国立大学法人秋田大学の平成18年度に係る業務の実績に関する評価結果(案)

1 全体評価

 秋田大学は、学内全ての人的・知的財産を核として、国際的な水準の教育・研究を遂行することにより、地域の振興と地球規模の課題の解決に寄与し、国内外で活躍する人材を育成することを目指している。
 そうした目標に向けて、平成18年度の業務運営においては、学長を中心とする経営戦略会議を設置しており法人経営の戦略性を高めている。さらに、学長裁量の教員定員を評価センター等に配置するとともに、学長・学部長・病院長のリーダーシップの下に配分できる大学戦略推進経費を措置するなど、学長を中心としたリーダーシップが発揮される体制が整えられつつある。
 また、外部評価にも積極的に取り組んでおり、認証評価機関による機関別認証評価を受審したほか、全学及び教育文化学部において学外者による外部評価が実施されていること、教育成果に関する評価システムの構築・試行に向けて取り組んでいることは評価できる。しかし他方で、人事評価システムの確立と実施については今後の一層の取組が期待される。
 さらに、大学院博士課程において、学生収容定員の充足率が85パーセントを満たさなかったことから、今後、速やかに定員の充足や入学定員の適正化に努める必要がある。
 財務内容については、地域共同研究センターが中心となって研究成果の情報発信、ニーズの探索、シーズの提供を行った結果、産学連携等研究費が1.3倍になるなど、外部資金が増加しており評価できる。
 教育研究の質の向上については、平成18年度から教育推進総合センターによって、入学生に対する学習相談体制の構築・充実を目指した「学習ピアサポート・システム」が開発・運用されていることが注目され、初年次生に対する学習支援の点から今後のさらなる充実が期待される。

2 項目別評価

1.業務運営・財務内容等の状況

(1)業務運営の改善及び効率化

  • 1 運営体制の改善
  • 2 教育研究組織の見直し
  • 3 人事の適正化
  • 4 事務等の効率化・合理化

 平成18年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  経営戦略を機動的効果的に検討するための組織として、学長、理事、学長特別補佐をメンバーとした経営戦略会議を設置し、大学の将来構想、経営戦略の基本方針、戦略的予算配分、外部資金獲得戦略、支出抑制戦略、人事管理戦略、評価結果の活用等について検討し、具体的施策に反映させている。
  •  柔軟で機動的な教育研究組織の編成にあたり、学長手持ち分として8名の教員数を措置し、評価センター、教育推進総合センター、ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、医学部保健学科に計7名が配置されている。
  •  学長、学部長、病院長のリーダーシップの下で重点的に執行する経費として「大学戦略推進経費」に、大学の情報化を戦略的に推進するための1情報化戦略推進経費(4,600万円)と、教育研究上必要となる基盤的な設備の充実に資するため2教育研究設備充実経費(4,000万円)の新たな経費区分を設けるなど、学長、学部長、病院長のリーダーシップを発揮するための体制が拡充されている。
  •  大学戦略推進経費が適切かつ効果的に行われたかどうかを事後に検証し、その結果を踏まえた見直しを行う仕組みである「秋田大学戦略推進経費配分の中間評価・事後評価の指針」に基づき、年度計画推進経費の一部について事後評価が実施されている。
  •  複数の課で分担処理していた共済事務を人事課に一元化することで、業務効率化に向けた取組が進められている。
  •  人事評価システムについては、教員については「秋田大学教員評価指針(案)」が策定され、事務系職員については「事務系職員人事評価実施要領」が策定されて平成19年度に評価が試行されることとなっており、今後、評価システムの確立と本格実施に向けたさらなる実質的取組が期待される。

 平成18年度の実績のうち、下記の事項に課題がある。

  •  大学院博士課程において、学生収容定員の充足率が85パーセントを満たさなかったことから、引き続き、速やかに定員の充足や入学定員の適正化に努めることが求められる。
【評定】

中期目標・中期計画の達成に向けておおむね順調に進んでいる。

(理由)

年度計画の記載33事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められるが、大学院博士課程において学生収容定員の充足率85パーセントを満たさなかったこと等を総合的に勘案したことによる。

(2)財務内容の改善

  • 1 外部研究資金その他の自己収入の増加
  • 2 経費の抑制
  • 3 資産の運用管理の改善

 平成18年度の実績のうち、下記の事項が注目される。

  •  新技術説明会等による教員シーズの発信や競争的資金への応募を積極的に行った結果、受託研究費等の受入額は対前年度比1.3倍の2億1,600万円に増加し、奨学寄附金、科学研究費補助金を含めた受入額は10億5,700万円に増加している。
  •  中期計画における総人件費改革を踏まえた人件費削減目標の達成に向けて、着実に人件費削減が行われている。今後とも、中期目標・中期計画の達成に向け、教育研究の質の確保に配慮しつつ、人件費削減の取組を行うことが期待される。
【評定】

中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)

年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

(3)自己点検・評価及び情報提供

  • 1 評価の充実
  • 2 情報公開等の推進
  •  認証評価機関による認証評価を受け、評価基準を満たすとの評価を得ている。
  •  全学レベルの教育・研究活動等のより一層の改善充実に資するため、中期目標・中期計画の取組・達成状況等について、7名の学外者から構成される秋田大学外部評価委員会を設置して外部評価を実施している。また、教育文化学部においても、3名の学外者から構成される教育文化学部外部評価委員会を設置して、同学部の自己点検・評価報告書等に基づいて外部評価を実施している。
  •  「秋田大学教育成果評価システムの指針」が策定されており、各学部・研究科及び教育推進総合センターにおいて教育成果に関する評価システムを構築し、平成19年度以降に試行することとなっている。
  •  学生がデザインした秋田大学に関する広告を秋田駅通路の柱面広告に掲載し、大学行事に合わせ随時更新している。
  •  「報道関係者と学長との懇談」を実施し、大学の最新情報を提供することで、大学の広報活動強化に向けた取組が行われている。
【評定】

中期目標・中期計画の達成に向けて特筆すべき進捗状況にある。

(理由)

年度計画の記載6事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められるほか、認証評価に対する積極的な対応等を総合的に勘案したことによる。

(4)その他の業務運営に関する重要事項

  • 1 施設設備の整備・活用に関する目標
  • 2 安全管理に関する目標
  •  利用者への新サービスとして、Webインターフェースを活用した図書館オンラインサービス(マイライブラリ)を導入し、図書館からのお知らせ、新着資料のお知らせ、貸出中や予約中の資料、図書購入や文献複写の依頼中の資料等についての情報を利用者専用の画面に集約して提供するサービスを開始している。
  •  工学資源学部では、平成16年度設置のISO14001推進本部会議が、ISO14001環境管理委員会の実務的な環境活動を支援・協力しつつ活動を行った結果、平成19年3月に環境マネジメントシステム(ISO14001)の認証を取得している。
  •  学生や職員の安全確保のため、施設設備の安全点検を定期的に実施し、実験時における事故防止等に役立てるため、「施設設備安全管理マニュアル活用に伴うチェックシート」を作成し、ユーザーによる建築、電気設備、給排水衛生設備、ガス設備、空気調和設備等、47項目について調査している。
  •  平成17年度に作成した「地震及び火災発生など緊急時における対応」について附属中学校の避難訓練を基に検証を行っている。また、全学的・総合的な危機管理体制等を明確にするための「危機管理対応指針」を作成している。
  •  危機管理体制の整備については、「国立大学法人秋田大学毒物及び劇物等危険物管理規程」(平成17年2月)が制定されている一方で、平成18年度には複数部局から「未登録核燃料物質」が発見され問題となっている。この問題については適切な対応がとられているものの、今後、法人として予防的措置を含めた危機管理体制を一層強化していくことが期待される。
  •  研究費不正使用防止に向けた取組については、平成18年11月に「秋田大学研究倫理規程」が制定・施行されるとともに、学内情報ネットワークに研究活動に関する不正行為の告発窓口が設置されている。
【評定】

中期目標・中期計画の達成に向けて順調に進んでいる

(理由)

年度計画の記載19事項すべてが「年度計画を上回って実施している」又は「年度計画を十分に実施している」と認められ、上記の状況等を総合的に勘案したことによる。

2.教育研究等の質の向上の状況

 評価委員会が平成18年度の外形的・客観的進捗状況について確認した結果、下記の事項が注目される。

  •  医学部医学科及び大学院医学研究科における医学教育システムや教育内容を統合的に開発・調整し、また関連委員会と連携して医学教育の企画・実施・評価を統合的に推進することを目的に、医学科医学教育センターを設立している。
  •  教育推進総合センターにおいて、入学生に対する学習相談体制の構築・充実を目指して「学習ピアサポート・システム」を開発し、実際に学生が「学習ピアサポーター」として初年次ゼミでの学習支援やピアサポート・ルームでの学習相談を行っている。
  •  秋田大学の教育・研究理念の一つである『「環境」と「共生」』の周知と意識啓発を目的として、学生を対象とした作文・提案コンテストを実施し、18件の応募作の中から最優秀賞、優秀賞、佳作、特別賞を授与している。
  •  平成18年度大学戦略推進経費(年度計画推進経費)によって「地域の信頼性・互酬性の強化による自殺予防効果の検証に関する研究」が実施され、秋田県と連携しながら県内2町において実証的研究が進められている。
  •  平成18年4月、工学資源学部の戦略的研究拠点として「環境資源学研究センター」を設置し、独自の「環境資源学」の創成を軸に、新しい工学的英知の開拓及び異なる学問領域との広範な連携の構築を目指している。
  •  大学主導で産官学連携体制の基盤を整備するため、秋田県と包括協定を締結し、さらに秋田県産業技術総合研究センターとの協力協定を締結したほか、秋田地域の金融機関(4機関)と産官学連携を目的とする協力協定を締結している。
  •  秋田県及び県内研究機関と連携して、特許審査請求時の知的財産評価を共同で行う「あきた知財倶楽部」を設置している。
  •  吉林大学との新たな国際交流協定の締結について協議し、平成19年2月に新協定が成立している。
  •  附属学校園において学部教員が授業を行う体制を十分に整備するため、教科教育等教員連絡会議を中心として授業や講義の実践等相互交流を図っており、学部・学校園双方の教員による共同研究が進み、その成果も公表している。

(附属病院関係)

  •  病院長のリーダーシップを強化するための体制の構築に努めており、研修医の減少や地域の医師不足問題を抱えながらも運営改善に向けて努力している。卒後臨床研修プログラム充実に努めており、先進医療開発にも意欲的である。また、病床の共有化に積極的に取り組むとともに、都道府県がん診療連携拠点病院に指定され、秋田県におけるがん診療の連携拠点としての活動が期待されている。その他、コスト削減等経営改善に向けた様々な努力も見られる。
     今後、病院長専任化により、リーダーシップの一層の強化を図るとともに、高度先進医療開発や地域連携治験体制の構築に向けた取組の推進、臓器別・機能別診療科の構築、看護師確保、入院単価の増額など、大学の計画に沿った運営改善の一層の推進が期待される。
  •  教育・研究面
    •  文部科学省事業に採択され、小児科、産科、麻酔科及び救急の4診療科の医師不足を解消するための充実した卒前教育・卒後研修の実施に努めている。
    •  先進医療開発への意欲高揚のため、先進医療に関する発表会を年5回開催し、年度最終発表会は先進医療コンペとするなど、先進医療推進のための取組を実施している。
  •  診療面
    •  都道府県がん診療連携拠点病院に指定され、国立がんセンターや秋田県内の地域がん診療連携拠点病院と連携しつつ、最新のがん診療の提供に努めている。
    •  病床の適正配置を進め効率的運用に努めている。
  •  運営面
    •  副病院長、病院長補佐の役割分担を明確化するとともに、病院長のリーダーシップを強化するために任期を2年から3年に延長している。
    •  病院経営の企画・分析調査を担当する専門職員と経営分析係を置くとともに、7つの診療科に対して経営改善指導を行うなど、経営改善を推進している。
    •  在庫管理の適正化や後発医薬品の採用拡大などによりコスト削減に努めている。

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