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大学入学者選考およびこれに関連する事項についての答申 (第6回答申(昭和29年11月15日))

昭和29年11月15日
生涯学習政策局政策課

6 大学入学者選考およびこれに関連する事項についての答申

(答申)

昭和29年11月15日
文部大臣 大達 茂雄 殿

中央教育審議会会長
亀山 直人

大学入学者選考およびこれに関連する事項についての答申

 本審議会は、大学入学者およびこれに関連する事項を検討するため、特別委員会を設けて審議を行い、その結果に基き、総会においてさらに慎重に審議し、次の結論に到達しましたから答申いたします。

 現在高等学校数は4,700余校、在学生徒は252万余人を算し、本年3月の卒業者は実に70万人にも達する状況になっている。このうち大学に進学を希望した者は約24万人であるが、本年度の入学志願者実数は約38万と推定されているから、前年以前の卒業者は実にその3分の1を占めているのである。これに対し大学の学生収容力は4年制大学約111,000人、短期大学約34,000人、計約145,000人で前記入学志願者実数に対し38%であり、またこれを全大学延べ受験者数約60万人に対比すれば約24%である。したがって大学によっては収容人員に対し、10倍・20倍の入学志願者が殺到しているばかりでなく、その入学者のうち前年以前の高等学校卒業者がその6割を占めるという憂慮すべき事例もある。かような状態にあるので、いきおい一部の高等学校が受験準備学校となる傾向を生じ、特に第3学年の教育は、はなはだしく攪乱される実状にある場合も少なくない。高等学校卒業者の年令はだいたい18才であるが、いかに学力が優秀であっても、この年輩の者が、いわゆる有名校を志願するため中央に集中し、そのため、受験予備校の増加となり(たとえば、東京都認可のものは24校ある。)さらに予備校入学のため競争試験を要するものがあるというがごとき傾向は、これを放任することを得ないものと考える。これらの点にかんがみ次の諸点につき適当な措置を講ずることが必要である。

(1) 大学入学試験の方法について、大学入学試験研究協議会の決議に基き、文部省から大学その他の関係者に通達した昭和30年度入学者選抜実施要項は、だいたいにおいて適切なものとして、これを支持するとともに、下記の諸点に留意することが必要であると考える。

A 大学入学者選抜の基本方針として、大学教育を受ける資質・能力ある者を公正に考査する方針をたて、これに基き実施し、極力高等学校教育を攪乱せざるよう留意すること。
B 大学入学者の選抜にあたっては、学力検査の成績のみによることなく、高等学校における累加記録を尊重するとともに、本人の資質を考査し、その成績をも加味すること。
C 学力検査については、大学において、なるべく多くの学科につき高等学校学習指導要領に基き出題し、その要領の範囲を逸脱するような高度の知識を要求することを避けるとともに、高等学校においては、生徒が受験準備のため、正常な授業を放擲(てき)し、受験勉強に専念することのないようにすること。
D 学力検査については、一案として、国が全国いっせいにこれを行い、その合格者をして各大学に志願せしめる方法を調査研究すること。この場合においては公私大学の参加は自由とする。
E 昭和30年度入学試験においては、進学適正検査はほとんど行われないことになったが、資質考査方法の改善実施に対する研究調査は、これを継続すること。なお、従来の方法を改めて高等学校在学期間中に行うことの適否についても研究すること。
F 高等学校においては、大学に入学を希望する者に対し、大学または学部学科の選択につき、資質・能力に応じた適切な進学指導を行うとともに、大学における専攻学科に適応するよう、その科目の選択および単位修得につき指導をなすこと。

(2) 大学の入学志願者数に対し、大学の収容力が少ない現状にかんがみ、収容力の増加を図るということも検討すべき問題であるが、それよりも、まず各大学に対する志願数を、平均化することに努力することが必要である。その目的を達するため試験方法ばかりでなく、制度その他の点についても考慮する必要がある。

A 内容のふじゅうぶんな大学に対し、教授陣容および教育研究施設の改善充実を図るよう努力すること。これは当然のことであるが、高等学校卒業者が一部の大学に集中するのを防止するためにも必要である。
B 各大学の性格・特色について、産業界その他一般社会においてじゅうぶん理解せず、いわゆる有名校の卒業生のみを採用する傾向があるので、これらの点について広く周知せしめる方法を講ずること。ことに社会的定評のあった旧制実業専門学校のうち、新制大学の1学部となったものについては、従来どおりじゅうぶんその特色を発揮し、産業界の要望に応じうるよう考慮すること。
C 短期大学の制度を改めて、恒久的の教育機関とし、高等学校教育の基礎の上に、職業教育その他について充実した専門教育を授けるものとすること。かかる改正によって短期大学志願者の増加となり、けっきょく4年制大学の入学率の緩和になると考えられる。
D 前項の場合において、短期大学の課程と高等学校の課程とを包含する新しい学校組織を認めること、充実した専門教育を授けるためには、5年間の課程において一般教育および専門教育の学年配当を容易にする事も必要である。
E 前2項により新たに設けられる学校の名称・目的・修業年限等は、おおむね下記のとおりとすること。

1.目的

 短期大学(あるいは専科大学)は、深く専門の学芸に関する教育を行い、主として職業に必要な能力を育成することを目的とする。

2.性格

 主として専門教育を行う完成教育機関とする。

3.名称

 短期大学あるいは専科大学

4.修業年限

 現行の短期大学の修業年限2年または3年の外に、現行の高等学校および短期大学とを合わせてその修業年限を5年または6年とするものを設ける。

5.教育内容

 主として専門職業教育の充実を図るとともに一般教育・外国語ならびに体育の各科目についても適当な考慮を払うこと。

6.卒業者の資格

 短期大学の卒業者に対し相当の条件をもって学部に転入する資格を認めること。

お問合せ先

生涯学習政策局政策課

-- 登録:平成21年以前 --