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 「平成13年度科学技術振興に関する重点指針」について 

 平成12年6月29日
科学技術庁


  科学技術会議政策委員会におきましては、本日付けで、「平成13年度科学技術振興に関する重点指針」を別添のとおり決定いたしましたので、お知らせします。 

  これは、関係各省庁において翌年度重点的に講ずべき科学技術関係施策に対する指針として、科学技術会議政策委員会が毎年度示しているものです。 

 (本件問い合わせ先)        
科学技術政策局政策課企画室
佐野、岡村(内線333)  




 「平成13年度科学技術振興に関する重点指針」 

 平成12年6月29日
科学技術会議政策委員会


  21世紀の幕開けを間近に控え、グローバル化や少子高齢化、IT(情報技術)の進歩など、時代の大きな変革の中で、我が国が人類の文化と知的体系の構築に重要な役割を果たすとともに、国民の安心・安全で快適な生活を確保し、国際競争力のある持続的な経済発展を目指す上で、科学技術の役割はますます重要なものとなっている。 
  政府においては、平成8年に科学技術基本計画を策定し、これに基づき科学技術の振興に努めてきたが、現在、平成13年度以降の5年間を対象とした次期科学技術基本計画の策定のための議論が行われているところである。「平成13年度科学技術振興に関する重点指針」については、この次期科学技術基本計画の初年度についての科学技術の重点化の方針を示す位置付けのものとなることが見込まれる。 
  また、平成13年1月に発足する総合科学技術会議は「科学技術に関する予算、人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方針」を示すことになるが、平成13年度の重点指針はこれに密接につながるものと考えられる。 
  このような状況において、平成13年度の重点指針の決定に当たっては、「科学技術基本計画に関する論点整理」(平成12年3月24日、科学技術会議政策委員会)、及び科学技術会議総合計画部会での次期科学技術基本計画に関するこれまでの議論を踏まえるとともに、各省庁に対する調査の結果(平成12年の重点指針のフォローアップ及び平成13年度に重点的に取り組むべき事項)、及び有識者からのヒアリングを参考にした。 


I.基本的な考え方

  「平成12年度科学技術振興に関する重点指針」(平成11年6月24日、科学技術会議政策委員会)においては、1)知的存在感のある国の構築、2)新産業の創出等による国際競争力、雇用の確保、3)安心・安全で質の高い生活を送ることができる社会の形成、を国家目標に掲げ、研究開発の重点事項として「ライフサイエンス」、「情報科学技術」、「地球・環境科学技術」の3分野を取り上げた。その後、内閣によって、ミレニアム・プロジェクトの一環としても、これらの分野の研究開発が重点的に推進された。 
  平成13年度の重点指針は、平成12年度の重点指針の方針を踏襲しつつ、一層発展させることとする。 
  「知」の源泉としての基礎研究については、世界的に見て水準の高い先端的・創造的な研究を引き続き強化するとともに、新しい学問分野の開拓に積極的に挑戦することにより、国際社会に知的な貢献を果たしてゆく。  国家的・社会的課題に対応した研究開発については、平成12年度の重点指針で取り上げた3分野を引き続き重点化するとともに、ミレニアム・プロジェクトの情報化、高齢化、環境対応の各分野についても、引き続き研究開発を重点化する。 
更に、上記の3分野に加え、広範な研究開発分野の開拓の礎となり、あらゆる科学技術のブレークスルーの源泉である「物質・材料分野」を、我が国が世界に先駆けて革新的技術を先導するという観点から、重点化を図る研究開発分野とする。 
  一方、21世紀においても我が国の生命線とも言うべき経済力の源泉である、ものづくり産業の国際競争力を維持・向上させていくため、産学官の連携により、ものづくりに係る技術革新に資する取り組みを戦略的に行う。 
  社会が発展し、社会から科学技術に対して要求する内容も複雑で多様なものになり、また、それに応える科学技術の進歩が社会を変革しつつあるが、21世紀においては、更にこれが加速されていくものと考えられる。総合科学技術会議は人文科学、社会科学及び自然科学を総合した科学技術を対象とする総合戦略を策定することとなるが、膨大な科学的知識が与える影響が極めて大きく、その速度も速い現代社会において、解決すべき様々な問題に適切に対処するため、自然科学者と人文・社会科学者等の協力による研究を推進するとともに、自然科学と人文・社会科学との統合の発展を促す取り組みを推進することが重要である。 
  上記の研究開発の重点化の他、世界水準の成果を上げるため、研究者が創造性を発揮し、研究開発を効率的に推進できるよう、研究開発環境の整備等に重点的に取り組む。 


II.平成13年度に取り組むべき重点事項

  平成13年度の科学技術の振興に当たっては、「知」の源泉としての基礎研究を引き続き強化するとともに、以下の事項を重点的かつ緊急に推進することが必要である。 

1.国家的・社会的課題に対応した研究開発の重点化

(1)ライフサイエンス分野、情報・通信分野、地球・環境分野、物質・材料分野
  ライフサイエンス分野、情報・通信分野、地球・環境分野については、平成12年度の重点指針において「2  平成12年度に取り組むべき重点事項」 (別添参照) として示した各分野のそれぞれの項目に下記の項目を加え、重点的かつ緊急に推進する必要がある。 
  また、上記の3分野に物質・材料分野を加え、下記の項目について重点的かつ緊急に推進する必要がある。 

1)ライフサイエンス分野
・バイオインフォマティックス
・タンパク質の構造・機能解析
・新しい医療技術
・遺伝子組換え体の安全性 

2)情報・通信分野
・IT(情報技術)を使い易いものとし、デジタルディバイド(情報  格差)の是正にもつながるヒューマンインタフェース技術
・情報セキュリティ技術 

3)地球・環境分野
・化学物質のリスクの極小化・管理を実現するための技術 

4)物質・材料分野
・ナノ融合物質・材料
・安全材料
・環境・循環型材料
・ITを活用した計算科学による物質・材料の知的設計    等 

(2)その他、特に重視すべき事項 

1)ものづくりに係る技術革新に資する取り組み
  次代のものづくりに係る技術革新に資するため、製造技術のうち下記の項目について戦略的に取り組む必要がある。 
・ナノ単位の製造基盤技術
・ITとMT(製造技術)を融合したものづくり革新に資する先端的な基盤技術
・次代のものづくり基盤の整備(技術伝承、失敗伝承等)        等 

2)自然科学と人文・社会科学との統合に係る取り組み
  科学技術及び社会の進歩、発展により生じている様々な問題の解決のため、自然科学者と人文・社会科学者等が協力して俯瞰的に取り組むべき研究を推進する。また、新しい学問のパラダイム(枠組み、規範)の創出につながるような自然科学と人文・社会科学との統合の発展を促す取り組みを推進することが重要である。 

  これらの研究開発に取り組むに当たっては、あらゆる分野で急速に発展しつつあるITを積極的に活用することが重要である。また、研究者の流動化を促進しつつ、分野を超えた有機的連携を図ることが必要である。 


2.研究開発環境の整備等

(1)研究開発環境の整備 

1)研究施設の重点的整備
  大学・大学院を中心とした研究施設・設備の老朽化・狭隘化問題の解決に向けて、適切な改修や機能向上を図るとともに、顕著な成果を上げているところに重点化を図りつつ、世界水準のものを整備する。 

2)競争的資金の拡充
  より競争的な研究環境を目指し、競争的資金を拡充し、間接経費(オーバーヘッド)の導入を図る。 

3)人材育成
  次代を支える科学技術系人材を育成・確保するため、若手研究者を対象とした競争的資金の拡充、研究者・技術者教育の充実、大学院学生への支援の強化、科学技術に関する教育・教養の充実等を図る。 

4)大学・大学院の改革
  新しい学問分野の展開や、社会が求める人材育成に対応できるよう、教育研究内容の改革、教育研究環境の整備・充実を図り、国際的に通用する大学・大学院の実現を目指す。 

5)産学官連携の促進
  産業技術の強化を目指し、産学官の有機的連携を促進する。 

(2)研究開発の評価
  世界水準の研究を達成するため、評価体制を充実し、より公正で透明  性の高い評価を行うとともに、評価結果の資源配分等への反映に努める。 

  なお、総合科学技術会議が策定する我が国全体を俯瞰した総合戦略を真に実現し誘導するための政策手段の一つとして、その目的が十全に達せられるよう、科学技術振興調整費の抜本的な見直しを行う。 



(別添) 


 平成12年度科学技術振興に関する重点指針(抄) 


 平成11年6月24日
科学技術会議政策委員会


2  平成12年度に取り組むべき重点事項 

(1) 国家的・社会的ニーズを踏まえた科学技術政策課題に関し取り組むべ き事項 

  1)ライフサイエンスの研究開発
  ・ゲノムを中心としたライフサイエンスの基盤的分野の研究及び新しい技術の開発
  ・脳研究
  ・発生・分化・再生研究(特にティッシュ・エンジニアリング)  等 

  2)情報科学技術の研究開発
  ・社会のニーズを明確に指向した基礎・基盤の強化
  ・ネットワーク時代に対応した円滑な情報流通の実現  等 

  3)地球・環境科学技術の研究開発
  ・大気・海洋・生物等の各圏域を統合した地球変動の解明・予測
  ・環境と調和した循環型経済社会の構築に資する技術の研究開発  等 



 (参考) 


「平成13年度科学技術振興に関する重点指針」
用語解説 

 「バイオインフォマティクス」
   ライフサイエンスと情報科学とが融合する研究領域。ゲノム情報だけでなく遺伝子から蛋白の構造や機能までを含めた生物情報を広く活用することを目的とした生物データ全体を取り扱う総合的な科学。 

「遺伝子組換え体」
   生物細胞内で複製可能なDNAと異種のDNAとを、酵素等を用いて結合させることによって作成した組換えDNA分子が移入された生細胞及び生物等。 

「ヒューマンインタフェース技術」
   情報通信機器、情報ネットワーク等を利用者の環境や状況に応じて人間に使い易いものとするための技術。認識・意味理解技術等。 

「情報セキュリティ技術」
   情報システムに対する脅威(不正行為、災害等)の防御、及び情報システムの応用分野(電子商取引等)における信用の確保を目的とした技術。 

「ナノ融合物質・材料」
   原子・分子サイズのナノ単位(10-9〜10-6メートル)で物質の構造、形状、表面、界面等を制御し、無機と有機、半導体とバイオ材料、材料とデバイス(電子素子)など異なる機能や概念を融合した材料。
(注)ナノ=10-9(10億分の1) 

「安全材料」
   安全・安心な人工物の構築、維持を目指した、破壊、腐食しにくい材料、有害な電波・騒音・振動を抑える材料、亀裂、ひずみ等の事故の前兆を感知し修復する材料等。 

「環境・循環型材料」
   リサイクル可能な高機能材料、生産工程において枯渇性資源の利用を控えるとともに排出物の低減を可能とする材料等。 

「ティッシュ・エンジニアリング」
   細胞を人為的に分化・成長させて、人工的に臓器或いは組織を作り出す技術。人工皮膚や軟骨、骨、靱帯等が既に開発されている。「ティッシュ」は「組織」の意。