し上げ、委員各位の参考に供したいと存じます。
  2. はじめに、国際的通用性・互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりを推進するための方策に関してであります。
     社会、経済、文化の様々な分野におけるグローバル化の進行を背景として、高等教育機関についても、十分な国際的受容性と対応性、さらには高い国際競争力を有するものへと変化していくことが不可欠となっております。そして、それらを基盤として、国際舞台で活躍できる人材を養成し、国際社会に主体的、積極的に貢献することが求められております。
     このように国際的通用性・互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりを推進する観点から、1.教育課程や教授方法、教員組織等の在り方、2.学生、教員等の国際交流の一層の推進方策、3.外国語能力やコミュニケーション能力の充実方策などについて、御検討願います。
     次に、高等教育機関と社会との往復型による生涯学習を推進するための方策に関してであります。
     国際的にも、教育と生涯学習が流動性に対応するためのパスポートと言われる時代になり、個人が生涯の様々な時期に学習し、多様な分野で自己実現を図ることへの欲求や要望が強まっております。また、国内外の産業構造や労働市場の変化を背景として、労働者の職業能力開発やエンプロイアビリティの継続的な向上が求められるようになってきております。
     このような要請にこたえ、高等教育機関と社会との往復型による生涯学習を推進する観点から、1.個人のライフプランに応じた多様な履修形態、2.企業や社会人のニーズに的確にこたえた教育プログラム、3.これらの履修形態や教育プログラムに関する情報提供や相談体制等の整備の在り方などについて、御検討願います。
     さらに、高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等を推進するための方策に関してであります。
     情報通信技術能力は、いわゆる「読み、書き、そろばん」と並んで、グローバル化時代における基本的なリテラシーと位置付けられるに至っており、また、情報通信技術は、世界に開かれた大学づくりと生涯学習の両面において、最も有効な手段を提供するものであります。このため、高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用を図る観点から、1情報通信技術教育の充実方策、情報通信システムの活用による社会人などがアクセスしやすい学習機会の整備、情報通信システムを利用した我が国と海外との間の大学教育の発信・受信及び国内外の相互交流の推進方策などについて、御検討願います。
  3. 以上、今後の御審議に当たり、特に御検討をお願いしたい点について申し上げましたが、これらの点に関連する事項についても、大所高所から忌憚のない御意見をいただきたいと存じております。
     また、私として憂慮していることの一つとして、日本人全体の道徳観の低下の問題があります。現在、私は科学技術庁長官を兼務し、東海村の臨界事故の対応等をしておりますが、これらは結局、教育の問題であるという指摘もあります。一方で、最近、大学生の不祥事が続いていることも大変気になるところであります。道徳観の低下は、もちろん、家庭教育や義務教育段階でのしつけの問題でもありますが、教育の総仕上げ段階である大学教育の問題としても是非御検討いただきたいと思います。
     会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、以上のような趣旨をお酌み取りいただき、十分御審議くださるようお願い申し上げまして、私のあいさつといたします。

「グローバル化時代に求められる高等教育の在り方について」(諮問) -検討事項例-

(1)国際的通用性・互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりを推進するための方策について

1)教育課程や教授方法、教員組織等の在り方

2)学生、教員等の国際交流の一層の推進方策

3)外国語能力やコミュニケーション能力の充実方策

 などについて

(2)高等教育機関と社会との往復型による生涯学習を推進するための方策について

1)個人のライフプランに応じた多様な履修形態

2)企業や社会人のニーズに的確にこたえた教育プログラム

3)これらの履修形態や教育プログラムに関する情報提供や相談体制等の整備の在り方

 などについて

(3)高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等を推進するための方策について

1)情報通信技術教育の充実方策

2)情報通信システムの活用による社会人などがアクセスしやすい学習機会の整備

3)情報通信システムを利用した我が国と海外との間の大学教育の発信・受信及び国内外の相互交流の推進方策

 などについて

お問合せ先

高等教育局企画課

-- 登録:平成21年以前 --