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国語審議会 第2委員会(第17回) 議事要旨

1.日時

平成10年5月15日(金曜日) 午後2時30分~5時

2.場所

法曹会館 「富士の間」

3.出席者

委員

 水谷主査、小林副主査、樺島、小池、輿水、土谷、林、前田(富)、三次、緑川、渡邊 各委員(計11名)

文部科学省

 霜鳥文化部長、鎌田国語課長ほか関係官(浅松、清水、氏原、野村)

4.議事要旨

〔経過概要〕

  1. 前回の議事要旨を確認した。(清水補佐朗読)
  2. 論議の概要及び「表外漢字字体表」の本表のまとめ方について意見交換をした。
  3. 協議における主な意見は次のとおり。

○ 国語研究所で行った研究の結果などから、文字を読むときには字形の細部も意識されることが分かっており、それに関連して印刷文字の字体問題が生じているわけである。

○ この委員会の議論は、ワープロ等における字体の混乱をどうするかという実際的な問題と、文化の問題として字体問題をどう考えるかということが交錯しながら進んできたが、まず当座の現実対応を行い、漢字全体については今後長い時間を掛けて考えていく方が混乱しないという意見もある。

○ 大方針だけを示すという方針には賛成か。

○ やや違うが、それも一つの有力なやり方だと思う。私は、順番としては逆になるが、まずは現実的な対応として「これとこれは同じ漢字ですよ。」というような整理をし、将来的に大きな問題を考えていくのがいいのではないかという考えを持っている。

○ 「字体を扱うなら、漢字全体を理論的に扱えるように、一般化すべきである」という考えもあるが、これは大変なことであり、私は、国語審議会がやっていいことだとは思わない。2年や3年でできることでもない。

○ 国語審議会で表外字の字体問題を考えるときに、検討範囲を定めるところから出発した。JISにかかわる問題が発端であったが、現実に使われている漢字の範囲を調査し、その結果に基づいて検討範囲を決めてきたのである。すなわち全漢字を対象とするのではなく、例えば、大漢和辞典の全漢字を検討することは、国語審議会のやるべきことではないと思う。
 また、表内字にも「仏」と「沸」、「独」と「濁」、「仮」と「暇」など、部分字形を統一していないものがある。それを考えると、表外字についても現実に使われている字体に基づいて判断するという方針でよいと思う。

○ 大方針の考え方については問題ないと思うが、ユニコードとの関係で字体の混乱が起こるという指摘についてはどう考えるか。

○ 実際にはユニコードでなくUCSとの関係になる。表外漢字字体表が示されるとJISの字形を変えるかどうかという問題が生じる。それが変えられると、X-0208がUCSに入っているので、字形変更の問題が起こり得る。しかし、もっと大きな問題として、現在JISで第3・第4水準という規格を作っており、そこでは補助漢字に入っている漢字でも重複符号化が行われるということがある。第3・第4水準が国際規格に入った場合、重複符号化された漢字がどう扱われるかということの方が大きな問題である。

○ この委員会の課題は「区鳥・區鳥」などワープロ等における漢字の字体の問題であり、国際コードの問題ではないことを確認しておきたい。

○ 例えば「區鳥」が第3水準に搭載されれば解決するというのであれば、余り問題にならないと思う。

○ 以下、「第2委員会における論議の概要-6.3」の検討に入りたい。

○ 「前文」の中に、パソコンなどで使われている半導体の性能が加速度的に良くなっていることにより、かつてはできなかったことができるようになったというような記述が必要であると思う。

○ それは大事なことだが、本文に書くより、説明資料などを作るとすればその中に入れる方がよいと思う。

○ 今回は最終答申にはならないので、これから広く世の中の意見を聞いて、22期に最終的なものを出すのだという説明が要ると思う。

○ 以前から、漢字出現頻度数調査に疑問を持っていた。それは、ワープロで入力した原稿でも印刷所から出てくるものは康熙字典体に直っていることが多いという事実があるからだ。印刷会社では、常用漢字以外は正字を優先する。校正のときに略字体にしてほしいと言えばそうなるが、見落とせば旧字体になる。調査結果で意外と旧字体が多いのは、調査に問題があるからではないかと気になっている。

○ 逆に、入稿のときに康熙字典体で出したくても略字で出さざるを得ないということもある。つまり、最近は原稿をフロッピーかインターネットで送ることが多いのだが、その場合、意に反していても略字を用いざるを得ない。したがって、印刷文字については結果として出た印刷物で見ていかざるを得ないと思う。また、調査結果を見ると簡略体の漢字もある程度出ているわけだから、すべてが旧字体に変えられているということでもない。

○ 例えば、樋口一葉の「たけくらべ」は毛筆の草書で入稿したものが活字になったわけだ。原稿の筆者は、自分が手で書く字と活字になって出てくる字の字体は別のものだと意識していると思う。

○ 漢字出現頻度数調査の結果だけから答えを出すのではなく、調査結果を基礎(参考又は重要な資料)として個々の文字について判断したとするとよいのではないか。また、印刷された結果としての字形について論議しているけれども、印刷に至る段階における字形のことも頭に置いて考えたというニュアンスを出したらどうか。

○ これまでずっと「許容字体」としていた名称を「慣用字体」と変えたことについてはどう考えるか。

○ 明治以来の伝統的な印刷字体が「慣用字体」なのではないか。「現代の慣用字体」と限定を付ければよいか。ただし、単に「慣用字体」としても、それほど悪いとは思わないが。

○ 確かに、我々が「標準」とするものは慣用によって定めるわけだ。その端的な例は「餅」である。それと対立するものに「慣用」という名を付けることには抵抗を感じる。

○ 我々の判断が加わったという意味を込めるなら「慣用」はそぐわない。「許容字体」も悪くないと思えてきた。

○ 文字コードの問題にもっと直接的に触れなくてよいか。

○ 文字コードの問題は直接には文化庁の所管ではないので、文化庁や国語審議会がかかわるべき漢字字体についての書き方になっている今の形でよいのではないか。

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