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今後の地方教育行政の在り方について (中央教育審議会に諮問)

平成9年9月30日
文部大臣町村信孝

 9月30日、中央教育審議会の総会が開催され、町村文部大臣が「今後の地方教育行政の在り方について」諮問を行った。
 同審議会は、諮問を受けて直ちに審議を開始した。

○ 諮問文
○ 文部大臣諮問理由説明

○諮問文

次の事項について,別紙理由を添えて諮問します。

今後の地方教育行政の在り方について

(理由)

 我が国の地方教育行政制度は,戦後約50年にわたり幾多の変遷を経ながらも,教育委員会制度を基盤として,国・都道府県・市町村の連携協力の下,教育の機会均等の実現や教育水準の維持向上をはじめ,地域における教育,文化,スポーツの振興に大きな役割を果たしてきたところである。
 今後の我が国が,豊かな成熟社会を実現するとともに,国際化,情報化,科学技術の発展等の社会の変化に的確に対応し,活力ある社会として発展していくためには,[ゆとり]の中で,子どもたちに豊かな人間性や自ら学び,自ら考える力などの[生きる力]をはぐくむことを目指し,一人一人の個性を尊重した教育を全国各地域で活発に展開していくことが必要となっている。こうした観点に立って必要な教育改革を進めるためには,地方教育行政が地域の特性を生かした豊かで多様な教育を一層推進するとともに,社会の変化・進展への迅速かつ積極的な対応を図ることができるようにする必要がある。また,今日,教育における地域社会の役割や家庭教育の在り方が改めて問われている中で,学校・家庭・地域社会の連携を一層充実強化し,地域に開かれた学校運営を更に進めていくことが必要である。このような視点に立って,今後の地方教育行政の在り方について改めて見直し,改善を図っていくことが求められている。
 さらに,生涯学習社会への移行が進展しつつある現在,生涯学習,文化,スポーツ等に関する地域住民の要請は極めて多様化してきている。こうした中,教育委員会を中心とした地方教育行政においては,地域全体の人材育成,生涯学習や文化・スポーツ活動の振興を通じた地域コミュニティーの育成,さらには地域振興への寄与といった面について積極的な役割を果たしていくことが重要であり,これらの分野について,地域の特性に根ざした主体的かつ積極的な取組が行われるよう,教育委員会等の在り方を見直していくことも併せて重要な課題となっている。

 このため,まず,地方教育行政にかかわる主体である国・都道府県・市町村相互の関係について,子どもたちや保護者をはじめとする地域住民に身近な位置にある地方公共団体,すなわち,都道府県や市町村の主体性を尊重するという基本的な考え方に立って見直す必要がある。具体的には,三者の役割分担や連携協力,関与の在り方について,国にあっては都道府県・市町村の,都道府県にあっては市町村の,それぞれ主体的な取組を推進する観点からその在り方を検討する必要がある。これに関連して,教育委員会と学校等教育機関相互の関係についても改めて検討することが求められる。

 また,今後の地方教育行政については,地域住民からの幅広い多様な要請にこたえ,地域住民に必要な協力を求めることが極めて重要であるが,そのためには,これら住民の意向を的確に把握し,教育行政に反映するとともに,その協力を得るための仕組みや,教育委員会が首長部局と連携協力し,両者がその機能を発揮しつつ,関係施策の充実を図る方策等を検討する必要がある。それとともに,都道府県や市町村の教育委員会においては,それぞれの学校の設置管理者としての機能の充実はもとより,家庭や地域社会における教育の充実や文化,スポーツの振興に向けてより積極的な取組が求められるところであり,地域の特性や地方自治体の規模等も踏まえ,教育委員会が主体的かつ積極的な行政を展開するための方策を検討していくことが必要である。

 そして,地域における子どもの健やかな成長と人材養成を担う中核的機関である学校については,子どもの[生きる力]をはぐくみ一人一人の個性を生かした教育を行うとの観点に立って,地域や子どもの実態に応じて,学校の主体的な取組や創意工夫を凝らした特色ある学校づくり,保護者をはじめ地域住民等と連携する開かれた学校づくり等を推進することが必要である。また,教育委員会については,これらの学校の取組を促進し,支援していくことが重要である。このように,学校の望ましい自主性・自律性を確立していく観点から,学校の役割や運営の在り方,これを支える教育委員会の在り方について検討する必要がある。さらに,公民館等社会教育施設や文化・スポーツ施設の役割,運営の在り方についても併せて検討を加えることが必要である。

 以上のような認識に立って,今後の地方教育行政の在り方について,住民の多様な要請に応じ,総合的かつ積極的な地方教育行政が展開できるシステムを構築するため,地方分権の推進などの理念を十分踏まえつつ,次のような事項を中心に検討を行う必要がある。
(1)今後における国・都道府県・市町村の関係及び教育委員会と学校等教育機関の関係の在り方
(2)教育委員会を中心とする主体的かつ積極的な地方教育行政の展開方策
(3)地域における学校等教育機関の役割と運営の在り方

○文部大臣諮問理由説明

平成9年9月30日

 本日は,御多忙のところ,御出席をいただきましてありがとうございます。

 我が国が豊かで活力ある社会として発展していくためには,すべての社会システムの基盤である教育について,その改革を一層推進していくことが強く求められております。

 先般,中央教育審議会からは,「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」二次にわたる答申をいただき,[ゆとり]の中で子どもたちに[生きる力]をはぐくむことを目指し,個性を尊重した教育を展開していくという今後の教育の在り方をお示しいただきました。このような基本的な考え方に立って教育を展開するためには,今後,全国各地域において,教育行政機関,地域社会,学校,家庭のそれぞれが手を携え,教育改革を積極的に進めていくことが不可欠であり,そのために地方教育行政が果たすべき役割は極めて重要であります。

 さて,教育委員会制度を中核とする我が国の地方教育行政制度は,教育行政の中立性と安定性の確保を図りつつ,教育の機会均等の実現や教育水準の維持向上などに大きく寄与してきたところであります。しかしながら,来年で教育委員会制度発足50周年を迎える今日,地方分権の推進などの理念を踏まえつつ,新しい時代に対応すべく,地方教育行政の在り方全体の見直しを行い,教育委員会等がより一層主体的かつ積極的な行政を展開できるよう,改善を図っていくことが必要となっております。

 このような観点から,先ほど事務当局が朗読したとおり,今後の地方教育行政の在り方について諮問することとした次第でありますが,今後の審議に当たり,特に留意していただきたい点について申し上げさせていただきます。

 まず第一は,主体的かつ積極的な地方教育行政の展開方策に関してであります。今後,社会の変化,時代の進展へ迅速かつ積極的に対応するとともに,地域の特性を生かした教育を一層推進し,地域住民の多様な要請に応え,地域の振興に寄与していくためには,都道府県や市町村がより主体的に施策を展開していくことが不可欠であります。このため,教育行政における国・都道府県・市町村の役割分担や関与の在り方を全面的に見直すとともに,地方教育行政に地域住民の意向を反映する様々な仕組みについて検討していただきたいと存じます。また,地方分権推進委員会の勧告を踏まえ,教育長の任命承認制度の廃止と教育長に適材を確保するための方策について,教育委員会の機能の一層の充実という観点から御検討をお願いします。

 第二は,学校等教育機関の役割と運営の在り方に関してであります。今後,学校においては,地域や子どもの実態に応じて工夫を凝らした特色ある学校づくり,また,保護者をはじめとした地域住民に開かれた学校づくりを進めていくことが重要であると考えます。そこで,学校の自主性・自律性の確立という観点から,教育委員会の学校への関与の在り方を見直すとともに,学校運営において校長がリーダーシップを一層発揮できるようにしたり,保護者や地域住民の意見を反映したりする仕組みなどについて,幅広く御検討いただきたいと存じます。

 第三は,地域住民との連携協力に関してであります。地域の特性を踏まえた活力ある教育を展開するとともに,生涯学習や文化・スポーツの振興を図り,地域の教育力を向上させるためには,学校や教育行政機関と地域住民とが一層連携協力を図っていくことが重要であります。このような観点から,学校の教育活動や文化・スポーツ・青少年団体等の活動への支援などに地域住民の協力を得るための仕組みについて幅広く御検討いただきたいと存じます。

 以上,今後の審議に当たり特に御留意をお願いしたい点について申し上げましたが,検討に際しては,できるだけ幅広く関係者の意見を徴され,地方分権に係る政府全体の動向などに十分留意しつつ,様々な観点から審議を深めていただきたいと思います。
 会長,副会長をはじめ,委員の皆様におかれましては,以上のような趣旨をおくみ取りいただき,十分御審議くださるようお願い申し上げまして,私のごあいさつといたします。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

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