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 科学技術会議政策委員会情報科学技術委員会(第1回) 
議事録 


  1.  日時    平成11年6月10日(木)10:00〜12:00 

  2.  場所    科学技術庁第7会議室(通商産業省別館9階) 

  3.  出席者 
    石塚主査、熊谷委員、秋吉委員、礒山委員、伊藤委員、上野委員、宇津野委員、 
    戎崎委員、小柳委員、金久委員、上林委員、後藤(敏)委員、後藤(滋)委員、 
    清水委員、諏訪委員、田中委員、土居委員、中村委員、西村委員、林委員、 
    畚野委員、松田委員、米澤委員 

    (事務局)(科学技術庁)池田研究開発局長、中澤官房審議官(研究開発局担当)、
                                     丸山計画・評価課長、岩瀬情報科学技術推進室長 
                 (文部省)       諫山学術情報基盤整備推進室長 
  4.  議題 
      (1)科学技術会議第25号答申の具体的実施に係る検討について 
      (2)当面の委員会の進め方について 
      (3)その他 

  5.  配付資料 

     資料1−1−1  諮問第25号「未来を拓く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」に対する答申 
     資料1−1−2  諮問第25号「未来を拓く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」に対する答申(別冊資料) 
     資料1−1−3  科学技術会議諮問第25号「未来を拓く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」に対する答申の要点 
     資料1−2−1  情報科学技術委員会の設置について 
     資料1−2−2  情報科学技術委員会構成員について 
     資料1−3  情報科学技術委員会の公開に関する取扱いについて(案) 
     資料1−4  情報科学技術委員会の当面の進め方について(主査試案) 
     資料1−5  重点領域検討WGの設置について(案) 


  6.  議事概要 

     (1)  主査による開会の挨拶後、委員及び事務局の紹介があった。 
     (2)  情報科学技術委員会の公開について意見交換が行われ、委員会の議事、配付資料及び議事録を原則公開とすることとなった(資料1−3)。 
     (3)  事務局から科学技術会議諮問第25号に対する答申について説明が行われた(資料1−1−1、資料1−1−2、資料1−1−3)。 
     (4)  事務局から委員会の設置について説明が行われた(資料1−2−1、資料1−2−2)。 
     (5)  委員会の当面の進め方について意見交換が行われ、重点領域検討WGを設置することが決定された(資料1−4、資料1−5)。 
     (6)  WGの活動状況を踏まえ、次回の委員会の日程を調整することとされた。 
     (7)  部会長から閉会の挨拶があった。 


  7.  議事内容 

    (1)委員会の公開について 

    ○主査  議事次第にある議事に入る前に、本委員会の公開に関する取扱いについてお諮りしたい。 
      国の審議会については、特段の事情がない限り、原則公開ということになっているので、本委員会もそれにならうこととしたいという趣旨であるが、事務局から補足説明をお願いしたい。 

    [事務局から資料1−3を説明] 

    ○主査  この公開に関する取扱いについては、科学技術会議の委員会では大体同様の取扱いとなっている。なお、いくつか例外的に非公開とすることができるという規定があるが、ここの部分については、その都度またご相談申し上げることとなると思う。 
      この取扱いについて、何かご意見、ご質問があればお願いしたい。 

    (特に意見等無し) 

    ○主査  特にご意見、ご質問等は無いようなので、このように決定させていただく。 

    (傍聴希望者入場) 

    (2)科学技術会議第25号答申の具体的実施に係る検討について 

    ○主査  それでは、科学技術会議第25号答申の具体的実施に係る検討についてという議題に入りたい。 
      これは、本委員会の開催の趣旨についてということにもなろうかと思う。先週の2日に科学技術会議の本会議が開催され、「未来を拓く情報科学技術の戦略的な推進方策の在り方について」という諮問に対する答申が決定され、同日付で総理大臣に答申された。その答申においては、情報科学技術の戦略的な推進のための考え方、或いはその方策が示されるとともに、それを実施に移していく際には科学技術会議が適切に関与していくということが重要であるという指摘がなされたところである。さらに、情報科学技術は、ご存じのとおり、非常に変化、進歩が激しい分野である。情報科学技術の戦略的な取組みに当たっては、この内外の情勢の変化を踏まえて、適時適切な対応が求められることになる。こうした観点を踏まえ、科学技術会議の政策委員会のもとに情報科学技術に関する常設の委員会が設置された次第である。 
      また、本委員会の委員の構成については、情報科学技術分野の産学官の有識者の皆様にとどまらず、第25号答申が社会のニーズを明確に指向した基礎・基盤の強化ということを基本的に打ち出していることを踏まえ、さまざまな社会のニーズの側の有識者の皆様にもご参加いただいている。 
      第25号答申の案は科学技術会議の情報科学技術部会において審議され作成されたものであるが、その部会にご参加いただいた方々も何人かこの委員会にご参加いただいている。そういった方々は既に答申案の内容についてはよくご存じであるけれども、答申と、それからその要点の資料が本日お手元に配付されているので、事務局から簡単にご紹介願いたい。 

    [事務局から資料1−1−1、資料1−1−2、資料1−1−3を説明] 

    ○主査  只今の答申を踏まえ、今後、情報科学技術をどういうふうに進めていくかという幅広い議論が必要であり、このことについては本日の委員会では最後に皆様方からご意見をいただく時間をとりたいと思っているが、とりあえず、只今の答申の説明について何かご質問があればお願いしたい。 
      この後、この委員会を運用していく上で、随時、答申の内容、あるいは進め方等についていろいろと答申に立ち戻ってご議論いただくこともあろうかと思うので、今特にここでご質問がなければ、またいつでもご質問いただいて結構である。 
      それでは、本委員会の設置に関する資料がお手元に配付されているので、これについて事務局から説明願いたい。 

    [事務局から資料1−2−1、資料1−2−2を説明] 

    ○主査  では、只今の事務局の説明に対して何かご質問があれば、お願いしたい。 
      それでは、この時点ではないようであれば、またいつでもご質問を頂くこととして、次の議題に進めさせていただく。 

    (3)今後の委員会の進め方について 

    ○主査  次の議題は、今後のこの委員会の進め方についてである。この委員会の検討事項というか、マンデートが非常に広いものであるので、幅広いご議論をお願いしたいと思うけれども、とりあえずは緊急の検討事項もあるわけで、この委員会をどういうふうにこの後具体的に進めていくかということについてお諮りしたい。便宜上、私の試案というものをつくらせていただいたので、これを基にご説明させていただきた(資料1−4)。 
      当委員会は、情報科学技術の戦略的な推進を図っていくため、第25号答申の具体的な実施に関する調査検討を行うとともに、常設委員会として、情報科学技術をめぐる内外の状況を把握し、答申の適切なフォローアップなど、中長期的な観点から調査検討を行っていく必要があるが、特に、緊急にご審議をお願いしたい事項として、第25号答申で提案されている先導プログラムというのがある。この先導プログラムについては、速やかな実施に資する観点、特に、関係省庁においてはこの夏に来年度の予算要求の作業を控えているということで、できればそういったことに反映させていただくという趣旨から、当委員会として具体的な方針を示していく必要がある。そこで、当面は当該プログラムの具体的な実施に係るご審議に集中的に取り組んでいただいてはいかがかと考えている次第である。 
      まず、答申の考え方に沿って先導プログラムのための重点領域を速やかに決める必要がある。 
      それから、各省庁による先導プログラムへの取組みの具体化を図るという段階が次にある。各種の財源による種々の方式による取組み、マルチの財源を使って、取組みも様々なスタイルが想定されるわけであるが、そういったものを検討した上で、具体的に12年度予算要求にそれをどのように反映できるかという段階が次に出てくる。 
      次に、関係省庁による先導プログラムへの取組みについての予算要求がどのように実際になされたか、9月以降の段階でフォローする必要がある。そういう状況を当委員会としてはぜひ把握する必要がある。 
      こういった段階を経て出発する先導プログラムの適切な実施について検討していく必要がある。例えば、科学技術振興調整費を利用するシステムでは、課題の公募というものがあり、その選定を行う場合には事前の評価が必要になるし、あるいは事後評価、中間評価といったことも当委員会の役割の一つであろうかと思う。 
      それで、まず1カ月余りの間にやらねばいけない具体的な重点領域の設定についての作業の進め方であるが、まず、社会的なニーズをどのように汲み上げていくか、ニーズからどのような情報科学技術が求められているのか、こういったことを整理する必要がある。ニーズを達成するためにブレークスルーが必要となるような基礎的な、あるいは基盤的な技術の領域は一体どういうものなのかということを整理する必要がある。この作業のためには、先程事務局からの説明にもあったとおり、答申案を審議した情報科学技術部会の段階で49人の専門家からいろいろヒアリングを行い、それを取りまとめた資料があって、事務局を中心に、また専門の方々のご意見、ご助言もいただきながら、その資料を分析し、整理したものもできているので、そういった資料を活用してスピードアップを図りたいと考えている。 
      そして、その中から、多くの社会ニーズに共通して必要とされる情報科学技術の技術項目と技術レベルを整理した上で、技術の波及性と先端性の観点から重点を図るべき研究領域、いわゆる重点領域を選定していただいたらいかがかと思う次第である。 
      それで、この作業は大変忙しい作業になろうかと思うが、これを速やかに行うために、当委員会の下にワーキンググループを設置して、そこで短期的に集中的に作業を進めるのが実際的ではないかと考える次第である。 
      当委員会としては、そのワーキンググループの作業結果を踏まえ、改めて重点領域の案を選定し、それについて国民の皆さんからインターネット等でご意見も募集した後に、最終的に当委員会が重点領域をご決定いただくという趣旨である。 
      それで、ワーキンググループを含め、重点領域の設定に係るタイムスケジュールの一案を示している。本日この委員会において進め方を決定いただいた後、直ちにワーキンググループを設置して、7月初めまでに重点領域の案の選定作業を行っていただく。7月中に、ワーキンググループからの報告を踏まえて、委員会として最終的に決定いただくということである。8月中には各省の予算編成作業というものがあるわけであるが、9月以降に、各省庁の取組み状況を踏まえながら、それ以降の当委員会の進め方を改めて検討するというスケジュールを一応考えている。 
      なお、私が今申し上げたことはわかりにくい点もあろうかと思うので、作業全体の概念、イメージといったものの一案を事務局で作成していただいているので、これについて事務局から説明願いたい。 

    [事務局から資料1−4を補足説明] 

    ○主査  説明した内容について、ご質問、ご意見があればお願いしたい。 

    ○委員  今の参考図のご説明についてであるが、ニーズから絞り込むということではないかと思うが、この委員会のやるべき重要なことというのは戦略的な領域をいかに限定するかということであって、ニーズが多いというのは、この戦略の上に乗せるべきことだという気がする。だから、その辺をどういうふうにやっていくかということをお聞きしたいと思う。 

    ○主査  重要なご質問だと思う。単にニーズの側からいくというのではなくて、戦略論としてはやはり、一つのニーズを目指した技術がそのニーズだけではなく、しかもブレークスルーを与えるような技術を目指していくという場合に、これはまた他のニーズにも波及効果が出てくる、ということかと思う。その点について事務局からは何かあるか。 

    ○事務局  今の委員のご指摘は、個々のニーズの視点ということだけではなくて、大きく戦略的な視点が大事だということかと思う。ニーズからいろいろな技術項目が出てきて、それはいわば材料として出てくるということだと思うので、個々の技術を百科事典的に並べるのではなくて、そういうものを大きく整理して、どういう方向性が大事かという整理の仕方をするということが大事だということをご指摘いただいたかと思う。こういう一つのイメージでやっていく上で留意すべき重要な点ではないかと思う。 

    ○委員  戦略というものは短期的戦略と中期的戦略と長期的戦略とに分類することができ、今、委員ご指摘のような、当面の社会のニーズを調べるというのは、短期的戦略にとっては必要なことではなかろうかと思う。中長期的な戦略については、これはかなり専門家の専門的な見通し等が大きく意味を持ってくると思うので、この委員会で短期的及び中長期的な戦略を総合的に策定するということであれば、この事務局案の参考図のようなニーズの調査もそういう意味では必要であろうかと思う。 

    ○委員  今の議題は情報科学技術委員会の当面の進め方ということで、これは情報科学技術委員会のミッションというか、そういうものと非常に密接に関係してくる問題かもしれない。それで、当面、例えば事務当局の方で来年度の予算化に向けてこういう作業をしなければいけないということに関してもきちんと取り組まなければいけないという気はしているが、例えば個別重要分野というものを決める。これも戦略の大きなものであるけれども、さらに、なぜ情報科学技術という分野で特に戦略が必要かということを考えてみると、例えばデバイスの方で言えば、割とロードマップか何かを引いてできるであろうという話が簡単に言われるわけであるが、情報の分野はそれが適用できないという、それだけでは不十分だという認識がある。テーマを決めればいいとか、目標を定めればいいというだけではなくて、研究そのものの展開の仕方だとか、あるいはそういう情報技術等いろいろ社会システムとの関係において、どういう環境を設定していくとこういう分野が進むかと。それは何のためかというところももちろんある。そういう非常に広い視点からの戦略を立てる中心的な存在というのが日本にはないではないかというのを何となくみんなが感じていて、フラストレーションを感じているところでもある。では、それが一足飛びにできるようになるかというとなかなか難しいとは思うけれども、これから行政改革の中で総合科学技術会議とか、そういう少しマクロな観点からの研究開発技術の戦略を立てようという方向に今世の中が進んでいる中で、特に情報技術分野では、そこに参画している現場の方がそういうものの必要を感じているということを一つのよりどころに、少し先行的に科学技術会議の中でそういう議論の場をつくってはどうだろうかという背景があるのではないかと私は勝手に推察している。そういうこの委員会のミッションというものと、それの進め方というものが大きくまず議論される必要があるような気がするんであるが。もちろん、7月までにこういう重点領域を決めて、行政当局の方が財政当局に予算を要求するためのスケジュールというものも、それは準備しないと先へ進まないから、それも大事だと思う。 

    ○主査  ご指摘のように、ここでご提案しているスケジュールは、とりあえず当面こういうスケジュールに乗せて、少しでもこの委員会の成果というものを早く反映させたい。しかし、それは決して完全なものではなくて、試行錯誤的に始めるという段階であろうかと思う。研究現場そのものも、現在、行革の結果、独立行政法人というものに変わっていくわけであるし、ファンディングの仕方についてもまたいろいろと変わってくるという状況であるので、中長期的な観点から抜本的にどうするかというのはこれから非常に大きな課題として取り組まなくてはいけない。今、委員がおっしゃったとおり、一つの将来に向かってのモデルケースというか。日本の場合は、アメリカなどと違って、大統領府が示す方向に沿って全省庁が連携してそれに取り組むという体制になっていない。大統領府が重点を示して方向を示している、それに代わる役割というと非常に僣越であるが、そういった役割もできればこの委員会が果たしていかなくてはいけないのではないかと考えているわけである。今、委員ご指摘の非常に重要な点については、この1カ月や2カ月ではなかなか明確にはなってこない部分かと思うので、今年はとにかく目前に予算編成のタイミングがあるので、それに何とか間に合うような限度での作業ということではなかろうかと思う。 
      この点についていろいろとご意見があろうかと思う。 

    ○委員  実は、この話は、確かに短い時間でニーズのところから基礎的な技術のところまでつないでいくという一つの作業をこの委員会でやらなければいけないとすると、これは常識で考えると大変なことだなという感じがする。だから、ニーズがどこにあるのかというのをまず今から一つ一つ調査して知らなければいけないのかどうかということであるが、それを本当に知ろうとしたときには結構苦労が多いと思う。 
      我々の会社の中で情報化をどういうふうにやっているかということをちょっとご参考までに話すと、大体システムの開発は会社の中期計画で全部そろえている。中期の期間中に技術開発が進んで実用化が図られたら、それを取り入れて会社の中の構造改革をやりたいとか、あるいはお客さんとの関係を抜本的に変えたいとかという、ある程度中期的なものを見ている。そのときには、大体名前としてはネームドというか、もう表に出ているような技術で、実際に我々が見ているのは、本当にそれはコストで大丈夫なんだろうかとか、安定した運用ができるだろうかとか、セキュリティはどうなっているのだろうかとか、そういうものを見きわめるぐらいであって、恐らくここで言う基礎技術まで使って国家戦略として何かぶち上げるというと、その2〜3年よりもっと先の、我々にしてみると、こんなことができたらいいな、こんなことができたら会社同士の競争力にも相当大きな影響があるしということをアイデア段階で持っているという、そのアイデアを吸い上げてここにつなげないと、実はタイミングが多分ずれているんじゃないかなと思う。今のお話だと、2〜3年以降出てくるであろうという、例えばモバイルだとか、そういうものはもう既に日経さんの記事にもいっぱい載っていますから、そういうものを今から改めて聞くよりも、もうちょっとどういうことをやったら産業の競争力につながるのかという点のニーズというと、結構会社の中でも特定の人だし、どこの会社がどんなことを考えているなんて、こういう公開の場で余り言ってほしくないようなことであるから、調査もなかなか難しいなと。もしそこまでやって社会のニーズを整理して、この基礎技術に落とすという作業までこの短い期間にやるとなると、これは不可能じゃないかなと思う。むしろ私は、今回の2カ月間でやって来年度の予算につなげるということになれば、今まで2年なり何なりいろいろな検討をしてきているわけであるから、その中で落としどころというか、幾つかの案があって、それは社会に役立つのかとか、ニーズがあるのかないのかという検証だったらできるかもしれないけれども、真っさらなところから、ニーズからこの作業をずっとやるというのはいかがなものかというのが私の意見である。 

    ○主査  おっしゃるとおりであるが、先程来ご説明申し上げたとおり、この答申案をまとめる段階でいろいろな議論をしてきているわけである。その過程においては、先程説明があったように、49人の専門家の方々からいろいろとヒアリングを行って、どのあたりにニーズが存在するかということについていろいろ調査のデータ、これは本日の配付資料の1−1−2の後半の方に取りまとめているが、これをさらに分析して資料を再整理しているから、とりあえずは今回のワーキンググループの作業では、そういった資料が一つの基礎的な資料として使えるのではないか。これから改めてニーズの調査をするということはとても今年は間に合わないということは、ご指摘のとおりかと思うが、かなりそれなりの資料はまとまっているのではないか。本年度についてはそのように考えている。 
      それから、企業機密というようなことで、どういう技術が重要かということはなかなか打ち出せないのではないかというご指摘もあった。産業界が自ら取り組んでいる分野は非常に多くあるし、それはそれで非常に大きな日本の技術開発のパワーだと思うが、ここで狙っている基礎的・基盤的と言っているのは、戦略的に見て、産業界だけではなかなか取り組めないだろうという点に着目して、先端的な波及効果の大きな社会ニーズに対しブレークスルーを与えるという領域のものをご専門の皆様方にご検討いただいて選び出していこうということかと思っている。 

    ○委員  それでは、今のご議論の中で方向が出ているかと思うけれども、私も、この前の答申のときにお手伝いしたのだけれども、今出てきているご発言をちょっと見ると、社会のニーズという言葉の受け取り方が各委員で若干違いがある。つまり、非常に卑近なもので言いますと、それこそ製品開発みたいなもの、これも社会のニーズという言い方をするし、あるいは今ご議論の中で出てきたのは、社会のニーズという言葉にはなっているけれども、例えば主査のご発言などにあるような意味での社会のニーズというのは、むしろあるべき将来の社会のビジョンを提示するというものにやや近い。それはどうしてかというと、先程来出ているように、国の中でこういった政策に関して議論する場というところが、特に先程来ありました企業の方でおやりのもの、あるいは個々それぞれの所でいろいろおやりのものを総合的に見て戦略を決めるというのがここの立場だとすると、本来は情報科学技術というものが社会と不可分になっているという認識があって、その上でいろいろ提示していくべしということだと思う。ただ、にもかかわらず短期的なことが言われているというのは、我々も作業をする過程でいろいろな方々のヒアリング、このヒアリングの対象も資料1−1−2の後ろの方に具体的に掲げられているわけであって、ここにいる方もおられるわけであるけれども、やはりこれは企業の方とかマーケティングの方ではなくて、いわゆる研究というスタンス、企業でも研究所の所長さんとか、そういう方が主なわけであって、そこで出ているものというのは自ずから、企業の方でそれぞれの活動の中でおやりになっているものとは全く同じ領域を狙っているのではないのではないかと思うわけである。 

    ○委員  その点については、やっぱり日本の産業の競争力強化につながるようなものでないと、技術そのものというのは生かされないんじゃないかという、技術を日本が戦略的に持つとしたら、やっぱり日本の産業の競争力強化にもつながるような、そんなものでなければいけないんじゃないかなという意見を私は持つものですから。 

    ○委員  それは否定はしておりませんが、ただ、ここで言っている3枚目の事務局が提示された絵の中でどこに重点があるかといったら、やはり技術項目というところだと思う。今言われたように、それぞれの領域で各界をリードされているような方がここへお集まりなわけであるから、それぞれの方がそれぞれの背景のもとで、技術項目としてどういうものが重点的であるかというのを提示されるのはそれぞれの見識と。そういうものの総体として、この委員会がどれ位のものを出して、これが重点であると明確に言う。これは内外ともに言うという意味でありますけれども、それがここに求められていることと思う。そのためには、先程言われたように、いわば調べ尽くすとか考え尽くすということはとてもできないとは思うが、ただ、今の時期にそれが必要とされているということと、それから主査と事務局の方で強調されたことを単に概算要求対策本部的にとられるとちょっとまずいと思うが、各国比較をやると、実は日本の中でも、いろいろな制度とかいろいろな予算あるいは先程の公募であるとかという中に相当関連なものが既に行われていたり、あるいはこれから行い得るということがあると見ている。そうであるならば、せっかくの機会なので、ちゃんと連携がとれた方がよかろう。あるいは、推進される人であれば、この場の議論、あるいは既に出た答申というものをうまく活用していただいて推進していただいた方がよかろう。そういう趣旨だと私は理解している。 

    ○委員  基本的には先生の今のお話と同じであるけれども、恐らく、この参考図というものをいただいて、上の社会のニーズというところに書いてある項目は、ある部分は実現しにくいかもしれないけれども、実現しやすいとは言わないけれども、割と人口に膾炙したことがかなり書いてあるので、目標がちょっと低いと言うと失礼かもしれないが、卑近なものになっているように見えるんじゃないかという印象がある。もう少しこの辺が、高い目標といいますか、大きな目標を社会ニーズとして設定という形で汲み上げられれば、技術競争力を上げるような項目を包括的に取り入れることができるかと思っている。 

    ○主査  ここに掲げられている社会のニーズ、非常に身近なものがニーズとなっているけれども、もうちょっと大きな視点からのニーズのとらえ方もあるであろうというご指摘である。私もそういった感じを持っているけれども、社会のニーズというのはどのあたりのことを指しているのか。教育問題とか、高齢化社会への対応とか、いろいろな切り口があって、ニーズというのも、大きなとらえ方とやや小さなとらえ方ができるのかもしれない。先程の委員のご発言に、情報科学技術の開発は産業競争力の強化に結びつくものであらねばならない、という指摘があった。それは当面非常に重要な問題で、それ自体が一つの社会的なニーズになっているという理解もできるわけであるけれども、今後の情報化社会、来るべき情報化社会に向けて、情報科学技術というものの高度化、その活用によって経済が活性化する、あるいは新産業が創成される、国際競争力も出てくるという効果として、産業の競争力というものに結びついていくという部分もあるのではないか。初めから産業力強化だけに絞ってニーズを生み出すということは、この答申の趣旨ではないのではないかと私は理解している。もちろんそれも一つの重要なニーズであるし、具体的な技術領域を設定する際にはそういったことも当然踏まえていく必要があろうかと思うけれども、もう少し広い観点からのニーズの汲み上げということも答申は要求しているものと思っている。 

    ○委員  今のお話を伺って、社会のニーズということに関して幾つか階層的にいろいろな方々で意見が違うことがあると思うけれども、私の立場から、社会のニーズとか、ここに書かれている答申等について、委員就任に先駆けて少し資料をいただいて、それを見た範囲のことでちょっとお話しさせていただきたいと思う。 
      まず、構成員の名簿を見てもわかるように、皆さん組織をほぼ代表されている方で、私は基本的にどこの組織も代表している。そういう立場ではなく今まで仕事をさせてきていて、その反面、産業界だとか、あるいは学術的な部分だとか、あるいはマーケットだとか、いろいろな部分での仕事をさせていただいてきている。そういう中から見させていただいていると、ここに書かれている部分のことについて、キーワードは基本的には情報化全体で物質資源依存から情報資源へ、いわばハードからソフトということを言われているわけであるが、ハードとソフトというものをインフォメーション・インダストリーの中でどう見るかということは、私がベンチャーの仕事などを見ていると、非常に重要な意味合いをすごく感じている。 
      というのは、ハードの時代というのは、所有権を移転するというのが産業構造に基本的にある。大量生産をして大量消費をして人から人へ物が移るという形であるけれども、情報化時代のソフトを中心にしているものというのは、基本的には所有権の移転ではなくて、基本的財産の知的所有権のライセンスという形が主体になっているわけである。ライセンス主体になっているというのはどういう意味かというと、それまでの産業構造では、原材料は1回しか使われないで、付加価値はだんだん2次、3次と上がっていくという形であるが、ソフト産業においては、原材料イコール基本的にはIPRである。Intellectual Property Rightsということにソフトではなっていて、それを何遍使い回せるかという形が基本的な構造になっている。したがって、IPRをかっちりと押さえているところは、産業構造の中でいろいろなところで工業化とか製品化されているところで、ずっと波及効果が高い。それが基盤・基礎的な部分でアメリカが今現実に長じている理由のポイントだと思っている。 
      例えばIPRで言えば、昨年日本で特許申請は36万件と言われている。アメリカで約12万件。これまでもずっと日本が3倍とか数倍多いわけであるが、それにもかかわらず基盤的な部分はアメリカの部分が非常に多くなっている。それはなぜかというと、やはり基礎的・基盤的な理論と特許の関係が明快に結びついて動いているというところがあると思う。日本の場合はどちらかというと、特許は技術的で、非常に解析、分析的で、個々のところへ落ちていっている。しかし、アメリカの場合は、基礎概念で取るような概念的な特許を許すという環境があるので、そこに集中して人が集まって物事が起きてくる。今、例えばデファクトスタンダード化をするということがここ最近ずっと叫ばれているけれども、デファクトスタンダードというのはある意味ではIPRである。IPRは、法律で認められていないけれども、やはりデファクトスタンダード。ただ、成熟された情報社会では、デファクトスタンダードというのはうまく活動する。それはもう既にインフラから何からそろっているし、ベンチャーキャピタルも投資家もいろいろな形でいるという形で整っているわけである。しかし、日本の今の状況というのは、基本的に今からやらなければいけないのは、ここで書かれているような基礎研究、基盤研究をどうやって最終的にインダストリーまで結びつけるかということになる。そこのところでただ基礎研究と基盤研究を研究所のところでやっていた場合に、それを産業に結びつけるというときにどうするのかという。研究をやられている方々は、これは必ずシーズになるし、いろいろなところになると思うが、産業側から見ると、一遍にはなかなかシーズにはならない。産業のシーズにならない理由は一体何かというと、IPRが特定されていないために、だれかがそれをざっと作業をしたときに、それがなかなかIPRがきっちりされていないと、ほかから後から来た人の方が学習効果が高いので、2番手、3番手の方がうまくいってしまうということが多い。したがって、研究を産業に結びつけるときに、産業化がもう一度セオリーに戻るのか、理論的なところで戻ってもう一回開発しなければいけないのか、それともスタートがIRPからスタートできるかによって、全然違ってくる。そこの観点をやはり考えていかないと、いろいろ提言する、いろいろのところで発表され、いろいろある。ただしそれは産業のところへ結びつかないというのは、産業側から見ると、やはりIPRが確定されていないからである。IPRというのは、自分の独自性と新規性を示していることと同時に、産業側から見ると、人の権利を侵食しないということを証明できるということである。 
      その2点を考えて、やはり特許とか知的所有権の扱いは戦略的に最も重要なポイントだと私は思っている。というのは、戦争という形でもし考えるのであれば、当然戦略ということであるから、何を武器にするか。方向性としては、今お話しいただいているような、ここに書かれているようないろいろな技術体系というのはあるけれども、それを守ってどう産業に結びつけるかといったときの一つの武器としてはやはりIPRの確立。そのためのシステムだとか、評価だとか、今のようなIPR、特許の申請と方法論から少し変えたものをつくらなければいけないんじゃないかというのが、私が思っていることである。 

    ○主査  いろいろな貴重なご意見を拝聴しているが、それはこれから重点領域を絞り込む作業の進め方をどうするかということについてのご意見でもあるわけであるので、次の段階でそういったご意見をお伺いしたいと思うが、ここではこの委員会のとりあえずの進め方というか、タイムスケジュールについてお諮りしているわけである。イメージについては、一度にご理解を得ていくということは大変難しいことかと思う。議論を重ねながら、そのイメージを固めていただければよいのではないかと思う。 
      そこで、この絞り込みのプロセスについては、もう少し時間があるので、とりあえず今この段階では、この資料のスケジュールのところについて、今年はこういうスケジュールでいくということについては、これでご了解いただけるか。そこをご検討いただきたい。 

    ○委員  このタイムスケジールを理解できない。実は、最後にこのプログラムが出てきた。こんなものを入れては、平成12年度予算ではとてもできない。これは13年度の話ではないか。この委員会で初めに言ったように、答申を具体化する必要があるわけである。だから、むしろこれを9月までに何かでっち上げないといかんのだったら、この資料はデータも含めて結構いろいろなものが入っているわけである。これを整理して、何かある程度来年度向けにでっち上げると、そうはっきり割り切った方がいい。こういうものをちゃんと本格的に考えるということであれば、もっと時間が要る。確かに、昔なんかは我々が先導して、テーマを決めて研究開発をやるなんてことは社会に幾らでもあったが、今は違う。いろいろなニーズによく注意を払わないとだめだということはよくわかるが、先程どなたかがおっしゃったが、ニーズというものの考え方がいろいろある。例えばここで言うと、ここに書いてあるニーズというのは多分情報のインプット側の方のニーズの話であり。今の、特に情報とか通信の社会というのは、予想がまるでつかないような所があって、アウトプット側のニーズみたいなものがあって、それをちゃんとフィードバックしながら全体のシステムをよく見合いながらやっていかないと、やっても余り役に立たないようなものが出てきたりするわけで、そういう作業を含めてこれは7月までにはとてもできるわけがない。これはもうちょっと時間をかけてやらないといけないだろう。 

    ○主査  ご指摘の点については、先程からも度々申し上げているつもりであるが、確かに理想的な形で初めからニーズの汲上げから調査を開始してということは今年はとても無理であろう。従って、今年とりあえずはお手元にある資料、答申を作った際の調査データというのがかなりまとまっているので、そういったものを基にして、準備作業は事務局を中心にいろいろとなされてきているので、ワーキンググループにお諮りする基礎資料というものはかなり準備してある。ご指摘のように非常に難しいことは承知しているけれども、手持ちのそういった既存の資料をもとに、今年は何とか答申の線に少しでも沿うような形で作業を進めていきたいと思っている次第である。 

    ○委員  この委員会のミッションというか、性格を決めるのは最初が非常に大事であって、このままでいくと、この委員会はそういうどこかの予算のお膳立てをする委員会であるというふうになってしまうと、これは非常にまずいと私は思う。従って、例えば、前回の答申案にあったプログラムそのもので予算要求をするというそこでの作業については、もし可能であればこの委員会とは切り離して、これは事務当局が今までの手法でやればよいのではないかと。そういうものも含めた日本の情報科学技術の政策の進め方、重点化の仕方、そういったものが適切であるか。適切でなければどうするべきかという議論をする場にここをきちんと位置づけるということが大事ではないかと私は思う。 

    ○主査  それは私も同感である。ここはあくまでそういった司令塔であるから、何が重要であるか、どこが重要であるか、ポイントを押さえるわけであり、どこの省庁に何をやっていただくか、どこの省庁が何を要求するか、そういったことについてはこの委員会としては直接関与する場所ではないと承知している。関係省庁連絡会というものをお作りいただいて、この委員会の意思というものが各省に浸透していくようなシステムを作っていただくように、事務局の方にお願いしているところである。 

    ○委員  今のお二方の点に関しまして、もっともだと思う面と、そうは言ってもという面との、両方をお話しさせていただきたいと思う。 
      まず、当面というのは主査が何度もお断りになられましたようなことで、これを進めるに当たって7月までにはとても無理という話は当然そうだと思うが、先だってアメリカの方に参りましたときに、向こうの方でも、要するに8月に大統領諮問委員会が中間報告を出してくれたので助かったのであって、最終報告はある意味において何の役にも立たない。というのは、8月に出たから9月に予算化できて、それで暮れに持っていけたと。だから、いずこの国も同じである。したがって、こういうことになったら、できるだけ早くうまいものであったら採用していき、それに向けて最終的にまず向かう第ゼロ次案をつくっていくというのが今重要なことで、ゼロ次案をつくるための素材は、こういうところにあるんだと私は思っているので、これは、そういったことに関しては最初から理想案というのは出てこないということもあるし、理想案というのはなかなか難しい面もあるが、そういうことでやはり、ばたばたなのかもしれませんけれども、やらなければいけないということはあろうかと思う。 
      それから、司令塔と案を立てる方とは別がいいというのは、それは考えようだと思う。例えば向こうのPITAC(ピータック)、大統領諮問委員会も、大枠のものの提案をした上でフォローアップするわけである。それで、また大統領に対して、今の進め方がいかがなものかといったことに対する責任を持っていたり、それと同じような責任をここが持つというようなことで、全体としての我が国の国力をつける、それで戦略的にどうすればよいかということの司令塔としての機能が、その大枠を決めるものと離れている必要はないのではないかと思う。より一層戦略的にやるためには、大枠を決めるのが一緒の方がいいかもしれないし、私はいいのではないかと思っている。したがって、そういった意味からしても、細かいことは先程主査がおっしゃられたように省庁間の連絡というようなことになるかもしれないけれども、大枠のところはここで決めても私は一向に差し支えない、というか、その方がかえっていいのではないかと思う。いかがなものであろうか。 
      それと、元へ戻ると、今、委員がご心配されていたのは、いろいろ探していたんですが、資料1−1−1の21ページに「4.国際的展開」というのがあって、ストレートではないが、その3行目の途中からだが、「我が国として情報科学技術を推進するに当たっては、戦略的な取組みにより国際的な競争力を確保した上で、積極的に国際協力、国際貢献を行うという視点が重要である」という、例えばこれは遠慮がちに書いてあるにしても、この「競争力を確保した上で」ということは、国力をつけなければけない。国益というのがそこへ結びついてきているというように、私は理解している。したがって、進む線は同じではないかと私は理解している。 

    ○委員  先程主査が一番最後に省庁連絡会というお話をされたが、今日のお話を伺うと、この急ぐ理由というのは概算要求である。概算要求というのは、各省庁が予算を申請するというところにつなげたいというのがあるから急ぐんだろうと思うけれども、果たして各省庁にこれを自分のところの予算に織り込んでくださいということで本当にこれはうまくいくのかなということが私は心配であって、各省庁は恐らく大蔵省との間でほかに優先案件があるかとかないかとか、そういう感じで場合によっては落されてしまうとか、そういうこともあり得るわけであるから、むしろ国として戦略的に何かやるということになれば、それぞれの省庁からの予算申請に任せるというのではなくて、国としてやっぱりこれだけのことをやろうよという、幸いにして総理大臣がトップだそうですから非常にいい組織ができていると思うので、むしろそうやって取り組むという方向にいくべきではないか。そのためには若干各省庁とのすり合わせがあって、権限がどうだとかいろいろあるのかもしれないけれども、やはりそれを飛び越えて、むしろ省庁の枠を越えて推進していくことが大事なんじゃないかなと思う。 

    ○主査  全くおっしゃるとおりである。この委員会で一つのメニューをつくって、このメニューに対して各省がどのように参画の意図をお持ちになるか、そのあたりのメカニズムというのは、私も遠慮がちに申し上げているけれども、できればそれはこの方向に沿って何らかの形がとれないものかと今悩んでいるところである。 

    ○事務局  役所との関わりからコメントさせていただくと、これは科学技術会議でこういう答申をまとめていただいて、今一番の大きな点は、こういう常設の委員会を今日発足させていただいたことである。であるから、ここがステアリング・コミティーのような格好で、各省の予算についてもある程度見通しを持って、方向づけについてもいろいろご議論をいただくという仕組みができ上がったということをまずよしとしていただく必要がある。 
      もう一つは、今、主査の方から当面の進め方について試案を出していただいているわけであるけれども、これは、この答申をいただいたときにタイミングから考えまして、諮問作業の過程でいろいろな専門家の意見も伺って、別冊にあるぐらいのいろいろなご提案もいただいているわけである。これは一つの貴重な財産でありまして、これをなにがしかの格好で先導プログラムと言っている内容にできないかどうか。これは、我々は本来なら答申をいただく過程でこなしてもよかったのかもしれないけれども、なかなかそこまではできなかったわけであるから、我々はまずこの委員会の初仕事としてやらせていただくとすれば、事務局として考えるのは、こういうせっかくの資料があるわけであるから、皆さんのご意見を踏まえて、手がかりとして作業させていただくのにこれをまず最大限使わせていただくということである。 
      だから、今ご論議いただいたように、ニーズをどう整理し、その中から技術課題をどう整理するかということでもいろいろご議論があるけれども、それもこういう作業をしながら、ある程度方法論としても詰めることがあり得るんではないかと思っている。まずこの主査のご提案ではかなり当面の作業に重点が置かれていて、これも予算の作業、今、予算は通年であるから、8月で締め切る予算もあれば、途中の補正予算、いろいろなタイミングがありますし、我々はこの情報科学技術の推進ということから考えたときに、いろいろなチャンスを活用したいと思っている。何も8月だけにこだわらず、いろいろな作業をしていただく過程で成果物が出てくれば、それは適宜反映させるということは当然させていただきたいと思っている。そういう意味でまず当面こういう作業を立ち上げて、かつ今ご議論があったような、本来ニーズをどうとらえていくかと。これはもっとほかの幅広い方法論も考え得るわけであるし、そちらも当然ながら併せて検討させていただくということでやらせていただきたいと思っている。今、予算要求のタイミングだけをとらえて、そこだけを狙い撃ちするかというような感じで議論が進んでいるけれども、私もこの委員会が円滑に発足する上では、必ずしもそれだけではないんじゃないかなと思っていますから、そこは主査のコメントに私ども役所の立場からもつけ加えさせていただきたいと思う。 

    ○主査  私が冒頭申し上げたとおり、この委員会のマンデートは非常に広いものである。いろいろなことについてご審議を得たい、それをまた行政に反映させていかなくてはいけないと考えているわけであるが、今ご議論いただいているのは、当面のほんのスタートの時点で今緊急にやらなくてはいけないことの処理についてお諮りしているわけであって、それがそんなに長い時間延々と続くというものではなくて、ここ1、2カ月の間については大変ご無理を申し上げるということかと思う。 

    ○委員  来年12年度のための予算、ここで何か決めるような話で、これは実際には何の役にも立たんだろうと。補正予算の話も今おっしゃったけれども、普通は各省が次年度のというか、予算のお金を考え始めるのは1月、2月である。だから、そのときに影響を与えるようなものを出そうとすれば、やっぱりそういうタイミングを忘れてはいけないと思う。今から、例えば各省はもう既に要求方針もみんな用意していますから、出てきた後、それにお墨付きを与えるか、或いは、ある程度のインフォメーションを財政当局に与えて、影響を与えるかという程度のものだと思う。今回出すのは多分。だから、さっきから言っておられるように、本当に各省庁の予算の出し方にまで影響を与えるとすれば、やっぱりそういうタイミングも考えて、13年度以降はそういうふうにやっていかないといけないのではないか。 

    ○主査  各省としても、来年度から何をやろうかという検討はもう始まっていると思うし、現在既に走っているものもたくさんあるわけであるから、この夏にこの委員会が示すことのできるメニューというものに途中からどのような形で参画できるのかということについて、いろいろとご検討いただくということになるわけであろうと思う。いずれにしても委員会が発足したわけであるので、できるだけ答申に沿って、当面こういった作業に集中的に取り組むということでどうか。 

    ○主査  それでは、ワーキンググループの設置についてお諮りしたい。 
      このワーキンググループにおいては、本委員会の幅広い調査検討事項のうち、この先導プログラムの重点領域の絞り込みに関して、具体的な検討を行っていただきたいということを考えている。資料については、事務局から説明をお願いしたい。  [事務局から資料1−5を説明] 

    ○主査  こういう形でワーキンググループを設置して、大変タイトスケジュールかと思うが、事務局も既存の資料等の取りまとめの作業を既に進めてきているので、ワーキンググループにはそれなりの資料が提供できるものと思っている。 

    ○委員  只今のワーキンググループの設置期間が、重点領域を決定した時点で廃止するということになっているが、只今の議論を踏まえると、どうもこの予算要求の段階で重点領域が必ずしも設定できないのではないかという感じもするけれども、ここで設定されるワーキンググループの実際の活動の期間というのはどういうふうにお考えか。 

    ○主査  先程のタイムスケジュールで案をお示ししたと思うが、基本的には7月いっぱい、7月中にワーキンググループとしての資料をお取りまとめいただいて、この委員会にご提出いただき、それをもってとりあえずはこのワーキンググループは解散する。今後この委員会の運営の仕方であるが、適時的確に必要なワーキンググループを、あるいは分科会をつくっていくということで、ある一つのミッションを持ったワーキンググループを常設していくということは現時点では考えていない。その時点、その時点で必要なメカニズムを作っていくということでよいのではないかと思っている。 
      いろいろなご意見があったけれども、特に他にご意見がなければ、本件はこのように決定をさせていただきたいと思うが、よろしいか。 

          (「異議なし」と言う者あり) 

    ○主査  それでは、本件についての案をこのように決したい。 
      ワーキンググループの構成員については、私の方で至急検討して、お願いすることにさせていただきたい。今後、ワーキンググループにおいて、どのような点に留意するか、どのような点を配慮すべきかといった点については、先程来既にいろいろなご意見をいただいているけれども、さらに加えてこの際何かご指摘等があれば、お伺いいたしたいと思う。 

    ○主査  特にこの時点でなければ、また随時いろいろとご意見をちょうだいすることとし、後日何かお気づきの点があれば、私なり事務局の方にご連絡いただければ幸いである。 
      一応これで今日の議題は終了したけれども、本日の議題に直接関係のないことでも構わないので、今後この情報科学技術の推進、あるいは本委員会での審議すべき事項、そういったものについて、既に幾つかご意見はちょうだいしたけれども、ご自由に何かご意見、ご発言があればお伺いしたい。 

    ○委員  この委員会は大変論客がそろっているということで、いろいろご意見が出て、まず委員の方からご指摘のあった産業界の競争力というのは、今までの日本のやり方であると、公的なもので研究開発等が行われた場合に、最終的に報告書があって予算の支出があるというので、会計検査院的にはそれでちゃんとおさまっているという感じのイメージがあるかと思うが、どうもそうではいけないということで、例えばここにいる委員などと一緒に通産省の方で国際競争力というところでいろいろ比較すると、どうもアメリカにおいて特に情報分野においての考え方、つまり最終的に税金を使ったものが国民に還元されるという考え方は相当違っているのではないか、またそれを助けるような制度もあるのではないかという比較結果も出ているし、そういった意味では国がやるやり方そのものも変えていくべきという動きに今あるのではないかと思う。一斉に変えるのはもちろん難しいとしても、そういったことを今回の中で、どこまで見るかということはあるが、先程言われたように、ここはいわば大統領諮問委員会に匹敵するようなところだと思っているので、そういう視点は非常に重要かと思う。 
      それから、委員が指摘されたIPRのあたりですが、そこは実は私個人としては非常に問題意識を持っていて、先程言われた産業界へのトランスファーということもそうであるが、今、実はちょっと各論に入ると複雑で、時間をつぶして申しわけないが、インターネットの方でドメインネームに発生して、ガバナンスということでアイキャントという動きになっており、日本からもボードのメンバー等出ているが、インテレクチャル・プロパティについてはWIPOという方の提案が出てきて、いわばアメリカ中心にどんどん押しまくられている。2カ月間に国際的な会合、ワークショップを4回やるみたいなスケジュールを提示されると、なかなかアジアの方から参加できていない。もちろん日本の方からパネルとか意見は出ているけれども、どうも進め方を見ていると、アメリカ政府が電子商取引で設定しようとしているもので進んでいるときには加速し、そうでない動きが出てくると、アメリカ政府はどうもいろいろな手段で、つまりある場合には独禁法的なものをちらつかせてとめにかかるというのがここ2年ぐらいの動きだと思い、私も技術側からそういうことを見ていると全く太刀打ちできないので、非常に歯がゆい思いをしている。そういった観点というのは、今回直接この技術とうたった場合の観点ではないかもしれないが、メタな技術として言われるような技術そのもののまとめ方みたいなところは、アメリカの大統領諮問委員会、土居先生の言われた中では社会的な影響であるとか、社会システムというところも大きい柱として出てきているように思う。だから、そういった部分というのはいずれここでの長中期という観点においては、ご指摘のように、そういう部分が実は国際競争力で非常に重要であって、あるいは日本が対米というだけではなくて、例えばアジアの中での展開を考えたときに、日本が率先してそういったやり方を提示すべきであるという観点は当然あると思うので、ひとつ重要な観点として、先程短期的な概算要求対策本部みたいな意味ではなかなかできないと思うが、非常に重要な点をご指摘いただいたと思い、私自身ももう少し勉強が足りないので、またいろいろと教えていただきたいと思う。 

    ○委員  私は今この委員会に所属させていただいている以外に、アメリカのナショナル・サイエンス・ファウンデーションと、EUの情報化委員会でジョイントミッションというところへ参加させていただいているけれども、やっている内容は、今回やっている内容と全く同じようなことをしている。基本的には、この論議をいろいろやると各論にずっと入っていくけれども、そこを取りまとめるのはどこにいくかというと、今の展開している技術関係のベースをもう一つブレークスルーするところへ行こうとすると、当然のことながら基礎研究ということになるけれども、必ず議論になるのはIPRのことである。これが主題になるのが先で、その下にどうつけるか、そこをどうお互いにするかというのは、実は各論ではなくて、非常に重要なポイントである。というのは、それぞれ国が違えば法律が違っているわけである。しかし、産業という見方からするとルールは一体何かというと、IPRが共通のルールになるわけであるから、それをどういうふうに政策して押さえていくかということは、実は産業の競争力を決定的に押さえるか押さえないかというキーポイントのはずである。ただ、短期的に言っても、そこのところを明快に洗い出すということである。例えば、アメリカの特許のポリシーと日本の許諾における特許のポリシーがどういうことなのかということとか、あるいはどこに基礎的なものがあってどうなっていて、そこの部分がどういう形でインテグレートされていくかということを調査することは、中長期のプランであるがゆえに、なるべく早く触らないと、2年、3年たってそれをスタートするということはスタートが遅れるということを意味しているわけであるから、今までの基本的に書かれている、あるいはインタビューされたものというのは、既にいろいろな先生方が長きにわたって研究されているわけである。でも、IPRというものを国としてどう扱うかということについての議論というのはいつも先送りで、自然発生的に基礎研究されれば自然に上がるというふうに思われているかもしれないが、これは決定的に違うので、そこをなるべく早く政策の中に入れていただいて、ぜひともフィージビリティーをしていただくことが結果的に産業競争力を早く高めるというふうになるんじゃないか。それがアメリカの方針ですし、ヨーロッパもそうなっていて、日本だけそこは残念ながら遅れているという状態にあるというつもりで先程お話ししたつもりである。 

    ○委員  単なるコメントというか、進め方に対することであるが、私は、情報技術のこういう進め方というのは2つ大きな問題点があると思う。1つは、情報技術というのは、ここで言うような非常に狭い意味の情報屋さんが言っている技術ではなくて、応用だとか、社会とかと関連性を持った技術というのが情報技術であるから、従来の情報屋さんではないいろいろな分野の方、ここにも入られているけれども、そういうレベルで技術とは言えないかもしれないけれども、そういうコンテンツを含めての大きな広がりの中で情報技術をながめていかないといけない。ということで、省庁の間というのはもう当然そういう形でつながるし、余りにも限定すると非常におかしくなってしまうというのが、非常に危惧しているところである。 
      もう一つは、グーロバル化の問題というか、これは端的に言えば日本の今の情報技術の遅れというのはどうするのだという、あるいはこれは製品としての遅れ、それから技術としての遅れという問題が、ここで指摘されているように起こっている。そういうところで日本は一体どう進めるんだと。これは戦略性にかかわると思うけれども、これは強いところを強くするのか。日本だって強いところはあるわけですから、そういうところを強くするのか、弱いところというのはもうある意味ではフォローしていくだけという、何かメリハリをつけた国の施策というのが必要で、企業と国とがそこをどうやって補完し合いながら最終的に日本としてどうするのかという、何かそういう観点から、余りにもアメリカにただ遅れているだけで何かやるべきだという議論ではなくて、こういう今のグローバル社会の競争の中で日本はどこに焦点を合わせるんだと。これは資源が限られていますから、やはり限らざるを得ない。何かそこをメリハリをつけていかないと、大事だ、大事だという議論だけではもう進めない状況に今なっているのではないかという、単なるコメントであるけれども。 

    ○主査  答申の中では、国と産業界との仕分けについては一応、市場メカニズムが働かないというあたり、それから基礎、先端、基盤というあたりは、なかなか産業界では取り組みにくい。しかし、そこがむしろ非常に重要なところであって、波及効果も大きい。先端性があって、追いつくだけではなくて、さらにその先をねらうことができる技術の領域ではないか。そういった考え方が答申では出てきているわけである。 

    ○委員  今日のお話の中に一つあったと思うけれども、全体的なこういうことをやるときの基盤整備ということで、人材の育成という話が大きな項目で最初に挙がっていたと思う。日本の人材教育というか、今、大学等の先生からもお伺いしているけれども、例えば最近の試験等を見ると、工学部へ行くときに、数学と物理がなくても受けられて、その後で大学の先生は困ってもう一回教育しなければいけないとか、要するに文部省のゆとりの教育かどうかわからないけれども、そういう影響というのが、例えばこういう技術を開発するとき、人材育成を言った途端に非常に大きな問題として今現在あると思う。日本の場合は、今までの過去の教育システムというのは、多分それを否定するような方向でずっと来たような気がしている。片方でいくと、こういう国家としての技術をちゃんとやらなければいけないとか、そういうことをやるときに、言葉としては人材育成というのがすぐ出てくるけれども、ではそれを具体的に今のシステムの中でできているかというと、どうもうまくいっていないんじゃないかという感じがする。直接この話とは関係ないとは思うが、もうちょっと何かこういうところでコメントでできるのであれば、そういう話も是非、これはすごく長い歴史のもとでの話であるから、簡単にはいかないと思うが、何か手を打たないと、これはもともと日本の競争力というか、日本が国家として成り立たない状況になってくるのではないかと思うので、是非検討していただきたい。 

    ○委員  今、委員がご指摘の点は非常に重要な点と思っている。文部省ではここで教育指導要領改定をしていて、平成14年から小中学校が、平成15年から高等学校が新しいカリキュラムになるということで、今回大幅なカリキュラム改定をしている。そういった中で、この情報科学技術分野の人材ということに関しては、非常に重要な位置づけと私は思っている。というのは、上からいくと、高等学校の普通科に教科情報というのを新たにつくって、これは必修の科目となる。今まで情報に関しての教育というのは、大学に入ってから初めてというニュアンスがあったけれども、やはり幅広く高等学校から情報教育を行うことによって、情報関連技術者のすそを広げるということが可能と思うわけである。それから、中学校においても、現在情報基礎という選択領域があるが、情報とコンピュータという新しい教科が必修になる。それから、小学校については、小学校3年から総合的な学習の時間というのが設けられることになっていて、そういった中で情報教育がコンピュータ、インターネットに慣れ親しむところから始まるということになる。それから、数学、理科の既存の教科の中でも、コンピュータ、インターネットを十分使い切れる、活用できるという活動が必要ということで、昨年12月に小中、それから3月に高等学校について出された学習指導要領の中できっちり書いているということである。 
      新しい教科情報ができるけれども、それを指導する先生の問題がある。この点については、来年度から 3,000人×3年間で 9,000名の情報科の教育を担当する教員研修を行うということになっている。いずれ情報技術が進展したためにこういう新しい教科ができて、進学率から考えると、高等学校への進学率は高いので、あらゆる子供たちが早くの段階からそういう情報関連技術も学んでほしいということである。 
      問題は、インフラ整備と、子供たちに本当に使いやすいコンピュータ及びその運用といったところが大きな課題ということである。アメリカに比べて、とても比較にならないほど遅れている。それから、イギリスに比べますと、コンテンツの点では比較にならないほど遅れているという現状である。 

    ○委員  我々はコンピュータの関係の学科にいて、非常に不満があるのは、GNPに比例しただけの卒業生は出せないというか、これは大学の中の問題なんですけれども、どこかをつぶさないとどこかは大きくならないということであるから、そんなことはできないわけである。学長以下、権限はだれも持っていないという、文部省も大学には干渉できないのか、そういうことで京大も情報学研究科、大学院が一応独立したけれども、ほとんど人は増えていなくて、大学院生の定員はちょっと増えたけど、学部は同じである。例えば、先程からアメリカの話は出ているが、私の友達なんかで韓国、台湾とかシンガポールとか、そういうところのコンピュータをやっている先生というのは、実はそういう国ではコンピュータのGNPに占める割合は我々よりずっと大きいわけである。だから、非常にある意味では優遇されているというか、ある意味では優秀な学生がばっと来ているという状況がある。だから、今のままでいくと、例えばシンガポールでも、シンガポール大学の工学部長に今度はアメリカの中国人先生を、そのときに世界中から5人選んで、その中には日本人も1人候補がいたけれども、そういうところから持ってきたり非常にオープンにやっているし、非常に競争もアメリカそのものと直結してやっているという状況である。このままでいくと、留学生も二流しか来ないとか、いろいろな問題はあると思うけれども、完全に取り残される。アジアの中でも取り残される可能性はある。 
      ですから、先程高校教育とか言われたけれども、例えばジェット機でしたら、ジェット機のパイロットとジェット機を設計する人間というのは明確に違うわけで、一般情報処理教育というのはあくまでもパイロットなりドライバーを要請する教育であって、それと中の実際のジェット機をつくるんだというのはちょっと違いがある。そのあたりをちゃんとやらないと、アメリカだったら、9歳までにキーボードで、中学生でみんなパワーポイントを使っているわけです。ですから、そういうのに比べるとまだ利用者の方も遅れていると思うけれども、専門家の教育という面で、このままでいくと非常にひどいことになるんじゃないかという危惧を持っている。会社で再教育したらいいんだということでやっているような状況である。今は。やはり大学がもうちょっと教育に責任を持たないといけないという気がしている。 

    ○主査  情報分野の人材の問題については、しばしばこの答申の取りまとめの審議の際にも出たし、答申の中で特に大学における情報の人材の教育については各段の拡充を図る必要があるという指摘がなされているところであって、問題点の所在は大体よくわかっておられる方が多いと思う。日本がこれだけアメリカから水をあけられたのはやはり人材が不足したからだとこの中の委員もたびたびおっしゃっているけれども、当委員会が人材問題について特にご意見を取りまとめたいということであれば、それはご意見として取りまとめて、親委員会の政策委員会の方にご報告し、また政策委員会でのご議論をいただくということは、将来当然可能であるので、いろいろまたご議論を深める機会を持ちたいと思う。 

    ○委員  全体の進め方に関していろいろと当初から議論がありましたけれども、当面やらなければならない問題というのはよくわかった。それで、ではこの先どんな進め方をするかというのが、実はきょうは何も出てきていない。だから、もし事務局の方が出すという手順でいくのであれば、それは早急に出す必要があるのではないかと思う。 

    ○主査  今後のスケジュールの最後のところに提案されていたが、領域が大体設定された時点で以降の委員会の進め方を決めていくというふうに一応なっているわけで、とりあえずの作業が終わり次第、また皆さんのご意見を拝聴し、決めてまいりたいと思う。 
      もう時間もないが、事務局の方で何かあるか。 

    ○事務局  特にないけれども、今後の日程の話が今あったが、まさに当面のスケジュールの話ということで今日はご議論いただいたけれども、それ以外に情報科学技術の推進についていろいろなご議論を当然今後やっていただくということで、その日程は当然今からセットさせていただく。どういう議論をしていくかというのも、この本日のご議論もそうであるが、次回以降のご議論も基に、今後セットさせていただくということであり、次回の具体的な日程は、ワーキンググループの活動状況を見ながら、委員各位のご都合をまた調べた上でセットさせていただくということでお願いしたいと思う。 

    ○主査  それでは、本日は大変活発なご議論を頂き、感謝申し上げる。本日の議論をもとに、ワーキンググループにおいて、この重点領域に関する具体的な検討をいただいた上で、第2回の本委員会を開催することとする。