ここからサイトの主なメニューです

2.技術の進展に伴う著作物等の保護・活用の変化

 技術の進展は、高品質で大量の複製を可能にするなど、著作権者等の権利を脅かす恐れももたらしたが、一方で、著作物等の複製等を技術的にコントロールすることも可能にし、このような技術を活用することによって著作権者等が安心してその著作物等を市場に供給することができるようになるとともに、消費者にとっても様々な消費形態が可能となり、多くのメリットを享受できるようになった。しかし、このような技術を無効ならしめるような手段が現れたため、著作権者等の権利を実効あらしめ、また著作物等の適正な流通・活用を確保するという観点から、このような技術的保護手段を回避する等の行為を規制するための法的なルールを定めることが重要である。

 近年の著作権を取り巻く技術の急速な進展は、著作権の在り方に大きな影響を与えてきている。
 まず、録音録画機器や複写機等の複製機器の性能が著しく向上し、さらに価格も低廉になり、操作も簡単になったことにより、従来は一般には行うことができなかった高品質かつ大量の複製を行うことが可能となった。特にデジタル化の進展により、誰もが簡単に、高品質でほとんど劣化しない複製を行うことが可能となったことがこの傾向に拍車をかけている。
 また、インターネットの爆発的な普及など、ネットワーク化の進展が、デジタル化の進展と相俟って、誰もがどこでも簡単にあらゆる場所のネットワーク上の著作物等にアクセスしたり、自らが発信者となることができるという状況を作り出している。
 これらの状況は、消費者に対して著作物等の新たな消費形態を提供するのみならず、著作権者等に対してもネットワーク上での著作物等の流通など著作物等の取引のための新たな市場を提供することとなった。
 他方、このようなデジタル化・ネットワーク化の進展は、著作権者等の許諾を得ない高品質の複製物が著作権者等の知らないうちに大量に出回り、ネットワークを通じて拡散し、様々な形で用いられるという懸念を著作権者等に抱かせるようになっている。このことに適切に対応できない場合には、著作権者等がその著作物等をこのような新たな市場に置くことを躊躇したり、無断複製等による利益の損失を価格に上乗せするなどの手段を取ることが予想されるため、ハードは進化しても魅力あるソフトが不足するという事態を招くおそれがある。
 しかし、技術の進展、特にデジタル化の進展は、同時に、このような状況においても適切に著作物等の複製等をコントロールする技術、すなわち技術的保護手段を生み出すこととなり、このような技術を活用することによって著作権者等が安心してその著作物等を取引市場に供給することができるようになった。例えば従来は、著作物等が違法に複製されても、そのような行為は海賊版業者や個々の会社等の内部で行われる行為であるため、それを防ぐことは容易ではなかったが、技術の進展によりそのような場における複製をある程度困難にすることが可能になったのである。またこのような技術の活用により消費者にとっても、ソフトの供給が促進されるとともに、今後は利用回数などの利用条件に応じてのきめ細かいサービスが適正な価格で提供されることなども可能となるため、より多様な形で著作物等による恩恵を受けることができるなど、多くのメリットを享受することも期待できる。
 しかしながら、技術は技術によって破られるといわれるように、技術的保護手段の効果を無効ならしめる手段も登場している。このような事態を放置することは、これまで築き上げられてきた技術的保護手段を前提とした著作物等の取引秩序を崩壊させ、著作権者等が再びその著作物等を市場に置くことを躊躇するなどの、著作権者等にも消費者にもデメリットとなる事態が生じかねないことから、このような事態を誘引する不正な行為については一定の規制が必要であると考えられる。もちろん、近年の技術の進展の速度は正に日進月歩の勢いであることから、この種の規制が技術の進展を妨げるものではあってはならないが、著作物等の適正な流通や著作権者等の権利を確保するために生み出された技術的保護手段を不当に回避することに対しては、これを規制するための法的なルールを定めることが重要であると考えられる。

(注)本中間まとめにおける用語の意味は、以下のとおりである。
 「著作権等」は、著作権及び著作隣接権を指す。
 「著作権者等」とは、著作権者、著作隣接権者を指す。
 「著作物等」とは、著作権等の権利の対象となる著作物、実演等を指す。
 「利用」とは、複製や公衆送信等著作権等の支分権に基づく行為を指す。
 「使用」とは、著作物を見る、聞く等のような単なる著作物等の享受を指す。

お問合せ先

文化庁文化部著作権課

-- 登録:平成21年以前 --