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国語審議会 第2委員会(第14回) 議事要旨

1.日時

平成10年2月16日(月曜日) 午後2時30分~5時

2.場所

霞山会館 「うめ・さくらの間」

3.出席者

委員

水谷主査、小林副主査、樺島、小池、輿水、土谷、林、前田(富)、三次、緑川、渡邊各委員(計11名)

文部科学省

  大島国語課長ほか関係官(浅松、花立、氏原、野村)

4.議事要旨

〔経過概要〕

  1. 前回の議事要旨を確認した。(花立補佐朗読)
  2. 本委員会に先立って行われた第10回字体小委員会での審議状況について、事務局から説明し、その後、意見交換をした。
  3. 協議における主な意見は次のとおり。

○ 常用漢字表の漢字の配列は、原則として音に基づき、音のないものは訓によっている。それを考えると、漢字の音訓を取り交ぜた配列は、公的な資料としてこれでいいのかどうか疑問がある。便宜的・恣意的という批判があり得るのではないかと思う。常用漢字表と同じく、音による配列を基本としたい。

○ 最初は音によって配列する方針だったが、「岡」が「こう」、「尻」が「こう」、「誰」が「すい」では一般の人には分かりにくいだろうということで、取りあえず今の形にしたものである。

○ 袖は「しゅう」より「そで」の方が、餅は「へい」より「もち」の方が、頁は「けつ」より「ページ」の方が分かりやすい。音・訓とも使われるものは音優先でよいが、音を余り使わない字については訓の方がよいと思う。分かりやすい方、読みやすい方でいいのではないか。基本的には今の形に賛成である。

○ 訓で読むのは漢字を語として扱い、音で読むのは漢字を文字として扱うことになる。二つの基準によっているという批判を受けないようにするためには、音を中心にすべきかと思う。

○ 全部音の順で示した上で、読みにくいものについては更に訓でも示すという方法もあろう。

○ 頻度順の表もこのまま残し、50音順の表は音でも訓でも載せておくという方法もあるかと思う。「代表読み」としてあるが、一つの漢字に複数の読みを付けてもいいのではないか。

○ 字体表としては頻度順にして音も訓も示さず、検索の便宜のために、音でも訓でも引ける索引を付ければよいのではないか。

○ 当用漢字字体表は当用漢字表に重ねて読むことを前提としていた。そのため、字体表に音訓を示さなくてもよかったが、今回作成する表は表外字の字体表として単独で出されることになるので、本表に音や訓を付けないと、当該字体の字種の同定ができないのではないか。

○ 国語審議会が表外字字体表を示すのは国民の文字生活のためであり、そのためすべての漢字ではなく常用漢字とともに使われる漢字を検討対象としたのだいうことをはっきり示そうとし、また、JIS漢字の第1・第2水準を対象としたのではないということも明示しようとしたものである。分かりやすくするために、グラフを付けるとよいのではないか。
 検討した漢字の表は別表として付し、異体字のあるものを正表として出すのがよいと考える。別表を付すのは、「いわゆる康熙字典体を本則とする」としただけでは一般に分からないので、「康熙字典体」という言葉を使わずに示そうと思うからである。別表も頻度順とし、索引を付けるのがよいと思う。

○ このグラフでは常用漢字と表外字が対等に扱われており、表外字が多く使われているように見える。実際に表外字が使われる比率は低いので、誤解を招かない工夫が必要である。

○ 個人的には、上位2,000字までに出てくる表外字を常用漢字にし、それ以下の常用漢字を常用漢字表から削れ、というような意見が出てくることを恐れている。例えば1,500字と2,000字辺りで区切り、そこまでで全使用漢字の何パーセントがカバーされているかを示すような方法もあるかと思う。

○ 説明資料として補助的に使うのならそのようなやり方もあるかもしれないが、正資料としては慎重に考えるべきだと思う。我々が目標としているのは一般の人の日常生活にかかわる表外字の字体の標準を決めることである。現在までの検討の結果、いわゆる異体字の関係にあるものと、デザイン差の関係にあるものの二つがあることが分かってきたので、それらを区別して取り出し、整理して示すのがよいだろう。検討範囲のものを字種表として出すのは、別表といえども危険だと思う。

○ 字体小委員会でも、検討の土俵となった字種全体を字体表にそのまま載せるという考えと、字体・字形に問題のある漢字のみを表に載せるという二つの考え方がある。別表として検討範囲の漢字を示すというのは、その折衷案と言える。それぞれに賛否両論あるというのが現状である。常用漢字の比率のグラフを載せるかどうかについても、まだ決まっていない。

○ 「使用頻度順位」ではなく「累積使用度数」を横軸にとれば、表外字が多く使われているという誤解は防げると思う。

○ イメージで議論しても実際の感覚が分からないので判断しにくい。いろいろなアイデアを形にして出してもらって検討する方がいいと思う。

○ 「漢字出現頻度数調査」によって得られたものは、飽くまで出版メディアにおける頻度である。これは書き手の頻度とはズレていると思われるし、発行部数を勘案すると読み手の頻度とも違ったものになるだろうと思う。読み手の頻度を計るものがないので仕方がないが、そのことは意識しておく必要があるのではないか。

○ 我々が毎日目にする新聞はこの頻度数調査の対象外である。頻度数調査は貴重なものだと思うが、飽くまで一つの資料であり、一般の人が日常生活の中で目にする漢字の頻度とは相似形になっていないと思う。

○ 字体表の中で一字一字の頻度が問題になるのではない。今回の漢字出現頻度数調査は検討対象とする字種を決めるためのものであり、国立国語研究所でやっている、どの言葉がどういう頻度で出るかを調べるための調査とは違う。

○ 印刷文字の字体を決める枠組み作成のための資料としてはこれでよいと思う。私も初めはテレビの字幕なども含めて調査できればと考えたが、我々が使える材料ではない。印刷標準字体を決めるに当たっては、今回の調査に基づくことに大きな問題はないと思う。

○ 仕事の手順としては今のやり方でよいと判断できそうだが、答申には、標準字体を決める土台としての日本社会における漢字の使用状況を我々がどのように認知したかということについての論及も必要かもしれない。調査やそれに基づいて答申を出すことは大きく社会全体を対象とするが、一人一人の人間の生活も考えに入れて行わなければいけないということだと思う。例えば国立国語研究所では、人々がどういう字形の差異に注目して文字認知をしているかの研究をしており、そのような観点も参考になるかもしれない。

○ 第21期国語審議会ではこれまでに、明治以来の漢字政策についての資料や、新聞社の文字を含めた「字体・字形差一覧」も作成し、広く目配りをして検討してきた。さらに、字体小委員会には朝日新聞の記事データベースによる漢字頻度調査も紹介した。この朝日新聞の資料も、必要なら第2委員会に提出したい。

○ 答申以外に報告書を出せるといいと思う。これだけ膨大な調査を実施し、それを基に答申を出すわけだが、背景となる資料が公表されないと、答申に現れた文字だけを検討したように受け取って批判する向きもないとは言えないであろう。

○ 本表は、最小の「JISで問題になっている29字」から、最大の「検討対象とした全字種」まで想定できる。字体差が問題となっている漢字だけの表を本表とする場合にも、デザイン差の問題なので本表では扱わない漢字についての説明が必要であろう。また、常用漢字や人名漢字を一覧にして共に示すべきだという意見も出ている。

○ 例えば「茨」と「茨」については、常用漢字表の「字体についての解説」にある「明朝体活字のデザインについて」の「点か、棒(画)かに関する例」を適用して、デザインの差であると判定できる。このように、常用漢字表の考え方を当てはめると、かなりの問題をカバーできるが、「闇」という字の中の「音」の点が立っているものと「一」になっているものをデザイン差とすべきかどうかや、「牙」と「牙」の違いをデザイン差とすべきかどうかについては、新たな判断を下す必要があると思われる。

○ 常用漢字表の考え方はこのまま踏襲し、例えば「「牙」と「牙」は画数が違うので字体差である」というように付け加えて示せばよいと思う。

○ 「論議の概要-5.1」の3ページの「2 表外字字体表の性格」は、その上にある1の(3)の「ア.表外字字体表が示す字体の範囲及びその理由」とまとめられるのではないか。

○ 同じく3ページにある「3 字体・書体・字形にかかわる問題とその考え方」の(2)は、「ここでは活字体を問題にし、筆写体は扱わない」ということをどこかに書けばよいということだろう。(3)もほかのところと一緒にすればよい。(4)はむしろ触れない方がよいと思われる。したがって、(2)(3)(4)はここに置く必要がないのではないか。

○ その下の(5)は常用漢字表の字体についての解説を下敷きにして書くことになるのではないか。また、「2.印刷標準字体の選定にかかわること」の内容は、いずれは「1.」と字体表の中に溶け込んでいくことになるだろう。5ページの「3  字体の提示にかかわる考え方」の(3)については、「印刷文字字形の認知の仕方が分かるような提示の仕方」を今後工夫しなければならない。

○ ほかでは「印刷文字」となっているのに、3ページの3の(2)だけ「活字体」という言葉が使われているというような問題もある。しかし、本体の表ができていく過程で細部の書きようがはっきりしていくと思われるので、今はいろいろな部分について意見を出しておき、後で一気に全体を整理するのがよいと思われる。

○ 4ページにある学校教育との関係についてはどう考えるべきか。

○ 我々は常用漢字表外のことをやっているので、学校教育とのかかわりは薄いと思われるが、例えば、教科書で「森鴎外」の「鴎(鴎)」や「芥川龍之介」の「龍(竜)」をどう書くかについて触れるという考え方もあろう。

○ 学校教育との関係については、常用漢字表の答申文に「その他 関連する事項」として、「学校教育においては、常用漢字表の趣旨、内容を考慮して漢字の教育が適切に行われることが望ましい。」「(義務教育期間における漢字の指導の)扱いについては、従来の漢字の教育の経緯を踏まえ、かつ、児童生徒の発達段階等に十分配慮した、別途の教育上の適切な措置にゆだねることとする。」とあるような、抽象的な書き方にとどめるべきであろう。

○ 国際的な文字コードの問題は、現時点で我々がどの機関にどうせよと言える問題ではないので、触れるべきではないと考える。

○ 最近、CD-ROMの出版物が増えているが、文字コードに入っていないために、書籍にはある文字がCD-ROMでは出てこないということが問題になっている。このようなことには触れなくてよいか。

○ それは国内規格の問題であり、我々の課題とは直接関係がない。また、国際的な文字コードの問題に関しては、我々がそれを認識しているということだけを書いて、文字コードには関与しないとするか、こちらの決定を反映してほしいと書くかのどちらかではないか。

○ 漢字の字体に関する我々の検討結果はJISに取り入れてもらい、必要な手直しをしてもらいたいと考えている。それとは別の純然たる文字コードの問題は基本的に工業規格の問題であるから、それぞれの部署でしっかりやってもらいたいが、最近、文芸家協会などからいろいろな意見が出ている。いずれにせよ字体の問題を解決することが先決である。

○ 「論議の概要」の総論は前回の委員会の時と変わっているか。

○ 「論議の概要」の中身については、12月の総会以来、全く変わっていない。

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