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教員の政治的中立性維持に関する答申 (第3回答申(昭和29年1月18日))

昭和29年1月18日
生涯学習政策局政策課

3 教員の政治的中立性維持に関する答申

(答申)

昭和29年1月18日
文部大臣 大達 茂雄 殿

中央教育審議会会長
亀山 直人

教員の政治的中立性維持に関する答申

 本審議会は、特に高等学校以下の教員の政治的中立性維持を必要と認め、そのために特別委員会を設けて審議しました。その特別委員会の到達した結論を本審議会総会においてさらに慎重に審議した結果、次の結論に到達しましたから、答申いたします。

1 公務員の身分を有する教員は、他の一般公務員と等しく、国家公務員法または地方公務員法によって、政治的行為の制限を受けているが、さらに教育基本法はすべての教員に対し、一定の政治的活動禁止の規定を設けている。これは教育の中立性を重視し、教員をして特定の政治的活動から、中立を守らしめようとする趣旨に出でたものである。ことに高等学校以下の生徒・児童は、あえて説くまでもなく心身未成熟の理由から、あるいは経済上の能力を、あるいは法律上の能力を制限されているものである。したがってその政治意識においても、正確な判断をするにはいまだ十分に発達をしていないのであるから、教育のいかんによっては、容易に右とも左ともなりうるものである。しかるにかれらに対して、強い指導力・感化力を有する教員が、自己の信奉する特定の政治思想を鼓吹したり、またはその反対の考え方を否認攻撃したりするがごときは、いかなる理由によるも許さるべきことではない。教員の政治的中立性に関する諸問題はすべてこの原則を基本として、解決されなければならないと考える。
 もとより一切の表現の自由は、憲法上すべての国民に対し、保障されているものであるから、教員をして政治的中立性を守らしむる範囲も、公共の福祉のために必要な程度に限定すべく、なるべく学生・生徒・児童に対する直接の活動の範囲に止むべきものであり、現行法令の制約も大体この点に限界を設けているのである。
 しかしながら、たとえ間接の政治的活動といえども、近来のように教員の組合活動が、政治的団体の活動と、選ぶところがない状態となってきたのでは、いまだ批判力の十分でない高等学校以下の生徒・児童に対する影響は、まことに看過するを得ないものがある。

2 教員の政治的活動が、今日いかなる実情にあるかについて、本審議会としては法務または警察当局の助力を求めて、いまだ公表せられざる事実を調査するがごときは、これを避くべきことと信ずるので、あえてこれをなさず、もっぱら周知の資料のみによることとした。
 その資料の1は日本教職員組合運動であるところの全国大会において、決議した運動基本方針および闘争目標である。本答申に添付したその要項について見るに、特に説明を加える必要もないが、その多くが政治的活動であり、かつ、これが特定の政党を支持するものであるかどうかは別として、著しく一方に偏向していることは否定することを得ない。なお、そのうち1953年度の基本方針の中で「再軍備を基としたファッショ的な文教政策から子供を守るために」とあるは、原案では「天皇制復活を主軸としたファッショ的な文教政策から子供を守るために」とあったものを討議の結果修正されたものであるが、いずれにしても文教政策に対するかような考え方は、中立であるとは言えない。
 その資料の2は日本教職員組合の文化活動であるところの教育研究大会の第2回大会報告書「日本の教育」である。この教育研究大会の趣旨性格は、右の「日本の教育」について明白にされており、特定の政治的意図のもとに、組合員たる教員が教育を行うことを期待しているのである。(もちろんこのことは各部門の報告研究の教育的価値を否定するものではないことを付記する。)当時の日教組中央執行委員長岡三郎氏は「刊行によせて」と題する「日本の教育」序文において「教育の軍国主義化を確立するために躍起となっている反動陣営の文教政策と対決」するために、この報告書に集約された研究活動の成果を活用されることを要望しているが、こういう断定はあまりにも政治的であり、またあまりにも一方的である。
 また本文「本書の内容について」の中に「教研大会がわれわれ教師の基本的歴史的課題として、平和と独立のための教育体制の確立を目ざして行われたということが、本書の内容を決定している。安保条約と行政協定とを抱き合せとして成立した片面講和条約の結果として、われわれ日本人が現在当面している状況が、政治・経済のあり方ばかりでなく、いかに深く教育の場面にそれを歪めるように作用しているかを究明することを通じて日本の国民と子供の真の幸福のために、われわれはどのように教育のしくみを変えていかなければならないかを追求するのが本書の課題である。」と説明している。平和・安保両条約に賛成し、または反対し、あるいはその一つに賛成して他に反対した政党があるのだから、右は明らかに特定政党の政策を支持しているものと見られる。
 また、両条約成立の結果、教育をゆがめていると結論することは一つの意見であるが、しかし一方に偏した政治的見解であり、すくなくともかかる考え方で、年少者に対する教育をなすことはきわめて不穏当である。現に社会科の教科書においては、右両条約を研究および討論の課題として示しているものもあるから、この場合、組合の研究大会において指導されている組合員たる教員の指導が、その生徒・児童の政治意識に対して、いかなる影響を与えるかはあえて説明するまでもない。

3 教員の政治的中立性に関する問題のうち最も重要なるは、高等学校・中学校・小学校教員の大部分を包容する日教組の行動があまりに政治的であり、しかもあまりに一方に偏向している点と、その決議、その運動方針が組合員たる50万の教員を拘束している点とその教員の授業を受くる1,800万の心身未成熟の生徒・児童の存在する点とにある。
 日教組が地方公務員法に基く職員団体の任意の連合体であり、その結成そのものはもとより自由であろうが、その活動の現状をみるに前述のとおりであって、その組合員たる教員が、組合の政治的方針を学校内に持ち込んで、直接教育に当ることあるを考えれば、まことに憂慮にたえないものがある。もちろん、現在すべての教育がかくのごとくであるとは信じないけれども、これを放任することは、やがて救うべからざる事態を惹起するであろう。
 したがって教員の組織する職員団体およびその連合体が、年少者の純白な政治意識に対し、一方に偏向した政治的指導を与える機会を絶無ならしむるよう適当な措置を講ずべきである。

4 なお、前述の外、教育の政治的中立性確保のために、左の諸項の実現を期することも必要であると考える。
イ.協議会の開催等の方法により、文部省と教育委員会との連絡をいっそう緊密にすること。
ロ.教育委員会委員の選挙に関し、教職員は退職後、一定期間経過しなければ立候補できないものとすること(本項については第1回答申においてもすでに述べたところである)。
ハ.教科用図書以外の図書、たとえば夏休み日記のごときものを使用しようとするときは、あらかじめ校長から教育委員会に届出でしむること。なお、右に関する文部省または委員会の権限を規定すること。

(添付) 最近の日教組の運動方針

1.1950年度

 1949年度におけるわれわれの生活は、困窮と圧迫の強化に終始されてきた。政府はドッジラインに藉口して労働者の賃下げと首切り、中小企業の倒産、農村の恐慌等大衆収奪のデフレ恐慌をおし進めている。とくに教育の面においては、義務教育費の地方移譲という方向でうち出され、義務教育を混乱させ、低下させる反動政策であって世界的教育思潮に逆行するものである。なお教職員の政治活動の禁止と職制の強化は政治的首切りと相まって再び教育を暗黒に追いこみつつある。
 これとともに重大なことは、日本の国際社会復帰を宣伝して、単独講和止むなしとの暴論を世論化しようとすることである。このことは日本を軍事基地化たらしめ、憲法に違反し、民族の独立と自由とに脅威を与えるものである。
 われわれは、いまこそ働く者の生活と基本的権利を守り、民族の独立と平和を達成せんとする勤労大衆の強力な闘いをおし進めなければならない。

《基本方針》
  1. われわれは闘争の最大力点を組合員の日常闘争におき、絶えずその要求を引出し、職場から地区・府県・中央へと発展させて闘う。
  2. われわれは、中央・地方の統一組織をさらに拡大強化してゆくとともに、共通の目標についてはできるかぎり広範な共同闘争を行う。
  3. われわれは、労働組合としての基本的権利と組合員の基本的人権に加えられた諸種の圧迫を排して闘う。
  4. われわれは思想的対立・学校種別などによる組織の動揺を積極的に克服して強力に闘いを進める。
《闘争の目標と具体的闘争方針》
  1. 労働基本権の奪還
    1) 団体交渉権・労働協約締結権の確立
    2) 政治活動の自由確保
    3) 諸弾圧に対する闘争
    4) 職制強化に対する闘争
  2. 生活権の確保
    1) 最低賃金の獲得
    2) 6・3ベースと職階制の打破
    3) 首切り行政整理反対
    4) 大衆課税と強制寄付に反対
    5) 教職員給与の不合理是正と教育職員特別俸給表の制定
    6) 学校関係職員の給与の合理化と増額
    7) 私立学校教職員の給与改善
    8) 社会保障制度の確立
  3. 教育財政の確立
    1) 義務教育費大巾国庫負担を基本とする標準教育費法(仮称)を単独法とする。現在の政府原案である標準義務教育費法案は国庫の支出義務を放棄し、教育費の地方移譲を企画したもので、標準単価は義務教育費全額無償という憲法の精神とはるかに懸隔を生じている。われわれは全額無償の基本線に立って闘う。
    2) 6・3建築ならびに災害復旧建築予算の大巾獲得
    3) 免許法講習に必要な経費の全額を予算化する。
    4) 新制大学実施に必要なる予算ならびに研究費を大巾に獲得し、とくに国立大学に必要な経費は全額国庫負担を獲得する。
    5) 新学制の完全実施を図るため、教育施設の改善充実をはかる。
  4. 教育文化の建設
    1) 教育行政の民主化
    2) 教育の機会均等の徹底
    3) 職能的組織ならびにその運営の民主化
    4) 教員養成の施設・制度の改革
    5) 教育内容の充実
    6) 反動頽廃文化の排撃および民族文化の擁護
  5. 平和運動の展開
    1) 民主主義的諸権利の確保
    2) 軍事基地化反対
    3) 民族の独立
    4) 全面講和即時締結
    5) 平和教育の徹底

2.1951年度

《基本方針》

 日本の独立と平和を勝ち抜く1951年度における日教組の任務は重大である。われわれは全組織の行動力を最大に発揮して闘わねばならない。

  1. われわれの生活と権利を守るとともに日常の教育活動を通じ一つ一つの反動的現象と自ら取り組み、自主的教育の確立を図り、民主主義を守り続けるとともに広く父兄大衆と提携して、職場を防衛し、青少年全体の幸福を守り抜かなければならない。
  2. 1951年は、民族の運命を決する講和の年である。われわれは、真の平和と自由と独立を勝ちとるために、全面講和の締結、軍事基地提供反対、中立堅持、再軍備反対の4原則を労働階級の立場として堅持し、これが実現のため広範にして根強い平和運動を国民とともに展開し、連合国全体に対して、明確な意志表示を行わなければならない。
  3. このため、われわれの階級的立場を確認し、自らの組織の強化を図るとともに、労働戦線の拡大統一を計り、職場闘争を基底とした大衆行動を盛り上げ、あまねく大衆に訴えて世論を喚起し反動攻勢に打ち勝たねばならない。
《闘争の目標》
  1. 生活を守る闘い
    1) 給与ベース改訂と職階制の打破
    2) 各種給与の改善
    3) 行政整理・首切り反対
    4) 社会保障制度の確立
    5) 福祉施設強化と資本家本位の統制反対
    6) 大衆課税・強制寄付反対
  2. 権利を守る闘い
    1) 労働基本権の奪還
    2) 政治活動の自由確保
    3) 言論・思想・学問の自由確保
    4) 集会デモ等大衆行動の自由確保
  3. 自主的教育確立の闘い
    1) 教育内容の自主的確立
    2) 民族文化の擁護
    3) 平和教育の徹底
    4) 教育財政の確立
    5) 教育行政の民主化
  4. 免許法闘争
     3月21日両院を通過した免許法並びに施行法改正は、当初われわれが企画した方向とは、その体系において異なることを確認する。本問題は組合員一人一人にとつて切実な問題だけに、改正免許法ならびに施行法の趣旨を充分把握させ、あくまで既得権回復を目ざすよう抜本的改正を闘う。
  5. 平和を守る闘い
    1) 全面講話・中立堅持・軍事基地提供反対の要求を堅持し、再軍備に反対する。
     上の目標を生活を守る闘いに結びつけ、政府・資本家陣営の勤労大衆を犠牲にする経済政策並びに研究・教育を戦争に奉仕させるファッショ的文教政策に対して反対して闘う。
    2) 多数講和にともなって、政府の企図する憲法の改正には絶対に反対し、平和憲法をあくまで守り抜く広範な大衆運動を展開する。

3.1952年度

《基本方針》

 民族の完全独立と世界平和に重大な危機を与える講和安保両条約の批准を強行した吉田内閣は、講和発効を契機として、祖国防衛の名のもとに、再軍備と憲法改正を主軸とする国内反動制を一挙に実現するため、今やかれらのもつ院内外の凡ての力を総動員して、われわれ民主勢力の前にその対決を迫つてきている。
 この重大段階に直面したわれわれ日教組50万は、さきに分析検討した内外の情勢を適確に把握し、階級的立場に立つて労農市民と提携し、つぎの基本方針を実現するために団結して闘う。

  1. 平和憲法を擁護し、平和確立のための世論を結集して闘う。
  2. 青少年の幸福と成長を守るため自主的な教育と文化を建設する。
  3. 生活を守り、基本的人権確保のため弾圧を排除して闘う。
  4. 独裁政治を打破し、勤労者のための政治を確立する。
《組織方針》
  1. 内部組織の強化
    1) 組合財政の確立
    2) 組合内部の民主化と組織の強化
    3) オルグ養成と組合員教育の徹底
    4) 青年・婦人の組織強化
  2. 外部組織の強化と労働戦線の統一
    1) 国内労働戦線の統一
    2) 国際的諸機関との提携
    3) 外部団体との提携強化
《闘争の目標》
  1. 平和確立の闘い
    1) 再軍備に反対する。
    2) 憲法の改正に反対する。
    3) 経済・文化交流と国際友好関係の促進
  2. 教育文化建設の闘い
    1) 平和と独立のための教育内容の充実
    2) 復古的・頽廃的文化の排撃と健全文化の育成
    3) 教育行政の民主化
    4) 教育財政の確立
  3. 生活と権利を守る闘い
    A 生活権の確保
    1) 最低賃金制の確立と職階制の打破
    2) 当面現行給与の向上を図るため次の目標の実現を期する。
    3) 社会保障制度の確立と福祉厚生施設の拡大強化
    4) 大衆課税と強制寄付とに反対する。
    5) 首切り行政整理に反対する。
    6) 料金値上げ反対と物価の引下げ
    7) 米価の適正価格の決定を促進するとともに米麦統制撤廃に反対する。
    B 基本的権利の確保
    1) 労働基本権の奪還
    2) 言論・思想・学問の自由確保
    3) 政治活動の自由確保
    4) 集会・デモ等大衆行動の自由確保

4.1953年度

《基本方針》
  1. 日本の平和と民族の独立を達成するため、戦争政策、とくに再軍備徴兵に反対し、平和擁護・中立堅持・全面講和を基本とする条約の改正、安保条約・行政協定の廃棄を主軸とした民族独立運動を広範に組織し、軍事基地撤去・外国軍隊撤退のため、国民統一戦線を結集して闘う。
  2. 全教職員の主権擁護、労働条件の改善、基本的諸権利の確保のため、弾圧をはねのけて闘う。
  3. 再軍備を基としたファッショの文教政策、植民地頽廃文化からこどもを守るため、平和と独立に連結した民主的教育体制強化のために闘う。
  4. 全組合員の意識と団結を強化するため、徹底した学習運動の展開、日常闘争の強化、反動勢力に対抗できる救援体制の整備拡充をはかる。
  5. あらゆる分裂活動を排除して総評を中心とした全労働戦線の統一強化をはかるとともに、労働者・農漁民・市民・学生・文化人・青婦人等との組織的提携を速かに具体化し、統一行動による大衆闘争を強化して闘う。
  6. 国際的労働組織の提携を強化して闘う。国際労連の西欧偏向性を是正し、アジア諸国、とくに中国との提携をはかり、世界の労働組織との情報交換・交流を図る。
  7. 日本の独裁政治に反対し、独占資本擁護・向米一辺倒の政治体制を打破して、勤労大衆の生活と平和を守り抜く民主政権樹立のため闘う。
《闘争の目標》

 昨年の闘争の自己批判と情報分析に基き、7つの基本方針を実現するため、次の諸目標をかかげて闘う。

  1. 平和と独立を守る闘い
    1) 再軍備・徴兵に反対する。
    2) 平和憲法改正に反対する。
    3) 講和条約改正・安保条約・行政協定破棄の闘いを行う。
    4) 軍事基地の撤去、外国軍隊の撤退のために広く国民統一戦線を結集して闘う。
    5) アジア貿易と国際友好関係の促進
    6) 平和運動を積極的に展開する。
  2. 教育と文化を建設する闘い
    1) 平和と独立のための教育内容の強化
    2) 反動的・頽廃的文化の排撃と、民族文化の育成
    3) 教育行政の民主化
    4) 教育財政の確立
  3. 生活と権利を守る闘い
    1) 最低賃金制の確立と職階制の打破
    2) 社会保障制度の確立と福祉厚生施設の拡充強化
    3) 大衆課税と強制寄付に反対する。
    4) 首切り不当弾圧に反対する。
    5) 米麦統制撤廃反対と料金・物価の値上げ反対
    6) 労働基本権の奪還と団体行動権の確保
    7) 言論・思想・学問の自由確保
    8) 政治活動の自由確保
  4. 民主政治確立の闘い
     この闘いの重点は、民主主義の破壊とファッシズムに反対して、民主政治をいよいよ発展する積極的闘争として展開する。

(注 この資料は日教組から提出されたものである。)

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-- 登録:平成21年以前 --