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資料第28-2号:放射線審議会基本部会報告「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」の見直しに係る論点整理

 平成21年5月28日
放射線審議会事務局

1.これまでの検討内容
 放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準に係る放射線審議会基本部会報告「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」(昭和62年12月。以下、「昭和62年基本部会報告」という。)を見直すため、第24回放射線審議会基本部会から検討を進めている。そのなかで、次のとおり参考となる考え方等を紹介してきた。別添に関係する資料一覧を示す。

○第24回(平成21年1月13日)
・日本における放射性廃棄物の埋設処分の概要
放射性廃棄物の種類、埋設処分方法、埋設処分の現状、安全確保の考え方を紹介。

○第25回(平成21年2月19日)
・国際放射線防護委員会(ICRP)における管理期間終了後の線量基準に関係する考え方
ICRPによって示されている放射性廃棄物処分に関係する文書(Pub.46(*1)、Pub.77(*2)、Pub.81(*3))から管理期間終了後の線量基準に関係する考え方を紹介。
・原子力安全委員会における管理期間終了後の線量基準等に関係する考え方
原子力安全委員会によって示されている浅地中処分、余裕深度処分、地層処分それぞれにおける管理期間終了後の線量基準等に関係する考え方を紹介。

○第26回(平成21年3月16日)
・国際原子力機関(IAEA)によって示された管理期間終了後の線量基準等の考え方
IAEAの安全要件(WS-R-1(*4)、WS-R-4(*5)等)における管理期間終了後の線量基準の考え方や、その他関係する文書に示された放射性廃棄物の種類、埋設処分方法等について紹介。
・諸外国における管理期間終了後の線量基準の考え方
欧米を中心にした諸外国における放射性廃棄物の埋設処分の現状及び管理期間終了後の線量基準の考え方を紹介。
・日本における管理期間終了後の線量評価に係る安全評価シナリオ
管理期間終了後の線量評価に係るシナリオを示し、浅地中処分、余裕深度処分、地層処分における安全評価の考え方を紹介。

2.これまでの論点
 昭和62年基本部会報告の見直しの観点から、放射線防護の三つの基本原則(行為の正当化、放射線防護の最適化、線量限度の適用)等に着目して、これまでの検討における論点を以下のように整理した。
 なお、第27回基本部会(平成21年4月27日)における委員からの発言の概要を、項目毎に示している。 

2.1 行為の正当化
 Pub.26(*6)に則るPub.46において、放射性廃棄物処分における行為の正当化は、それのみで考えるのではなく、廃棄物を発生する行為全体の中で考えるべきであるとされており、Pub.60(*7)に則るPub.77、Pub.81においても、引き続き同様の考え方が示されている。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・日本では、原子力委員会における原子力政策大綱の策定等において、正当化について適切に対応されている。 

2.2 放射線防護の最適化、線量限度の適用

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
 昭和62年基本部会報告をまとめたときには、ICRPやIAEAにおいて放射性廃棄物処分に係る具体的な線量基準は示されていなかった。その後、具体的な基準が示され、その内容は基本的な概念として適切であり、今回の見直しにあたっては国際的な基準の適用を考えるべきである。

2.2.1 管理期間終了後の線量基準の基本的な考え方
(1)適用すべき考え方(規制免除・拘束値・線量限度)とその値
 Pub.46に示された放射性廃棄物の規制免除やPub.77に示された放射性廃棄物処分における拘束値の考え方等を整理し、日本における埋設処分の管理期間終了後の線量基準として適用すべき基本的な考え方(規制免除・拘束値・線量限度)とその値について検討する。
 なお、「埋設処分施設としての制度的管理」と「放射線防護上の管理」は異なると考えられ、「管理期間終了後の線量基準」における「管理」とは、「埋設処分施設としての制度的管理」のことである。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・「管理」は、埋設処分場としての管理(法的な位置付けを持って埋設処分場を操業する者がその責任を講じること)と放射線防護上の管理(放射線被ばくの管理に責任がある全ての人が人工バリア、天然バリア、制度的管理、記録管理等の手段を講じて放射線防護の三原則が守られるようにすること)に分かれる。
・IAEAにおける制度的管理には、能動的な管理(モニタリング等)と受動的な管理(記録保存等)があるので、そこを踏まえたうえで検討を進めた方が良い。

 以上を踏まえ、上記において「埋設処分施設としての制度的管理期間終了後の線量基準」として位置付けていた「管理期間終了後の線量基準」は、「埋設処分場としての管理期間終了後の線量基準」と仮に意味することとして、本資料では取り扱うこととする。

・ICRPが示しているのは、放射性廃棄物処分における線量基準の考え方であり、埋設処分場としての管理期間の前後といった区別がなく、埋設処分計画時に適用する超長期も考慮した放射線防護基準である。
・「管理」という用語に混乱があるようなので、「管理期間終了」というのは「埋設処分場の閉鎖」等の具体的な用語にしても良いと思う。

 1) 昭和62年基本部会報告では、原子力安全委員会において浅地中処分における管理期間終了後の線量基準を「被ばく管理の観点からは管理することを必要としない低い線量」とする考え方が示されたことを踏まえ、その具体的な線量基準等について検討を行った。その結果、Pub.46に示された放射性廃棄物の規制免除に係る線量基準(0.1mSv/年[複数線源による被ばくを考慮して0.01mSv/年])の考え方等を、浅地中処分における管理期間終了後の線量基準へ適用することとし、0.01mSv/年等を決定した。
 2) Pub.46では、放射性廃棄物処分において、医療線源と自然線源を除く線源からの可能性のある被ばくを考慮しても線量限度を超えないことを保証する必要があるとし、さらに拘束値につながる基本的な概念(線量限度等のなかである割合を線源上限値等として各国で設定すること)が示されたが、拘束値に係る具体的な基準は提示されていなかった。その後、Pub.77において、放射性廃棄物の処分における公衆被ばくの管理は、線量限度1mSv/年の下で拘束値を組み込んだ防護の最適化により行われるべきであるとし、具体的には線量拘束値約0.3mSv/年を超えない値が適切とする考え方が示された。
 3) IAEAでも安全要件WS-R-1と同WS-R-4においてPub.77と同様な考え方が示されている。
 4) 上記の状況を踏まえ、今回適用する放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準を、線量限度1mSv/年の下でどう考えるか?
   a. 検討にあたっては、線量限度(1mSv/年)、拘束値(0.3mSv/年)、放射性廃棄物の規制免除基準(0.1mSv/年[複数線源を考慮して0.01mSv/年])等について考えるのか?

 [第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・昭和62年基本部会報告をまとめたときには、ICRP等における国際的な基準として線量基準に係る具体的な値については、クリアランスの考え方に相当する放射性廃棄物の規制免除値が示されていたが、放射性廃棄物処分については示されておらず、規制免除の値を準用した。その後、ICRP等において放射性廃棄物処分についても拘束値等を用いた具体的な値が示されており、今回の見直しにあたっては現在の国際的な基準の適用を考えるべきである。
・埋設処分に係る線量基準については、規制免除に係る基準と混同するべきではない。線量限度1mSv/年のもとで、これを超えないよう物に対してはクリアランスの考え方を適用し、埋設処分場に対しては線量拘束値0.3mSv/年を適用することが適切である。なお、Pub.46では、「大きな問題をなおざりにしてささいな問題に限られた資源を浪費されることのないように」ということから、放射性廃棄物の規制免除の考え方が示されており、規制免除レベルを超えると安全性が損なわれるというものでないと考える。
・埋設処分場としての管理を終了した後は、放射線防護上の管理が行われると言うが、将来的に天然バリアが崩れたときに、放射線防護上の管理が継続していると言えるのか疑問である。そういう状態において埋設処分地であることを認識せずに土地を再利用することも想定され、その場合は規制免除(クリアランス)と同じような考え方ではないかと考える人たちもいると思うが、永続的に拘束値で良いということをどのように説明すればよいのか議論すべきである。
・放射性廃棄物処分だけでなく、放射線安全全体の中での公衆の基準として考えるべきである。したがって、1mSv/年の線量限度のなかでどう考えるかということになり、放射性廃棄物処分については線量拘束値0.3mSv/年以下となるのであれば無拘束開放して良いこととなる。例えば、IAEA安全基準WS-G-5.1「行為の終了に際しての規制管理からのサイトの解放」に示されたサイトの無拘束開放基準も0.3mSv/年である。0.01mSv/年を超える線量、例えば0.3mSv/年で無拘束開放できないのであれば、排気・排水の現行基準とも矛盾することになる。

  b.原子力安全委員会によって示されているような発生の可能性に応じた分類( 注1)も行い、線量基準を示すのか?

(注1) 「低レベル放射性廃棄物埋設に関する安全規制の基本的考え方(中間報告)」(平成19年7月原子力安全委員会)の「3.3区分のシナリオ分類」において、介入が正当化される一般的な参考レベルの対象シナリオの他にも発生の可能性に応じためやす線量が、次のように示されている。
 ○発生の可能性が高く、通常考えられるシナリオ(基本シナリオ):0.01mSv/年
 ○発生の可能性は低いが、安全評価上重要な変動要因を考慮したシナリオ(変動シナリオ):0.3mSv/年 

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・原子力安全委員会のように0.01mSv/年、線量拘束値として0.3mSv/年を示しても良いと思う。なお、0.01mSv/年については、埋設処分場としての管理期間終了後の状態(受動的な制度的管理の有無等)で異なる考え方があっても良い。
・原子力安全委員会において、0.01mSv/年と0.3mSv/年の両方の値が示されているのは、あくまでも0.01mSv/年を提示した昭和62年基本部会報告が有効であるからである。今回の昭和62年基本部会報告の見直しにおいて、ICRPに準じて拘束値0.3mSv/年を導入する場合、放射線審議会として0.01mSv/年を残す必要はない。原子力安全委員会の考え方を参考にして0.01mSv/年を残すというのは話が逆である。

  c. 管理期間終了後に拘束値の考え方は適用できるのか?

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・拘束値は埋設処分を計画したときに設定され、将来の放射線防護システムの妥当性の判断指標として使用する。そうすることにより、将来にわたる埋設処分に係る放射線被ばくを制御することができる。拘束値を導入したからといって、埋設処分場としての管理を続けることが必要となるものではない。

(2)管理期間中の線量基準
 Pub.77では、放射性廃棄物処分における線量拘束値として0.3mSv/年を示しており、管理期間終了後に限定した考え方を示しているわけではない。したがって、管理期間終了後の線量基準として、Pub.77等に基づき拘束値の導入を検討するのであれば、管理期間中についても同様の検討を行うべきではないか?

2.2.2 潜在被ばくの取扱い
 Pub.46において確率的事象に対する基本的な考え方が示された後、Pub.77において「事故及び破壊的な事象等の発生」を考慮して、「仮にそれらが発生した場合には、通常よりも大きな被ばくを生じさせるかもしれず、これらの被ばくは潜在被ばくとして扱うべきである」としている。この潜在被ばくも考慮した基準を、次のことに留意して検討する必要がある。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・放射線審議会としては、リスクの概念(リスク拘束値)を規制に取り入れるという大きな方針を示せばよい。具体的な事象の発生頻度に応じた具体的な安全規制の内容は、サイトに依存することもあり、原子力安全委員会や各行政機関が検討することであり、放射線審議会としては基本的な枠組みを示すことが重要である。
・偶然の人間侵入については、予測することは極めて難しいが、その可能性を除外することはできないものであり、長寿命放射性固体廃棄物処分を対象とした国際的な考え方(Pub.81等)を準用すべきである。

(1)長寿命核種による潜在被ばくの適用対象となる埋設処分の方法
 Pub.81に示されている長寿命核種による潜在被ばくに対するリスク拘束値10の-5乗/年や介入が正当化される一般的な参考レベルに相当する現存年線量(10mSv/年~100mSv/年)といった考え方を、日本の埋設処分における各方法(浅地中処分、余裕深度処分、地層処分)に対して導入することが適切か? 

 1) 具体的には、余裕深度処分や地層処分において考慮することが想定されるPub.81に示されている介入レベルに関する現存年線量等の考え方は、管理期間終了時に十分放射能が減衰する浅地中処分(注2)で適用することが妥当か?

(注2) 「放射性廃棄物処分の安全規制における共通的な重要事項について」(平成16年6月原子力安全委員会)の「5.わが国における放射線防護基準等の検討の方向性」において、「廃棄物中の放射能の減衰により管理期間の終了を待って放射性廃棄物としての管理を要しない放射性廃棄物処分」とされている。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・浅地中処分から地層処分までの各埋設処分方法の特性を踏まえて、適用対象とする埋設処分を検討することが必要である。

(2)自然過程へ適用する基準
 長寿命核種による潜在被ばくのうち、自然過程(偶然の人間侵入以外の全ての過程が含まれる)における通常の被ばく状況に適用する基準として、Pub.81では、Pub.77と同様の線量拘束値0.3mSv/年が示され、相当するリスク拘束値として10の-5乗/年オーダーが示されている。IAEAの安全要件WS-R-4でも同様の考え方が示されており、こういったことを踏まえ、日本において自然過程へ適用する基準はどうあるべきか?

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・ICRPでは、線量拘束値による線量/確率分解アプローチが基本であり、リスク拘束値による統合アプローチはそれを補完するものとされており、今回の検討でも同様の考え方で良い。なお、長期にわたる確率を正確に評価することは極めて困難であり、リスク拘束値は細かい数値ではなく、10の-5乗/年オーダーといった提示となる。
・ICRPでは、線量拘束値とリスク拘束値をつなぐものとして、線量/確率分解アプローチの考え方が示されている。潜在被ばくについては、リスク拘束値だけでなく、この線量/確率分解アプローチをどのように取り入れるかが重要となる。

(3)Pub.81における介入が正当化される一般的な参考レベルとPub.103(*8)における現存被ばく状況の参考レベルの適用の考え方
 Pub.81において、偶然の人間侵入に対する介入が正当化される一般的な参考レベルとして現存年線量(10mSv/年~100mSv/年)が提示されているが、Pub.103において、現存被ばく状況の参考レベル(1mSv/年~20mSv/年)が提示されており、偶然の人間侵入に適用すべき基準はどのようにあるべきか?
 なお、IAEAでは、安全要件WS-R-1と同WS-R-4の統合作業が進められているところであるが、偶然の人間侵入に適用する基準については、Pub.103の考え方を取り入れて1mSv/年~20mSv/年の範囲とする方向で検討が進められている。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・Pub.103の考え方は幅が広いので、埋設処分場としての管理期間終了後の状態(受動的な制度的管理の有無等)で異なる考え方があっても良い。

(4)Pub.81における介入が正当化される一般的な参考レベルの適用対象となる過程(シナリオ)
 Pub.81では、介入が正当化される一般的な参考レベルの適用対象となる過程を、偶然の人間侵入としているが、自然過程の一部(例えば、発生の可能性が著しく低い自然事象)も含めるべきか?

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・ICRPでは、介入レベルの適用対象は偶然の人間侵入のみであり、自然過程に対して適用することは不適切であると考える。

 なお、対象に含める場合、次のことに留意する必要がある。
 1) 適用する基準は、偶然の人間侵入と同じとして良いのか?
 2) 通常の自然過程としての基準(例えば、拘束値)を適用できる事象と介入レベルを適用すべき事象との区分を、放射線審議会としてどこまで示すのか?
  a.例えば、区分とする事象の発生確率を示すのか?

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・自然過程の一部(例えば、発生の可能性が著しく低い自然事象)については、介入レベルの幅に異なる考え方も取り入れても良い。

2.3 クリアランスの考え方
 昭和62年基本部会報告においては、現在のクリアランスの考え方につながる「原子炉の解体等に伴って発生する金属等の放射性廃棄物を一般社会に還元し、再利用する場合の基準」については、浅地中処分において規制から外してよいとする線量基準と同様の考え方ができるとしている。
 しかしながら、今回、放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準についてICRP等の状況を踏まえ改めて検討することから、クリアランスに適用すべき線量基準の考え方について、次のことに留意して検討が必要か?

・ Pub.46では、クリアランスにつながる放射性廃棄物の規制免除の考え方として、「被ばくした個人にとって無視できる線量」は0.1mSv/年とし、現在又は将来において複数の規制免除された線源から被ばくする可能性を考慮して1/10の値である0.01mSv/年を個人線量の基準としている。こういったことを踏まえ、クリアランスに適用すべき線量の概念及び基準を検討することが必要。
・ 第97回及び第98回総会でのクリアランスレベルに係る審議を経て原子炉施設において既に法制度化されている現状を踏まえたうえで検討する。

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・埋設処分場に対する基準とクリアランスに対する基準は別のものであるから、昭和62年基本部会報告を変更しても、現行法令で採用されているクリアランスレベルの算出元の線量基準である10μSv/年に影響が及ぶものではない。
・クリアランスに適用する線量基準の考え方は、Pub.46に示された放射性廃棄物の規制免除に示された考え方となる。但し、ウラン等の自然放射性核種については、0.01mSv/年の線量基準からシナリオに基づいた濃度基準を設定するのは不適切である。自然放射性核種については、ICRPでは勧告されていないが、IAEAのRS-G-1.7では線量基準からではなく、世界的な分布に基づく濃度基準を提示している。

2.4 その他
2.4.1 報告書のまとめかた
 本年夏頃を目処に報告をまとめる場合、次の(1)~(3)の全てを対象として報告書をまとめるのか? それとも最初にまとめる報告では全てを対象とせずに、原子力安全委員会における安全規制の基本的考え方や安全審査指針等の検討状況を踏まえて順次まとめていくのか?
(1) 全ての埋設処分の方法に対する基準(浅地中処分、余裕深度処分、地層処分)
(2) ウラン廃棄物を含む全ての放射性廃棄物の種類を対象とした基準
(3) クリアランスの考え方

[第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・放射線審議会としては、放射線防護上の原則となる、埋設処分における処分方法や放射性廃棄物の種類に依らない放射性廃棄物全般を対象とした基本的基準を今回示すべきである。ICRPにおいても個別の処分方法等に依らない全体を網羅した原理原則が示されており、IAEAにおいてもかなり整ってきているところである。具体的に制度の中に組み込む時の各処分方法等に応じた考え方とその基準の検討は、原子力安全委員会や各行政機関において行うことである。
・原則となる基本的基準といっても、トップダウンで決めてしまうのではなく、各処分方法等の具体的な問題をそれぞれちゃんと踏まえて基準をつくることが必要である。
・埋設処分場としての管理期間終了後の具体的な安全規制の考え方が原子力安全委員会によって示されていない地層処分については、線量基準を議論するのは難しい気がするが、逆に線量基準が先に示されることによりその考え方が決まってくることになるのかもしれない。
・一般の人たちの安全・安心の確保の観点から、埋設処分・クリアランスとも全てのものに適用できる基準を検討すべきである。但し、ウラン等については、別途整理が必要である。
・ウラン廃棄物の埋設処分については、Pub.103で新たに示された現存被ばく状況の考え方が適用できる。
・ウラン廃棄物の埋設処分については、拘束値という概念だけでなく、他のことを考慮すべきだと思うので、将来的に検討することにした方が良い。
・Pub.46では、施設解体等で大量の放射性廃棄物が発生するようなときに、限られた資金や人的資源等の中で安全性を確保して適切に作業を進めるため、リスクが無視できるようなものは切り離す考え方として放射性廃棄物の規制免除が示されている。したがって、放射性廃棄物全般について放射線審議会としての考え方を示す場合、クリアランスに関する考え方も示すことが必要である。
・原子力安全委員会においては、安全審査指針である「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」(昭和63年3月)の改訂が進行中であり、早急に昭和62年基本部会報告の見直しに係る検討を進めることが必要である。

(事務局補足)
 日本における放射性廃棄物の埋設処分等の方針決定や安全規制等の整備に係る状況は原子力委員会原子力白書(平成20年度)表2-3放射性廃棄物の処理・処分に関する検討状況(http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/index.htm)(※原子力委員会原子力白書一覧にリンク)を参照のこと。
 原子力安全委員会における検討状況として、ウラン廃棄物を除く浅地中処分又は余裕深度処分を行う低レベル放射性廃棄物については、安全規制の基本的考え方が示されている。安全審査指針については、一部整備済であり、現在も随時整備が進められているところである。ウラン廃棄物については、今後埋設処分計画が具体化する段階で適切に安全規制の基本的考え方及び安全審査指針が整備されるものと考えられる。
 一方、地層処分を行う高レベル放射性廃棄物については、現在示されている安全規制の基本的考え方は暫定的なものであり、地層処分を行う長半減期低発熱放射性廃棄物も必要に応じて考慮しながら今後適切な時期に整備が進められ、さらに安全審査指針がまとめられるものと考えられる。
 なお、RI廃棄物については、文部科学省において、原子力安全委員会における低レベル放射性廃棄物に対する考え方等を参考としながら線量基準等の策定を進めているところである。

2.4.2 昭和62年基本部会報告に用いられている「除外」という用語の用い方
 昭和62年基本部会報告に用いられている「除外」は、「規制の範囲内にあるものを規制の管理から外すこと」という意味を含んでおり、現行の定義で用いられているものでないため、適正化を図る必要がある。
 例えば、「規制免除について-国際基本安全基準における規制免除レベルの国内法令への取り入れ検討結果-」(平成14年10月放射線審議会基本部会)によると、「除外」とは「自然界に存在する放射線源による被ばくのように、制御できず、規制の対象としてなじまない被ばくを、規制の対象にしないことをいう。」とされている。

 [第27回基本部会における委員からの発言の概要]
・除外という用語は適正化を図った方が良い。今回とりまとめる報告は、放射性固体廃棄物の処分全般及びクリアランスの考え方が対象であることから、「放射性固体廃棄物処分における線量基準及びクリアランス基準について」のような表題が適切である。

[その他の第27回基本部会における委員からの発言]
・埋設処分場としての管理終了後の放射線防護上の管理において適用すべき線量基準を検討するということで異論ないと思うが、そのなかで重要な点は以下の4点と考える。
 ○線量拘束値の考え方を取り入れるのかどうか。
 ○全部の処分方法(浅地中処分、余裕深度処分、地層処分)や放射性廃棄物を対象とするべきかどうか。
 ○潜在被ばくにおける自然過程と偶然の人間侵入に対する基準を分けて考えるのか。
 ○クリアランスの考え方の整理をどうするのか。
・受取側が混乱しないように、今回の報告をまとめるときには、埋設処分場としての管理期間終了後等の各用語が指す意味やどういう考え方についてまとめたのかをはっきり示す必要がある(用語集が必要)。

(文献)
*1:ICRP Pub.46 「放射性固体廃棄物処分に関する放射線防護の諸原則」(1985年)
*2:ICRP Pub.77 「放射性廃棄物の処分に対する放射線防護の方策」(1997年)
*3:ICRP Pub.81 「長寿命放射性固体廃棄物の処分に適用する放射線防護勧告」(1998年)
*4:IAEA WS-R-1 「放射性廃棄物の浅地中処分」(1999年)
*5:IAEA WS-R-4 「放射性廃棄物の地層処分」(2006年)
*6:ICRP Pub.26 「国際放射線防護委員会勧告(1977年1月17日採択)」(1977年)
*7:ICRP Pub.60 「国際放射線防護委員会の1990年勧告」(1991年)
*8:ICRP Pub.103 「国際放射線防護委員会2007年勧告」(2007年)

別添

昭和62年基本部会報告の見直しに係る検討における資料一覧

○第24回(平成21年1月13日)
・資料第24-2号:放射線審議会基本部会報告「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」(昭和62年12月)の見直しについて
・資料第24-3号:日本における放射性廃棄物の埋設処分の概要について
・資料第24-4号:放射線審議会基本部会報告「放射性固体廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」(昭和62年12月)について
・資料第24-5号:ICRPで示された放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準等の考え方について
・資料第24-6号:原子力安全委員会で示された放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準の考え方について
・資料第24-7号:今後の検討の進め方

○第25回(平成21年2月19日)
・資料第25-3号:ICRPで示された放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準等の考え方について
・資料第25-4号:原子力安全委員会で示された放射性廃棄物の埋設処分における管理期間終了後の線量基準の考え方について
・資料第25-5号:今後の検討の進め方(論点整理)

○第26回(平成21年3月16日)
・資料第26-2号:IAEAにおける管理期間終了後の線量基準等の考え方
・資料第26-3号:諸外国における管理期間終了後の線量基準の考え方
・資料第26-4号:我が国の管理期間終了後の線量評価に係る安全評価シナリオの例

お問い合わせ先

科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室

(科学技術・学術政策局 原子力安全課 放射線規制室)