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 クローン技術による人個体の産生等に関する
基本的考え方 



平成11年11月17日
科学技術会議生命倫理委員会
クローン小委員会 

 目    次 

     はじめに

     第1章  クローン技術をめぐる最近の動向

      1.技術的動向

      2.各国の対応

      3.我が国におけるこれまでの対応

     第2章  クローン技術の有用性に関する評価

      1.人以外の細胞を用いる場合
        (1) クローン技術による動物個体の産生
        (2) 拒絶反応を起こしにくい臓器を持つ動物の産生

      2.人の細胞を用いる場合
        (1) クローン技術によるヒト胚の作成及び人個体の産生
        (2) 細胞培養
        (3) 胚性幹細胞の取り扱い
        (4) 胚移植を伴う移植用クローン臓器の作成

     第3章  規制に関する検討

       1.クローン技術の人個体の産生への適用
        (1) 科学的意味と問題点
        (2) クローン技術の人個体産生への適用についての規制
        (3) 人クローン胚についての規制
        (4) 研究の自由との関係
        (5) 国際的な協調
        (6) 規制の対象
        (7) 規制の形態

      2.細胞培養技術の適用

      3.クローン技術の人以外の動物の個体を産生する目的のための適用

      4.クローン技術以外の生命関係技術

     第4章  情報公開

     (参考)用語の定義




はじめに
   
   
  近年の生命に関する科学技術の発展は目覚ましい一方、こうした科学技術の進歩に伴い、これら科学技術と人間・社会との接点も拡大しつつあり、いわゆる生命倫理の問題が、国内的にも、また、国際的にも大きな課題となってきている。  
  特に、クローン技術については、平成9年2月に英国において、核移植の技術を用いて、羊の成体の体細胞に由来する核を持つ子羊の誕生が報告されて以来、世界各国で、動物を用いたクローン個体産生に関する研究が進んでいる。同年7月には遺伝子組み換え技術とクローン技術の組み合わせにより、人の血液凝固因子関連遺伝子を組み込んだ羊の産生に成功し、その後も、ウシ、マウスの体細胞クローンが誕生するなど、世界各国において、クローン技術に関する研究が推進されている。  
  しかし、一方では、平成10年2月には、米国の研究者が体細胞の核移植による人の個体の産生を計画中であるとの報道がなされ、同年12月には韓国において、人の体細胞クローン胚を作成したとの発表がなされる等、世界的にクローン技術の人個体産生への適用の可能性及びその実施の是非について種々の観点からの議論が起こっている。  
  本報告書は、こうした状況に鑑み、生命倫理委員会からの附託を受けて、クローン技術の現状と展望を総覧し、かつ、これまでの我が国及び世界各国の本問題に関する議論や取組みの内容を吟味するとともに、広く一般の意見を聴取し、本委員会で検討された考え方についての生命倫理委員会の議論も踏まえた上で、我が国として採るべき考え方と方策についてとりまとめたものである。  



第1章  クローン技術をめぐる最近の動向
   
1.技術的動向 
   
  平成9年2月28日付の英国の科学雑誌に、英国ロスリン研究所の研究グループが、成体の乳腺細胞からの核移植によるクローン羊の産生に成功したとの成果が発表された。同研究は、雌の羊の成体の乳腺細胞の核を、別の雌の羊から得た、核を取り除いた未受精卵に移植し、さらに別の雌の羊の子宮に戻して、発生、誕生させたものである。この成体の体細胞核を元にしたクローン羊は、ドリーと名付けられたが、体細胞を提供した個体と同じ遺伝子を持った複製個体という性格を有するとともに、ほ乳類において初めての成体の体細胞を元に産生されたクローン個体であるという点で、世界的な注目を浴びることとなった。  
  成体や胎児(仔)の体細胞を元にしたクローン個体(体細胞クローン個体)の産生に関する研究は、すでに40年以上の歴史を有している両生類の核移植による発生・分化に関する生物学研究から発展してきたものであり、英国のJ.B.ガードンらがアフリカツメガエルのおたまじゃくしの腸上皮細胞を使った核移植によるクローン個体の産生に成功している。  
  クローン技術は、近年では、優良家畜の作出・増殖を目指して、同一の遺伝子を有する家畜、即ち、一卵性多子の効率的生産やあらかじめ能力のわかっている成体からのクローン家畜の生産を目的として開発が進められてきた。  
  ほ乳類における初期胚の細胞核の核移植によるクローンの成功例は、昭和58年に初めてマウスで報告され(米国)、ついで、昭和61年に羊(英国)、昭和62年に牛(米国)で報告され、我が国においても、平成2年以降、既に、500例近くの牛クローン個体が生産されている。これらの成功例は、いずれも発生初期段階の胚の細胞の核移植によるものである。  
  ほ乳類においては、初期胚以外の体細胞由来のクローンは、発生に伴う細胞分裂が途中で停止するなどの諸問題により困難であった。前述のドリーの場合は、貧栄養状態での培養という手法を用いて核移植後の細胞分裂を同期させ、出産にまで至ったとされている。以来、平成9年10月にはマウス、我が国においても平成10年7月にウシにおいて、同様の手法を用いて、体細胞クローン個体の産生の成功が発表されている。  
  体細胞クローン個体の産生手法は、表現形質が既知の個体と同じ遺伝子を有する複数の個体の産生を可能にするという点で、初期胚細胞核を用いた産生手法とは一線を画するものである。  
   
2.各国の対応 

  今般のクローン羊の誕生を契機として、欧米を始めとした各国及び国際機関において、クローン技術の人への適用の規制について種々の検討が行われた。  
  米国においては、まず、平成9年2月24日、クリントン大統領から国家生命倫理諮問委員会に対し、90日以内の検討が要請されるとともに、3月4日に、人のクローン産生に関する連邦資金の支給を当面禁止する大統領令が発せられた。同年6月7日には同委員会が、現時点では安全性に問題があることを主な理由として、体細胞核移植を伴う人クローン個体の産生については禁止されるべきであるとの答申を出し、これに基づき、同9日には、クリントン大統領は、議会に対し、  
1  公的機関か民間機関を問わず、体細胞の核を用いて胚を作成し、それを母体に戻すことで子供を産み出すことを罰則を伴う形で禁止する、  
2  細胞中のDNAのクローン研究や動物のクローン研究は禁止しない、 
3  法律は、5年後に見直しを行うこととし、国家倫理諮問委員会は、引き続き本件につ    いて検討し、4年半後に報告を行う、 
ことを主な内容とする法律案を示した。また、同大統領提案に基づく法律案のほかにも、人の体細胞の核移植技術を用いることを永久に禁止すること等を内容とする法案等も議会に提出された。平成10年10月これら法案は議会の会期終了に伴い廃案となったが、本年の議会においても体細胞核移植等を行う研究に対する連邦助成を禁止する法案等が2本提出されている。  
  一方、西欧諸国の多くは、従来より生殖医療・医学関連の国内法において、ヒト胚の取り扱いに関する規制を行っており、人のクローン個体の産生についても罰則を伴う形で禁止の措置が採られている。  
  フランスにおいては、平成9年2月27日にシラク大統領が、生命科学及び健康科学のための国家倫理諮問委員会にクローン技術の人への適用に関するレビューを行うことを指示した。同年4月24日には、同委員会から、生殖に男女の両性が関与し、かつ、偶然性が介在することにより各個人の唯一性が確保されることが、人間の尊厳保護の基本的要件であること、クローン技術により産生される人は道具化され、他者の目的のための手段として使われる可能性があり、こうした視点から人のクローン個体を人為的に産生することは倫理的に許されるものではないこと、人のクローン個体の産生については、既存の法律で禁止されていると解釈できること等の報告がなされた。  
  イギリスにおいては、平成9年2月27日に、ヒト遺伝学諮問委員会が、核移植によるヒト胚のクローンの作成が「人の受精と胚研究に関する法律」(1990年)における禁止対象に含まれることを確認した。次いで、同年3月20日には下院科学技術特別委員会が、同法律における、成体体細胞由来核の除核未受精卵への移植による人のクローン個体産生の位置づけを明確化するため、所要の改正を行うべきであるとする報告をまとめた。その後、平成10年12月に、ヒト遺伝学諮問委員会が、人クローン個体を産生しない一定の場合に限って医療のための人クローン胚の研究利用を認め、同法律を改正するべきとの報告を行った。本年11月現在のところ同法律の改正は行われていない。  
  欧州評議会においては、平成9年4月4日に、研究目的でのヒト胚の作成の禁止等を内容とする「人権と生物医学に関する条約」が調印(平成11年12月1日発効予定)された他、同条約の追加議定書として、平成10年1月12日に、遺伝的に同一の人間を作り出すことを目的とするあらゆるクローン技術の使用の禁止に関する「人権及び生物医学に関する条約追加議定書」が調印された。(未発効)  
  また、平成9年5月14日には、世界保健機関(WHO)が、遺伝情報が同じ生物を人工的に作り出すクローン技術に関し、人への応用は容認できないとする決議を採択した。  
  更に、平成9年6月22日には、デンバーサミット8ヶ国首脳宣言において、子孫をつくりだすことを目的に体細胞核の移植を行うことを禁止するために適切な国内措置及び緊密な国際協力が必要である旨の表明がなされた。  
  このほか、ユネスコにおいても、同年11月11日に「ヒトゲノムと人権に関する世界宣言」を採択し、人間の尊厳に反する許されざる行為として、人のクローン個体産生を例示している。  
  以上のように、体細胞由来の核移植によるクローン羊の誕生を契機として、人のクローン個体の産生については、少なくとも当面は、これを禁止することが世界的な趨勢となっている。  
   
3.我が国におけるこれまでの対応 
   
  我が国においては、クローン研究に関連して、まず、平成9年3月7日に、文部省の学術審議会が、科学研究費補助金について、人のクローン研究に関する課題の採択を当面差し控えることを決定した。続いて、同年3月21日、科学技術会議政策委員会が「ヒトのクローン研究に関する考え方について」を決定し、人のクローンに関する研究については、当面、政府資金の配分を差し控えることが適当であるとするとともに、国以外においても、当面、そのような研究を差し控えることを期待する旨表明した。これらを受けて、文部省が、同年3月26日に「ヒトのクローンに関する研究について」を大学等に通知したのを始め、科学技術庁、農林水産省、厚生省、通商産業省等も、関係研究機関に対する周知徹底を行った。しかしながら、このような人のクローン個体の産生に対する政府資金の配分の当面の停止は、安全面、倫理面等から議論を尽くすのに必要な時間的猶予を得るための措置という性格を有していた。  
  このため、科学技術会議は、引き続き、「ライフサイエンスに関する研究開発基本計画について」(平成8年6月24日付け内閣総理大臣諮問第24号)の審議においてクローン技術に関わる問題を採り上げ、平成9年7月28日に検討結果を答申としてとりまとめた。  
  同答申においては、クローン技術を用いた動物のクローン個体の産生や個体を産み出さない人の細胞の培養等については、「畜産、科学研究、希少種の保護、医薬品の製造等において大きな意義を有する一方で、人間の倫理の問題等に直接触れるものでないことから適宜推進することとすべき」とする一方で、クローン技術を用いた人の個体の産生については、「現在、我が国を含む多くの国において」「社会的に容認されていないと考えられ、さらには、人為的な手段により特定の遺伝的性質を持つヒト個体を選択的に産み出し、人間としての人格を作り出そうとする点等で人間の尊厳にかかわる種々の倫理的問題を内包していると考えられること、また、産生される生物個体にかかわる科学面、安全面等の基本的な知見も十分に蓄積されていないことから、これを実施しないこととすべきである」とし、政府資金の配分を差し控える等の「現行の決定を当面継続すると共に、法的規制の必要性等具体的方策については、生殖技術等の観点から議論を尽くしていくべきである」とした。  
  この答申は、そのまま「ライフサイエンスに関する研究開発基本計画」として、同年8月13日に内閣総理大臣決定されたが、同答申を受け、文部省においても、「大学等におけるクローン研究に関する考え方」を公表した。  
  科学技術会議は、更に、同基本計画において、「倫理的、社会的問題について、国としての姿勢を内外に示すべき場合もあり得ることに備え、情報の収集・分析・検討を積み重ねていくための適切な組織の在り方について、積極的に検討すべき」こととされていることを受け、平成9年9月25日、生命倫理に関わる課題について幅広く受け止め、広範な価値観を集約し、人文・社会的な観点をも含めた幅広い観点からの検討を行う常設の審議機関として、新たに生命倫理委員会を設置した。本クローン小委員会は、新設された生命倫理委員会が、クローン問題について専門的に検討を行うため、同委員会に平成10年1月13日設置したものである。  
  一方、クローン技術の人への適用には、個人あるいはその子孫の身体の安全に直接関わるという側面や、未知の可能性を追求する基礎研究としての側面があり、それぞれの観点からの科学的・専門的な検討も必要である。  
  このため、厚生省においては、厚生科学審議会に先端医療技術評価部会を置き、クローン問題を含む生殖医療技術の在り方に関する審議を行っている。 
  また、文部省の学術審議会においても、平成9年4月18日に「クローン研究における新たな倫理的問題等に関するワーキンググループ」を設置し、大学等におけるクローン研究の今後の在り方について、その規制の方策をも含めた検討を行い、平成10年7月3日に、大学等において、人クローン個体の作成を目的にする研究又はそのおそれのある研究、具体的にはヒト体細胞(受精卵、胚も含む)由来核の除核卵細胞への核移植を禁止し文部省の指針により示すことを内容とする報告を取りまとめた。これを受けて、同年8月31日文部省は「大学等における人クローン個体作成についての研究に関する指針」を告示した。  
  このように、クローン問題については、関係機関においてこれまで種々の議論がなされてきてはいるが、こうした関係機関における議論を集約し、我が国全体として、クローン技術に対してどのような対応を行っていくかについて、幅広く議論する必要がある。本報告は、こうした認識に基づき、クローン技術の科学的可能性を検証し、科学、哲学、宗教、法律等の種々の立場からクローン問題に対して我が国として採るべき考え方と方策について、その規制の在り方を含めて検討を行ったものである。その過程では、インターネット等を通じて得られた、平成10年6月の中間報告に対する国民、学会団体等からの意見や総理府によるクローンに関する有識者アンケート調査の結果等を反映させた。  
  なお、平成10年12月には、生命倫理委員会に、ヒト胚研究小委員会が設置され、ヒト胚性幹細胞の研究を始めとするヒト胚を対象とする研究に関する生命倫理の側面からの審議を開始した。  



第2章  クローン技術の有用性に関する評価
   
  クローン技術は、学術面、応用面の両方において、優れた形質を持つ畜産用、研究用動物の効率的生産等のために大きな意義を持つ画期的技術として評価されている。  
  一方、ほ乳類におけるクローン個体産生手法の進展、とりわけ、ドリーの産生の成功は、家畜の育種・改良上画期的な貢献をもたらす反面、その手法が人へと応用されれば、既に存在する人と同一の遺伝子を持つ新しい人個体の創造さえ可能であることを示唆している。クローン研究に係る最近の報告が、大きな社会的関心を呼び起こしたのもこのためである。  
  種々の分野におけるクローン技術の可能性については、空想的なものも含めて多く語られているが、本委員会としては、冷静にその技術的可能性などを元にして有用性について評価し、その上で、次章において規制の在り方について検討した。  
   
1.人以外の細胞を用いる場合 
   
(1)クローン技術による動物個体の産生 
   
  ほ乳類の体細胞クローン個体の産生の成功により、優れた能力を持つ畜産動物の増産や、特定遺伝子をノックアウトした疾患モデル動物等生物学の試験研究用に有用である遺伝的に均質な医学実験用動物の増産が可能となるとともに、遺伝子組換え技術との組み合わせにより特殊なタンパク成分を含む乳汁を多量に作り出す動物等を効率的に産生することが可能となる。また、絶滅直前の希少動物の増殖等にも応用できると考えられ、産業、研究の両面において、非常に高い有用性を持つと評価される。  
  加えて、体細胞が核移植の過程を経て、受精卵と同様な全能性を回復するという現象自体の解明を進めることにより、細胞周期調節の分子機構、胚・組織の細胞間の分裂同調機構、染色体構築の分子機構、細胞分裂回数の制限プログラムのリセットの機構等の様々な生命現象の理解が進むこととなることから、生物学の基礎的研究の推進にとっても寄与するところは大であると評価される。  
   
(2)拒絶反応を起こしにくい臓器を持つ動物の産生 
   
  現在、人体へ移植しても拒絶反応を起こしにくい臓器を持つ動物を作成する研究が世界的に精力的に進められている。このような技術は、近い将来技術的に可能となると考えられるが、人体への移植の段階については、動物中に存在する未知のウィルスあるいは病原体が人体に悪影響を及ぼす可能性が否定できず、また、移植を受ける側の拒絶反応についても十分な知見がないこと等に慎重な考慮が必要である。しかしながら、将来の可能性については引き続き十分な検討が必要である。  
   
2.人の細胞を用いる場合 
   
(1)クローン技術によるヒト胚の作成及び人個体の産生 
   
  人の体細胞の核を人又は動物の除核卵に移植したヒト胚(人クローン胚)を作成すること及びそれを母体に移植して人クローン個体を産み出すことについては、理論的には、人の発生過程におけるゲノムの修飾とその生物学的影響、寿命・形態等の決定要因、体細胞の細胞サイクルの初期化と生殖細胞の分化との関係等に関する研究や、移植医療及び生殖医療への応用等に用いることが考えられる。  
  しかし、人クローン個体の産生は、次章に示した人間の尊厳の侵害の観点から重大な問題がある。それに加え、現時点では、体細胞核移植を伴うクローン個体の産生は、動物においても研究段階にとどまっている。ヒトに適用した場合、正常な発生が行われるか、細胞の寿命に関連するといわれているテロメアが短いことによりどのような影響があるかなどについて十分な知見がない。また、仮に体細胞の遺伝子の損傷が存在する場合に未知の影響がある可能性も否定できないことから、産まれてくる子供の正常な成長が保証されるだけの十分な知見が存在しない。このため、人クローン個体の産生は、実用的な技術とは考えられず、敢えて実施するだけの有用性はないと評価される。    
  人クローン個体を産生しない人クローン胚の研究については、体細胞の提供者と遺伝子が同一であるという特性から拒絶反応のない移植医療などに利用される可能性があり、有用性が認められる余地があるが、ヒト胚の操作につながるという問題があることに加えて、現時点では、人以外の動物細胞を用いることにより必要な研究が実行可能であることから、人の細胞を用いて行うことについては、さらに慎重な検討が必要である。  
   
(2)細胞培養 
   
  単一細胞由来の細胞を増殖させる細胞培養を行う際には、培養細胞はその元となった細胞のクローンといえる。しかしながら、細胞培養技術は、現時点では人個体を産み出さないことから生命の誕生に関する倫理的問題は生じない。これに加えて、同一の遺伝子を持つ細胞や組織の利用が可能になることから、均質な研究材料の確保等の種々の科学的研究での有用性が認められ、また、今後、安全性の確認に慎重な検討が必要であるものの、細胞培養技術を用いた移植用細胞や移植用組織の作成等の医学的可能性も認められることから、細胞培養技術は、有用性があると評価される。  
   
(3)胚性幹細胞の取り扱い 
   
  胚性幹細胞は、いずれの種類の細胞にもなりうるという意味で全能性を有するものであり、平成10年11月に米国において初めてヒト胚性幹細胞が細胞系として確立されたとの報告がなされた。ヒト胚性幹細胞を適切に培養して適度に分化させれば、均質な研究用材料の確保、移植治療用の細胞や組織の作成に活用できることから、ヒト胚性幹細胞の研究は、上記と同様、有用性があると評価される。現在のところ、胚性幹細胞からは、核移植や胚移植を行わない限りは、ヒト胚や人の個体が産み出されることはないが、その作成の過程においてヒト胚又は死亡胎児組織を使用するため、ヒト胚の研究利用という観点から生命倫理上の問題が生じることから、その作成・使用に関しては、ヒト胚研究小委員会等で十分な技術的、倫理的検討を行うことが必要である。  
  なお、ヒト胚性幹細胞を他の発生途上の動物の胚に導入するなどして、人と動物のキメラ胚(2個以上の胚由来の細胞が混在した胚)を得て、そのような胚を母体に移植して人と動物のキメラ個体(キメラ胚に由来する個体)を産み出すことも理論的には考えられる。人と動物のキメラ個体の産生については、人間の尊厳や安全性の面で種々の問題を生じるものであり、人以外の動物により必要な研究が十分実行可能であることから有用性はないと評価される。  
   
(4)胚移植を伴う移植用クローン臓器の作成 
   
  また、人個体を産み出すことが不可能となるように(人の特定の臓器のみを発生するように)細胞の核の遺伝物質を改変し、当該細胞核の核移植により胚を産み出し、その母体への移植を通じて特定の移植用クローン臓器を作成することも理論的に考えられる。しかし、現時点では、母体への胚移植により人の個体を産み出さずに特定の個別臓器のみを産生することは技術的に可能性がないため、これらの技術を用いて移植用クローン臓器の作成を試みることは、人間の尊厳の問題と深い関連を生じざるを得ない状況にあり、敢えて実施するだけの有用性はないと評価される。  


第3章  規制に関する検討
   
1.クローン技術の人個体産生等への適用 
   
(1)科学的意味と問題点 
   
  人個体の産生にクローン技術を適用することは、科学的視点からは、次のような意味を持つものと考えられる。 
○  受精という男女両性の関与が無くても子孫を産み出せる無性生殖の途を開くものであること  
○  この場合、配偶子形成過程で起こる染色体組換えや受精の過程で起こる精子と卵の遺伝子の混合が起こらず、遺伝子が体細胞の提供者と同一となること  
○  その結果、成長過程での環境要因の作用による違いは生じるものの、産み出される人の表現形質が相当程度予見可能であること  
○  更に、予め表現形質が相当程度予見可能であることから、特定の表現形質を持つ人を意図的に複数産み出すことが可能であること  
   
  このように、人のクローン個体の産生は、従来の人の生殖が、先端医療技術を用いる場合を含め、全て有性生殖の過程を経て行われてきたのに対して、意図的に遺伝的に同じ個体を産み出せるものであるという点で、これまでと全く異なる人の生命誕生の在り方を開くものであり、その特徴を踏まえて、適切な対処が必要である。  
  また、前述の通り、体細胞由来の核を用いるクローン個体の産生技術は、動物においても研究段階にある。現状では、この技術を人間に応用した場合、正常に発生し成長するか、テロメアの短縮により寿命が通常の受精による個体と違いがあるか等について十分な知見がない。  
   
1  人間の尊厳の侵害  
  クローン技術の人個体の産生への適用については、以下のように、人間の尊厳の確保の観点から問題がある。  
   
○  動植物の育種と同様、クローン技術の特色である予見可能性を用いて、特定の目的の達成のために、特定の性質を持った人を意図的に作り出そうとすること(人間の育種)や、また、人間を特定の目的の達成のための手段、道具と見なすこと(人間の手段化・道具化)に道を開くものであること  
○  人クローン個体に固有の問題として、既に存在する特定の個人の遺伝子が複製された人を産生することにより、体細胞の提供者とは別人格を有するにもかかわらず常にその人との関係が意識され、実際に生まれてきた子供や体細胞の提供者に対する人権の侵害が現実化・明白化すること  
社会的な観点からは、上記2点の問題を容認することは、人間の個人としての自由な意志や生存が尊重されている状態とは言えず、すべての国民は個人として尊重されるという憲法上の理念に著しく反することとなる(個人の尊重の侵害)。  
   
○  遺伝子が予め決定されている無性生殖であり、受精という男女両性の関わり合いの中、子供の遺伝子が偶然的に定められるという、人間の命の創造に関する基本認識から著しく逸脱するものであり(人間の生殖に関する基本認識からの大きな逸脱)、かつ、親子関係等の家族秩序の混乱が予想されること  
   
  このように、クローン技術を、医療以外の目的に便宜的に用いる場合はもちろんのこと、生殖医療に使用し得る技術と捉えた場合であっても、その人個体の産生への適用は、人間の育種、手段化・道具化との側面を否定し得ない上、個人の尊重及び人間の生殖に関する基本認識をも大きく侵すものである。  
   
2  安全性の問題 
   
  クローン技術を用いて人個体を産み出した場合、正常の受精に比較して、前述したような安全性に関する問題が生じる可能性を否定できない現状では、産まれてくる人個体の安全性の確保は保証できず、そのような状況下で、クローン技術を適用することには重大な問題がある。    
   
(2)クローン技術の人個体の産生への適用についての規制 
   
  クローン技術は、原子力や宇宙開発のような高度の施設設備や巨額の資金を要する巨大技術と異なり、現在既に国内研究機関や病院等で一般的に使用されている顕微鏡下での細胞取扱技術やヒト胚の培養技術等を用いて、一定水準以上の技術を持つ医師や研究者が、比較的容易に実施し得る可能性がある。また、現実に米国でのクローン技術を用いた民間の不妊症治療計画や外国人による日本でのクローン技術を利用した不妊治療計画が発表されるなど、現時点ではその実態は存在しないものの近い将来問題が現実化する可能性がある。これらを勘案すると、我が国としても、早急に対応することが必要である。  
  クローン技術の人個体の産生への適用については、上記(1)のように、人間の尊厳及び安全性の両方の観点から問題があることを総合的に判断すると、人クローン個体の産生を禁止することが妥当である。  
  なお、禁止すべきことは人クローン個体を意図的に産生しようとする行為であり、万一禁止に反して人クローン個体が産生された場合には、生まれてきた子供は個人として尊重されることは当然である。  
   
(3)人クローン胚についての規制 
   
  人クローン胚を取り扱う研究は、人クローン個体を産生しなければ前述のような重大な弊害をもたらすことはなく、また、医療等の向上に貢献する可能性があることも否定できない。  
  しかし、一方では、人クローン胚は、人個体の産生につながる可能性があるものであることから、ヒト胚と同様に人の生命の萌芽としての意味を持つものであり、その取り扱いは可能な限り慎重に行われるべきである。さらに、人クローン個体産生につながるおそれがあるという面からの配慮が必要である。  
  以上を考慮すると、正当な理由がある場合には人クローン胚を扱う研究は、一定の限度で許容しうるとする余地がある。ただし、これらの研究の是非は、人の体細胞核を動物の卵等に移植して新たに胚を生み出す研究の是非も含めて、ヒト胚等を取り扱う研究について検討が行われているヒト胚研究小委員会でのさらなる検討にゆだねられるべきである。  
   
(4)研究の自由との関係 
   
  研究者がどのような研究を行うかは、内面的な活動にとどまらない場合には無制限に自由であるものではなく、社会に対する責任との関係で議論されるべきである。人クローン個体の産生のように、必然性が乏しく、さらに、人間の尊厳上の問題、安全上の問題等社会に対する負の影響があり、また、国民の間に幅広い反対意識がある場合には、研究者自身が社会的責任を十分に自覚して対処しなければならないことは当然であるが、更に、必要な範囲で適切な規制を設けることは、研究の自由の不当な制限につながるとはいえない。  
   
(5)国際的な協調 
   
  クローン技術の規制に関しては、世界各国において議論が進められているが、技術や研究者の国際交流・移転が国際的に進む中、我が国のみが、諸外国と比較して、特別に緩い又は特別に厳格な規制とならないよう、国際的に協調したものであることが必要である。  
   
(6)規制の対象 
   
  現在の科学的知見では、ヒト胚は、母体への胚移植の過程を経なければ、出生、成長する可能性がないことから、人クローン個体の産生に対する規制は、人クローン胚の人又は動物の母体への胚移植を禁止することが適切である。なお、人の細胞の核を人以外の動物の除核未受精卵に核移植して新たに胚を作成し、それを人又は動物の母体内に胚移植し成長させることについても、人クローン個体を産み出すという点では、人の細胞の核を人の除核未受精卵に核移植する場合と変わらず、禁止のための規制を行うことが妥当である。  
  また、母体への人クローン胚の移植を伴う移植用臓器の作成は、現時点では、人個体を産み出すことと同等の実態を含み、人間の尊厳を侵害し得るものであり、安全性の問題もあることから、人クローン個体の産生として禁止のための規制を行うことが妥当である。  
   
(7)規制の形態 
   
1  クローン技術の人への適用に関する規制の形態 
  クローン技術の人への適用に関する規制の形態としては、 
    ・法令に基づく規制 
    ・国の示すガイドラインによる規制 
    ・国による研究資金配分の停止の規制 
    ・学会等によるガイドライン等による医師、研究者の自主的規制 
    ・個別の医療機関・研究機関等における倫理委員会審査等による自主的規制 
等が考えられる。 
  クローン技術の人への適用の規制については、技術的に単一の考え方に基づいて統一的な規制が行われるべきであること、官民問わず全ての医師、研究者等に対して共通的な規制が行われるべきであること、具体的な実効性を伴う規制が行われるべきであることを考えると、少なくとも、国の示すガイドライン以上の公的な規制を行うことが適切である。  
  規制の形態に関し、総理府が平成10年9月にまとめた「クローンに関する有識者アンケート調査」においては、約7割が人クローン個体の産生を法律に基づき禁止するべきであると回答していることなどを踏まえ、さらに詳細に規制の強制力、柔軟性等について検討を行った。  
  その結果、人クローン個体の産生は、人間の尊厳や安全性の問題が現実化・明白化し、その弊害の大きさから全面的に禁止されるべきであるが、ガイドラインによる規制では医師や研究者のコミュニティーに属さないアウトサイダーに対しての効力が十分ではなく、これらを含むあらゆる者に対して有効な法律により強制力を伴った形で網羅的に規制を行うことが妥当であるとの意見が大勢を占めた。    
  一方これに対して、法律による規制を行わなくても十分防止できるとの意見や、医師法等による免許の取り消し等により対応すれば十分であり新規の立法は必ずしも必要ないとする意見があった。また、他の生殖補助技術等の規制とのバランスを考えた規制やヒト胚等の操作全般についての規制の中で検討すべきであるとの意見もあった。  
  これらの意見について、さらに検討したところ、人クローン個体の産生は法律により禁止することが妥当との結論を得た。 
  なお、クローン技術の人への適用の規制のうち人クローン個体の産生の禁止以外の部分についても、あわせて規制の枠組みを整備することが必要である。人クローン胚に関する研究については、人クローン個体を産生しなければ(1)で述べるような重大な弊害をもたらすことはなく、また、医療等の向上に貢献する可能性があることも否定できない。したがって、罰則を伴う法律による規制よりも、医師や研究者の自主的な遵守に期待し、技術の進展や社会情勢の変化に対して適時に対応が可能な、より柔軟な規制の方が適していると考えられるが、これら人クローン胚を扱う研究に対する規制の形態は、ヒト胚等を取り扱う研究について議論が行われているヒト胚研究小委員会でのさらなる検討にゆだねられるべきである。    
   
2  規制の見直し 
  クローン技術に対する規制に関しては、今後クローン技術に関する知見が蓄積するとともに安全性についての科学的判断も確実になっていくこと、クローン技術と人間の尊厳との関係について更なる議論が行われること、現在未だ可能性の段階にあるクローン技術の応用実例が今後畜産の分野等で具体的に提示されるようになること、等により、将来、同技術に対する国民の意識やその規制の在り方を巡る状況が変化する可能性がある。このため、知見が相当程度蓄積される期間と考えられる3〜5年程度後に見直しを行うこととし、その間に規制の在り方について更に検討することが適切である。  
   
2.細胞培養技術の適用 
   
  人個体を産み出さない細胞培養及び組織培養については、種々の科学的・医学的可能性が認められ、今後、医学的応用には安全性の確認に慎重な検討が必要であるものの、生命の誕生に関する倫理的問題という観点からは、特段の規制をする理由は見当たらない。  
   
3.クローン技術の人以外の動物の個体を産生する目的のための適用 
   
  クローン技術の人以外の動物の個体を産生する目的のための適用については、高い有用性が認められる。人以外の動物の保護、管理等については、現在「動物の保護及び管理に関する法律」による規制が適用されており、クローン動物の保護、管理等についても特別の規制ではなく、当該法律が適用されると考えるべきである。  
  なお、動物の保護、管理等のあり方そのものに関して更なる検討が必要であれば、本小委員会とは別途の場を設けて検討すべきである。 
  畜産用、研究用等の動物のクローン個体の産生については、その推進にあたっては、研究の独創性や知的所有権に配慮しつつも、公表された研究・応用例が一覧できるデータベース等による適切な情報公開を進めることにより、社会の理解を得ていく必要がある。  
   
4.クローン技術以外の生命関係技術 
  人のクローン個体の産生は、上述のように、従来の人の生殖が、先端医療技術を用いる場合を含め全て有性生殖の過程を経て行われてきたのに対して、遺伝的に同じ個体を意図的に産み出せるものであるという点で、これまでと全く異なる人の生命誕生の在り方を開くものである。その意味で、他の生命誕生に関わる技術とは、質的に全く異なる影響を人間社会にもたらすものであり、現時点において、人の生命誕生に関わる他の技術とは異なる強い規制が必要であると考えられる。  
  また、人と動物のキメラ個体やハイブリッド個体(人と動物の交雑した胚に由来する個体)の産生は、人間の尊厳及び安全性の問題において、人クローン個体の産生を越える問題を有する行為であり、その弊害の大きさから全面的に禁止することが妥当である。個体を産み出さない人と動物のキメラ胚やハイブリッド胚を取り扱う研究については、有用性が認められる場合も想定されうるため、その是非を含めてさらなる検討が行われるべきである。  
  なお、生命の誕生に関わる技術には、既に一般化した技術もあるが、今後の技術的進歩により、予想を超えた技術が出現してくる可能性もある。生殖細胞のゲノムの改変や診断の問題、他の生殖医療技術の取扱いの問題等については、新たに得られた知見等を踏まえつつ、今後の対処の方法についての更なる検討が不可欠であることは明らかである。これらの問題には、それぞれに固有の技術上、倫理上等の議論が存在することから、一概にクローン技術等に関する議論を適用できるものではなく、改めて詳細に議論を行う必要があり、生命倫理委員会等における更なる検討が望まれる。  



第4章  情報公開
   
  生命に関する科学技術は、その成果が人の身体や精神に直接関わる可能性を秘めていることから、国民の間にその節度ある推進を望む声が高まっている。また、その高度化、専門化に伴い、その正確な実態が、一般の国民にとって容易に理解し難いものとなっており、実際には不可能な空想科学的な事態も直ちに現実化するかのような議論も現れ、国民の意識に、正確な情報の不足から来る不安を生ぜしめている。  
  特に、クローン技術については、人クローン個体の産生への適用が懸念されるという意味で国民の関心が高く、研究の透明性を確保することによりその懸念に答えていく必要がある。したがって、技術の適用が許容される場合においても、研究の独創性や知的所有権の経済的価値を考慮しつつ、インターネットの活用等により、情報公開を行いつつ進めることが重要である。  
  また、クローン技術を用いる研究者等に対しても、自らの行為が、真に人間、社会、自然と調和しているかについて不断に省察し、その研究の内容を国民に説明する努力を行うことが求められる。  




(参考)用語の定義
   
  本報告で用いる生物学用語の定義並びに適用範囲は以下の通りである。(五十音順) 
   
【核移植】 
  核を除去した細胞に別の細胞の核を挿入する技術。細いガラス毛細管に核を吸い取り、別の細胞に注入する方法と細胞融合による方法がある。 
   
【クローン】 
  一般に「核遺伝子が同一である個体(の集合)」をクローンと呼ぶ(例えば、「クローン動物」。)。最近では、「細胞のクローン」(一個の体細胞が有糸分裂を繰り返して増殖した結果として生じた細胞の集合)等の意味にも用いられる。  
   
【細胞周期】       
  細胞の分裂する周期。 
   
【初期胚細胞核】   
  発生初期の胚の細胞の核。初期胚細胞核移植によりクローン個体を産生する場合、ウシでは16細胞期から32細胞期の胚の核が通例では用いられる。 
   
【生殖細胞】 
  卵子と精子の呼称。有性生殖を通して、次世代の個体にその生物種の遺伝子を伝える役割を持つ。 
   
【体細胞】 
  生物個体を作り上げている細胞のうち、生殖細胞を除く全ての細胞の総称。体細胞は、その個体一代限りのものである。但し、特殊な無性生殖を行う動植物及び人為的に産生したクローン個体は例外で、体細胞の遺伝子が他の個体に伝えられる。  
   
【テロメア】   
  染色体の末端部分に存在する特徴的な塩基配列を持つ部分で細胞分裂の毎に短縮する。このため老齢の細胞ではこの部分が短縮しており、また胚性幹細胞、ガン細胞など不死化した細胞においてはテロメアを合成する酵素の活性が見られる。このため、この部分が細胞の分裂回数さらには個体の寿命にも関係するのではないかとの仮説がある。  
   
【胚】           
  多細胞生物の個体発生における初期の状態をいう。  
   
【胚性幹細胞】 
  生体を構成する、あらゆる組織・器官に分化する能力をもつ細胞で、初期胚より作られるES細胞、死亡胎児の始原生殖細胞より作られるEG細胞がある。  





クローン小委員会構成員

(委員長)    岡  田  善  雄    (財)千里ライフサイエンス振興財団理事長
青  木     清 上智大学生命科学研究所所長
位  田  隆  一 京都大学大学院法学研究科教授
勝  木  元  也 東京大学医科学研究所教授
加  藤  尚  武 京都大学文学部教授
菅  野  覚  明 東京大学文学部助教授
菅  野  晴  夫 (財)癌研究会名誉研究所長
高  久  史  麿 自治医科大学学長
武  田  佳  彦 東京女子医科大学名誉教授
豊  島  久真男 住友病院院長
永  井  克  孝 (株)三菱化学生命科学研究所所長
木  勝  島次郎 (株)三菱化学生命科学研究所主任研究員
町  野     朔 上智大学法学部教授
横  内  圀  生 農林水産省畜産試験場長
村  上  陽一郎 国際基督教大学教授
森  島  昭  夫 上智大学法学部教授