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科学技術教育の振興方策について(答申) (第14回答申(昭和32年11月11日))

昭和32年11月11日
生涯学習政策局政策課

14 科学技術教育の振興方策について(答申)

(諮問)

昭和32年4月27日

中央教育審議会

文部大臣 灘尾 弘吉

 次の事項について、別紙理由を添えて諮問します。

科学技術教育の振興方策について

(理由)

 わが国の産業・経済の充実・発展を期し国民生活の安定をはかるためには、その基盤を科学技術の成果に求めなければならない。
 しかして、科学技術振興の成否は一にその研究と教育のいかんにかかっているので、政府としては従来から各種の施策を行い、これが振興向上をはかってきているが、最近の科学技術の諸分野における画期的な進歩と産業技術の革新に適応対処していくには、必ずしもじゅうぶんとは認め難い。
 ここにおいて、現行の教育を検討し、小学校・中学校・高等学校および大学の教育を通じて、教育内容の改善を図るとともに科学技術者養成の計画を立て、関係の学部・学科・課程等の整備、学生・生徒の定員の調整、教員資質の向上、施設・設備の充実など改善の措置を講じ、早急に科学技術教育の画期的振興をはかる必要があると考えられる。

検討すべき問題点

 科学技術教育改善の方針を決定するために考えなければならない問題は、多々あると思われるが、たとえば次の事項等については、検討する必要があると考えられる。

1.科学技術者養成の計画について

(1)産業技術の発展に適応して中堅技術者・上級技術者の増員が必要であると思われるが、その必要量を確保するため養成の計画を定める必要があるか。

(2)その場合、大学(短期大学・大学院を含む。以下同じ。)・高等学校において、どのような学部・学科・課程の整備およびその学生・生徒の定員の調整をしなければならないか。

2.教育内容について

(1)青少年の心身の発達状況から見て、どの段階にはどの程度の科学技術教育を施すのが適当であるか。

(2)小学校・中学校および高等学校教育
 ア 小学校・中学校および高等学校における数学・理科・技術的教科は、科学技術教育の基礎であり、また産業人・社会人としての科学技術的水準の向上のためにその振興が望まれるが、現在の教科・時間数・学習指導法に改善を必要としないか。
 イ 高等学校へ進学しないものに対し、中学校における職業教育的・技術教育的教養を高めるべきであるといわれているが、どのように対処すべきであるか。

(3)大学教育
 大学卒業生に対して、専門学力ならびに専門技術の向上の必要があるといわれているが、このためには学科目、その教授および学習方法(特に実験・実習)をどのように改善すればよいか。

3.教育について

 小学校・中学校の理科・工作・職業、高等学校の理科・産業教育ならびに大学の科学技術関係教員の質の向上とその必要数の確保、なかんずく技術の指導を担当する教員の確保をどのようにするか。

4.教育・研究の施設・設備および経費について

(1)小学校・中学校・高等学校および大学において科学技術教育および研究に必要な施設・設備が不足したり、老朽・旧式のものが多いため、教育・研究に支障があると訴えられているが、これについて緊急に整備・充実を要するものは何であるか、またどのような方法によって整備充実することが望ましいか

(2)大学において教官の教育・研究に要する経費が不足し、その教育・研究活動がじゅうぶんできない状況にあるが、増額を計るべき経費の種類およびその額はどうか。

5.教育制度について

(1)教育の一貫性
 科学技術教育振興のためには、中学校教育と高等学校教育、高等学校教育と大学教育との間に、一貫性をもたせることが適当であるといわれているが、制度的にはどうこれをとりあげるか。

(2)高等学校教育
 基礎学力の向上、中堅技術者の育成の見地からみて普通課程、職業課程のあり方は現状のままでよいか。

(3)中学校卒業後高等学校に進学しないで産業の現場で働く青少年の産業技術能力を高める必要があると思うが、これに対してどのように対処するか。

(4)大学教育
 ア 大学卒業生の基礎的・専門的学力ならびに専門技術の向上の見地から見て、大学・大学院・短期大学の性格および修業年限等について考慮する必要はないか。
 イ 計画的に大学・学部・学科の設置およびその運営を行うためには、文部大臣の監督権は現状のままでよいのか。

(5)以上の教育制度の問題点に関連して、大学の入学試験制度について再検討の余地はないか。

6.その他

(1)産業と教育との連携を密にし、相互の理解と協力とを深めるためには、どんな体制・方策によることが望ましいか。

(2)社会教育を通じて科学知識の普及が必要と思われるが、どのようにしたらよいか。

(3)科学技術教育振興に関する諸問題を統一的に調査審議する恒常的機関を設ける必要はないか。

(4)その他科学技術教育振興について、育英・奨学および海外留学等考究すべき幾多の問題があると考えられる。

(答申)

昭和32年11月11日

文部大臣 松永 東 殿

中央教育審議会会長
天野会長

科学技術教育の振興方策について(答申)

 本審議会は、科学技術教育の振興方策について、特別委員会を設けて討議を行って得た結果に基き、総会においてさらに慎重に討議し、次の結論に到達しましたので答申いたします。

 戦後、欧米諸国の科学技術は、躍進的な発展を遂げ、その発展の及ぶ所は生産技術面のみにとどまらず、広く管理・経営の面にまでいたっており、産業はその面目を一新して一時代を画しつつある。
 しかるに、わが国の科学技術は、戦争による破壊、敗戦に次ぐ混乱・疲弊、研究施設・設備の老朽化・旧式化、研究費の不足等によって立ち遅れ、これを基盤とする産業技術、ひいては産業自体も進歩をはばまれ、その新開地は主として外国技術の導入に依存しなければならない現状にある。
 これを打開して、産業技術を振興し、産業の自主性を回復し、国際的競争力をたかめ、もって経済の復興、民生の安定、文化の向上を図るためには、科学技術の振興、特にその基礎としての科学技術に関する研究と教育の振興が必要である。
 もとより一国の文化は、自然科学・人文科学・社会科学の調和ある発達の上に築かれるべきものであり、教育も技術に偏することなく広い教養の上に立つべきことは論をまたないところである。
 しかし、戦後わが国の教育は、その改革が急激に行われたため、科学技術教育の面からみて、教員組織・施設・設備等においてはなはだ不備があり、その内容も各学校段階間に関連性を欠き、多くの問題を包蔵しており、進歩した科学技術の要請する科学者・技術者を養成することは、質においても量においても望み難い現状である。
 このことは諸外国において、膨大な経費を投じ画期的な科学者・技術者の養成計画を樹立し、真剣に科学技術教育の振興をはかっている今日、深く反省されなければならないところである。
 ここにおいて、本審議会は、工業技術を中心として、科学技術教育振興のため以下の対策を定めた。
 政府は本答申に従い、科学技術教育の振興を重要かつ緊急な政策として取り上げ周到な計画を定め、その実施のためにじゅうぶんな予算を計上し必要な行政機構等を整備拡充して強い決意をもって早急にその振興に着手されんことを望む。

第1 大学の学部、大学院および附置研究所における科学技術教育について

1.科学技術系大学学部卒業者の質の向上

 戦後躍進した科学技術の特徴は、各専門分野が高度に細分化してゆく反面、おのおのが密接な連係を保ちながら進歩してゆくことである。このような情勢の中にあって、産業の推進力たる科学技術者としては、広い教養を持ち、確固とした基礎学力を備え、高い専門技術を持つことが必要である。大学卒業者の質に対する産業界からの要請は、産業の規模と種類によって相当幅があるが、大学学部の卒業者についての要請の帰すところは、大学卒業後数か年の経験を加えることによって、産業技術の将来をになうに足る専門技術者となりうる素養を持つことにある。
 現在の大学教育が科学技術者養成においてふじゅうぶんであるおもな原因は、戦後現行制度の実施にあたって、従前の高等専門学校を母体として組織された大学については、教職員の数と質、施設・設備等が準備不足のまま発足したこと、一方、旧制大学の転換したものについては、老朽の施設・設備が未更新のまま現在に至っており、教職員の数あるいは教授方法が旧態依然のものが多いことなどによるものと考えられる。したがって、科学技術系大学卒業者の質を向上させるためには、現行の教育方針の徹底を図るとともに、次の諸施策を、具体的な年次計画をもって実施することが必要である。

(1)教育内容および教育方法の改善
 現在の大学卒業者における数学・物理学・化学・外国語および国語等の一般基礎学力と専門基礎学力の不足ならびに実験・実習・設計・研究等の訓練のふじゅうぶんな点を補い、かつ、専門学力の向上を図るため、一般教育・基礎教育および専門教育科目の単位の基準・単位数・教授方法・授業計画等の改善を図ること。その際、一般教育を軽視することのないように留意すること。

(2)教職員の充実と質の向上
 A 国立大学および附置研究所の教職員の充実と質の向上を図ること。特に助手その他実験実習補助員が不足しているのでこれの充実を図ること。
 B 優秀な教員を確保するため、教員の待遇を改善すること。
 C 在外研究員の増加、内地留学の促進を図ること。

(3)施設・設備の充実
 A 国立大学および附置研究所の施設・設備は、なお、ふじゅうぶんであり、かつ、老朽化したものが多いので、その充実・更新を図ること。
 B 公・私立大学の施設・設備の充実ならびに新・増設について、さらに積極的に助成の方途を講ずること。

(4)研究費等の増額
 教官研究費・学生経費・科学研究費・教官研究旅費・学生実習指導旅費等、大学の教育と研究を発展させる基となる諸経費の増額を図ること。

(5)大学入学者の基礎学力の向上
 高等学校および中・小学校の数学(算数)・理科教育等の教育課程の改善を行い、大学入学者の基礎学力の向上を図ること。

(6)大学と産業界との連係
 大学の教育と研究とに産業界の要望を反映させ、また、学生の工場実習に産業界の協力を求めるなど、努めて大学と産業界との接触を密にし、相互の協力を促進すること。

2.科学技術系大学学部卒業者の数の増加

 現在、国・公・私立大学を通じて、科学技術系の大学卒業者が不足しており、また、将来も産業の拡大に伴ってますます不足することが予想されるので、次のような処置によって、その必要数の確保を図る必要がある。

(1)養成計画の樹立
 A 確固とした産業振興政策を樹立し、それに準拠して科学技術者養成の年次計画をたて、これを実行するに必要な処置を講ずること。
 B 科学技術者養成の年次計画をたてるにあたっては、さきに文部省が実施した「社会的要請に基く教育計画立案のための調査」(この調査は、今後さらに改善を加えること。)などを参考にし、将来の経済発展に即応する科学技術者の必要数について、できるだけ正確な測定を行うこと。

(2)学部・学科等の拡充と学生定員の増員
 A 科学技術者養成の年次計画に準拠して、物理・化学・機械・電気・応用化学・化学工学等の基礎的な学部・学科をはじめ、その他必要な学部・学科の学生定員の増員を行い、これにともなって教員組織・施設・設備の充実を図る。この場合、これらの施設・設備をできるだけ効率的に運用することを図るとともに、また、必要に応じては、学部・学科・短期大学等の増設を行うこと。その際、その大学の特色をできるだけ生かすようにすること。
 B 原子力・電子工学等最近特に躍進した科学技術に対処するための養成を図ること。
 C 公・私立大学が上記A、Bの処置によって科学技術系学生数を増加する場合には、積極的に助成すること。

3.大学院の充実

(1)高度の科学技術者と優秀な教育者・研究者を養成する大学院の任務の重要性にかんがみ、その施設・設備および教員組織を充実整備するとともに、大学院学生に対する奨学資金を拡充増額すること。

(2)大学院の修士課程においては、技術者養成の目標をも有することを明らかにするとともに、産業界の現職技術者を受け入れて、再教育する方途を講ずること。

4.大学附置研究所の協力

(1)大学附置研究所の研究部門を整備し、施設・設備を充実更新し、また、広く全国の研究者の利用に応じうるように意を用いるとともに、学部および大学院における授業と指導にも附置研究所がいっそう協力するようにすること。

(2)大学附置研究所は産業界と相互に協力し、研究成果の促進・向上を図るとともに、産業界の現職技術者に対する再教育を行いうるようにすること。

第2 短期大学における科学技術教育について

 今日、産業界において、旧制工業専門学校の卒業者に相当する技術者の要望が強いが、現在、理工系の短期大学は、数も少なく内容もふじゅうぶんで、科学技術教育の面で大きな寄与をしているとはいい難い。
 わが国においては、大企業と並んで中・小企業も大きな部分を占めているので、このような技術者の養成は急務と思われる。そのためには、さきに答申したとおり、次の処置が必要である。

  1. 短期大学の目的・性格を明らかにし、その制度および内容の改善を図ること。
  2. 短期大学と高等学校とを合わせた5年制または6年制の技術専門の学校を早急に設けること。
     なお、公・私立短期大学が理工系教育の拡充を行う場合には、必要な助成を行うこと。

第3 高等学校および中・小学校における科学技術教育について

1.高等学校および中・小学校卒業者の質の向上

 高等学校および中学校の卒業者は、上級学校へ進学する者と直ちに職業または家事に従事する者とに分かれる。進学者については、特に基礎学力の向上が望まれ、就職する者については初級の技術者・技能者としての資質の向上が切望されている。
 このためには、高等学校および中・小学校を通じて、基礎学力ないし科学技術の基礎である数学(算数)・理科教育等を強化するとともに、高等学校においては産業教育、中学校においては職業に関する基礎教育を強化する必要がある。
 しかして、数学・理科教育および産業教育の実施においては、生徒の進路の多様性に留意して、その志望と能力に応ずる指導がなされることが必要である。
 以上の観点から、次の対策がとられなければならない。

(1)教育内容および教育方法の改善

  1. 数学(算数)・理科および技術に関する教科においては、内容を精選して基本的・原理的事項が系統的にじゅうぶん学習されるようにするとともに、外国語・国語等についても指導を徹底すること。
  2. 中・小学校の教育課程において、数学(算数)・理科教育を強化するとともに、工作等の学習を改善充実して、技術的・実践的態度の育成を図ること。
  3. 中学校においては、義務教育の最終段階にあることにかんがみ、高学年においては、いっそう進路・特性に応ずる教育を行うことができるように、教育課程を改善すること。
  4. 高等学校および中学校においては、進路指導をいっそう強化すること。
  5. 高等学校の各課程の特色をいっそう生かすようにするとともに、普通課程においては、進路に応ずる教育を充実するため、コース制を強化すること。
  6. 高等学校の定時制課程において、その目的・性格を明らかにし、いっそう職業教育を重視し、地域産業との関連をさらに密接にするとともに、通信教育においては、職業に関する教科の実施科目をいっそう拡充すること。
  7. 義務教育終了後、進学することなく直ちに就職する者に対し、短期の技能教育を施すため、高等学校の別科の制度を活用して産業科を設けること。
  8. 指導の徹底を図るため、中・小学校においては、1学級あたりの生徒・児童数を50人以下とするように必要な処置を講ずること。

(2)教職員の充実と質の向上

  1. 高等学校および中・小学校における教職員の定数の増加を図ること。特に理科・工作・産業教育関係教員の必要数を確保する処置を講ずるとともに、高等学校にあっては、実習助手を置くことを促進すること。
  2. 優秀な人材を多数教員として迎えるため、産業教育関係教員のうち、特に必要と認められる者については、その待遇について、特別の考慮を払うとともに、産業教育関係教員になろうとする者に対し、特別に奨学の処置を講ずること。
  3. 高等学校および中・小学校の理科・工作・産業教育関係教員の資質を高めるために、教員養成諸学校におけるこれらの教科についての教育を充実強化するとともに、教員養成制度・教員免許制度を再検討してその改善を図ること。
  4. 次の方法によって、教員の現職教育を行うこと。

(a)科学教育研究室を拡充強化し、教員の長期研修に資すること。

(b)産業教育関係教員に対して、特に現場実習の機会を与えること。

(c)理科・産業教育関係教員に対して、年次計画をもって、実験・実習を中心とした現職教育講座を開設すること。

(3)施設・設備の充実
 高等学校および中・小学校における科学技術教育に必要な施設・設備を急速に整備充実すること。
 このため、理科教育振興法にもとづき、理科教育に必要な実験・実習の設備を年次計画をもって、急速に整備充実すること。
 なお、学校において備うべき実験・実習の機械・器具等の研究を助成し、もって能率的なよい教材・教具の奨励・普及につとめること。
 また、産業教育振興法による国の財政的援助を強化し、設備の更新、産業の進展に応ずる特別設備の充実に対しても助成すること。

(4)研究費の増額
 理科・産業教育関係教員に対して、その研究意欲を増進させるために、科学研究費のうちから研究奨励金を交付する制度をいっそう拡充すること。

(5)教育制度の改善
 工業に関する初級の技術者の資質を高めるため、高等学校工業課程に中学校を付設して一貫教育を行いうるようにすること。ただし、政府は、この実施にあたっては、義務教育あるいは他の課程との関連を慎重に考慮すべきである。
 また、高等学校工業課程の教育を充実するために、専門によっては、専攻科制度の活用を促進すること。

(6)高等学校と産業界との連係

  1. 生徒の工場実習、教員の現場実習の機会を得るために、産業界との連係を密にし、相互の協力を促進する方策を講ずること。
    なお、高等学校定時制課程と技能者養成施設との連係を密にすること。
  2. 産業界における技術者の協力を得るために、それらの技術者を容易に教員(講師を含む。)に採用できるように、資格・待遇について必要な処置を講ずること。
2.高等学校職業課程卒業者の数の増加

  高等学校工業課程卒業程度の技術者の数は、大学卒業・短期大学卒業程度の技術者の必要数に応じて多数必要であり、また、将来著しく不足するものと予想されるから、その数の増加のため、以下の対策の講ぜられることが必要である。

(1)養成計画の樹立
  大学卒業程度の技術者の場合と同様に、産業の進展に伴う社会的需要、専門分野別必要数等を調査測定して、年次養成計画を樹立すること。

(2)職業課程の増設
  高等学校工業課程卒業程度の技術者は、将来特に著しく不足するものとみられているから、新設または普通課程からの転換によって、職業課程特に工業課程の増設を図ること。このためには、国はその施設・設備のために大幅に財政的処置を講ずること。

第4 社会教育における科学技術教育について

 国民の間に科学技術尊重の思潮を育成し、また、科学技術に関する知識・技能を普及向上させるためには、学校教育における科学技術教育と並んで社会教育が大きな役割を果すものであることはいうまでもない。
 したがって、社会教育においては、社会生活・家庭生活に必要な科学的知識・技能を普及向上させることを目標として、次のような対策の講ぜられることが必要である。

  1. 国民の科学知識・技能の向上を図るために、現行の科学講座・科学関係の社会通信教育の内容・方法(特に実験・実習)等を充実してその振興を図ること。
  2. ラジオ・テレビ(特に教育テレビ)が科学技術知識の普及・向上において果す大きな機能に着目し、それらの番組の編成にあたっては、科学技術教育に関するものを奨励するとともに、公民館等の社会教育施設に対してラジオ・テレビその他科学知識・技能の普及向上に資する設備の増設を図ること。
     また、科学知識・技能に関する映画・幻灯・録音教材の製作・利用も同様の趣旨から、大いに奨励助成すること。
  3. 科学博物館の設置を奨励するとともに、内容の充実および運営等については、諸外国における好例をも参考として、さらに検討の上改善すること。
  4. 科学技術教育の普及・振興は、一般国民とりわけ青少年に対して行われることがたいせつであるから、特に青年学級等における科学技術教育の充実を図ること。
     以上の対策が効果をあげるためには、関係各方面の社会的な理解と協力にまたなければならないことに留意して、運営上の適切な処置が講ぜられる必要がある。

(付記) 

  本答申に関し、特に下記のことを申し添える。

  1. 短期大学に関する対策(本文第2の1および2)については、本審議会としてすでに昭和29年11月15日「大学入学者選考およびこれに関連する事項について」および昭和31年12月10日「短期大学制度の改善について」において答申ずみであるが、本件の重要性にかんがみ、重ねて答申するものである。
  2. 高等学校および中・小学校の理科・工作・産業教育関係教員の資質向上に関する事項(本文第3の1の2のc)については、教員養成の全般に関連を有するので、本審議会における「教員養成制度の改善方策について」の審議の際、さらに詳細に検討する。
  3. 高等学校の定時制課程および通信教育に関する事項、高等学校別科として産業科を設けることに関する事項および青年学級に関する事項(本文第3の1における(1)のfおよびgならびに(6)のaの後段ならびに本文第4の4)については、勤労青少年を対象とする教育の一環をなすものであるから、本審議会における「勤労青少年教育の振興方策について」の審議の際、さらに詳細に検討する。
  4. 学校制度に関連する事項としては、本文に答申するもののほか、なお多くの点(大学院のみの大学、大学学部の修業年限の延長および高等学校に中学校を付設した普通課程等の6年制高等学校等)について検討したが、これらは単に科学技術教育振興の面だけから結論を出すべきでなく、総合的な見地から審議する必要があるとの結論に達した。よって、適当な時期に教育制度全般にわたって検討する機会を考慮することが望ましい。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --