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義務教育学校教員給与に関する答申 (第5回答申(昭和29年8月23日))

昭和29年8月23日
生涯学習政策局政策課

5 義務教育学校教員給与に関する答申

(答申)

昭和29年8月23日
文部大臣 大達 茂雄 殿

中央教育審議会会長
亀山 直人

義務教育学校教員給与に関する答申

 本審議会は、教員の給与問題を検討するため特別委員会を設け、10数回にわたり審議を行った結果に基き、総会においてさらに慎重に審議し、次の結論に到達しましたので答申いたします。

1 公立の義務教育学校の教員の給与については、国立学校の教員の給与の種類およびその額を基準として府県の条例で定めることとされているが、現状においてはいわゆる富裕府県と貧弱府県との間の給与の不均衡が問題であり、最近においては、さらに若干の府県における給与の遅払あるいは昇給の困難などの問題を生じている。これらの現象は、教員の給与制度の再検討の必要性を示しているが、根本的には地方財政の整備充実に関連する問題である。

2 以上の現状に対し公立の義務教育学校教員の給与については、次のような対策が樹立されることを要望する。

  1. 教員の給与制度を根本的に再検討し、教員としての職務の特殊性に適応した給与制度を樹立すること。
  2. 地方財政の困難が、教員給与費に不当な影響を与えることのないよう、地方財政自体をすみやかに整備充実し、教員給与制度の正常な運営を図ること。
  3. 給与問題と関連して、教員定数を含む学校基準を策定して、教育水準の維持向上を図ること。

第2特別委員会主査報告(注 第2特別委員会は教員の給与などに関する特別委員会)

1 現状分析について
  1. 公立の義務教育学校の教員の給与は、国立学校の教員の給与の種類と額を基準として都道府県の条例で定めることとなっているが、この場合の「基準とする」というのは、全く同一という意味でなく地方の事情や沿革による若干の差異は認められる趣旨である。
  2. 財政の豊かな都道府県は、いくらでも高い給与を支給し、逆に豊かでなければ、極めて低い給与しか支給しないということは、好ましいことでない。しかるに現状では若干のいわゆる「富裕府県」において、一般平均に比して高い給与が支給されている反面、貧弱府県では昇給困難な事情が生じているほか、2・3の県では遂に俸給遅払をさえ現出している。
  3. かかる現状分析の結果、本特別委員会は、教員の給与制度それ自体の再検討の必要と共に、進んでは、その基盤をなしている地方財政の整備を計らなければならないことを痛感するに至った。
2 対策について
  1. まず第1に教員の給与制度の再検討についてであるが、それは概括的には一般の職員の職務とは異った教員の職務の特殊性を検討して、これに即応した給与制度を考えてみる必要があるのではないか。すくなくとも次の4点は検討の要があると考える。
    イ 現行給与制度の前提となっている職階の考え方において、教員の職務の特性は十分に考慮されていないばかりか、制度上それは過渡的なものでもあるので、教員としての職務に応ずる給与体系が整備される必要があること。
    ロ 現行公立義務教育学校の教員の給与負担制度について、たとえば国・都道府県・市町村間の負担区分、あるいは国庫負担の最高限度に関する政令等、検討を要する問題が幾多考えられること。
    ハ 公立義務教育学校の教員の勤務の実態に即応する給与種目、特に宿日直手当・単級複式手当・へき地手当・退職手当等の諸手当等の整備充実をはかる必要があること。
    ニ 国立学校教員の給与の種類と額とを基準とするという現行規定は漠然とし過ぎているので、内容的に基準となり得るものとなりえないものを検討し整理する必要があること。
  2. 第2に地方財政の困窮が今日強く訴えられその原因としてしばしば人件費、とりわけ教員給与費が問題とされているが、地方財政の破たんを顧みないような不当な給与費がはたしてどの程度支払われているか甚だ疑問である。最近の児童生徒の増加は不可避であり、これに伴う教員増も当然のことである。もっとも教員組織の合理化によって教員数の濫増は避けるべきであるが、義務教育の立場からは、これらの事情を無視して単に給与費総額の大きいことのみを責めることは無理であるといわなければなるまい。
    給与費をまかなう母体である地方財政自体の整備充実を根本的にはかり、もって給与問題の安定を期すべきである。
  3. 第3に給与問題と不可分の関連にある教員定数問題についても考慮する必要がある。給与費の増加を避けるために必要な教員数をも充たし得ないことは、結局教育水準の低下を来たすこととなる。したがって合理的な教員定数算定基準を含む広い意味での学校基準を設定することがぜひ必要と考える。

(付)給与三本建について

 いわゆる給与三本建の問題は、本委員会が設置された当時から、世間の問題となっていたこととて、当初この点から検討を加えて行ったのであるが、終局において本答申案の対策の1で述べているように、教員給与制度の再検討は教員としての職務の特殊性をはっきりつかむことが前提であり、それが明らかになれば教員としての職階もおのずからきめられるであろうし、またこれらの検討過程において、必要があれば三本建の問題にも触れることになるであろう。それゆえ他の問題と切離してひとり三本建だけを取り上げてその是非を論ずることは不可であり、それは教員給与制度全体の問題の検討の中に含まれるものであるという考えに落ちつき、さらに本答申案は、教員の中の義務教育学校教員の給与について論じた等の点から、直接現行三本建給与の是非に関する意見は、本特別委員会の結論としては触れないことにした次第である。

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