【参考資料2】国立研究開発法人海洋研究開発機構の評価に係る審議の過程で得られた法人の運営や研究開発制度・運営の改善に向けた意見(報告書)(平成28年7月)

国立研究開発法人海洋研究開発機構の評価に係る審議の過程で得られた法人の運営や研究開発制度・運営の改善に向けた意見(報告書)


海洋研究開発機構部会

 評価書に記載の個々の事業等に関する意見のほか、以下1~3のとおりの主な意見が出されたので報告する。


1 国立研究開発法人海洋研究開発機構の評価に関する主な意見

〔中期目標との関係をより明らかにした評価の実施〕
○ 今年度は部会における評価プロセスに、中期目標をフローチャート化して、取組→アウトプット→アウトカム→インパクトの関係を見える化するという新たな取組を導入した。また、機構においては、中期目標・計画を達成するためのロードマップを明示し、自らの取組がどのように進捗しているかを明確にするよう努めた。
○ これにより、評価に際して、機構の取組や成果が、中期目標上のアウトプット・アウトカムにどのように貢献するか、また、アウトプット・アウトカムに向けてどのように進捗しているのかが分かりやすくなり、「研究成果の最大化」という観点からの評価を行うに当たり有用なツールとなり得ることがわかった。
○ 一方、特にフローチャートについては、既に機構内部での自己評価が進んだ段階で導入されたこともあり、機構側の説明では、これらのツールが必ずしも有効に使われてはいなかった。来年度からの自己評価においては、当初よりこうしたツールを活用し、中期目標・計画の達成、そして「研究成果の最大化」に向けてどのように工夫しながら取り組んでいるか等を明らかにしていくことが期待される。

〔評価の基本的な考え方の明示〕
○ 機構の自己評価においては、昨年度の部会で自己評価が抑制的というコメントがあったことも踏まえ、特筆すべき成果を積極的にアピールするという方向で評価を実施してきた。
○ これに対し、評価側としては、前述のフローチャート及びロードマップを活用しつつ、中期目標上のアウトカムとの関係を重視し法人評価を行うという基本的スタンスを明示して評価を実施した。また、そうした基本的スタンスを踏まえて、機構の取組や評価において不足している点についても指摘するように努めた。
○ 今後、機構において、アウトカムとの関連での評価がより意識されるようになれば、成果の社会的有意性等に対する理解が深まり実効が上がると考える。

〔項目別評定の課題〕
○ 研究開発以外の項目(例えば普及広報活動、成果の情報発信、人材育成など)については、設定されているアウトカム・アウトプットが理念的なものが多いことから、これらの項目では、より具体的なアウトカムレベルの目標設定とその達成に向けての具体的な取組のロードマップの策定が求められる。

〔業務における課題の提示〕
○ 機構による評価時の説明では、特筆すべき成果を強調するあまり、業務展開における課題の提示が十分ではなかった。今後、大きな課題については部会の場に提示し、議論する必要があると考える。


2 国立研究開発法人に共通する評価に関する主な意見

〔中期目標のフローチャート化〕
○ 課題達成型の研究開発に中長期的・継続的に取り組む国立研究開発法人の場合、当該年度のアウトプットの評価のみならず、アウトカムとの関連での達成度や達成スピード等の評価が重要であるが、かかる観点からの評価に当たっては、今回、機構の評価で導入したフローチャートが参考になると考える。

〔評価の観点〕
○ 日本全体あるいは世界水準に照らして優れた成果かどうかを判断する相対的な評価のほかに、機構のポテンシャルとして想定されるレベルを基準とした絶対的な評価があり、そのどちらで判断するかについて議論があった。
○ このため、中期目標が求めるアウトカム・アウトプットとの関係や業務の性質に照らして、どちらの基準を重視して評価すべきかを明確にしていくことが求められる。その際、機構のみならず日本全体としての「研究成果の最大化」という点を意識していくことも重要と考える。
○ しかしながら、これらを具体的にどう進めていくかについては、定まったものはまだなく、今後の各法人の評価の中で様々な取組と工夫を行いながら、考え方を整理していくことが必要であると考える。

〔客観的な評価〕
○ 「顕著な成果」といえるか、「将来的な成果の創出の期待」があるかなどについて自己評価の妥当性を裏付けるためには、適正な外部評価の実施と、取組のみならずその効果を測る指標の設定など、可能な限り客観的かつ具体的な根拠を積み上げた説明が必要である。

〔複数の評価項目に関連する取組の評価〕
○ 複数の評価項目に該当する成果の評価に当たっては、同一成果を重複して評価することがないように項目毎に異なる視点で評価することを基本とし、機構による自己評価や被評価時の説明には工夫が必要であると思われる。同時に、評価側も成果を項目毎に分散・細分化して過小評価することがないように注意が必要である。


3 その他(制度運用等に関するもの)

○ 特記事項なし。


お問合せ先

研究開発局海洋地球課