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第3章 高等教育の役割

第1節 高等教育の役割

 高等教育の役割については、以下のように考える。

(1)学部段階の教育

 学部段階においては、初等中等教育における「自ら学び、自ら考える力」の育成を基礎に「課題探求能力の育成」を重視するとともに、専門的素養のある人材として活躍できる基礎的能力等を培うことを基本として、次のように教育内容を再構築する必要がある。

1 社会の高度化・複雑化が進む中で、豊かな教養と高い倫理観をはぐくみ、「主体的に変化に対応し、自ら将来の課題を探求し、その課題に対して幅広い視野から柔軟かつ総合的な判断を下すことのできる力」(課題探求能力)の育成に重点を置いて、教養教育を重視するとともに、教養教育と専門教育の有機的連携を確保する。

2 教養教育の重視に当たっては、「学問のすそ野を広げ、様々な角度から物事を見ることができる能力や、自主的・総合的に考え、的確に判断する能力、豊かな人間性を養い、自分の知識や人生を社会との関係で位置付けることのできる人材を育てる」という教養教育の理念・目的の実現のため、教養教育の在り方について考えていくことが必要である。また、幅広い知識と豊かな人間性をかん養するためには、学生生活全般を通じて学生が学んでいくことが重要である。

3 専門教育については、大学院において継続して専門性の向上が図られるものであり、学部段階においては特定分野の完成教育というよりも、生涯学び続ける基礎を培うより普遍的な教育が求められているという観点から、基礎・基本を重視しつつ、関連諸科学との関係、学問と個人の人生及び社会との関係を教えることなどを通じて、学生が主体的に課題を探求し解決するための基礎となる能力を育成する観点から見直す。

4 高等学校の教育内容が多様化し、大学に入学してくる学生の履修歴の多様化が一層進むことに対応し、それらの学生を受け入れる以上は責任を持ってその能力の伸長を図るという考え方に立って、入学後に大学教育の基礎を教えるなどの工夫を通じて、後期中等教育から高等教育への移行を円滑に進める。

5 外国語教育の充実や海外留学の推進等を進めると同時に、我が国の歴史や文化・芸術への理解、国際社会の当面する課題への認識を深めたり、自らの主張を明確に表現する能力を育成するなど、国際舞台で活躍できる人材の養成を図る。

(2)大学院の教育

 今後、専門性の向上は大学院で行うことを基本として考えていく必要があり、大学院においては、その教育研究水準の向上とあいまって、全体として研究者養成に加え、高度専門職業人の養成をも重視した、多様で活力あるシステムを目指すことが重要である。このような観点から、次のようにそれぞれの課程の目的・役割を明確化していく必要がある。

1 修士課程においては、研究者養成の一段階又は高度専門職業人の養成などその役割の方向性を明らかにし、それに即して、学部教育で培われた能力を基礎として、専門性を一層向上させていくように努める。

 特に、高度専門職業人の養成に特化した実践的な教育を行う大学院の設置を促進するなど、国際的にも社会の各分野において指導的な役割を果たす高度専門職業人の養成を図るための機能を一層強化する必要がある。

2 博士課程においては、基礎的・先駆的な学術研究を推進するとともに、これを世界的な学術研究の拠点、産学官を通じた優れた研究者・研究技術者の養成などの中核的機関として位置付ける。

3 博士課程修了後のいわゆるポスト・ドクター段階においては、学術研究の基盤の強化とその発展を図るため、また、次代を担う独創的で優れた若手研究者を養成・確保していくため、大学や研究機関との連携を図りつつ、諸施策を推進する。

(3)今後の課題

 大学教育については、以上のような在り方を踏まえて対応を行っていくとともに、今後、次のような課題について検討していく必要がある。

1 我が国の大学教育の国際的通用性を確保し、学生や教員の国際的流動性を一層促進するなど、国際化の一層の進展に対応した大学の在り方について。

2 社会人が社会・経済の変化などに応じて大学で再学習し、その後のキャリアに生かしていくことを促進するなど、生涯学習社会の一層の進展に対応した大学の在り方について。  

第2節 大学入学における能力・適性等の判定

 大学は、知的活動によって社会に貢献し、社会の発展を支えていくという役割を担っている。社会・経済の変化や国際化に伴い、人材養成に対する要請が高度化・多様化していく状況を踏まえ、多様かつ充実した教育機会を提供し、各人の能力を十分に伸ばし、高度化・複雑化する社会で活躍できる人材を養成することが必要である。

 卒業時において、社会の要請にこたえる人材としての質を確保し、国際的にも通用する人材を養成するためには、その教育について一定の質と水準を保つことが求められる。今後、18歳人口の減少等により、平成21年度には全志願者に対する入学者の割合である収容率が100%になることも考えられるが、そのような状態になった場合でも、上記のような教育に対応するために必要な能力・適性を入学者に対して要求することが必要であるという考え方を維持すべきである。

 このような考え方を前提とすれば、場合によっては、各大学では、学部・学科の教育に必要な能力・適性等を有すると判断される者が入学定員に満たないこともあり得るものと考えられる。大学は国民に高等教育を受ける機会を幅広く提供することが求められることから、追加募集を行ったり、受験時の学力のみならず入学後の伸長の可能性も視野に入れて入学者の判定を行うことなどにより入学定員を充足させることが望ましい。しかし、定員充足の観点からのみ入学させることは必要ではなく、上記の取組を行ってもなお定員に満たない場合も生じ得ると考えられる。そのような場合には、各大学においてまずは現在の学生定員が適正かどうかについて検討する必要がある。なお、大学入学に当たって、学部・学科の教育に必要な能力・適性を入学者に要求すべきとの考え方を維持する観点から、一定期間相当程度の欠員が生じた場合当該大学が新たに申請する学部・学科等の設置認可を原則として認めないという取扱いを弾力化することや、私学助成における定員充足率に基づく経常費補助金の傾斜配分(減額措置)について弾力的な取扱いをすることも検討する必要がある。

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生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --