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著作権審議会 第1小委員会(第19回) 議事要旨

1.日時

平成12年10月20日(金曜日) 14時~16時

2.場所

三田共用会議所 大会議室D・E

3.議題

  1. 開会
  2. 資料説明
  3. 議事
  4. 閉会

4.出席者

委員

北川会長、齊藤主査、川井、渋谷、土井、道垣内、土肥、野村、半田、松田の各委員

文部科学省

林審議官、吉田著作権課長、尾崎マルチメディア著作権室長、その他の担当官

5.議事要旨

1 開会

 事務局より、議事及び配付資料の確認が行われた。

2 資料説明

 事務局より「視聴覚的実演に関する条約草案等における人格権及び遡及効の規定について」、「WIPO実演・レコード条約の締結に係る改正事項についての団体意見」、「WIPO実演・レコード条約の締結に係る改正事項検討項目(案)」、「著作権法改正検討事項に関する意見(新聞協会)」及び「国等の著作物に係る著作権の制限について検討項目(案)」について説明があった。

3 議事(○ :委員、△ :事務局)

(1)WIPO実演・レコード条約の締結に係る改正事項について

○ 保護期間について、起算点を固定後50年から発行後50年にするということは、固定から発行するまでは権利がないのか。

△ これは終期を変更することを意図したものであり、現行法第101条と規定の仕方は同じである。よってもちろん固定から発行するまでも権利は存在する。

○ 人格権の遡及効については、改正前の行為にまで遡及させるということではなく、改正前の行為の結果が改正後に残っているものについての問題ではないか。混乱回避の観点から遡及させない方がいいと考えるが、遡及させることについてどのようなメリット・デメリットがあるのか。

△ 音については実態として人格権を認めることについて大きな問題は生じず、今のところ遡及したとしても特にデメリットはないと考えているが、予測できない問題のために慎重に検討したい。

○ 条約締結と我が国の法改正との関係はどうなっているか。

△ WIPO実演・レコード条約締結と同時に著作権法改正をするというセットのものと認識している。条約締結の手続がどうなるかによって法改正の対応が決まってくる。事務局としても条約早期締結に向けて次期通常国会で条約承認できるよう要請中であるが、難しい状況である。一方年内にWIPO視聴覚的実演に関する条約についての外交会議もあり、これとの整合性を見ながら法改正のタイミングを図っていきたい。

○ 氏名表示権について、「実演の利用の態様により省略することがやむを得ない場合」というのは、英訳として表現が強すぎるのではないか。

△ 文化庁作成の参考訳であるので、修正可能である。視聴覚的実演の外交会議の場でもここの部分についての日本国の英訳に問題があるとの指摘を受けた。

△ 我が国の現行法における著作者の氏名表示権については「著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるとき」と規定しており、おそらく立法するときにはこの規定に沿った形になると思われる。

○ 同一性保持権について、「同一性保持権」と「自己の声望を害されない行為」との概念の使い分けはどうなっているのか。

△ 同一性保持権は実演自体を改変することについての権利である。現行法113条5項の「名誉又は声望を害する方法」の表現は、実演自体が改変されるわけではないが、その利用方法により人格権を侵害される場合を規定するものである。一方、WIPO実演・レコード条約第5条は実演家の同一性保持権を規定しているが、これを「自己の声望を害するおそれのあるもの」に限定すべきかは御意見を伺いたい。

○ 集団的実演について、個々の実演家に人格権を認められない場合があるのではないか。例えばオーケストラの構成員一人一人につき人格権は認めにくく、むしろ全体としての演奏に意義がある。また、死後の人格的利益についてはどう考えているか。

△ 死後の人格的利益については条約上の義務でもあり、国内法でも規定する必要があると考えている。実演家の人格権については、原則としては実演家一人一人に人格権を認められる。その上で集団的実演の場合は、それを共同著作物のように捉えるか、全体で一つの著作物と考えるか、あるいは法人著作の概念を導入するのかについて、議論があるところである。

○ 団体が人格権を持つ場合には、前提として団体に権利能力がなければならない。大きな組織を構成するオーケストラ等はよいが、例えば三重奏・四重奏のような場合は、権利能力を認めることができるだろうか。

△ 確かに小グループについてどこまで団体としての人格権を持つのかは問題である。

(2)国等の著作物に係る著作権の制限について

○ 「定期刊行物」という用語に刊行物とホームページにアップロードされているものも含めて広く考えるといいのではないか。

○ 「刊行物」の用語は本来は出版を念頭に置いていたが、最近はCD-ROM等の電子出版も一般化してきており、電子媒体を含めることについても問題ないと考える。解釈上疑義があるなら例示として盛り込めばよい。

○ CD-ROMの本を出版した経験によると、トーハン、日販ではまだCD-ROMを本とみる価値観がなく、物扱いであった。いまだ社会的に認識の相違がある。

△ トーハン、日販ということになると再販の問題も絡んでくる。

○ 本に折り込みでCD-ROMがついていることが多く、区別するのがおかしい。

○ インターネットが普及しているので、国等の著作物を自由にインターネットに載せることについても併せて検討すべきでないか。

△ 国等の著作物については、第32条第2項により、紙媒体であろうが電子媒体であろうがそれを刊行物に転載することができる。ただ「転載」に公衆送信を含めて考えるには無理があるので、もしインターネットへ載せることも含めるのであれば、条文修正が必要となる。

○ インターネット上に引用する場合は問題ないとすると、「転載」と「引用」の違いは何か。

△ 「引用」は主従関係による分量の制限があるのに対し、「転載」は説明の材料という目的上の制限がある以外は自由に行えるという点で異なる。

○ 国等のインターネット上の著作物に対して、リンクをはっておきさえすれば実際上問題ないのではないか。

△ 新聞社の書いた記事の中に国等の著作物が入ってくる場合もあり、そのような場合は異なる。

○ 第39条第1項による転載には含まれないか。「政治上、経済上又は社会上」というのは国に関するほとんど全ての分野を網羅しているので、国等の著作物も対象になるのではないか。

△ 第39条第1項により転載できる「論説」は、いわゆる新聞社等の社説のような、主張が表れたものと従来から解されており、国等の著作物のような解説を主としたものはこれには含まないと考える。

○ 今の議論によると、第32条第2項の「転載」とは複製に限定されると思われる。そうすると、「公衆送信できる」といった文言を加えないと、電子媒体を含むことはできないのではないか。

△ そもそもこの問題は、最近電子媒体の刊行物が増えてきたことから、電子媒体への転載を検討しようとしたものであるが、電子媒体で発行するだけでなく、インターネット上に載せるということもあり、将来的には公衆送信も検討しなければならないと考えている。ただ、公衆送信を認めると誰でも報道目的であると強弁されてしまう可能性がある。

○ 電子媒体を含めても、「新聞紙、雑誌その他の刊行物」という条文として同じ趣旨になるかどうかが問題である。

○ 電子媒体から電子媒体へ、例えばホームページから更にホームページに転載するような場合は、条文の元の趣旨からして抵抗がないであろう。しかし紙媒体から電子媒体へ転載する場合は、データの質が変わるので検討が必要である。

○ 現行法第39条について、新聞紙等の論説は放送等ができるのに対し、放送等の中の論説は新聞紙等に転載できない形になっているのは均衡を欠くので、早く改正した方がよい。

△ 関係団体と意見交換をしたところによると、そもそも放送の中に論説のようなものはなく、あくまで解説であると聞いている。本条も、実際新聞社同士ではあまり利用されていない。むしろ39条を拡大することによって、各新聞記事をクリッピングサービス等に利用し、自らを報道と主張されるおそれがある。

○ 法改正は状況が変わる前後のどちらに行われるものなのか。

△ ある程度根拠となる実態がないと、法改正はできない。一方実態が完全に固まるのを待っていては遅い。状況を見て適宜対処していく所存である。新しい問題として、例えば図書館や教育利用等の問題の審議はマルチメディア小委員会で適宜行っている。

○ 細かい分野をマルチメディア小委員会という限った所だけでやるのは問題である。広く大きな問題を審議する場と細部を審議する場との線引きに留意してほしい。

4 閉会

 事務局から次回の日程につき連絡があり、閉会となった。

お問合せ先

文化庁長官官房著作権課

-- 登録:平成21年以前 --