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放射線審議会(第125回) 議事録

1.日時

平成24年2月2日(木曜日) 14時30分~16時40分

2.場所

文部科学省 3階 1特別会議室

3.議題

  1. 「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部を改正する件について(諮問)」に係る検討について
  2. 「水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標の設定について(諮問)」に係る検討について
  3. その他

4.出席者

委員

丹羽会長、石榑委員、今村委員、梅田委員、甲斐委員、小松委員、下委員、杉浦委員、高倉委員、野嵜委員、平井委員、桝本委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、渡辺次長・原子力安全監、明野原子力安全課長、永田放射線安全企画官、中矢放射線規制室長

オブザーバー

森口(厚生労働省食品安全部基準審査課長)、道野(厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長)、尾川(厚生労働省健康局水道課水道水質管理官)、池本(厚生労働省)

5.配布資料

  • 資料第125-1号 :放射線審議会委員からの質問への回答(食品に係る基準値)
  • 資料第125-2号 :放射線審議会委員からの質問への回答(水道水に係る基準値)
  • 参考資料1 :放射線審議会委員名簿(平成24年2月現在)
  • 参考資料2 :「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部を改正する件について(諮問)」関係資料
  • 参考資料3 :「水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標の設定について(諮問)」関係資料
  • 参考資料4 :放射線審議会委員からのコメント及び質問への回答(※第122回放射線審議会 資料第122-3号)
  • 参考資料5 :放射線審議会委員からの質問への回答(※第124回放射線審議会 資料第124-2号)
  • 参考資料6 :食品中の汚染物質に係る規格基準設定の考え方(※第124回放射線審議会 資料第124-3号)
  • 当日配布資料 :乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部を改正する件について(答申)(案)
  • 当日配布資料 :水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標の設定について(答申)(案)

6.議事

  1. 厚生労働省より、資料第125-1号及び資料第125-2号について、放射線審議会委員からのコメント及び質問に対する回答の説明が行われた。
  2. 事務局より、食品及び水道水の基準値に関する答申案が配布され、答申案の内容についての議論がなされた。

7.主な質疑応答

○ 資料第125-1号について

【下委員】  資料第125-1号の2ページの表「食品分類ごとの摂取量と対象核種合計線量換算計数」の一番右側の「当該食品分類からの年間被ばく線量」の欄について、1歳の乳児についての合計の値が1.97×10-3 Sv・g/Bqとなっているが、この数字は表中の同一欄の数字をすべて足すという理解でよいか。
 もう一つは、この値を使って線量を計算するにあたって、例えば線量を適切に出そうと思うとBq/kgの値を乗ずるという理解でよいか。
【森口(厚生労働省)】  一般食品に割り当てられる線量は飲料水の割当て分を差し引いた0.906 mSvを各食品分類からのベクレル当たりの年間被ばく線量の合計値で割り算してBq/kgにすることになる。そのため、1.97×10-3 Sv・g/Bqが使用される。食品分類ごとの喫食量と対象核種合計線量係数から算出した同表の(E)欄を合計したものが、合計値となる。
【下委員】  質問の補足であるが、この表の出し方を個人としては分かっているつもりである。最終的に一般食品は100Bq/kgを基準値とし、牛乳、乳製品は50Bq/kgとしている。私の質問は、そういう基準値を用いて、再計算すると、どういう線量になるのか教えていただきたいというものである。
【森口(厚生労働省)】  第121回放射線審議会(12月27日開催)にも同様の質問があったが、出てきた基準値を用いて再計算することはやっていない。
【下委員】  再計算すると、そこで安全度が見られると思うが。
【森口(厚生労働省)】  そのとおりである。
 当方は、食品安全委員会からリスク評価結果をいただいている。食品衛生法の基準を変えるときには、食品安全基本法という法律が平成15年にできて、リスク評価とリスク管理は分離することとなっている。リスク管理を念頭に、リスク評価が手ぬるくなってはいけないという観点から、そのように完全に分離されている。
 リスク評価結果として、小児の期間については感受性が高い可能性があるという結果であった。最初に一般食品の放射能濃度を計算し、13歳から18歳の男子の120Bq/kgが最も厳しい限度値になった。100Bq/kgを基準値とした上で、小児の配慮を行ったところ、牛乳については小児、特に小学生の摂取量が多く、また輸入がないことが分かった。そこは牛乳の占有率を100%にし、その基準値を2分の1にした。牛乳の基準値を半分に変更することで、第121回放射線審議会資料第121-2-3号の6ページの棒グラフの小児の部分を1割ぐらい下げることができることを確認し、その効果から50Bq/kgに切り捨てることを判断したということである。
【下委員】  牛乳の基準値を50Bq/kgにした場合、線量をどれぐらい下げられたということは、数量的に出てくると思う。要するに、どれぐらい線量低減の効果があるのかということをお聞きしたかった。
【森口(厚生労働省)】  例えば、7歳から12歳の男子においては、牛乳の基準を下げたことで0.07mSv/年下がることになり、0.56mSv/年にすることができる。牛乳の基準値を下げる効果については、子供を守る上ではすごく大きいと思う。
 また、乳児について、調整粉乳の基準値を50Bq/kgにすることで、0.06mSv/年下がることになり、0.29mSv/年にすることができる。非常にその効果は大きいと思う。
【渡辺次長・原子力安全監】  事実関係の確認であるが、乳児について、0.06mSv/年を下げた結果、0.29mSv/年になるということか。牛乳の基準値が100Bq/kgであれば0.29mSv/年に0.06mSv/年を足すことになるのか。
【森口(厚生労働省)】  そうである。参考資料2の第121回放射線審議会資料第121-2-3号の6ページの棒グラフでは、1歳未満の評価値は0.29mSv/年になる。同ページの一番に記述されているように乳児用食品、牛乳は汚染割合100%として計算すると、このページに示される結果となる。もし、基準値を100Bq/kgにしたままであれば、その分の線量が上がるということで理解していただければと思う。
 つまり、汚染割合を100%と置いたため基準値を50Bq/kgに抑えているが、基準値を100Bq/kgとして計算すると、この0.29が0.35になることになる。
【梅田委員】  この基準は、1mSv/年を守るということで設定された数値を伺っている。見せていただいている表では、1mSv/年を超えなければよいということで説明を頂いているが、今の説明だと、この中でさらに下げないといけないという議論にも聞こえてくる。そういったお立場で今の数値は決められているのか。
【森口(厚生労働省)】  小児、子どもの放射線感受性が高い可能性があるということで、大人と同じ1mSv/年でいいのかということもあるかと思うが、我々はリスク評価をする立場にはない。食品安全委員会から小児の期間の放射線感受性が高い可能性があるため配慮が必要という意見があった。明示的にどのような形で配慮を示せるのか、無理がなくできるのかを検討した結果、そういう手法をとった方が良いということで、薬事・食品衛生審議会で結論を出している。
 基準値を下げ過ぎかどうかについて放射線審議会で議論していただければと思う。リスク評価機関とリスク管理機関との関係として、我々は食品安全委員会のリスク評価書を無視するような措置はできないという立場である。
【下委員】  御説明内容は理解した。整理すると、「牛乳の基準値を50Bq/kgにせず、100Bq/kgとしたときの被ばく線量は0.35mSv/年である。基準値を50Bq/kgにした場合は、それが0.29mSv/年で、0.06mSv/年下がる。その分、随分効果がある。」となり、そのようなことを食品安全委員会が言及したという理解でよいか。
【森口(厚生労働省)】  食品安全委員会は、あくまで小児の期間は配慮が必要という趣旨で言及している。

【丹羽会長】  前回の審議では、基準値を50Bq/kgにするのには意味があるのかという質問をした。計算上は基準値を100Bq/kgとしても、小児は守られるという結果を出し、占有率100%としてもやはり守られるという結果であった。その論理的な整合性について、適切な回答が得られなかったと思う。
【森口(厚生労働省)】  御指摘のとおり、1mSv/年以下にするのであれば、一般食品と同じ50%汚染の考え方で出した限度値が460Bq/kgであり、100%汚染を考えたとしても230Bq/kgであれば1mSv/年以下になると思う。
 まず一般食品の基準値を導出する手法として、全年齢層でみたときの100Bq/kgを決定した。小児、乳児も含めて守られているが、食品安全委員会からの報告を踏まえて、無理なく下げられる基準値を厚生労働省の審議会で決めていただいた。その際に、乳業界やベビーフード等の業界団体に対して現状、測定の実態値等の状況を確認し、50Bq/kgという基準値でも十分対応できることを確認している。
【桝本委員】  基本的にリスクコミュニケーションが元々間違った議論を進めた結果として、今回の下げるという議論になったものと理解している。
 牛乳に関しては、昨日の報道であったように検査体制ができておらず、今後検討を始めるという内容であった。報道によると、ほとんどの都県で適切に測れていない。
 私の身近な者たちから聞くにしても、検査体制ができているのか、国民に対してそのデータを示せるかといった懸念があり、国民の安心してもらうことが先決ではないかという意見もあった。

【丹羽会長】  放射線審議会は放射線防護に係る技術的基準を審議するものであるが、放射線防護という一番大事な基礎となる考え方から言えば、お子さんを強いて分けなくてもいいのであれば分けない方がよい。家庭内で2つの食卓が並ぶという状況が出ている。これはリスクコミュニケーションという面から見ても不備であり、それで家庭内が大変煩雑になる、無用な心配をなさる、という意味でも問題である。
 放射線防護の基礎となる考え方にもとるものであることは御認識いただきたい。

【甲斐委員】  1mSv/年の議論について、厚生労働省の説明ではCODEXの1mSv/年に基づいたというものであった。そのCODEXの1mSv/年は、国際的な介入免除レベルという形で、国際放射線防護委員会(ICRP)が、大人から子どもまですべてを対象としたものとして考えている。国際的にもそういう形で利用されており、1mSv/年はあくまでも子どもも考慮に入れたものとして考えられている。
 法令上の、原子炉施設の運転といった計画のための基準値の1mSv/年は御存知であると思うが、その数値は基本的には子どもも含めた公衆を対象にしたものである。それをさらに踏み込んで、より厳しいという判断も、日本政府としてはあり得るとは思うが、そこのところの理屈、論理を明確にしておかないと、従来の基準が子どもに配慮されていないから、あえて配慮したのだといった誤解を与えてしまう。そこは適切に説明していただきたい。
【森口(厚生労働省)】  その点については、リスクコミュニケーションで十分説明していきたい。

○ 資料第125-2号について

【丹羽会長】  資料125-2号については、水道水の基準で、簡易水道(沢の水を直接引いてきたような水)については、山間部でよく使われることがある。そういった簡易水道への配慮はあるのかが心配になって提出していただいた資料である。

【今村委員】  東京都の浄水場で検出されたときのデータはどこに該当するのか。
 また、暫定基準値の水道水200Bq/kgについて、今回の審議が始まったころは、検出器の感度が200Bq/kgの基準値に対応したものであることから、新しい基準値の10Bq/kgでは、それに応じた精度にしていくとのことであったが、この資料によると、事故直後の3月16日から10Bq/kgを評価できる検査体制があったことになるのか。
【尾川(厚生労働省)】  資料125-2号の3ページの表1の放射性ヨウ素の検査結果を示した東京都のデータでは、3月に最大値210Bq/kgという結果が得られている。放射性ヨウ素の暫定基準値は2つあり、一般が300Bq/kg、乳児用の場合に100Bq/kgである。乳児用の基準を超えていることから、この時期は東京都で摂取制限を行っている。放射性ヨウ素について、乳児用の基準を超えた地域が複数あり、3月にはあちこちで報道なされている。
 それからもう一方の質問について、正確には事故後初期は10Bq/kgの検出限界が確保できなかったところもあると思うが報告を受けた結果をまとめたもの。
 検出限界値については参考資料4の別添2の「水道水等の放射性物質検査の実施結果について」の図1-1で説明している。最近では10Bq/kgの検出限界を確保できないところが幾つか残っているが、多くはかなり低い検出限界値である。核種ごとに見ると一番分布が多いのは1Bq/kg以下である。これはゲルマニウム半導体検出器を使っており、水道の場合には2リットルの試料を測れることもあるので、1Bq/kg以下のものが随分多くなっている。ほぼ確実に10Bq/kg以下が測れるようになっている。

【甲斐委員】  水道水の基準値は明確に管理目標値ということを今回の提案の中にも明記されているため、必ずしもこの管理目標値を超えたからといって、飲用に適さないというわけではない。それに対して、食品規格基準の場合は、基準値を超えた場合に販売をすると罰則がかかるといった全く違う性格を有する。
 我々から見ると食品も水道水も管理目標値であるが、厚生労働省としては使い分けており法的にも違うとした説明をしないと、水道水の方があたかも食品の規格基準と同じような誤解を受けてしまう印象を持つ。

○ 答申案の検討について

【丹羽会長】  今回の審議は非常に難しい審議であったと思う。それには様々な理由があるが、厚生労働省は食品と水道水そのものだけを取り上げての議論をしていると思う。食品安全委員会も同じである。ところが、放射線防護の観点では、食品・水道水に係る規制は大変広がりの大きいものという認識であり、その広がりの中でルール作りをするというのが本来の放射線防護の考え方である。食品だけの視点だけでは非常に困るという考え方が審議会の先生もお持ちであり、議論が平行線であった。結局、これはSystem failureである。法律で位置づけられた放射線審議会の位置づけでは、システムが機能しないということがある。
 もう一つは、何をどういう立場で審議するかという点に関し、何度も指摘して、厚生労働省からもそれなりの返答はいただいたが、納得のいく返答を頂いていない。それは、昨年の12月22日の厚生労働省の部会で基準値が示される2日前に、基準値案が報道されていた。それについて第121回放射線審議会で、情報漏えいについて指摘したが、望ましい返答ではなかった。ただ、その責任は逃れないということは、そのときに指摘をしている。
 さらに、審議を進めていく中で非常に難しかったのは、新しい基準値に関する地方での説明会を1月16日以降粛々と実施しているとの説明を受けたことである。パブコメも実施している。本来は、説明というのは出来上がったものに対する説明である。パブコメについても、放射線審議会で審議される数値が修正できるという考え方であれば、この審議は成立するのだが、ここの審議会で厚生労働省に申し上げたことが反映されるかどうかは、我々にはよくわからない。放射線審議会が承認していない基準値に関して、なぜ説明会を開くのか疑問であるし、それは100Bq/kgありきからスタートしているように思われる。
 放射線審議会が一生懸命考えた意見がどのように省令に取り入れられるか、あるいは参考にされるのかが見えないまま今日までに至っている。そういう状況であることを理解していただきたい。
 今言っておくことがあれば、ここでお聞きし、あまり質疑応答はせず答申に入りたいと思う。

【桝本委員】  今回の規制値にしても暫定規制値にしても、国民の理解を十分に得るという意味では、例えば既にそれだけの放射性物質が含まれて入ると思っている方が多く、それが問題であると思う。そこを説明するべき。
 また、合理的ということについて、ステークホルダーも含めて議論しないといけないのに、その合理的な部分がなく下げれば良いということになってしまっていたということが、放射線審議会として難しかったところ。基本的にリスクコミュニケーションの不足については、専門家にも責任があるとは思うが、国としても適切な情報を日々開示し、国民に安心を与える。
 また、心配事項の中には、実際に測られているのかということがある。昨日の報道にあった牛乳の検査体制についても、検査体制を作らなくてはいけないといった報道内容で流れることになる。まず測定ありきで、根拠を出していくことについて、責任を持って努めていただかないと駄目である。そのためのマニュアルも必要である。まだ緊急時マニュアルしかない現状は問題である。
 そういった基盤整備を実施した上で、国が責任を持って(新しい規制を)実施するということが先決であると思う。

【梅田委員】  幾つか陰膳調査の結果で確認したように、現状では既に基準値を下げるまでもなく、十分に実被ばく量が下がっているという状態である。また大事なのは、自然放射性物質であるK-40が食品の中には既に存在している。今回決めようとしている基準はこの自然放射線と同程度であり、極めて低い値である。1mSv/年という数値に我々は異存ない。ただ、そこから導かれている基準値がかなり安全側であることは一般の方々にも伝えていただきたい。
 これまで議論になっているように、乳児用食品、牛乳について、現状の暫定基準値でも十分に1mSv/年をクリアできているにもかかわらず、さらに5分の1、10分の1にしようという基準に対して我々は疑問を持っている。
 国民の安全を守る、安心を保つことは大事である。しかし、厳しい基準にすることによって、これが技術的に守れるか、達成することができるかという危惧をずっと議論してきている。もう一つは、実際に福島第一原発事故で多くの被害を被っている福島の方々に対してかなり厳しく、生活を脅かすような基準になるかと危惧をしている。

【丹羽会長】  実際の答申の案に入らせていただきたい。

(事務局より「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の一部を改正する件について(答申)(案)」及び「水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標の設定について(答申)(案)」(当日配布資料)を配布、答申案の読み上げ)

【丹羽会長】  この答申案についてご質問、ご意見、ディスカッションをお願いしたい。

【杉浦委員】  食品の基準値の1枚目に記述されている「別紙」について、法律的な位置付けを教えていただきたい。これは、どのような効力を持つのか。
【渡辺次長・原子力安全監】  これは答申に「別紙」と記述されているため、答申と一体をなすものである。法律的位置づけに関しては、放射線審議会のよって立つ法律である「放射線障害防止の技術基準に関する法律」における放射線審議会の所掌事務は、諮問に対して審議をするというものである。この法律の第5条第2項には、「審議会は、前項に規定する事項に関し、関係行政機関の長に意見を述べることができる。」とある。これに基づいて答申に伴って別紙のとおりの意見が出されるという位置づけである。これは、答申と一体となった意見と理解いただければと思う。
【丹羽会長】  その点に関して、放射線審議会が意見を述べるのは勝手だし、それを聞くのも勝手だということで、それ以上でも以下でもないということか。
【渡辺次長・原子力安全監】  法律上は意見を述べることができると書いてあるのみであるが、当然、意見を受けた行政機関は、その意見に対して対応していただくことが期待される。
【杉浦委員】  私の質問の意図は、法律上の言葉としてそういうことになるのだが、正式に位置づけられた文書であるということを確認した上で、我々がここに盛り込みたいことを込めて審議を進めようという意味で申し上げた。
【丹羽会長】  それが一番大きい問題になってくる。答申を出したときに、放射線審議会の意見が世の中で考慮されて動くような基準の運用の仕方でないと、何のために審議会をやっているかがさっぱり分からない。
 厚生労働省に対し、我々は口から出まかせを言っているわけでも何でもなくて、放射線防護のそれなりのスタンスを述べている。それは国民のためであると思っているから、それをわざわざ言っているということはご理解いただきたい。

【小松委員】  別紙について、誤解を招きやすいところがある。
 最後のパラグラフでは「50Bq/kg」が2回出てくる。下から2つ目のパラグラフでは、もう少しよく考えなさいという趣旨である。最後のパラグラフは、その50Bq/Kgを認めた上でこういうことに注意しなさいという趣旨で、相互に話が合っていない。そもそもK-40と大体同等の量を50Bq/kgに固定しなくても良いのだから、ここには数字は不要である。
 また、最初のパラグラフの結論に、「放射線防護の考え方から安全側に立った設定を行っている。」とある。ここだけ読むと、非常に良い意見ですねということになるため、後述される説明と内容が必ずしも合っていない。
【渡辺次長・原子力安全監】  最初の数字のところは修文の御意見かと思う。
 2番目に御指摘いただいた点の「放射線防護の考え方から安全側に」という点について、その前段に、「実態に比して大きいと考えられる汚染割合を仮定している」、「後述するような子どもに対する過度の安全尤度を設定した」とあるように、安全側ではあるが、ここのところは過度に安全ではないかといったことが書かれているものと事務局としては考え、このような表現としている。
【小松委員】  そういうところが分かるようにした方がよいように思う。「過度」とか、「正当な評価」、「放射線防護の観点から少し行き過ぎである」などが理解できるようにした方が良い。
 放射線審議会は意見を述べることができるのだが、その意見を聞くか聞かないかは厚生労働省の判断であろうから、都合の良いところだけを解釈された場合、別の問題が生じることを懸念する。
【丹羽会長】  例えば「必要以上に安全側に立った設定」を入れるか。
 別紙の文章を独立に読んでも問題がないようにとの趣旨の小松委員のご懸念かと思う。修文をしておいた方が、放射線審議会の意見を反映するという意味では良い。
【下委員】  小松委員に賛同したい。この段落を1つだけ取り上げると、「このような状況で1mSvを管理目標とすることに異論はないが」と説明があり、最後は「については、放射線防護の考え方からは安全側に立って設定を行っている」で終わっている。だからどうなのだということが見えない。
 渡辺次長の説明では、ここの2つの「・」のところに「大きい」、「過度」という言葉が入っているとのことであったが、だから安全側に立っているんだというふうに解釈されてしまうと、我々が議論してきた、「行き過ぎなのではないか」という点が見えてこない。
【桝本委員】  ここは事実だけを書けば良いので、「実態に比して大きいと考えられる汚染割合を仮定している」、「後述するような子どもに対する過度の安全尤度を設定している」で文章を終わらせれば良いのではないか。

【平井委員】  答申の1枚目では、「差し支えない」という肯定的な答えを出しており、一方、別紙では様々な意見を述べている。そうすると最初の本文の中の「放射線障害防止の技術的基準に関する法律に定める基本方針の観点から」というところは、要するに本来は差し支えないというよりは、一部は良いかもしれないが、やはり問題があるという意見になるのではないか。
 要するに意見を述べることは放射線審議会の立場であり、意見を受ける側はその立場という議論があった。放射線審議会の立場としては、既に5回行った審議の中で、数値だけが出ており、4月1日から新基準を施行するということが一人歩きしている。やはり放射線審議会としては、「差し支えない」という答申では問題があるのではないか。
【渡辺次長・原子力安全監】  事務局から、こういう表現にした理由を御説明したい。通常、いろいろな答申の表現の仕方があるが、通常は「何々に対する諮問については妥当である」といった表現を使う。ここで、「差し支えない」という表現にし、その前に「法律に定める基本方針の観点から」という文言を追加した理由は、放射線審議会のよって立つ「放射線障害防止の技術的基準に関する法律」の第3条の中で、放射線障害を及ぼすおそれのない線量以下とすることをもって、その基本方針としなければならないと書いてあることにある。つまり、その線量以下であるかどうかが判断基準である。つまり、いわゆる最適化や合理性について種々の議論があるからといって、妥当でないとするのは難しい形の法律になっている。
 したがって、ここで、わざわざ法律を引き出して「法律に定める基本方針の観点から」と入れたのは、法律にそう書いてあるので、技術的基準の策定としては差し支えない、放射線審議会のこの法律で付与された権能の範囲であれば、ということになる。

【今村委員】  答申の内容と少し離れるが、一般食品の汚染割合を50%としていることについて、もし日本の食品の新しい基準値が100Bq/kgとなると、輸入品についても同じ基準がかかってくる。輸入品に対しても最大100Bq/kgの放射性物質を含んでいる可能性があるから、食品の汚染割合を50%にするという計算で良いのか。
【森口(厚生労働省)】  CODEXは貿易のルールで占有率10%としているのは、自国が汚染国から来る食品を排除するときの基準を定めるときに、その汚染国の食品の占有率が10%という場合にはこの基準値を、20%だったらその半分するといった考え方を示している。
 輸入食品で違反品がないわけではない。しかし、非常に限られたものだけになっていることもあり、国内食品の占有率は50%程度であろうということから、その数値を適用している。
 実際に被ばく量がどうなるかについて、それが十分低い値に納まることは、様々なモニタリングデータ、通関時の検査データ等見れば、明確に言えると思う。
【今村委員】  食品を輸入する場合には実際の汚染状況を考慮し、(輸入食品で)国内で供給される分にはその100%の食品が100Bq/kgの汚染をしているとして計算するのか。
【森口(厚生労働省)】  そういう場合であっても十分守られるものとしている。食品衛生法の規格基準は、ここまでならば大丈夫だということ、これ以下に納まるという保障値で立てることが基本原則である。
 放射性物質以外のものについてはCODEXでも占有率といった考えなく、すべての食品が汚染されていても、その目指すレベル以下に必ずなるというような形で基準値を設定していくというのが、国際的にもルールである。

【杉浦委員】  答申案の1ページに、測定をするべきということが書いてあるが、これは全数を測定するものではないことを明確に説明すべき。
 基準値が決まって、それを超えているものが時々見つかると、報道等で大きく取り上げられる。基準値が下がればそれだけ検出限界を小さくするために測定時間が長くなってしまう。現状整備されてきている測定体制をしっかりするべきであるけれども、国ができない範囲ももちろん存在し、県等の地方自治体に落とすところ、流通側で努力されるところ、厚生労働省として実施していただきたいことがある。「全てを測るべき」といったメッセージは含まれていないことを確認したい。
 放射線審議会として、全ての食品を測るということではなく、どこまでの測定が望ましいか言及しておかないといけない。
【丹羽会長】  私の理解は、この文言は検査体制が不備であるため、しっかり整備するようにというメッセージである。食品の検査の際に、抜き取りでどの程度のパーセントにするのかということについて、検査体制が整備されていないがために過去にも見逃しがあったので、それを避けて欲しいというメッセージかと思う。
【渡辺次長・原子力安全監】  その点に対し、別紙の最後のパラグラフに「必要な検査精度及び件数」と記述されており、これは当然、必要ない程に測定しなければならないわけではない。ここにまさに、状況にもよるが、全数測定を求めているわけではないという意味が込められていると理解していただければと思う。

【甲斐委員】  今回の答申に別紙がつけられた背景として、放射線審議会は、単に基準値の妥当性だけではなく、基準値とは何か、その意味合い、その波及効果、その基準値を適切に管理できるか、等の様々な観点で議論を行ってきたことにある。現状の認識として、暫定規制値による運用においても管理の中からくぐり抜けてくる可能性が現に起きてきてしまった。つまり、基準値を下げるということは、さらに漏れの可能性が上がってくる。だから、そういったことも常に配慮して管理体制を考えていただきたいというコメントがある。
 もう一つは、基準値とは何なのかがしっかり伝わらないと数値だけが一人歩きする。数値が安全と危険との境のような感じで社会はとっていくため、リスクコミュニケーション体制が現在の政府にあるか、厚生労働省にその体制があるのかというところが疑問である。
 そういう意味で、この新しい基準値を作るに当たり、そういったことを十分考えていただきたいというメッセージになっている。

【渡辺次長・原子力安全監】  事務局からの提案であるが、別紙の「1.防護の最適化及び利害関係者の意見の考慮について」で、「利害関係者」という言葉を使っているが、必ずしも好ましくない言葉であるので、「ステークホルダー」とした方がよいかと思う。「利害」というと何か経済的に損得が絡むようなので、あまりよくない言葉かと思う。
【高倉委員】  公的な文書の中に英語の表現を入れることは気をつけなければならない。「利害関係者」という言葉がふさわしくないことは分かるが、別紙の注意書きに「様々な観点から関係を有する者」という説明があるので、例えばそのように書く。英語で表現すれば何となく通じるという考え方は避けるべき。その方が様々な解釈の可能性を忍ばせて、明確なことを伝えない場合が多い。本文に括弧をつけて説明を加えるとかした方が望ましい。
【渡辺次長・原子力安全監】  別紙の最初の部分で、ステークホルダーに括弧をして、「様々な観点から関係を有する者」を加えたい。

【梅田委員】  別紙の最初のパラグラフの「安全側に立った設定を行っている」ということが、答申本文の「差し支えない」につながっていくと思う。ここは、安全側に立っていることは認めるが、それは過度であるという言葉を入れていただきたい。
 ここはとても大事なポイントだと思う。
【渡辺次長・原子力安全監】  2つ目のパラグラフを、「このような状況で1mSv/yを管理目標値とすることに異論はなく、その食品の濃度基準は放射線防護の観点からは安全側に立った設定を行っている。」にし、その後、それを遵守するための導出過程において、「大きいと考えられる汚染割合を仮定していること」と、「過度の安全尤度を設定している」という事実関係を書けばどうか。
【梅田委員】  「しかしながら」という逆説でつないだ方がよい。
【渡辺次長・原子力安全監】  放射線防護の考え方が安全側に立った設定をしていることを記述するのであれば、原案に戻した方がよいのではないか。
【梅田委員】  原案のままでは、過度であることが伝わらないといったことが委員からの御指摘であった。代替案として、「~異論はなく、その考え方は安全側に立った設定と考えられる。しかしながら、それを遵守するための食品の基準の導出過程において、実態に比して大きいと考えられる汚染割合を仮定していること、後述するような子どもに対する過度の安全尤度を設定していることが懸念される。」としてはどうか。
【渡辺次長・原子力安全監】  「このような状況で1mSv/yを管理目標とすることに異論はなく、食品の基準濃度は放射線防護の考え方からは安全側に立った設定を行っている。しかしながら、それを遵守するための食品の濃度の導出過程において、実態に比して大きいと考えられる汚染割合を設定していること、それから、後述するような子供に対する過度の安全尤度を設定したことが懸念される」となるか。
【丹羽会長】  それではおかしい。
【甲斐委員】  安全側かどうかというのは、あまりいいメッセージではないように思う。結局、現実的でない仮定を導入することが様々な誤解を与えないように、基準値の意味の誤解を与えないように注意すべきである。
 安全側という言葉は非常に微妙な問題であることから、要するに、これと数値の意味合いというのを誤解されてしまうことを懸念しているので、安全側であるかどうかということよりも、そこをしっかり伝えたほうがよい。
【丹羽会長】  安全側に立つかどうかの議論より、作られた数値が一人歩きして、これが安全と危険の境界であるように誤解されるのがいけないと言っているものである。
【渡辺次長・原子力安全監】  甲斐委員の御意見を踏まえると、「このような状況から1mSv/yを管理目標とすることに異論はなく、食品の基準は放射線防護の考え方は安全側に立った設定をしている。ただ、それを遵守するための食品の濃度基準の導出過程において、実態に比して大きいと考えられる汚染割合を仮定していること、後述するような子供に対する過度の安全尤度を設定したことから、不要な誤解を生じないように注意すべきである」。
【丹羽会長】  それでは、何を注意するのか分からないためよくない。具体的な基準値が文章に入っているのであれば、その数値が一人歩きして、安全、安全でないという議論になることが一番恐い。
 放射線審議会のメッセージは、そのことについて重々注意してほしいということ。
【梅田委員】  放射線審議会は、1mSv/年という設定値は妥当であると認めているが、その線量から誘導された食品中の放射性物質に係る基準値(Bq/kg)に対して懸念を示している。従って、ここでは基準値の設定に問題があることを述べることが大事と思う。次のパラグラフでは基準の数値の妥当性について述べられており、話が繋がる。
【丹羽会長】  この議論はすぐ決めた方が良いのか、もう少し時間をかけて議論をした方が良いのか。ここのところで伝えたい事をもう少し洗練して、より良い文言にしていく過程が必要かと思わざるを得ない。
【渡辺次長・原子力安全監】  例えば、次のような内容でいかがか。「このような状況で1mSvを管理目標とすることに異論はなく、食品の基準濃度は放射線防護の考え方からは安全側に立った設定をしている。なお、それを遵守するための食品の基準濃度の導出過程において、実態に比して大きいと考えられる汚染割合を仮定していること、後述するような子供に対する過度の安全尤度を設定したことに留意すべきである。」。
【杉浦委員】  先程の桝本委員の御指摘がこのような文章の作成に大事かと思うが、感想を入れずに「ことが指摘できる。」とするのはいかがか。
 そういう問題点があるとことをここに書き込めばよいのではないか。
【下委員】  渡辺次長が「なお」と言われたその後について、1mSv/年を遵守するためのところ、2番目の過度の安全尤度を設定したことが不要な誤解を起こしかねないといったこと懸念されると言いたいのではないか。そこのところを懸念していることについて、放射線審議会では考えを持っているのではないか。
【丹羽会長】  「懸念」を入れることについて、事務局としては入れたくないということか。
【渡辺次長・原子力安全監】  例えば、下委員の御指摘を踏まえると、「設定したことは無用な誤解を生じさせる可能性があることが指摘される。」となるか。

【石榑委員】  この最初の段落で言いたいことは、仮定が過度であることなのか、新たな規制値を設けても然程大きな効果は上がらないと考えていることなのか、どちらかと言えば、私は後者だと思う。
 安全尤度を大きく見て設定されたものではあるけれども、例えそういうものであっても現状の被ばく量は既に低いため、新たに規制値を設定したとしても、その効果はあまり大きくないといったことが、放射線審議会委員の基本認識ではないかと思う。
【丹羽会長】  パラグラフの順番を前後逆にするということか。
【石榑委員】  放射線審議会委員の基本認識を私はそう理解した。

【丹羽会長】  答申案の審議については、お互いの議論が収束していない状況である。この文言について、委員が何故こだわっているかといったら、結局、(新しい基準値にする)必要性があるのかという思いがどこかにあるためである。文言について議論をすれば時間がかかるため、事務局にもう一度見直していただき、修正案について議論をした方が良いと思う。
 また、私自身が一番大きい問題と思っている点を述べたい。基準というのは国が作るものであるため、国が責任を持たなければならない。今回、厚生労働省の食品の基準値である100Bq/kgという数字が、幸か不幸か世間に流布されている。4月1日から運用するために、放射線審議会の議論も関係なしに、どんどん進められている。これは放射線審議会が機能していないことを象徴しているようにも思える。その点はおくとしても、実際にこの基準値の運用された状況で、このルールが守る人にとって当然あるべき便益があるのかが疑問である。この基準値は消費者と生産者にとってどういう意味を持っているのかということがある。この問題は、必ずしも放射線審議会が議論することではなく、本国が考えなければならないことであるが、そう言った議論はこれまで全く無いのが第一点。
 もう一つは、厚生労働省からは食品の基準値をCODEXに準拠して計算したと説明していたが、去年の段階で食品安全委員会が生涯100mSv以上はリスクがあるとしたことは、まだ否定されていないと理解する。生涯100mSvというのは国民を二色に分けかねない、すなわち差別を生みかねない恐ろしいものであると思っている。
 食品の基準値を100Bq/kgとし、それを守れば日本がうまくいくかと言えば、100Bq/kg以下であっても売れないかもしれない。実際、国が基準値を作って動かした場合、生産者はその遵守に努力する。でも実際を考えると、生産者は100Bq/kgという基準値ではなく、0Bqを目指すしか仕方ない状況とも思える。
 それよりも、消費者にとっては検査体制が不備であるということであれば、不安はそのまま残る。放射線審議会で議論された様々な問題を含め、この基準値を運用したときに何が必要で、それに対してどのような対応を国としてとらなければならないかというのは、考えながら運用すべきものである。これは事故対応なので、状況が変化していくというのが放射線防護の基本である。だから、我々は最適化を一生懸命主張してきたのであるが、残念ながら、それは取り入れられるところにはならなかった。
 国として基準値を運用していくときに、この数値が非常に大きい広がりを持っている。それは厚生労働省だけの問題ではなく、農林水産省や経済産業省の問題でもある。国民の生活のすべてに係る問題になってくるので、そのような問題点に関して厚生労働省からは、この基準値を作るときの考え方、今後運用する上での考え方を伺いたい。
【森口(厚生労働省)】  食品衛生法の基準値を作るということで検討をさせていただいているところであるが、薬事・食品衛生審議会では、食品衛生を所管しているため、そこで審議していただく。リスク評価とリスク管理とが分かれていることを先ほど説明したが、食品の世界では規制と振興も完全に分かれている。食品衛生法には振興の概念は基本的にないと思う。振興行政は農林水産省がやるという仕組みになっている。厚生労働省では食品安全委員会のリスク評価結果を受けて、その範囲内におさまるよう管理措置を決めていくという形になる。これは安全規制を考えることであるため、リスク評価の観点からも、生産者の都合で安全規制を変えることはない。
 しかし、ALARA(As Low As Reasonably Achievable;合理的に達成できる限り低く)の概念で実態にそぐわない措置はできない。基準を守れないために食品がなくなってしまうという規制はできない。段階を追って、目標点に到達するような措置を執ることもある。基準値案を策定の段階で、実態についても踏まえなければならない。今回の基準値案の策定についても、モニタリングデータ等を基に食糧供給上で支障があるかどうか確認している。
 食糧供給、生産品の流通、加工食品の流通については農林水産省の所管である。農林水産省とは十分に協議させていただいており、また、業界生産者等の意見も踏まえなければならないので、パブリックコメントやリスクコミュニケーションを通じて消費者、事業者など関係者の意見を聞いた上で、最終的に集まった意見を踏まえ、薬事・食品衛生審議会で最終的な数値を決めるというのが、通常の食品衛生の基準値の決め方である。
 さらに、守る人にとって便益があるかということについて、今までにリスクコミュニケーションを実施しており、東京、福島、福岡で既に実施をしたが、消費者側からの意見の中には、できるだけ基準値を下げてほしい、ゼロにしてほしいという方もいる。生産者側からは、ほとんど100~500Bq/kgの濃度の食品がなく低いレベルであるのに500Bq/kgという基準値があることで、そこまで汚染があるように思われ、風評被害につながるので下げてほしいという方もいた。
 福島県のモニタリングデータで100Bq/kgを超えるものの状況について放射線審議会でも示したところであるが、福島のリスクコミュニケーションでは、100Bq/kgまで下がっているというのは生産側の非常な努力の下に達成されてきていることをよく理解していただきたいとの意見があった。また、放射能濃度が高いことで消費者が買ってくれないのではないか、消費者が納得してくれる数字であることが生産側にとって非常に重要ではないか、という意見もあった。
 そういった点でこの数字の意味合い等について、今後も継続して説明していく必要があると認識している。
【道野(厚生労働省)】  御指摘を受けた測定機器の整備、それを扱う人材の確保・育成について補足したい。機器整備については、従前から政府全体としてゲルマニウム半導体検出器の各地方自治体への設置のための補助制度がある。今回、基準値が厳しくなることを踏まえ、来年の予算も含めて検査機器整備のための2分の1の補助という制度を用意している。自治体で機器を整備をする場合には、そういった制度が活用できる。それ以外に、機器の貸与、購入のための補助もあり、その対象が地方公共団体であったり、消費生活センターであったり、事業者団体であったりする。
 また、ソフト面では、スクリーニング検査に関し、100Bq/kgに合う技術基準の案について現在パブリックコメントを開始している。ゲルマニウム半導体検出器を使った検査の方法について、50 Bq/kgや10 Bq/kgに見合うようマニュアルの改訂を進めているところである。
 人材育成について、2011年11月に地方自治体を対象として研修を実施している。また、スクリーニング検査、ゲルマニウム半導体検出器の検査方法について、一定の改正をすることにしており、それを踏まえた研修も年度明け早々に実施したいと考えている。
 その他、政府の原子力災害対策本部で策定している検査の計画、出荷制限の設定、解除の考え方という文書があるが、これは全体の食品対策のガイドラインになっているものである。その内容についても関係省庁と調整をしながら改訂に向けて作業をしている状況である。
【丹羽会長】  状況を説明いただいたが、私の真意が伝わっていないところがある。それは、基準値以下であっても製品が売れないのであれば、それは基準の意味をなしていないということである。実際、そういうような状況が起こっていることから、国としてどのような措置をとっていくかを考えるべきであると申し上げた。
 継続審議ということがやむを得ないのであれば、今回は閉会にしたい。次回も継続審議とするか。
【渡辺次長・原子力安全監】  はい。
【丹羽会長】  答申の文言の問題もあるし、また、私が申し上げたことに関し十分に厚生労働省の理解も頂いていないようである。
 もう一度、議論をしたいので次回の設定に関しては、事務局から少し御説明いただきたい。
【渡辺次長・原子力安全監】  今日お配りした答申案に対して頂いた意見では、「1.防護の最適化及び利害関係者の意見の考慮について」について、第1パラグラフと第2パラグラフ.の順番に関する御意見もあったが、事務局の方で、委員の方々の御意見を踏まえ修正案を作り本日中にお送りしたい。明日の昼頃までにメールで御意見をいただければと思う。
 その他の部分について、別紙の最後のパラグラフで50Bq/kgという数値を書かない方が良いとの意見があった。また、「ステークホルダー」については、最初にステークホルダーと書いて、「様々な観点から関係を有する者」と加える。第1パラグラフ以外で御意見があれば、時間もないので、今日お残りいただき事務局に御意見を頂きたい。次回、できれば答申をするという形にしたいと思う。

以上

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科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)