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意見公募に寄せられた主な意見と対応

<全体> 

(0-1) 本基本原則はよくまとまっており、基本的考え方に賛同。ヒトゲノム研究の成果が社会に還元されることを期待。 

(0-2) 一般社会において、「ヒトゲノム」の意味を理解している人はまだ少数。幅広い啓蒙活動を行いヒトゲノム研究に対する正しい知識ををもってもらうことが必要。(A-7,E-15,45,46,48,51,53,63)  医療面が強調されているが、人間の文化と精神のすべての側面に影響力をもつ可能性を念頭におく必要がある。(E-58) 

(対応)本基本原則に示された考え方に基づき、各研究機関における研究実施の際に研究情報の公開、社会の理解の増進についての努力が行われるよう配慮されることを期待。また、本基本原則は、ヒトゲノム研究を実施している研究機関に広く通知するとともに、ヒトゲノムの概念やヒトゲノム研究の概要についての説明とあわせて、インターネット、冊子配布等を通じて広く周知することとします。 

(0-3) ヒトゲノム研究を肯定的に認めるというスタンス、実施するという前提について疑問。(C-3,E-42,43,47,69) 

(対応)ヒトゲノム研究を行うことにはメリットがあると考え、本基本原則は策定されています。ヒトゲノム研究に負の面があることは、「基本的考え方」や「第三」に述べられています。これらのプラスとマイナスの両面を考量して、ヒトゲノム研究とその成果の重要性に照らして、この研究を行うことを良しとし、他方でマイナス面をできる限り防止しまた取り除くためにこの「基本原則」があります。 

(0-4) ヒトゲノム研究とはどこまでの範囲の研究を意味するのか定義がなく、実際にこの基本原則がカバーする範囲がわからない。(A-3,8,9,E-15,27,34) 

(対応)ヒトゲノム研究について解説のはじめに記載しました。なお、本原則はヒトゲノム研究に関係する基本的理念を提示する憲法的位置づけのものであり、具体的で厳密な範囲の限定は研究の多様性や進展速度から考えて、むしろそぐわない面もあると考えます。指針においてはより具体的な範囲の指定がなされるものと考えます。 

(0-5) この基本原則がこれからどれだけ徹底され守られるか危惧。法令の制定が必要。(C- 4,6,D-1,E-20,44,45,56) 

(対応)指針の策定の際に、実効性についての配慮がなされていくものと考えます。また、現存の問題に対しては基本的には現行法に基づいて適切な対応がなされる事になりますが、さらに対応が必要と思われる問題に対しては、法律面での対応も考慮し検討がなされていくべきと考えます。 

(0-6) 画一的になりがちな法による規制ではなく、ヒトゲノム研究を行なう機関に機関内倫理委員会を置かせるなど自主的・自律的規制実施させ遵守させる本基本原則の方向性が妥当。(A-6,  B-4,E-5) 

(0-7) ヒトゲノム研究よりもむしろその成果の応用において問題が発生しやすく医療面にも言及すべき。臨床に関する指針が作成されるべき。(A-7,11,C-2,6,E-12,65) 

(対応)本基本原則は、専ら「研究」を対象としており、「応用」については、診断・治療に関連する部分も含めて、別に原則や指針が検討されていくべきものと考えます。臨床における問題については基本的には現行法に基づいて適切な対応がなされることになります。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。 

(0-8) 研究の実施にあたっては細部にわたる指針(手順書)が必要。ヒトゲノム研究小委員会において議論が継続され、早期に策定されることを期待。(A-3,B-1,2,3,E-19,21,52,67) 

(対応)本基本原則が策定されたのち、研究の実施にあたって具体的手順を示す「指針」が別途、国において作成されます。 

(0-9) 倫理委員会にゆだねられる所が大きいが、公平性の維持や審査の精度担保などその実効性に疑問。(E-52,53) 

(対応)文中に機関外部の人を入れるべきことを明記しました。外部の人を入れること、および個人のプライバシー、研究の独創性を侵さない限り、委員会の組織、手続規則、審査結果について情報公開をすることにより、国などが審査機関を設置しなくても、倫理委員会の機能は十分に実施されまた評価されるものと考えます。その他、具体的には指針の作成においてその実効性の担保が検討されていくべきと考えます。 

(0-10) インフォ-ムド・コンセントの理念が定着する途中で例外規定について盛り込みすぎ。(A-5)例外規定については最後に別立てでまとめるべき。(A-8) 

(対応)生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでは不十分と考えられます。本基本原則においては「例外」的ではあるが、現実と照らし合わせたとき重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。 

(0-11) わかりやすい表現、語句の定義(ゲノム、遺伝子情報など)が必要。(A-1,4,8,9,E-12, 17,26,61) 

(対応)「用語説明」を作成して添付しました。また、できるだけ平易な表現に書き換えるよう努めました。 

(0-12) 受動文が多く主体が不明。(A-5,E-10,37) 

(対応)主語を明示していない文の多くは、文脈から主体が明らかと考えます。わかり難い文については、理解しやすい文に修正しました。 

(0-13) この原則は研究者に対する倫理規程として作成されるべき。全体的に研究者が主体の文章にすべき。(C-3,4) 誰が遵守すべき原則なのか不明。(E-27) 

(対応)本基本原則は、ヒトゲノム研究を行う研究者のみならず、試料を提供する一般市民、その血縁者、家族そして社会全体がもっていてほしい認識の基礎となるべきものとして定められています。一般市民にとっても、その権利を知ることはマイナス面を防ぐという意味でメリットが存在します。 

(0-14) 本基本原則案を作成する過程での議論を公開すべき。(C-3,E-24) 委員会の構成員が医学関係者がほとんどで自然科学に傾斜している。(C-3,E-72) 

(対応)本基本原則案を審議・策定した生命倫理委員会ヒトゲノム研究小委員会の議事は一般に公開されているほか議事録のインターネットへの掲示を実施しています。委員には、行政法、刑法、国際法の専門家や遺伝カウンセリングの専門家が含まれています。小委員会委員構成員の一覧に、各委員の専門分野を記載しました。また、一般からの意見募集を実施し、意見の汲み上げに努めました。 

(0-15) 厚生省において「遺伝子解析研究に付随する倫理問題などに対応するための指針(案)」が作成されており、研究者が複数の機関で策定された複数の基準に沿って研究せざるを得ない状況にならないよう省庁間での整合性をとってほしい。(A-3,B-2) 

(対応)本基本原則案は、ヒトゲノム研究に関連する憲法的位置づけの倫理原則を示したものであり、厚生省の「遺伝子解析研究に付随する倫理問題などに対応するための指針」の上位に位置するものです。今後、指針については、研究内容や実施する機関の性格等により、個別に策定することが妥当なケースが考えられますが、指針や基準に齟齬が生じないよう調整されていくべきと考えます。 

(0-16) 意見募集の実施についてもっと周知すべき。募集期間をもっと長くすべき。(A-5, E-45,55,66) 

(対応)今回の意見募集では、関連学術団体や社会団体など約460団体への原則案送付およびホームページを通じて広く意見を求めたほか、プレス等にも意見募集実施の旨を周知しました。公募された意見は、後日まとめてHPに掲載し、また資料の請求があれば送付いたします。今後、指針作成の議論を行っていく際にも意見の汲み上げに努めるとともに、意見公募が実施されるべきと考えています。 

<基本的考え方>  (0-17) 1.「科学研究の自由」が「基本的な人権の中核」であるとは考えられない。(C-2,3) 

(対応)ご指摘を踏まえ、記載を改めました。 

(0-18) 2.研究を理由に、人の尊厳と人権への配慮を著しく欠いた行為」が行なわれたのは、「戦争等特殊な社会的状況」下のみではない。(A-8,C-3,4) 

(対応)ご指摘を踏まえ、記載を改めました。 

   

第一章  ヒトゲノムとその研究のあり方 

<第一>(ヒトゲノムの意義) 

(1-1) ヒトゲノムが人類の「遺産」という表現は不適切。「共有財産」、「共同財産」がよい。日本語の「遺産」には英語の「heritage」のように代々受け継がれている大切なものという概念ニュアンスはあまりなく単に死後に遺した財産、人が死亡当時もっていた財産のことを指す語。「ヒトゲノムは人類が代々受け継いできた大切なものである」といった内容が伝わる表現を工夫してほしい。少なくとも解説でそれを説明してほしい。(A-5,9,  10,11,B-2,C-2,E-2,9,10,11,12,23,32,64) 

(対応)ご指摘を踏まえ、解説に説明を追加しました。 

(1-2) ゲノム「崇拝的」な表現に対する批判。「人として存在することの基礎」、「人の生命の設計図」などあたかもヒトゲノム次第で人としての存在の仕方が決まると解釈されかねない。環境因子を強調してほしい。(A-1,10,E-2,4,7,22,37,39,55,59) 

(対応)ご指摘を踏まえ、記載を改めました。なお、第一の第3、4項において人は遺伝子のみによって存在が決定されるものでないこと、遺伝情報の発現は環境によってさまざまに影響を受けることについてふれています。 

<第二>(ゲノムの多様性と個人の尊厳と人権)  (2-1) 「個人の独自性と唯一性を示す」、「人類全体が多様であることを表す」という理由だけでは、「差別」あるいは「差別的条件」に対する歯止めとしては弱すぎる。(A-9,E-37) 

(対応)ご意見を参考に解説を修文いたしました。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘の遺伝情報にもとづく差別の問題など、様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。本基本原則は、専ら「研究」を対象としており、「応用」については、診断・治療に関連する部分も含めて、別に原則や指針が検討されていくべきものと考えます。 

(2-2) 「個人の独自性と唯一性を示すゲノム」とすると、遺伝子治療が否定される印象を受ける。(C-5) 

(対応)ご指摘を踏まえ、解説において説明を追加いたしました。 

第二章研究試料提供者の権利 

第一節インフォ-ムド・コンセント 

<第五>(基本事項) 

(5-1) インフォ-ムド・コンセントに係る手続きが本当に為されるか心配。(A-7,C-5,E-13,28,41,45) 

(対応)今後策定される指針において本条の実効性の担保がはかられていくべきと考えます。 

(5-2) 同意だけでなく、説明も原則として文書で行うべき。(C-2,6) 

(対応)ご意見を参考に解説を修文いたしました。 

(5-3) 「同意は、原則として文書で表明する」の、「原則として」は今日のインフォ-ムド・コンセントの考え方や、拡大解釈を招かないためにも削除されるべき。(A-3,5,7,E-54) 

(対応)ご意見を踏まえ、「原則として」を削除しました。 

<第六>(同意能力を欠く者)  (6-1) 同意能力を欠く者を提供者に含めたゲノム研究は行うべきではない。提供者本人の同意を必要とするべきであり、代諾をみとめるべきではない。(C-3,4,E-43,47,55)  同意能力を欠く者を提供者に含めたヒトゲノム研究を行う場合の条件について、言及すべき。 (A-2,3,5,E-4,21,37,39,44,66) 

(対応)同意能力が認められない者を提供者とする研究については、その研究にその者を含めることに必然性がある、同意能力が認められないことについて研究に関与していない医師によって確認されている、その者の利益となるかあるいは利益に関して中立である、という条件について本文および解説で言及します。 

(6-2) 「同意能力を欠く」は「同意能力の認められない」のほうが望ましい。他者が同意能力の有無を便宜的に判断することはあっても、絶対的に「欠く」と決めつけることはできない。(A-9) 

(対応)ご意見のとおり修正しました。 

<第七>(研究の多様性の考慮)    (7-1) 研究の「多様性」に関する説明が必要。(A-9,E-34) 

(対応)ご意見を参考に解説を修文しました。 

(7-2) 研究の便宜や省力化のためにインフォ-ムド・コンセントの取得をないがしろにする根拠として悪用される恐れがある。解説の部分ではそういう解釈を戒めているが、抜け道となる恐れがあり修文すべき。(A-7,C-2) 

(対応)拡大解釈や抜け道となることがないよう、具体的な指針によって定められ、具体的な研究計画について倫理委員会で審査されるものと考えますが、解説について説明を加えました。 

<第八>(インフォ-ムド・コンセント手続の例外)    (8-1)1.他の研究目的に用いる場合は、同意の取り直しが必要。(A-5,E-13,66) 

(8-2)1.予め説明されていた「予想される研究目的」と異なる他の研究目的に用いる場合は、同意の取り直しが必要。(A-3,C-2,3,E-37) 

(8-3) 1.匿名化されず他の研究目的に用いる場合は、同意の取り直しが必要。(C-6,E-39) 

(8-4)1.包括的同意を与える場合には、同意の内容が明確に文書の形で残され、個人情報が連結している限りは同意の撤回が確実にできるようにすべき。(E-38) 

(8-5)2.試料が匿名化される予定でも、インフォ-ムド・コンセントの手続は簡略化されるべきでない。(A-5,C-2,E-13,31,39) 

(対応)生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでなく、現実と照らし合わせたときに重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。第3項にあるように研究計画におけるインフォ-ムド・コンセントに係る手続きの妥当性は倫理委員会によって審査され、具体的にどの手続きが調整されるかは、個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。また、同意は簡略化されない旨を解説に入れました。 

(8-6)2.「適切な形で調整される」の表現が曖昧。研究者の拡大解釈や乱用を防ぐためにより具体的な表現にするべき。インフォ-ムド・コンセントのどの手続きが省略できないか明示すべき。(A-3,7,C-3,E-37,55) 

(対応)ご意見を参考に修正しました。 

<第九>(既提供試料)    (9-1) 2.同意範囲外の既提供試料の使用は、必ず再同意を取得すべき。(A-5,C-3) 

(対応) 原則として再同意すべき旨を第九の第1項として新たに明記します。既提供試料を用いる研究とその手続きの妥当性は、倫理委員会によって、個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。 

(9-2) 2.同意範囲外の既提供試料の使用は、新たに同意を取得することを「原則」として記載すべき。(A-3,E-31,66) 

(対応)原則として再同意すべき旨を第九の第1項として新たに明記します。その上で手続きの例外の可能性を示すもとの第1項以下もそのまま残し、倫理委員会の厳格な審査の下での例外の可能性も認めます。 

(9-3) 2.同意範囲外の既提供試料の使用は、連結可能な試料の場合は、再同意を取得すべき。(C-2,6) 

(対応)第3項にあるように、既提供試料使用にあたっての手続きの妥当性は個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。 

(9-4) 4.バンクでもインフォ-ムド・コンセントが正しく取られていない試料であれば、使用すべきではない。バンクにも「公平性、中立性、公開性」が確保されていないバンクもあり、「公的バンク」とすべき。(A-5,E-24,37) 

(対応)ご意見を参考に、由来が明確で正当であることを条件とする旨記載を加えました。また「公的なバンク」に一義的に限定するのは、現状に合わないと判断しました。 

(9-5) 4.連結不可能匿名化試料は、提供者の同意の範囲内で使用するのであれば、「バンク」等の試料と同じかそれに近い試料として取り扱えるのではないか。(B-1,3) 

(対応)連結不可能匿名化試料についても本条に従って取り扱われるべきと考えます。 

<第十>(同意の撤回)        (10-1) 撤回できる期間は具体的に提供者に知らされるべき。(E-46,55)   

(対応)ご意見を参考に解説を修文しました。 

(10-2) 提供者の意思決定変更の自由をうたうのであれば、”場合に限り”ではなく、”・・・場合はいつでも”という表現にすべき。(E-39)                             

(対応)ご意見を参考に修文しました。 

第二節  提供者の遺伝情報 

<第十一>(子情報の保護管理と体制整備) 

(11-1) 監督、査察する第三者機関あるいは政府機関が必要。(A-5,7,E-37,66) 

(対応)個人情報保護の実効性の担保については、指針の策定の際に検討対象に加えられる必要があるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。 

(11-2) 他の研究機関に提供する場合の原則が記載されることが必要。(A-4) 

(対応)本基本原則の趣旨に則り、指針で定められるべきと考えます。解説でこの点について補足しました。 

(11-3) デ-タの管理方法等の具体的管理方法を定めるべき。(A-7,B-3,E-7,15,28,33,57) 

(対応)解説に個人情報等の保管および保護の体制を考えるにあたって考慮すべき要素を示していますが、具体的な方法等は、別途国で定められる指針により示されるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。 

<第十二>(個人情報の漏洩)  (12-1) 罰則の規定、法律の制定が必要。(A-5,B-3,C-2,E-27,37,40,41,65,68) 

(対応)現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。また、必要に応じて、現在検討が進められている個人情報保護に関する立法などにより、担保されることも今後考慮されるべきと考えます。なお、第十二では、研究機関が自ら律するものとして、厳格な責任と断固とした措置をうたっています。 

<第十三>(知る権利)  (13-1) 「提供者本人との連結が不可能となった試料について、提供者は知る権利を有しない」という表現は不適切。権利は基本的に有するものである。(A-9,E-31,34) 

(対応)ご指摘を踏まえて、解説の記載を改めました。 

(13-2) 「知る権利」についてインフォ-ムド・コンセントに際して(文書で)説明されるべき。(C-2,E-1) 

(対応)解説にインフォームド・コンセントに際して説明されるべきことを追加しました。 

(13-3) 知らせるにあたって遺伝カウンセリングが重要(A-7,E-33) 

(対応)遺伝カウンセリングについては第十九に記述されています。また、ご指摘を踏まえて第十九の解説に記述を追加しました。 

<第十四>(知らないでいる権利)  (14-1) 第2項は、第1項の知らないでいる権利に反するので削除すべき。(A-3,9,E-12,31,34,40,70) 

(対応)ご指摘を踏まえ、治療等が可能であっても知らないでいたいという提供者の意志が明確な場合にあえて知らせるものでないこととし、2項を削除し解説を変更しました。 

(14-2) 「知らないでいる権利」についてインフォ-ムド・コンセントに際して(文書で)説明されるべき。(C-2,E-39) 

(対応)解説にインフォームド・コンセントに際して説明されるべきことを追加しました。 

(14-3) 主治医が唐突に出てくるが、先に研究者と主治医の間での試料や情報の移動の関係を示すべき(C-2) 

(対応)研究者と主治医に限定されないので、「研究者または主治医が」を削除しました。 

(14-4) 知らせるにあたって遺伝カウンセリングが重要(A-7,C-6,E-33) 

(対応)遺伝カウンセリングを含む社会的・心理的支援については第十九に記述されています。ご指摘を踏まえて第十九の解説に追記しました。 

(14-5) 予防できるという定義が曖昧。「予防または治療が可能」は「予防または治療の可能性がある」とすべき(C-2,E-51) 

(対応)2項は削除しました。また、解説の記載を改めました。 

<第十五>(血縁者等への情報開示)  (15-1) 血縁者の範囲を定めるべき。(A-5,C-2,3,6,E-31) 

(対応)疾患の種類など種々の条件で伝えるべき血縁者の範囲は変わり得ます。このため、伝えるべき血縁者の範囲は個別に倫理委員会で判断される必要があると考えます。その旨を解説に記載しました。 

(15-2) 第2項は、第1項に反するので削除すべき。(E-12,31,34,39,40,55,66) 

(対応)提供者の自己の遺伝情報に関する権利をあくまで尊重する考え方と、血縁者等の人命を救うことを優先させるという考え方がありますが、「後者を優先させる可能性が開かれておくべき」との主旨に修正しました。 

(15-3) 知らせるにあたって遺伝カウンセリングが重要。(E-33) 

(対応)遺伝カウンセリングについては第十九に記述されています。また、ご指摘を踏まえて、解説に追記しました。 

(15-4) なぜ、提供者の意思に反してまで、血縁者に伝達するのかその理由を明示すべき。(A-9,E-37,38) 

(対応)ご指摘を踏まえて、解説に追記しました。 

(15-5) 代諾者への情報開示を追加すべき。(B-2) 

(対応) 同意能力の認められない者が提供者である場合について、解説に追記しました。 

<第十六>(差別の禁止)  (16-1) 刑事罰、法整備等の措置が必要。(E-36,44,53,59,62,67,68) 

(対応)現行法においても適切な対応がなされることになります。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。 

(16-2) 生命保険加入に関しては差別とは言えない。(A-6,E-16,30) 

(対応)本基本原則はヒトゲノム研究について定めたものであり、保険に関わる問題は、遺伝子診断に関する指針の策定等とともに、今後、検討されるべき重要な課題であると考えられます。なお、解説の「保険加入に関する差別」の記載を改めました。 

(16-3) 提供者のみでなく、血縁者と家族も明記すべき。(A-5)  (対応)血縁者、家族の差別禁止を解説に追加しました。また、具体的にどういう差別があるかは定まったものではないので、具体的な例は解説に記載しました。 第三節その他の権利等 

<第十七>(無償原則等) 

(17-1) 知的所有権の範囲や権利者がどのようになるか不明。(E-5,15,20) 

(対応)提供者が当然には知的所有権を主張できないことを、インフォームド・コンセントの際に説明することについて解説に記載しました。また、研究結果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるものです。その旨に関しましても、解説に加えました。 

(17-2) 提供者の知的所有権権を否定できるものではないので、インフォ-ムド・コンセントが与えられる際に提供者に明示すべき。(A-9,C-2,E-34) 

(対応)提供者は、知的所有権を当然には主張できませんが、提供試料を基に治療法等が開発された場合に、提供者に特別の有利な地位を与えることを考慮することは考えられます。将来、医療制度とそれに関わる社会的支援の枠組みの中でこうした患者(提供者)への優遇措置の設定を視野に入れることが望まれます。 

<第十八>(損害の補償)  (18-1) 実効性に疑問、事実関係の証明等が困難、第三者機関の調査等の制度が必要。    (A-4,C-2,3,E-13,53,66) 

(対応)本基本原則に示された事項は、賠償などについては民法などの現行法に基づいて適切な対応がなされることになります。指針の策定の際には個人情報保護の実効性についての配慮がなされるとともに、必要に応じて現在進められている個人情報保護に関する立法の検討などにより、担保されることも考慮されるべきと考えます。 

<第十九>(社会的心理的支援)  (19-1) 遺伝カウンセリングの体制整備が必要である。(A-3,C-6,E-29,33,51,66,68) 

(対応)遺伝カウンセリング体制の整備は、本基本原則を受けて今後検討されるべき重要な課題であると考えます。また、ご指摘を踏まえて第十九の解説を修文いたしました。 

(19-2) 「遺伝カウンセリングを受ける権利がある」とすべき。(A-5,E-37) 

(対応) 遺伝カウンセリングを受ける権利は、現行法に明示されていないものであるため、「受けることができる」という表現としています。 

第三章  ヒトゲノム研究の基本的実施要件 

<第二十>(研究の自由) 

(20-1) 一定の制限の下に、研究の自由が尊重されていることは評価。(E-14,36,49,55) 

(対応)基本的考え方の中で述べられておりますように、ヒトゲノム研究やその成果は、人間の生命を操作することにつながり、他方で個人の遺伝的特徴に基づいて尊厳や人権が著しく損なわれる危険性を生むなど、大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性があります。そのために、こうした様々な問題に注意を払いながら、社会の理解のもとに進めていかなければならず、一定の制限を設けることにいたしました。 

<第二十一>(研究の基本と研究計画の設定)  (21-1) 第3項の「有意義」は削除すべき。(A-8,E-24,66)「有意義」とは何を指すのか。(E-14,48)「有意義」の範囲を絞った方がよい。(E-3) 

(対応)この項における「有意義」とは、医学・薬学などの分野におけるような有用性のみならず、真理の追究を目指した科学の進歩にとって意義がある、ということも意味しており、人の尊厳や人権が損なわれるおそれのあるヒトゲノム研究がいたずらに行われることがないように定められたものです。研究の「有意義性」に関しましては、機関ごとに設置される倫理委員会によって審査されることとなります。この「有意義性」は、時間とともに変遷しうるものであり、本基本原則で細かく定めるのではなく、具体的には各倫理委員会に任せるというシステムが妥当であると考えております。 

<第二十三>(倫理委員会)  (23-1) 倫理委員会に外部の人間を入れるべき。(E-45,66) 

(対応)倫理委員会の具体的構成に関しましては、別途国で定める指針によって示されることになりますが、本基本原則解説文中にも、「機関外部の人間を登用する」旨を明記いたしました。 

(23-2) 情報公開を徹底するべき。(A-5,C-3,E-13,23,40,43,45,46,59,66) 

(対応)情報の公開に関しましては、原則公開であり、倫理委員会はその透明性を確保しなければならない旨が第二十三の解説に示されております。公開される情報の範囲等具体的なことに関しましては、別途本原則の運用に係る指針において検討されるべきであるものと考えております。 

(23-3) 倫理委員会自体の機能の審査が必要。(A-4,E-38,53)倫理委員会を具体的に規定するべき。(A-4,5,E-20,29,31,38,40,41,52,66) 

(対応)倫理委員会の実効性に関しましては、解説に次の文を加えました。「倫理委員会の審査や判断の実効性は、この透明性が保障され、社会がその審査と判断とを検証することによって、確保される。」透明性の確保に関しましては、倫理委員会の構成員として外部の人間を含むこと、倫理委員会の組織、手続規則、審査結果については原則として公開とし、審査の経過、議論の内容やその判断についても公正さと中立性を妨げない範囲で透明性を維持する等により、担保されるものと考えます。 

第四章  社会との関係 

<第二十四>(社会の理解・支援と説明責任) 

(24-1) 情報公開、理解増進を徹底すべき。(E-13,35,55,57,66,69) 

(対応)本基本原則に示された考え方に基づき、各研究機関における研究実施の際に研究情報の公開、社会の理解の増進についての努力が行われるよう配慮されるべきと考えます。 

(24-2) ヒトゲノム研究の有用性を前提とした記述を改めるべき。(A-5,8,C-2,E-41) 

(対応)本項目は、ヒトゲノム研究が社会に貢献する面があることが社会に理解されるべきであることを示したものです。ヒトゲノム研究に負の面があることは、「基本的考え方」や「第三」に述べられています。 

<第二十五>(研究成果の公開と社会への還元)  (25-1) ヒトゲノム研究の成果は人類共通の財産であり、知的所有権を全面的に認めるべきではない。治療の独占が心配。(C-1,E-53,66)知的所有権についてもう少し具体的な基準を持ち込むべき。(A-4) 

(対応)知的所有権の範囲や権利者について、とくに提供者が知的所有権に対してどのような地位が認められるかは、この基本原則で定めるものではなく、別途検討されるべき問題と考えます。また研究結果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるものです。 

(25-2) 研究成果の公開は積極的に行うべき。国際的なル-ル作りも進めるべき。(E-5,36,55)それらについては、国が対処すべき。(E-23) 

(対応)国、研究者等が、本基本原則に基づいて、研究成果の公開を行うことを期待します。その際、国は、国際的な整合性についても配慮をしていくべきと考えます。なお、ヒトゲノム塩基配列情報については、公開されるべき旨が政府により示されています。「第二十一」に以下の項を追加します。「研究の結果得られたヒトゲノム塩基配列情報は、公開されなければならない。」 

(25-3) 情報公開に当たっては、提供者等のプライバシーが保護されるべき(A-9,C-6,E-31) 

(対応)研究情報の公開にあたっては、「第十一」および「第十二」に基づいて提供者等の個人情報の保護がなされるべきと考えます。 

(25-4) 民間企業は情報公開に消極的。本基本原則で情報公開の範囲を示すべき。(C-3) 

(対応)本基本原則においては、研究成果の公開の原則を示しています。解説において一定の考え方を示し、具体的な手続きについては、指針や各機関の研究実施規定等に盛り込まれていくべきと考えます。 

<第二十六>(適切な措置と対応)  (26-1) 「適切かつ迅速な判断と対応」として罰則、賠償基準などを定めた法律の整備を行うべき。(E-1,55) 

(対応)本基本原則に示された事項は、賠償などについては民法などの現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。指針の策定の際には実効性についての配慮がなされるとともに、個人情報の保護などの重要な点は、必要に応じて現在進められている個人情報保護に関する立法の検討などにより、担保することも考慮されるべきと考えます。 

(26-2) 誰が「適切かつ迅速な判断と対応」を行うか明記すべき。(A-5,E-37,39) 

(対応)「適切かつ迅速な判断と対応」は、国、地方公共団体、各研究機関などヒトゲノム研究に関わる全ての主体において行われるべきもので、特定の主体に限定されるものではないと考えます。なお、解説にあるように、国はその中心となって対応を行うべきものであると考えます。 

<第二十七>(教育の普及と情報の提供)  (27-1) かたよらない教育、参加型の教育、提供当事者への教育を推進して欲しい。(C-5,E-21,40,44,55,59) 

(対応)本基本原則に基づいて、様々な機会に教育の普及と情報の提供が行われるべきであると考えます。 

(27-2) 遺伝医学等の教育や倫理問題を研究を行う人材の養成を盛り込んで欲しい。(A-8,9,11) 

(対応)本項目の「教育の普及」の中にはそのような要素も含まれています。解説にその旨を記載しました。 

(27-3) 基本原則は全国の大学、各省の研究所などに通知されるべき(E-26,56) 

(対応)本基本原則は、ヒトゲノム研究を実施している研究機関に広く通知するとともに、インターネット、冊子の配布等を通じて社会一般にも広く周知することとします。 

<附則>  (28-1) 進歩が早い分野であり、見直し規定を置くことは妥当。(E-21) 

(28-2) 見直しの「適切な時期」が不明確。明示すべき。(A-5,C-6,E-37,55,66) 

(対応)ヒトゲノム研究の進展や社会情勢の変化を受けて、本基本原則については、適宜検討が行われるべきであり、具体的な時期を明示する性質のものではないと考えます。解説において3から5年で再検討が必要であるとの指摘を明記しました。 

意見公募に寄せられた意見と対応
ID 年齢 性別 氏名 所属団体・機関 項目 意見 対応
A-3       日本薬物動態学会    全体 ヒトゲノム研究に関して、研究者が従うべき倫理原則から社会一般の認識に至るまで27項目に亘って、我が国の基本姿勢(憲法的位置付け)が明示され、かつ綿密な解説が施されており、関係者の努力に敬意を表します。この考えが充分に浸透し、厳格に適用されることを望みます。   
A-4       日本癌治療学会    全体 この案はヒトゲノム研究における人間の尊厳と基本的人権に配慮し、研究の円滑な推進のために必要な基本的な合意事項であり高く評価いたします。   
A-11       日本解剖学会    全体 本指針案は全体としてヒトゲノム研究についての基本的な問題点が網羅されており、よく議論された結果であることがうかがわれる。   
B-2       (財)バイオインダストリー協会    全体 現在ヒトゲノム研究に関して、その健全な推進のために、研究者が安心して遵守できる手順書(プロトコル)が求められております。「ヒトゲノム研究に関する基本原則(案)」(以下「本原則案」とする)は手順書の上位概念であると考えます。誠に時宜を得たものであり、原則案をまとめるにあたって多大な議論を積み重ねられたことに敬意を表します。   
B-4       日本医師会    全体 21世紀を目前にして、世界的規模でのヒトゲノムの解析が当初予想されたよりはるかに早く進んでいる事に対して、多大の関心を抱かないではいられない。このような背景の下に、今般、科学技術会議生命倫理委員会ヒトゲノム研究小委員会から、「ヒトゲノム研究に関する基本原則(案)」が公表されたことは、時宜に適ったものと判断される。   
D-2       長崎県商工労働部    全体 特に意見はありません。   
E-1 <70 沖垣  達 染色体学会 全体 科学的、社会的側面からみて、正当なものと高く評価します。   
E-2    高浜  洋介 徳島大学ゲノム機能研究センター 全体 基本的には大変よくできた案だと考えます。特に、提供者への配慮に関しては秀逸です。   
E-3 <60 野村  総一郎 防衛医科大学校精神科 全体 ヒトゲノム研究は、いろいろ指摘されているように問題も多く、決して大げさでなく、人類という種を変えてしまうリスクをもっているので、個人的には危惧する面が多いが、現実もう止められない。このような場合、禁止するよりテクノロジー優位で事を進めて、その中で倫理や哲学を鍛えた方が良いと思う(犠牲が出るリスクはあるが)。その意味で、今回の基本原則は正しい方向性を示していると思う。   
E-4 <60 中島  豊爾 岡山県立岡山病院 全体 全体的には良いと思いますが、どの程度精神障害を念頭に置いておられるのか、不安に思うところもありました。   
E-6 <60 田興  治子 慈恵医大  内科 全体 結構だと思います。   
E-8 <50 前田  敏宏 (財)化血研 全体 本原則はよくまとまっていると思います。   
E-9 <60 金澤  一郎 東京大学医学部附属病院 全体 私は、このたびの厚生省「遺伝子解析による疫病対策・創薬関係などに関する研究における生命倫理問題に関する調査研究検討委員会の委員の一人として、また文部省学術審議会バイオサイエンス部会における「遺伝子解析研究に係わる倫理問題について(試薬)」をまとめた委員の一人として、この基本原則(案)は大変よくまとまったものとして評価いたします。ただし、以下に述べます2点(基本的考え方、第一)だけはこれが原則であるだけに、承服しかねます。ご再考をお願いしたく思います。   
E-14 <70 匿名希望 川村学園女子大学 全体 全体によく配慮して書かれている。   
E-16 <60 小林  三世治 第一生命保険相互会社医事研究室 全体 疾病の早期診断と予防、治療の改善が期待される遺伝子検査を含む遺伝子医学の進歩は、人類の健康維持増進に多大な貢献をなすと考えられるゆえ、その成果の利用にあたっては、人権擁護の立場を踏まえた配慮が必要と思われます。この点からも貴案に対して基本的に賛同いたします。   
E-18 <70 立石  博臣 兵庫医科大学篠山病院 全体 これでよいと思います。   
E-22 <60 竹中  洋 大阪医科大学 全体 基本原則は憲法のような位置付けとすると次の2項目を除いて満足すべきである。   
E-36 <50 赤司  秀明 日本学際会議 全体 「ヒトゲノム研究に関する基本原則(案)」は、大変によくまとめられていると思います。   
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 全体 ヒトゲノムの研究の全体としての考え方には賛成するものですし、その研究の成果が社会に還元されること、また科学の進歩によって人々の健康の改善・疫病予防及び治療に貢献されることを切に希むものです。   
A-7       日本看護科学学会    全体 インフォームドコンセント以前に、試料提供者となる一般の人々に対する、本研究分野全般に関する情報提供が不可欠と考える。これがあってはじめて、インフォームドコンセントで知らされる内容や研究者の姿勢等が判断できると考えるからである。情報を、分かりやすく、マスコミを通じて、あるいはパンフレットにするなどして、幅広い啓蒙活動を行い、知識を普及する事が前提となる。 本基本原則に示された考え方に基づき、各研究機関における研究の実施の際に研究情報の公開、社会の理解の増進についての努力が行われるよう配慮されることを期待します。また、本基本原則は、ヒトゲノム研究を実施している研究機関に広く通知するとともに、インタ-ネット、冊子配布等を通じて広く周知することとします。 
E-15 <60 大隅  隆 姫路工業大学理学部生命科学科 全体 全体としてよく考えられた妥当な案であると思われる。この種の文章には珍しいほど解説や説明図を加えており、少しでも分かりやすくしようとする姿勢が窺える。しかし、まだまだ一般人にとっては難しいであろう。この問題は、一般人にとってはそれほど理解しにくいものなのである。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 全体 私は現在文学部の学生ですが、授業でヒトゲノム研究を取り上げるまでは、こういう研究が進められていることを知りませんでした。この研究が科学者や研究者のみならず、社会全体に大きな影響を及ぼすものであるのに、それほど社会の興味を得られていないということは問題であると思います。
E-46 <30 匿名希望 学生 全体 やや科学寄りであるように思えた。人の生命に関わる研究なのだから研究者や医師以外の一般の人々にも、どのような問題が具体的に起きうるのか知ってもらった上で、ヒトゲノム研究を社会的に運用していかなければならない。
E-48 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 全体 基本的には賛成するところが多い。というよりむしろ、反対するところは特にないが、補強の必要を感じる点は何点かあるように思われる。特に私は、第4章「社会との関係」が強調される必要があると思う。なぜならその他の章で定められる「ヒトゲノム研究のあり方」も「研究試料提供者の権利」も社会の理解抜きに成り立つはずがないからである。こうした研究はともすれば研究者と提供者といった人々のみの問題ととらえられがちであるが、あくまでもこれは社会全体の問題であり、私たちが直接考えていかなければならないものだ。今回こうして基本原則をインターネット上で公開し、一般の人々の意見を求めていることはとても効果的だと思うが、それでもまだ社会全体への理解を得るには遠いてので、今後さらにこういった機会を提供し、社会に広めてほしいと思う。
E-51 <30 茂木  恵理子 学生 全体 全体的に良く出来ていると思う。ヒトゲノム研究についての話題がニュースでよく取り上げられるようになったが、まだ身近なものであると考える人は少ないのではなかろうか。マスコミなどによる情報は、情報が正しいとしても誤っていたとしてもどちらにしろ過信されやすいものであるので、ヒトゲノム研究に対する正しい知識をより多くの人に知ってもらいたいと思う。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 全体 ヒトゲノムは人生の設計図ということは今まで知り得なかった自分の将来がわかってしまうことになるので、生きるための基本的教育はかかせない。生命の大切さをまず第一に取り組むべき。  人々が意欲的に生き生きと生きていける条件整備をまずすべき。
E-63 <60 匿名希望 香川県商工労働部選挙振興課 全体 一般社会において、「ヒトゲノム」の意味を理解している人はほんの少数である。しかしながら、現実に「ヒトゲノム」の研究は急速に進んでおり、またその成果を応用して、医学面などで活用されることも期待されている。今後は、社会全般に研究内容を周知し、その「方向性」に対し、十分な理解と認識を得られた上で、研究を進めていただきたい。
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 全体 総論賛成、各論反対となりそうな内容であり、新聞等マスコミを通じて広く国民に全文を知らせるべきだ。「人の尊厳および人権」とヒトゲノム研究の成果の人権への還元が盛り込まれており、賛同できる。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 全体 基本方針に関しては、何ら異論はない。しかしながら、特に先般マスコミに取り上げられた、「国立循環器病センター」における遺伝子解析のような一種歪んだ解釈をする集団がいることを念頭に置いて「ヒトゲノム研究」における基本理念を明示すべきであると考える。基本原則を早急に最終化し、社会に理解を求める必要があると考えます。
E-58 <50 安藤  寿康 慶應義塾大学文学部 全体 このたび作成された基本原則は、基本的にはよく考えられた優れた見解を表明したものと評価しています。しかしながら、いくつかご指摘したい点があります。  まず第一に、遺伝子研究の医学的、病理的側面ばかりが強調されることへの懸念です。この傾向は現在の遺伝子研究に対する世間一般の認識すべてに表れておりますが、遺伝の影響は単に病理現象やいわゆる生物学的な事柄に関わるばかりでなく、人間の心理的、行動的な個人差全体に対しても無視できない影響を持つことが、双生児研究などによって古くから指摘されています。これはひいては人間の社会制度や国民性の違い、教育のありかたなど、人間の文化と精神のすべての側面に対して、あらゆる人々のそれぞれの遺伝的条件が直接間接にかかわることを意味しています。現時点ではこのような認識は必ずしも一般に了解されたものではありませんが、遺伝情報というものが単に病理にのみでないより広範な影響力をもつ可能性を念頭に置いたメッセージであったほうがよいように思います。
C-3       DNA問題研究会    全体 この基本原則は、人間の細胞等の試料を採取し、その遺伝子を解析して、そこから得られた情報を利用していくことを前提にまとめられてしまっていますが、それでいいのかどうか、この前提が受け入れられるかどうかを広く国民に問うという重要な作業が一度もなされていません。そこを省いたまま、このような報告をまとめてしまうのは国の独走です。 ヒトゲノム研究を行うことにはメリットがあると考え、本基本原則は策定されています。ヒトゲノム研究に負の面があることは、「基本的考え方」や「第三」に述べられています。これらのプラスとマイナスの両面を考量して、ヒトゲノム研究とその成果の重要性に照らして、この研究を行うことを良しとし、他方でマイナス面をできる限り防止しまた取り除くためにこの「基本原則」があります。 
E-43 <30 増田  藍 慶応大学 全体 ここに書かれていることは大半がもっともだと思います。私が、今一番このヒトゲノム研究について思う事は、科学が人間の遺伝子構造にどこまで介入すべきかという事です。この計画が導入されれば、多くのことが遺伝子構造の解析によって解決されるようになるでしょうが、人間の生命の自然の流れをすべて科学でコントロールしてしまうことには疑問を感じます。
E-47 <30 匿名希望 学生 全体 「基本原則」の基本的スタンスに対する意見ですが、ヒトゲノム研究を肯定的に認めている点に少し疑問を感じます。もちろん研究から得られる利益と不利益を考えた上でのことであるし、研究範囲を規定するためにこの原則ができるわけですが、この原則によって、ヒトゲノム研究が社会的に肯定されます。制限をもって行なう分には、ヒトゲノム研究は人間の尊厳や存在を全く侵さないのでしょうか。
C-3       DNA問題研究会    全体 最近、国立循環器病センター、東北大学、九州大学、エイジーン研究所等が一般から集めた試料の、さらには東海村の原子力施設事故のときに近隣住民から採取された血液の遺伝子が無断で解析されていたことが発覚し、問題となりました。このような状況を見ると、このまま国が正式にヒトゲノム解析研究を始めることには大きな懸念を感じざるを得ません。そこでまず、科学技術庁を含む関係省庁は早急に、日本全国の医療機関や研究所すべてを対象に、同じような暴挙が密かに行なわれていないかを徹底的に調査すべきです。その結果がはっきりとするまで、国によるヒトゲノム解析研究は凍結されるべきです。
E-69 <70 匿名希望 無職 全体 この研究に関しては、最近になって倫理的法的社会的問題の配慮から、その取扱いが慎重になってきたが、下記の理由から印象が悪い。  ある神経難病の遺伝子診断において、研究者より適切なインフォームド・コンセントがされないまま、過去興味本位で診断が行われた例や、現在も不用意な扱いにより個人の尊厳を傷つけた事実を目撃した。 米国では数年のうちに全ての遺伝子が解明されるが、ある特定のメーカーの特許で縛られるという(万人全ての財産である)。 このデータが生命保険会社に漏洩する心配が皆無とはいえない。 当然のことながら、一般民衆としては、最初から成果が期待できないので、研究者にどのように協力するか。
A-3       日本薬物動態学会    全体(範囲) タイトル『ヒトゲノム研究に関する基本原則(案)』の意味する範囲が広すぎるように思います。一般の方には、遺伝子操作によるクローン研究、あるいは提供患者の治療目的で実施される遺伝子解析も含まれるように受け取られかねません。本原則は、これらについてはその範疇に含めないことを明確に規定すべきではないでしょうか。 ヒトゲノム研究について解説のはじめに記載しました。なお、本原則はヒトゲノム研究に関係する基本的理念を提示する憲法的位置づけのものであり、具体的で厳密な範囲の限定は研究の多様性や進展速度から考えて、むしろそぐわない面もあると考えます。指針においてはより具体的な範囲の指定がなされるものと考えます。
A-8       日本組織培養学会    全体 この答申が、いかなる目的で、いかなる対象者に対して、またいかなる拘束性を期待して提出されるものであるのか、明記願いたい。想像にまかせて記入した部分は適宜訂正を願いたい。
A-9       家族性腫瘍研究会    全体 「ヒトゲノム研究」の意味する範囲をきちんと定義してほしい。「ヒトゲノム研究」とはどこまでの範囲の研究を意味するのか定義がなく、実際にこの基本原則がカバーする範囲がわからない。「ヒトゲノム計画」にのっとった研究のことのみを指すのか?厚生省のミレニアムプロジェクトのための遺伝子解析のガイドラインにおける「生殖細胞系列遺伝子解析研究」を指すのか?「体細胞遺伝子解析研究も含むのか?もっと広く遺伝子解析研究一般なのか?  一般的なヒトゲノムのDNA配列を明らかにしようという研究と、特定の疾患の遺伝子解析研究では、結果の意味するところも情報開示上の問題の重さなどもかなり異なってくるため、本原則がどこまでをカバーしているのかを明示してほしい。
E-15 <60 大隅  隆 姫路工業大学理学部生命科学科 全体 「ゲノム研究」が、具体的にどの範囲の研究を含むのかが曖昧である。ヒト遺伝子を扱う研究はすべて含まれるのか、これまですでに行われてきたような個々の疾患遺伝子の解析や、小規模な多型解析はどうか、ということである。全体の文脈としては、国際協力体制に基づいて、統一的な目標のもとに分担して行われる大規模研究を想定しているように思われるが、現実には個々の研究者が色々な規模で行う研究が多くなると考えられるので、「ゲノム研究」のより具体的な定義が必要なのではないか。
E-34 <50 武田  祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 全体 ヒトゲノム研究」とはどこまでの範囲の研究を意味するのか定義がなく、実際にこの基本原則がカバーする範囲がわからない。』このことはぜひはっきりさせて欲しいと思います。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    全体(規制措置) この基本原則を逸脱した研究を行なった研究者および研究機関は処罰を受ける。 指針の策定の際に、実効性についての配慮がなされていくものと考えます。また、現存の問題に対しては基本的には現行法に基づいて適切な対応がなされる事になりますが、さらに対応が必要と思われる問題に対しては、法律面での対応も考慮し、検討がなされていくべきと考えます。 
C-6       つばさの会代表    全体 基本的考え方の中にもあるが、ヒトゲノム研究が適切な形で行われるためには、この「基本原則」だけでは不十分であり、この原則を著しく犯した研究者への罰則や提供者が不利益を被った場合の補償または賠償規定、さらには遺伝カウンセリングの整備など、周囲を固める法令の制定や財政措置を同時に進める必要があると考えられ、国を挙げて挙げての早急な対策を促すべきである。
D-1       熊本県企画開発部企画調整課    全体 ヒトゲノム研究は、人々が益々安心して健康的に生活するために必要な研究であり、更に新事業の創出や起業化の推進を図り、我が国の経済を活性化させるために取り組まざるを得ない必須の研究であると考える。しかし、国際的な研究競争が急速に進む中で、加速しながら研究を推進することは、必要なことではあるが、片方でプライバシー保守や差別の問題が生じているし、これから研究が進むにつれ予知できない問題が顕在化すると考えられる。そこで、今回示された基本原則(案)で明らかになっているように、遺伝子情報のデータ管理には万全を期すとともに、研究競争は加速度的に進展しているので、表面化した問題に対し迅速に対応できる十分な体制が必要であると考える。
E-20 <60 堤  賢一 岩手大学農学部研究支援係 全体 試料提供者の権利および損害の補償に関しては「基本原則」のみでは不十分と思われます。法令の制定で進めるべきと考えます。
E-44 <30 匿名希望 学生 全体 倫理的法的社会的問題への対処が強調されていて、あとは是非これが正しく遵守されることを望まれる。宣誓書をつくり、これに反した場合、厳重な処置がとられるべきである。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 全体 この基本原則は、確かにわたしたち専門家でないものが、批判、指摘できないほどもっともな風にできあがっているとは思いますが,このすばらしい基本原則がこれからどれだけ守られるかが心配です。
E-56 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 全体 基本的には非常によく考えられた優れた見解を表明したものであると私自身は評価しています。しかしこれらの“基本”原則が今後あらゆる状況で尊重されうるかというといささかの疑問が私には生じてきてしまいます。例えば、本当に差別は生じないのか?ということであります。ヒトゲノム計画により今後の遺伝子関係の様々な技術は劇的な発展を遂げていくことになるだろうけれども、基本原則にあるように疾病の診断や治療という目的がある以上、現在も出生前診断などで一部取り入れられているような遺伝的な要素を見る診断がもっと発達したかたちで、ひょっとしたら毎年の健康診断の中で行われていく可能性は充分にありうると思います。それ自体はかまわないのですがその診断結果によって何が起こっていくかが私には不安でなりません。とある遺伝子によって何の病気が起こりやすいとかまた別の遺伝子が変だと〜症だとかそういうことがわかるようになるならば、私は遺伝子をあれこれいじるという考え方はあまり好きではありませんが、これからは一歩進んでそれをせめて全て治すという方向でやっていってほしいと思います。今までのように遺伝的な欠陥(?)を持つものを金がかかるという理由で治す前から初めから排除するという姿勢は、技術の進歩によってより詳しい遺伝情報がわかるようになった時に必ずより増幅されて現れるであろうからです。そういった姿勢は今後必ず改められることを望みます。そしてこの基本原則が本当の意味で基本となっていくように我々も進んで理解せねばならないし、研究者側のモラルもしっかり強化していってほしいものです。全体としてはきれいにまとめあげられたガイドラインだと思うが、果たしてこのガイドラインが徹底されるかどうかが問題であろう。
A-6       日本保険医学会    全体 ヒトゲノム研究およびその成果として遺伝子情報に基づく診断や治療に際しては、人の尊厳と人権への配慮が成されるべきだと考えます。したがって、基本原則を作る事には賛成であります。しかしながら、この基本原則は、法令として定めるのではなく、ガイドラインとして各々の研究者、団体や業界が、自主規制として遵守すべきものだと思います。 ヒトゲノム研究に係る倫理的法的社会的問題に対しては、基本的に、本基本原則や指針等によって対応されていくものと考えています。
B-4       日本医師会    全体 今回の基本原則(案)は、とかく画一的になりがちな法による規制ではなく、ヒトゲノム研究を行なう機関に、機関内倫理審査委員会を置き、自主的・自律的制御を求め、その下で研究を進めるものであり妥当なものといえよう。倫理的、法的、社会的側面に配慮したうえで、研究の自由を損なうことなく、ヒトゲノム研究の健全な進展を心より望むものである。
E-5 <50 小林  正人 山形県農業研究研修センター 全体 法による規制ではなく、指針で研究者に判断をゆだねることに賛成である。内容は包括的であり、充分であると思う。
A-7       日本看護科学学会    全体(臨床) 過去、医学研究では、その性質上臨床との結びつきが強く、患者の検査結果(その結果そのものは患者に属する)を研究データとして用いる、あるいは検査試料を研究に流用するなどが行なわれ、批判されてきた。本研究分野でもっとも懸念されることの一つはこのことである基本的考え方5.の最後に「遺伝子診断および治療に関しては、別途国の指針が定められる必要」が述べられているが、これだけでは弱いように思われる。この点についても検討いただきたい。 本基本原則は、専ら「研究」を対象としており、「応用」については、診断・治療に関連する部分も含めて、別に原則や指針が検討されていくべきものと考えます。臨床における問題については基本的には現行法に基づいて適切な対応がなされることになります。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。
A-11       日本解剖学会    全体 ゲノム研究と資料提供に関する部分はよく書かれているが、データ(結果)の告知、カウンセリング、利用に関連して起こり得る問題点についてももう少し踏み込んだ方針が示されるのが望ましいと考えます。臨床サイドからの意見も参考にされるのがよいと思います。
C-2       医療改善ネットワーク    全体 「遺伝子診断及び治療に関しては、別途国の指針が定められる必要がある。」というが、それはどこでいつ頃までに作成されようとしているのか。ヒトゲノムに関する研究は、診断・治療といった臨床的な面とオーバーラップする場合もありえると思われるが、そのようなケースに十分に対処するにはこの基本原則だけでは不十分と思われる。現在厚生省が検討している「遺伝子解析研究に付随する倫理問題に対するための指針」も主に研究に関するもので臨床的指針ではないようである。
C-6       つばさの会代表    全体 基本的考え方の中にもあるが、ヒトゲノム研究が適切な形で行われるためには、この「基本原則」だけでは不十分であり、遺伝情報を用いた医療全般の指針が必要がある。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 全体 医療事故の頻発や、癌等の病名告知が患者本人ではなく家族になされているなど、患者の尊厳と人権がおろそかにされている我が国の現状を考えると、「基本原則」に則ってどこまで実施されるのか、多くの国民にとっては不安であると思う。故に、医療事故防止対策も含め医療の現状を改善するための基本的考え方や方策も言及すべきと思う。
E-41 <50 匿名希望 学生 全体 基本原則は(「ヒトゲノム研究」を対象としている)とありますが、問題が発生するのはもっぱら研究の成果を応用する場面においてでしょう。医学もビジネスである事実を考えれば、(医学的応用または産業的応用などの活動については、それぞれについて適切な指針が定められるべきである)という解説だけでは、誰が、いつ、どのような手順で(適切な指針)を定めるのかが不明であり、これでは不十分です。
E-65 <50 匿名希望 佐賀県商工労働部 全体 ヒトゲノム計画は、倫理的・法的・社会的問題やプライバシーの侵害という問題もあると思われるが、それ以上に健康保持や疫病の治療、予防などに貢献する期待はかなり大きいものが考えられる。従って、ヒトゲノム研究に関する基本原則を早急に確立し、それによって研究されるものでなければならない。この基本原則は、よくできていると思われるが、今後この原則に従って、細かい規定を定めることが大切である。
A-3       日本薬物動態学会    全体(指針) この基本原則と平行して、本基本原則が厳密に実行されるような措置(既存の法令の適用や新しい法令の制定、国の指針の策定などの行政措置)が必要と考えます。 本基本原則が策定されたのち、研究の実施にあたって具体的手順を示す「指針」が別途、国において作成されます。
B-1       日本製薬工業協会    全体 ゲノム研究に関する基本原則については特段の意見はありませんが、種々の研究所において実際にゲノム研究を実施するためには、細部にわたる指針またはより詳細な解説が必要と考えます。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    全体 本原則案はヒトゲノム研究を健全で円滑に進めるための取りかかりに過ぎず、研究者に必要とされているのは具体的な手順書です。ヒトゲノム研究小委員会において議論が継続され、早期に手順書が策定されますことを期待します。
B-3       日本製薬団体連合会    全体 ゲノム研究の実施にあたり、細部にわたる指針またはより詳細な解説書が必要。各省が独自に公示するのではなく、基本原則と指針を併せた国として一本化し制定が望まれる。
E-19 <40 匿名希望 久留米大学医学部外科 全体 提供者に対する配慮が十分なされており、よくまとまったものだと思います。ただ、研究者にとっては曖昧な点もあり、改良の余地もあるのではと思われます。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 全体 基本的によい原則であるが、実行可能な指針の作成、さらに、研究者、一般社会の啓蒙、それらを支える基盤の整備が不可欠であることを考える。決して絵に描いた餅、実現不可能で現実には原則破りの横行とならないことを祈願する。
E-52 <30 匿名希望 慶應義塾大学 全体 研究に対して非常に慎重な態度である様子が感じられました。確かにこの研究は倫理的法的社会的問題と密接に関わっているため、広範囲に渡る配慮が必要であることは理解できます。しかしここまで考えると、実際に研究する時、非常にとまどう面も出てくるのではないかと思えました。この基本的原則のもと、どの程度研究が進むのだろう・・というのが率直な感想です。
E-67 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 全体 「案」としてはよく考慮されていると思った。しかし、実際に具体化して運用された場合どこまで「究極ノプライバシー」とされる遺伝子情報を管理し、保護できるか。研究者及び研究試料の提供者双方にとって不利益とはならないよう早急に具体的なルール作りを進められることが望まれる。更にこれらの研究計画の情報公開もまた必須条件とされなければならない。幅広い議論を経て指針作りをしなくてはならない。
E-52 <30 匿名希望 慶應義塾大学 全体(倫理委員会) 「倫理委員会」の審査に委ねられている判断がいくつかありましたが個々のケースに対してその都度委員会が審査を行なうことは難しい面もあるのではないかと思えました。審査結果を出すには時間もかかるのではないでしょうか。 個別のケースとしてはいろいろなものが考えられ、それら全てを基本原則に示すことは不可能なため、倫理委員会が判断していくことが妥当と考えます。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会    倫理委員会にゆだねられる所が大きいが認定とそれを監督する機関が明確でない。国家権力と結びついてほしくない。 文中に機関外部の人を入れるべきことを明記しました。外部の人を入れること、および個人のプライバシー、研究の独創性を侵さない限り、委員会の組織、手続規則、審査結果について情報公開をすることにより、国などが審査機関を設置しなくても、倫理委員会の機能は十分に実施されまた評価されるものと考えます。その他、具体的には指針の作成においてその実効性の担保が検討されていくべきと考えます。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    全体(例外取扱い) 「インフォームド・コンセント」が日本において徹底して議論されないにもかかわらず、やっと国民の努力によって定着への道を歩んでいるときに、それを否定する議論を盛り込みすぎです。国民の中に「科学技術研究」と国民一人一人の「人権と尊厳」とが対立するかの印象を与えることなく、国民の支持を得て「科学技術研究」を促進できるためには、もっと「提供者」及びその血縁者などの立場に立って議論をしていくことが必要だと考えます。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでは不十分と考えられます。本基本原則においては「例外」的ではあるが、現実と照らし合わせたとき重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。
A-8       日本組織培養学会       本答申が、憲法的なものであることを念頭におく、例外の取扱いについては総則から削除し、末尾に一章(第二十八(例外の取扱い))を設けることを提案する。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学    基本的な事柄は網羅されていると思うが、大小さまざまな原則が雑然と並んでいる印象を受けた。
A-1       日本神経学会    全体 全体的によく書けている。ヒト、人、人間の定義をしておくべきである。生物学的に見た人、人格や精神活動まで含めた人とでは解釈が異なってくる。 ご意見を参考に解説に定義を加えました。
A-4       日本癌治療学会    全体(用語) よくできた案である。但し、用語や言い回しに難解な部分も多く、平均的医師には理解困難と考える。 「用語説明」を作成して添付しました。また、できるだけ平易な表現に書き換えるよう努めました。 
A-4       日本癌治療学会    全体 “ヒトゲノム”という言葉が、何の説明もなく登場しますが、“ヒトゲノム”という言葉は日本語ではなく、何らかのはっきりした説明、定義を述べる必要はないのでしょうか?現在研究に携わっているもののみならず、将来研究を始める研究者、一般の人々(あるいは社会一般)に受け入れてもらうためには、平易な定義があれば更に良いかと考えます。
A-8       日本組織培養学会    全体 表題を「ヒト遺伝子情報研究に関する〜」にすべき。ゲノムという言葉はもともとハプロイド染色体の一組に与えられた用語である。遺伝子情報の研究を社会の大方に受容される形で推進するためには、国民の90%以上が説明なしではなんのことだか分からないような用語を表題に用いることはいかがなものであろうか。「遺伝子情報」という言い回しがよくなければ、適宜な他の言葉を検討いただければ幸いである。すくなくとも「ゲノム」は不適切ではなかろうか。
A-9       家族性腫瘍研究会    全体 「ゲノム」とは何を指すかを明示してほしい。「ゲノム」という語はメディアなどを通じて一般にも広がりつつある反面、専門家の間でも漠然とした概念として捉えられていることが多いので、「ヒトゲノム」とは何を指すかということをきちんと述べて欲しい。  「遺伝子情報」など概念的な語の定義を提示してほしい。「遺伝子情報」とは何か、といった他の概念的な語の定義も提示してほしい。「遺伝子情報」とはDNA配列のことか、RFLPなどで示される変異の有無も含むのか?単なるDNA配列ではなく診断的意味も含めた情報なのか?あるいは、遺伝子解析によって得られる情報という意味ならば、蛋白質の型(表原型)から推測可能な遺伝子型は含まれないのか、あるいは家族歴などの「遺伝情報」とは区別するのか?といったような疑問が生じる。
A-10       日本整形外科学会    全体 意味の不明確な表現がある.解説には,解釈しにくい個所もある.この基本原則を,一部の研究者が理解するだけでなく,社会一般のヒトゲノム研究に対する認識の基礎にしようとするのであればなおのこと,本文,解説ともに文書をよく推敲し,誤解の余地のない明確な文言に改める必要がある. 
C-6       つばさの会代表    全体 項目、内容など概ね考慮されており、指示できる。  しかし、「基本原則」自体は表現が難しく、表現が足りない所や理解しにくい所が非常に多く、疑問を抱いたり、難解である“遺伝子”の問題をより複雑にしている様に思えてならない。  その点、解説は足りない所を補い、解りやすい言葉にするなど、良くできていると思う。  もし、社会一般に広く理解を求めるのであればこの解説を付けての公表が望まれる。 
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 全体 「ゲノム」の定義の項を追加すべき。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 全体 基本的原則を拝読して最初にいだいた疑問は、「ゲノム」の意味が正しく理解されているのだろうか、ということです。ゲノムと遺伝子が混同されているとも受け取られかねない表現が多数みられます。科学は客観性が必要条件ですので、用語には厳密さが求められるはずです。
E-26 <70 北野  元生 鹿児島大学歯学部教授 全体 全体にもっと平易な言葉遣いに改めていただけないでしょうか。
E-61 <50 作井  英人 富山県企画部計画課 全体 ヒトゲノム研究に関する基本原則は、将来の国民医療に関わる重要な方針となるものであり、従って研究者だけでなく、できるだけ国民に分かり易い表現を使うべきである。例えば、「インフォームド・コンセント」は、一般国民には理解できないことから「説明と同意」でどうか。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    全体(表現) 本案は受動文が多いのですが、誰を制約しているのか不明であり、また「責任の所在」を曖昧にしすぎると考えます。とにかく、研究者や研究機関あるいは政府なのかあるいは一般国民に責任があるのかをはっきりさせていくことが必要です。 主語を明示していない文の多くは、文脈から主体が明らかと考えます。わかり難い文については、理解しやすい文に修正しました。 
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 全体 欧文を直訳したような受動態の文が多くて分かりにくく、誤解を招きやすい。行為の主体を明示しないときは、能動態で表現すべきである。 
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 全体 述べられていることは一般的であり、努力や義務的表現が多く、責任の所在が限定されていないのが気がかりである。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 全体 本案には、受動文が多いが、誰を制約しているか不明になっていることが少なくない。研究者や研究機関なのか、政府なのか、一般国民なのか明記すべきである。
C-3       DNA問題研究会    全体 「ヒトゲノムの研究者や医師を主な対象としているが、同時に、社会一般、とくに研究試料提供者や血縁者、家族等がヒトゲノム研究に対してもっていてほしい認識の基礎ともなるべきものである」とあり、「解説」の「はじめに」の「この解説のねらい」にも同様のことが謳われています。つまり、“研究する側”への要求と“研究される側”への要求が並列されております。しかし、まだほとんど何も知らされていないのに国によって研究材料にされることが決められてしまう後者にまで責任を分担させることは問題であります。「が、同時に」以下は削除し、この基本原則はあくまでも研究者や医師など“研究する側”のみを対象とするものにすべきです。 本基本原則は、ヒトゲノム研究を行う研究者のみならず、試料を提供する一般市民、その血縁者、家族そして社会全体がもっていてほしい認識の基礎となるべきものとして定められています。一般市民にとっても、その権利を知ることはマイナス面を防ぐという意味でメリットが存在します。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    全体 この基本原則は人の遺伝子に関する研究をおこなう研究者に対する倫理規定としてつくられるべきである。 
E-27 <70 矢原  一郎 東京都臨床医学総合研究所 全体 これは法律ではないようなので、この原則を遵守しなければならない者は、だれなのか、明記されていない。
C-3       DNA問題研究会    全体(審議) 生命倫理委員会でヒトゲノム研究小委員会を設置することが決められたのが1999年12月21日、第1回ヒトゲノム研究小委員会が開かれたのが2000年1月28日、それからわずか3回の審議を経て、この基本原則の(案)が公表されたのが早くも4月11日です。しかもこれは、次項で述べるように国民がその内容・過程を完全に知ることができないかたちでつくられたものです。基本原則は「基本的考え方」の4で「大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性がある」、第一章第三でも「人間の生命や生活についての考え方を大きく変化させることが考えられ、社会に極めて大きな影響をあたえる可能性がある」と認めているのですから、もっと時間をかけて議論し、具体的にどのような問題を引き起こす可能性があるのかをできる限り洗い出すという作業が必要です。それをせずに、人体の一部を必要不可欠とする大規模調査研究をこれほど短期間のうちに国によって公認しようとするのは、常軌を逸しているとしか思えず、危険というほかありません。 本基本原則案を審議・策定した生命倫理委員会ヒトゲノム研究小委員会の議事は一般に公開されているほか議事録のインターネットへの掲示を実施しています。 
C-3       DNA問題研究会    全体 いつから、どのように議論がなされてこの基本原則がつくられたのか、その過程の説明が省かれています。とりわけ、ヒトゲノム研究小委員会とは別に「「ヒトゲノム研究開発動向および取り扱いに関する調査」検討委員会」、いわゆる“位田委員会”なる委員会がつくられていて、5回の会合が開かれ、メーリングリストによる議論も行なわれたようですが、一般傍聴も、議事録やメーリングリストのログ公開も、なされた形跡がまったくなく、また、この事実は生命倫理委員会での配付資料のみに書かれていて、科学技術庁ホームページの「意見募集」には説明がないことは問題であります。このような“秘密会議”でつくられた基本原則を認めることはできません。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 全体 このように大きな問題に対処するにあたっては、特に「憲法」のようなものを作成されるのでしたら、膨大な具体的資料とデータを集積して、それを綿密にまとめた上で充分な検討がなされてしかるべきと思います。ヒトゲノム研究は、国民個人の人権の保護はもとより、将来の国全体のあり方を左右するほどの重大問題のはずです。具体的な面の検討を省いた観念論は隙間だらけになってしまいます。実際、どのような経緯で検討はなされたのでしょうか。
E-24 <60 水沢  博 国立医薬品食品衛生研究所 全体 本原則案に限らず、わが国では、議論の経過は公開されず、結論だけが出て参ります。今回の原則案でもその良否がどうあっても、議論の経過をまずは公開し、その過程で得られるパブリックな意見を求めつつ、それを結果に反映させながら、また、反論すべき点は反論するという経過を経てこのような原則案は作成されるべきではないかと思う。大変興味深い議論がたくさん行われましたが、そうした議論は多くの方にとって有意義なものであると信じますし、この凝縮された文章がそうした議論の結果として作成されたものであることを多くの国民により強く実感してもらうために有意義である。
A-3       日本薬物動態学会    全体 今回は、科学技術庁からの基本原則(案)の提示ですが、厚生省などの他の機関は指針などはないのでしょうか。もしあるようでしたら、それとのすりあわせは大丈夫でしょうか。 本基本原則案は、ヒトゲノム研究に関連する憲法的位置づけの倫理原則を示したものであり、厚生省の「遺伝子解析研究に付随する倫理問題などに対応するための指針」の上位に位置するものです。今後、指針については、研究内容や実施する機関の性格等により、個別に策定することが妥当なケースが考えられますが、指針や基準に齟齬が生じないよう調整されていくべきと考えます。
A-3       日本薬物動態学会    全体 ほぼ時を同じくして「ヒト組織」、「ヒト胚」、「クローン」、「遺伝子解析研究に付随する倫理問題などに対応するための指針(案)」、「疫学手法を用いた研究棟における個人情報の保護などのあり方に関する専門委員会」などに関する基本原則、基本的考え方(案)等が個別に答申されておりますが、これらを包括した「生命倫理」に関する十分な討議がなされ、国際協調を図りながらも我が国独自の文化・宗教等を尊重した包括的理念の提示が今後必要と考えます。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    全体 本原則案は国内におけるヒトゲノムの全ての研究者を対象にしていると考えます。しかしながら、例えば厚生省において「遺伝子解析研究に付随する倫理問題などに対応するための指針(案)」が作成されたように、研究者は複数の機関で策定された複数の基準に沿って研究せざるを得ない状況が発生しようとしております。省庁間での整合性を図るようにお願い申し上げます。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    全体(意見公募) この意見の公募の期限の問題に関して、1ヶ月という期間があまりに短いということです。この問題にしろ、生命倫理上の諸問題は、国民一人一人に関わりを持ってくる重要な問題だと思います。国民的な合意形成の上ではやはり十分な、せめて2ケ月程度の意見聴取期間を設定すべきだと考えます。 今回の意見募集では、関連学術団体や社会団体など約460団体への原則案送付およびホームページを通じて広く意見を求めたほか、プレス等にも意見募集実施の旨を周知しました。公募された意見は、後日まとめてHPに掲載します。また資料の請求があれば送付  いたします。今後、指針作成の議論を行っていく際にも意見の汲み上げに努めるとともに、意見公募が実施されるべきと考えています。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 全体 こういう募集がなされていることを、一体世間のどれだけの人が知っているでしょうか。大学生や会社員、その他、色々な職業に就いている人々がその人の立場からの、また個人としての意見を述べる事ができる環境をもっと整えるべきだと思います。それほど、このヒトゲノムの研究は重大かつ深刻だと思います。ヒトゲノム研究を今後進めていくにあたって、社会全般から意見を得られずにいることは、研究者や政治家などの、偏った見解のなかでのみ、行なわれてしまうのではないでしょうか。
E-55 <30 村上  美音子 学生 全体 方向性は間違っておらず、私も基本的に賛成するところが多い。この基本原則(案)について一般人からも広く意見を求める姿勢は高く評価したい。ただ、もっと多くの媒体を用いて、より広く意見を募集して欲しい。それでこそ、「社会の理解」を得られるのだと思う。ヒトゲノム研究とその成果の応用は、こうしたさまざまな問題に注意を払いながら、社会の理解のもとに進めていかねばならない。には基本的に賛成であり、このような意見の一般募集も「社会の理解」を深める一環として行われているのであろうが、もっと国民全体に対して広報活動が必要だと考えられる。この意見募集も、大学での指導教員からの情報がなければ、私は知らないままであったろうし、一般で郵送の基本原則案を取り寄せてまで意見を述べようとする人がどれだけいるだろうか。インターネットで公開しているといっても、まだまだ全人口におけるインターネット人口の比率は100%には程遠いのだから、この意見募集に限らず、ヒトゲノム計画について児童生徒にも分かり易く書き改めた情報を広めることが、最終的に「社会の理解」へとつながって行くのではないか。  
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 全体 今回の「案の公表と意見募集」は、次の諸点で衆智を集めるのには不充分であった。  周知徹底が不十分であった。 期間が短くて充分な指摘が出来なかった。 今回の「案の公表と意見募集」に応募された意見は全て公表していただきたい。具体的には、全国の公共の図書館(市町村立図書館)に寄せられたすべての意見を掲載した冊子を配付公表していただきたい。
E-72 50才代 奥山恭子 帝京大学法学部 全体 広く国民の意見を求めるためには1ヶ月足らずの意見募集期間はあまりに短い。特に学会宛資料が送付された場合には、この期間では会員の意見調整はもとより資料配付すら困難である。
A-3       日本薬物動態学会 日本薬物動態学会 全体 かかる答申(案)に対して、パブリックオピニオンを求めることは、研究者側だけでなく、提供者側、社会一般の方からの意見も聴取できるという意味でも、非常に意義あることと考えます。今後も続けていただきたい。   
E-27 <70 矢原  一郎 東京都臨床医学総合研究所 全体 インフォームドコンセントに関しては、かなり詳細な原則が示されている反面、情報の管理については厳しさが弱い。ゲノム研究では、研究は積極的に奨励する一方、情報の管理の厳格性を保つようにすべきである。 原則第十一、十二に個人情報保護の管理について記載されています。また指針の策定の際にはその実効性の担保について検討されるべきと考えます。
A-3       日本薬物動態学会    全体(構成) 全ての提供者に関するプライバシー保護、人権の擁護、倫理性の確保、補償並びに賠償の義務を研究機関側が負うことを明記する必要があります。それらに関する提供者の権利を謳う前に前提として認識されねばならないことと思います。 ヒトゲノム研究に関する倫理原則の策案にあたって、人間の尊厳と人権の尊重の観点から、まず第一に保護するべきは、研究に直接協力する試料提供者であると考え、  研究者の責務よりも先に第二章で提供者の権利をうたいました。
A-4       日本癌治療学会    全体 研究者の意欲と慎重な姿勢がよく表され、真摯な姿勢が感じられる内容であると考えます。一方で、研究の進展の妨げとなる事項をできる限り排除しようとする意図も、感じられます。特に第2章に早々と“研究資料提供者の権利”があり、基本的な理念や理想を述べた“社会との関係”が最後の第4章にあるなど、研究の実施にあたり実際的に重要となっている事項を先行、強調した内容となっているような印象を受けました。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 全体 第3章は第2章の前(第1章の後)に置くべき内容ではないか。
E-35 <60 高橋  義人   京都大学大学院 全体 有用な研究だが、研究成果が利用されるのみならず悪用される恐れもある。十分に留意してほしい。 本基本原則に示された考え方に基づき、各研究機関における研究が適切に実施されることとなります。また、指針の策定において、実効性の担保が検討されるべきと考えます。
E-49 <30 匿名希望 慶應義塾大学 全体 歴史的にみても「人種間に根本的な遺伝子の違いがある」という優生思想があったことは事実であり、ここの条項で述べられていることは希望的観測のように思われる。遺伝的特徴が各々個別のもので一つ一つ違うと言うことはできるが、それを集団で見ようとすることは必然だ。たとえば、この人種は優れているが、この人種は劣っているというような思想だ。人類発展のためのものが、人類の足をすくう結果になりかねないため、十分すぎる注意が必要である。
C-3       DNA問題研究会    全体(委員構成) ヒトゲノム研究小委員会および“位田委員会”の構成員についていえば、医学関係者がほとんどで、わずかに生命倫理や法学の専門家が数人いるだけです。仮に国民を対象にした広範な遺伝子解析が一般に受け入れられるとして(以下、これを前提にして意見を述べます)、このような委員会をつくるのであれば、その構成員に、遺伝子解析のための試料を採取され、情報を研究される当事者、たとえば住民検診などの対象になる一般の人々や、遺伝病の患者団体のメンバー、痴呆老人を抱える家族等対象となる疾患の患者および家族を委員に加え、その意見を反映させるべきです。  各委員会の構成員についてさらにいえば、病気というのは決して遺伝子だけが原因ではないという事実を考慮に入れたうえで、環境因子と病気との関係に詳しい専門家、たとえば環境化学や放射線の専門家も委員に入れるべきです。少なくとも彼らの意見を充分に聞いて基本原則に反映させるべきです。たとえば、「基本的考え方」の3では、病気と遺伝子との関係の重要性が強調されていますが、このまま基本原則がまとめられれば、有害化学物質や放射線など環境因子などの責任がぼかされるだけでなく、第一章第一3と4で否定されているはずの遺伝子決定論による差別や偏見がますます助長されてしまうという懸念を感じます。各委員会の構成員についてさらにまたいえば、遺伝子情報は究極の個人情報であるという事実を考慮に入れたうえで、プライバシー問題の専門家、たとえばプライバシー問題に取り組む市民団体のメンバーやジャーナリストを委員に加えるべきです。少なくとも彼らの意見を充分に聞いて基本原則に反映させるべきです。さらに、この基本原則には、1980年に勧告されたいわゆるOECD8原則や、現在検討中の個人情報保護法案、さらには批判を浴びながらも成立した改正住民基本台帳法などの諸制度とどのように整合性を保っているのかが説明されておりません。とりわけ個人情報保護法案と改正住民基本台帳法には、多方面から多くの批判があることを考慮に入れて、基本原則にも反映させるべきです。 本基本原則案を策定した生命倫理委員会ヒトゲノム研究小委員会の委員には、行政法、刑法、国際法の専門家や遺伝カウンセリングの専門家が含まれています。小委員会委員構成員の一覧に、各委員の専門分野を記載しました。また、一般からの意見募集を実施し意見の汲み上げに努めました。
E-25 <40 斉尾  武郎 安藤病院内科医員 全体 ヒトゲノム研究小委員会に千葉大学法経学部助教授広井良典氏がメンバーとして入っていない。
E-72 <60 奥山恭子 帝京大学法学部 全体 基本姿勢の立案項目、特に研究のあり方、関係者の権利、倫理委員会の設置と審査、説明義務等は必須の要件であり、これらが盛り込まれた点、評価に値する。しかし上記各項目は社会科学の分野で議論のし尽くされていない重要論点であり、それにしては小委員会のメンバーが自然科学に傾斜している節が否めない。社会科学分野からの適材メンバーの補充を強く望む。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    全体 基本的視点が原案には欠落しており、それはとりもなおさず当該委員会・委員の人権に対する思慮のなさ、科学技術優先主義への反省のなさのあらわれであり、こういう原案はとうてい是認できない。この原案は撤回されるべきである。委員を総入れ替えして市民、とくに差別の対象とされる立場の人たちを過半数いれて、再度、案を作り直していただきたい。以下に、我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。
E-62 <70 今泉  弘吉 IMA環境保護事務所 全体 事は医学と法学のエキスパートのみに委ねられるのではなく、より広範囲の識者の意見を集め、公開の場で十分な議論が尽くされるように望む。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 全体 内容全体はHowがほとんどであって、whatやwhyがあまり見られないところも根本的な問題だと思いました。理念がとても観念的に読めるのですが、それもHowが先行して、whatやwhyとして熟考し言語化されたものではないことからきたのではないでしょうか。 本基本原則は、ヒトゲノム研究に際して人の尊厳と基本的人権を損なうことのないようHowを定めたものです。what、whyについても「基本的考え方」や解説に盛り込んでいます。
E-40 <20 石田  素子 学生 全体 国民に対して情報を公開し、意見を求めたことはとても評価できることだと思う。今後、国民からの意見を重く受け止め、改善すべき点はきちんと検討していただきたい。 改善すべきと思われる点については委員会で議論の上、修正いたしました。
E-58 <50 安藤  寿康 慶應義塾大学文学部 全体 遺伝情報がそのように生命現象と人間の社会現象のあらゆる側面に関わる基本であることを考えたとき、遺伝情報の扱いは、従来の「物質」「エネルギー」「情報」という基本カテゴリーでは捕らえ尽くせない、従来のカテゴリーとは根本的に異なる新たなカテゴリーとして位置づけるべきものと思われます。現在、遺伝子とそれが生み出す様々なことがらは、DNAという「物質」、あるいは遺伝「情報」として、科学技術による操作可能な物質的対象、あるいは特許や個人情報のような知的所有権の発生する情報的対象としてしか扱うすべがありません。しかしながら「遺伝子」はそのような既成の概念枠を根本から考え直す必要のある概念であり、その意味づけについては、今後どんどん変化する可能性を秘めています。その意味で今回の基本原則はあくまでも現時点での遺伝子認識に他ならない。ですからこのような基本原則を作った後も、広く議論を行って柔軟にそれを見直してゆく必要性があると思います。 ヒトゲノム研究の進展や社会情勢の変化を受けて、本基本原則の見直しについては適宜検討が行われるべきと考えています。この点については附則においてふれられています。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 全体 国民はヒトゲノム研究で何が分かっているのか、それは何に使われるのかが分からず心配しています。ですから自由に研究するのはいいのですが中身の説明をしっかりやる必要があります。研究は社会との兼ね合いの中で行う必要があるので、どこまで研究できるかの境界や実用化のときも遺伝子組替え食品のときのように専門家だけで決めるのではなく、この意見募集のように国民の声を聞いて進めていく必要があります。この考え方は研究者のモラルに拠ってるところがかなりあると思いますが、今大学で研究してる者として思うことは今の大学で高いモラルが育っていけるのでしょうか?研究者へのモラルへ期待を感じました。国民へは説明はもちろんですが、議論をおこして合意を作ってから研究ということにしてください。なぜなら遺伝子は、人みんなが持つものだからです。 本基本原則が遵守され、原則第二十四の社会の理解と説明責任が果たされることとなります。
C-3       DNA問題研究会    全体 ヒトゲノム解析研究によって、人間の遺伝をつかさどる遺伝子に含まれる情報が見いだされ、それに特許がかけられるということは、遺伝子情報が商品として市場に流通することを意味します。現在、数多くの民間の研究機関が人の遺伝子の構造解析や機能解析を進めている事実や、1999年に5省庁間で取り交わされた「バイオテクノロジー産業の創造に向けた基本戦略」、そして「ミレニアム・プロジェックト」などを見れば、それは明らかです。ところが基本原則は、人間の遺伝子情報が商業利用される道筋を明確に説明していません。一般の人々に、遺伝子情報が商業利用されることをはっきりと説明すべきです。これを省くのは、一般の人々の理解と判断を誤らせるもとです。とりわけ、たとえば第二章第三節第十七では、「1.研究試料の提供は無償とする。2.研究の結果得られた成果が知的所有権等の対象となる場合、それらの権利は提供者に帰属するものではない」とし、提供者に金銭が渡らないということを持って、商業利用とは関係ないように見せかけていることは問題であります。 ゲノム研究における研究成果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるもので、その範囲や権利者については、この基本原則で定めるものではなく、別途検討されるべき問題と考えます。ヒトゲノム塩基配列情報については、公開されるべき旨が政府により示されています。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 全体 全体的の印象としましては、観念的で、具体的なイメージが湧きにくいという印象を受けるところに第一の問題を感じました。そこから再考していただかないと細部もおかしくなります。 本基本原則はヒトゲノム研究に関する倫理的観点からの理念を示すためのものであり、具体的手続きについては別途指針が策定されるべきと考えています。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 全体 基本原則であるため,本文の表現となっていることはわかりました.しかし,日本において遅れていると感じるインフォームド・コンセントの手続等の適切さおよび遺伝カウンセリング等の整備を盛り込んで頂きたいと思います.また,遺伝子情報の管理と整備につきましても,倫理面等の追加した記述により具体化することが望ましいと感じました. ご指摘の点については原則第五、十九、二十六等の条項で記載されています。遺伝情報保護の実効性については指針の作成において検討されるべき事項と考えます。
E-70 <50 茂木  毅 元成城大学大学院博士課程  団体職員 全体 試料提供者のプライバシーに配慮されていると思う。ただ、何らかの遺伝子に異常があるときに、子供をつくる予定がある者への対応も今後の課題であろう。 第十九で示しているように、遺伝カウンセリング等の支援が提供されるべきと考えます。ヒトゲノム研究の応用段階での問題については今後も検討されるべきと考えます。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 全体 医療の進歩を国民が等しく受けられるような法整備があらねばなりません。 ヒトゲノム研究の応用段階での問題については今後も検討されるべき課題と考えます。
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 全体 ヒトゲノム研究「基本方針」は国際的競争と協力の要請のもとに検討が始まったものと考える.しかし、本基本方針には国際的視野が不在である.あるいは、この基本方針は「人類」という視点から日本国のみでなく国際的に活動する日本の研究全体を規制するもとのして形成されたと考えるのか.その点が不明である.日本国民の健康福祉には日本人のサンプルを用いた研究が必須である点は国際的に見てあきらかであり、欧米の結果を利用することでは対応できない側面があることも強調する必要がある.欧米で開発された化学物質の評価のために、日本人独自のデータ-が必要である点は強調すべき点である. 本基本原則は、国際的にヒトゲノム研究が進展する中で我が国として研究を進めていく上で遵守すべき事項をとりまとめたものであり、その旨「基本的考え方」等に示してあります。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  全体 ヒトゲノム研究が推進され、その成果が将来的に健康増進、医療に対し反映され、人の尊厳を保ったまま利用されることを期待しております。「ヒトゲノム研究に対する基本原則(案)」に対する全般的な印象としては、本研究成果を診断や治療などの応用のための適切な方法(原則)を示しているものであり、研究の推進、人権の保護等についても十分に考慮されたものであると思っております。しかしながら、診断や治療などの応用のためには、対照が必須であると考えられますが、健常者に対する取り扱いの部分が不足しているように思います。 健常者からの試料に関してもすべて本基本原則に則って扱われます。
C-2       医療改善ネットワーク    基本的考え方 「科学研究の自由」を「基本的人権の中核」というのなら、「自己に関する情報に対するコントロール権」も「基本的人権」としてきちんと把握しておくべきである。この権利は、個人の人格的生存に不可欠な憲法上の基本権として認知されつつあるが、ヒトの遺伝子や臓器あるいは血液その他の物理的要素はいずれも身体の一部であり、所有権の対象となることも考えると、ヒトゲノム研究においては「自己情報コントロール権」は民法上の権利としても尊重されるべきである。更に言うなら、このような「自己情報コントロール権」あるいは「プライバシー権」は研究の自由よりも優先させるべきものであり、研究の自由はプライバシー権を最大限尊重した上で認められるべきと考える。こうした点を「基本的考え方」の中に明記すべきであろう。 ご意見を参考に、修文いたしました。
C-3       DNA問題研究会    基本的考え方 「基本的考え方」の1には、「科学研究の自由は思想の自由の一つとして基本的人権の中核である」とありますが、科学者が人類の中核であると規定しない限り、各種権利のなかで、「科学研究の自由」が「基本的な人権の中核」であるとはとうてい考えられません。あまりにも自己正当化的な言葉であります。
A-8       日本組織培養学会    基本的考え方 戦争等特殊な社会状況でなくても、非倫理的行為がなされてきた過去があり、医師ならびに科学者によってなされた過去の非倫理的行為を戦争のせいにすることはできないものと考えられる。 ご意見を参考に修文いたしました。
C-3       DNA問題研究会    基本的考え方 「基本的考え方」の2には、「戦争等特殊な社会的状況ではあったが、研究を理由に、人の尊厳と人権への配慮を著しく欠いた行為がなされた過去も人類はもち」とありますが、「研究を理由に、人の尊厳と人権への配慮を著しく欠いた行為」が行なわれたのは、「戦争等特殊な社会的状況」下のみではありません。日常でも、多くの事件が起きているのは自明のことです。そうした愚挙の原因を「戦争等特殊な社会的状況」のみに押し込めてしまうのは、研究者・医師らの責任逃れとしか考えられず、問題であります。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    基本的考え方 2の箇所は削除:特殊な状況下でのみ人権侵害がおこなわれたわけではない
E-9 <60 金澤  一郎 東京大学医学部附属病院 基本的考え方 この「基本的考え方」の部分は、1頁目下から4行目以下にもあるように、研究者向けであると同時に、国民にも向けたメッセージであるべきと考えます。それにしてはゲノム研究に対するマイナスイメージが強すぎ、何のために研究を国として行おうとしているのかが殆ど見えてきません。加筆をお願いしたいと思います。 ご意見を参考に修文いたしました。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 基本的考え方(1.表現) 「基本的考えから」で、「科学とは人間の知的営みであり」という文言はどうなのでしょうか。科学とは本来、真理の追求であるはずです。知的営みであれば、真理や現実を無視しても知的営みになってしまいます。最少の語句で言うとすれば「真理の究明(追求、探求)を目的とする知的営みの一つ」ではないでしょうか。「一つ」と書いたのは、科学万能を排するためでもあります。 ご意見を参考に修文いたしました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    基本的考え方 2について、ここではユネスコの「ヒトゲノムと人権についての世界宣言」で示された「人類全体の福祉に貢献するものでなければならない」という制限文章(第4a項)がどこにも記載されておりません。このような「ヒトゲノム研究」についての目的が明示されなければ、ヒトゲノム研究はすべて是認されることになってしまうのではないでしょうか。そして結局のところ、形式的に研究の手順だけが問題となり、インフォームド・コンセントの応用問題になってしまう危険があると考えます。また「解説」では、「ユネスコの宣言」については言及されておりますが、この基本的考え方ではまったく言及されていない点も考慮願います。  ご指摘の内容については、原則第二十一、二十五において記載されております。ユネスコの宣言について「基本的考え方」で言及しました。
E-46 <30 匿名希望 学生 基本的考え方 P1、11行目、「〜ヘルシンキ宣言等によって人の尊厳および人権に配慮して研究を行なうことの重要性が認識されて現在に至っている。」のヘルシンキ宣言に注釈をつけたほうがより明確化されるのではないか。「基本原則」は研究者、医師を主な対象としているが、同時に社会一般、特に研究試料提供者や血縁者、家族等も対象としているので、そのような方々にも理解していただきやすいようにする方が、研究協力も円滑に進むのではないか。 「用語説明」を設けて「ヘルシンキ宣言」等について説明しました。
A-8       日本組織培養学会    基本的考え方 「1990年に米国が打ち出し、〜急速に進展することとなった。」は憲法的総則にはふさわしくない記述と考える。 ご意見を参考に修文いたしました。
C-3       DNA問題研究会    基本的考え方 「基本的考え方」の3には、「1990年に米国が打ち出し、わが国および欧州諸国の参加を得て国際共同研究となった「ヒトゲノム計画」によって、急速に進展することとなった」とあります。確かに急速に進展したのはこの時期でありますが、その前史として、米国で最初にゲノム解析を始めたのはエネルギー省であり、その目的には原爆の放射能による遺伝的な影響についての研究もあって、その源流はマンハッタン計画にたどりつくという事実もあります。いうなれば、2にある「戦争等特殊な社会的状況」の副産物でもあるわけです。そうした事実も説明するべきです。 ここでは急速に進展することになった要因について言及しました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    基本的考え方 「個人の遺伝的特徴に基づいて尊厳や人権が著しく損なわれる危険性を生むなど、大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性がある」と述べられておりますが、この点から、この研究を推進する人たちが「社会の理解」のもとに進められなければならないということは、もっと強調されるべきでしょう。とりわけ制度的補償の問題などが生じてくることについてもここで言及しておくことが必要かと思われます。 ご指摘の点については原則第十八、二十四において記載されています。
A-8       日本組織培養学会    基本的考え方 ヒトゲノム研究を推進し、その成果を日本国民の福祉に還元することを考えると、出発点で国民の理解を得ることは不可欠と考える。応用するかどうかについて、国民的な決断が求められる場面が有り得るものと考えられる。「進めていかなければならない」かどうかの判断は、本答申の及ぶところではないのではなかろうか。 「〜ならない」にかかるのは「さまざまな問題に注意を払いながら、社会の理解のもと」になります。
E-11 <60 伯水  英夫 第一製薬  代謝分析研究所 基本的考え方 5「基本原則」に以下のことを追記して欲しい。ヒトゲノム情報は各個人の生命情報であり、所有である。何人も無断で解析し、それを利用してはならない。 ご指摘の点については原則第一の解説において記載されています。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 基本的考え方 5.「基本原則」は  の3−4行目(”・・・、同時に、社会一般、とくに研究資料提供者や・・・持っていて欲しい認識の基礎ともなるべきものである”):この部分は、”こうした認識を社会一般と共有することが出来るようにするための努力を、専門家は怠ってはならない”という形での、医師や研究者側の努力義務として書くべきではないでしょうか。そのことに触れずに、社会の側に丸投げするのは、本原則(案)の趣旨からすると本末転倒していると思います。   はじめに研究者や医師が守るべきものであることを記載しており、社会の側に丸投げしているわけではありません。その旨は原則第二十四にも明記されています。
C-6       つばさの会代表    基本的考え方   「基本原則」の基本的な考え方は支持できる。  ただ、表現的に気になる点がある。  生命科学研究は人の尊厳および人権に配慮して研究を行うことは非常に重要であるが、いつの時代にも技術の進歩は、研究者とその技術を利用したい者達にとっては、人道的な配慮を飛び越える魅力を放つものである。  現実問題として、ヒトゲノム研究の最先端を独走する米国では、すでに多くの病気や個人的な資質について遺伝情報を利用して診断や治療がなされ、またゲノムを利用した生殖医療など、成果とともに社会的倫理的問題を抱えるに至っている。  遅れをとるものの、我が国でもすでに利用できる技術も多く、特に遺伝子診断や治療は本会の対象疾患である原発性免疫不全症候群も含め、多くの疾患で日常となりつつある。  また先日、ヒトクローンの誕生を目的とした会社が設立され、自身のクローンを求める人々が多いことを伝えるテレビ番組が放映された。  クローン羊ドリーの誕生を聞いた時から予想されていたことであり、「ついに来たか」というよりは「以外と早かったな」という印象を受けたのは私だけだろうか?  それほど簡単に生命科学研究は禁断の壁を越えられるのである。  このような現実に起こっていることに目を向けると、“〜時代が目前に迫りつつある”(3.)、“大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性がある”(4.)というような表現はまだこれから起こり得ることであるような印象を与え、認識が甘いのではないかと感じられる。  この「基本原則」が研究者や医療関係者、提供者だけでなく、広く社会一般に訴えるものであるならば、この基本的考え方の中にだけでももっと危機的意識を喚起する表現をしても良いのではないかと考える。 ご意見を参考に第3、4項を修文いたしました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第一 ここで「1.ヒトゲノムは、人類の遺産である。」と述べられておりますが、この文意が極めて分かりにくい表現になっております。解説を併せて読みましてもすっきり致しません。ここはユネスコの宣言に記されているように、「人類の共同財産である」とした方がよろしいかと思います。こうすることによって、「人類全体の福祉」ということが出てくるのではないでしょうか。解説の理解では、「人が人として存在する基盤」を象徴することになっておりますが、これだけでは「人類全体の福祉」という概念はでてこないのではないでしょうか。 ご意見を参考に第1項の解説を修文いたしました。 
A-9       家族性腫瘍研究会    第一 「ヒトゲノムは人類の遺産である」との表現がわかりにくい。日本語の「ヒトゲノムは人類の遺産である」との表現は意味がわかりづらく、ゲノムの意味する部分の曖昧さも手伝って、初めて読む人には言わんとしていることが伝わりにくいのではないかと思われる。「遺産」はユネスコやHUGOの宣言にあるheritageの直訳と思われるが、英語のheritageは代々受け継がれている大切なものという概念であり日本語の「遺産」とは少し異なる。ロングマン英英辞典によれば、heritageは「important  qualities, customs, and traditions that have been in a society for a long  time.(長い間社会において受け継がれてきている重要な資質、習慣、伝統)」とあり、別の語でinheritanceは、「Money, property etc that you receive from someone who had died(死んだ人から受け取った財産)/Formal  ideas, beliefs, skills, literature, music etc from the past that influence  people in the present(現在の人々に影響している過去の考え、信念、技術、文学、音楽など)」とあり、heritageは、単に過去の人に遺されたものではなく、むしろ、受け継がれて「今」もっている価値あるものであるというところに力点のおかれた語であることがわかる。日本語の「遺産」にはこのようなニュアンスはなく、単に死後に遺した財産、人が死亡当時もっていた財産のことを指す語である。従って、「ヒトゲノムは人類が代々受け継いできた大切なものである」といった内容が伝わる表現を工夫してほしい。とはいえ、ユネスコの「世界文化遺産」の話題が知られるようになり、日本語の「遺産」の意味が拡大してきているのではとの考えもある。また、他に代わりとなる語がない場合、やむを得ず「遺産」を用いざるをえないことも考えられる。しかし、そうであるとしても、解説にてそれが何を意味するのかを述べてほしい。現状の解説では「〜ではない」とはあっても、それなら何なのかが書かれていない。「〜ではない」ということよりも、「何なのか」を解説してほしい。HUGOの倫理委員会にて2000年4月に提示
A-10       日本整形外科学会    第一 「ヒトゲノムは,人類の遺産である.」の「遺産」という語は,不適切である.比喩的に用いられたと考えられるが,遺産という語本来の意味はヒトゲノムが人類に対してもつ意味からあまりにもかけ離れている.この文は,基本原則の冒頭に登場し,ヒトゲノムが人間にとって何であるかを最も端的に表現する.このような重要な個所では,比喩ではなく,明示的な表現を用いるべきである.ヒト  ゲノムが人間にとって何であるかを表現する言葉は,現時点でのわれわれの認識を表すものであって、適切に表現できないとすれば,われわれの認識そのものの中により明確にすべき部分が残っているとも考えられる.この意味でも,遺産というさまざまに解釈しうる表現が冒頭から登場することは不適切である.ユネスコなどの国際機関で用いられた表現であっても,上述の指摘を免れることはできない.
         日本解剖学会    第一 ヒトゲノムは人類の「遺産」というのは適切な語でしょうか。「資産」などのほうがぴったりするような気がしますが。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    第一 「ヒトゲノムは、人類の遺産である。」とありますが、「遺産」の文言は過去のものを意味している印象を強く受けます。ユネスコのヒトゲノムに関する憲章の翻訳を検討した際の訳語であると思いますが、現在をも表現する別の文言への変更を希望いたします。
C-2       医療改善ネットワーク    第一 「ヒトゲノムは、人類の遺産でもある。」という表現は適切とは思えない。確かにゲノムの中には遺産ともいうべき情報が少なからず含まれているのかもしれないが、「人類の遺産」というと、ゲノムは人類の共有物とみなされ、個人情報保護と相容れないという議論が出てくる恐れがある。この一文(第1の第1項)は削除すべきであろう。
E-2    高浜  洋介 徳島大学ゲノム機能研究センター 第一 ・・・「遺産」という表現は、たとえユネスコやHUGOで同等の文言があったとしても、日本語としては不適切です。ヒトゲノムは現在全ての人類に存在し、それぞれの人間の中で動的に機能しているものです。リンパ球のなかでは、ゲノムは再構成によって構造変化すらします。よって、一般に過去から現在へと残され変動しなくなったものを指す「遺産」は適切ではありません。「財産」はいかがでしょうか?
E-9 <60 金澤  一郎 東京大学医学部附属病院 第一 ヒトゲノムは人類の遺産であるとされていますが、「遺産」はこの場合不適切な表現です。厚生省や文部省の関連文書にもあるように「人類の共通の財産」とすべきです。この考えが基本原則にあってはじめて国民の協力が得られます。これを国家主義、全体主義につながるという意見は少数意見としては認めますが、基本原則には盛り込むべきではありません。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第一 (第1の1)「人類の遺産」という言葉では、「人類が滅亡した後に遺っている物」という意味にしかならない。
E-11 <60 伯水  英夫 第一製薬  代謝分析研究所 第一 ヒトゲノムは人類の遺産である。遺産は死んで残す財産であり、生きている生命情報としては適切な用語ではない。遺産→全体の共有用、共有財産、共有生命情報など。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第一 「人類の遺産」を「人類の共有財産」などとすべき」 
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第一 「ヒトゲノムは人類の遺産である」は何を言おうとしているのか.ゲノム情報が究極の個人情報であることから根本的検討の必要があると考える.
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第一 1.は「ヒトゲノムは生物の進化の過程における人類の遺産である」と考えられられないか?
E-64 <70 佐々木  威 日本サーボ  第一 「ヒトゲノムは、人類の遺産である。」は与える影響の大きさからして人類共通の財産というべきではなかろうか。現実にはヒトゲノムの解析、それにもとづく医薬品情報、診断法情報などいわゆるバイオテクノロジー産業の規模が今もてはやされているIT産業並になるとの観測から、ヒトゲノム研究は一私企業の力を入れるところとなりその企業の財産になりつつある。ヒトゲノムは人類共通の財産とする観点からすると少し方向が違ってきている感じがする。私見であるがUSAあたりでは一私企業独占の傾向があるように見える。
A-1       日本神経学会    第一 「ヒトゲノムは人が人として存在することの基礎であって」は精神活動まで含めているかどうか不明である。ゲノムと精神活動の関係はまだ不明なので、注意を要する。 ご意見を参考に第2項を修文いたしました。 
A-10       日本整形外科学会    第一 「ヒトゲノムは,人の生命の設計図であり,人が人として存在することの基礎であって,・・・・」の「生命の設計図」および「存在することの基礎」という表現は,意味が不明確である.製品が設計図にしたがって製作されるように,人の生命が設計図にしたがって生じるという意味に解釈される.しかし,設計図という比喩は、第―章第ーの4.の「人としての基本構造および機能を形作るが,同時にその表現は環境によってさまざまに影響を受ける.」という文章と矛盾する.設計図は,基本構造だけを決めるものとは限らない.また,設計図には環境の如何にかかわらず一定の製品を製作するための指針という役割があり,環境次第で製品が変わるのでは設計図の役割は果たせないのが常識である.設計図が環境を変えることも稀ではない.すなわち,「設計図」という比喩は,一見わかりやすいが,人の生命に対置するにはあまりにも安易な例えであって、人工物の設計図との違いをただちに断らなければならなくなっている.「人が人として存在することの基礎」という表現も,不明確で,解釈が困難である.「人が人として存在すること」とは如何なることを指すのか,幾様にも考えることができる.ヒトゲノムが人間の存在の仕方を決める要素のひとつであるとしても,あたかもヒトゲノム次第で人としての存在の仕方が決まると解釈されかねない「基礎」という表現を公然と用いるには,事実的根拠が現段階ではあまりにも不十分である.「人が人として存在すること」という人間の本質を指すともとれる文言に続く言葉は、われわれが人間をどのような存在とみなしているかという基本的な認識をあらわすものであり,「基礎」のような漠然とした語ではなく,紛れのない語を選ばなくてはならない.3.の「人は遺伝子のみによって存在が決定されるものではない」は,上述の点を補うかのごとくであるが,あまりにも自明な内容である.設計図あるいは基礎という言葉の不明確さを補いえてない.
E-2    高浜  洋介 徳島大学ゲノム機能研究センター 第一 ・・・この案文の後半は、ひつつの哲学あるいは考えのみを述べたもので、信条の自由に基づいた「基本原則」にはなじみません。ヒトゲノムのみが人の存在意義を示し、ヒトゲノムのみが人の独自性と多様性を保証するかのように読まれる日本語となっています。それらを定義するのがゲノムだけではない可能性を受け入れ、「ヒトゲノムは、人の生命の設計図であり、人の独自性と多様性の生物学的根拠を提示する。」とするのはいかがでしょうか?
E-2    高浜  洋介 徳島大学ゲノム機能研究センター 第一 本項に関する解説で、「ヒトゲノムは人が人として存在する基盤であるという意味を象徴的に示している。」とあるのは、「ゲノムのみが人の基盤である」といった、ひとつの哲学あるいは考え(宗教)のみを述べたものであり、全ての人類あるいは科学者のコンセンサスではないと考えます。深刻な「意見すり込み」として反対します。続く第3項で「遺伝子決定論を排除」しているとはいえ、「ゲノム決定論」を支持または容認したものであり、信条の自由に鑑みて「基本原則」としては受け入れられません。
E-4 <60 中島  豊爾 岡山県立岡山病院 第一 「・・・人が人として存在することの基礎であって...」の部分について、「基礎」の前に“物質的”あるいは“生物学的”などの修飾語をつけるほうが誤解を招かないでよいと思う。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第一 「2」と「3」においては、「基礎」「独自性と多様性」「存在」などという極めて一般的な概念が使われているが、実際には生物学的な意味で用いられているのであるから、「生物学的(に)」という規定を付加する。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第一 第2項:”人の生命の設計図”という表現:一般の人々が、”遺伝子によって人の存在すべてが決定される”と思いこんでしまう根拠は、此の比喩にあると思います。第3項・第4項の記述を意味有るものとするためにも、別の表現に変えた方が良いと思います。
E-42 <30 堀の内  渚子 学生 第一 個々のゲノムを明らかにすることが、人が独自性、多様性をもつことの根拠になるのでしょうか?ゲノムの研究が病気を治すものへのみの目的として研究されているのならば納得がいき、技術の進歩も行き先の明るいものとなると思います。しかし、ゲノムの研究が人間の生命体を明らかにし、人が人として存在する基盤を明らかにするという姿勢は、行き過ぎのような気がしました。
E-7 <40 新居  雅宏 徳島県肉畜試験場 第一 「ヒトは遺伝子のみによって存在が決定されるものではない。」はヒトの存在が殆ど遺伝子によって決定されているように感じる。遺伝子はヒトの背の高さ、病気の感受性など、物理的側面であり、ヒトの存在を最も位置付けるのはその人の考え方や、行動であると思う。勿論考え方を左右するのも遺伝子の存在もあるが、育ってきた環境などに大きく影響されると思う。 第3、4項において人は遺伝子のみによって存在が決定されるものでないこと、また、遺伝情報の発現は環境によってさまざまに影響を受けることについてふれています。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第一 この研究が急速に進んだために遺伝子を読めれば人が分かるという考えがひろまるの恐れます。病気があるからこの子を産まないということもあるかもしれません。選ばれた人というものを絶対作らないためにも、人は遺伝子のみで決まらないと強調してください。
E-22 <60 竹中  洋 大阪医科大学 第一 3項は第一の第一項目にあてはまるものである。また、大前提とすると個人の尊厳や人権にも関わる事項であり、ネガティブの意味や歯止めの意味をもつが単独の項としておこす必要がある。 ここではヒトゲノムの意義として挙げることが大切と考えました。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第一 4.発現は環境によってさまざまに影響を受ける。という部分を特に強調して欲しい。遺伝病の疑いのある病気をもつ身としては、遺伝子が受け継がれていれば必ず発病するという誤解が広まることが何よりも恐ろしいことである。   当原則とあわせ、原則第二十四でふれているように今後研究に関わる者が、社会に対して説明責任をはたしていく必要があると考えています。また用語説明において遺伝子決定論の説明を加えました。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    第一 「遺伝子決定論」の用語には説明が必要です。 解説において説明がなされていると考えます。
E-11 <60 伯水  英夫 第一製薬  代謝分析研究所 第一 解説の「ヒトゲノムは、人の物理的な基本的設計図であり、・・・」あまりにも無機的で冷たい。違和感がある。物理的→生命体としての ご意見を参考に修文いたしました。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第一 「人は遺伝子〜」を「人はヒトゲノム〜」とすべき(遺伝子とヒトゲノムとの関係が示されていないので) ご意見を参考に修文いたしました。
E-44 <30 匿名希望 学生 第一 汚染されていない素のままの遺伝子を「人類の遺産」とする観念は、遺伝子操作など優生学的になりつつある世界において、特に忘れるべきでない人類の命題であり、全ての人が内面化しているべきものである。そして、その独自性、多様性を認めることは、単純な優劣の尺度のみでは測れない個人差をよしとすることであり、遺伝子の画一化を防ぐ要素となる。人間の歓迎すべき進歩、進化が劣性形質も含めた基盤から生まれたことを忘れてはならない。遺伝子決定論に支配された世界では、人々は生きていく気力をなくす。そこでは、「生きる」ことの価値が失われ、その意味も変化する。「自分の生」を生きているという感覚すら失してしまうかもしれない。 第3項において、遺伝子決定論を否定しています。
E-58 <50 安藤  寿康 慶應義塾大学文学部 第一 原則の「第一」はやや抽象的に過ぎるように思われます ご意見を参考に解説を書き加えました。
E-69 <70 匿名希望 無職 第一 「ヒトゲノムは人類の遺産である」との意見には、異論をはさむ余地はないが、米国のあるメーカーでは、特許で縛ってしまうという。どのように防御されるのか。 知的所有権に関する考え方は、第二十五に示しています。また、第二十一に第5項を追加しました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第二 「如何なる差別の対象ともされてはならない」とされていますが、その理由として単に「個人の独自性と唯一性を示す」あるいは「人類全体が多様であることを表す」事だけしか示されておりません。この理由だけではあまりに「差別」あるいは「差別的条件」に対する歯止めとしては理由付けが弱すぎます。この徹底した解析が条文と「解説」に生かされる必要があります。とりわけ、こういう「差別」や「差別的条件」をつけようとすることに対して、そういうことが人間の「尊厳と人権」そして社会の安全と福利に対して反対する行為であることが表明されるべきです。 ご意見を参考に解説を修文いたしました。ご指摘のような遺伝情報にもとづく差別の問題など、ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。本基本原則は、専ら「研究」を対象としており、「応用」については、診断・治療に関連する部分も含めて、別に原則や指針が検討されていくべきものと考えます。 
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第二 「遺伝的特徴の如何」は「いかなる差別の対象ともされてはならない」とあるが、その理由として単に「個人の独自性と唯一性を示す」ことや「人類全体が多様であることを表す」ことしか示されていない。これでは、「独自性」や「多様性」ということで済まされない明確な弱点である短命や痴呆などの遺伝病因子の保持者について、私的あるいは公的な生命保険や健康保険の契約成立や保険料などで格差を設けることは禁止できない。実際に、生命保険や民間の健康保険では病歴申告と健康診断が契約の前提であり、それによって契約の可否が決定されている。その延長で、保険契約の可否決定の際に、遺伝子診断や遺伝病因子申告が要求される可能性がある。また、就職や入学の際の健康診断書提出についても同様である。例えば、国立大学の医学部でも大学によっては色弱者の入学拒否が明示されている。更に進んで、例えば早期発症型アルツハイマー症遺伝子保持者について人命に関わる職業への就職やそのための教育機関への入学保持者についても人命に関わる職業への就職やそのための教育機関への入学を拒否することも考えられる。あるいは、就職や入学を認める前提条件として、該当者のみに当該項目に関する定期検診義務を条件付けることも考えられる。そこで、差別や差別的条件は、民間企業の場合の保険契約や入社手続きでは業種によっては許されるのか、あるいは公共機関でもそうなのか、入学についても教育部門によってはそうなのかなど明確にされなくてはならない。さらに、それらを明確にするためには、(その差別の是正決定要因として個人の「独自性」や人類の「多様性」など単に生物学的特徴が挙げられ、また単にそれらによる個人の「尊厳と人権」の基礎付けの関係にしか述べられていないが、)それら両者と社会の安全や福利との関係についても明確に記述されなければならない。
C-5       骨形成不全友の会(事務局)    第二 「個人の独自性と唯一性を示すゲノム」として強調されるのであればそこから示された遺伝子治療についての必要性が薄れていくように感じる。遺伝子決定論を排除するためのものとして(ゲノムの多様性と個人の尊厳と人権)が準備されていますが、それと同等にこの一度の人生に与えられた条件が組み換えられるのであればそれを叶えたいと願う人達の存在も知らせてほしい。 ご意見を参考に解説を修文いたしました。
E-71 >70    工藤  照夫 現在所属なし 第二 人間の「個人の尊厳と人権」とはなんであろうか?戦後、あまりに「人権」が不可侵とされたが故に、多くの社会問題が発生し、社会が混乱してきたのではないか?これがやがて収束して行くとは考えられない。益々混乱の度が大きくなるのではないか?社会的な淘汰や自然淘汰が行われないのであるから。自由を求めるものは他人の自由をも認めなければならないと云われる。社会的な約束事を守る限りにおいて。それが守れない場合も「人権」は守るべきなのか?ゲノムを解析することによって、遺伝的に社会的また生存上不都合な素質が見出された場合、「人権」、「尊厳」という美名の下にその素質を保存すべきなのか?また社会的約束事を守らせるべく社会的に矯正し得るのか?わたしは積極的に遺伝子治療を進めるべきだと考える。また積極的に遺伝子解析を進めるべきだと考える。政治家による社会環境の整備とともに。
A-8       日本組織培養学会    第二 実際の世の中では、原文の記述の通りではないはずである。例えばダウン症候群の子供は生命保険に加入するについて、普通の子供と平等な条件で加入できるであろうか。また、例えば色神異常者は医師、自動車免許の取得について制限があるはずである。憲法13、14条の表現を参考として慎重な表現を望む。 本基本原則は、「研究」を対象としておりますが、ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。
C-3       DNA問題研究会    第二 「何人もまたいずれの集団も、遺伝的特徴の如何を問わず、その尊厳と人権が尊重されなければならず、互いに平等であって、またいかなる差別の対象ともされてはならない」と謳われておりますが、ヒトゲノム研究の成果として明らかになった遺伝子のデータを着床前診断などに使ってはならないと基本原則の中で断言されない限り、それは無理です。ある病気(や障害)の原因となる遺伝子のデータが着床前診断などに使われれば、“生まれてはいけない病気(や障害)”を決めることにつながります。たとえば、着床前診断を受けるか否か、あるいは陽性と出た場合に生むか生まないかを妊婦の自己決定に任せたとしても、すぐに社会からの圧力で「受ける」、「生まない」に一元化されていくでしょう。
E-48 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第二 もちろん賛成である。しかしこうして一言でまとめてしまっていい問題なのであろうか。「いかなる差別の対象ともされてはならない」とあるが、これは具体的にどういうことを示しているのだろうか。差別として言葉をここではどういった意味で用いているのだろうか。これは2章16条にも通じることだが、雇用、保険、婚姻等に差別が見られなければそれでいいということになるのだろうか。差別というものはそもそも人の心の中に生まれるものであり、これを禁止することは困難である。ことさら遺伝的な問題に関しては過去にも優生思想がはびこった事実があるほどだ。これを単に禁止という言葉で片付けるのは安易すぎないか。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二 互いに平等であって、またいかなる差別の対象ともされてはならない。これは本当に実現可能であろうか。人種などに加えて遺伝子による区別が行われれば、差別が起こってしまうのは明らかのように思われ、大変危惧されるところである。  
E-69 <70 匿名希望 無職 第二 個人の尊厳と人権を尊重するとあるが、こんな精神条項だけでよいか。現在は案の段階であると思うが、将来はもっと厳密な審査機関と違反者に対する罰則規定を設けてはどうか。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第二 人は生まれて、生きているということでもって尊厳されなくてはならない。遺伝子の違いは当然あってもこの多様性を認めて、差別があってはならない。
E-50 <30 大木  修一 東京大学 第二 遺伝的特徴の如何を問わず、その尊厳と人権が尊重されるということが、大切だと思います。 個人の生命や健康の保持や疾病の治療と予防に、利用価値の高い遺伝的特徴が、その遺伝的特徴をもたない人に比べ、その利用価値が高いとしても、このことによって、差別は起きないと思います。  また、個人の遺伝的特徴を、その個人の生命や健康の保持や疾病の治療と予防に、利用するということに対して、いかなる差別の対象ともされてはならないと思います。
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第二 遺伝的特徴がいかなるものであろうとも、個人や集団の尊厳と人権が尊重されなければならず、互いに平等であり、差別が禁止される。  遺伝的要素が解明されていない現社会において差別が存在するのに、人と人の特徴の要因が解明されればさらなる差別が生まれるのは絶対ではないのでしょうか?また個人個人の特徴のみならず、人種や社会的集団の特徴も解明されれば、大規模な虐殺などが起こる可能性もある。遺伝子は区別をするためのものでなく、個性の一部であるという考え方を普及させるようにしなければ(たとえそのようにしても果たしてなくなるかが疑問であるが)差別は拡大していくものだと思います・ 原則第二十四において示しているように、社会の理解と研究者の説明責任が果たされることが必要と考えています。
E-41 <50 匿名希望 学生 第二 (何人もまたいずれの集団も・・・その尊厳と人権が尊重されなければならず)とありますが、(人権)という言葉で何をあらわすかこそが問題なのです。(人権)というのは便利な言葉で「人権を尊重する」とお題目のように唱えていれば、あたかもそれで済んでしまうかのうような錯覚を起させます。しかも、解説(ここでの「人権」は、個別の人権内容よりも包括的にいわゆる「基本的人権」という)とありますが、これでは基本原則のいうところの(人権)が何を指すのかが益々不明であり、不安を覚えます。 憲法の中核的理念である、人権という理念をここで示しています。
A-9       家族性腫瘍研究会    第二 「ゲノムの多様性」という意味がわかりづらい。言葉の定義が不十分であるためと思われるが、「ヒトゲノム」が染色体一組を指すのであれば、ヒトのゲノムは一律であり、「ゲノムが多様」とは「染色体異常」のことなのか、多様性があるのは「ゲノムDNA配列」なのではないかとの意見もあった。 「用語説明」を設け、「ゲノム」について説明を加えました。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第二 最後の文「(・・・差別・・・)されてはならない」この文は、「差別する人に対して、差別されることを禁じている」のではなく、「差別されている人に対して、差別されることを禁じている」ものと解釈できる。このように、安易に受動態を用いると意に反する文になる。 文脈から文意は明らかと考えます。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第二 正確を期すためにも、”その(提供者・血縁者・家族)の尊厳と人権の尊重”という表現を、”個人(あるいは人)としての尊厳の尊重と、人権の保障”と言う表現に変えた方がよいと思います。 原則第二は、提供者、血縁者、家族に限っているのではなく、一般的に個人および個人から成る集団について述べています。また、人権の保障は「国」が保障することを念頭においた表現であり、社会の中の人々の間での人権については保障という語は使いません。「尊重」の方が国も含めて社会の中で一般に人権を守るという意味を含んだ広い表現です。 
E-7 <40 新居  雅宏 徳島県肉畜試験場 第三 「ヒトは遺伝子のみによって存在が決定されるものではない。」はヒトの存在が殆ど遺伝子によって決定されているように感じる。遺伝子はヒトの背の高さ、病気の感受性など、物理的側面であり、ヒトの存在を最も位置付けるのはその人の考え方や、行動であると思う。勿論考え方を左右するのも遺伝子の存在もあるが、育ってきた環境などに大きく影響されると思う。 第一の第3、4項において人は遺伝子のみによって存在が決定されるものでないこと、遺伝情報の発現は環境によってさまざまに影響を受けることについてふれています。
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第三 >研究のみならずその応用に関連する民間を含めた全ての関係者、関係機関においてもこの基本原則の内容を十分に尊重しなければならない。尊重という生ぬるい言葉で片付けてよいのでしょうか?また研究機関内だけでの倫理的基準で判断しないようにお願いしたいです。 実効性については、指針の策定の際に配慮がなされていくべきと考えます。また、倫理委員会には外部の委員を含めることを明記しました。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第三 この研究が進めば命、人の捉え方は変わってくるかもしれない。そのためこの研究は国民の意見を聞くだけでなく。国民の間での命、人とはなんだという議論が不可欠だと思う。議論により国民の合意を作りながら研究をだんだん進めていけばいいと思う。国民を無視するような研究を進めてはいけないと思う。 原則第二十四において示しているように、社会の理解と研究者の説明責任が果たされることが必要だと考えています。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第三 倫理適法的社会的問題への配慮が「研究」のみでなく「応用」においても十分に配慮すべきである。また「応用」についてもう少し具体的に判然させて欲しい。 ヒトゲノム研究の成果が応用される段階における問題については、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。本基本原則は、「研究」を対象としており、「応用」については、診断・治療に関連する部分も含めて、別に原則や指針が検討されていくべきものと考えます。
A-8       日本組織培養学会    第四 ヒトゲノム研究においては、研究試料を提供する者は単なる提供者にとどまらず、研究のリスクとベネフィットを理解した上で意志を持って参加する者を選択することが望ましい。そのような表現に修文。 原則第五で示されているようにインフォームド・コンセントが適切になされることによって、ご指摘の点は対応されると考えます。
C-2       医療改善ネットワーク    第四 「血縁者」、「家族」につては、定義を明確にし範囲を明確にすることが望ましい。簡単では内面があるが、それでもこの案では不明確すぎるであろう。 遺伝性疾患の種類など種々の条件で伝えるべき血縁者の範囲は変わり得ます。このため、伝えるべき血縁者の範囲は個別に倫理委員会で判断される必要があると考えます。
E-72 50才代 奥山恭子 帝京大学法学部 第四 提供者等の保護の範囲を「その血縁者および家族」としたことは一考を要する。解説欄に「同居等の事実」の記載があるとはいえ、「家族」概念が法律学の分野で流動的な現状では、「関係者」と広く規定しておく必要があるのではないか。
A-7       日本看護科学学会    第五 インフォームドコンセントの実施状況と、情報管理については、第三者の監査(抜き打ちも含む)、評価を加え、厳格に実施されることを求める。 今後策定される指針において本条の実効性の担保がはかられていくべきと考えます。 
C-5       骨形成不全友の会(事務局)    第五 第二章の研究試料提供者の権利について、問題というよりはこれらのことを尊重されなかった場合など制限や罰則規定などが用意されていないことが心配。明確に法の整備が準備されなければ優れた中立性を保った倫理委員会が存在しても委員の力量だけでは制御されない時がくるのではと心配しています。「個人の尊厳を損なわないため」と言葉のうえでは整理されていますが、実際の生活の場や医療現場ではどのように配慮がなされるのか不安。この基本原則と同時に法的規制は必要と強く感じました。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第五 インフォームド・コンセントの原則を定めるとしているが、すでに同意があって検査研究が実施されていると思う。同意の方法、形式こそ重要。専門家である医師と一般国民とでは、知識の深さに差が有り、意図している方向に誘導できる。現在でも治療のためのインフォームド・コンセントを行っていても、再発など上手くいかなかった場合トラブルが起こったり、Drの言い分や説明を理解することが難しいことが多い。原則としてインフォームド・コンセントは主治医以外の人が説明し、後日文書で回答するという考える期間をおいてはどうでしょうか。
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 第五 提供を受ける側は厳密に守らないのではないか。
E-41 <50 匿名希望 学生 第五 (第5の3)(研究試料の提供を求められた者は提供に同意しないことにより何らの不利益も被ってはならない)とありますが、(何ら不利益)を被らないことをいかに保障するのでしょうか?
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 第五 インフォームドコンセントが本当に提供者に保証されるか心配です。研究者たちが、研究に熱心になるあまり、提供者の同意を強要するようなことが起きないとも限らないと思います。自分の意志を通して、提供に同意しないと、非国民であるかのように扱われるといった事例が過去にもあったことを念頭においておかなければならないと思います。
C-2       医療改善ネットワーク    第五 「説明」は、重要事項を記載した文書を交付して行うべきである。「研究の目的、方法・・・」などの説明すべき事項は、この原則の本文の中に明記すべきである。なお、説明文書は読みやすく分かりやすいものでなければならない。細かい活字がぎっしり詰まったような説明文書ではインフォームド・コンセントが形骸化する恐れがある。 ご指摘の点については個々の研究計画毎に倫理委員会で審査されていくと考えます。
C-6       つばさの会代表    第五 2.に関する意見  同意だけでなく、説明も原則として文書で行うべきである。現在の社会情勢を見ても、言った言わない、聞いた聞かないで論争に発展することが非常に多く、特に医療に関しては訴訟にまで発展することも少なくない。  現実ではすべての説明が、提供者が自己決定権を行使するための判断材料として十分であるとは限らず、また医療的知識を持つ医療者が、ただ単に知識に乏しい提供者に対し、理解できないだろうと説明をしなかったり、都合の良い方向に導くために情報操作する可能性がある。  提供者から文書で同意を取るならば、同等と思われるハンディを研究者にも課すべきであり、説明も文書で行うべきで、この説明文書も倫理委員会が審査すべきである。 ご意見を参考に解説を修文いたしました。
A-3       日本薬物動態学会    第五 「原則として」は旧GCPの考え方であり、削除すべきと思われます(解説で詳しく触れられておりますが、それでも削除すべきと考えます)。 ご意見を参考に修文いたしました。 
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第五 第5の2に「同意は原則として文書で表明する」とありますが、「原則として」は今日のインフォームド・コンセントの理解からいって削除されるべきです。
A-7       日本看護科学学会    第五 「原則として」文書で表明する。 解説では、これらの解釈の範囲が示されてはいるが、研究者の拡大解釈や乱用を防ぐ手立てが具体的に示される必要がある。
E-54 <30 樋口  晋一 大阪大学法学部4年 第五 2について。同意は文書でなされることを原則としつつもその他の同意方法についての道を残している点には賛成できるが、この例外が研究者側やインフォームドコンセントを行う医師側の事情によるものであってはならないと考える。したがって、例外は提供者側の事情による場合に限って認められることを明示すべきであるとおもう。したがって、「2、同意は文書で表明する。但し提供者に特別の事情が存ずるときはその他の方法によることもできる。」としたほうがよいのではないかと考える。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第五 (第5の2)このような些細なことは、解説にあるように、別に定める指針によればよい。  同意を文書で表明することは、原則に示すべき重要なポイントと考えております。
E-69 <70 匿名希望    第五 インフォームド・コンセントはよほど人格者か特別な教育を受けた研究者がやるべきで、単なる研究の興味からやってはならない。 単なる興味だけで研究が行われることがないよう原則第二十一に記載されています。また、具体的手続きについては個々の研究計画毎に倫理委員会で審査されます。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第五 インフォームド・コンセントは与えられるものではなく、「得られる」ものなのではないですか。第2章はもっぱら提供者本人の権利との関連で、インフォームド・コンセントの徹底と個人情報の保護については言及されておりますが、血縁者等については「第15」でしか触れられておりません。「インフォームド・コンセント」で「同意撤回」の権利と「限定的同意のみが可能である」ことをはっきりさせることが必要です。全体として「提供者」の「人権と尊厳」よりも提供を受ける「研究者と研究機関」の側のやりやすさとフリーハンドの確保に基本的立場が置かれているように見えます。 提供者の立場にたって原文の表現を用いています。血縁者等に関しては「基本的考え方」や原則第四においてもふれられています。
A-3       日本薬物動態学会    第五 「インフォームド・コンセントが与えられていなければならない」でなく「インフォームド・コンセントが得られた場合に限って、実施可能である」と記載すべきではないでしょうか。 
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 第五 「インフォームドコンセント」は重要なポイントの一つでありますが、これは研究者や医師の側からではなく、情報を受けて同意するか否か判断する側を保護するために作られた理念のはずです。したがって、充分な説明とは受ける側にとって質・量ともに充分であること(十分というと量的だけに受け取られるので充分と書いていますが)、説明をわかりやすくするのも、無知な対象者に教えるのではなく立場の違う人間に理解してもらえるようにと、これも受ける側からの視点で書く事で、それがインフォームドコンセントの理念に適うのではないでしょうか。 ご意見を参考に解説を修文いたしました。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第五 「同意はいつでも撤回できる。また同意を撤回することにより、何らの不利益も被ってはならない。」ことを追加する(第10条は既提供試料の撤回についてなので)。 第十はとくに「既提供試料」に限った条項ではありません。
E-55 <30 村上  美音子    第五 提供者は自身の考え方の変更により、文書により同意の意向を示した後でも、試料提供の各ステップにおいて提供を差し止めることができるようにした方が良く、第10とも関係して、どれだけ提供を辞退するチャンスがあるかも事前に提供予定者に知らされているべきである。 ご意見を参考に第十の解説を修文いたしました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第五 「何らの不利益も被ってはならない」とありますが、これは「不利益を被る者への禁止」であって、責任が曖昧な文章です。「ヒトゲノム研究」への協力で被る「不利益」はまったく提供を受ける機関ないし研究者による被害です。その点をはっきりとさせた文章にすべきです。例えば、「・・・被ることがあってはならない」、あるいははっきりと主張を明記し「研究者は研究機関は不利益を与えてはならない」とすべきでしょう。 ご意見を参考に修文いたしました。
C-6       つばさの会代表    第五 提供者が研究試料を提供することに関わるすべての者が、共同で説明を行うという認識が必要と思われる。  つまり、研究資料の提供を受ける者が、その過程において複数いた場合のインフォームド・コンセントの実施者を明確にする必要があると思われる。特に病気についての遺伝子診断を行う場合、主治医と診断技術を提供する医師が異なるのが殆どであるが、インフォームド・コンセントを誰が行ったかの責任所在が不明瞭となるためである。 ご指摘の点については個々の研究計画毎に倫理委員会において手続の妥当性が審査されるものと考えます。また、指針においてもその対応が検討されるべきと考えます。
E-1 <70 沖垣  達 染色体学会 第五 インフォームド・コンセントに関して、一般人が十分理解する努力を必要とする。 原則第二十四において示しているように、社会の理解と研究者の説明責任が果たされることが必要だと考えています。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第五 「インフォームド・コンセント」に対して、カタカナ語ではない簡単明瞭な日本語を作るべきであろう。第5の1の「自由意志に基づく同意」もその候補の一つであろうか。 「インフォームド・コンセント」はすでに広く用いられており、ここで用いました。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第五 (第5の3)「提供に同意しても、(金銭的な?直接的な)利益はない。」ということもここに記しておく必要があるのではないか。 ご指摘の点については原則第十七において記載されています。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第五 「同意は、〜与えられる。」とする。 第8条3項を参考に「インフォームド・コンセントの具体的な方法や手続きについては研究計画に記載し、倫理委員会の審査を経なければならない。」を追加する。 原文の表現が適切なものと考えています。倫理委員会の審査を経なければならないことは第二十三において記載されています。
E-15 <60 大隅  隆 姫路工業大学理学部生命科学科 第五 インフォームドコンセントを得るための説明は、非常に丁寧に行われるべきである。個々のケースで説明や合意の実態が違いすぎるのは好ましくないので、大規模研究の対象になるような、健常人や代表的な疾患の患者の試料は、センター的な組織が一括して提供を受け、DNAまたはライブラリーの形での提供を受けた場合には、管理をセンターに委託することにしてはどうか。さらに必要に応じて、臓器移植におけるコーディネーターのような制度を考えてはどうだろうか。 インフォームドコンセントに係る具体的手続については個々の研究計画毎に倫理委員会において審査されるものと考えます。また、具体的手順を示す指針において対応が検討されるべきと考えます。また、コーディネーターのような制度関しては、今後必要に応じて導入の是非が検討されるべきと考えます。
E-19 <40 匿名希望 久留米大学医学部外科 第五 インフォームドコンセントに関しては、意見が分かれるところと思われますが、どの程度まで必要なのか、また提供者にどこまで説明する必要があるか等、色々問題があると思います。また、研究者は、同意書をいつ、誰に提出すればいいのか等、明確にしていただければありがたいと思います。 インフォームド・コンセントに係る手続の妥当性については個々の研究計画毎に倫理委員会によって審査されます。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第五 インフォームドコンセントに対する本当の理解が進んでいない現状との対応が問題であろう。指針などでの具体的な例示のうえに真のインフォームドコンセントの理解がすすめば自ずと解決されよう。 ご指摘のとおり本基本原則にしたがってインフォームドコンセントの理解が進むことを期待します。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第五 第一  4にあるように、提供者の遺伝情報は、両親から受け継いだ情報であり、更に言えば、血縁者も類似の遺伝情報を保有している可能性がある。このことから、提供者に同意を求める際に、血縁者に対する影響も十分考慮できるような配慮が必要である。 インフォームド・コンセントに係る手続の妥当性については個々の研究計画毎に倫理委員会によって審査されます。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第五 手続の例外などの記載が目に付く一方、原則が極めて貧弱である。以下に示すような項目が説明されないケースでの同意は“十分な説明”とは言えないことから、説明文書に含めるべき項目を具体的に示す必要性がある。1.研究目的・方法、2.研究の対象者、3.提供試料、4.参加に要する時間、5.被験者の利益、6.被験者の不利益、7.不利益が生じた場合の補償、8.残検体の保存の有無・保存期間、9.データの保存期間、10.発展的な研究への利用の可能性、11.測定遺伝子、12.被験者個人の検査成績のフィードバックの有無、13.同意撤回の自由とその際の検体・データの処理、14.撤回しても不利益を受けないこと、15.経済的負担の有無、16.知的財産権の帰属、17.結果の公表、18.研究遂行者の氏名・職名・連絡先、19.カウンセリング体制、その他特記事項、など。 インフォームドコンセントに係る具体的手続については個々の研究計画毎に倫理委員会において審査されるものと考えます。具体的手順を示す指針においてその条件につき盛り込まれることが検討されるべきと考えます。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第五 生体試料全てについて、同意文書がいるのか?すでに臨床検査や胎盤のように廃棄されるべきものについても必要か?疾患名と試料番号だけではいけないのか? 第九4項に定めるようなバンク等の試料でない限り、試料提供にあたっては同意が与えられていなければなりません。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 第五 インフォームド・コンセントの手続,方法の適切さ等,倫理委員会が判断する等の表現を用いて,透明性を高める必要があると感じる. ご指摘の内容については原則第二十三で記載されています。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第五 「何らの不利益も被ってはならない」とあるが、これでは不利益を被る者への禁止になってしまう。正しい表現としては、「被ることがあってはならない」とするか、「研究者や研究機関は不利益を与えてはならない」とすべきであろう。 ご意見を参考に修文しました。
E-38 <40 土屋  貴志 大阪市立大学文学部助教授 第五 インフォームド・コンセントを被験者が与える際に、被験者がきちんと説明を理解したかどうか、文書(チェックリストなど)で確認する旨の文言を入れたほうがよいと考えます。 ご意見を参考に解説を修文しました。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第五 個人の遺伝情報の保護と言う点から見ると、研究の性格や試料の提供のされ方を考慮したICの手続きについての議論が不足していると思いました。 インフォームドコンセントに係るより具体的手順については、指針において検討されていくべきと考えます。
E-59 <30 笠谷圭吾 北海道大学理学部化学科 第五 研究の意義などを納得してもらい提供者になってもらうが、提供者は一旦提供したら研究が正しく行われているか分かるすべがないので、途中経過の説明の場が必要だと思う。 個々の研究計画毎に倫理委員会の審査を通して対処されるていく問題と考えます。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第五 インフォームド・コンセントの大前提として次の三項目を明記すべきである。  全面的な情報公開・情報開示 充分な理解、納得が得られる説明責任 完璧な個人情報保護 ご指摘の点については、原則第二十五、第二十四、第十一、十二において記載されています。
C-3       DNA問題研究会    第六 「提供者から自由意思に基づく同意(インフォームド・コンセント)が与えられていなければならない」とあり、その「解説」でも「自己決定権」の重要性を謳っておきながら、直後の第六には、「同意能力を欠く者を提供者に含めたヒトゲノム研究を行う場合は、本人に代わって代諾者となるべき者からインフォームド・コンセントが与えられていなければならない」とありますのは、矛盾のように読めます。なぜ、そこまでして「同意能力を欠く者」、つまり自己決定能力のない者からも試料を採取しなければならないのか、それほどそうした者が持つ遺伝子情報が重要ならば、その理由をはっきりと基本原則の中に書くべきです。 同意能力が認められない者を提供者とする研究については、その研究にその者を含めることに必然性がある、同意能力が認められないことについて研究に関与していない医師によって確認されている、その者の利益となるかあるいは利益に関して中立である、という条件について本文および解説で言及します。 
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第六 研究試料の提供にあたっては、提供者本人の自由意志による同意を必要とするべきであり、代諾をみとめるべきではない。
E-43 <30 増田  藍 慶応大学 第六 同意能力を欠く人というのを提供者に含めるのは私は疑問を感じます。代諾者からインフォームドコンセントが与えられる事が必要とありますが、本人が同意の意志表示ができないのに、その代諾者が同意の意志表示をすれば、研究が行えるというのは、提供者の人権問題につながるのではないでしょうか。
E-47 <30 匿名希望 学生 第六 「本人に代わって代諾者」が研究試料の提供に同意できるということには反対です。中絶や安楽死でも問題になりますが、代諾者の判断が本人の意志ではありません。研究の試料として、なにも本人に代わる人が遺伝子を提供させることを決めることはないと思います。
E-55 <30 村上  美音子   学生 第六 同意能力を欠く、ということは誰が判断し、また代諾者の範囲をどれくらいまで容認するのかを、医師任せにせずに討議して欲しい。この類の試料提供は前提として本人の自由意思があるべきであり、同意能力を欠く者からの試料提供はそもそもあまり望ましくないと思う。
A-2       日本人類遺伝学会(理事長)    第六 同意能力を欠く者を提供者に含めたヒトゲノム研究を行う場合は、その研究にその者を含めることに必然性があり、本人に代わって代諾者となるべきものからインフォームド・コンセントが与えられていなければならない。理由:CIOMSのヒトを対象とした研究に関する国際的ガイドラインにもありますが、脆弱者を研究に参加させる場合には、その者を加えなくてもできる研究には参加させない、参加させることに必然性がある場合に限ることが、その者の権利を守ることになります。また、代諾内容は本人に不利になる内容であってはなりません。代諾があれば、それでよいというものではありません。当然のことですが明示すべきと思います。
A-3       日本薬物動態学会    第六 「同意能力を欠く者を提供者に含めたゲノム研究は行うべきではないと思います。唯一許されるケースは、診断、治療が確立されている場合に限るべきだと思います。結果によっては提供者に極めて不利な状況が生じる場合があると思います。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第六 「代諾」の範囲をはっきりとさせる必要があります。この条文では、「無条件の代諾」として読める文章となっております。とくにこれはインフォームド・コンセントの論理で言えば、「代理同意」ということになると思いますが、これはかなり厳格に制限されていなくてはなりません。その点で、ここでは「同意能力を欠くもの」の場合は「代諾者から」インフォームド・コンセントを得なければならないというだけで、全く全体として代理可能な印象を与えます。その範囲、限界、条件を明示すべきです。もしどうしても「代諾」を行うとすれば、「原則としてその資料提供は、同意能力を欠くものの利益となる場合、あるいは本人の利益に中立な試料提供の場合に、医療機関がそれを説明し、代諾者か裁判所が同意した場合のみ、許される」程度の条件は必要でしょう。 
E-4 <60 中島  豊爾 岡山県立岡山病院 第六 「同意能力を欠く者」については、精神障害者などについての詰めがどの程度できているのか疑問に思う。是非とも、日本精神神経学会の“臨床研究における倫理綱領”(精神神経学雑誌第99巻7号、1997.5.30)を参照いただきたい。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第六 同意能力を欠くものを対象に含むことの妥当性を評価する必要性はどうであろうか。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第六 「同意能力を欠く者」の資料提供について、無条件に「代諾者」一任としているが、問題である。そうではなく、「原則としてその資料提供は、同意能力を欠く者の利益となる場合、あるいは本人の利益に中立な資料提供の場合に、医療機関がそれを説明し、代諾者か裁判所が同意した場合に、許される」とすべきであろう。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第六 この記述(代諾)の前提条件としては、ヨーロッパ評議会の「生物医学と人権に関する条約」の第17条第1項(i-v)・第2項(i-ii)にあるような、対象者の選択に際しての限定条件が欠けていると思います。厚生省の「ミレニアム・プロジェクトの遺伝子解析研究の指針(案)」の場合も、此の問題に対する配慮は全くなされていませんでした。
E-44 <30 匿名希望 学生 第六 研究試料は、提供者の同意なしに搾取されることがあってはならない。その際、どんな強迫、賄賂も退けられるべきである。研究者は、試料提供の意義を提供者に納得してもらうよう努力すべきであり、また誠実でなくてはならない。しかし、本人が同意する事が出来ない場合のことを考える必要もあるだろう。他人がどこまで代理人としても資格を有し、その権利があるのか、検討される必要がある。
A-4       日本癌治療学会    第六 同意能力を欠く者の定義が、解説においても曖昧すぎる。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第六 代諾者はどのような要件で選出されるのか、不明。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第六 「第13」と「第14」との関係に関しても、不明瞭です。「知らないでいる権利」、「知る権利」は誰がもつのか、つまり「代諾の範囲と限界、条件」が明示されなければ「代理同意」は不可能なのではないでしょうか
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第六 同意能力を欠く者は、本来は提供者から除外すべきである。どうしても必要な場合は、代諾者の権利義務を厳密に規定すべきである(違反者に対しては厳しい罰則規定を設ける)。
A-9       家族性腫瘍研究会    第六 「同意能力を欠く」は「同意能力の認められない」のほうがよいのでは?「同意能力を欠く」は、昨今の各種ガイドラインでは「同意能力の認められない」とすべきであるとの見解が述べられていることが多い。他者が同意能力の有無を便宜的に判断することはあっても、絶対的に「欠く」と決めつけることはできず、差別的なニュアンスも感じ取られるため、「認められない」とするほうが望ましいのではないか。  ご意見を参考に修文いたしました。
E-22 <60 竹中  洋 大阪医科大学 第六 同意能力を欠く者の代諾者が研究意図を十分に理解したか、第三者判断が必要となろう。 代諾者においても原則第五に則って、適切なインフォームド・コンセントの手続がなされます。
A-3       日本薬物動態学会    第六 「インフォームド・コンセントが与えられていなければならない」でなく「インフォームド・コンセントが得られた場合に限って、実施可能である」と記載すべきではないでしょうか。 提供者の立場にたって原文の表現を用いています。
A-8       日本組織培養学会    第六 原文は憲法的な原則論からあまりにかけ離れている。条項からは削除し、例外の取り扱いについてまとめて別項に記載することが望ましい。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでは不十分と考えられます。本基本原則においては「例外」的ではあるが、現実と照らし合わせたとき重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。
A-9       家族性腫瘍研究会    第六 「代諾者」だけでなく、結果を聞く代理人のあり方などについても触れてほしい。本項では、「代諾者」としてインフォームド・コンセントの際の代理人にしか言及していないが、研究結果が疾患の予防、治療に結びつく場合に「同意能力の認められない者」の結果を誰が聞くのかといった問題も、第十三、第十四の知る権利、知らないでいる権利に絡めて検討すべきである。例えば、治療可能な新生児、小児の場合どうするのかといったことが議論されるべき。 ご意見を参考に原則第十四の解説を修文しました。その他具体的方法については指針において検討されていくべきものと考えます。
E-46 <30 匿名希望 学生 第六 一定年齢以上の未成年者については、本人の同意も併せて与えられることが望ましいとあるが、一定年齢以上とは具体的に何歳以上かを明示してほしい。また最近では未成年も成人と同じ能力をもっていたと判断されて成人として裁かれることもあることから、未成年であっても16歳以上は本人の同意も必要とされるべきではないだろうか。 具体的年齢の提示については、指針においてその是非が検討されるべきと考えます。
E-54 <30 樋口  晋一 大阪大学法学部4年 第六 生体からの研究資料提供についての規定はあるが、死体からの提供については規定がない。これが「同意能力を欠く者」とされて安易に提供が認められることになってはならないと考える。したがって、死体からの提供についても認めるのか認めないのかを明示すべきではないかとおおもう。 本条項の「同意能力の認められない者」に死体は含んでおりません。死体からの提供についての具体的手続については指針において検討されるべきと考えます。
A-9       家族性腫瘍研究会    第七 研究の「多様性」に関する説明を述べてほしい。本項は、「研究の多様性の考慮」と表題にあるが、本文においてそれについて触れられていない。また解説においても、インフォームド・コンセントの方法が異なる旨の表記しかない。「ヒトゲノム研究によって判明するDNA情報の意味するところや匿名化などのあり方(個人情報の取り扱い)が多様である」といった説明を記し、したがってインフォームド・コンセントの方法は研究の目的と内容に照らして適宜調整されるべきであるということを述べるべきである。 ご意見を参考に解説において修文しました。
E-34 <50 武田  祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 第七 「研究の多様性の考慮」とあり、本文に多様性についての説明が入っていないのは不備であるように思う。「ヒトゲノム研究は、DNA情報の意味するところや匿名(個人情報の扱い)のあり方が多様であるため・・・」といった内容を明記すべきではないか。
A-7       日本看護科学学会    第七 「その研究にもっとも適切な方法で」与えられなければならない。 解説では、これらの解釈の範囲が示されてはいるが、研究者の拡大解釈や乱用を防ぐ手立てが具体的に示される必要がある。その手立てが明らかにされないなら、既に行なわれており、かつ問題視されている他の目的の研究への流用や、患者の検査試料の流用をとどめることは難しいと見るべきではないか。また、解説から「包括的同意」が認められているように読み取れるが、これは上記の理由から推進されるべきではないと考える。 拡大解釈や抜け道となることがないよう、具体的な指針によって定められ、具体的な研究計画について倫理委員会で審査されるものと考えますが、解説について説明を加えました。
C-2       医療改善ネットワーク    第七 表現が適切ではないと思われる。この表題をつけて「インフォームド・コンセントは・・・研究に最も適切な方法で与えられねばならない」というと、研究の便宜や省力化のためにインフォームド・コンセントの取得をないがしろにする根拠として悪用される恐れがある。解説の部分ではそういう解釈を戒めているが、倫理委員会がよほどしっかりしていなければ、十分なインフォームド・コンセントを回避するための抜け道となる恐れがある。そういう懸念を解消するためにも、表題を、更には本文の表現も改めるべきであろう。
A-9       家族性腫瘍研究会    第七 ヒトゲノム研究が倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性が高いことには別途言及すべき。この項は「研究の多様性の考慮」とあるが、そこに「ヒトゲノム研究が、特に個人の遺伝子情報の特定が、倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性が高いことに鑑みて」という語句を挿入することは「研究の多様性の考慮」に対して何の意味があるのだろうか。このことに鑑みて、というのであれば主題はこちらであり、本項の表題は「研究の多様性の考慮」ではなくなってしまう。このことについては、別項で述べるべきではないか。「ヒトゲノム研究は多様であるため、インフォームド・コンセントは、それぞれのヒトゲノム研究の目的と内容に照らして最も適切な方法で与えられなければならない。その際、どんな研究であっても、ヒトゲノム研究においては特に個人の遺伝子情報の特定が倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性が高いことを考慮すべきである」というのであればまだ理解できるが。 ご指摘の内容については原則第三で記載されています。
A-9       家族性腫瘍研究会    第七 「与えられなければならない」の前に「提供者から」を挿入してほしい。「インフォームド・コンセントは・・・与えられなければならない」とあるが、インフォームド・コンセントを与えるのは提供者側であり、適切な方法を考慮するのは研究者側であるので、主語がわかりづらいので、主体である「提供者から」という句の挿入を希望する。 文脈から主体が提供者であることは明確であると考えます。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第七 文章の後部は「・・・その研究にもっとも適切な方法である旨を明示して得られなければならない」としてはどうか? 個々の研究の説明内容については倫理委員会で審査されることになります。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 第七 倫理委員会等の審査を受ける向きの表現を加える必要を感じる. ご指摘の点については原則第二十三において記載されています。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第七 研究を遂行する側に求められる行為は、”その研究に最も適切な形で、対象者に情報を提供した上で、同意を得る”ことでなないのでしょうか。 ご意見を参考に修文しました。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第七 「インフォームドコンセントは、提供者が必ずしも専門家でないことを十分に考慮し、わかりやすい表現で与えられることが望ましい。」という文章を付け加えた方が良いと思う。 ご意見を参考に第五の解説を修文しました。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第七 いかなる場合も、第5の規定の例外を認めるべきではない。この第7の規定は研究者に迎合するものだから、削除すべきである。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでなく、現実と照らし合わせたときに重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。個々の研究実施手続の妥当性については個々に倫理委員会で審査されることになります。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第七 インフォームド・コンセント、遺伝子解析研究やそれら以外の医学研究も含まれるようですが、それは具体的に知らされるのでしょうか。 その時点で予想されることについて具体的に説明されることとしています。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第八 1.(イ)“他の目的の研究に使用”は使用できる研究の範囲を限定されるべきと考える。他の研究目的についてのしばりを設けるなどにより拡大解釈をされないよう極めて慎重な対応を要する。 ご意見を参考に修文しました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第八 これは「例外」というくくり方ではなく、「その否定」を意味しているもの。危険な条項。この条項は撤回すべき。つまり「同意」については、「同意の撤回」が必ず権利として相反します。この権利を否定する例外は全くありえないものだと考えます。「期間限定」が前提になるのがインフォームド・コンセントだと思いますが、無造作に「例外」と称して「研究者あるいは研究機関」の側にたった条文は問題です。インフォームド・コンセントのあり方について徹底して議論し定着させてからはじめてこういう「例外」は可能だと思います。従って、「他の目的の研究」として許されるのは、「その時点において予想される具体的研究目的」に限定すべきで、更に他の目的の研究を行う場合には、大変でももう一度インフォームド・コンセントを得る必要があります。むしろインフォームド・コンセントを省略できないことを明記すべきです。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでなく、現実と照らし合わせたときに重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。第3項にあるように研究計画におけるインフォ-ムド・コンセントに係る手続きの妥当性は倫理委員会によって審査され、具体的にどの手続きが調整されるかは、個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。また、同意は簡略化されない旨を解説に入れました。 
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第八 (第8の1のロ)提供試料が他の目的の研究に使用される場合も必ず研究開始前に本人の同意をとるべきです。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第八 いかなる場合も、第5の規定の例外を認めるべきではない。この第7の規定は研究者に迎合するものだから、削除すべきである。第5の規定を曖昧にし、インフォームド・コンセントを形骸化する恐れがあるので削除すべきである。
A-3       日本薬物動態学会    第八 「その時点において予想される具体的研究目的を明らかにしつつ、」とあるが、その時点で具体的に例示できなかった内容の研究を行うには、再度本人から説明同意が必要なのではないでしょうか。
C-2       医療改善ネットワーク    第八 第1項(口)の「その時点において予想される具体的研究目的を明らかにしつつ」の部分は、実験の研究が説明時に予想されたものと食い違う場合は当該インフォームド・コンセントを無効とすることを明記しておく必要があろう。
C-3       DNA問題研究会    第八 一つの病気に関連する遺伝子は複数あるといいますが、一つの細胞に含まれるゲノムに約10万個もの遺伝子があることから考えて、提供者から採取された試料が、インフォームド・コンセントで説明された病気以外の病気の研究目的に使われることは充分に考えらる。試料の採取後に、「採取時において」は予想できなかった研究目的が浮上した場合、「他の遺伝子解析研究または医学研究一般」というおおざっぱな同意のみで得た試料を研究に使うことが許されてしまうように読みとれますが、これは問題。たとえば、ある提供者がある病気の遺伝子研究に試料を使うことに同意したとしても、症状の重さ、あるいはまったく性質が異なる、別の病気の研究に試料を使うことには同意しないということも充分に考えられる。使ってよい範囲は、採取時になされたインフォームド・コンセントで同意された目的のみに限定されるべき。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第八 (「1」「3」について)「他の目的の研究」として許されるのは、「その時点において予想される具体的研究目的」のみに限定すべきである。類似の研究目的については、確かに倫理委員会で判断すればよいが、提供者が全く予想していない目的に転用する権利がどこにあるのか。そのようなことが許されるなら、実際には提供はなされないであろう。
C-6       つばさの会代表    第八 1.(ロ)に関する意見  資料提供が他の目的の研究に使用される場合、その時点において予想される具体的研究目的を説明することはもちろんであるが、その資料が匿名化されないのであれば、実際に他の目的の研究に使用される時にもう1度インフォームド・コンセントを行うべきである。  この項目がそのままで運用されるのであれば、これが研究者の逃げ道となり、提供者に多大な不利益をもたらすことは否定できない。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第八 1(イ):提供者の個人情報を完全に取り外した試料の場合以外は、”事前に包括同意”を求めること自体、問題があると思います。
E-38 <40 土屋  貴志 大阪市立大学文学部助教授 第八 医学研究一般に対する包括的同意を認める方針には賛成しかねます。かりに包括的同意に近い同意を認めるとするとしても、同意の内容(被験者はどのような種類の医学研究に対して同意を与えたのか)が明確に文書の形で残され、個人情報が連結している限りは同意の撤回が確実にできるようにすべきです。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第八 (第8の2、3)「匿名化」と「提供者との連結不可能・・・を条件としてインフォームド・コンセント・・・は適切な形で調整されることができる」とありますが、この「匿名化」と「提供者との連結不可能性」とはあくまでも同意を与えた「提供者の人権と尊厳」のためであると考えます。ですから、その点をはっきりさせ、「インフォームド・コンセントの論理」を徹底するために、「インフォームド・コンセントは省略できない」と明示すべきです。
C-2       医療改善ネットワーク    第八 第2項の解説の第2段落は納得しがたい。本文は匿名化と連結不可能性の確保を前提としているのに、それらが確保されない場合にインフォームド・コンセント手続きを簡略化できるとする解説は不当である。また、「追跡調査を要するもの」は厳格なインフォームド・コンセントを要件とすべきである。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第八 第8の2では、匿名にすればその試料でどんな遺伝子研究でも可能になるので、大きな問題点です。遺伝子個人情報が厳格に保護されているかどうか提供者には分からない。研究データーの一部として、自らの試料がどう生かされたのかも提供者にフィードバックされてこないので、是非この点を明確にして下さい。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第八 2.「説明の手続は適切な形で調整されることが出来る」に関して、ICの説明と連結可能・不可能は無関係であり、簡略化することはできないと考える。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第八 2.:この場合でも、通常のIC手続きを行うべきです。
A-3       日本薬物動態学会    第八 適切な形で調整されることができる、という表現はいかにも曖昧です。もっと具体的な表現の方がよろしいのではないでしょうか。 ご意見を参考に修正しました。
A-7       日本看護科学学会    第八 「他の目的の研究に使用する事ができる」「説明の手続きは適切な形で調整されることができる」 解説では、これらの解釈の範囲が示されてはいるが、研究者の拡大解釈や乱用を防ぐ手立てが具体的に示される必要がある。その手立てが明らかにされないなら、既に行なわれており、かつ問題視されている他の目的の研究への流用や、患者の検査試料の流用をとどめることは難しいと見るべきではないか。また、解説から「包括的同意」が認められているように読み取れるが、これは上記の理由から推進されるべきではないと考える。  個々の研究計画毎にその倫理的妥当性は倫理委員会によって審査されます。また、拡大解釈や抜け道となることがないよう、具体的な指針によっても定められるものと考えます。なお、同意は簡略されないことを解説において加えました。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第八 (「2」「3」について)「匿名化」と「提供者の連結不可能性...を条件として...インフォームド・コンセント....は適切な形で調整されることができる」というが、インフォームオド・コンセントのどの手続きが省略できないか明示すべきである。そうでなければ、研究機関の恣意に任されてしまう。
C-3       DNA問題研究会    第八 第八2の「解説」には、「例外的に、集団を対象とする研究であるが、提供者と連結可能な形での匿名化を行うかまたは匿名化処理を行わずに研究を行うことが不可欠である場合(例えば、疫学的調査研究で追跡調査を要するもの)には」とあることなど、匿名化の例外があることを考えると、人権侵害行為に対する歯止めがかかるのかどうか不安。少なくとも、こうした匿名化の例外とは、どのような場合にのみ認められるのかを「例えば、疫学的調査研究で追跡調査を要するもの」というような表現ではなく、もっと明確に、なおかつ基本原則の本文中で示すべき。 個々の研究計画の倫理的妥当性については個々に倫理委員会で審査されることになります。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第八 2(中略)適切な形で調整されることができる。    とは、具体的にどのような形で調整することを可能にするのか。 解説において修文しました。
A-8       日本組織培養学会    第八 この項は原則に該当しない例外規定であり、憲法的な総則において他の項目と同列に扱うことは、格調高い総則にふさわしくないばかりか、一般人にあらぬ疑いをかけられる可能性さえある。例外の取り扱いについては、別途付則として一括することを提案する(第二十八)。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでなく、現実と照らし合わせたときに重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。個々の研究実施手続の妥当性については個々に倫理委員会で審査されることになります。
C-2       医療改善ネットワーク    第八 表題の中の「例外」との表現は、第1項の内容にそぐわないと思われる。第1項はインフォームド・コンセントの例外を定める趣旨ではないと思われる。包括的同意与えるからには、より一層厳重なインフォームド・コンセントが必要になるはずである。その意味では「例外」というよりは、厳格化を強調する表題とすべきであり、簡略化を趣旨とすると思われる第2項とは区別して項目立てする方が適切であろう。
A-3       日本薬物動態学会    第八 「・・・他の遺伝子解析研究または医学研究一般に使用することを認める旨の同意が与えられれば、」とあるが、一般の人間にその研究内容が理解できるような具体的説明を行うことが現行の治療環境で本当に可能でしょうか。また「治療目的以外の研究」による提供は、例外なく匿名化されるべきです。 
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 第八 1.(ロ)他の目的についての説明が提供者に分かり易くできるのか疑問。 本基本原則に則って分かりやすく説明がなされるよう努められるべきと考えます。
C-2       医療改善ネットワーク    第八 第1項の解説の第2段落中の「可能であれば」は本文との関係では不要と思われる。 ご意見を参考に修文しました。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第八 他の目的の研究に使用することができるとありますが、具体的に説明されなければならないと思います。 ヒトゲノム研究や医学全体の進展により、その時点では予想していなかった重要な研究が登場する可能性があり、将来の研究をすべて予測して具体的に説明するのは困難であり、逆に将来の医学研究を縛ってしまうことになります。
A-9       家族性腫瘍研究会    第八 「遺伝子解析研究」という語の指すことを明示してほしい。イ項に、初めて「遺伝子解析研究」という語が登場するが、この語の定義が不明である。何を意味しているのか?「ヒトゲノム研究」と言わずに違う語を使った理由は何か?また、「ある特定の遺伝子の解析研究」、「特定遺伝子の解析研究」ということを意味しているのであればその旨わかりやすく記し、対する概念として「他の不特定の遺伝子の解析研究または医学研究一般」というような表記が望ましい。 ご意見を参考に「ゲノム解析研究」に改めました。また「用語説明」を設け、語句を定義しました。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第八 1項(ハ)は第5条1項の次に挿入する。文も終わりの方を前にもってきて「提供者の遺伝子情報の厳格な保護を保障する為に、全ての場合において、提供者の・・・説明されなければならない。」とする。 ご指摘の点については原則第十一、十二の規定で記載されているものと考えています。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第八 適度の厳格性により、本来得られるべき研究結果についてマイナスとなることで結果的に不利益を生じうるという側面から、この項は重要と思われる。   
E-26 <70 北野  元生 鹿児島大学歯学部教授 第八 2.に関連して、集団を対象とする遺伝子解析研究にとって、病理解剖などに付された症例について、ホルマリン固定状態や凍結状態で保存されている一部の臓器や血液は願ってもない研究材料であります。保管臓器や血液からDNA抽出が許されれば、これまで全国の医科歯科大学や病院等で保管されている解剖例の臓器は、DNA解析にとって宝庫であります。ところが、本基本原則(案)の案文は極めて難解で読み辛く、如何様にも解釈が可能であると考えます。そこで「解剖例」などと具体的な名称を、案文に挿入していただけないでしょうか。 解剖例からの提供についての具体的手続については指針において検討されるべきと考えます。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第八 (ハ)の記載は全体に普遍的な内容であり”手続きの例外”に含まれるべき内容ではない。 原則第十一、十二で記載されていますが、とくに当条項に必要と考え含めています。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第八 (ハ)の「匿名化の可能性も含めて」ではなく「匿名化を前提として」ではないのか? 大規模な疫学的調査等で匿名化が前提とされない研究も想定され、原文の表現としています。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第八 3.:研究計画書には、”如何にして個人情報を保護するのか”についても記載する必要があると思います。 ここでの研究に限らず、すべての研究計画において個人情報保護の方策が記載され、倫理委員会で審査されることになります。
E-58 <50 安藤  寿康 慶應義塾大学文学部 第八 医学、生物学に限らない記述の仕方が望ましいように思われます。   倫理的観点から、限られたものである必要があると考えます。
E-61 <50 作井  英人 富山県企画部計画課 第八 (第8の3)「倫理委員会」がいきなり出てくるので、せめてどこで作るものなのか説明が必要である。例えば、「各大学・研究機関等の倫理委員会」でどうか。 倫理委員会については原則第二十三で記載されています。
E-64 <70 佐々木  威 日本サーボ  第八 例えばある病気の患者として資料として血液を提供しようという場合でも他の病気に関しては健常者である。せっかく血液を提供するのだから、色々な用途に活用してほしく思う。その場合、研究計画の情報公開が必須になる。しかし一企業にとって研究開発計画は秘でなかろうか。資料提供者としては、今どんな研究が行われているからどこへ資料を提供しようということになるのであって、情報が公開されていなければどうにもならない。情報は一私企業に与えるのでなく国家で管理すべきである。そうしないと資料提供者として非常に納得のいかぬところとなり、また資料提供にも消極的にならざるを得なくなる。 研究成果の公開と社会への還元については原則第二十五に則って適切に実施されるものと考えます。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第九 こういう場合、「インフォームド・コンセントはもう一度取り直しになる」と考えます。それがこういう形で「倫理委員会」が間に入って研究者に同意を与えることになると、これは「倫理委員会の権限」問題になります。 既提供試料を用いる研究とその手続きの妥当性は、倫理委員会によって、個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。
C-3       DNA問題研究会    第九 「既提供試料」についての記載がありますが、その「解説」に「従前に生命倫理やインフォームド・コンセントの概念が研究者に十分に理解されていない時期に提供を受けてものであり、現時点での基準から考えると同意の態様等に不十分なところがありえ、したがって本来なら廃棄するべきものである」とあるように、ヒトゲノム研究に使うべきではありません。とりわけ、「(採取時の)同意の範囲を超える」研究に既提供試料を使うことは、前項で指摘したことと同じ理由で認められません。
A-3       日本薬物動態学会    第九 同意範囲外の既提供試料の使用は、必ず再同意を前提とすべきではないでしょうか。 原則として再同意すべき旨を第九の第1項として新たに明記します。その上で手続きの例外の可能性を示す現第1項以下もそのまま残し、倫理委員会の厳格な審査の下での例外の可能性も認めます。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第九 同意範囲を超える既提供試料の使用については”新たに同意を取得することを原則とし、提供者が死亡しているなどの理由により再同意が行えない場合に限り、具体的使用条件を定め倫理委員会に使用を申請できる”と改める。(倫理委員会が使用条件を定めるのはおかしい)
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第九 第9の2については、元の提供者を遡って特定する最大限の努力を義務付け、どうしても特定できない場合に限定すべきである。元の提供者が特定できた場合は、改めて第5の規定によってインフォームド・コンセントをやり直すべきである。
C-2       医療改善ネットワーク    第九 第2項は、倫理委員会の判断次第で、新たな同意を経ずして既提供者の同意の範囲を越える使用を認める余地を残している。このような特例措置が必要な場合もありうるかもしれないが、それを認めるためのハードルはもっと高くしておくべきであろう。提供者の意思確認が可能な場合や、提供者との連結可能性がある使用については新たな同意必要と明記すべきであろう。 第2(修正後3)項にあるように、既提供試料使用にあたっての手続きの妥当性は個々の具体的な研究計画毎に適正に判断されていくものと考えます。
C-6       つばさの会代表    第九   従前に提供を受けた試料についての考え方は基本的に解説の通りでよいと思うが、提供者と連結可能な形での匿名化を行っているものや匿名化処理を行わずに研究を行うことが不可欠であるもの(疫学的調査研究や疾病診断など)に関しては、この基本原則が施行された時点で、再度正当なインフォームド・コンセントを行うべきである。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第九 第9の4で「バンク等の保存機関へ委託され、またはすでに市販されているもの」は「通常の科学研究資料と同様に扱うことができる」とされておりますが、これは削除すべきです。「ヒト胚小委員会」でも問題になっておりましたが、やはりその試料の由来が軽視されてはならないのではないかと考えます。インフォームド・コンセントが正しく取られていない試料であれば、使用は禁止されるべきです。 由来が明確で正当であることを条件としました。また「公的なバンク」に一義的に限定するのは、現状に合わないと判断しました。 
E-24 <60 水沢  博 国立医薬品食品衛生研究所 第九 この項目の4.に、既提供試料で、バンク等の保存機関へ寄託され、または、既に市販されているものを用いて研究を行う場合は、通常の科学研究試料と同様に扱うことができる。とあります。『公的バンク』という表現の裏には、保存されている資料の配布における『公平性、中立性、公開性』を維持するという意味を私は含んで議論をしておりますが、この『公平性、中立性、公開性』が確保されていない『私的なバンク』に保存されている試料を既存試料として、『通常の科学研究試料と同様に扱える』とするのは大変危険なことです。世の中には、あらゆるところに『バンク』と名づけられた施設はたくさんありますが、その多くは一時的に保管する目的のものも多くまったく非公開なものも多数あります。実体は私的コレクションであって、『公平性、中立性、公開性』が維持されておりません。『バンク』という用語はそれを区別することが出来ませんので、ここでは『公的なバンク』との表現に改め、解説において、『公平性中立性、公開性』が確保されていることを明記すべきです。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第九 (第9の「4」のついて)「バンク等の保存機関へ寄託され、または既に市販されているもの」は「通常の科学研究試料と同様に扱うことができる」というが、それでは盗品だと分かっているものでも市販されていれば通常の商品とみなすということになる。ヒト胚小委員会で問題になったが、その試料の由来が軽視されてはならない。インフォームド・コンセントが正しく取られていない試料であれば、使用すべきではない。通常の方法でそれと知ることが出来ない場合にも、許されるべきではない。
B-1       日本製薬工業協会    第九 連結不可能匿名化試料は、提供者の同意の範囲内で使用するのであれば、「バンク等の保存機関に寄託され、またはすでに市販されているもの」と同じかそれに近い試料として取り扱えるのではないでしょうか。 連結不可能匿名化試料についても1〜4項(修正後)に従って取り扱われるべきと考えます。
B-3       日本製薬団体連合会    第九 連結不可能匿名化試料の場合、提供者の同意の範囲内で使用するのであれば、「バンク等の保存機関に寄託され、またはすでに市販されているもの」と同じかそれに近い試料として取り扱えるのではないか。
A-4       日本癌治療学会    第九 試料提供者が死亡した場合の取扱いは、また提供者との連絡が不可能になった状態の提供試料、または既提供試料と同一に考えればよろしいのでしょうか?あるいは、遺族のICが必要となるのでしょうか?提供者の死亡の場合の取扱いについても付記されればいかがでしょうか? 原則第九でいう「既提供試料」とはあくまで本基本原則が策定される以前に提供された試料のことを指しています。今後の提供される試料については、同意の範囲内であれば使用できることになります。すでに進行中か終了した研究については、この基本原則の対象としていません。またそうした研究を今中止させることは不合理です。
A-4       日本癌治療学会    第九 既提供試料を用いて実施された過去の研究の取扱いに対する記載が必要と考えます。
A-4       日本癌治療学会    第九 ヒト由来の検体の保存及び廃棄に関しては、検体提供者の同意事項を遵守し、研究計画書に定められた方法で保存、または匿名化して廃棄しなければならないことを明記する必要があると思います。 ご指摘の内容については指針において盛り込まれることが検討されるべきと考えます。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第九 文章表記上の問題では、「提供者との連結可能性」ではなく、「提供者との連結不可能性」ではないでしょうか。 原文の表現で妥当なものと考えます。
A-8       日本組織培養学会    第九 バンクを既存試料との関係だけで論じることは問題の本質ではない。第24の2へ移す。すでに販売されているものでも、倫理的に問題のあるものは存在しうる。 ご意見を参考に解説を修文しました。
A-8       日本組織培養学会    第九 この項も例外規定。憲法的な総則において、例外規定まで同列で詳細に論ずることは、格調を損じ、ふさわしくない。ヒトゲノム研究においては、インフォームドコンセントに則った新規な試料をもって推進することが原則である。詳細な議論なしにこの時点で基本方針を打ち出すことは困難と考えられる.欧米では既存サンプルの利用に関する部分だけで大分の報告書が出されている状態である.安易に第9、2、に見られるような指針を打ち出すことは、新しく採取されるサンプルの取り扱いに対する信用をも失わせかねないものである。 生命に関する研究の実施にあたっては様々な形態が想定され、理想的な根本原則を示すだけでは不十分と考えられます。本基本原則においては「例外」的ではあるが、現実と照らし合わせたとき重要と考えられる事項についてきちんと取り上げておく必要性があると考えました。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第九 これまで、十分に認識がないままに行なわれてきた事実と、それを活用することに基づく利益を考え、また過度の厳格性により、本来得られるべき研究結果についてマイナスとなることで結果的に不利益を生じ得るという側面から、この項は重要と思われる。   
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第九 ICが国際的に認められたものではない部分もある点など(アイスランドの場合も)、国際的にサンプルのやり取りをするときのルールについて本基本原則で示す必要があると考えられる.  国際的研究協力が人権意識や倫理問題を視野に入れた啓蒙活動であることを指針として示す必要があると考える.  国内で試料提供を受ける場合、あるいは国内で研究を実施する場合には、本基本原則の考え方が遵守されるべきものと考えます。
E-27 <70 矢原  一郎 東京都臨床医学総合研究所 第九 提供された試料はインフォームド・コンセントによって使用目的が同意された範囲で利用するのが原則であるが、別の解析によってさらに本来の目的が達成される度合いの(著しく)高まる場合が想定できる。したがって、試料の保存と再使用についての規定を考慮すべきである。この点、試料の募集にあたって、解析研究の長期的展望を倫理委員会で厳格に審査するシステムを構築しなければならない。 他の研究目的での使用については原則第八に従ってその倫理性が確保されるべきと考えます。また倫理委員会については第3項でふれています。
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 第九 この原則に基づいて何らかのガイドラインが作成されるとおもうが、それに従っているという形を取りつつ、その拡大解釈の可能性をどうなくすか。 ご指摘の点については指針の作成の際に考慮されるべき点と考えます。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第九 3.個人情報保護は普遍的な内容であり、“この目的のための個人情報管理体制を整備する”はおかしい。本条文からは管理される対象が個人情報に限定されるように読めなくもない。  試料そのものの管理も厳密に行われないと,第1項の規定は全く無意味となる。「試料及び個人情報」などの明確な表現に改める。 個人情報保護については原則第十一および第十二を設け定められています。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第九 2.の「試料の匿名化、提供者の連結可能性」は、「提供者の試料の匿名化、及び連結可能性」が文章としては妥当と考える。 原文の表現で妥当なものと考えます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第九 4.通常の科学研究試料と同様に扱うことができる。という表現が、私達一般人には理解が難しい。通常の科学研究試料はどのように扱われているのか、解説よりもっと詳しい説明が欲しい。   通常の科学研究試料とは、倫理的に特別な配慮が必要ない試料で、特に提供にあたっての同意や情報管理等の手続が行われていないものです。
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第九 >個人情報管理体制を整備しなければならない。管理体制の整備のチェックは誰がするのでしょうか?またその徹底的な管理に関する規則を作っていただきたいと思います。 個人情報保護については原則第十一および第十二を設け定められています。具体的な管理手順については指針において検討されるべき事項と考えます。
E-69 <70 匿名希望 無職 第九 既資料はこのような基本原則が議論されないうちに、提供されたものであるから、取扱いは特に慎重を期して欲しい。 本基本原則に則って慎重な取扱いがなされることとなります。
E-46 <30 匿名希望 学生 第十 撤回できる期間は具体的に提供者に説明されるべきである。また、同時に研究結果が公表された後、撤回できないのとバンクに保存されている試料が同意の撤回の対象とならない理由を文書等によって明示する必要があると思われる。撤回に関しては、可能な限り自由に撤回できるようにしたほうが望ましいのではないか。 ご意見を参考に解説を修文しました。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十 どの時期までは提供を辞退するチャンスがあるか事前に明確に提供予定者に知らされているべきであり、2.提供者は、試料提供の同意を撤回することにより、何らの不利益も被ってはならない。も必ず実行すべきである。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第十 1.:提供者の意思決定変更の自由をうたうのであれば、”場合に限り”ではなく、”・・・場合はいつでも”という表現になると思います。 ご意見を参考に修文しました。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第十 第10の次に、「第11(提供試料の破棄)」を追加すべき。破棄しなければならない(できる)場合を列挙する。例えば、提供者が申し出た場合など。 ご指摘の点に関しては、指針においてその記載が検討されるべきものと考えます。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第十 (同意の撤回)を(既提供試料の同意の撤回)とし、1項を「既に提供された研究試料の提供の同意は、提供した・・・場合に限り、撤回することができる。 原則第九でいう「既提供試料」とはあくまで本基本原則が策定される以前に提供された試料のことを指しています。
E-20 <60 堤  賢一 岩手大学農学部研究支援係 第十 同意の撤回により不利益をこうむる可能性を撤回する具体的な方策が提示されるべき。試料の使用停止を提供者が望んだ場合、提供者はそれが確実に行なわれたことを知る権利を持たなければならない。 ご指摘の点の実効性関しては、指針においてが検討がなされるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 第十 提供者が、提供したサンプルがまだ残っていることをどのように知ることができるのか?口頭で全て使用したといえば誤魔化せるのではないか。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第十 1.“撤回することができる”などの表現のように被験者への説明に取れる箇所がある。研究者の義務であれば、“撤回することが可能である旨を被験者に説明しなければならない”に改める。 本基本原則は、ヒトゲノム研究を行う研究者のみならず、試料を提供する一般市民、その血縁者、家族そして社会全体がもっていてほしい認識の基礎となるべきものであり、ここでは研究者の義務としてでなく、提供者の立場にたった表現となっています。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十 「何らの不利益も被ってはならない」とあるが、これでは不利益を被る者への禁止になってしまう。正しい表現としては、「被ることがあってはならない」とするか、「研究者や研究機関は不利益を与えてはならない」とすべきであろう。 ご意見を参考に修文しました。
E-52 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第十 提供試料が提供者と連結不可能となった場合は同意を撤回できないとしているが、そもそも連結不可能な状態は作るべきではないと思われます。 連結不可能とすることによって、提供者の個人情報保護がはかられるというメリットがあります。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十一 研究機関の個人情報保護体制について述べておりますが、これを監督し査察する政府機関を設けるべきです。 個人情報保護の実効性の担保については、指針の策定の際に検討対象に加えられる必要があるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。
A-7       日本看護科学学会    第十一 インフォームド・コンセントの実施状況と、情報管理については、第三者の監査(抜き打ちを含む)・評価を加え、厳格に実施されることを求める。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十一 研究機関の個人情報保護体制について述べているが、それを監視しし査察する政府機関を設けるべきである。罰則についても、個人情報保護法への言及がないが、そこにおいて明確に規定すべきである。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十一 公正な第三者機関、例えば「倫理委員会」等による定期的な監査、観察の制度を設けるべきである。
A-4       日本癌治療学会    第十一 ヒト由来検体またはそれから得られた遺伝子情報を国内外の公的研究機関、民間の研究実施施設に対して提供する場合には、提供する理由、提供元において行われる匿名化の方法、提供元の機関名、匿名化しない場合にはその理由及び個人別情報を含む情報保護の原則を盛り込む必要があると思います。 本基本原則の趣旨に則り、指針で定められるべきと考えます。解説でこの点について補足しました。
A-7       日本看護科学学会    第十一 この制度と手続きにも具体性が必要であり、そのための基準が示されるべきと考える。 解説に個人情報等の保管および保護の体制を考えるにあたって考慮すべき要素を示していますが、具体的な方法等は、別途国で定められる指針により示されるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。 
B-3       日本製薬団体連合会    第十一 個人情報の保護のための具体的方策、実施基準等が示される必要がある。
E-7 <40 新居  雅宏 徳島県肉畜試験場 第十一 提供者の遺伝子情報及び個人情報の保護のためには基本原則だけでは不十分と考えられる。また、ヒトゲノム研究の成果を用いた診断結果が外部に漏洩することは更に深刻な問題である。
E-15 <60 大隅  隆 姫路工業大学理学部生命科学科 第十一 昨今のコンピュータ管理におけるトラブルの例を見ると、個人の遺伝子情報が漏洩しないことはむしろ想定しにくい。データの管理を徹底するためにも、試料とデータの一括管理が望ましいと思われる。個々の研究者にとっては、試料はなるべく早く匿名化され、識別番号で区別されるほうが気が楽である。どうしてもデータを提供者個人と対応させる必要が生じた場合には、センターの管理記録によってそれを可能にすればよい。このような体制をとった上で、センターでは厳重な機密保持システムを構築すべきである。無論、個々の研究者のプライオリティーは十分に保証されなければならない。
E-28       矢澤幸平 三井製薬工業(株) 第十一 機関の消滅や組織の改廃により外にデータが流出することがある。この場合の対策はどうするのか?また、保管期限を越えた情報の処分をどうするのか。
E-33 <50 坪井 泉 マルホ株式会社/中央研究所 第十一 「保護管理と体制整備について,・・・しなければいけない」というよりも,具体的な記述が望ましいと感じる.
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第十一 遺伝子情報の更なる解明、また技術の発展に伴い個人情報の扱われ方が変化していくものだと考えられます。よって本来ならその都度していただきたいところですが、それでは大変なので、一定期間管理制度とその規定を再検討するように記した規定を盛り込んでいただきたいと思います。>例えば個人情報を処理するコンピュータは、他の一切のコンピュータと切り離し、情報は外部記憶媒体のみを用い、保管庫で厳重に保管すること等が考えられる今ハッカーなどPCがあればどのような情報源にももぐりこめる人がいます。また切り離したコンピューターでも定期的にその体制を変える(パスワードを変えるなどの基本的な事項から)ことが必要だと思います。また国の指針による保護体制の設定とかかれていますが、国の指針を定める人たちに遺伝子に関する情報を伝えることが不可欠であると思います。
A-8       日本組織培養学会    第十一 たびたびで恐縮であるが、「でなければならない。」という表現でなにを意図するのか明確でない。憲法であれば、「でなければならない」事項は別途法律により詳細な実施規定を設け、罰則規定を設け、また予算措置を行って行政を動かし、担保するものと了解している。もし本答申が真に憲法的なものを目指すならば、本項の末尾に「遺伝子情報の保護は別途法律によって保障される。」などの一文が必要であろう。以下に多数出現する「−−−−でなければならない。」という表現についても同様である。なんら担保なく、強制を示す言葉を多用することによって、研究をいたずらに束縛するばかりでなく、本答申の真意を疑わせるものとすることは、貴委員会の本意であろうか。 本基本原則では,遵守されるべき基本的な理念を述べており、遵守されるべき事項を明確に示すために当該表現を用いました。
C-2       医療改善ネットワーク    第十一 「研究機関」、「研究者」、「研究に関与する者」の範囲とそれらの相互関係が明確ではない。例えば、指揮命令関係などが存在しない場合の取扱いはどうなるのか、研究者が研究機関のコントロールなく研究する場合は認めない前提か、等の点が明らかではない。 研究者が個人で研究を行うことが否定されるわけではありません。研究者が研究機関のコントロールなく研究する場合は、研究機関の負うべき責務は研究者が負うことになります。第十一の2項と第十二の2項に、「研究者」を追加しました。
C-3       DNA問題研究会    第十一 病因遺伝子を持つ人が見つかれば、その人の血縁者の病歴や遺伝子も調べること、いわゆる“家系調査”が行なわれることも考えられます。基本原則はそれを認めているように読めますが、これは大きな問題になりえます。たとえば第二章第二節第十一の「解説」には、「(4)  研究者は、使用中の試料と提供者との連結が必要な場合、個人情報管理者を通じてのみ個人情報にアクセスすることができること」とあるように、研究者は条件付きながらも、試料と個人情報とを結びつけることができます。その後、血縁者を追跡調査することも可能でしょう。その結果、人権侵害につながる問題が生じる可能性は充分にありますが、その説明が不充分です。その説明をしたうえで、国民にその可否を尋ねるべきです。 血縁者から研究試料の提供を受ける場合には、提供者とは別に血縁者からインフォームド・コンセントが与えられなければなりません。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十一 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第一(情報の保護)  1.提供者の試料および遺伝子情報は、厳重に保管され、十分に保護されなければならない。  2.研究成果の公表にあたっては、提供者個人が特定されることがあってはならず、プライバシーの秘匿に充分配慮しなければならない。  3.提供者から試料提供の同意の撤回があった場合には、保管されている遺伝子情報は消去されることを原則とする。 ご指摘を参考に第十の解説を充実しました。
E-8 <50 前田  敏宏 (財)化血研 第十一 ヒトゲノム研究におけるプライバシーなどは、この原則にもあるように充分な配慮が必要です。 解説に個人情報等の保管および保護の体制を考えるにあたって考慮すべき要素を示していますが、具体的な方法等は、別途国で定められる指針により示されます。
E-27 <70 矢原一郎 東京都臨床医学総合研究所 第十一 遺伝子情報は、まず学術研究報告として発表され、専門家によって検討されるべきものである。例えば、新聞やテレビといった、専門家による学問的な審議を経ない公表(具体的な情報は漏洩しないにしても)は優先されるべきでない。研究成果の社会への還元は、専門家による相互批評の後に行うべきである。この点に関する記述がない。 研究成果は、ご指摘の点に配慮しながら、第二十四に記載されている様に社会に還元される必要があると考えます。
E-28       矢澤幸平 三井製薬工業(株) 第十一 (ハ)提供者の情報の保護について、その施設または組織が永続する保証がないので、問題が生じる。  2.匿名化の二重帳簿をどうチェックするのか?単に発表だけでなく、元のデータから匿名にする必要がある。 今後、別途国の指針が定められる際に、検討対象に加えられる必要があると考えます。
E-38 <40 土屋貴志 大阪市立大学文学部助教授 第十一 個人情報を管理・保護する体制の整備を、具体的にどのような基準に則って、どのようなスケジュールで進める予定なのか、お伺いしたいです。 解説に個人情報等の保管および保護の体制を考えるにあたって考慮すべき要素を示していますが、具体的な方法等は、別途国で定められる指針により示されます。また、各々の研究実施機関で研究状況に応じて検討される必要があり、倫理委員会で審査されます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十一 基本的に賛成である。2必要な制度と手続を整備しなければならない。についてはこの早期実現が望まれる。 個人情報等の保管および保護の体制等の具体的な方法は、別途国で定められる指針により示されます。
E-60 <30 匿名希望 学生 第十一 この中でかかれていることは本当にいたってもっともなことで反論するつもりは無い。ただ、技術の日々の進歩により、そればかりが一人歩きしてしまうことがあってはならない。インターネットが現れてばかりの頃もそうだったし、それは今でも続いているといえる。それは大量の情報という点ではある意味共通であり、法が追いついていないという点でも似ているように思う。基本的考え方のところにもあったように、確かに科学は人類社会の将来の発展の礎であるが、社会の要因との相互作用を特にしっかり認識していく必要のある部分であるように思う。 本基本原則の策定自体が、ご指摘の様な問題点を防ぐことの第一歩であると考えます。
E-69 <70 匿名希望 無職 第十一 研究機関による提供者の個人情報が保険会社等に漏洩し、遺伝的特徴を理由に差別されることは、絶対にないように注意願いたい。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十二 罰則についても個人情報保護法についての言及がありませんが、そこで明確に規定すべきです。 現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。また、必要に応じて、現在検討が進められている個人情報保護に関する立法などにより、担保されることも今後考慮されるべきと考えます。なお、第十二では、研究機関が自ら律するものとして、厳格な責任と断固とした措置をうたっています。 
B-3       日本製薬団体連合会    第十二 個人情報の漏洩に対して、法的罰則を制定する必要がある。
C-2       医療改善ネットワーク    第十二 「正当な保証または賠償」といっても、極めて低額の慰謝料程度では実効性が乏しいので、みなし損害額などを定める必要があろう。なお、刑罰による担保についての考え方が不明である。
E-27 <70 矢原一郎 東京都臨床医学総合研究所 第十二 一度もれた情報は回収が不可能である。遺伝子情報の漏洩は、法律で処罰の対象とすべきである。したがって、この場合はすべての研究者・医療関係者・国民が、原則の対象となる。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十二 研究機関の個人情報保護体制について述べているが、それを監視しし査察する政府機関を設けるべきである。罰則についても、個人情報保護法への言及がないが、そこにおいて明確に規定すべきである。
E-40 <20 石田  素子 学生 第十二 個人情報が万一漏洩した場合、処分は誰が下すのか、また被害者はどこに補償・賠償を請求できるのかを基本原則に定める必要はないのか?きわめて専門分野であるので裁判所で対応し得るのかと考えると、どこにその権限を持たせるのか。
E-41 <50 匿名希望 学生 第十二 (3.個人情報の漏洩によって補償又は賠償を受けることができる)とありますが、(受けることができる)というあいまいな表現では、(補償又は賠償)は保障されません。同じ事が第18(損害の補償)についてもいえます。第18では、(正当な補償を受ける権利を持つ)となっていますが、この権利はどのように保障されるのですか?
E-65 <50 匿名希望 佐賀県商工労働部 第十二 特に研究を民間に任せた場合、利益目的その他個人情報の漏洩が考えられる。遺伝子情報保護のためのしっかりした罰則つきの法律を策定することが必要である。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第十二 個人の情報は絶対に漏れることのないようにしてもらいたい。これが一番大事なことと思います。研究者、管理者、医師ばかりでなく、看護婦、助手、この情報に関係する人全てに個人情報の保護を守ること、また漏洩した場合の罰則は厳しいものにしてもらいたい。例えば、最近のNTTの情報漏洩などわずかな報酬で行っている。漏れたら困るのは弱い人達なのですから、心なく漏洩できないよう厳しいもの(罰金最低でも1千万円位)にしなければ意味内と思います。
A-4       日本癌治療学会    第十二 情報漏洩を防止する具体策の提示がない。また、責任の範囲が明確でない。 個人情報漏洩を防止する具体的な方法等が、別途国で定められる指針により示されるとともに、各研究機関の措置が倫理委員会で審査されることになります。
C-3       DNA問題研究会    第十二 ここ数年、民間企業や中央省庁、地方自治体、警察、そして医療機関などからさまざまな個人情報が大量に漏出するという事件が次々と発覚しています。そうした情報漏出に対してどのように歯止めがかけられるのか、はなはだ心許なく感じます。また、ハッカー等のハイテク犯罪から個人情報がどう守られるのか、国民が安心できるようにはっきりと青写真を示すべきです。第二章第二節第十二に「個人情報の漏洩が判明した場合には、漏洩した者、当該研究を行う研究者、個人情報管理者および研究機関の長その他漏洩した情報に関連した者に関してその責任について、身分の不利益処分を含めて、厳格な処置が講じられなければならない」とあるのはそれなりに評価できます。しかし、同節第十一の「解説」に「例えば個人情報を処理するコンピュータは、他の一切のコンピュータと切り離し、情報は外部記憶媒体のみを用い、保管庫で厳重に保管すること等が考えられる」とあるように、漏洩だけではなく、たとえば個人情報の入ったデータをインターネットにつながれたコンピュータのハードディスクに保存していた場合にも処分を下すなど、より厳格な漏洩防止策をつくるべきです。
E-43 <30 増田  藍 慶応大学 第十二 個人情報が漏れないように、個人情報を処理するコンピュータを他の一切のコンピュータと切り離し、厳重に保管するという事には賛成です。情報化社会の現代においては、簡単に個人情報が入手できてしまう時代になっているので、この辺りについては、絶対に外部に漏れないように、個人情報を集めた専用のコンピューターを設けるべきであると思います。
E-49 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第十二 個人情報の漏洩を防止する事は個人の人権尊重につながる非常に重要なことである。1の必要な方策というのは研究機関によって異なるのか。厳密な規定を設ける方が確実であると思う。また、2の厳格な処置とは何か。これも規定を設けるべきである。
A-3       日本薬物動態学会    第十二 「提供者が補償または賠償を受けることができる」との表現より「研究者側が予め定められた範囲内の補償をする義務がある」と記載するのがよいのではないでしょうか。賠償は裁判結果で取り扱われる補償です。  第二章では、研究試料提供者の権利を示していますので、「提供者が補償または賠償を受けることができる」という表現にしました。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十二 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第四章 罰則  1.提供者からの同意のない試料を用いた場合、当該研究者および研究機関は処罰をうける。  2.提供者の遺伝情報が漏洩した場合には、漏洩した者、当該研究者、研究機関は処罰を受ける。  3.1および2の処罰をうけた研究者および研究機関は公表される。 罰則については、現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。また、必要に応じて、現在検討が進められている個人情報保護に関する立法などにより、担保されることも今後考慮されるべきと考えます。なお、第十二では、研究機関が自ら律するものとして、厳格な責任と断固とした措置を謳っています。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 第十二 個人情報の漏洩は発見するのがむずかしい。出来るのか。 国の指針の策定や倫理委員会の審査を通じて、個人情報保護の実効性が上がるものと考えます。
E-54 <30 樋口  晋一 大阪大学法学部4年 第十二 「漏洩した者」よりも「漏洩させた者」のほうがふさわしいのではないか。 漏洩した当事者を示す表現として「漏洩した者」を用いました。
E-55 <30 村上  美音子    第十二 実際に漏洩が起こってしまったときのことを考え、3.個人情報の漏洩によって損害を被った者は、正当な補償または賠償を受けることができる。の具体的賠償基準を予め定めておくべきである。 現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。また、必要に応じて、現在検討が進められている個人情報保護に関する立法などにより、担保されることも今後考慮されるべきと考えます。
E-56 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第十二 個人情報の漏洩は一般企業では多々ある。しかも内部による犯行も多い。研究関係者一人一人の個人情報に対しての意識が低ければ、中には保険会社と組んで、「遺伝子情報売ります」なんて商行為が行われるかもしれない。そんなことはありえない、と考えるのではなく、最悪の事態を想定して情報管理体制について考えて欲しい。厳格な処置といっても法的には裁かれないかもしれないし、漏洩された側に対しての補償も満足なものとはいえない場合があるのではないだろうか。実害(保険加入拒否、結婚破談など)がなくても、漏洩という事実により不安になる者もいるだろう。きちんとした情報漏洩についての説明を行うと共に、アフターケアだけはきちんとした体制を作っておいて欲しい。(実害がないのだから補償する必要がない、なんていわれるとなんだか腹が立つ。漏洩事実を隠すなんてことはしないで欲しい)
E-62 <70 今泉  弘吉 IMA環境保護事務所 第十二 ヒトゲノム個人情報が他人に漏らされたために被害を受けた場合、因果関係の立証については、従来型の犯罪について適用されているように、被害者側に押し付けるようなことがあってはならず、また加害者が国や法人であっても重い賠償と厳重な処罰が加えられねばならぬ。
E-69 <70 匿名希望 無職 第十二 研究機関による提供者の個人情報が保険会社等に漏洩し、遺伝的特徴を理由に差別されることは、絶対にないように注意願いたい。 ご指摘の様な問題点を防ぐことも本基本原則策定の目的です。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十三 本文で「知る権利を有する」とあるのが、解説では提供者との連結が不可能となった場合には「知る権利を有しない」とあるのは本文に反している。「提供者は自己の遺伝子情報を知る権利を有する」とあるが、解説には、提供者本人との連結が不可能となった試料の遺伝子情報については提供者は「知る権利を有しない」とあり、内容が矛盾している。解説として、「知る権利を有しない」のではなく、「提供者本人との連結が不可能となった試料の遺伝子情報を提供者が知ることは不可能なので、そのことをあらかじめ明示してインフォームド・コンセントを得なければならない」といった書き方にすべきではないか?もしくは、本文に「連結可能性が残されている研究に関しては」といった語を挿入してほしい。 ご指摘を踏まえて、解説の記載を改めました。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第十三 “連結可能な場合に限り”知る権利を有する。を追加。
E-34 <50 武田祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 第十三 本文はこのままでよいが、解説に「知る権利を有しない。」と表記することは問題であると思う。「提供者本人との連結が不可能となった試料の遺伝子情報については提供者は知ることが不可能であるため、そのことを明示してインフォームドコンセントを得なければならない」ということではないのだろうか?
C-2       医療改善ネットワーク    第十三 同意を得る際に、知る権利について文書にて十分に説明すべきである。 解説にインフォームド・コンセントに際して説明されるべきことを追加しました。
E-1 <70 沖垣  達 染色体学会 第十三 知る権利について、一般人が十分理解する努力を必要とする。
A-7       日本看護科学学会    第十三 知る権利、知らないでいる権利の保護だけでは不十分と考える。知った後の相談やカウンセリングの整備を早急に進める必要がある。そうでなければ、この項をおくこと自体実質的に無意味なものとなってしまう。 遺伝カウンセリングについては第十九に記述されています。また、ご指摘を踏まえて第十九の解説に記述を追加しました。
E-33 <50 坪井 泉 マルホ株式会社/中央研究所 第十三 個人に伝達する場合でも,遺伝カウンセリング等の支援を受けることも重要と考える.
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十三 提供者が自らの「知る権利」を守るために不服申し立て、救済申し立てのできる公正な第三者機関、「倫理委員会」などを設けるべきである。 知る権利の実効性については、今後指針の策定の際に検討されるべきと考えます。また、研究計画毎に倫理委員会においても検討されるものと考えます。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十三 同意能力の認められない者の「知る権利」はどのように考えるべきか言及してほしい。同意能力の認められない者の結果は誰が聞くのか、あるいは、未成年の場合、幼少時に結果を聞かなかった場合に、いつそれを知ることができるのか、といったことに言及してほしい。 それぞれの研究における知る権利の行使の取り扱いについては、今後指針の策定の際に検討されるとともに、研究計画毎に倫理委員会で審査されるものと考えます。
A-3       日本薬物動態学会    第十三 知ることにより影響が出るのはいずれも遺伝子診断の性格を持つ場合だと思います。結果が提供者にプラスになるにしても、診断の正確性が問題になる場合もあるのではないでしょうか。バリデートされていない方法(研究)では誤診になるケースもあると思われます。本案ではこのような場合は診断や治療の範囲に入る可能性があり、それについては別途定められるべき遺伝子診断、治療に関する指針によるべきとしている。しかし、知らすべき結果はこのような指針に適合するものに限定すべきではないでしょうか。無意味なものや不正確(かもしれない)な結果は知らすべきではないように思われます。 解説に記載されていますように、提供者にとって有用であるかどうかに関わらず提供者には知る権利があり、これが前提となります。伝えるにあたっては、解説に記載のように研究者や医師があくまで研究の結果としての遺伝情報であり、診断結果ではないことを提供者本人に説明を尽くす必要があります。
E-42 <30 堀の内  渚子 学生 第十三 自己の遺伝子情報を知る権利が当人にあることは、当たり前のように思えます。しかし、出生前診断を受けた胎盤の中の赤ちゃんには知る由もない事ではないでしょうか?例えば、この世に生まれる前に自分に疫患があるとゲノム診断により明らかになったとします。親族は、知ることになるとは思いますが、第13条で述べられている「本人が知る」という権利が施行されません。施行されないまま、この世に誕生しないのかもしれません。 診断での応用については、別途指針が必要です。
E-51 <30 茂木  恵理子 学生 第十三 研究の結果明らかになった遺伝子情報は必ずしも直接診断として限らないと記されているが、実際に我々が情報開示を求め、ある情報を得た時に、それをどこまで理解することができるのか疑問である。また遺伝子疾患またはその可能性があるとの診断に結びつく場合で、かつ当該疾患が予防または治療可能なものであるときは、その遺伝子情報と診断は提供者に伝えられるのが望ましいとあるが、治療可能なものは別として予防できるという定義があいまいではないか。その予防が万が一生活に影響したり、精神的苦痛を伴ったりする場合はどうなるのか。その後のケアについても検討されるべきである。 インフォームド・コンセントの内容に基づいて伝えられるのが原則ですが、解説の記載のように、事前に研究の結果明らかになる遺伝情報やそれを知ることの意味が十分に説明されていることが必要です。予防が可能と認めるかどうかの判断は、倫理委員会で行われますが、こういった診断結果を伝える場合は、必要に応じて第十九に記載の遺伝カウンセリングを含む社会的心理的支援が行われる必要があります。
E-58 <50 安藤寿康 慶應義塾大学文学部 第十三 当然遵守されねばならない原則であることはいうまでもないことですが、問題は「遺伝情報」が多くの場合、明確で有限の意味を持ったものとして解釈できないことからくる混乱を常に考えねばならないことだと考えます。ある人に遺伝病の原因遺伝子が見つかったとしても、必ず発病するわけではない確率的事象であり、しかも天気予報のような確率情報とは異なり、それを知ることがその人の行動そのものを変化させその後の因果関係に影響を及ぼすという性質を持ちます(天気予報情報が与えられようが与えられまいが、天気そのものの変化には影響がないのに対して)。またある遺伝子は別の未知で多数の現象にも関わっていて、物理的な単純な因果律ではその意味を解釈できないのがいわゆる「遺伝情報」です。その意味で遺伝情報を「知る」ことは何を「知る」ことになるのかを慎重に検討すべきでありますし、遺伝情報の内容不限定性をしっかりと考慮すべきではないでしょうか。 伝えるにあたっては、解説に記載のように、研究の結果明らかになる遺伝情報やそれを知ることの意味が十分に説明されていることが必要です。研究の結果としての遺伝情報であり、診断結果ではないことを提供者本人に説明を尽くす必要がある場合もあります。 
A-3       日本薬物動態学会    第十三 知る&知らないでいる権利を取り上げるよりも、「提供者の求めに応じていつでも提示する義務」とすべきと思います。特に診断に用いられる場合は、担当医師の判断を尊重すべきです。 第二章では、研究試料提供者の権利を示していますので、知る権利、知らないでいる権利として記載しています。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十三 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第二(知る権利)  1.提供者は、研究の結果明らかになった自己の遺伝子情報を知る権利を有する。 (本基本原則と同文です。)
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第十三 説明にもあるが、遺伝子情報と診断的情報との混同が生じやすいことに留意すべきである。 伝えるにあたっては、解説に記載のように研究者や医師があくまで研究の結果としての遺伝情報であり、診断結果ではないことを提供者本人に説明を尽くす必要があります。
E-27 <70 矢原一郎 東京都臨床医学総合研究所 第十三 ある人が、自己の遺伝子情報を知っているか知らないでいるかも、第三者が知ることは出来ないことを明記すべきである。例えば、生命医療保険などは、自己申告の項目が基になっているので、被保険者の遺伝子情報などを問うことができないようにする(法律が必要)。 ご指摘の点について、自己の遺伝情報を知っているか知らないでいるか、は個人情報に含まれると考えております。よって、本人の同意なく第三者が知ることはあってはならないと考えます。遺伝的リスクを共有している血縁者の場合の例外は第十五で規定しています。 
A-3       日本薬物動態学会    第十四 解説4行目「その場合、提供者が知らないでいたいという意志を表明している場合であっても」の記載は、個人の尊厳・人権に踏み込む事項であり、ゲノム研究の風土・倫理が成熟していない現時点では、基本原則の文章に盛り込むのは時期尚早ではないでしょうか。 ご指摘を踏まえ、治療等が可能であっても疾患を知らないでいたいという提供者の意思が明確な場合にあえて知らせるものでないこととし、2項を削除し解説を変更しました。 
A-9       家族性腫瘍研究会    第十四 2項の内容は賛成できない。削除すべき。2項の内容は問題である。本人が「知らないでいる権利」を主張して情報を聞くことを拒否しているのにそれを伝えるということは、HIV感染を知らせなければ他人への伝搬の危険性があるというように他者に危害が及ぶ場合を除き、通常は許されないはずである。予防、治療が可能な疾患に関する結果を伝えたいと医療者が考えた場合は、本人にその情報を得ることのメリットを理解してもらうべく努力し、あくまでも本人が知ることに同意した場合のみ伝えられるべきである。この場合、遺伝子診断で得られる利益(と不利益)について本人に十分に説明し理解を促すための体制の整備も必要である。あるいは、研究の結果得られた情報は本人の意思とは無関係に強制的に伝えられてしまうものであるならば、あらかじめ試料提供前にそのことを説明してから試料提供のインフォームド・コンセントを取るべきである。第十五にあるように、本人が拒否しても血縁者に利益があって血縁者が希望する場合に本人を飛び越えて伝えて良いかという点に関しては、WHOの「遺伝医学と遺伝サービスにおける倫理的諸問題に関して提案された国際的ガイドライン」にも表記があるが、本人が拒否しているのに本人に情報を伝えるなどということを認めた例は他には存在しないのではないか?これは、医療における倫理の大原則である「自己決定の原則」に反しており、厳しい要件がそろわなければその解除は認められないはずで、医療の現場ではこのようなことは通常考えにくい。また、「疾患の予防または治療が可能」という判断は容易ではなく、倫理委員会が間に入ってもその判断は主観的な域を出ない。したがってそうしたことを説明し、あくまでも本人の同意を得てから伝達すべきである。
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第十四 第2項は削除する(解説の第18頁の理解からすると、第1項の提供者の知らないでいる権利を侵害することになるから。そもそも、第2項の内容も含めて、インフォームド・コンセントされるべきなのだから、提供者の意思に反して提供者に結果を知らせることは許されない、と考える)。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第十四 2.の内容は提供者の権利を侵害していると考える。
E-34 <50 武田祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 第十四 『第十四に関して:  2項については削除すべきであろう。解説に、「・・・・・場合、疾患や予防・治療についての説明を十分に行い、当該遺伝子についての診断を改めて受けるかどうかについては本人の意思決定による」といった体制が必要であると考える。
E-40 <20 石田  素子 学生 第十四 「遺伝性疾患の原因であるか。またはその可能性があるとの判断に結びつく場合」は例外的に提供者及び血縁者に伝達されるとあるが、これこそ生命の操作につながるのではないか。知らないでいる権利に反すると思う。医師としてみすみす放ってはおけないとの立場も理解できるが、提供者の知りたくないという意志を尊重すべきと考える。
E-70 <50 茂木  毅 元成城大学大学院博士課程  団体職員 第十四 (第14-2)「知らないでいる権利」の法的性格を明らかにしていかなければならないが(プライバシーか自己決定か)、疾病が治療できる場合には、知らせる事ができるとするのは、パターナリズムに通じるおそれがある。疾病の存在を知らないまま生きる事を望む場合もあるからである。
C-2       医療改善ネットワーク    第十四 同意を得る際に、知る権利について文書にて十分に説明すべきである。 解説にインフォームド・コンセントに際して説明されるべきことを追加しました。
E-39 <60 白井泰子 国立精神・神経センター 第十四 2.:IC手続きの過程において、”知らないままでいる権利”を行使するか否かについて、対象者の意思確認を行う必要があります。その際には、此の権利を行使した場合には、”研究の結果、当事者にとって有用な結果が得られたとしても、本人はこれを利用できない”ことを説明した上で、当事者の考えを聞くべきと思います。
C-2       医療改善ネットワーク    第十四 第1項で、「主治医」が出てくるのは唐突な感じを受ける。主治医経由で試料が提供された場合に関してのことかと思うが、そもそも前提として、研究者と主治医との間での試料や情報の移動の関係なども明確にされておく必要があろう。これは研究と臨床(診断・治療)とが完全に切り離せない場合がありうることを反映しているのであろうが、研究に関する基本原則を作る場合でも、ある程度臨床の場に踏み込んだ規定を作らないと実効性が欠けることになりかねない。 研究者と主治医に限定されないので、「研究者または主治医が」を削除しました。
A-7       日本看護科学学会    第十四 知る権利、知らないでいる権利の保護だけでは不十分と考える。知った後の相談やカウンセリングの整備を早急に進める必要がある。そうでなければ、この項をおくこと自体実質的に無意味なものとなってしまう。 遺伝カウンセリングを含む社会的心理的支援については第十九に記述されています。ご指摘を踏まえて第十九の解説に追記しました。
C-6 <40 つばさの会代表    第十四   研究で明らかになった遺伝子情報に関して、遺伝家族性疾患と結びつく場合は、提供者にその事実が伝達されるべきだと思うが、第十九の解説にもあるように、研究者または研究機関は、伝達により生じる提供者側の心理的葛藤に備え、遺伝カウンセリングなどを考慮した上での伝達が望ましいし、それが提供できないならば伝達の見送りも考えざるを得ないと思われる。  特に“知らないでいる権利”を主張する提供者にとっては配慮を怠ってはいけないと思われる。
E-33 <50 坪井 泉 マルホ株式会社/中央研究所 第十四 提供者に倫理委員会の審査からの伝達に加えて,遺伝カウンセリング等の支援を受けることも重要と考える.
C-2       医療改善ネットワーク    第十四 第2項の「予防または治療が可能なものである」との判断は簡単ではないし、時点により流動する面もあると思われる。この案の趣旨としては「予防または治療の可能性があると認められるときは」という表現になろうか。 第2項を削除しました。また、解説は、「予防または治療が可能と認められるときは」に改めました。
E-51 <30 茂木  恵理子 学生 第十四 研究の結果明らかになった遺伝子情報は必ずしも直接診断として限らないと記されているが、実際に我々が情報開示を求め、ある情報を得た時に、それをどこまで理解することができるのか疑問である。また遺伝子疾患またはその可能性があるとの診断に結びつく場合で、かつ当該疾患が予防または治療可能なものであるときは、その遺伝子情報と診断は提供者に伝えられるのが望ましいとあるが、治療可能なものは別として予防できるという定義があいまいではないか。その予防が万が一生活に影響したり、精神的苦痛を伴ったりする場合はどうなるのか。その後のケアについても見討されるべきである。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第十四 「2.当該疾患が予防または治療が可能なものであるときは、倫理委員会の審査を経て、その判断は、提供者に伝えられることが出来る」とあるが、この判断は現状では非常に困難であると考えられる。また、インフォームドコンセントを取ったときに「知らない権利」を明示しながら、知らされる不利益や不安などは計り知れないものがある。この場合、カウンセリング等が必要であるが、第十八(損害の補償)を適応される可能性がある。また、逆に、治療可能でありそうな場合、本項目により、提供者からクレームが発生する可能性がある。このようなことから、考えられる事例や同意の在り方、倫理委員会の質などの具体例を解説の中に加えていただきたい。 第2項を削除しました。あらためて提供者の意思を確認する手続きを経たうえで、知りたいという意思を示した提供者には伝えられることになります。提供者の意思に反して知らされることはありません。また、倫理委員会については、第二十三に記載されています。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十四 第13(知る権利)と矛盾する無意味な規定であるから削除すべきである。第5に則り的確なインフォームド・コンセントが行われていれば、不必要な規定である。 知らないでいる権利は、知る権利とともに、提供者にとって必須の権利であると考えます。
E-1 <70 沖垣  達 染色体学会 第十四 知らない権利について、一般人が十分理解する努力を必要とする。 解説にインフォームド・コンセントに際して説明されるべきことを追加しました。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十四 同意能力の認められない者の「知らないでいる権利」はどのように考えるべきか示してほしい。本人の同意を得ずに結果を伝達する場合を考える際には、「同意能力の認められない者」の結果を誰が聞くのかといった問題についても考える必要がある。例えば、治療可能な新生児、小児の場合どうするのかといったことも議論されるべきである。 同意能力の認められない者が提供者である場合について、解説に追記しました。
E-49 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第十四 1の研究結果を提供者に知らせることは許されない、というところは後で述べられている様に、治療可能、または予防可能なものであるときは、遺伝子情報と診断は提供者に伝えられるのが望ましいとあるが、それはそうするべきだと思う。ヒトゲノム研究をしている意味がないと言えるだろう。 第2項を削除しました。あらためて提供者の意思を確認する手続きを経たうえで、知りたいという意思を示した提供者には伝えられることになります。提供者の意思に反して知らされることはありません。 
E-54 <30 樋口  晋一 大阪大学法学部4年 第十四 「知らないでいる権利」よりも「知らされない権利」のほうがわかりやすいのではないか。 知らないという状態にあることの権利とする方がより広い概念を示しますので、「知らないでいる権利」としました。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十四 賛成である。2項については、予防・治療できるときは早期に知らせるのが私も望ましいと思う。 第2項を削除しました。あらためて提供者の意思を確認する手続きを経たうえで、知りたいという意思を示した提供者には伝えられることになります。提供者の意思に反して知らされることはありません。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十五 何故、「提供者の意思に反して」まで血縁者に提供者の遺伝子情報を伝達できるのか説明しておりませんが、この説明ができなければ伝えても許されるべき血縁者の範囲が限定できません。この点で次の二つの点での限定が必要だと考えます。  伝達する理由の明示。 「提供者の意思に反して」遺伝子情報を伝達できる血縁者の範囲。この二点をはっきり限定すべきだと思います。 疾患の種類など種々の条件で伝えるべき血縁者の範囲は変わり得ます。このため、伝えるべき血縁者の範囲は個別に倫理委員会で判断される必要があると考えます。その旨を解説に記載しました。 
C-2       医療改善ネットワーク    第十五 「血縁者」、「家族」につては、定義を明確にし範囲を明確にすることが望ましい。簡単では内面があるが、それでもこの案では不明確すぎるであろう。
C-6 <40 つばさの会代表    第十五   特に血縁者等に提供者の情報開示を行う場合、血縁者の範囲の規定(例えば一親等まで)を明確にすべきである。  現実的に病気による偏見のために家族、兄弟にすら、病気のことを話せない患者は数多くいることに配慮すべきで、このような状況におかれている者が存在することを研究者または研究機関は知ることが必要である。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第十五 血縁者の定義は何か不明。
C-3       DNA問題研究会    第十五 さらに第二章第二節第一五1には、「提供者と血縁関係にある者または提供者の家族は、提供者個人の遺伝子情報について、原則として提供者本人の承諾がある場合に限り、知ることができる」とありますが、「家族」の範囲があいまいです。たとえば、提供者の配偶者は家族でしょうが、配偶者の血縁者は提供者から見て家族なのかどうか判断できません。配偶者だけでなく配偶者の血縁者も、提供者の承諾さえあれば、提供者の遺伝子について知ることができるとするならば、その結果次第では、カップルのあいだの心情に悪い影響がもたらされたり、意思に反して離婚や中絶などを強要されるといった問題が生じることも考えられます。(なお情報開示の対象を配偶者に限定したとしても、同じ問題が生じる可能性はあります。)提供者が承諾しないとしても、配偶者または配偶者の血縁者から求められれば、断ることは難しいのが現実でしょう。さらに結果次第では、配偶者または配偶者の血縁者が提供者の血縁者の遺伝子情報までを知りたいと、あらためて求めてくる(提供者になることを求める、民間機関で調べることを求める  etc.)ことも考えられます。研究者または主治医からの情報開示の対象は、提供者本人に限定すべきです。 提供者の自己の遺伝情報に関する権利をあくまで尊重する考え方と、血縁者等の人命を救うことを優先させるという考え方がありますが、「後者を優先させる可能性が開かれておくべき」との主旨に修正しました。 
E-12 <50 黒須  三惠 日本医科大学 第十五 第2項は削除する(第1項を侵害することになるから。そもそも、第2項の内容も含めて、インフォームド・コンセントされるべきなのだから、第2項は必要ない、と考える)。
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第十五 2.の内容は提供者の意志に反していれば許されない。
E-34 <50 武田祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 第十五 第十四に準じる。<第十四に関して:  2項については削除すべきであろう。解説に、「・・・・・場合、疾患や予防・治療についての説明を十分に行い、当該遺伝子についての診断を改めて受けるかどうかについては本人の意思決定による」といった体制が必要であると考える。>
E-39 <60 白井泰子 国立精神・神経センター 第十五 2.:本人の同意に基づかない、血縁者への遺伝情報の開示という問題は、遺伝子変異と疾患との関連が明確である場合であっても、きわめて慎重な取り扱いを要する問題です(例えば、DMD患児の母方の血縁者に対して、医師は患児の母親の意向を飛び越して、保因者診断の必要性を女性血縁者に示唆することはしない)。ましてや、研究段階にある者に関して、何の制限も前提条件も付けることなく、”本人の同意に基づかない、血縁者への遺伝情報の開示”を認めることは、まさにELSI問題の重要な論点になると思います。
E-40 <20 石田  素子 学生 第十五 「遺伝性疾患の原因であるか。またはその可能性があるとの判断に結びつく場合」は例外的に提供者及び血縁者に伝達されるとあるが、これこそ生命の操作につながるのではないか。知らないでいる権利に反すると思う。医師としてみすみす放ってはおけないとの立場も理解できるが、提供者の知りたくないという意志を尊重すべきと考える。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十五 2項に関して、情報はまず第十四の通り、本人に知らされることが重要であり、当人を跳び越して家族・血縁者に知らされることは望ましくないと考える。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十五 提供者の基本的人権擁護の立場から見れば、2項は削除すべきである。倫理委員会が、どうしても必要と認める場合は、提供者本人を呼び出して本人にその必要性を説明し、本人の了承を得る努力をすべきである。それでも本人の了解が得られない場合は、あくまで提供者本人の意志を尊重すべきである。
E-33 <50 坪井 泉 マルホ株式会社/中央研究所 第十五 2.の倫理委員会の審査により伝達に加えて,遺伝カウンセリング等の支援を受けることも重要と考える. 遺伝カウンセリングについては第十九に記述されています。また、ご指摘を踏まえて、解説に追記しました。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十五 血縁者等への情報開示の考え方を具体的に明示してほしい。血縁者等への情報開示の2項は、遺伝医療においてもっとも頻繁に問題になる部分であり、非常に議論が多く実際の判断にあたって困難が予想される。本項では、「当該疾患が予防または治療が可能なものであるとき」といったきわめて主観的な条件しか本文中にはあげられておらず、残りの条件をすべて倫理委員会に一任しているのは問題である。遺伝医療の倫理問題に詳しい専門家が少ない現状においては、「憲法」たるこの基本原則の本文中にもう少し具体的な条件を提示すべきではないか。  WHOの「遺伝医学と遺伝サービスにおける倫理的諸問題に関して提案された国際的ガイドライン」では、「特に重大な遺伝的負荷を避けることができるときには、その血縁者自身の遺伝的リスクを知るために家族の遺伝情報を提供することが可能であるべきである」とある。ただし、前提として「血縁者にも遺伝カウンセリングを受けることを勧めるべきであることを当事者本人によく話をした上で、それを本人が拒んだ場合に、特に効果的で入手可能な治療法があるなら、遺伝カウンセラーが直接血縁者に接触するのは倫理に反しない」とも書いてある。さらには、「その時、】当該疾患の遺伝情報のみの最低限の開示と、家族および血縁者の中の特定の他者に対してのみの開示が保証されるような措置が講じられている、のすべてが満たされ、それが倫理委員会などのしかるべき審査機構によって判断された場合にのみ、本人の同意を飛び越えて家族、血縁者への情報開示が認められるとしている。憲法としての位置づけがうたわれたこの基本原則において、血縁者への情報開示の考え方についてのこれらの事項を十分整理し、何ができて何ができないのか、どのような条件が整えば何ができるようになるのか、伝えられる事項はどのような範囲のものか、といったことについてきちんとした指針を示してほしい。 ご指摘を踏まえて、解説に追記しました。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十五 (第15の「2」について)なぜ、「提供者の意思に反して」まで血縁者に提供者の遺伝子情報を伝達できるのかを説明していないが、説明しなければ伝えても許容されるべき血縁者の範囲が限定できない。血縁者が、提供者に治療を勧めるようにするためであれば、不当な干渉である。そうでなく、それは同じ遺伝子を保有している血縁者自身のためと思われる。しかし、その場合には、男子の伴性遺伝病に関する情報を女性血縁者に伝える必要はないし、日本語の血縁者の範疇に入る養子・養親に伝える必要もない。したがって、「提供者の意思に反して」遺伝子情報を伝達できる血縁者の範囲を、同一の遺伝子を保有している者に限定すべきである。
E-38 <40 土屋貴志 大阪市立大学文学部助教授 第十五 2.に関して:  倫理委員会で認められさえすれば、本人の意志に反して、血縁者に伝達できるというのは、簡単すぎる規定です。あくまでも本人の説得を第一とすべきことを文言に入れるべきでしょうし、それでも本人が反対する場合には、いったいどのような倫理的・法的根拠に基づいて、本人の知らせたくない権利よりも血縁者の知る権利を優先させられるのか、少なくとも解説で説明すべきです。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    第十五 「提供者と血縁関係にある者または提供者の家族は、提供者個人の遺伝子情報について、原則として提供者本人の承諾がある場合に限り、知ることができる」とあるが、第6の表現と同様に。「同意能力を欠く者が提供者である場合には、本人に代わって代諾者となるべき者の同意がある場合」も追加しておいてはどうか。 同意能力の認められない者が提供者である場合について、解説に追記しました。
E-6 <60 田興  治子 慈恵医大  内科 第十五 血縁者などの「知らないでいる権利」についてどのように対処するのか項目を作っていただきたい。 ご指摘を踏まえ解説を充実しました。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第十五 血縁者に対する情報開示であるが、提供者本人の遺伝情報は、当然その血縁者も同様な遺伝情報を有している可能性がある。倫理委員会の判断でこの情報を伝えた場合、「知らない権利」も施行できず、精神的不安を与える場合がある。検査の同意も取らずに検査結果を聞くことになる可能性もある。十分な配慮が必要であるものと思われる。また、この情報を基に血縁者の情報を調べるための方法に使われる可能性もある。
C-2       医療改善ネットワーク    第十五 第2項は、提供者本人の意思に沿わない開示であるので、第14の第2項の要件よりも厳しくするべきではないか。例えば、一定の重要な疾患に限定することも考えられる。  血縁者が未成年の場合は伝達は制限される必要があろう。 血縁者の範囲は広いが、限定する必要があるのではないか。 疾患の種類など種々の条件で伝えるべきかどうかの判断は変わり得ます。このため、伝えるべきがどうかは、倫理委員会で判断される必要があると考えます。
E-49 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第十五 徹底的に提供者を最優先しているのは賛成である。たとえば、病院でガン告知をする時に本人は何も知らないで血縁者たちのみが知っている(本人が知ることを望んでも血縁者が拒めば告知されない)ということを聞いたことがあり、それは不自然なことだと考えていたため。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十五 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第三(プライバシー権:知られたくない権利)  1.提供者の遺伝子情報は、その人個人のプライバシー権の1つであり、自分以外の他人に知られたくない場合には、それを知られたくない権利を有する。  2.何人も、いかなる理由があろうと、本人の意志に反して、自己の遺伝子情報を自分以外の他人(近親者を含む)に伝達されない権利を保障される。 提供者の知られたくない権利をあくまで尊重する考え方と、血縁者の人命を救うことを優先させるという考え方がありますが、この基本原則では、後者の立場に立っています。
E-54 <30 樋口  晋一 大阪大学法学部4年 第十五 第一四で「提供者に伝えられることができる」としながら第一五で「血縁者に伝達されることができる」としている点について。「伝える」と「伝達する」の異なる文言を使うことは混乱を招く虞がある。 文言を統一します。
E-36 <50 赤司  秀明 日本学際会議 第十六 特徴的な遺伝子情報を差別に悪用されないように慎重な注意が払われる必要があります。既にご指摘のような雇用、保険、婚姻などにおける差別が起こらないように、法令の整備は勿論、更には(人の気持ちの上の)問題においても差別が起こらないような配慮と国民的コンセンサス作りが必要なのではないでしょうか。 現行法においても適切な対応がなされることになります。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。 
E-44 <30 匿名希望 学生 第十六 遺伝子が、ますます解明されていく中で、この問題はとても現実的である。今までは差別する明確な根拠がないため起こらなかった事が、遺伝子という物的証拠を得た事で差別・区別する明確な基準を与えられ、偏見ではなく確固たる事実として受容されていく危険性がある。遺伝子決定論の排除、そして法令にはっきりと禁止事項として、打ち立てられることが肝要である。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 第十六 もっとも心配される所であり、問題が大きい。 資本主義の経済効率優先の社会においては、一般市民はとても弱い存在であり、保険等が様変わりする恐れあり。  ドイツナチスの優生思想に陥る可能性あり。 法的規制が急がれる。
E-59 <30 笠谷圭吾 北海道大学理学部化学科 第十六 遺伝情報が絶対に第3者(会社など)に漏れないようにしないといけないし、ヒトゲノムによる差別、解雇などを防ぐために法律も制定すべき。
E-62 <70 今泉  弘吉 IMA環境保護事務所 第十六 解説の中で、特に雇用や保険加入に関する差別の可能性に対しては、「法令の制定の可能性も含めて、適切な制度的措置がとられる必要がある」としている。現在、ヒトゲノム研究の場面に限定して、制度的措置が考えられているようだが、それだけでは足りない。ヒトゲノム個人情報が、不当に、密かに国・特定の組織・法人・雇用主に握られることを想定し、その悪用を差し止めるべきバリアーの構築が求められる。悪用された場合、その社会的影響は、被雇用者、保険加入を求める者、婚姻を目前にする者、金融を受ける側、教育を受ける側、犯罪者、自衛隊員などに対する差別、権利侵害、その他、いろいろな不利益な取扱いとなって現われるはずだ。そのガードの意味でも、早急に事の本質に迫る具体的議論を尽くし、罰則まで含めて措置しておかなければ、特に社会的に弱い立場にある者ほどひどい目に遭わされる可能性が高い。
E-67 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第十六 オーストリアなどでは保険会社が遺伝子情報を利用することを制限する法律がある。また、同紙によれば、一方で遺伝子診断の結果は、場合によっては家族にまで影響を及ぼす深刻な「遺伝子差別」を引き起こす可能性もある。約20州で就職や保険加入の際の遺伝子差別を禁じる法律がある米国では、クリントン大統領が今年、連邦職員の採用や昇進に関して遺伝子診断の結果を利用することを禁じる大統領指令に署名した、ということである。以上、遺伝的特徴を理由にした差別がなされようとしている現在、厚生省だけでなく関係する省庁が十分に連携して、これを防ぐ法整備を含めた検討を急ぐ必要がある。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第十六 (差別の禁止)情報の漏洩により雇用、保険、婚姻など差別されることのないよう制度的に措置を講じて欲しい。これは提携者にとっては重大な問題なのですから。
A-6       日本保険医学会    第十六 解説中に「雇用、保険、婚姻等さまざまな具体的差別がありうる。とくに雇用や保険加入に関する差別の可能性に対しては、法令の制定の可能性も含めて、適切な制度的措置がとられる必要がある。」とあります。  保険加入者間の公平性…民間が提供する保険は、保険加入者と保険会社が対等の立場で、双方の合意をもとに契約を締結しています。また、保険加入者は任意に加入の意思を表明できます。したがって、保険金支払事由の発生リスクに応じた保険料を負担していただくことにより、保険加入者間の公平性を維持することが必須となります。例えば、万が一、自らの死亡リスクが高い事を知っている人が、その事実を伏せて非常に高額の生命保険に加入し、利得を得ようとするならば、問題があるといわざるを得ません。  生命保険と健康保険・・・米国において、保険か乳児における遺伝子情報の利用が法令によって制限されたり、論じられたりしているのは、健康保険に関してです。米国では健康保険は民間保険会社により提供されています。一方、日本では、健康保険は社会保険として提供されています。生命保険は、任意加入の保障であり、健康保険とは異なります。実際、米英国において、生命保険加入時における遺伝子情報の利用に関して、長期間にわたる行政を含む議論がなされて来ましたが、生命保険に関する法令による制限は設けられていません。  自主規制・・・個人の人格の尊厳、血族への影響、社会的差別の様々な視点について十分配慮して、生命保険事業を行っていくべきものと考えています。諸外国を見てみますと、生命保険業界が自ら、遺伝子情報の取扱いに関する規範を設ける例があります。日本保険医学会は、生命保険業界が遺伝子情報およびその倫理的問題の取扱いに関しての自主規制を設けるよう、働きかける意思を持っております。 本基本原則はヒトゲノム研究について定めたものであり、保険に関わる問題は、遺伝子診断に関する指針の策定等とともに、今後、検討されるべき重要な課題であると考えられます。なお、解説の「保険加入に関する差別」の記載を改めました。 
E-16 <60 小林  三世治 第一生命保険相互会社医事研究室 第十六 第16(差別の禁止)の解説で触れられている保険が民間生命保険等の民営保険をさしているならば、以下の点を踏まえて慎重に議論されることを望みます。加入が義務付けられている社会保険などの公営保険と異なり、民間生命保険などの民営保険は契約者(お客様)と保険者(保険会社)双方の合意(申込と承諾)により成立する諾成契約です。また、民営保険は給付・反対給付均等の原則(危険集団構成員の各自が負担する保険料は支払保険金に保険事故発生の確率を乗じた額に等しい)に基づき運営されており、保険者(政府)が費用の一部を負担し保険料が被保険者(国民)の経済力(収入)に応じて徴収される公営保険と異なっています。「ヒトゲノム研究に関する基本原則」の制定に際しては、このような民営保険の仕組み等をご理解いただき、慎重にご議論されますようお願い申し上げます。
E-30 <50 匿名希望 アメリカンファミリー生命保険会社 第十六 生命保険会社に働く1医師としての意見ではありますが、解説に「保険加入に関する差別の可能性に対しては法令の制定の可能性も含めて適切な制度的措置がとられる必要がある。」と記載されているがここで言う保険とは民間の生命保険加入も想定しているのでしょうか。民間の生命保険では病歴等の告知と診査に代表される体況情報により個人の生命保険事故の危険度を評価して、保険料に見合う生命保険の引受け可否を決定しています。保険医学の危険選択において法令制定により遺伝子情報が関与する疾患だけを特別に優遇して治療歴すら告知しなくていいようになれば他の遺伝子情報の関与しない疾患との公平性が保たれなくなります。現在と同レベルの危険選択だけはできるようにご配慮ください。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十六 「・・・提供者は、・・・差別されてはならない」とありますが、単に「提供者」だけではなく、「血縁者、家族も差別されてはならない」と明記すべきです。この点で、「解説」では差別が問題になる具体的状況が触れられておりますが、19ページにある「雇用、保険、婚姻など」の表現を条文にも加える必要があります。 血縁者、家族の差別禁止を解説に追加しました。また、具体的にどういう差別があるかは定まったものではないので、具体的な例は解説に記載しました。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十六 この文章は、責任の所在を明示した文章にすべきです。第5でも述べましたが、「研究者あるいは研究機関」そしてそれを推進しようとする国の責任を曖昧にしてはならないと考えます。このままの文章だと「差別されてはならない」という文章は差別されるかもしれない提供者に対する「禁止事項」であって、差別される提供者が罪ということになってしまうのではないでしょうか。 差別してはならないのは、研究者、研究機関、国に限らずすべての者が差別してはならないことを示すためにこのような表現をしています。また、「差別されてはならない」が差別を禁止することは、文意により明らかであると考えます。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十六 日本語の意味として、「差別されてはならない」を「差別されるようなことがあってはならない」にしなければ、差別されるかもしれない提供者に対する禁止事項になってしまう。つまり、差別されるのを容認することを罪とすることになってしまう。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十六 2.で「漏洩が判明した場合・・・厳格な処置が講じられなければならない」とあるのですから、この「漏洩」と不可分かつその結果である「差別の可能性」についても、「これに対する制度的措置」を明記しなければならないと考えます。そうでなければ整合性に欠けていると思われます。 第十二では、研究機関に限られるため、このような措置を謳っていますが、第十六の差別の禁止では、研究機関のみが制度的措置を講ずることはできません。
A-4       日本癌治療学会    第十六 かつての“らい病”のようなことにならないよう、差別は絶対に行われてはならない。知らせなくとも知られてしまうことへの配慮を厳重にして欲しい。  これこそ“らい病”のような差別は避けること。治療することが分かってからでも、法的措置の撤廃に時間が掛かりすぎたこと。この点から、個人的にはヒトゲノム研究には、消極的に反対である。  法令の制定が先である。 法的には、現行法に基づいて適切な対応がなされることになりますが、本基本原則が策定されることにより、社会の認識を促すことが期待されます。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。
B-2       (財)バイオインダストリー協会    第十六 法令の制定が先である。
A-8       日本組織培養学会    第十六 この項は不思議な二律背反を含んでいる。すなわち、遺伝子解析は、差別を生む可能性もあるが、本来は遺伝的な特質を生かすための研究なのである。背丈の高低や、肌色の違いとおなじように、将来遺伝子的な特性はもっとオープンに会話に登場し、誰も差別しなくなる時代が来るであろう。その時、個人の遺伝子情報は、さまざまな社会的な枠組みに取り入れられ、よい意味で差別化がなされて、個人の福祉の増進に寄与することとなるであろう。 本基本原則では、「差別」を人の尊厳と人権の尊重を妨げるものとして位置づけています。
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十六 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第三章 差別の禁止  遺伝子情報は多様であり、その多様性は人としての存在の基盤をなすものであるが、また同時に差別・選別の対象とされてきた。しかし、その人の遺伝子情報が  示す遺伝的特徴を理由にした差別・選別はゆるされない。遺伝子研究によって、差別がおこらないために、また、差別を助長することのないように、人権啓発教育を推進する。遺伝子研究をおこなう者は、人権啓発教育の研修を受けなければならず、研究機関はその研修の機会を研究者に与えなければならない。  第二十七に生命倫理の教育の普及について記述しています。
E-7 <40 新居  雅宏 徳島県肉畜試験場 第十六 遺伝子情報が示す遺伝的特徴を理由にして差別されてはならない、は当然のことであるが、ゲノム研究の枠をこえた広範囲な問題であると思う。また、いかなる理由にしてもヒトは差別されてはならない。 ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のようにゲノム研究の枠を越えた様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。
E-28       矢澤幸平 三井製薬工業(株) 第十六 遺伝子診断として生命保険や健保の加入拒否・掛け金の増額の要件として使用してはならないということについて、解説ではなく本文中により詳しい記載が必要とおもう。 本基本原則はヒトゲノム研究について定めたものであり、遺伝子診断については別途定められるべき指針によります。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 第十六 項目番号第2とあわせて、「差別されてはならない」と簡単に文章にしても、実際問題として、それがどこまで守られるだろうか。ヒトゲノム研究が進められていくうちに今まで気づかれていなかった遺伝子上の欠陥が見つかるかもしれません。その時新たなる差別を起こさないように、どれだけのことができるでしょうか。例えば、HIVに感染した患者が差別されているという事実があります。彼らはそんな病気が存在していると知られるまでは差別の対象にはなっていなかったのです。新たな発見は希望であるとともに、新たなる影をもたらす可能性があることを忘れてはならないと思います。 現行法においても適切な対応がなされることになります。ヒトゲノム研究の成果が応用される段階では、ご指摘のように様々な問題が起こることが考えられ、今後、検討されるべき重要な課題であると考えます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十六 原則としてはそれが望ましいが、はたして差別を起こさないことが可能なのかは厳しい問題だと思う。 第十一、第十二において遺伝子情報保護について、第十九において遺伝カウンセリングについて記載されています。それらの具体的方法については、本基本原則や指針に基づき、研究計画毎に倫理委員会で審査されることになります。
E-56 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第十六 提供者の遺伝子情報が漏洩しない限り、差別は起こらないのではないだろうか。提供者の下に遺伝子情報結果をどのように告知するか、という問題になるのだろうと思う。郵送などでは他のものに見られてしまう可能性がある。また、データだけでは何かと不安が生じるであろう。医師など専門スタッフによる遺伝カウンセリングを同時に行うのがベターであろう。また、その結果の保管方法などもきちんとアドバイスしたり、結果を書面で渡すようなことは控えなければならないであろう。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十六 第12の規定が厳格に守られていれば、まず起こりえないことであるので、提供者の訴えに基づき、倫理委員会は個人情報漏洩の事実関係を調査する義務を負う規定を設けるべきである。  第16の違反者に対しては、刑事罰による罰則規定を設けるべきである。 個人情報保護の実効性に関しては、個々の研究計画に対して個別に倫理委員会が審査し、担保することとなります。また、法的には現行の法律によって規制されますが、必要に応じて現在進められている個人情報保護に関する立法の検討などにより、担保されることも考慮されるべきと考えます。
E-69 <70 匿名希望 無職 第十六 研究機関による提供者の個人情報が保険会社等に漏洩し、遺伝的特徴を理由に差別されることは、絶対にないように注意願いたい。 ご指摘の様な問題を防ぐことも本基本原則策定の目的です。
E-5 <50 小林  正人 山形県農業研究研修センター 第十七 知的所有権が提供者に所属しないことに賛成である。変異の保有が金銭的に評価されることになっては、わざわざ差別を助長することになる。研究者サイドの知的所有権の範囲が分かりにくい。遺伝子の全塩基配列、既知遺伝子との相似性、蛋白質の発現、蛋白質の機能、診断法、遺伝子治療、予防方法など種々のステップがあるが、どのレベルから知的所有権を生じるのか。少なくとも、塩基配列だけで知的所有権は生じないと思う。特定の企業の営利や投機の対象としないために、明確な線引きが必要ではないか。 提供者が当然には知的所有権を主張できないことを、インフォームド・コンセントの際に説明することについて解説に記載しました。また、研究結果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるものです。その旨に関しましても、解説に加えました。 
E-15 <60 大隅  隆 姫路工業大学理学部生命科学科 第十七 どのようなレベルのデータが知的所有権の対象になるのか、必ずしも明確ではないように思われる。シーケンスデータについては、遺伝子の機能に関する知見がなければ特許の対象にならないようであるが、例えばSNPに関しては、ある疾患とある遺伝子タイプとの関連が示唆された場合、特許の対象になるのだろうか。
E-20 <60 堤  賢一 岩手大学農学部研究支援係 第十七 知的所有権についてはどう考えてよいか難しい問題と思いました。ヒト個人の遺伝情報が特定の集団(例えば企業)の所有物となることに多少の疑問を感じますが、かといって個人の所有物であると考えると一般的な「良し悪し」の考えに結びつくことも考えられますので、そうすべきではないとも思います。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十七 研究試料の提供は無償が望ましいかもしれないが、解説にあるように、研究参加にともなう交通費、休業補償等の経費の支給はあり得る。(ちなみに解説文では休業保障とあるが補償ではないでしょうか?)したがって、本文にて「無償とする」と言い切ってしまうことに疑問を感じる。解説に例外が記されていればよいのか?  知的所有権が提供者に帰属することを禁止するのはおかしい。2項にあるように、知的所有権が提供者に帰属するものではないと規定するのはおかしい。インフォームド・コンセント取得時に、知的所有権の帰属先がどこであるのかをあらかじめ明示することは必要であるが、それが研究者であっても試料提供者であってもあるいはその両方であっても問題はないはずであり、試料提供者の権利をことさら奪う必要はない。厚生省のミレニアムプロジェクトに関する遺伝子解析研究のガイドラインにおいても、当初の案では、知的所有権は提供者に帰属しないと書かれていたが、その後の検討で表記が改められていると聞いている。現在米国では、難病の遺伝子解析研究のために本人に利益がないにも関わらず試料を提供してきた病気の人々が、その後その結果を利用して特許を得て遺伝子診断ビジネスを展開している企業に対して猛反発をしており、社会的問題となっている。したがって、遺伝子解析結果の知的所有権は「提供者には帰属しない」と言い切ってしまうことは問題があると思われる。同時に、「同意能力が認められない者」の場合、知的所有権が代諾者に帰属することを認めてよいかといった議論も必要である。
C-2       医療改善ネットワーク    第十七 解説の中で述べられているように、報奨金などの利益措置によって検体(研究試料)の提供を誘導するのは好ましくない。また、研究の成果が知的所有権等の対象になる場合に、検体提供の事実のみではそうした知的所有権を提供者が主張できないとするのは妥当であろう。しかし、研究のために提供された検体の所有権が検体提供者に帰属するとみられる場合においては、その検体から研究者が得たデータは他人の所有物から派生した果実なのだから検体提供者の所有権に服するとみることも可能である。従って、検体より得られたデータの使用について検体提供者に全く発言権を認めないというのではなく、場合によっては検体の所有権に基づいて異議を申し立てる何等かの道を残しておくべきであろう。
E-34 <50 武田祐子 慶應義塾大学看護医療学部開設準備室 第十七 2項にあるように、知的所有権が提供者に帰属するものではないと規定するのはおかしい。あくまでも提供者に帰属することを剥奪しないように表記しておくことは重要ではあるが「同意能力が認められない」場合に所有権はどのようになるのか疑問が生じる・・悪用を回避するためには代諾者は認めないといったことも必要になるかもしれない。
E-8 <50 前田  敏宏 (財)化血研 第十七 ヒトゲノムは人類の知的財産です。一部の企業などにゲノム情報を独占され、それ以降の企業活動が出来にくくならないよう基本原則を考えていただきたいと思います。  金品などの受け渡しなども決してないよう充分な注意をお願いいたします。 知的所有権の範囲や権利者については、別途検討されるべき問題と考えます。また研究結果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるものです。  なお、知的所有権と研究の結果の公開に関しまして、第二十一に第5項を追加いたしました。
E-32 <50 匿名希望    第十七 2.は削除し「研究の結果選られた情報はある特定数に達した場合には、提供者の匿名化を大前提として、学会、雑誌等に公表し知的所有権の対象とならないようにする」とすべきである。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十七 日本国憲法第29条の規定から考えても、財産権、所有権などは絶対的なものではありえない。ヒトゲノム研究の結果得られた成果については、知的所有権、知的財産権の設定を認めるべきではない。少なくとも、基本的人権の保障、公共の福祉の観点から厳しく規制されるべきである。このたび予定されている先進国サミットにおいても、この問題が「知的所有権、知的財産権を認めない」方向で討議されると聞く。以上から、当面第17の2項は削除すべきである。
E-44 <30 匿名希望 学生 第十七 確かに知的所有権が提供者によって独占されることがあってはならない。しかし研究成果がその提供者の人権・プライバシーを侵害するようにことがあってもならない。成果を得た者が莫大な利益をあげ、提供者が何の手当てを受けないというのも、またおかしい。要するに知的所有権が提供者に帰属しないと共に、それが成果を得た者だけに帰属するものでもないということが重要である。そこのところをはっきりしておかないと、後々問題が起こるに違いない。特許化する場合などは特にである。
A-8       日本組織培養学会    第十七 提供者への何らかの利益還元がなされる可能性を全面的に否定する根拠があろうか。 提供者は、知的所有権を当然には主張できませんが、提供試料を基に治療法等が開発された場合に、提供者に特別の有利な地位を与えることを考慮することは考えられます。将来、医療制度とそれに関わる社会的支援の枠組みの中でこうした患者(提供者)への優遇措置の設定を視野に入れることが望まれます。 
C-4       優生思想を問うネットワーク(代表)    第十七 <我々が、原案に最低限の修正を加えたものを提示する。参考としていただきたい。>  第三節 提供者の権利  1. 研究試料の提供は無償とする。  2. 提供者は、提供した試料を用いた研究の過程においてあるいはその研究に関連して損害を被った場合、正当な補償を受ける権利を有する。  3.研究の結果得られた成果を商業利用する場合には、提供者にも相応の利益の分配を受ける権利が生じる。それゆえ、知的所有権等に関する提供者の権利については、別途に定めることとする。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第十七 健常者より検体を得る場合、ヒトゲノム研究について十分な理解をしていただいた上であっても無償では難しいのではないでしょうか。このような場合、各施設において倫理委員会の審査を得た後、不合理な利益措置にならない程度に報奨金を出すことが出来ないでしょうか。
E-56 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第十七 報奨金などの利益措置とあるが、大学などでは単位認定など成績をエサに被験者を大量確保しようとすることもある。利益措置とはどのようなことを指すのか、ただ単に金銭の問題なのかどうかも議論すべきであろう。「遺伝子情報をとに専門スタッフによる遺伝カウンセリングをうけられます(無償)」も広い意味での利益措置と考えられるのではないだろうか。特に現在は民間業者による遺伝子診断が高価なので、大々的な宣伝をしての提供者集めは慎むべきだと思う。
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第十七 4、 ゲノム情報とゲノムを含むヒト解析用サンプルが国際的に交流する現実の研究世界を考えたときに、現実は本基本方針を超えている.1)  現金を払い収集された血液サンプルから調製された、販売されている試料.倫理問題等の整備にないあるいはそんな余裕のない開発途上国の疫学的に特殊な集団からのDNAコレクションが存在する.現地では現金が喜ばれるというのが実情と聞いている.このようなサンプルは重要な研究対象であるが,無償でない点、インフォームド・コンセントの欠如など本基本方針に反する.4.  ゲノム情報の所有権の問題について、知的所有権だけの主張では不十分であるように考えられる.提供という行為でどのように所有権が移るのか. 国際的に問題になった事件がこれまでにいくつかありますが、わが国で研究が行われる場合には、この基本原則に従って研究することが前提です。
A-4       日本癌治療学会    第十八 現在の法制度では時間が掛かりすぎるため、迅速的対応可能な新しい保証制度の確立が先である。 本基本原則に示された事項は、賠償などについては民法などの現行法に基づいて適切な対応がなされることになります。指針の策定の際には個人情報保護の実効性についての配慮がなされるとともに、必要に応じて現在進められている個人情報保護に関する立法の検討などにより、担保されることも考慮されるべきと考えます。 
C-2       医療改善ネットワーク    第十八 「正当な保証または賠償」といっても、極めて低額の慰謝料程度では実効性が乏しいので、みなし損害額などを定める必要があろう。なお、刑罰による担保についての考え方が不明である。
C-3       DNA問題研究会    第十八 第十八の「解説」には、「損害を被った提供者による因果関係の立証責任は軽減されるべきである」とありますが、この一文は問題です。このような高度な技術によって引き起こされた被害を、被害者によって立証することは不可能だと考えます。日本の現状では、ゲノム解析研究を切望する当事者(難病の患者、住民検診の受診者など試料提供者)はほとんど皆無なのは周知の事実でもあります。したがって、「軽減」ではなく、「立証責任は、提供者にはない」「立証責任は組織の採取や研究に携わる側にある」とするほうが現実に則しています。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第十八 損害の補償を具体的法制度で委ねるとしているが、“損害”とは何を指すのか。基準も明確でなく、証明するのも時間と労力が掛かる。裁判ともなれば、試料提供者の知らないところでの検査や研究となるための証明、事実認知も困難。“絵にかいたもち”にならないようにしなければ、国民の信頼は得られない。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 第十八 賠償等の請求も大変であり、損害者の因果関係の立証は困難。法で保障されるべき。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十八 損害を被った提供者による因果関係の立証責任を軽減するために、公正な第三者機関(倫理委員会等)に事実関係調査の権限と責任を持たせる制度を設けるべきである。
A-8       日本組織培養学会    第十八 権利の保障については別途法律によって定める。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十八 正当な補償の具体的な基準はどのように設けるのか。提供者の情報にどれだけの価値を持たせるかで基準は変わってくると思うが、その件については委員会で具体的な同意がなされているのだろうか。
A-3       日本薬物動態学会    第十九 研究成果を知る権利、知らない権利に関連して、本基本原則と別個に行政的見地に立って遺伝カウンセリング体制の整備についてもご検討頂きたい。 遺伝カウンセリング体制の整備は、本基本原則を受けて今後検討されるべき重要な課題であると考えます。また、ご指摘を踏まえて第十九の解説を修文いたしました。 
C-6 <40 つばさの会代表    第十九   我が国における多くの病気に対する社会的心理的支援は不十分で、特に専門的な遺伝カウンセリングは全くといいほど行われておらず、一部の医師の尽力によりやっと専門家の養成に乗り出したところである。  遺伝子情報を扱う場合、その情報によって提供者にもたらされる心理的葛藤は、結果によってはその提供者の人生観や人生設計全てに影響を与えるほど非常に大きいものであるから、この原則の施行とともに十分な支援ができるよう、早急に国を挙げての対策が望まれる。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第十九 遺伝カウンセリングを受ける場合、健康保険等の対象となり得るのでしょうか。また、研究側は支援制度等を用意しておく必要があると示されているが、これに対する基本的な負担は提供者なのか研究者なのか。今後のゲノム研究の成果の反映を考えた場合、行政として遺伝カウンセリング等のシステムの構築が必要ではないでしょうか。
E-33 <50 坪井 泉 マルホ株式会社/中央研究所 第十九 遺伝カウンセリング等に支援をうける必要があることを本文に盛り込み,このための支援制度を構築して頂きたいと感じた.
E-41 <50 匿名希望 学生 第十二 第19(社会的心理的支援)において、(遺伝カウンセリングを含む適切な社会的心理的支援を受けることができる)とあるのも、同様の問題であります。(適切な)という中身こそが大きな問題なのであって、これでは(適切な社会的心理的支援)が受けられるとは思えません。
E-51 <30 茂木  恵理子 学生 第十九 解読の方で説明されている通り,アメリカなどでは実際に遺伝子カウンセラーが職業として認められて活躍しているのに対し、我が国では、ほとんど体制が整えられていない。第十三にあるように知る権利を有するのであるからそれらに伴う社会的心理的支援は不可欠であろう。遺伝子疾患などの情報開示が求められる機会が研究の発展過程において増えることが予想されるので、早急に体制整備をおこなってほしい。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第十九 国の支援義務を法律で規定すべきである。
E-68 <70 匿名希望 全国脊髄小脳変性症友の会 第十九 研究結果を知った後の遺伝カウンセリングなどの支援体制を充実させて欲しい。現在研究は大分進んできているというのに、カウンセリングは一向に進んでいません。遺伝の情報を伝えられたら、すぐカウンセリングの先生に会えるくらいにしてもらいたいです。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十九 「提供者などの権利」として明示するために、「受けることができる」ではなく「受ける権利を有する」とすべきです。 遺伝カウンセリングを受ける権利は、現行法に明示されていないものであるため、「受けることができる」という表現としています。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第十九 遺伝カウンセリングなどは、深刻な遺伝病因子の検査などの場合には絶望に転落する場合もあるのであるから、単に「受けることができる」とするにとどめず「受ける権利を有する」とすべきである。研究機関はその権利を保障する義務を負う。
A-9       家族性腫瘍研究会    第十九 ヒトゲノム研究において社会的心理的支援が必要であることは否定しないが、「遺伝カウンセリング」は「社会的心理的支援」にとどまる事柄ではない。この文では、遺伝カウンセリングは「社会的心理的支援の一手段」であるように受け取られるが、遺伝カウンセリングの定義はWHOやアメリカ人類遺伝学会の定義にあるようにもっと広い概念であり、医学的科学的情報のやりとりをも含むコミュニケーションプロセスとして、将来的には欧米同様に診療報酬請求の対象としても考慮されるべき医療実践の一つである。日本において「遺伝カウンセリングとは何か」ということの共通認識が得られていない現状で、心理支援のみならず家族歴の聴取や情報提供をも重要な要素として含む遺伝カウンセリングの正しい意味が伝わらないような表現は避けてほしい。また、第19において、「提供者および血縁者ならびにその家族は」とあるが、日本語の表現としてこの書き方だと家族は血縁者の家族のみを指すことになる。第四では、「提供者、その血縁者および家族」となっているが、そうした表現を整理し、統一化してほしい。あるいは、本項目のタイトルを「遺伝カウンセリング」とし、本文でも、「社会的心理的支援」ではなく、「遺伝カウンセリングを受けることができる」としてほしい。 遺伝カウンセリングの定義を用語解説に加えました。ここでいう「社会的」は「社会福祉的」という狭い意味ではありません。本条のタイトルに関しては、「社会的心理的支援」に「遺伝カウンセリング」全体が含まれないとしても、「遺伝カウンセリング」が「社会的心理的支援」を包含しているわけでもないため、あえて「遺伝子カウンセリング」にタイトルを変える必要はないと考えます。
A-4       日本癌治療学会    第十九 遺伝カウンセリングに際しては十分な遺伝学の知識を持つ研究遂行者のみならず、ヒトゲノム研究をめぐって生じ得る倫理的、法的、社会的、精神心理的諸問題に対応できるメンバーで支援が行われることを明記する必要があると思います。 遺伝カウンセリング体制の整備は、今後検討されるべき重要な課題であると考えます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第十九 遺伝カウンセリングは必要であるが、精神保健分野のカウンセラーと違い、いつも遺伝学・医学の最先端の情報を持ったカウンセラーを養成しつづけるのはとても大変である。十分な研修がなされないと、却ってクライアントとなった提供者に混乱をおこさせる原因ともなるので注意が必要である。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第十九 「ヒトゲノム研究」と社会の接点を具体的に構築する上で、極めて大事なことだと考えます。ここでは提供者などの権利として挙げられていますが、「社会的心理的支援」をこの権利に対応する義務、関係研究機関に課せられた義務として、規定する条項が必要だと考えます。そうでなければこの条項は空文化する恐れがあります。 第二章では、研究試料提供者の権利を示していますので、権利として掲げています。また、解説には研究機関がなすべき事項を記載しています。
E-17 <60 匿名希望 静岡県立こども病院 第十九 さらに「遺伝カウンセリング」についても、(家族性腫瘍研究会からも出しましたが)研究・検査の後始末のために存在するように思われている事が多い事からも、もっと慎重な検討をお願いいたします。遺伝カウンセリングの業務を、研究という一部分に限定しましても、研究を実施してから行なうものではなく、インフォームドコンセントの情報提供の際での、試料提供者に充分理解されるような説明の仕方というのは遺伝カウンセリングと共通の技法がなされるべきであります。不備な説明をされて後で遺伝カウンセリングで何とかしてほしいとなりかねない現今、また、言葉だけが独り歩きしている現状を考えますと、この業務をよく知ったうえでの記述をしていただく必要性を改めて提言させていただい。 遺伝カウンセリング体制の整備は、今後検討されるべき重要な課題であると考えます。また、ご指摘を踏まえて解説に追記しました。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第十九 支援体制が必ずしも十分でないことに関して、と゜のように対処するかが問題である。
E-28       矢澤幸平 三井製薬工業(株) 第十九 心理的ケアは確かに必要である。インターネット上で将来疾病にかかる率や予防法などの情報が素人にも簡単にアクセスできるようにすることが必要。 第二十五に、研究の成果は社会に還元されなくてはならないことが明記されております。
E-39 <60 白井泰子 国立精神・神経センター 第十九 此のガイドラインにおいて要求されている“遺伝カウンセリング”の第1の目的は、”当該研究に対して試料を提供する・他の研究への利用も認める・・・等についての意味、そのメリット・ディメリットについて十分に理解した上で意思表示をするというプロセスにつきあい、自己決定を可能とする援助者(鏡のような役割)を保障することだと思います。従って、試案中にある、“研究結果を知りましくは・・・云々”にある遺伝カウンセリングは第2の目的だと思います。遺伝カウンセリングの提供を考える場合には、此の2つの目的を分けて考える必要があると思います。 前者の第一の目的に関しましても、第十九に、研究試料を提供するにあたって、または研究結果を知りもしくは伝えられるにあたって、と明記されております。
E-48 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第十九 これはとても大切なことだと思う。今は現状として研究ばかり先急ぎになってこうしたバックアップ体制がおいついていない気がする。確かにそこで得た研究成果か一個人のものであるだけでなく、社会的に役立てる一つのデータにすぎないが、それを単なる一データとして扱うだけでなく、そうした研究に協力した提供者一人一人のケアも重要視すべきであろう。見落とされがちなことであるからこそ大いに気をつけるべき点だと思う。 遺伝カウンセリング体制の整備は、本基本原則を受けて今後検討されるべき重要な課題であると考えます。また、ご指摘を踏まえて第十九の解説を修文いたしました。
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第十九 日本ではカウンセリングということ事態にまだなじみが薄く、まずカウンセリングの大切さを世間一般に広げることが必要だと感じます。またカウンセリングの際に誘導尋問的に進めない配慮が必要だと感じます。
E-14 <70 匿名希望 川村学園女子大学 第二十 自由といっても第21のように制限がある。従って「原則として」とか「基本としては」とかを挿入すると良い。 もともと基本原則を述べているものでありますので、その必要性はないものと考えました。
E-36 <50 赤司  秀明 日本学際会議 第二十 基本的に研究の自由は尊重されるべきですが、真の自由が保証され享受できるのは、一定のルールに基づいていることが前提であると考えられます。第21以降がそのルールを担っていくことになると思いますが、自己中心的な研究の暴走が起こらないような厳密なルールを期待致します。 基本的考え方の中で述べられておりますように、ヒトゲノム研究やその成果は、人間の生命を操作することにつながり、他方で個人の遺伝的特徴に基づいて尊厳や人権が著しく損なわれる危険性を生むなど、大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性があります。そのために、こうした様々な問題に注意を払いながら、社会の理解のもとに進めていかなければならず、一定の制限を設けることにいたしました。
E-49 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第二十 これだけでは、いかなる研究も許される様である。しかし、後の第二十一には、これに対する規制が加えられているため人権尊重を土台としてヒトゲノム計画を行なうならば賛成である。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十 第二十一と合わせたときのみ、賛成である。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第二十 「科学研究の自由は」は、「社会的な貢献を目的とした場合にのみ科学研究の自由は」に変更すべき。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第二十 科学者になぜ研究の自由があるのかよくかみ締める必要があると思う。高いモラルも期待されているからである。研究の自由が侵されることのないよう研究してほしい。
E-72 <60 奥山  恭子 帝京大学法学部 第二十 第三章が研究者・研究機関の遵守事項であるならば、第20は置くべき場所をはき違えた感がある。科学研究の自由と研究者の人権は、もとより尊重されるべきではあるが、第三章に置くことで、無制限な研究の自由と曲解されることが十分考えられ、基本原則として立案した全ての条項を無に帰す恐れすらある。削除か、第一章への移動が適切ではないだろうか。 この条は、研究の実施要件の中において研究の自由が尊重されるべき事を述べたものですあり、この第3章に置かれることが妥当であると考えます。
A-8       日本組織培養学会    第二十一 現在のヒトゲノム研究は塩基配列研究の延長であるが,次世代のゲノム研究の萌芽的研究について、研究者自身も評価をしかねている部分がある。そのような情況があることを考えると,安易に「成果が見込まれる」研究だけを推進する体質を助長することは、日本の医学生物学的研究の進歩を鈍らせる可能性がある。 この項における「有意義性」とは、医学・薬学などの分野におけるような有用性のみならず、真理の追究を目指した科学の進歩にとって意義がある、ということも意味しており、人の尊厳や人権が損なわれるおそれのあるヒトゲノム研究(次ページに続く)  (前ページから続く)がいたずらに行われることがないように定められたものです。研究の「有意義性」に関しましては、機関ごとに設置される倫理委員会によって審査されることとなります。  この「有意義性」は、時間とともに変遷しうるものであり、本基本原則で細かく定めるのではなく、具体的には各倫理委員会に任せるというシステムが妥当であると考えております。
E-24 <60 水沢  博 国立医薬品食品衛生研究所 第二十一 『3.ヒトゲノム研究は、生物学上、遺伝学上および医学上の有意義な成果が見込まれるものでなければならない。』この第21、3.の条項を削除することを要求します。本来基礎研究は、知られていない事実を知ることを目的に行われるもので、解明された事実は、人間にとって有意義か否かという社会的価値判断は含まれないものであります。また、「有意義か否かという価値」は社会の発展段階や、知識の集積度によって評価が変わるものであります。ある時代、ある時期の価値判断に基づいて、一つの研究を「有意義では無い」と判断することは、無知に基づく判断であり、極めて重要な研究を圧殺する可能性のあることを忘れてはならないでしょう。また、これが政治的に利用されれば、特定の研究者の排除のために利用される可能性すら秘めている文章であることも指摘しておきたいと思います。かつて、ガリレオが『それでも地球は回っている』と述べたことはあまりに有名な事実ですが、当時地動説は宗教上の理由から『有意義では無い(有害)』と判断されたものです。現在の日本では宗教上の理由にとってかわって、『善意』という理由で、価値が無いと研究にクレームが付けられる可能性は十分にあり、それが研究の自由を阻害することは十分に考えられることです。研究は自然の理解を目的に行われ、結果を有意義に用いるのは社会の役割であります。そこには明確な役割分担が成されなければなりません。この一文には研究のための倫理原則と社会の倫理的規範の混同が見てとれます。本来、研究は自由を原則とし、研究が生み出した結果を「有意義」なものか有意義では無いかを判断するのは社会です。そうした判断をあらかじめ研究に求めるのは大変おかしな理屈であると思います。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十一 3項は、第20(研究の自由)を妨げる恐れがあるので削除すべきである。
E-14 <70 匿名希望 川村学園女子大学 第二十一 (第21の3)「有意義」とは誰が何を基準として決めるのか。例えば、「子供を産めず、自分の子孫を残させなくなった人」にとっては、自分の「人クローン個体の産生」は「有意義」と考えるかもしれない。
E-48 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第二十一 ここで述べられている「有意義な成果」とは何をもって「有意義」といっているのかを明確にする必要があると思う。「有意義」などという言葉は漠然としていて、主観によって意味が変わってきてしまうので、あまり適当とはいえないであろう。あえてその言葉を用いるのなら第三者がきいて誰もが共通の理解をもてるように説明を補足するべきではないか。
E-3 <60 野村  総一郎 防衛医科大学校精神科 第二十一 (第21の3)「有意義な成果が見込まれる」ことを条件としているが、今の段階では狭義の遺伝病を中心とした疾患研究にとどめた方が無難かもしれない。体質や性格、ストレス脆弱性のゲノム研究を無原則的に進めることには、どうしても差別や社会構造の不自然な変化に進む可能性を感じる。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 第二十一 各倫理委員会が研究の有意犠牲について判定することを本文に盛り込むことも考えて頂きたい。 研究の有意義生に関しては、第二十三第1項で倫理委員会による事前の審査を経なければならない「研究計画」に含まれるものであり、すでに原則本文の中に述べられております。
E-58 <50 安藤  寿康 慶應義塾大学文学部 第二十一 医学、生物学に限らない記述の仕方が望ましいように思われます。   わかりやすい例としてそれらがあげられているだけであり、解説文中にそういった分野にのみ限られるわけではない旨が明記されております。
E-10 <70 青野  修 自治医科大学 第二十一 (第21の2)人の尊厳に反する研究を実行した場合の罰則をどうするかについても触れておく必要があろう。 罰則等を定めることは、本基本原則の趣旨ではありません。罰則等に関しましては、現行の法律によって決まるものと考えられますが、必要によっては法律面での対応も考慮し、検討されるべきと考えております。  なお人クローン個体の産生に関しましては、法律による規制の方向で検討されております。
E-14 <70 匿名希望 川村学園女子大学 第二十一 (第21の2)例えば、「人クローン個体の産生」は特定の宗教団体(EX.サリンを作った頃のオウム真理教)とか、一種の独裁団(米ドルを偽造したという北朝鮮)とかで行われる可能性があるが、それはどう阻止できるか心配である。 
E-28       矢澤  幸平 三井製薬工業(株) 第二十一 詳細な計画立案をめんどうくさがる研究者が多いのではないか(スピード競争のために)。ならば、もっと具体的に最低限何と何は必須とする計画書見本を参考資料としてつけるべきではないか。 具体的な要件等に関しましては、別途国で定める指針によって示されることとなります。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十一 倫理委員会のはたらきが大きく述べられているが、倫理委員会の科学者・提供者間での中立性はどのようにまもられるのか。 遵守されるべき要件に関しては、第二十三で示されております。また、機関外部の人間を倫理委員会の構成員とすることを解説文中に明記いたしました。
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第二十一 人権の保護・尊重と研究の推進が鋭く対立していることに対してはっきりと表明しておくほうがよいのではないだろうか. 人の尊厳と対立する、ということを含めて負の面があることは、基本的考え方の中で述べられております。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 第二十一 人の尊厳を尊重し、これに反する研究は行ってはならないが、あらためて人の尊厳という曖昧な表現をより具体的な記述にして頂きたいと感じる。 いかなる研究が人の尊厳に反する研究であるかは、現実の研究の展開に対応して、わが国で統一的に定められるべきではありますが、当面は各倫理委員会の判断に委ねられることとなります。また、人の尊厳が尊重されるべき事は、個人の尊重を謳った憲法の規定からもあきらかであり、本文の記述が妥当であると考えます。 
E-42 <30 堀の内  渚子 学生 第二十一 もっともだと思います。人クローンなど産生するべきではありません。しかし、現に羊のクローンは産生されました。これを機にクローンを産生したところへ、自分の飼っていたペットが死んでしまったのでクローンをつくってくれとの連絡があったそうです。人間の欲望など、尽きるものではありません。私には容易に次のような状態が想像できます。「私の息子が事故にあい死んでしまった。息子のクローンを作ってくれ」これは、頼む親が悪いのでしょうか?それとも、こんなことまでも、現実になり得る世間になってしまったことが問題なのでしょうか?
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 第二十一 (21-2)人の尊厳とはすごく曖昧な表現であると思います。倫理委員会でさえも、その判断は非常に難しいと思います。遺伝子の研究自体が、いつでも人の尊厳に反する行為と隣合せな状況で行なわれているのではないでしょうか。この研究が進めば進むほど、人の尊厳を優先させるか、それとも現段階では人の尊厳に反しているかもしれないが、すぐその先に大きな遺伝子学の発展をが見られる場合(その発展によって多くの命が救われるとわかっている場合など)、その研究を優先させることで、大きな決断を迫られることになるでしょう。その時、人の尊厳はどこまで守られるべきなのでしょうか。
E-47 <30 匿名希望 学生 第二十一 全体に対する意見としても書きましたが、ヒトゲノム研究事体は人の尊厳に反さないのでしょうか。 ヒトゲノム研究には負の面もあることに鑑み、尊厳に反することがないようにするために、本基本原則が定められました。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十一 2項目の中に基本的人権侵害禁止規定を明記すべきである。 第二十一の第1項及び2項の記述から、基本的人権が侵害されないことは明らかであると考えます。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 第二十三 倫理委員会のメンバーはある意味、研究者よりも多大な責任を背負わされることになる。しかしながら、学問に強い人々や、社会的に高い地位を持つ人々だけでなく、一般家庭の代表となるような人々もメンバーとしても迎えられるようにしてほしいと思います。そして常任のメンバーだけでなく、あらゆる問題に応じて、非常任のメンバーを交代制で採用するなど、柔軟に対応してほしいです。 倫理委員会の具体的構成に関しましては、別途国で定める指針によって示されることとなりますが、本基本原則解説文中にも、「機関外部の人間を登用する」旨を明記いたしました。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十三 (第23の1)すべての倫理委員会に裁判における陪審員制度に相当する一般市民からの公募による委員の部会を設けるべきである(これは、第27の促進にも貢献するものと確信する)。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第二十三 この倫理委員会もまた「必要に応じて議事録を公開しなければならない」と明記し、その責任の重大性を明らかにしておくべきです。 情報の公開に関しましては、原則公開であり、倫理委員会はその透明性を確保しなければならない旨が第二十三の解説に示されております。公開される情報の範囲等の具体的なことに関しましては、別途国で定める指針において検討されるべきであり、研究計画ごとに倫理委員会が判断するものと考えております。 
C-3       DNA問題研究会    第二十三 第二十三3には、「倫理委員会は、その組織および審査において、透明性が確保されていなければならない」と謳われていますが、その方法についての記載がまったくありません。提供者もしくはその家族等のプライバシー保護に支障が生じる部分のみを例外として、委員の名前も含めた議事録を公開すべきです。それができないのであれば、広範な遺伝子解析と試料採取を国の事業とすることはやめなくてはならないでしょう。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第二十三 委員会は公開を原則としてるが、固有名詞(提供者の)以外にすべて即日公開(各委員の氏名入りの意見)とすべきです。
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第二十三 第二十三で述べる倫理委員会の開かれた構成への配慮が必須である.また、倫理委員会の審査ですべてが終わるわけではない.倫理委員会の審査結果は批判の対象となることが明示されて、はじめて倫理審査の透明性を確保することの意味が生まれるし,倫理審査委員会も緊張を持って審査にあたることができる。
E-40 <20 石田  素子 学生 第二十三 3「透明性が確保」されることの内容として、裁判所同様“公開”が視野に入っているようだが、個人情報保護のためには公開は難しいと思われる。一方、倫理委員会内で秘密裡に処理すべき問題ではない。他に具体的にどのような手段を考えているのか提示してほしい。
E-43 <30 増田  藍 慶応大学 第二十三 倫理委員会の果たす役割は、このヒトゲノム研究においては重要なものであり、不可欠なものであると思います。どのような人物が、このメンバーになるかは、メンバーとしてふさわしいかどうかという審査をするなどの方法をとる必要があるのではないでしょうか。また、公開の際には、どうして、またどのようにして、これらのメンバーが選ばれたのか、ということを公表する必要があると思います。
E-45 <30 小川  春奈 慶応義塾大学文学部 第二十三 様々な判定委員会に関しては、その不透明さが指摘されていることから、倫理委員会のメンバーはもちろんそういうことがないように努めてもらいたいです。そして、判定に至るまでの様々な議論はその都度、国民全体に開示される必要があるでしょう。
E-46 <30 匿名希望 学生 第二十三 倫理委員会の構成について中立的第三者的な様々な分野の人を含むとあるが、具体的にどのようなメンバーで構成されるのか是非国民に公表してほしい。「その組織および審査において透明性が確保されていなければならない」透明性の確保とは、抽象的すぎるのではないか。例えば、審査を国民は傍聴できるのか、またその組織の長、またはメンバーの選出は国民の意志を反映させることは可能なのかなどを示してほしい。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第二十三 研究を進めるかどうかは国民に関わることなので、審査の経過も公表する必要があると思う。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十三 (第23の2)倫理委員会もまた、次の三原則を遵守してその組織の成り立ち及びその審査と活動のすべてを公開すべきである。  全面的な情報公開・情報開示 充分な理解、納得の得られる説明責任 完璧な個人情報保護 3項の中に「個人情報保護に必要な以外は、すべて公開」を明記すべきである。
A-4       日本癌治療学会    第二十三 倫理委員会が正常に機能しているかどうかのチェックする機構が必要である。 倫理委員会の実効性に関しましては、解説に次の文を加えました。「倫理委員会の審査や判断の実効性は、この透明性が保障され、社会がその審査と判断とを検証することによって、確保される。」  透明性の確保に関しましては、倫理委員会の構成員として外部の人間を含むこと、委員会の組織、手続規則、審査結果については原則として公開とし、審査の経過、議論の内容やその判断についても公正さと中立性を妨げない範囲で透明性を維持する等により、担保されるものと考えます。 
E-38 <40 土屋  貴志 大阪市立大学文学部助教授 第二十三 手引きの策定と同時に、実際にその基準が遵守されているか、各施設の倫理委員会に対する「査察」が欠かせません。せっかく基準を作っても実効性がないのでは、単なる画に描いた餅にすぎません。倫理委員会に対する査察をどのように行う予定なのか、また基準を満たさない倫理委員会をどのように処遇する方針なのか、お伺いしたいです。
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 第二十三 倫理委員の認定者は誰がするのか。監督する機関はどうするのか。明確にされていない。心配。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第二十三 この「倫理委員会」はどのレベルの倫理委員会なのでしょうか。「研究期間内の倫理委員会」だと思われますが、「第8」、「第14」、「第15」など、あるいは解説でも極めて重大な役割を担うにも関わらず、この倫理委員会の「位置付け、権限、構成」そして更に言えば「承認した研究(者)が提供者に重大な不利益を与えた場合の責任」に関してまったく曖昧です。  別に指針で定められるとあるので、それを期待することになりますが、国は関与しないでもよろしいのでしょうか。もっとはっきり言うと、「委員の氏名、所属、専門など」は公開されるとすべきです。機関内に責任を持つ委員会としてではなく、社会に対して責任を持つ委員会としてその条件をはっきりさせる時期に入っているのではないでしょうか。「ユネスコ宣言」では「国は監視する」(第12条)といわれますが、問題が生じた場合の責任問題をはっきりさせた指針がつくられるか、あるいはこの規定に関して「責任の所在」をはっきりとさせておくべきです。「独立で学際的かつ多元的な倫理委員会」では曖昧すぎます。 
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第二十三 倫理委員会は公選にしてはどうか。各研究施設で選ぶとすれば、都合のいい人を選んだと勘ぐられることもある。  現行では、多くの医師や管理職が院内の多くの委員を兼ねていたり、診療や治療に追われ多忙の中で業務をこなしています。十分な機能を果たすためのサイドからも考えていただきたい。
E-20 <60 堤  賢一 岩手大学農学部研究支援係 第二十三 この基本原則では「倫理委員会」の役割責任が非常に大きいものとなっています。審査する事項として、インフォームドコンセントおよびその手続の例外、既に提供試料の使用について、知るおよび知らないでいる権利行使の判断、さらに研究計画内容、有意義性の判断などがありますが、このような広範な事項を審査する「独立で学際的なかつ多元的」な倫理委員会を、各研究機関で整備することが可能でしょうかと感じを持ちました。
E-29 <40 匿名希望 富士レビオ  第二十三 ゲノム研究の範囲、規模、手法によっては、全ての機能がなくても十分に対応可能であるものもある。このような小規模な研究もヒトゲノム研究を推進することになると考えられる。すなわち、各施設における倫理委員会の判断が重要になるが、倫理委員会の判断の基準が曖昧であるように思われる。さらに、未知または既知感染症についても類似の研究形態を取るものと思われる。このような場合も同様な原則に従う必要があるのでしょうか。
E-35 <60 高橋  義人 京都大学大学院 第二十三 倫理委員会には、ヒトゲノム研究の危険性を心得ている人を入れること。
E-38 <40 土屋  貴志 大阪市立大学文学部助教授 第二十三 最終的判断が各施設の倫理委員会による審査に委ねられる事項がひじょうに多くなっています。しかし、その倫理委員会の設置基準、審査の手順や留意事項に関しては、実質的・具体的な指針がなんら示されていません。  第二十三の1にある「独立で学際的かつ多元的な倫理委員会」、同解説「中立的、第三者的で、さまざまな分野の人を含む」、第二十三の2「科学的観点からの評価と共に、倫理的、法的および社会的観点を中心に、総合的に研究実施の可否の審査を行う」、同3「透明性が確保されていなければならない」などの文言はいずれも抽象的すぎます。●委員会の規模は何人くらいが適当なのか●性別・専門(医学系か非医学系、基礎医学系か臨床医学系か、非医学系の専攻分野)・職階・外部の所属・マイノリティ(先天的障碍などに関わる研究の場合は障碍者を入れるなど)に関して、どのように委員を構成すればいいのか●研究に利害関係のある委員の取扱いはどうするのか●インフォームド・コンセントの内容をどう審査し、どのようなインフォームド・コンセントなら良いとするのか●審議の公開はどのように、どの程度にすべきなのかなどに関して基準を明示した具体的な手引き(ガイドライン)が早急に必要になると考えますが、策定作業をどのように進めているのかお伺いします。  
E-41 <50 匿名希望 学生 第二十三 2.(人の尊厳に反する研究は行ってはならない)、3.(有意義な成果が見込まれるものでなければならない)の有意義性及び4.(研究計画)と、判断は全て倫理委員会に委ねられています。その倫理委員会に第23で定められていますが、解説によると(今後・・・早急に各研究機関で整備される必要がある)由。重要な判断が委ねられている倫理委員会が果たしてきちんと整備されるのか。倫理委員会の(透明性)はいかに確保されるのか。これでは何の保障もなく、不安の限りです。
E-52 <30 匿名希望 慶應義塾大学 第二十三 全体に関する意見で述べましたが、解説にもある通り、倫理委員会の整備は必要であると思います。また、さまざまな方面の人を含むことは重要だと思いますが、委員会の中で意見が分かれ,結論が出しにくくなった場合はどのような対応をとるのでしょうか。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十三 各種倫理委員会の全国的な、総体的な組織体制を法制化すべきである。 最終的判断は司法機関の決定に待たなければならないが、第26の規定を促進するためにも、提供者の不服申し立て、救済申し立てなどに迅速に対応するためにも、倫理委員会に立ち入り調査権を含む監査権、監察権及び司法機関の決定が出るまでの暫定的な処置権などの強力な権限を付与すべきである。それに必要な法制度の制定をはかるべきである。
A-4       日本癌治療学会    第二十三 2の次に3として以下の文章を挿入されるべきです。「倫理委員会は、上記研究の期間中それが計画通り適正に行われているか否か、適宜審査を行う」
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第二十三 倫理委員会の機能は、事前審査のみに限定されるべきではなく、試験の進捗、終了報告、試料の廃棄等の試料管理・個人情報管理が適切に実施されているか監督する機能も必要と考える。
E-71 >70 工藤  照夫 現在所属なし 第二十三 研究に対して、倫理審査を行うということが一般的風潮であるが、この「倫理」というのは、なにを根拠にしているのか。どのような倫理観を基礎として審査されるのか?どのような特定の宗教の倫理観を基礎としているのか?どのような倫理観でも古来、科学の進歩を阻害して来たことは歴史が物語っている。しかも倫理観というものは時代とともに変遷するもので絶対的なものではない。したがって研究計画を審査するということは多かれ少なかれ審査に当たる人の恣意的な考えに左右されるものと思われる。審査に当たる人を選考するに当たってどのような基準を適用しているのか?また、選考する側の人物をどのように選ぶのか、それすら不可解である。いずれにせよ、わたしは審査無用論を唱えるものである。科学者の自由に任せるべきである。 基本的考え方の中で述べられておりますように、ヒトゲノム研究やその成果は、人間の生命を操作することにつながり、他方で個人の遺伝的特徴に基づいて尊厳や人権が著しく損なわれる危険性を生むなど、大きな倫理的法的社会的問題を引き起こす可能性があります。そのために、こうした様々な問題に注意を払いながら、社会の理解のもとに進めていかなければならず、一定の制限を設けることにいたしました。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第二十三 こうしたいわば外部評価を含むものが必ずしも根付いていない点は今後の対応が望まれる 本基本原則に基づいて、体制が整備されていくものと考えます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十三 賛成である。1、独立で学際的かつ多元的な倫理委員会については、そのはたらきに大きく期待している。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学助教授 第二十三 (「1」について)「独立で学際的かつ多元的な倫理委員会」の「多元的」の意味が不明である。 第二十三の解説にある、「さまざまな分野の人により構成される」ということを指しております。
E-13 <60 船井  洋子 大阪府立成人病センター 第二十四 社会的理解がなくては、ヒトゲノム研究は進まないのは明らかであるが、遺伝子検査で疫病の原因や治療方針が決まるものがある反面、それだけでは疫病と結びつかないものもある。「遺伝子がどういう状況で発現するのか」ということは、あまりにも知られていない。「正確な知識」をどのように知らせて、理解してもらえるか、どういう選択権があるかという点を、メリット・デメリット・不明な点を明示し、協力し合って研究段階がつぶさにみれるよう科学技術庁として責任を持って今後すすめてもらいたい。 本基本原則に示された考え方に基づき、国や各研究機関等において研究情報の公開、社会の理解の増進についての努力が行われるよう配慮されるべきと考えます。 
E-35 <60 高橋  義人 京都大学大学院 第二十四 (3について)研究の折目折目で関係学会やプレスに公開すること。記者会員は特に重要である。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十四 インターネットや一部の知識人からの意見だけではなく、もっと広く意見を募集して欲しい。一部の国民からの意見だけをもって、社会の理解を得られたと誤認することのないよう、徹底して注意をお願いしたいと思う。
E-57 <30    匿名希望 慶応義塾大学 第二十四 ヒトゲノム研究に関わる者は、そうした社会の理解と認識を増進するために、ヒトゲノム研究全般にわたって社会に十分な説明を行う一般的責任がある。特に研究より解明されたことがらが世の中で発表されるより前に社会一般に対しての徹底的な説明が行われることが必要不可欠。まっさらな状態からの説明、教育が望ましい。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十四 ヒトゲノムの研究もまた  全面的な情報公開・情報開示 充分な理解、納得の得られる説明責任 完璧な個人情報保護の三原則を遵守して、その全過程において透明性、公開性を確保すべきである。
E-69 <70 匿名希望 無職 第二十四 ヒトゲノム研究は今後人類にとって重要な研究と思うが、臓器提供のように一般化した概念として社会に受け入られていないので、社会の理解を得るためのPRが必要と思う。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第二十四 第24の1で「・・・貢献するものである」と断言されておりますが、この表現は不適切です。ここで言われる事柄は「ヒトゲノム研究」のすべてに当てはまる事実命題ではありません。ですから、第5ではっきりさせるべきだという意見を述べた次第です。そして「ヒトゲノム研究」の「あるべきあり方を規定する規範命題」(「・・・あるべきである。」)で表現されるのでなければ正しくありません。そしてこの「あるべきあり方」についてももっと強調されるべきでしょう。すべての「ヒトゲノム研究」を認めるわけではないということもはっきりさせるべきです。 本項目は、ヒトゲノム研究が社会に貢献する面があることが社会に理解されるべきであることを示したものです。ヒトゲノム研究に負の面があることは、「基本的考え方」や「第三」に述べられています。 
A-8       日本組織培養学会    第二十四 「大きく貢献する」の後に「可能性があるとともに、倫理的配慮を欠いた場合には、大きな危険性を含む」を追加。「人類および個人の生命と健康ならびに社会の福祉への貢献」という標語があまりにも前面に出ているように思われる.ほぼすべての科学技術の成果が利用方途によって善悪どちらにも加担するものである.例えば、人種、形質特異的に感染する病原微生物の開発などは古くから取りざたされている.例えばエイズに感染しにくい体質の研究などは倫理的2面性を有する。「公共性のある」バンクは研究支援に重要であると同時に、ヒト試料を用いた研究に際しての倫理的配慮を保証する社会インフラとして機能すると考えられる。
C-2       医療改善ネットワーク    第二十四 第1項は、「ヒトゲノム研究が人類・・・に大きく貢献しているものである」として、ゲノム研究の有用性を明記しているが、有用か否かについては議論の余地も有るだろう。「貢献するものでなければならない」なら理解できるが、有用性を基本原則で断言している本条項は極めて唐突な印象を与える。第2項についても同様である。社会はゲノム研究の有用性を認めるべき、といわれているような印象がある。個人の自由な同意不同意決定の妨げになりはしないか。基本原則としては、研究者が社会への説明責任を負う(第3項)ことを端的に述べれば十分であろう。
E-41 <50 匿名希望 学生 第二十四 2で社会のヒトゲノム研究の支援が求められているは解せません。3で言われている(ヒトゲノム研究全般に亘って)の十分な説明が、これまで社会に対してなされたことがあったでしょうか?しかも、ヒトゲノム研究からどのような事態が波及的に起こるのかは未知の部分が多いのです。そのことに対する謙虚さをもたずに、研究の進展への支援を求める姿勢に、科学者、科学技術者の無知と傲慢が現われています。もし、そのことに気づいていないのであれば、それこそが最大の問題です。
E-11 <60 伯水  英夫 第一製薬  代謝分析研究所 第二十四 4.各個人のゲノム情報が、各個人に与える影響の大きさを十分に理解し、深刻な影響が出たときは、それを受けとめる社会制度(カウンセリング)の充実を計る。 第2章、第4章などで既に趣旨が盛り込まれています。
E-32 <50 匿名希望 製薬企業 第二十四 2.「研究の進展」は、「人類の健康」に変更すべき。 研究の進展が人類の健康につながるということが理解され、研究の進展を支援することが必要であると考えます。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第二十四 (第24「1」について)この文は、事実を述べた「である」文としか読めず、語尾を「でなくてはならない」と変更して、研究を制約する文にすべきである。 第3章でその趣旨が述べられています。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第二十四 2.:『基本的考え方・5.』でも述べている様に、”・・・という形で、社会から支援されるよう医師・研究者は努力しなければならない”ということになると思います。 研究者の責任については、第3項で示してあります。
C-1       財団法人岩手生物工学研究センター 副理事長兼センター所長  江井  仁 第二十五 第四章第25  1.ヒトゲノム研究によって得られた生物学上、遺伝学上、医学上の成果は、社会に還元されなくてはらなず、公開されることを原則とするべき。ヒトゲノム研究は、人類及び個人の生命と健康並びに社会の福祉に貢献するものであるから、人類の共通の財産であり、知的所有権を全面的に認めるべきではないと思う。 知的所有権の範囲や権利者について、とくに提供者が知的所有権に対してどのような地位が認められるかは、この基本原則で定めるものではなく、別途検討されるべき問題と考えます。また研究結果が知的所有権として認められるか否かは、一定の基準に基づいて特許庁で審査されるものです。成果の公開については、「第二十一」に以下の項を追加しました。「研究の結果得られたヒトゲノム塩基配列情報は、公開されなければならない。」 
E-53 <50 山本  由美子 くまもと健康友の会 第二十五 では目的をはっきりさせた研究、社会に役立てることは必要。 お金で命が買える世の中であるが、ますます激化されて競争になっていく、治療の独占が心配。意義は理想である。苦痛の除去は永遠のテーマ
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十五 ヒトゲノムの研究は、人類及び個人の生命と健康に関わる問題であるから、知的財産権、知的所有権をはるかに越える問題である。企業秘密や財産権、所有権を盾にとっての情報公開・非開示など認められるものではない。
A-4       日本癌治療学会    第二十五 ヒトゲノム研究において、その研究成果の知的所有権に対するいま少し明確な見解を基本原則に盛り込む必要がある。特許権や工業権などの設定が、ヒトゲノム研究では競われていて、生命倫理上の問題を惹起する可能性が大きい。
E-5 <50 小林  正人 山形県農業研究研修センター 第二十五 成果の公表は積極的に進めてほしい。とりわけ、一般国民に対しては、進捗状況を定期的に公開し、その際マスメディアと協力してわかりやすく、広く知らせる工夫が大切である。 国、研究者等が、本基本原則に基づいて、研究成果の公開を行うべきであると考えます。その際、国は、国際的な整合性についても配慮をしていくべきと考えます。なお、ヒトゲノム塩基配列情報については、公開されるべき旨が政府により示されています。「第二十一」に以下の項を追加しました。「研究の結果得られたヒトゲノム塩基配列情報は、公開されなければならない。」
E-36 <50 赤司  秀明 日本学際会議 第二十五 第25の指摘の通り、ヒトゲノム研究の成果は、万人に活用できるように公開されることが、原則として必要と考えられます。特許の扱い方に関して、国際的にももう少し明確なルールを提案されてはいかがでしょうか。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十五 研究途上で誤った結論を公開することのないように、非開示の時間を適切に設けて公開して欲しい。ただ、病気の治療・予防に役立つと考えられる情報に関しては、当該学会などでの発表をその研究途上においてより、行って欲しい。
E-23       増井  徹 日本組織培養学会 第二十五 知的所有権の問題は、現実には複雑に絡んだ権利関係が、知的財産を医療福祉へ利用することを妨げている事例がある.日本国内の係争については、国が公益の立場から適切に対処することが強く求められる(実例としてエリスロポイエチン).これは、ゲノム研究の枠を越えているが、この基本方針で論じられている研究の性質から考えると、研究成果の社会への還元については研究推進におけると同様に国家の責任を明確に述べる必要があるように考える.
A-9       家族性腫瘍研究会    第二十五 1項では、解説にあるように、知的所有権はともかくとして個人の情報の公開までは意味しないとある。しかし、珍しい疾患の遺伝子解析研究などでは家系図を提示しただけで個人を特定できてしまう場合もあり、情報の公開には慎重さが求められる。公開原則は大切であるが、「個人のプライバシーに十分配慮した上で」といったような条件をも付記すべきではないか?  研究情報の公開にあたっては、「第十一」および「第十二」に基づいて提供者等の個人情報の保護がなされるべきと考えます。
C-6       つばさの会代表    第二十五 3.に関する意見  社会に対して十分な説明を行う一般的責任を遂行することは必要であるが、提供者や血縁者、家族などが特定されることなく、また不利益が生じない様、十分配慮することが重要である。  (第二十四も同旨)
E-31 <50 匿名希望 日本ロシュ(株) 第二十五 “個人に関する情報が特定されない形で”公開されることを原則とする。を追加。
C-3       DNA問題研究会    第二十五 一般的にいって民間企業は自社の利益を最優先するため、情報の公開にも消極的にならざるを得ませんが、ここで謳われている「社会に還元」や「公開」がどの程度までのことを意味するのか、基本原則が「憲法的文書」ならば、はっきりと示すべきです。 本基本原則においては、研究成果の公開の原則を示しています。解説において一定の考え方を示し、具体的な手続きについては、指針や各機関の研究実施規定等に盛り込まれていくべきと考えます。成果の公開については、「第二十一」に以下の項を追加しました。「研究の結果得られたヒトゲノム塩基配列情報は、公開されなければならない。」
A-9       家族性腫瘍研究会    第二十五 2項では、「人々の健康の改善、苦痛の除去、ならびに疾病の予防および治療のため」というのはわかるが、「科学の進歩」のために用いられなければならないとはどういう意味か?「科学の進歩」のためならよい、と解釈されることは危険ではないかと思われるので検討してほしい。 ヒトゲノム研究の成果は、基礎科学研究に利用されることもあり、結果として健康の改善や疾病の治療に反映されるものと考えます。
E-1 <70 沖垣  達 染色体学会 第二十六 倫理的、社会的、法的に反する研究が行われようとする際に、「適切かつ迅速な判断と対応」だけで十分であろうか。罰則などは別途作るのであろか。 本基本原則に示された事項は、賠償などについては民法などの現行法に基づいて適切な対応がなされる事になります。指針の策定の際には実効性についての配慮がなされるとともに、個人情報の保護などの重要な点は、必要に応じて現在進められている個人情報保護に関する立法の検討などにより、担保することも考慮されるべきと考えます。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十六 とくに提供者の立場を守るために、賠償基準などをさだめた新法を早いうちに制定して欲しい。
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    第二十六 誰を制約している文なのかをはっきりさせるべきです。特に第26では誰が「様々な倫理適法的社会的問題について」「全般的で適切勝迅速な判断と対応」を図らねばならないのでしょうか。 「適切かつ迅速な判断と対応」は、国、地方公共団体、各研究機関など、ヒトゲノム研究に関わる全ての主体において行われるべきもので、特定の主体に限定されるものではないと考えます。なお、解説にあるように、国はその中心となって対応を行うべきものであると考えます。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 第二十六 誰が「さまざまな倫理的法的社会問題について」「全般的で適切かつ迅速な判断と対応が図」らな「ければならない」のか明記すべきである。
E-39 <60 白井  泰子 国立精神・神経センター 第二十六 ここで述べられている、“全般的で適切かつ迅速な判断と対応”を行う主体は誰なのでしょうか。行動主体あるいは責任の所在を明らかにしないままでは、初めから此の項は空文化していると批判されても仕方ないと思います。
C-3       DNA問題研究会    第二十六(第四章全体) 第四章の全文、とりわけ第二四の各項目は、「ヒトゲノム研究」や「社会」を主語に するのではなく研究者や医師を主語にし、責任や義務は“研究する側”にある、という内容の文章に改めるべきです。 
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 第二十六 解説に記載されている遺伝カウンセリング制度の早急な整備について本文に盛り込んで頂きたいと感じる. 本文では全般的な対応が必要なことを示しており、個別の対応について記載することは適当でないと考えました。
C-5       骨形成不全友の会(事務局)    第二十七 当事者がもつ自己決定権を尊重し実行させるためには当事者に対しての教育は不可決。科学的な根拠や生活障害などのアピールは社会にも示され何よりも大切に守られていくことが大切。遺伝性疾患の家族歴をもつ当事者として現時代とともに次時代に伝える深刻な重さを背負っています。人類全体が多様であることを皆で確認することが大切であることは勿論ですが、それにもまして、自分の人生は自分で選択できる柔軟な背景や土壌が待たれます。 本基本原則に基づいて、様々な機会に教育の普及と情報の提供が行われるべきと考えます。 
E-40 <20 石田  素子 学生 第二十七 ヒトゲノム・生命倫理の教育の推進には是非とも力を入れてもらいたい。ただし、あまりにプラス面を前面に出した一方的なものとならないよう配慮してほしい。
E-44 <30 匿名希望 学生 第二十七 知識なしには、何の理解も判断も得られない。ヒトゲノム研究に対する真剣な態度を、特に倫理面から養っていく事が重要であると思う。なぜならヒトゲノム計画によって得られる情報が倫理に反する要素を内包しているからであり、それを避ける最後の頼みが、一人一人の内面化された倫理観念だと思うからである。技術を磨き、より正確な知識が得られるのは良い事だが、倫理あっての技術であってほしい。その一方で、倫理が科学の進展を邪魔する事があってもならない。そういう意味で倫理とは何かという事も明らかにされる必要があるのだと思う。倫理思想が、その人の中で力となった時、初めて科学とのバランスが生まれるのだろう。
E-55 <30 村上  美音子 学生 第二十七 教育の普及だけでなく、児童生徒からも直接意見が出せるような機会を積極的に作っていくことが重要である。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 第二十七 研究者、一般社会ともさらなる理解と認識が深まるように努力する必要がある。
E-59 <30 笠谷  圭吾 北海道大学理学部化学科 第二十七 ヒトゲノムは人に関わることなので、すべての国民が知る必要がある。そのため是非社会への説明と教育をして欲しい。
A-8       日本組織培養学会    第二十七 「教育の普及」の前に「多面的研究と」を追加。ゲノム研究を含む倫理問題の整備は国家的課題である.例えば、クローン人間作成の話もドーリーの報告があるまでは夢物語であった.将来ゲノム分野だけに限ってみてもどのような倫理問題等が検討する必要が出てくるか予測はできない.そのような近未来のために、多様な視点から倫理問題を研究する人材の養成を計る必要性を本基本原則に盛り込むことが重要であると考える.科学技術基本法の様に倫理問題の整備はインフラの整備に属し、予算措置についても積極的に述べる必要がある。さらに、専門家としての研究者、医師などの職業倫理の育成に関して、盛り込むべきであると考える。
A-9       家族性腫瘍研究会    第二十七 「ヒトゲノム研究ならびに生命倫理についての教育の普及」とあるが、これに「遺伝学、遺伝医学についての教育の普及」をぜひ追加してほしい。研究だけでなく、医療に根づいた学問の教育も必要と思われる。
A-11       日本解剖学会    第二十七 一般に対する教育について述べられているが、データを扱う側である医師や看護婦などの教育がまず必要である。現状では、一般の医師が患者に対し、遺伝情報を的確に伝え、正しい助言ができるとは思われない。わが国の医学部、医科大学では遺伝学教育が極めて不十分であり、根本的な対策が必要である。こうした点にも触れた方がよいのではないかと思います。
E-26 <70 北野  元生 鹿児島大学歯学部教授 第二十七 本基本原則(案)が最終的に決定されたら、厚生省関連機関のみならず、(文部省管轄下の)全国大学、医科大学、歯科大学、およびそれらのの附属病院などにも、通知(通達?)をしていただきたく、とくにお願い申し上げます。各大学とも、遺伝子関連の研究を行う指針が明確化されていない状態で、右往左往しております。本案は、広く知らせていただければ、本当に助かります。 本基本原則は、ヒトゲノム研究を実施している研究機関に広く通知するとともに、インターネット、冊子の配布等を通じて社会一般にも広く周知することとします。
E-56 <30 匿名希望 慶應義塾大学文学部 第二十七 生命科学の教育の普及とあるが、提供者に対しては任意で、生命科学(遺伝子についての基礎など)についての講義を受けられたり、わかりやすい小冊子を配布するのが望ましいのではないだろうか。遺伝子情報提供がきっかけで生命科学に興味を抱く者も多いと思う。また、学校単位でも集団提供など(もちろん強制ではない)の際には、簡単な講演会などを同時に開いたりすれば教育効果も大きいし、まとまった提供があり、一石二鳥だと思う。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 第二十七 国民の教育権と国の義務を法律で明記制定すべきである。 国民の教育権は、憲法等の現行の法令にも記述があり、その運用にも本基本原則の趣旨が生かされることが必要であると考えます。
E-21    森崎  隆幸 国立循環器病センター 附則 非常に進歩がはやく、この項は妥当である。 ヒトゲノム研究の進展や社会情勢の変化を受けて、本基本原則については、適宜検討が行われるべきであり、具体的な時期を明示する性質のものではないと考えます。解説において、3から5年で再検討が必要であるとの指摘を明記しました。その際に必要に応じて改訂が行われることになります。 
A-5       日本医学哲学・倫理委員会    附則 見通しの時期が「適切な時期」とされておりますが、明示すべきです。遅くとも3年後には見直すべきでしょう。
C-6       つばさの会代表    附則   ヒトゲノム研究は今後も急速に進展することは誰もが確証していることと思われる。  現在世界的に見ても、技術の進歩に、法の整備が追いついておらず、倫理面で大きな問題を抱えている国も多い。  “適切な時期”では後手に回る可能性が高く、先手を打つためにも、1〜2年に1回、この分野に明るい委員による検討を行い、場合によっては見直す必要があるのではないだろうか。  また、さらに早急に検討すべき事象が生じた場合に、緊急に委員会を招集するなどの規定もあった方が良いと思われる。
E-37    尾崎  恭一 関東学園大学 附則 見通しの時期が、単に「適切な時期」とされるだけで明示されていない。遅くとも三年後に見直すべきであろう。
E-55 <30 村上  美音子 学生 附則 「適切な時期」とはどれくらいの期間を以って言うのか。改定の時期を予めきちんと区切って決めるべきである。
E-66 <70 川島  喜代彦 無職 附則 この「基本原則」は、国際的な潮流も踏まえて、当分の間、毎年度ごとに見直しをしていただきたいし、当分の間、毎年度全国的な意見公募を実施していただきたい。
A-4       日本癌治療学会    附則 付則の運用は慎重であって欲しいが、我が国の憲法の改正が極めて困難であるような原則にはなってほしくない。
E-33 <50 坪井  泉 マルホ株式会社/中央研究所 附則 見直しよりも改訂する方が良いと感じる.

更新日 00/06/21
名前 科学技術庁