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最先端の研究を効果的に遂行しうる情報利用システムのあり方について


平成9年6月10日

科学技術会議政策委員会研究情報高度化小委員会


目      次

I   基本認識

II   基本的方向

III   目  標

1   世界最高レベルの情報利用環境の実現

2   国内外の中核的研究機関との研究環境の共有化の実現

3   世界の主要な情報発信基地の役割の実現

IV   目標を実現するために必要な施策

1   研究の高度化を促進するためのネットワークの充実

(1) ギガビットクラスのネットワークの整備

1) ギガビットクラスのテストベッドの実証

2) 省際研究情報ネットワーク(IMnet)の基幹回線の高速化

3) 学術情報ネットワーク(SINET)の基幹回線の高速化

(2) 研究情報ネットワークの充実と連携

1) 省際研究情報ネットワークの基幹ネットワークの充実

2) 学術情報ネットワークの充実

3) 産学官ネットワークの連携

4) アジア太平洋地域における高度研究情報ネットワークの整備

(3) 高性能な研究情報ネットワークサービスの実現

1) 知的経路制御技術の開発

2) ネットワークの運用・管理

3) セキュリティの確保

2   コンテンツの充実

(1) データベースの充実

(2) 制度的課題の検討

3   アプリケーションの高度化

(1) データベースの構築・検索と利用・管理技術の開発

1) データベースの構築・検索技術

2) データベースの利用・管理技術

(2) 先端的なアプリケーションを先導する研究の推進

1) アプリケーションの共通技術

2) 先導的研究

4   分散型デジタルコンテンツ統合システムの開発

(1) 研究関連情報ディレクトリの整備

(2) データベース検索支援辞書の整備

(3) アプリケーションの開発

(4) データベース化支援

(5) 関係機関の連携

5   国際協力の推進

(1) アジア太平洋地域における高度研究情報ネットワークの整備

(2) データベースの相互流通のための技術の開発

(3) G7情報通信関係閣僚会合パイロットプロジェクト等の推進

1) 広帯域ネットワークの相互運用性実験(GIBN)

2) 環境・天然資源の管理(ENRM)

3) 電子図書館(ELS)

4) グローバル・ヘルスケア・アプリケーション・プロジェクト(GHAP)

5) 地球観測情報ネットワーク(GOIN)

6   人材の養成と確保

(1) 研究者の養成と確保

(2) ネットワーク管理の体制整備

(3) データベース作成者の養成と確保

(4) 研究者等の研究協力の推進

7   ネットワーク上での議論の場、発表の場の提供、研究情報の電子化、公開の促進等

(1) ネットワーク上での議論、発表の場の提供

(2) 研究情報の電子化、公開の促進

(3) 理解増進

V   報告書の見直し等


I  基本認識

  人類社会は、産業活動から日常生活に至るまで、”情報ネットワーク”を基盤として展開される新しい社会への歴史的転換期にあり、産業構造、教育システム、医療システム等の社会システムが大きく変貌しようとしている。
  研究開発活動について見ると、ネットワーク時代の特徴は、分散化された人的資源、情報資源、研究資源をネットワークを介して接続し、分野、組織、国境の壁を越えて研究者の交流、協力を進めることが可能になったことである。この優れたツールにより、我が国の研究者が、国内の研究者のみならず、世界中の研究者との間で、最先端の情報を即座に、頻繁に交換する環境が整い始め、世界の研究者コミュニティとの関係が一層緊密になった。
  また、研究スタイルは、世界中の研究者の人的ネットワークを通じて最新の情報を迅速に入手し、ビデオ会議で議論し、ネットワークを利用して共同で実験し、ネットワークを介して発表し、評価を受けていく方向が現実のものとなりつつあり、それらの基盤となる情報システムというインフラの重要性はますます高まっている。さらに、情報システムへの投資及びそれに関係する人材の育成は、研究の高度化のみならず、新しい情報産業の育成や既存産業の効率化を先導する。
  諸外国に目を転じると、米国では、21世紀社会の基盤となる技術は、計算機及び通信技術であるとの認識の下に、高性能計算機・通信(HPCC)計画下で高性能計算機を開発するとともに、高速回線を整備拡充し、米国がこれまで蓄積してきた研究成果や知識を米国の研究者が共有することを可能にして科学技術の優位性を一層高めようとしており、1997年から開始されるその二期計画(5年間)において、現在の100倍〜1000倍の通信速度のネットワークを全米に張り巡らせて、大容量の情報量を伝達・処理する先端的研究の推進を狙っている。欧州においても、米国HPCC計画と類似の情報通信技術の高度化プロジェクトが推進されており、さらに、シンガポール、マレーシアなどにおいても、情報社会構築に向けて国家を挙げた野心的なプロジェクトが推進されている。
  一方、我が国の研究情報流通への取組においては、ファクト・データベースの整備、ネットワークの高速化、計算科学技術の開発、政府の科学技術関連情報の一層の公開などが課題となっている。
  政府は、高度情報通信社会推進本部がとりまとめた基本方針に沿って、必要な施策を遂行しており、研究活動の情報化については、創造的研究活動の支援及び高度情報通信社会の構築の先導のために、先端的な情報通信技術の研究開発に取り組むとしている。また、「経済構造の変革と創造のための行動計画」において、平成13年度(2001年度)までの期間を高度情報通信社会の実現のための助走期間と位置づけ、民間の努力と相まって我が国の情報通信を世界最高レベルまで高度化することを目指すとしている。
  今後は、新世紀に向けた総合的な情報利用体制を早急に確立する必要があり、関係省庁及び産学官がそれぞれの能力を最大限に発揮できるような横断的な協力の下で、先進的で計画的な情報利用システムの整備が図られなければならない。

II  基本的方向

  情報通信技術の発展は、社会構造のみならず、研究者の研究スタイルをも大きく変革する可能性を秘めている。組織、研究分野、国境、時間を越えて、論文、図書、データ等研究情報の入手が可能になり、「いつでも、どこでも、だれとでも」共同研究ができる状況が現実のものとなるばかりでなく、研究成果の発表も電子情報により行われ、議論も評価もネットワーク上で行われるという状況は、今や夢物語ではなくなりつつある。
  我が国が創造的研究を推進していくためには、優秀な人材の知的活動に依存することは、論を待たないが、それらの研究者の知的活動を積極的に引き出す環境を構築していくことが不可欠である。つまり、研究者を取り巻く研究情報環境について、情報の高速・広域伝播、自在なデータの獲得と共有が実現し、国内外の優れた研究者との間で知的触発を受けることのできる環境を実現することが必要である。また、研究の高度化の環境たりえるためには、ネットワークと計算機利用の間の円滑な連携が必須であることから、通信と計算の融合を図りつつ環境整備を推進することが重要である。
  また、科学技術に対する国民の理解を増進することや適切な情報公開体制の下で国民が科学技術の成果を享受することも不可欠であり、そうした観点からの科学技術情報の流通も必要である。
  そのため、研究者や国民等利用者のニーズに合致した情報を迅速に提供することが必要であり、ネットワーク、コンテンツ及びアプリケーションを有機的に連携させた、利用者の使いやすい情報利用システムを構築していく必要がある。

III  目  標

  近年の情報通信技術の革命的な進展を考慮すると、我が国が研究情報の高度化を図り、世界最先端の研究を効果的に遂行するためには、財政事情等を勘案しつつ、来世紀初頭を目途として次の三つの目標を実現することが期待される。

1  世界最高レベルの情報利用環境の実現
  研究者等が、各地に分散している大容量のデータを自由にかつ迅速に収集・処理するという高度な情報利用環境を実現するため、特に研究者の新しい研究スタイルを可能とする情報システムの構築が必要である。そのために、ギガビットレベルのネットワーク技術、大容量情報の処理技術、遠隔地のスーパーコンピュータの連携利用技術等、研究情報ネットワーク高度化のための基盤技術の開発により、組織の壁を越えた産学官の総合的な情報システムの構築を目指す。

2  国内外の中核的研究機関との研究環境の共有化の実現
  研究者が、三次元動画像、音声、電子掲示板等マルチメディアの手法を活用して、研究分野、組織、国境の壁を越えて、中核的研究機関との間で、研究情報を交換し、効果的な議論を可能とし、相互に知的触発を受けつつより緊密な共同研究を推進できる環境の実現を目指す。

3  世界の主要な情報発信基地の役割の実現
  我が国を取り巻く国々と接続する国際的なネットワークを整備し、同時にコンテンツの充実を行うことにより、我が国に、世界の主要な情報発信基地の一つとしての機能の実現を目指す。なお、主要な情報発信基地の条件は、ネットワークの通信速度、アクセスされるデータ量、検索機能の使いやすさ、多言語処理機能などに依存するので、これらへの対応が期待される。

IV  目標を実現するために必要な施策

1  研究の高度化を促進するためのネットワークの充実
  上記IIIの研究情報の高度化のための目標を実現するためには、関係省庁及び研究機関が緊密な連携をとりつつ、以下の施策を推進することが期待される。

(1)ギガビットレベルのネットワークの整備
  コンピュータの普及、LANの整備、インターネットの爆発的普及等を背景に、研究手法はネットワークを介した情報の受発信に依存するようになってきており、今や、ネットワークは先端的な研究を進める上で必須の研究基盤となっている。
  今後、テラバイトレベルの大容量の情報を取り扱う高度な研究の進展が期待さるのみでなく、コンピュータを使った研究内容のプレゼンテーションやコンピュータシミュレーションが普及しつつあり、衛星画像、動画像等大容量データの伝送が頻繁に行われると予想され、近い将来、ギガビットレベルのネットワークが必要となると考えられる。将来の急激な通信量の伸びに適切に対処しつつ、また大容量の情報流通により新しい研究分野を創出していくためには、ギガビットレベルの実験的ネットワーク(テストベッド)の実現に努めるとともに、全帯域を一度に利用できる高速大容量情報伝送技術、ルータ技術等の研究情報ネットワークの高度化に必要な技術の開発及び高度なアプリケーションを必要とする先導的研究を一体的に進めることが期待される。このようなギガビットレベルのネットワークの研究開発は、将来の省際研究情報ネットワークのみならず、我が国のあらゆるネットワークの高度化の先導役を果たすものと期待される。また、こうした動きは、世界的な潮流であることから、研究開発を通して国際的な標準(デファクト・スタンダードを含む)の先駆的役割にも資する。

1)ギガビットレベルのテストベッドの実証
  ギガビットレベルのテストベッドにおいて、研究情報ネットワークの高度化に必要な波長多重光ファイバ伝送技術、帯域保証・帯域可変技術、ギガビットレベル以上の伝送速度を可能とする交換機、ルータ技術等ハード技術及びギガビットレベルのネットワークにおけるプロトコルの開発のための実験を行うことが期待される。また、それを利用した先導的研究に役立てることによって、テストベッドの機能を実証し、ギガビットレベルの速度の定常的なネットワークの整備に必要な技術の提供が可能となるものと期待される。

2)省際研究情報ネットワーク(IMnet)の基幹回線の高速化
  ギガビットレベルのテストベッドの成果などを受けて、国立試験研究機関等における、動画像の流通、遠隔地のスーパーコンピュータの連携利用を可能とし、研究の一層の高度化を図るために、IMnetの基幹回線等について、ギガビットレベルへの展開を含めて検討し高速化を図る。併せて、国際的な共同研究を推進するため、日米回線の高速化を図る。

3)学術情報ネットワーク(SINET)の基幹回線の高速化
  SINETについては、全国の大学等を中心とする研究機関を接続し、既に全国展開が図られている。ネットワーク上の全国の大型計算機や大学図書館等の計算機資源、情報資源などの利用のため、主要幹線の高速化、広域化とともに、日米回線の高速化を図る。

(2)研究情報ネットワークの充実と連携
  ネットワークは、情報流通体制の最も基盤となる重要なツールであるので、計画的に国内外回線の充実を図っていくことが期待される。
  全国の国立試験研究機関、公設試験研究機関、大学等学術研究機関、民間研究機関等を可能な限り研究情報ネットワークに接続することは、我が国全体の科学技術レベルの向上と研究の発展を図る上で極めて有意義であり、緊急な課題である。このため、IMnetとSINETが、我が国の中核的研究情報ネットワークとして、それぞれの目的に即した整備を図りつつ、高速回線で相互接続するなど連携していくことが期待される。
  また、欧米、アジア諸国等海外との研究協力を推進するため、関係省庁の協力の下で、関係国と協力しつつ、アジア太平洋地域における高度研究情報ネットワークの整備を行うことについても検討する。

1)省際研究情報ネットワークの基幹ネットワークの充実
  国立試験研究機関、特殊法人研究機関、公設試験研究機関、地域ネットワーク等をIMnetに接続することにより、研究機関同士の共同研究及び科学技術レベルの向上が図られる。また、このようなIMnetは、医療情報等のリアルタイム入手や基本データベースの共用化にも重要なツールとなる。
  そのため、より広範囲の国立試験研究機関、公立試験研究機関等をIMnetに接続可能とするために、接続点の増設に努め、基幹ネットワークの広域化、高速化を図る。

2)学術情報ネットワークの充実
  前述のように、SINETの全国展開が図られており、大学や公的研究機関との接続を通じて、各種情報の流通に大きく貢献しているが、今後とも、大学等の各研究機関から接続するための支線についても、広域化、高速化を図る。

3)産学官のネットワークの連携
  我が国の産学官の研究機関の共同研究を推進するため、相互の情報流通が円滑になる必要があり、IMnetとSINETの両ネットワークをはじめとして、各種の研究情報ネットワークが高速回線で相互接続し、また更に緊密に連携するとともに、民間研究機関との情報交流を促進するため、民間のインターネットとの接続回線についても高速化を図ることが期待される。
  なお、衛星系等無線系ネットワークについても、大容量の情報を広範囲に一度に配布でき、また災害時等での地上系ネットワークへのバックアップ等の衛星通信のメリットを生かし、地上系ネットワークとの融合を目指す。

4)アジア太平洋地域における高度研究情報ネットワークの整備
  世界における研究情報ネットワークの整備は、各国、各地域で進展すると同時に、地球規模で高速ネットワークを接続していこうという動きがある。例えば、米国、アジア、欧州、カナダ等世界各地の高速ネットワークを相互に接続し、世界中の研究情報を円滑に流通させる計画がある。我が国としても、情報の発信基地になるよう、関係省庁及び関係機関が協力しつつ、関係国の協力を得て、アジア太平洋地域で高度の研究情報ネットワークの広域接続に参加し、こうした動きを先導していくことが重要であり、参加が可能な国から接続を開始することにより、新しいネットワークの整備について検討する。
  こうしたネットワークを利用すれば、各種ネットワークの相互接続、ATMスイッチの実証、経路制御やセキュリティの高度化などネットワーク技術の高度化ばかりでなく、海外との共同研究についても、一層の推進が期待される。例えば、我が国の研究機関は、米国内の高速ネットワークvBNSに接続しているスーパーコンピュータ・センターとの共同研究が可能になり、高度計算科学技術等の分野の進展が期待される。また、アジア諸国との間で、遠隔医療、地球観測データや農業研究情報の交換による各種実験の共同研究が促進される。
  なお、日米回線は利用が多いため、回線容量が不足しないよう対応することが重要である。

(3)高性能な研究情報ネットワークサービスの実現
  研究情報ネットワークの効果的な利用には、円滑な情報流通のための知的経路制御技術の開発、ネットワークの運用・管理の充実、セキュリティの確保等が重要である。

1)知的経路制御技術の開発
  経路制御技術は、ネットワーク上の通信情報を混雑することなく流通させるのに不可欠な技術であるため、高度化、知能化を推進する。例えば、変動するネットワークの混雑度に応じた知的な経路制御技術、伝送遅延のないプライオリティ・サービス等の開発が期待される。

2)ネットワークの運用・管理
  ネットワークの利用者規約については、ネットワークへの直接接続は、非営利活動に限ることとするが、産学官のネットワーク上での共同研究を円滑にすることが重要であるとの観点から、民間のインターネットとの相互接続に積極的に対応することが必要である。

3)セキュリティの確保
  安心できる研究情報ネットワーク・コミュニティを確立するためには、セキュリティの確保に不断の努力が必要であり、我が国における研究情報ネットワークについても、暗号技術の開発を促し、政府自ら利用することによりセキュリティの向上を図るとともに、世界標準にする努力が必要である。
  また、今後普及していくと思われる公開鍵方式において必要な認証局が、複数の企業で運営されていくことが考えられることから、認証局間での相互認証を容易にする技術の開発が望まれる。デジタル署名は、法的にまだ認められていないため、早急な制度の見直しを行うとともに、政府も申請手続き等への積極的利用を推進する。

2  コンテンツの充実

  データベース等コンテンツに関する我が国の整備の重要性及びその遅れは、従来から繰り返し指摘されているが、事態は遅々として進展していない。そのため、我が国の研究者等が、しばしば一方的に欧米のデータベースにアクセスしており、いわば情報不均衡の状況にある。
  今後は、ネットワーク技術、データ検索技術等の進展に対応したデータの収集、入力、蓄積、流通の体系的仕組みの構築が重要である。特に、各種のファクト系データベースについては、集中管理型のデータベースの他、そのデータが得られた機関で独自のデータベースを整備し、ネットワークを介してそれらの分散データベースにアクセスする仕組みが重要になると考えられるため、データベース化する際には、データベースの様式を出来るだけ合わせるなどの調整を行う必要がある。なお、データベース構築の経費削減に資するよう、各研究機関に分散されたデータベースにネットワークを介してアクセスするシステムの整備が期待される。

(1)データベースの充実
  データベースについては、特に米国と比較し、格段に遅れているため、計画的な充実が期待される。
  そのため、研究機関等における自主的なデータベースの整備、科学技術振興事業団のデータベース化支援業務及び学術情報センターのデータベース作成・受入事業を推進する。
  研究活動を直接支援するファクト系データベース、特に生体、物質等の研究活動の基礎的な情報を提供するためのデータベース、生体影響物質、食品成分、表面分析等物質関連データのデータベース化、地球観測データのデータベース化の研究開発等を推進するとともに、科学技術活動の基盤となる文献データベースの充実を行う。その際、ネットワークの特徴を生かした情報収集、データの維持管理、分散化したデータベースの連携、利用者側に立った利便性等に配慮する必要がある。
  また、分散型データベースの連携は極めて重要であるため、科学技術振興事業団及び学術情報センターは、研究者等がこれら機関を含む国立試験研究機関や大学等で整備されたデータベースに容易にアクセスできるようにするために、引き続き、研究資源、研究機関、研究者、研究課題等の情報を含む各省庁及び産学官連携型の総合的なディレクトリデータベースの整備を行う。
  さらに、少なくとも、国の研究開発全般に共通する評価の実施方法の在り方に関する大綱的指針に沿って行われることとなる、研究評価の参考となる論文数、論文の被引用度数、特許数、学会賞、招待講演数等についての研究評価支援データベースを構築する必要がある。また、学術情報センターにおいて行われている、大学等における研究者の研究課題、発表論文等のデータベースの整備を推進する。
  また、プロジェクトとして研究開発されたデータベースについては、広範囲に利用されるよう、プロジェクト終了後も引き続き、実施機関が責任を持って、データベースの充実・管理を行う。

(2)制度的課題の検討
  データベースの充実を推進する際、それを円滑に行うために、政府は制度的課題に対処する必要がある。
  政府が推進している各種研究プロジェクトについて、可能な限りその研究成果のデータベース化を図り、それらをネットワーク上で総合的に流通させる体制の構築などの施策を検討する。
  国立試験研究機関等で開発されたデータベース及びプログラムの民間での改良及び普及を促進するため、それらの利用価格の設定方法、公表に当たっての既存の法体系との関係の整理を含むガイドラインの作成を検討する。
  研究機関及び研究者が自主的にファクトデータ等を積極的に入力し、データベースが構築されていくためには、インセンティブ付与が必要である。例えば、研究機関等におけるデータベースの整備にインセンティブを与える施策について検討したり、データベースにデータを提供した研究者に優先的にその利用を認めるなどの工夫を行う。

3  アプリケーションの高度化

(1)データベースの構築・検索と利用・管理技術の開発
1)データベースの構築・検索技術
  データベースを利用する際、所在が不明であったり、検索に時間がかかったりすることがあり、利用者の立場に立った構築・検索技術の開発が必要である。
  データを入力すると、自動的にデータベース化する技術、データの関連性を考えた自動データ加工技術、利用者のデータの検索・利用を容易にする技術の開発、プログラム、データ管理システム及びデータそのものを統一的に捉えるオブジェクト指向技術等の開発が期待される。

2)データベースの利用・管理技術
  データベースの利用・管理を巡る技術は、急激に発展しているので、それらの技術を積極的に取り込み、高度の利用を図る必要がある。
  ネットワーク上のデータベースのデータを自動更新する技術の開発、マルチメディア情報を活用し、ファクト系データ、分子模型等を融合したハイパーテキスト及び地理情報システムの高度化等が期待される。また、情報制作者の意図する相手に意図どおりに情報を利用されることを保証する技術、情報蓄積サーバの効率的配置法及び連携技術等が期待される。

(2)先端的なアプリケーションを先導する研究の推進
  情報通信基盤の発展は、それを利用した研究の推進を促すとともに、研究の進展は情報通信基盤の発展を先導するという相互に作用する関係にある。研究の高度化は、大容量のデータを計算機資源等を活用して分析していく方向にあり、インターネット上での研究が一段と加速していくと考えられる。例えば、生物学の分野の実験手法は、試験管内実験(in  vitro)と生体内実験(in vivo)であったが、近年、大容量のデータをネットワークで収集し、高性能計算機で高度のシミュレーションを行うという計算機内実験(in  silico)が、生物学における第三の実験手法として登場しつつある。また、物質・材料、地球科学技術分野等においても同様な傾向があるので、先端的な情報処理・通信技術の開発を行いつつ、このような先導的研究を推進することが重要である。
  また、将来の遠隔医療を念頭においた医療研究支援アプリケーションの研究開発、ユーザフレンドリなネットワーク利用技術のための生活工学アプリケーションの研究開発等アプリケーション高度化が期待される。

1)アプリケーションの共通技術
  多くのアプリケーションの基盤として利用される共通技術の開発は、ネットワークの利用及びアプリケーションを先進的で効果的なものにするために、不可欠である。
  これらの共通技術については、高精細動画像伝送技術、超高速ネットワークにより接続された異機種の計算機による分散処理技術、マルチメディアデータベースの大容量化・高速化に対応した効率的な並列処理システム、知的検索システム、異なる情報の融合により価値のある情報を得るデータフュージョン技術、三次元動画像等の多種多様なアプリケーションの利用のためのプラットフォーム等の開発が期待される。
  共通技術の開発については、前述したデータベースの関連技術の開発も含め、ギガビットレベルのテストベッドの実験及び先導的研究と併せて推進されることによって、プロトコルなどの共通技術の実証及び普及が図られるものと期待される。

2)先導的研究
  ギガビットレベルの実験ネットワークを利用しつつ、先端的情報処理・通信技術の開発と併せて推進すべき先導的研究は、ネットワークを利用した将来の研究のモデルとなるばかりでなく、ギガビットレベルのネットワークの定常運転にも有益な技術を提供する。研究の高度化には、通信による研究情報の流通・共有化と計算科学技術による研究手段の高度化とを車軸の両輪のように推進することが重要であり、様々な研究機関の優れた能力が必要であることから、産学官の適切な研究機関の協力下で推進することが期待される。研究課題例としては下記のようなものが考えられるが、これらに限らず様々な分野で先導的研究への取組が期待される。

a 生命現象の計算機内でのシミュレーションに関する研究
  近未来の生物学の目標は、様々な生命現象の計算機ネットワーク内シミュレーションを実現することである。特に、時間的要因、技術的要因、倫理的要因等のために、生物の進化、極限状態での酵素反応、生体高分子の相互認識、薬剤の安全性試験等のように、in  vitroやin vivoの実験が著しく困難な現象のシミュレーションを実現することが期待される。さらに、こうしたシミュレーションは、生命科学産業の基盤技術として、革新的な医薬品、酵素の設計・評価、環境保全、生命情報解析サービスなど医薬、農業、工業の幅広い産業分野において広く利用されることが期待される。
  生命現象に関わるデータは、膨大であり、階層的であり、複雑であり、分散している。例えば、塩基配列、アミノ酸配列、遺伝子、タンパク質の立体構造、酵素の機能、代謝系、菌株、進化、生態等の多様なデータが国際的に分散した専門機関によって蓄積・評価・提供されている。そこで、これらのデータとさらに解析ソフトウェア及び可視化ソフトウェアを自在に組み合わせることにより、各種の生命現象に関する基盤的、基礎的研究を推進することが期待される。

b 高速ネットワークを用いた新物質・材料シミュレーションに関する研究
  現在、生活文化の向上、地球環境問題・資源エネルギー問題等の解決に大きく寄与しうる新規機能性材料の創製が強く望まれている。このような材料はミクロ-マクロの多岐にわたり物性を同時に満たすことが肝要であり、従来の試行錯誤による開発手法はますます困難となってきている。
  このため、計算機の有する高速の演算処理能力を活用したミクロ-マクロの物性を同時に予測しうる材料設計のシミュレーションシステムの開発、高速ネットワークを用いた世界中の各種各様の大容量の物性データの収集、及びシミュレーションを行い、新しい機能を持つ物質・材料を創製するための基礎的、基盤的研究を行うことが期待される。

c センシブル・ヒューマン・プロジェクトに関する研究
  ヒトの三次元画像のデータベースは、既に開発され、広く利用されているが、そのデータベースに各部位の物理特性、化学特性等を付与したヒトの高機能データベースを開発し、併せて、そのデータベースの検索、利用等評価のためのアプリケーションの研究の実施が期待される。これが実現できれば、臨床医学の研究基盤として、基礎研究のみならず、保健教育、医療従事者の手術訓練等にも広く利用されることが期待される。

d 地球変動予測に関する研究
  冷夏・暖冬等の地球変動の正確な予測に向けて、衛星や海洋観測等のデータベースを用い、国内外の関係機関・省庁との連携の下、地球観測、地球変動予測に関する基礎科学研究及びシミュレーションが三位一体となった研究開発を総合的かつ計画的に推進する。この中で高速計算機上で地球規模の複雑な諸現象を忠実に再現することを目指した地球シミュレータの開発を実施する。

e  地震防災に関するシミュレーションに関する研究
  地震そのものを実規模で再現することは不可能であり、現象の完全な再現が困難であるという制約を乗り越え、地震災害を軽減するための精度の高い技術を確立することが重要である。そのために、ネットワークや構造物等の振動実験データを活用しつつ、起こりうる様々な地震による地震動等と構造物、地盤、災害時の人間行動、情報流通面の課題等の多数の要素の振る舞いを、計算機上で現出することによって、地震災害のあらゆる状況をシミュレートできるようなシステムを開発し、それを用いた研究開発を推進することが期待される。

f  各種応用分野における計算科学技術に関する研究
  計算流体力学や分子動力学に代表されるように、大規模数値シミュレーションを用いて、実験・観測が困難な現象を再現し、その解明・予測に役立てる研究が進展している。これら計算科学技術は、例えば、計算流体力学の進展は高速航空機技術の研究等に、分子動力学の進展は物性の解明等にそれぞれ各種の応用分野の研究に大いに貢献するため、理論、実験に次ぐ第三の科学技術として期待されている。そのため、各応用分野においても計算科学技術の研究を引き続き推進する。

4  分散型デジタルコンテンツ統合システムの開発

  インターネットに代表されるコンピュータネットワークの普及により、データベース等のコンテンツは分散処理の時代に入った。
  国内外及び産学官のデータベースを有機的に連結させ、各データベースにあたかも一つのデータベースにアクセスしているように容易にアスセスでき、かつ高いユーザフレンドリな分散型デジタルコンテンツ統合システムを開発すれば、研究者等が他の研究機関等の膨大な量の科学技術情報を効率的かつ効果的に得られるようになる。

(1)研究関連情報ディレクトリの整備
  研究者、研究機関、研究課題及び研究資源についてのディレクトリを含めた総合的な科学技術情報関連ディレクトリを引き続き整備する。また、研究者等への効率的な情報提供を推進するため、このディレクトリには、他のデータベース等の情報に関するクリアリング機能も付加することが期待される。

(2)データベース検索支援辞典の整備
  異なった分野のデータベースを有機的に連結させ、シームレスな研究情報の入手を可能とするための科学技術分野や言語の違いに対応した多言語対応科学技術用語辞典等の整備について検討する。

(3)アプリケーションの開発
  複数のデータベースを同時に検索するシステム等多数のデータベースへのリンクを効率的かつ効果的に行うためのアプリケーションの開発が期待される。

(4)データベース化支援
  データベースの整備に関しては、研究機関が自ら整備することが望ましいが、予算、人員等制約がある中では、進展しにくいことも事実である。そのため、科学技術振興事業団における、国公立試験研究機関等の貴重な研究成果のデータベース化支援事業を推進し、さらに、データベースの継続的な保守管理業務の追加についても検討する。

(5)関係機関の連携
  分散型デジタルコンテンツ統合システムの開発・整備は、科学技術振興事業団、学術情報センター、国立国会図書館等の関係機関が密接に連携を図りながら行う必要がある。

5  国際協力の推進

  研究情報が国境の壁を越えて飛び交う現在、国際的な研究情報の円滑な流通には、国際協力が必要なことは言うまでもない。情報流通のインフラであるネットワークの地球規模での整備及び国際接続、世界各地に分散するデータベースの相互流通に必要な技術開発、G7パイロットプロジェクトに見られるような高度情報通信社会を先取りした実験等、国際協力の推進が期待される。

(1)アジア太平洋地域における高度研究情報ネットワークの整備
  前述したように、ネットワーク整備は、情報流通のインフラであり、世界各地の研究者との共同研究を推進するために、アジア太平洋諸国の協力により、アジア太平洋地域における高度な研究情報ネットワークを整備することについて検討する。

(2)データベースの相互流通のための技術の開発
  研究情報が国際的に流通するためには、各国がデータベースの整備を推進することが重要であることは言うまでもないが、それぞれのデータベースの相互利用が進むよう、英文データベースの構築を推進するとともに、データベースの項目を可能な限り共通のものとしたり、各国の科学技術情報に関するディレクトリの検索システムの開発が期待される。
  また、アジア諸国等と協力しつつ、英語を母国語としない人々の間の科学技術関連情報の流通が円滑になるように、これらの多言語データのデータベース化及び母国語と英語の自動機械翻訳システムの開発を促す。

(3)G7情報通信関係閣僚会合パイロットプロジェクト等の推進
  G7において共同開発プロジェクトとして定められているもの等のうち、科学技術関連プロジェクトについて、国際的なリーダーシップを取りつつ、積極的に推進する。

1)広帯域ネットワークの相互運用性実験(GIBN)
  高度情報化社会の基盤構築のため、多様な高速通信網の国際的な接続を推進し、世界的ネットワークにおける相互運用性を確保するための動画像の海外研究機関との伝送実験、通信技術の高度化実験等の各種アプリケーションを用いた実験を推進する。

2)環境・天然資源の管理(ENRM)
  G7を中心とする世界各国の環境と天然資源に関するデータのアクセス性及び電子的なリンクを改善し、様々なアプリケーションのための情報・データの交換を促進することを目的とするプロジェクトである。具体的には、ネットワークを利用して、関係国・機関が整備する環境と天然資源に関するデータの所在情報データベースの電子的な相互接続を行う。

3)電子図書館(ELS)
  世界各国の電子図書館を結ぶグローバルな電子図書館ネットワークの創設により、世界中の多くの人々の集大成された人類の知識への容易なアクセスを可能にする。

4)グローバル・ヘルスケア・アプリケーション・プロジェクト(GHAP)
  健康医療に関するデータカード、基準その他必要な機能の使用に関し共同研究を推進し、健康障害に対処するために必要な遠隔医療に関する高度情報通信技術の開発の可能性を追求する。

5)地球観測情報ネットワーク(GOIN)
  日米包括経済協議における「地球的展望に立った協力のための共通課題(コモン・アジェンダ)」の一環として、地球変動研究、環境・災害の監視や予測、警報等に役立つ地球観測情報を、政策決定者や研究者等の幅広いユーザが簡単に利用できる地球観測情報ネットワークの構築を目的として、地球観測データを扱う日米関係機関の自主的かつ持続的な協力を推進する。

6  人材の養成と確保

  優秀な人材の養成・確保は、研究活動の最も重要な施策である。
  ネットワーク、コンテンツ、アプリケーションの情報システムは、研究機関に不可欠な知的基盤であるので、それらを開発し、高度化し、利用することにより、国内外で効果的で競争力のあるものにするためにも、研究者の養成・確保のみならず、情報管理の体制整備、データベース作成等情報通信分野の人材養成・確保への配慮が必要である。

(1)研究者の養成と確保
  創造的研究を推進する上で最も重要な主人公は、研究者であることは言うまでもない。
  情報通信技術の急激な発展は、この分野の研究者が担うべき多くの魅力的な研究課題を産んできており、また波及効果も甚大であるので、かかる分野の研究者の養成・確保が重要である。
  また、情報通信分野の研究者は、研究機関内で、ネットワーク管理者としての役割を担わされ、負担になっているので、研究に専従できるように配慮する必要がある。
  なお、情報通信分野の研究者が、国内外の研究者と切磋琢磨し、あるいは協力し、優れた研究成果を上げることを期待する。

(2)ネットワーク管理の体制整備
  情報の重要性がますます増大する中で、研究機関及び研究に関連する機関の活動は、情報の適切な管理抜きでは、成り立たなくなってきているので、データベースの整備、ネットワークを活用した情報交流等の情報管理の体制整備が必要である。
  また、研究機関のLAN等ネットワークを管理・運用していくには、人員確保、管理体制の整備、24時間運用体制の確立、将来計画の立案等の業務が重要である。また、前述したように、情報通信分野の研究者がネットワーク管理者を兼務している場合が多く、そのまま放置しておいては、ネットワークの正常な運用に支障をきたすおそれがある。そのため、専門知識を有する専属のネットワーク管理者の確保に努める。

(3)データベース作成者の養成と確保
  研究機関におけるデータベース作成者の確保が重要である。国内外からアクセスされるデータベースの内容は、常に最新の状態にする必要があり、そのための管理者が必要である。また、データベースの作成、データベース管理等には専門的な知識と技術を持つ者が不可欠であり、そのための養成が必要である。
  さらに、データベース作成者に対する適切な評価、処遇や研究成果発信のためのウェブ構築、保守の支援者の確保が重要である。

(4)研究者等の研究協力の推進
  情報通信分野の研究で得られた成果は、短期的に実用化、企業化に結実する性格を有しているので、研究開発においては、技術移転をも念頭においた産学官の協力体制の組織化が期待される。
  また、地球規模でのネットワーク通信に不可欠な共通プロトコル等情報通信の国際的基準が必要なものもあるので、我が国の研究者は、海外の研究者等との間で積極的な研究交流を図る必要がある。
  さらに、情報通信技術は、将来大きな市場となる分野であり、先進国のみならず、開発途上国においても当該分野の人材の養成は重要な課題である。そこで、我が国が情報発信機能の役割を担っていく観点からも、先進国との共同研究を推進するとともに、途上国から研究者等を積極的に受け入れ、養成することにより、派遣国との関係を緊密にしていくことが期待される。

7  ネットワーク上での議論、発表の場の提供、研究情報の電子化、公開の促進等

(1)ネットワーク上での議論、発表の場の提供
  従来、研究成果は論文の形で出版され、他の研究者の批評を受けるという形であったが、情報通信技術の進展により、ネットワーク上のある場所に研究成果を発表し、関係研究者の間で議論するという方法も技術的には可能となっている。我が国の研究者や学会は、自主的に世界中の研究者がネットワーク上で議論できる場を提供することが望まれる。
  また、研究者によるネットワーク上での論文発表が、近未来に実現することが予想され、既存の論文発表のあり方にまで影響することが考えられるので、我が国の学会が、国内外からの検索引用を容易にするための論文の電子化等、積極的にネットワークを活用した方策をとることが期待される。

(2)研究情報の電子化、公開の促進
  論文のみならず、測定・観測データも可能な限り電子情報に変換して処理し、流通させるよう促す。
  研究情報の電子化、ネットワークを通じた情報の積極的公開は、共同研究を促進するのみならず、我が国の情報通信の真の発展にも寄与する。また、特に情報公開の観点から、研究成果をデータベース化し、ネットワークにより公開することが求められている。さらに、研究者において、ネットワーク上に論文等の研究成果を公開していくことが期待される。
  また、論文等研究成果のネットワーク上での流通促進についても、学術情報センターや大学図書館における電子図書館事業及び科学技術振興事業団のデータベース化支援事業を推進し、各学会等における論文の電子化の取組を促進することが重要である。
  政府においては、科学技術関連行政情報をネットワーク上に積極的に公開し、科学技術行政の一層の透明性を実現する。
  また、政府としては、国の研究成果については、国の研究機関内のみならず、民間企業においても実用化、企業化されるようネットワーク等を利用して積極的に公開していく必要がある。

(3)理解増進
  科学技術の重要性を国民にアピールしたり、高度情報通信社会の構築への理解と協力を得るためにも、研究成果に関する情報を国民に分かりやすい形で提供していくことが重要である。また、政府に対し電子情報で申請できるようにするなどにより国民の負担を軽減していく必要がある。
  さらに、電子図書館、電子科学館、遠隔学習は、国民が情報通信技術の成果に接触し、それを享受するための優れたツールであるので、一層推進する。

V  報告書の見直し等

  本報告書で記載された施策は、着実かつ確実に実行されることが期待される。
  また、情報通信分野の進展は急激であることから、適宜本報告書のフォローアップを行い、その結果をも踏まえ、時期を逸せずに、見直しを行っていくことが求められる。


科学技術会議政策委員会研究情報高度化小委員会
(主査) 猪瀬  博 学術情報センター所長
委員 池上 正 旭化成工業株式会社取締役研究開発副本部長
牛島 和夫 九州大学大学院システム情報科学研究科長
釜江 常好 東京大学理学系研究科教授
神沼 二眞 厚生省国立衛生試験所化学物質情報部長
後藤 滋樹 早稲田大学理工学部情報学科教授
斎藤 和男 科学技術振興事業団理事
塩見 正 郵政省通信総合研究所総合通信部長
菅原 秀明 国立遺伝学研究所生命情報研究センター教授
諏訪 基 工業技術院電子技術総合研究所情報科学部長
高木 清継 農林水産省農業研究センター研究情報部長(前)
農林水産省農業研究センター総合研究官(現)
高木 幹雄 東京大学生産技術研究所教授(前)
東京理科大学教授(現)
高橋 隆 京都大学医学部付属病院医療情報部教授
中島  洋 日本経済新聞社編集委員(前)
株式会社アスキー総合研究所社長(現)
西島  敏 科学技術庁金属材料研究所極限場研究センター長(前)
川崎重工業株式会社関東技術研究所技術顧問(現)
安田  浩 日本電信電話株式会社理事  情報通信研究所所長(前)
東京大学先端科学技術研究センター教授(現)