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第六期国際委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成24年8月9日(木曜日)10時~12時

2.場所

文部科学省 東館16階 2会議室

3.議題

  1. 科学技術の戦略的推進方策について
  2. その他

4.出席者

委員

大垣主査、伊藤委員、國井委員、小林委員、角南委員、永野委員、西澤委員、眞峯委員、渡辺委員

文部科学省

土屋科学技術・学術政策局長、渡辺科学技術・学術政策局次長、磯谷科学技術・学術統括官兼政策課長、石田国際交流官、長野国際交流推進官、奥国際交流官補佐

5.議事録

【大垣主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第7回の科学技術・学術審議会国際委員会を開会いたします。

まず、議題に入る前に、第六期国際委員会の委員に交代がありましたので、事務局から報告をお願いいたします。

【奥国際交流官補佐】  それでは、資料の御確認前に恐縮でございますが、お配りさせていただいております資料2のほうに第六期国際委員会の名簿がございますので、御覧いただければと思います。唐木幸子委員の御後任としまして、渡辺美代子委員に今回新たに御就任をいただいております。

それでは、渡辺委員から、一言ごあいさつをお願いいたします。

【渡辺(美)委員】  東芝の渡辺でございます。皆さん、御存じと思いますけれども、産業界は今、グローバル市場にどう入って、どう勝っていくかというのが最重要課題です。私、現在、学術会議の会員もしていますけれども、学術の世界でもグローバル人材をどう育てていくかということが最重要課題の一つと認識しております。そのような中で、この委員会に参加させていただき、少しでも貢献させていただければありがたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

【大垣主査】  ありがとうございました。

それでは、事務局にも異動がありましたので、事務局から報告をお願いいたします。

【磯谷政策課長】  8月1日付で科学技術・学術総括官兼政策課長を拝命しました磯谷と申します。よろしくお願いします。

【長野国際交流推進官】  同じく8月1日付で国際交流官付国際交流推進官を拝命いたしました長野裕子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【大垣主査】  ありがとうございました。

それでは、続いて、事務局から本日の議事及び配付資料の確認をお願いいたします。

【奥国際交流官補佐】  了解いたしました。それでは、議事次第に基づきまして、本日の議事及び配付資料について説明をさせていただければと思います。

議題は、「科学技術の戦略的推進方策について」となっております。

資料1は、第6回国際委員会の議事録でございます。

資料2は、第六期国際委員会の委員名簿になってございます。

資料3は、前回国際委員会におきまして、各国の研究活動について科学技術指標による分析が必要である旨、御指摘をいただきましたことを踏まえて作成させていただきました、国際共著論文数等の科学技術指標に着目して、世界の研究活動と日本の状況等をまとめた資料となってございます。

資料4-1、4-2は、前回国際委員会における今後の論点に係る審議において、主な支援事業の実績・意義・効果を確認した上で今後の施策展開の方向性を検討することになりましたことを踏まえて用意しましたJST・JSPSにおける事業実施状況の説明資料となっております。

資料5-1、5-2は、前回国際委員会で御審議いただきました検討状況(案)についての御指摘を反映して作成しました報告書(素案)になってございます。

資料6は、議題のたたき台となるよう事務局にて作成いたしました今後の取組(案)となってございます。

資料7は、今後のスケジュール(案)でございます。

参考資料1としまして第4期科学技術基本計画、参考資料の2としまして平成24年度予算案、参考資料3としまして第五期国際委員会報告書、参考資料4としまして平成20年に取りまとめました欧州地域との国際活動の戦略的推進に係る国際委員会の報告書、参考資料5としまして平成18年に取りまとめましたアジア地域との科学技術協力推進に係る国際委員会報告書をお配りしております。

また、机上の配付資料としまして、SATREPS関連の取り組みである9月3日・4日に開催予定の「バイオマス燃料の事業化に向けた国際戦略シンポジウム」のチラシ、本年、ナショナル・アカデミック・プレスが発行しました「研究大学とアメリカの未来」の要約版、国立環境研究所が実施しております災害環境研究を俯瞰的に整理された「災害環境研究の俯瞰」の日本語版と英語版、またA3の俯瞰図をお配りしているところでございます。

資料の欠落等ございましたら、事務局までお申しつけください。

なお、資料1の第6回の国際委員会の議事録につきましては、委員の皆様に内容を御確認いただいた結果を反映したものになってございます。議事録につきましては、後ほど文部科学省のホームページで公表させていただきますので、御承知おきいただければと思います。

以上でございます。

【大垣主査】  資料については、よろしいでしょうか。

それでは、次に、事務局から「世界の研究活動と日本の状況」について説明をお願いいたします。

【奥国際交流官補佐】  それでは、資料3でございます。前回の国際委員会では、検討状況(案)に係る審議の中で、論文数、国際共著論文数等に基づく分析の必要性について御指摘いただきました。また、中国の成長の理由がわかれば、我が国の推進方策を検討する上での参考になるのではないかとの御指摘もいただきました。本書では、これらの御指摘を踏まえまして、研究活動の状況を示す指標、すなわちTop10%補正論文数、国際共著論文数等の推移等に着目しまして、世界各国の研究活動の状況を確認するとともに、その背景にある研究開発費、研究者数等の状況を確認してまいりたいと思います。

まず、1.世界の研究活動の状況、1)主要国の論文数でございます。図1を御覧いただければと思います。主要国の論文数は、いずれも増加傾向になってございます。特にアメリカ、中国の論文数は2000年代に入ってから顕著に増加してきております。我が国は穏やかな増加傾向にございますが、近年は欧州諸国と比べて論文数の伸びは鈍い状況になっており、2000年代半ばには中国、イギリス、ドイツに追い抜かれているという状況でございます。

続きまして、2ページ目でございます。図2でございますけれども、全論文に占める国別のシェアを見てみますと、中国の急激な上昇に伴って各国とも減少傾向にあるという状況でございます。

続きまして、3ページでございます。主要国の国際共著率、国際共著論文数でございます。図3を御覧いただければと思います。全世界の国際共著率は穏やかな上昇傾向になってございます。欧州諸国は特に高い国際共著率を示しておりまして、さらに上昇を続けているという状況でございます。中国は我が国よりも低い国際共著率になっておりますけれども、論文数自体が我が国よりも多くなっておりますため、図4を御覧いただきますと、同国の国際共著論文数は2000年代半ばには我が国を追い抜いているという状況でございます。

続きまして、4ページでございます。国内論文と国際共著論文の比較でございます。図5を御覧いただければと思います。国際共著率の高い欧州諸国では、国際共著論文の割合が増加してきております。日米も同じ傾向でございますけれども、増加の割合自体は比較的低い状況でございます。一方、右二つの中国、韓国につきましては、国際共著率は低いまま大きな変化は見られないという状況でございます。

続きまして、次のページ、図6でございます。欧州諸国ではTop10%補正論文数の国内論文が3割から4割程度になっておりまして、被引用度の高い論文の産出において、その中ではだいだい色、緑色で示されました国際共著論文が6割以上ということで大きな役割を果たしております。いずれの国におきましても、図5で見られますように、論文数の場合よりも、図6にありますようにTop10%補正論文数の場合のほうが、だいだい色、緑色で示された国際共著論文が占める割合が大きくなっているということは共通をしております。つまり、国内論文よりも国際共著論文のほうが論文当たりの被引用度が高い傾向にあるということが言えるかと思います。また、だいだい色で示された二国間よりも緑色で示された多国間の国際共著論文のほうが論文当たりの被引用度が高い傾向にございます。このため、国際共著論文の作成を推進することは、被引用度の高い論文を増やすための一つの有効な方策であると考えられます。

続きまして、図7でございます。Top10%補正論文の数で見てみますと、我が国の国内論文数は欧州諸国とほぼ同程度でございますが、国際共著論文数で欧州諸国とは差をつけられているという状況でございます。傾向としまして、欧州諸国では国際共著論文数が、中国では特に国内論文の数が大幅に増えてきているという状況でございます。

続きまして、6ページでございます。図8でございますけれども、各分野とも国際共著率が増加してきておりますけれども、物理学、環境・地球科学では2008~2010年のあたりで国際共著率が約3割と他分野よりも多い状況になっております。一方、臨床医学は16.7%と低くなっており、分野ごとに国際共著率は異なるという状況でございます。

続きまして、7ページでございます。表1でございますけれども、1998年~2000年から2008年~2010年における分野別の国際共著率の推移を見てみますと、10年間の増加分に当たる(C)の表を見てみますと、中段あたりに日本の行がございますが、ほぼすべての分野におきまして米国、欧州諸国の増加割合は我が国を上回っているという状況でございます。一方、下から二つ目の中国を御覧いただきますと、こちらはほぼすべての分野において国際共著率はむしろ減少してきているという状況でございます。同国では、近年、国内論文数が急速に増加してきておりますため、国際共著率が低下傾向にあるとも考えられます。

続きまして、8ページでございます。図9でございます。各国の論文数に占めるTop10%補正論文数の割合は、米国においてずっと高い状況が続いておりまして、一方、最近の傾向としては欧州諸国が上昇してきてアメリカに近接をしているという状況でございます。一方、日中韓のグループでは低い傾向にありまして、欧米とアジア諸国とで割合には差が生じてきているという状況でございます。

9ページでございます。図10ですけれども、世界のTop10%補正論文数に占める各国のシェアはアメリカが圧倒的に多くなっておりますが、次第に欧州諸国、中国にシェアを奪われてきているという状況でございます。特に1990年代後半からの中国のシェアの上昇は著しいものがございます。一方で、我が国は次第にシェアを落としてきているという状況でございます。

続きまして、10ページでございます。11ページ以降を御覧いただきますと、11ページから14ページまで国別の分野別のポートフォリオをお示ししております。この並び順は論文数の多い順になっております。各国の左二つのポートフォリオは、1998年~2000年と、あと2008年~2010年における各国の全論文シェアを黒線で示しておりますけれども、それと、Top10%補正論文数のシェア、これは灰色の線の分野別のバランスを比較したものになってございます。また、右二つのポートフォリオは、各国の全論文シェアと国際共著論文シェア、こちらはだいだい色で塗りつぶされた領域でございますが、その分野別のバランスを比較したものになってございます。11ページ以降のポートフォリオは図が小さくなっておりますので、分野名がわかりやすくなるように、例として図11のほうに米国のポートフォリオを大きくしたものをお示ししております。上から時計回りで御紹介しますと、化学、材料、物理学、計算機数学、工学、環境地球、臨床医学、基礎生命の分野となってございます。

11ページから14ページで、国名の横にグループマル1と示されております欧州諸国ですとか、アメリカ、カナダ、オーストラリア、そういった国につきましては、一般的な傾向として、黒線で示された全論文のシェアより灰色の線で示されたTop10%補正論文数のシェアのほうが大きい傾向になってございます。つまり、被引用度の比較的高い論文を生産していると考えられ、これらの国における国際共著論文シェアは、また一方で比較的高いという状況になってございます。

国名の横にグループマル2と示されております中国、韓国、インド、ブラジル、ロシア、台湾、そういった国では全論文のシェアよりもTop10%補正論文数のシェアのほうが小さい傾向になってございます。論文の被引用度が比較的低くなっていると考えられまして、これらの国における国際共著論文シェアは比較的低いという傾向が見られます。

これはグループマル1の傾向になりますけれども、特に欧州諸国では、だいだい色の領域で示された国際共著論文の占めるポートフォリオの形と黒線で示された全論文シェアのポートフォリオの形が相似となる傾向があることを特徴として見ることができます。これは国際共著論文シェアの多い分野では全論文シェアが多くなる傾向があることを示すものと考えられます。

一方、国名の横にグループマル3と示されております一部の国、これは14ページのトルコ、イランを指しておりますけれども、10年間で工学ですとか計算機数学といった特定の分野におけるTop10%補正論文シェアが急速に増加してきているという傾向を見ることができます。

一方で、過去に一定のシェアを有しておりましたが、中国、欧米等が急速に論文数を増加させる中でシェアを次第に減少させている国もあります。日本もその中の一つになっております。ただ、日本につきましては、11ページの一番下のグループが日本になっておりますけれども、物理学の分野だけはTop10%補正論文数のシェアを維持しているということには着目ができると思います。

なお、先日、科政研のほうから公表されました「研究論文に着目した日本の大学ベンチマーキング2011」を見てみますと、物理学分野につきましては、唯一、日本全体及び大学セクターにおいて、研究アウトプットの量・質ともに拡大基調であると記載されているところでございます。

続きまして、15ページでございます。各国における被引用度の高い論文の生産状況を示すTop10%補正論文数と我が国とのかかわりの強さを示す日本の国際共著論文に占める相手国のシェアを比較することによりまして、我が国の国際活動の状況を確認してまいりたいと思います。分野によらず、アジア諸国やロシアにおきましては、Top10%補正論文数の高さのわりには、アメリカや欧州諸国と比較をして我が国との国際共著のシェアが高い傾向が見られます。つまり、それだけ我が国とアジア諸国との国際共著上の結びつきが強いと考えられます。

一方、この図の中で青い四角は約10年前、だいだい色の四角は最近の日本の国際共著論文に占める相手国のシェアになっておりますけれども、過去10年の変化としまして、各分野とも我が国のアジア諸国との国際共著のシェアが顕著に増加してきておりますことに伴い、アメリカとの国際共著のシェアは減少してきているという傾向になってございます。18ページまで各分野が続きますけれども、いずれの分野においても、おおむね同様の傾向が見られるところでございます。

続きまして、19ページでございます。ここまで中国は急速に成長し、欧州諸国は国際共著率を増加させつつ、論文の被引用度を高めてきたことを確認してまいりました。ここからは、その背景にある研究開発費、研究者数等の状況を確認してまいりたいと思います。

まず、1)研究開発費でございます。図22を御覧いただければと思います。各国とも研究開発費を増加させてきておりますけれども、特に90年代からの中国における増加は著しいものがございます。図の右上のほうに「国際比較注意」と書いてありますけれども、各国のこの研究開発費の定義につきましては、27ページの参考2のほうに少し記載をさせていただいております。詳細な説明は省かせていただきますけれども、国によって、この定義が異なっておりますため、国ごとの時系列の値の変化に着目して図を見ていただくのが有意義な見方になるかと思います。

続きまして、20ページでございます。図23でございますけれども、我が国の研究開発費総額の対GDP比率は、先進諸国と比較をして高い状況になっております。欧米では横ばい傾向でございますけれども、中国、韓国はどんどん伸ばしてきているという状況になってございます。

続きまして、21ページでございます。図24でございますけれども、政府の研究開発予算につきまして、特に中国では2000年ごろから大幅な増加を示してきているという状況でございます。

図25でございますけれども、各国の研究開発予算に占める政府の研究開発予算の割合でございますが、特にフランスでは大きくなっております。この表で見ると、我が国は7カ国中で最も低い割合ということになっております。我が国の特徴としては、企業部門の研究開発費の割合が大きいという特徴がございます。

続きまして、22ページでございます。ここからは研究者数について確認をしてまいりたいと思います。図26でございますけれども、各国の研究者数は増加の傾向になってございます。こちらの図についても「国際比較注意」という四角が出ておりますけれども、この研究者数の各国の定義につきましては、28ページのほうに少し説明を書かせていただいております。こちらも要点としては、国によって定義が異なっているということでございます。

なお、本日午後の発表が予定されております「科学技術指標2012」によりますと、中国の研究者数については、計測方法を変更したことにより、2009年度の値は急に減少する図になると科政研のほうからは聞いているところでございます。

一方、図27でございますけれども、韓国は人口当たりの研究者数で最も大きな伸びを示しているという状況でございます。

図28でございますけれども、イギリスを除く、ほとんどの国において企業部門の研究者数が大多数を占めております。したがって、研究者数の増加は企業部門の影響が大きいと考えられます。

続きまして、24ページでございます。高等教育機関における外国人の学生数でございます。図29、複数の国が表示されておりますけれども、各国の高等教育機関におきまして中国出身の学生数が他国出身の学生数を大きく引き離してきている状況でございます。一方、韓国出身の学生は、(B)米国の高等教育機関において、急速にその数を増加させてきているという状況でございます。これに関しましては、後ほど御紹介させていただきますけれども、中国、韓国では海外に送り出した人材を手当等の手厚い優遇措置によりまして呼び戻す政策を積極的に行うことで高度人材の取り組みを図っているという状況でございます。

続きまして、26ページでございます。ここからは参考としまして各国の状況ですとか、取り組みを見てまいりたいと思います。まず、日本の部門別の論文生産状況でございます。我が国におきましては、大学等が主要な論文生産部門となってございます。おそらく景気の悪化と関係しているものと思われますが、1995年ごろから、それまで第2の部門であった企業が急速にシェアを下げまして、独立行政法人等の政府部門が第2位に上昇してきているというのが最近の状況でございます。

続きまして、参考2でございます。参考2につきましては、既に前段の説明で少し触れさせていただきましたので、説明のほうは割愛させていただければと思います。

参考3でございます。急速な成長を遂げております中国の人材政策について、簡単に状況を確認してまいりたいと思います。

まず、1.研究人材確保政策でございます。中国は、2011年7月に人材育成についての初めての中長期計画となります「国家中長期科学技術人材発展計画」を発表しております。この計画では、中国経済が長期にわたり外需や投資に依存してきたこと、産業が単純な加工に集中してきたことを踏まえて、国を挙げての人的資源強化に乗り出すことで「人材強国」を目指すということを掲げております。高度人材を戦略的に増加させていくために目標値を定める、また分野を設定するということを行っております。また、この計画では、人材を活用するための体制づくりを示すとともに、また、該当する高度人材を対象とした重点政策を挙げております。この中で一番下の所でございますけれども、外国人居留権制度の整備による海外人材の積極的な取り込みといったことが重点政策の一つとして位置づけられているところでございます。

続きまして、30ページでございます。海外への人材派遣政策でございます。表1を御覧いただきますと、こちらは優れた研究者ですとか、大学院生を中長期で海外の大学等に派遣をしているというプロジェクトが幾つかございます。上から一つ目のハイレベルの研究者のものがございますけれども、あと、上から三つ目のハイレベルの大学院生に関する派遣の計画、これは海外の一流大学に派遣をするという計画になってございますけれども、こうした海外の一流大学とは何かということを少し専門家に確認をしてみますと、上海交通大学が作成しております「世界大学ランキング」を活用して決められている可能性が高いと伺っているところでございます。

続きまして、31ページでございます。海外人材呼び戻し政策でございます。中国では急速な科学技術の発展を遂げ、先進国レベルとキャッチアップをするために、さまざまな優遇制度を設けて海外からの優秀な人材を招へいする「海外人材呼び戻し政策」を実施しております。図のほうを御覧いただきますと、海外からの留学帰国生の数は、1990年代以降、急速に増加してきておりまして、中国政府では海外留学を通じた人材育成も重視していることがわかります。中国では、海外から帰国して研究者や起業家として活躍する人材を俗に「ハイグェイ(海亀)」と呼んでおりまして、このため、近年では日本でも中国の海外人材呼び戻し政策は、通称「海亀政策」と知られているところでございます。

表2を御覧いただきますと、こちらでは主な海外人材呼び戻し政策を幾つか挙げさせていただいておりますけれども、代表的なハイグェイ人材の招へい事業として、32ページの下にあります「百人計画」、33ページの下のほうにあります「千人計画」がございます。いずれも海外から実績のある人材を、さまざまな優遇制度により招へいをする事業となってございますけれども、「千人計画」の概要の欄の末尾を見ていただきますと、招へいされた海外人材の約6割が外国籍となっておりまして、そのほとんどが中国系となっているというのが実際のところのようでございます。

続きまして、(4)でございます。34ページでございます。また、ポスドクに対して給与を支給するポスドクステーションというのが中国の国内の大学、研究機関、企業に設置されております。こちらは3年間の任期を終了した後は、ほかのポスドクステーションに移る必要があるということになっているようでございます。

34ページの中段以降でございますけれども、2.高等教育重点化政策でございます。中国における高等教育重点化政策につきましては、1990年代の後期に入りましてから高度な専門・技術人材の養成、国民の進学ニーズの向上を受けまして、高等教育機関を多くの国民に開く一方で、中国では少数の大学と学科に対して重点的に資金配分する重点化戦略を堅持、強化してきているという状況でございます。

その典型的なプロジェクトとしまして、表3にあるプロジェクトがございます。「211プロジェクト」、「985プロジェクト」、「国家重点学科」、「111プロジェクト」というのがございます。「111プロジェクト」は2006年に開始されておりまして、対象となる大学には1校当たり5年間にわたり年間約180万元――これは日本円に直しますと約2,200万円ですけれども――の助成が行われるということになってございます。2006年、2007年、2008年にかけて、全部で計117領域が選出をされているという状況でございます。

続きまして、36ページでございます。国際協調を盛んに実施し、論文の信用度を高めております理由としまして、地理的あるいは言語的障壁が低いこともあると思われますが、欧州諸国の取り組みとして、EUの「第7次フレームワーク・プログラム(FP7)」が挙げられると思います。こちらの内容を概観していきたいと思います。

1.ERA実現に向けた取り組みでございます。欧州では、欧州を単一の研究圏として統合する思想である「欧州研究領域(ERA)」という思想に基づきまして、「第7次フレームワーク・プログラム(FP7)」ですとか、「競争力・イノベーションフレームワークプログラム」といった取り組みを行っております。FP7は、共同研究、先端研究、トレーニング・キャリア開発、頭脳循環促進、研究インフラ・中小企業支援といった四つのプログラムを中心として構成されております。このFP7に参加するには、EU加盟国、あるいはEUと科学技術協力協定を締結している国、または将来EUに加盟する予定の候補国である必要があります。3機関以上からなるコンソーシアムによる共同研究が基本となっておりまして、日本等のEU加盟国以外の国にも、経費は自己負担ですけれども、開放されているところでございます。

また、こういった取り組み以外にも、独立した研究開発ネットワークで、主に中小企業を対象に市場・産業志向でボトムアップ型の研究開発を支援するEUREKAプログラムですとか、あるいは既にほかから資金を得ている研究プロジェクトのネットワークづくりに関して支援をするCOSTといったERA構想を実現する事業がございます。2011年には、2014年~2020年に実施するFP7の後継プログラムとして「ホライゾン2020」といったプログラムが発表されているところでございます。

38ページでございますけれども、日本との科学技術協力の状況といたしましては、日EC科学技術協力協定が2011年に発効しておりまして、これに基づく協力ですとか、またはSICPですとか、SICORP、あるいはFP7、そういった枠組みを使っての協力の実施が始められているというところでございます。

39ページでございます。前回の国際委員会でも御意見がございましたけれども、各国で行われております研究人材ネットワークのハブとなる拠点形成の取り組みについて、幾つか概観をしてまいりたいと思います。

まず、最初に1.ドイツでございます。「エクセレンス・イニシアティブ」でございます。こちらは2006年から連邦政府が主導して、5年間で総額19億ユーロを配分するという計画になってございます。この後を継ぐプログラムが、2012年から5年間立ち上がるということが既に決定をされているところでございます。「エクセレンス・イニシアティブ」の中は幾つかのプログラムから構成されるんですけれども、トップクラスの研究を行う大学に対する支援ということで、9大学が既に採択をされているところでございまして、その大学のマッピングが図のほうに示されているところでございます。

続きまして、40ページでございます。中国の拠点政策として挙げられますのが、先ほども少しご説明させていただきました「111プロジェクト」でございます。こちらは、「世界トップ100大学・研究機関から1,000人以上の科学者を招き、国内の優秀な研究者との合同チームを結成する。また、中国全土にこうしたチームを約100カ所設立する」という構想から名前がつけられております。現在、117領域が選出されておりまして、5年間にわたり、年間で約2,200万円の助成が行われるというものでございます。

2.の下に※で書いているんですけれども、JSTの調査によりますと、中国の研究者の間でも、まだ知名度があまりなく、立ち上がった直後には、既存の「985プロジェクト」等の資金助成の延長線上といった感触が強かったという声もあります。

3.のフランスでございます。「将来への投資」における高等教育・研究拠点形成・機能整備でございます。2010年にフランスのサルコジ大統領のリーダーシップのもとで、大規模な国債を発行しまして獲得した資金を活用して、高等教育・研究をはじめとする「未来への重要課題」への投資を行っているところでございます。考え方としまして、サルコジ大統領の演説の文言を少し紹介しますと、「世界の最良の大学と肩を並べるために、十分な設備を備え、臨界点以上の規模を有し、企業と連携して活動する10カ所余りの卓越したキャンパスをつくり出す」と考え方が述べられております。プログラムの中で、中核拠点への投入として、153.5億ユーロがオペレーション・キャンパス、技術研究機関や大学病院研究機関の整備等に充てられているところでございます。

4.の韓国でございますけれども、「世界水準研究中心大学育成(World Class University)事業」というのがございます。こちらは韓国の大学の研究水準を引き上げるための政策となっておりまして、2008年から2012年の5年計画で行われております。特徴としましては、優れた人材を招へいすることによりまして大学の研究水準を引き上げようとする内容になってございます。

42ページでございますけれども、2009年の時点では35の大学が支援の対象となっているところでございます。ただ、※書きに書かせていただいておりますように、政策の関係者によりますと、世界トップレベル研究者の招へいにつきましては、実際は第一線を退いたノーベル賞受賞者の招へいが多くなっておりまして、大学の研究活性化にはなかなか直結していないという課題があるようでございます。また、海外からの招へい研究者が文化になじめずに、契約期間後すぐに帰国をしてしまい、なかなか定着しないということも課題になっているようでございます。

また、このほかに拠点に関連する取り組みとして、「国際科学ビジネスベルト構想」というのも韓国ではございまして、こちらは韓国版のシリコンバレーを構築するということで、2012~2017年の計画期間中に大規模な投資を行いまして、基礎科学研究院を設置するとともに、2017年までに世界最高水準の重イオン加速器を同研究院に建設するという計画がございます。また、世界水準の人材育成を行う国際科学大学院の設置等も想定されているところでございます。

各国、同じように拠点と申しましても、その取り組みはさまざまでございまして、10程度の拠点大学に重点投資をするドイツ、フランスと数十から数百程度の大学に重点投資をする中国、韓国では、WPI的な先鋭的拠点の形成とレベルの底上げとで目指す水準にはまだ差があると思われます。

以上でございます。

【大垣主査】  ありがとうございました。

ただいまの内容に関しまして、御質問、あるいは御意見、御注意いただくようなことがございましたら、お願いしたいと思います。

【國井委員】  今は私のミッションは違いますが、以前リコーの研究開発部門でドイツと中国で研究拠点を設立し、各々の国でのいろいろな研究組織と連携していたときに、まさにFP7や中国のこういう政策が、その国のイノベーションを推進しているなと感じまして、その日本の感覚とこのデータはぴったり合うなと感じるのですが、特に日本がこの中で学べるのはヨーロッパの活動かと思います。

特にイノベーションを推進していくに当たっては、中小企業が非常に重要な役割を今後果たしていくと思うんですけれども、もちろん大企業も変わらなければいけないんですけれども、なかなか慣性が大きくて、そう簡単に変わらないところがあり、また技術のスピード、特にIT分野なんかを見ると、スピードの観点からして中小企業が動かないといけない。FP7では中小企業とうまく連携して、それから一つの国だけじゃなくて複数の国にわたって連携している、ここはすごくキーポイントになると思うんですね。フラウンホーファーの中のIT系の研究所も、そういうところについては、ものすごく力を入れていて、日本の公的研究所にとって多くのことを学べるんじゃないかと思うんです。ファンディングから押さえていくというのが方向性を変えていくには一番キーになると思いますので、非常に有益な情報だと思います。コメントです。

【大垣主査】  ありがとうございました。ほかにはいかがですか。はい、どうぞ。

【永野委員】  15ページの1998年~2000年、日本の国際共著論文に占める相手国のシェアの比較がありますが、逆に相手国から見て日本のシェアがどういうふうになっているかと見ると、おもしろいかもしれません。

19ページ、ドイツ、フランス、イギリスなどがありますが、最近、これらの国もEUの資金をものすごく活用するようになっているので、EUからのお金も加えた表示もしたほうが、各国の実態がよりわかるかもしれません。

29ページに中国の人材政策がありますが、科学技術だけの分野じゃなくて、いろいろな省庁を合わせた人材計画を国家レベルで初めて作り、科学技術もそこに位置づけたことが画期的なのではないかなと思った記憶があります。

37ページ、「FP7に参加するには、」とありますが、順番としては、ここには記されていませんが、一定の計算式で出した拠出金を出してassociated memberというのになると、イスラエルなどのようにFP7の準加盟国となり、EU加盟国と全く同じポジションで参加できる。これが多分2番目に来るべきもので、協定を結んでいるというのはもっと後の方ですね。

【大垣主査】  ありがとうございます。特に37ページの所は整理をお願いします。ほかに。はい、どうぞ。

【渡辺(美)委員】  大変わかりやすい調査の説明をしていただきまして、ありがとうございました。一つ気になった点ですけれども、研究費は企業が非常に多いとのこと。これはほんとうにそのとおりと思います。しかしながら、企業の研究費というのは、いわゆる通常研究費という製造原価に含まれるものも入っているので、論文を生み出すための研究費でないもののほうが多いわけです。なので、成果として、論文だけを見てしまうと、原因と結果がちぐはぐで相関がとれないという形になってしまうと思います。現在の日本において、イノベーションで産業活性化もしていきましょうという話になりますと、必ずしも論文だけが成果ではない。例えば新しい事業がどれぐらい起こせたか等。データをとるのはとても大変だと思いますけれども、やはりそういう視点も入れながら見ていくと、少し見え方も違うのではないかと思います。

それからもう一つ、中国についてコメントさせていただきますが、今年初めに中国科学院を訪問しまして副理事の方といろいろ議論しました。中国は日本をものすごくベンチマークしているんですね。産学官金連携ですとか、企業に研究開発をやらせるというような方針を説明していただきましたが、それらは、日本を見てそのようにしましたと言われていましたので、やはりものすごい勢いで日本を見習って政策をつくっているわけです。その点も少し考えていただく必要があるように思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。はい、どうぞ。

【眞峯委員】  一つだけコメントです。EU諸国における国際共著論文についてなんですが、EUにはCERNがありまして、このCERNという機関がどのくらい国際共著論文というものに貢献しているのか。この貢献がないと、どのくらい統計的なものにインパクトがあるのか、統計はこれでもちろん結構なんですけど、私自身として、どのくらいCERNのcontributionというのがあるのかというのは一度知っておきたいなと思うんですが。

【大垣主査】  大プロジェクトがあると、それで大きく動く可能性があります。

【眞峯委員】  お互いがまた引用し合いますので、その貢献は結構あるのかなとも思うし、大きな統計の中ではnegligible smallなのかということがちょっとわからないので。

【大垣主査】  はい、どうぞ。

【小林委員】  最後に韓国における拠点化プロジェクトの御紹介があったんですが、ちょうど私が参加しているOECDのRIHRというワーキングパーティーのほうがちょうど拠点化プロジェクトの国際比較のプロジェクトをやっています。今年中に多分まとまると思うんですが、ドイツの「エクセレンス・イニシアティブ」等が始まったこともきっかけになって、かなり注目されるようになって、欧州各国でこの種のプログラムが非常に盛んに行われているんですね。

ただ、多様であるというのが現実でして、ドイツとか、スウェーデンがそうなんですが、ヨーロッパでは大学はすべて同等というのが昔からの伝統なんですが、それだと世界的な大学ランキングで上に来ないので、上に来るようにしたいというようなねらいもあります。それだけでなく、イノベーション志向の拠点形成というのが一方で行われているんですね。ですから、非常に多様なので、OECDの調査がまだまとまってないところもありますけれども、そういったところも含めて多様性に留意したほうがいいのかなという気がします。情報です。

【大垣主査】  ありがとうございました。多様性はかなり重要ですね。データの解釈が一辺倒にならないように。ほかに、どうぞ。

【伊藤委員】  先ほど永野委員の言われた、いわゆる国際共著の相手側から見た比率の変化については極めて重要だと思います。と申しますのは、やはり科学技術をある種のバーゲニングパワーとして外交にも生かしていくというときに、相手国にとって我が国の位置付けがどの程度のものかということかと思います。

ちなみに、こういった分析は当研究所のほうでもまとめておりまして、米国については以前は日本が4番目ぐらいの共著の相手だったんですけれども、今は6位になってきておりまして、中国が第2位の相手国ということで躍進しております。ほかの例えばドイツとかイギリスですと、日本は相手国として10位以内にもいないというような状況にもなっております。そういったような見方でデータを整理していくということも必要だと思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。よろしいでしょうか。次の議題に移ります。

それでは、次に、科学技術振興機構の中西国際科学技術部長と岡谷参事役より、事業の実施状況について説明をお願いいたします。

【中西JST国際科学技術部長】  科学技術振興機構の国際科学技術部の中西でございます。国際科学技術部で担当しておりますのは国際研究交流、それから国際共同研究、特にe-ASIAと呼ばれる東アジアにおける共同研究メカニズムの構築を共同研究プログラムの中で進めてございます。資料4-1に沿って説明いたします。

2ページは、研究交流のための比較的小規模な共同ファンディング、それから国際共同研究のための比較的大規模な共同ファンディングというのを行っております。協力のスキームとしましては、皆さん、よく御存じのように、国と国との政府間合意が成り立った相手国と分野において、JSTと相手国のファンディング・エージェンシーがMOUなどを締結いたしまして共同公募し、共同支援するというものでございます。

3ページは、東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア構想に基づくところの共同研究プログラム、いわゆるe-ASIA JRPでございます。いろいろ準備を先年度重ねまして、今年の6月28日に第1回目の理事会を開催し、正式に発足したという状況にあることを御紹介したいと思います。東アジアにおける共通的課題の解決とか、科学技術水準の向上とか、イノベーションの推進ということを目的としたプログラムでございまして、とりあえずナノテクノロジー・材料、バイオマス・植物科学の分野で公募をいたしまして、理事会において2件の課題採択を承認していただいたところでございます。暫定事務局をシンガポールに置いて人を配置してございます。日本の自主的な貢献ということでございます。

4ページは、これまでに行われてきた研究交流、共同研究の実績があります。数を一々挙げることはいたしませんけれども、研究交流は比較的小規模でありながら、原著論文の数とか、相互訪問のサポート、ワークショップの開催などに非常に大きな成果を上げてきてございます。具体的な研究成果といたしましては、5ページのグリーンイノベーション分野では人工光合成の高効率化につながるリン酸銀の高い光触媒作用の発見とか、磁気ディスク材料の記録の仕組みを原子レベルで解明するとか、また、6ページのシリコン半導体中で量子コンピュータに不可欠な量子もつれの生成・検出などに成功するというような成果がございます。7ページのライフイノベーション分野では、がんマーカーの細胞内蛍光検出法を開発して、診断や治療に役立てられるということも出てきてございます。8ページのSICORPにつきましても、スタートしたばかりのプログラムではあり、顕著な成果が幾つか出てきておりますけれども、省略をさせていただきたいと思います。

それから、研究交流の枠組みを活用いたしまして、8ページの東日本大震災などの緊急事態に対する調査や研究を国際協力のもとで進められるようなJ-RAPIDというようなプログラムもスタートさせていただいているところでございます。レスキューロボットを新たにアメリカと開発したり、それから液状化の状況を調査し、復旧対策を講じる上での基礎データを取得したり、水中のがれきなどの探索のための水中ロボットの活用などをさせていただいております。

それから、9ページに行きまして、政策効果といたしましていろいろなものがございます。科学技術外交において非常に大きな効果を上げているのではないかと思って、黄色い部分を見ていただきますと、首脳とか、科学技術担当大臣とか、政府高官の往来の時の合意文書とか、覚書とか、発言要領とか、共同声明というところに引用していただいて、活用していただいているところでございます。それから、科学技術合同委員会というのが二国間でさまざまな国で行われておりますけれども、最近はイギリス、中国、スウェーデン、ドイツ、フランスなどの合同委員会の中でSICPの実施が合意されてスタートしているという状況にございます。

あと、この内容に関しましては、10ページですが、SNSを通じて発信をしてございます。ぜひ御訪問をいただき、そしてフォロワーとか友達になっていただけたらと思っているところでございます。以上でございます。

【岡谷JST参事役】  続きまして、SATREPSについて、御説明申し上げます。資料4-2を御覧ください。

2ページでございますが、既に皆さん御存じだと思いますが、JICAと一緒にやっているプロジェクトでございます。6割がJICAが出して、4割が我々JSTが出すというものでございます。それで、基礎研究は対象にしておりません。イノベーション、社会実装を目指した研究だけに限定しており、なおかつ、右下にありますように地球規模課題、特定のものをベースにしております。目的は途上国のフィールド、それから途上国の資源、そういうものを活用して社会実装を起こしていこうというものでございます。それで、現在、半分がアジアで行われていて、残りはアフリカが4分の1、その他の国が残りという形になっております。

3ページですが、四つの課題がございます。まず、出口連携ということでございまして、イノベーションの次のフェーズへ移るときの、その次のプレーヤー。民間とか、あるいは政府、それから次のファンダー、次の資金源を提供するような人たちとの連携、すなわち社会実装の次への橋渡し、これが出口連携の一つの大きな課題になっています。

2番目が入り口連携。新しい地球規模課題を発掘していくと。相手国、あるいはテーマ、こういうものを発掘していくということが必要になってくる。

3番目が納税者対策。税金で行われていますので、出資者である国民の皆さんの好感度を得ていくことが必要になってきます。

4番目がトラブルシューティングと書いておりますが、遺伝子資源のアクセス、あるいは採取生物の持ち出しというものをやらなければいけないわけですけれども、大学に全部任すわけにいきません。我々JSTがJICAと協力して、あるいは外務省と、あるいは他の省庁と協力しながら相手国政府と交渉し、スタンダードをとっていくという形をしております。ということで、途上国の協力は非常に難しい問題がいろいろございますが、それをオールジャパンで一体となって解決していくという形で進めている次第でございます。

3ページは成果でございます。科学技術の成果でいいますと、幾つかここに並べておりますが、例えばチュニジアでは特許は出願されておりまして、ヨーロッパで大ヒットしそうなものが今、国内企業と協議中でございます。

それから、スーダンという国においては、ストライガという雑草があるわけですが、これは野原を完全に駆逐してしまう恐ろしい雑草なんですが、これを抑制する、あるいはこれを退治するという薬剤の開発に成功いたしまして、現在、特許出願を得て、国内企業の協力を得て、今、製剤化に向かっているところでございます。圃場において実証実験をして、この出口においては、これを製品化して売っていくことができればと思っております。

それから、大きな話がございますのはタイでございまして、タイではデングウイルス、デング熱という大きな病気があるんですが、その抗体ワクチンが見つかりまして、その特許をPCT出願して前臨床試験を今進めているところでございます。国内の製薬企業と今後の橋渡しについて協議をしているところでございます。インフルエンザについても、同様にして米国に仮出願もしている状態でございまして、抗体医薬開発も国内企業と今協議しているところでございます。

4ページは外交の成果。これは外務省的な話でございますが、さまざまな国際会議、CBDとか、COP17、それから首脳レベルの会談において我々のプロジェクトがリファーされているところでございます。

それから、続きまして5ページを御覧ください。実は科学技術的にも若手の機関員の提供になっているということを、ここで示します。人・日ベースで1万1,000人・日を超える若手の派遣につながっておりまして、若手にフィールドに出ていって共同研究を体験させるという形を進めております。実はここで先進国の研究者と――先進国の研究者もフィールドに出てきてますので、そこでいろいろな出会いがございまして、ここを通じてアメリカやヨーロッパのほうに、さらにキャリアアップしていくケースが多々見られるところでございます。

それから、6ページでは、最近の動向を申し上げます。出口連携ではアジア開発銀行と非常に密な連携ができつつありまして、アジア開発銀行のお金を使って我々のプロジェクトを次のフェーズに橋渡ししていくというところを今協議しているところでございます。

それから、バイオマスでございますが、机上に配付しています資料がございます。バイオマスのシンポジウムを内閣府やその他の省庁とみんなで連携し、かつ経団連も入った形でオールジャパンの体制のもとでバイオマス燃料事業化に向けた国際戦略シンポジウムというのを9月3日・4日にやります。既に今日現在で400名を超える参加者がございまして、非常に人気になっております。これをベースにして、我々、SATREPSのプロジェクトを中心として、バイオマス燃料の海外、特に日本の企業が海外の市場を利活用していくための先兵としてSATREPSの事業を活用されればと願っております。

また、ちょっと毛色の変わったものを言いますと、BOP(Base of Pyramid)ビジネスというものがありますが、これに向けても、我々の中で2~3、対応するようなプロジェクトでございまして、それについてはマイクロファイナンスで有名なノーベル賞を受賞したユヌスさんが今着眼してくれていまして、そのビジネス・サミットとか、あるいはベンチャーキャピタルなんかを集めたようなグローバル・イノベーション・サミットというソーシャルファンダーとの連携を今図っているところでございます。

最後でございますが、7ページは対納税者対策ということでございます。Friends of SATREPSという昨年立ち上げましたSNSが既に3,700人を超えるメンバーが入っておりまして、新しいプログラムの発掘、あるいはいろいろな人たちへの発信の材料にさせてもらっています。

それから、学生インターンが去年は8名だったんですが、それが16名に増えまして、大学の数も四つ、五つと増えつつあります。ということで、大学生に途上国協力というのを広めていくということに成功しているところでございます。

その他、写真展というのもございまして、去年は世界銀行と協力しまして3回、写真展を開催しました。今年は科学未来館と連携して、科学未来館で我々の写真を全国で紹介して、途上国と科学技術で協力することのメリットということを紹介していって、納税者の皆さんに賛同を得ていきたいと思っている次第でございます。以上でございます。

【大垣主査】  ありがとうございました。

それでは、ただいまの内容について、御質問、御意見がございましたら、お願いいたします。どうぞ。

【伊藤委員】  御説明の東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア構想についてですけれども、重要なパートナーとして期待される中国、韓国がいまだ参加されていないということです。今後の参加の見通しというのはいかがなんでしょうか。私自身も以前、タイに駐在をしておりまして、アジアにおきます宇宙のマルチの協力を担当したこともございます。その時も、どうしても中国は、自らのイニシアティブである種の活動をしたいというような発想から、そういった活動にはなかなか参加していただけませんでした。これはなかなか難しい問題だろうとは思いますが、やはり趣旨からして中国、韓国の参加が必須とは考えられますけれども、そのあたり、どういうふうにお考えなのか。御質問です。

【大垣主査】  お願いします。

【中西JST国際科学技術部長】  韓国も重要ですけれども、中国の参加はもっと重要だと認識しております。中国に関しては、先方は窓口というか、担当は科学技術部というところ、MOSTでございまして、そこに働きかけをしております。彼らは実際に動くプログラムなのかどうかというのをよく見きわめた上で判断をしたいというようなことを言っておりまして、そういう意味からも第1回目の公募を急いで行って採択と実施というところに結びつけることにしておりますし、第2回目のパイロットコールも今年11月ぐらいにもう一度やらさせていただこうと思っております。そういう実績を重ねつつ、実際、MOSTの参加、またNSFCもMOSTが参加すれば参加すると言っておりますので、そういったところに働きかけていきたいと考えているところでございます。

【大垣主査】  ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【國井委員】  いろいろ成果を上げていらっしゃると思いますけど、SATREPS等々、ご紹介いただきましたが、国際研究交流でもイノベーションが日本はなかなか進んでいない。グローバルにその辺を進めていかなければいけないという観点では、なぜ日本でイノベーションがなかなか進まなかったかという、その分析から次の施策をつくり上げていくべきだと思うんです。例えばバイオであれば臨床のところは弱いとか、ITであれば応用のところは弱いとか、そういうことがあるわけです。21世紀サイエンスでサービス強化をしていかなければいけないとか、こういう観点で、もう少しそういうイノベーションを見据えたアジアでのプラットフォームづくりのようなプログラムとかが、もうちょっと上がってこないのかなと思います。

それは検討されたのかもしれませんし、幾つか動いているのかもしれませんけど、今御紹介いただいた中では、そういうものがあまりない。それぞれは重要なテーマであるとは思いますけれども、この地域を大きく変えていきたいとか、日本がイニシアティブをとっていくという観点では、もっと統合したようなプログラムが必要かと思います。

【大垣主査】  はい、どうぞ。

【岡谷JST参事役】  御指摘の点、ありがとうございます。ただ、イノベーション、我々は「インクルーシブ・イノベーション」という言い方をしていまして、途上国の市場、それから複数の途上国を統合した形で例えば基準をとっていくというのを個別に、例えばゴムについて今、実はやっていまして、二国間でやったものをアジア全体の地域の規格にしていく。バイオマスの燃料も実はバイオディーゼル、今回シンポジウムをやり、タイとインドネシアを呼んでくるんですが、タイとインドネシアの仕様を我が国のスタンダードにしていこうという動きをやっているんです。ですから、仕様それぞれについて非常にきめ細やかなマーケット戦略を立ててやっているところが現状です。ただ、それ全部を包括してやるとなると、かえってばらけてしまいますので、個別の事業体、あるいはイノベーションの中に沿った形で、マーケットまで含めて考えていくというのが私たちの戦術です。

【中西JST国際科学技術部長】  e-ASIAにおきましても、今まだ共通的な課題を取り上げて共同研究を進めようとしていますけれども、そのうちe-ASIAのそもそもの目的が地域におけるイノベーションの実現ということでございますので、実用化、産業化につながるような領域というものを設定して、地域発のイノベーションを進めるようにしていきたいと思っております。今後の理事会の課題だと思っています。

【大垣主査】  よろしいでしょうか。どうぞ。

【角南委員】  岡谷さんにお願いが一つありまして、SATREPSというのは、ある意味で地球の今まで一番取り残されてきたところを、フィールドにしているということだと思うんですが、そうした地域がある意味で今や地球の中でも最もイノベーションにとってはフロンティアになってきていているといえます。ですから、世界がそこに注目をして、ここで地球的課題を解決する手法を開発しているということだと理解しているのですが、そのフロンティアにいらして日本がどう見えているのか。むしろここの情報が僕は一番重要で、そこをぜひ今度、情報発信してもらいたいと願っています。

【岡谷JST参事役】  すみません。手短に申し上げますと、アジアは、確かに日本の企業も含めてかなり入ってますので、皆さん、見えていると思いますが、今、世界はアフリカの新しい市場を開拓しようとしています。アフリカには、ものすごい資本と労働力が中国から行ってます。アフリカ人は中国を第二の帝国主義だと言っています。日本はなぜ来てくれないのかと、行くと必ずいろいろなところで言われます。残念ながら日本の企業は非常に及び腰です。遠いということと、それからリスクファクターがあまりにも大き過ぎるというので及び腰です。今が、そういう意味では我々、アフリカが新しい市場の先兵として、SATREPSを含めて、若手の研究者、ソフト外交ですね、ソフトパワー。日本のソフトパワーとして、どんどん出していく。人脈をつくって、まさに日本の力を浸透させていく、いい機会だと思っています。我々も企業にさんざん声をかけてますが、ぜひ政府全体として忘れられている――世界全体はアフリカを向いてますので、その中で波に乗り遅れないように、日本国全体として働きかけをしていく必要があるのではないかと思っています。

以上です。

【大垣主査】  ありがとうございます。あと、何か特に御発言なければ、次に、今の課題とも関係しますが、人材研究ネットワークのほうに移りたいと思います。よろしいでしょうか。

それでは、日本学術振興会の大城研究者養成課長、それから加藤国際事業部長から事業の実施状況について説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【加藤JSPS国際事業部長】  学術振興会では、国際交流事業として多様な形態での事業を実施しております。例えば二国間事業、あるいは多国間事業、さらにまた海外のファンディング・エージェンシーとのフレームワークのもとでの国際的な共同研究事業というものも実施しておりますけれども、今日は資料4-3に掲載してございます「国際的な人材・研究ネットワークの強化」にフォーカスを絞りまして、派遣事業、それから招へい事業の主なものについて御紹介申し上げたいと思います。

【大城JSPS研究者養成課長】  では、最初の1ページの「海外特別研究員事業」につきまして、大城のほうから御説明させていただきたいと思います。

学術振興会で海外に派遣する事業としましては、個人支援型と研究機関の支援型というものがございまして、海外特別研究員事業は個人支援型に相当するものでございます。本事業につきましては、若手研究者が海外の大学等研究機関におきまして、みずからの研究計画に基づいた研究に長期間専念していただくというものを支援しようというものでございます。それによりまして国際的視野に富む有能な若手研究者を養成・確保しようというものでございます。

本事業につきましては、「必要性」の欄に書いてございますとおり、第4期の科学技術基本計画や先月閣議決定されました「日本再生戦略」に基づきます長期派遣研究者を育成するという観点で、この事業を進めているところでございます。

事業の概要についてでございますけれども、先ほどの事業目的と重なりますが、我が国の大学等研究機関に所属します常勤の研究者、それから博士の学位を有するポスドク等の若手研究者を「海外特別研究員」として採用いたしまして資金の支援をいたしまして、海外の大学等研究機関において長期間の研究に専念していただくというものでございます。

この海外特別研究員の大学等研究機関におきましては、申請者みずから選択していただきまして、選考に当たりまして審査を経て採択するという過程をとっております。採用された海外特別研究員につきましては、2年間支援することとなってございます。こちらに書いてございませんが、この2年間というものは出発してから帰国するまでが該当いたしまして、出発日につきましては自由に選定できるということで、4月1日に限らず個人で希望する期間で出発できるようになっております。支給経費としましては、往復航空費の実費相当額、それから赴任地での滞在費・研究活動費を支援するとなっておりまして、滞在費・研究活動費につきましては380万~520万ということで、派遣先国によって異なっているという状況でございます。

採用実績につきましては、右側の表に書いてございますとおり、近年、予算人数の拡充が図られておりまして、24年度におきましては500人余りを支援できているということで、こちらは新規・継続合わせた人数となってございます。それから、新規採用数につきましては、近年の拡充によりまして、23年度、24年度におきましては180人余りの採用人数、新規採用が確保できているという状況でございます。そして、実際に派遣されている国でございますけれども、地域別に分布してございますが、北米におきましては62%余りを占めてございまして、ほとんどが米国、カナダになってございます。次に欧州が多くございまして、英国、ドイツ、フランス、オランダ、オーストリア、スイスなどとなってございます。オセアニアにつきましては、オーストラリア、ニュージーランドに派遣されております。アジアにつきましては、フィリピン、シンガポール、台湾などとなっております。アフリカにつきましては、モーリタニアが派遣されているという状況でございます。

この海外特別研究員事業につきまして、成果は一番左側の下に書いてございますけれども、2年間の研究活動では、彼らの自由な研究テーマで研究をしていただきまして、研究者自身のキャリアパスに資するような研究能力を向上していただいているかと考えております。また、研究していることによりまして個人の研究成果の発出、それから研究先での外国語による十分なコミュニケーション能力の向上、そして赴任先での研究者ネットワークの構築を図っているものと考えております。

【加藤JSPS国際事業部長】  続きまして、2ページを御覧いただきたいと思います。タイトルが「頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム【組織支援型】」と書いております。今、大城のほうから御説明申し上げましたものが若手研究者の個人を派遣するプログラムでございますが、この頭脳循環の事業は、大学等がそれぞれの国際的な研究戦略に基づいて、所属する若手研究者を国際的な共同研究に携わりながら長期間海外に派遣する取り組みを支援するという目的で実施しているものでございます。このページの下のほうに「必要性」として記載してございますけれども、「日本再生のための戦略に向けて」において、日本人の長期派遣研究者数を2倍にするということが目標とされているところでございまして、こういったものに沿って実施しているというところでございます。

3ページを御覧いただきたいと思います。具体的な内容について、簡単に御説明申し上げたいと思います。まず、左側の下のほうに表がございますけれども、この事業の対象分野でございますけれども、これは人文・社会科学から自然科学の全分野を対象としております。それで、支援期間、これは大学等組織を支援するものでございますが、3年間としております。この事業の直接的な対象となる派遣研究者の資格でございますけれども、大学等の機関に所属する研究者、あるいは博士課程に在籍する大学院生で、年齢としては45歳以下の者ということで若手を想定したプログラムでございます。

振興会が支援する経費でございますけれども、派遣に要する経費は原則として1年以上の長期派遣ということを想定しているものでございますが、その派遣にかかる経費・旅費でございます。それと、相手側の研究者と共同研究をするという前提になっておりますので、その共同研究をするに当たって必要とする研究費を含めております。支援額としては、上限として1件当たり年間3,000万円以内ということにしております。

それで、本事業でございますけれども、平成22年度から実施しているところでございます。一般公募により申請を受け付け、本会に設置してあります国際事業委員会において審査・採択を決定しているところでございます。初年度、平成22年度でございますけれども、212件の申請の中から68件を採択しておりまして、昨年23年度は95件の申請の中から28件を採択したところでございます。本年度は先日申請を受け付けまして、99件の申請があって現在審査を行っているところでございます。派遣先といたしましては、「効果」が下段右側にございますけれども、各地域にわたっておりますけれども、やはり中心的にはヨーロッパ、それから北米地域が多くなっているところでございます。このプログラムは今年度が3年目ということで、まだ終了したものはございませんが、これまで約600人の若い研究者の方が海外へ派遣されているという状況でございます。

次に、招へい事業について、御説明申し上げたいと思います。4ページでございます。タイトルとして「外国人特別研究員」としております。学術振興会では、外国の研究者を日本の研究機関に招へいするためのさまざまなフェローシップを持っておりますけれども、これは研究者のキャリアステージに沿ったプログラムということで、若い研究者、ポスドクレベルを対象とした外国人特別研究員から中堅あるいは教授級の研究者を対象としたものまで幾つかの招へいプログラムがございますが、その中で一番大きな外国人特別研究員について、御紹介申し上げます。

外国人特別研究員は、その名前のとおり特別研究員、これはポスドクを対象としておりまして、博士号取得直後、具体的には取得して6年以内の方を対象として日本に招へいするというものでございます。「事業概要」の下の左側のところへ色映りの三つの枠を設けております。三つのカテゴリーで実施しているところでございます。一つが「外国人特別研究員(一般)」ということでございまして、これがフェローシップのメーンとなる部分でございます。これは要件としましては、我が国と国交がある国の国籍を有する者で、研究開始時点で博士号取得後6年未満の者ということで、採用期間は12カ月から24カ月、ほとんどの方が24カ月、日本に来るようになっております。

その下に「外国人特別研究員(欧米短期)」とございますけれども、これは要件として、対象国を欧米諸国というように限定しております。具体的には米というのはアメリカ、カナダ、ヨーロッパはEU加盟国、及びEUには加盟しておりませんけれども、本会と二国間の交流協定を結んで実施している国、例えばスイス、ノルウェー等が入っております。それで、これらの国の若い人を対象として、1カ月から12カ月の枠内で呼ぶという事業でございます。外国人特別研究員(一般)というものがメーンと先ほど申し上げましたが、実際に国別で見ますと、一般ですと57~58%ぐらい、6割近くがアジアの方々でございます。もちろん私ども、アジアの研究者を招へいするということを重要と考えておりますが、さらに加えて欧米からももっと呼びたいと考えているところでございます。ただ、欧米の若手の方にとって、いきなり2年間、日本で長期の研究滞在をするというのは、言語あるいは文化、風習といった面でまだバリアがあるというのが現状でございます。そういうことがありまして欧米短期ということで、まずは1カ月から、2カ月、3カ月でも短期でもいいということで、日本に来て日本の研究環境等を見て、気に入った場合には一般のほうに進むといった形で制度設計をしているものでございます。

それで、一番下に「外国人特別研究員(夏期「サマー・プログラム」)とありますけれども、これも特定の国、欧米5カ国(アメリカ、カナダ、英国、フランス、ドイツ)を対象として、夏の間、実際には6月の半ばから今月の20日過ぎまで約2カ月間、日本の大学等に行って日本の研究者の指導を受けながら日本での研究生活を経験するというプログラムでございます。プログラム等を全部合わせますと、右側にグラフがございますけれども、平成23年度の交流状況としては、全部合わせて1,278名の外国人特別研究員が日本で研究に従事したということでございます。分野、それから地域別の内訳については、ここに記載したとおりでございます。

それで、事業の効果といたしましては、もちろん研究による論文の誕生、そういった研究上の成果というものもございますし、また、外国人特別研究員は日本のどの大学でも申請を出すことは可能ですし、採択されれば大学で受け入れるということで、全国にわたって外国人特別研究員を受け入れているという状況にございます。外国人特別研究員を受け入れることによって、受け入れ研究室での若手の日本人の学生等への刺激、例えばゼミ等も英語で行うということになって、そういった環境の広い意味の国際化に貢献するというところも出ていると考えております。

そして、この事業の効果の一番最後に1点つけ加えさせていただきますが、国際的な研究者間ネットワークの構築(13カ国で展開されるJSPS同窓会活動)ということでございますが、大体2年、日本での研究滞在を終えて自分の国へ帰った方々を、そのままにしておくのではなくて、帰国後のフォローアップとして、簡単にいいますと、JSPS同窓会というものを現在13カ国でつくっております。これは同窓会の設立それ自体が最終目的ではございませんで、同窓会がさらにその国において私どもと共催でシンポジウムを開催したり、あるいは同窓会が中心となってJSPSの事業説明、事業紹介をしたりすることによって、自分たちが経験した日本での滞在をさらに次の若い世代に伝えていただく、そういうことで広い意味の科技外交にも貢献していると考えているところでございます。

参考に、この13カ国の中には、アフリカでいいますとエジプト同窓会、それともう一つ、ケニアを中心とした東アフリカ同窓会ということで、ケニア、ウガンダ、ザンビア、ケニア周辺の国5カ国を入れた東アフリカ同窓会というものをつくっておりまして、まだ歴史は浅いんですけれども、シンポジウム等を実施したり、また、その同窓会メンバーを対象としたフェローシップにより日本へ来て、将来的な次のステップとしての共同研究へ向けた日本の研究者と打ち合わせを開始する、そういったことも行っているところでございます。以上、学術振興会の派遣及び招へい事業の御説明とさせていただきます。

【大垣主査】  それでは、ただいまの内容について、御質問、御意見ございましたらどうぞ。

【永野委員】  在外研究員制度が廃止されたというのが次の資料5-1の中にあって、これが中長期間、研究者が海外に行くのが減っている理由だということなんですけれども、一番初めに御説明があった海外特別研究員事業は在外研究員制度を代替するようなものなのか、それとも両方ともあって今に続いているのでしょうか。

【大城JSPS研究者養成課長】  在外研究員は、私のほうで具体的に把握しておりませんが、それにかわるものとしてできたものではなくて、独自に海外特別研究員事業はできてございます。

【永野委員】  在外研究員制度が廃止されたため少なくなったと発言している研究者が結構いるので関心があるわけです。

【大垣主査】  では、それは後ほどお願いします。

【渡辺(美)委員】  大変貴重な取り組みを御説明いただいたと思います。それで、これが日本全体にとって、どれぐらいの割合になるのかということをぜひ教えていただきたいと思います。日本全体としては2020年までに長期派遣研究者を2倍にすると。これは何人から何人にするのか。それに対して、例えば御説明いただいた海外特別研究員事業が、その割合の何%に相当していくのか、あるいは組織支援型のプログラムがどれぐらいの位置づけ、何%ぐらいの位置づけになるのか。その結果、2020年には、JSPSだけでなくて、いろいろなプログラムがあると思いますけれども、それぞれを足すと、ちゃんと2倍になるような全体の計画というのが把握されているのか、その点を教えていただけますか。

【大城JSPS研究者養成課長】  日本から海外に出ている長期の方で聞いておりますのは、約6,000人から8,000人ぐらいと聞いてますので、そのうちの500人しか我々は支援できていないという状況からしますと、数%に満たない割合になっているかと思います。

【渡辺(美)委員】  とすると、一体この事業だけでよいのか。もちろんJSPSだけではなくて全体の話が重要だと思いますが、ほんとうに目標を達成するためには、今の御説明ですと、これがほんの一部でしかないというお話ですよね。そうすると、全体から見て、この人数を幾らにしていかなければいけないのか、そこら辺の検討をぜひしていただきたいと思います。

【大垣主査】  ありがとうございました。

【土屋局長】  今、渡辺先生から御指摘があった点は我々のほうでも問題だと思っていまして、結局、予算がないから、このぐらいの程度しかできていなくて、御指摘のとおり、日本全体の中でインパクトが出ないんですね。インパクトが出ない額ですが、それでより効率的にするにはどうしたらいいかという改善方法は幾つかあるんじゃないかと思って我々の中でも検討しておりますが、国際委員会としてぜひ御指導いただきたい重要な点であると思うんです。予算があれば増やすことは可能なんですが、なかなか増えないと思いますので、増えない中でどうするかということをお願いしたいと思っているんですが、もっと政策的意図を鮮明に出すというのはあると思うんですね。そういう方向があるんじゃないかと思っております。また、次のところで御検討をぜひよろしくお願いいたします。

【眞峯委員】  外国人特別研究員のことでお聞きしたいんですけど、私、自分でもっと勉強しておくべきかなと思うんですけど、教えていただきたいんですが、このプログラムで日本に来ている期間中に、他のプログラム、日本の他の競争資金等に応募することが可能なのか、あるいは専念義務みたいなものが課せられているのか、そこについてお聞かせください。

【加藤JSPS国際事業部長】  外国人特別研究員には、まず採用されますと、文系・理系で若干違いますけれども、科研費の中の奨励研究費というものが1年間、大体90万ぐらいが出ます。それ以外のプログラムには申請はできません。そして、採用期間中は外国人特別研究員としての研究活動に専念する、そういう義務がございます。ですから、大学等で例えば非常勤講師とか、そういうあれがあっても、それは受けられないという設計になっております。

【大垣主査】  よろしいですか。

【國井委員】  今、人材としてアカデミアでも産業でも重要なのが、課題発見型の人材を育成するということだと思うんですね。海外特別研究員事業というのを見ていますと、大学院博士課程修了者とありますよね。私、課題発見型の人材を育成するに当たって、メンタリティーを変えていくには、若い時、大学院生から、あるいは学部からでもいいと思います。しかし、これは研究員なので大学院でどうなのかと思いますが、博士課程修了者という限定、ここが問題じゃないかと思うんですけれども、いかがですか。

【大垣主査】  では、現在の政策、お願いします。

【大城JSPS研究者養成課長】  海外特別研究員につきましては、ちょっと書いてございませんが、34歳未満の若手研究者に限定させていただいております。大学院の学生につきましては大学で研究をやるということで、基本的には大学で支援していただくものと考えておりまして、そのため、学振では、先ほど説明しました組織支援型のほうで、いわゆる拠点を、大学を支援することによって大学のほうで派遣していただくというような博士課程の大学の段階、それから修士課程も含めて、組織支援型のほうで支援するというような仕分けをさせていただいてございます。

【大垣主査】  ほかにはよろしいでしょうか。

【角南委員】  外国人特別研究員で来ている人を滞在中に地元の地方の高校に派遣するというプログラムをやってらっしゃると思うんですが、私は、先ほど土屋局長がおっしゃったように、限られた予算でこういうプログラムをもっと生かすことは非常にいいと思うんですね。派遣先を例えば高校だけじゃなくて日本の企業とか、いろいろなところにどんどん積極的に増やしていく。二人ずつ各都道府県に派遣するだけでも、すごいインパクトがあるんじゃないかと思うんですね。

【加藤JSPS国際事業部長】  ありがとうございます。今、角南委員がおっしゃられましたのはサイエンス・ダイアログということで、外国人特別研究員は、さっき言いましたように北から南は沖縄まで全国の大学にいますので、2年間、地域コミュニティーに溶け込んで生活しております。その過程で、これまでどちらかというと、メーンとしてはスーパーサイエンス・ハイスクールが多かったんですが、そこの高校に出かけていきまして、自分の研究の概要、それから自分の国の歴史・文化まで含めて生徒たちに講演するという授業を行っております。これは英語で行うということにしておりまして、確かに高校生にとっては英語での講義というのは難しいところがありますので、外国人を受け入れている教室の院生の方とかがサポーターとしてついていて、適宜通訳を入れて彼が話しているのはこういうことですよということをやりながら、また事前のレジュメ等についてやっております。

これは当初、6年前に開始して3件だったんですが、最近は100件を超えるようになっておりまして、例えば、ある高校では毎月のカリキュラムの中にこれを取り入れるということもやっておりまして、実際には経費は自分の住んでいる地域の大学から高校へ行くという若干の旅費だけで非常にいいと思っておりますので、これは今後も私たちとしては拡充、充実していきたいと思っております。

【大垣主査】  よろしいでしょうか。それでは、次の議題に移ります。

事務局から「第六期国際委員会報告書(素案)」について、説明をお願いいたします。

【奥国際交流官補佐】  それでは、資料5-1でございます。本書は、前回国際委員会で御審議をいただきました検討状況(案)を、御指摘を踏まえて修正、作成した報告書の素案になってございます。ちなみに、資料集のほうは別途まとめておりまして、資料5-2が資料集に当たっております。修正箇所がわかるように、5-1につきましては見え消しとさせていただいております。ここで改めて報告書(素案)の説明に入らせていただきます前に、第六期国際委員会のミッションについて、御説明をさせていただきたいと思います。

平成23年2月に、科学技術・学術審議会決定されております「科学技術・学術審議会における部会及び委員会について」では、「国際委員会の調査事項について、科学技術、・学術分野における国際活動の戦略的な推進に関する重要事項について調査、検討を行うこと」と定めておりますので、直接、国際交流官付で対応できる範囲は限定されておりますけれども、報告書作成に係る審議を行う上で、国際委員会は文部科学省の科学技術・学術分野における活動の推進全般を審議事項としているものと御承知おきいただければと思います。

それでは、検討状況(案)からの修正点を中心にして、御説明をさせていただければと思います。

まず1ページの目次でございますけれども、こちらを御覧いただきますと、第1章と第3章が入れかわっているのが御確認いただけるかと思います。こちらは前回の国際委員会で震災発生から既に時間が経過していることを踏まえまして、本来の国際活動をきちんと行うことをまず冒頭で書いて、震災対応を後ろに回すべきだという御指摘がございましたので、それを踏まえての修正となってございます。

続きまして、2ページでございます。第1章の1.科学技術を取り巻く世界の状況と我が国の役割におきましては、前回の国際委員会で国際協調の状況などについて科学技術指標に基づいた分析が必要である旨、御指摘をいただきましたことを踏まえ、今後の国際戦略を以下に記載をしていく上で前提となる事項として、先ほど資料3で御説明させていただきました世界の研究活動の状況を(1)として、各国の研究開発費、研究者数等の状況を(2)として、そして、顕著な動きを見せております中国、欧州の科学技術動向を(3)として追記をしているものでございます。

こちらに対応します資料5-2における3ページ目~17ページの図表でございますけれども、こちらはこの修正により今回追加をしたものになってございます。ただ、新しいものとして、資料5-2の2ページ目を御覧いただきますと、図I-3というのがございますけれども、こちらは「OECD Science,Technology and Industry Outlook 2010」から、論文数ですとか、国際共著論文のここ10年の変化を視覚的に確認するのによい図と思いましたので、新たに追加させていただいたものでございます。傾向としまして、1998年の上の図と2008年の下の図を比較してみますと、各国は論文数を増加させ、特に中国については顕著に増加しておりますけれども、また、米国、欧州諸国を中心とした国際共著の関係がラインで示されておりますが、それがどんどん太くなってきているという状況が確認できるかと思います。

また、3ページ目の表のI-1、5ページ目の表I-2、13ページ目にあります図I-15につきましては、前回の検討状況の(案)でも既に含めておりました資料ですので、こちらからの引用ということで構成をしております。

新しい記載事項として、資料5-1の5ページ目を御覧いただければと思うんですけれども、第1章の1.で言わんとしていることとしましては、中国における著しい成長と欧州諸国における国際共著、被引用度の高い論文の増加が近年起きており、我が国はその中で次第に論文数などのシェアを失いつつあること。そして、中国の成長の背景には、積極的な研究開発の投資と人材政策があり、欧州諸国におきましては地理的あるいは言語的障壁が低いことに加えまして、共同研究や人材交流を促す取り組みとしてFP7などのような事業があるということをまとめて追記をしているということでございます。

続きまして、6ページ目でございます。2.国際活動の戦略的展開でございますけれども、こちらは本報告書のコアになっていくパートになると考えております。既存の取り組みにつきましては、本日、JST、JSPSのほうから発表をいただきました事項を踏まえまして、また、今後の取り組みについては資料6で別途御審議いただきます事項を踏まえまして、次回国際委員会の資料とする報告書(素案)に反映していくこととしておりますことから、今回は時点修正などの軽微な修正にとどめさせていただいております。

簡単に内容を御紹介させていただきますと、(1)分野や相手国に応じた多様で重層的な協力につきましては、1)東アジア・サイエンス&イノベーション・エリア構想、8ページの2)途上国との国際共同研究、そして9ページに3)国際大型プロジェクトについて記載がございますけれども、本日のJSTからの発表を踏まえまして、必要な取り組みとしましてSICORP、SICPについての記載も必要になってくるものと考えてございます。

続きまして、10ページ目でございます。(2)国際的な人材・研究ネットワークの強化につきましては、1)若手研究者の海外派遣、2)国内の国際研究拠点整備について記載をしておりますけれども、本日、JSPSの方から発表いただきました事項を踏まえまして、既存の取り組みとして海外からの研究者受け入れについての記載を重視させていただく必要があるかと考えております。

コメントにつきまして少し触れて説明させていただきますと、10ページ目の下のほうを御覧いただきますと、頭脳循環事業から線が引っ張ってありまして、本事業で海外に行った研究者は必ず何本か国際共著論文を書かなければいけないといった仕組みをつくるのも一案であるという御指摘が前回ございました。この事項につきましては、後ほど御審議いただきます資料6に審議事項として反映をしております。

11ページでございますけれども、2)拠点整備につきましては、韓国などアジアでWPIをまねた拠点化の動きが進んでいるのではないかと思うので確認が必要であるとか、あとは研究環境の国際化は、WPIだけでなく、FIRSTと言われる最先端研究開発支援プログラムなどの支援を組み合わせて外国人を引きつけてきたことを書くべきという御指摘がございました。こちらの指摘につきましては、12ページのほうに現状の記載の枠組みの中で反映可能と思いましたので、記載のほうは反映をさせていただいているというところでございます。

続きまして、13ページ、3)でございますけれども、優秀な外国人研究者の受け入れ促進のための周辺環境整備、基盤強化でございます。これに関しましては、前回御指摘としまして日本の弱みと強みを定量的に分析するためのインフラが必要であるですとか、あとは外国人研究者が我が国のファンドに申請するには、英語申請を可能にするインフラ整備が必要であるという御指摘がございました。これにつきましても後ほど御審議いただきます資料6のほうに審議事項として反映をさせていただいているところでございます。

現状の取り組みとしましては、簡単に申し上げますと、外国人研究者の日本における生活環境の整備をハード面、つまり宿舎ですとか、子供の教育といったこと、またはソフト面、すなわち配偶者の就職、入管審査、そういった両面から進めていくことが必要である。また、若手研究者が海外渡航できるような研究環境の構築を図るべきであるということが現状の記載では触れられているところでございます。

14ページ目を御覧いただきますと、1)の既存の取組の2段落目の所で、平成24年の3月に新しい動きとして、学歴ですとか、研究実績等を考慮したポイント制を活用して高度人材の出入国管理上の優遇措置を講ずる制度に関する法務省告示が既に制定されて、制度としては動き始めているところでございます。

2)の今後の取組でございますけれども、以前の検討状況(案)では、かなり長々と書いていた部分があったんですが、こちらは東日本大震災を踏まえての対応は第3章に移動しておりますので、第3章を参照する形にこちらは記載のほうを修正しているところでございます。

第2章でございます。大学等の若手研究者の国際活動低調化の原因把握とその対応でございます。こちらにつきましては、前回いただいた御指摘として、評価軸を絞るべきである、重要なのは研究者の派遣・受け入れ状況よりも論文発表数ですとか、国際共著論文数ではないかという御指摘がございました。第2章の構成として、前回の検討状況(案)では、(1)、若手研究者の国際活動の状況の中の国際流動性に関する記載の中の末尾に、簡単に我が国の研究活動の状況に触れていたんですけれども、こちらは流動性を中心とする章で座りが悪かったものですから、当該記載を削除しまして、第1章のほうに論文発表数ですとか、国際共著論文数の状況については移動しております。その関係で記載の修正が16ページの(1)の末尾のほうには入っているという状況でございます。

ほかには、特に内容に変更は大きく加えておりませんけれども、18ページ目にグローバル人材育成推進会議の中間報告について少し触れている部分がありましたが、こちらは6月に最終報告書がまとまっておりますので時点更新をかけているところでございます。

先ほど審議の中で少し出てまいりました在外研究員の話につきましては、こちらは18ページになりますけれども、2.の中長期派遣研究者数減少の背景とその対応、(1)中長期派遣研究者数減少の背景という所で触れておりまして、若手研究者の中長期派遣が減少している背景としては以下のことが考えられるというところの全部で五つある中黒の一番最後に、在外研究員制度が廃止されたことというのを国際委員会での議論を踏まえて、理由の一つとして記載をしているところでございます。

続きまして、第3章でございます。20ページになります。東日本大震災による国際研究交流への影響でございますけれども、こちらにつきましては、前回、2段落目の所で震災後の設備の損傷などについて少し触れておりましたけれども、断水や施設・設備の破損が生じたのは被災地域の話であり、日本全体ではないので、区別して書かないと少し心配される可能性があるという御指摘をいただきましたので、「震源地近くの研究機関では」という制限する記載を今回加えております。

また、短期受け入れ研究者数、短期及び中長期派遣研究者数への影響につきましては、前回の検討状況(案)では国際研究交流状況の調査結果を簡単にまとめて記載をする形にしておりましたけれども、これにつきましては調査地域の範囲に絞って影響がどうだったかという統計情報を示すことができれば示すべきであるという御指摘をいただいておりました。これにつきまして今回少し対応する記載を入れさせていただいておりまして、資料5-2の29ページと30ページを少し御覧いただければと思います。資料5-2の29ページにあります図III-2は、既に報道発表資料として公表しております全国版の月間派遣研究者総数の推移となっております。一方、30ページを御覧いただきますと、こちらが被災3県、すなわち岩手県、宮城県、福島県及び茨城県における影響はどうかというのをまとめたのがこの図になっております。上段のほうが月間の短期受け入れ、下段のほうが月間の派遣研究者総数の推移ということで月別になっております。

少し29ページと30ページの比較をしながら見ていただければと思うんですけれども、被災3県及び茨城県でも傾向は同様です。3月、4月と減っておりまして、5月以降、徐々に回復はしてきているんですけれども、平成22年度月平均と比べたときの減少の割合というのは、やはり被災地周辺のほうが大きくなっているという状況が見てとれるところでございます。その影響はまだ比較的長く続いているという状況でございます。

一方、31ページ、図III-5、III-6でございますけれども、こちらでは中長期受け入れ研究者数の推移を示しております。図III-5のほうが全国版、図III-6が被災3県及び茨城県に絞った図になっております。こちらは比較してみますと、減少の割合は被災地周辺のほうが比較的大きいですが、徐々に回復はしてきているという状況でございます。

続きまして、32ページ、33ページでございます。こちらの図III-7とIII-8が全国版になっておりまして、図III-9とIII-10が被災3県及び茨城県に絞ったもの。そして、上にある図が退職等をした研究者の数、下段のほうが一時移動した研究者の数ということになってございます。ちょっと注目して見てみますと、濃いだいだい色のラインは、研究環境を理由として退職、あるいは一時移動した研究者ということになっていますけれども、まず、図III-7を見ますと、この数が全部で14になります。一方、図III-9を見ますと、被災地周辺ではこれが九人ということで、かなり大きい割合になっていると。一方、図III-8、一時移動した研究者の数は大体100人ぐらい、研究環境を理由とする方がおられたわけですけれども、被災地周辺に絞ると、これが88人ということで、かなり大きな割合が被災地周辺に集中しているということが見てとれるかと思います。

一方、薄いだいだい色は研究環境以外の理由で動かれた方ということになるわけですけれども、例えば母国からの退避勧告ですとか、そういったことを受けて動いた方ということになります。これを見てみますと、全国版では図III-7では165人であるところ、被災地周辺では33人。一方、図III-8では317人であるところ、被災地周辺では30人ということで、その割合は比較的小さいということになってございます。

こういった状況を見てみますと、震災当初には被災3県及び茨城県以外の研究機関に所属をする研究者も、母国政府からの避難勧告等を理由として国外退避、全国的にそういった状況が発生していたということが見てとれるかと思います。そういった内容を21ページあたりに記載をしているところでございます。

もう一つ、追記事項としまして、資料5-2の34ページの図III-11でございますけれども、こちらは「平成24年版科学技術白書」で取り上げられておりました法務省の調査をもとにしました外国人研究関連者の出入国状況になってございます。こちらは在留資格、つまり、60日を超える在留の場合に引っかかってくるわけですけれども、これが教授と研究の場合を抽出して月別に集計した結果でございます。平成23年の3月には母国政府からの避難勧告などの動きもありまして出国者数が前年3月よりも顕著に増加しておりますものの、平成23年4月、5月には前年同期よりも入国者数が今度は増加しておりまして、6月以降には平年並みになったということが見てとれます。これらの入国・出国者のほとんどは再入国許可のある者でありましたことから、一時的に出国をして、1~2カ月後に再入国する場合が多かったということが見てとれるかと思います。

続きまして、資料5-1のほうに戻らせていただきます。22ページ、3.でございますけれども、東日本大震災を踏まえて我が国に求められる対応のところで若干修正を加えておりまして、22ページの下段のほうに全部で4点、提言事項があったわけですけれども、もともと一番下にありました災害による影響を考慮した各種研究資金等の機動的対応につきましては、対応体制の整備に関する事項を上位にしたほうがよろしいかと思いまして、順番のほうだけ、少し入れかえさせていただいております。

23ページの個別の提言事項についての具体の記載の所ですけれども、前回の検討状況(案)では、提言事項のみを記載する形にしておりましたけれども、現在、どのような対応を行っていて、その上でどうするかという書きぶりにすべきだという御指摘がございましたので、平成24年版の「科学技術白書」などを参考にしまして、既存の取り組みについて把握できる範囲で新しく追記をさせていただいたところでございます。

具体的には、23ページのマル2、研究を継続できる体制の構築のところで、前回、震災の影響により研究炉等が停止をしたけれども、その間、日本の研究者が海外の研究炉を使用することで研究を継続していた例がある、そういった事情を記載するべきだという御指摘がございましたので、関連する事項の新しく記載をしているところでございます。

また、24ページのマル3ですけれども、震災による影響を考慮した各種研究資金等の機動的対応。この部分では、実績としまして、例えばJSPSでは科研費補助金の震災発生に伴う繰り越し手続について柔軟措置をとられていた。あるいは、JSTのほうでも、研究費の繰り越し、あるいは公募期間の延長といった対応を実施されておりましたので、これを事例として挙げているところでございます。

マル4、災害対応研究の成果の国内外の発信につきましては、こちらも事例としまして、内閣府のほうで地震や津波の発生メカニズムなどについての調査分析を行い、その結果に基づいて防災基本計画の修正を行っているという話ですとか、あとはJSTのほうで行われましたJ-RAPIDの取り組み、また、これは研究成果の発信の事例としまして、国内外の学協会において、例えば地震発生過程の解析結果について学術誌を通じて国際的にも発信している、そういった事項の記載をしているところでございます。

また、25ページの最後の段落ですけれども、前回の検討状況(案)では、震災対応研究ですとか、あるいは我が国として国際的に強みのある研究を発信すべきという記載にしておりましたけれども、文科省の施策を紹介しているだけであまりインパクトがないのではないかというご指摘がございましたものですから、平成24年版の「科技白書」が掲載しておりました専門家へのアンケートを踏まえてまとめた震災からの復興・再生、安全性の向上及び災害に強い社会の構築に貢献する研究に関する表がございましたので、こちら、資料5-2の36ページのほうに表III-2として追加しておりますけれども、そういった内容に差しかえをさせていただいているところでございます。説明は以上でございます。

【大垣主査】  ただいま説明にありましたように、資料5-1は前回、検討状況(案)という表題のもとで御提案したものでございますが、その後、その内容から考えて報告書(素案)というほうが適当であるということでタイトルは変わって、中の構成も変わったものでございます。本日のJSTとJSPSの発表を踏まえて、今後の取り組みについては資料6により別途審議いただいた上で、その結果を踏まえて次回国際委員会、この委員会の資料とする報告書(素案)に反映することとしております。

それで、この議論をするんですが、関連するところが大きいので資料6を先に説明していただいて、その後、あわせて審議をするということにしたいと思います。じゃ、資料6をお願いします。

【奥国際交流官補佐】  了解しました。それでは、資料6でございます。

まず1.第5期国際委員会報告書において示された取り組み目標の例を挙げております。第5期の国際委員会報告書では、科学技術・イノベーションの国際戦略としまして3点の取り組みを進める必要性が提言されております。一つ目が分野や相手国に応じた多様で重層的な協力、2点目が国際的な人材・研究ネットワークの強化、3点目が優秀な外国人研究者の受け入れ促進のための周辺環境整備、基盤強化となっております。

この報告書では、(1)、(2)の取り組みの目的に向けまして、第4期科学技術基本計画期間の5年間で取り組む必要のある目標の例を示しております。それが中段以降に挙げてあるものでして、主なものとしまして、(1)の関連では、各国の強みを効果的に取り入れるために、あるいは政策的に科学技術における研究交流を進めるべき国・地域と最適な協力分野を特定し、具体的な協力を推進するという事項が挙がっております。また、(2)人材・研究ネットワークの強化の関連では、30日超の海外派遣研究者数について、ピーク時の平成12年度の約7,700人を超え、派遣者数を格段に増やすといった目標の例が挙げられていたところでございます。

2ページ目ですけれども、2.第4期科学技術基本計画の対象期間における取り組みですが、文科省としましては、科学技術イノベーション政策を戦略的に推進していくために、内外の科学技術動向を俯瞰・分析し、政策判断の根拠となる情報を提供する科学技術インテリジェンス機能の強化を今後していくこととしております。第4期基本計画の対象期間におきましては、この機能を活用しつつ、以下の取り組みを推進していければと思っています。また、海外の優れた科学技術国際活動の我が国における適用可能性を検討し、必要に応じて積極的に実効性の向上につなげていければと考えております。

(1)分野や相手国に応じた多様で重層的な協力ですけれども、こちらは前回国際委員会でいただいた御指摘を踏まえての追加項目になります。具体的には研究者の海外派遣に伴う国際共著論文の作成を促進するために、海外派遣された研究者については、その派遣期間の終了後に派遣研究者が共著者となって作成した国際共著論文の本数について報告を求めるといった事項。

(2)人材・研究ネットワークの強化につきましては、二つ項目を挙げておりますが、この二つの項目は第5期国際委員会報告書の提言事項を踏まえての項目になります。

まず、一つ目が優れた海外研究機関との国際人脈ネットワークの構築。内容としましては、分野融合型イノベーション創出に向けて戦略的に取り組む拠点に対して、論文被引用度の分析等に基づく優れた海外研究機関との継続的な国際人脈ネットワークの構築を支援しまして、若手研究者の育成に配慮しつつ、人的・研究交流を推進していく。

2点目が研究者の中長期海外派遣に対する組織支援の拡充というところで、その後が、御紹介しております「日本再生戦略」における中長期の派遣者を2020年までに2倍にするという成果目標に対応しまして、参考となる情報として、現在、平成22年度の国際研究交流状況の調査では、22年度で今4,272人が30日超の海外派遣者数としてございます。これを2020年までに2倍にするということは、すなわち8,544人というのが一つの目標になってくると思います。30日超の海外派遣を促進し、当該目標の達成に資するために、優れた海外研究拠点との国際人脈ネットワークの構築、若手研究者の育成に配慮しつつ、組織からの研究者派遣を支援する頭脳循環事業などによる支援を拡充していくことが必要かと考えております。

続きまして、3点目ですけれども、研究開発支援事業による研究者の中長期派遣の促進でございまして、こちらはもともと検討状況(案)でも前回挙がっておりました第2章の提言事項に含まれる事項と同じでございます。国際研究交流に関する支援事業以外の研究開発支援事業の審査・評価に研究者の海外研究機関への中長期派遣を積極的に評価する視点を盛り込んでいくという事項でございます。

(3)の基盤強化に関する事項ですけれども、こちらは前回、第6回の国際委員会での御指摘を踏まえて項目を立てたものでございます。2点あります。一つ目が、研究開発支援事業における英語での申請受付システムの整備。具体的にはWPIですとか、あるいは科研費補助金では英語による申請はもう既に可能になっておりますけれども、競争的資金制度を中心として研究開発管理に係る一連のプロセスをオンライン化するe-Radのシステムでは、現在、英語による申請受付に対応していない状況でございます。国内に受け入れた外国人研究者が英語で我が国の競争的資金に応募できるように対応を進めることが望ましいと考えております。

2点目は、研究開発情報データベースの整備でございます。NSFでは、連邦政府その他の機関による政策形成のための情報源を提供することを目的としまして、科学者あるいは技術者に関する統計データをまとめたデータベースを運用しております。我が国におきましても、効果的な政策形成の基盤とするために、頭脳循環の促進に資する研究者情報などを集約したデータベースを整備するとともに、統計の専門家を育成することが望ましいと考えてございます。以上でございます。

【大垣主査】  どちらの件に関しても、御質問あるいは御意見ございましたら、お願いしたいと思いますが、最初に、先ほど永野委員から御指摘の在外研究員制度のことについて何か説明ができますか。わかりますか。どうぞ。

【石田国際交流官】  手元にデータがございませんけれども、在外研究員制度は明治時代からあったものでございまして、最初は官費・国費留学生ということで、日本の大学の発展期に欧米に留学生を派遣して、帝国大学の先生方は大概が留学生でございました。それが途中で在外研究員制度の前に、シニアの方が行かれるものですから留学生から変わりまして、それが戦後に続いたわけでございますけれども、戦後は、どちらかといいますと、大学はかなり整備されてきましたので、この制度を国が計画的に大学を整備するために何かするというよりも、各大学のほうに割り当てになりまして、ですから、最終的には国立大学が法人化されました時に、運営費交付金の中に含まれたとしておりますけれども、その段階では各学部・学科ごとに割り当てがあって、ある程度年数が回ってきますと、君が在外研究員で海外へ行く番だよと、そんなふうに運営されていたと聞いております。ですから、現場のほうでは、特に特定のプログラムに応募しなくても海外に行く期間が、ある程度たつと順番が回ってくると、そんな感覚があったと聞いております。

海外特別研究員制度は、直接関係があるものではございませんけれども、大学の先生の中にはJSPSの海外特別研究員事業を在外研究員制度のかわりとみなしているような方もいらっしゃると聞いております。

【大垣主査】  多分、私の感じではそうであって、予算の切りかえを行ったわけで、在外研究員制度の場合は長期という10カ月以上と短期という3カ月未満でしたかね、両方の制度があって、それが大学の草の根の学科レベルでは、ある程度計画的に対応、予定が立てられるというようなよさはあったんですが、それが中途半端だという御意見も多分あったんだと思うんですが、それが減って、その後、いわゆる10カ月以上ですか、1年以上の派遣者が減ってきたというデータと重なるものですから、それが原因じゃないかという言い方をよくするんですけど、統計的にきちんと、たしかデータがどこかにありましたけどね。

先ほど出ているような4,200人を7,700人にするというのは、これは30日以上ですので、在外研究員でいうと短期のほうも全部入った形の数の増加をねらうということですので、先ほど御指摘のあったように、先ほどの長期の2年間というのとこれとは目標と完全には一致しないわけですね。2年以上というのは実数が少ないですからね。どうぞ。

【小林委員】  若干補足すると、もともと国立大学の時代には外国旅費というのは別枠だったということもあって、そういう制度をつくらなくてはいけなかったということと、それと、1980年代の終わりぐらいに在外研究員制度の見直しをやっていて、僕も議論に参加したんですけれども、それまでは、先ほどお話があったように大体順番で皆さん回していたので、勤続何年以上とか、助手などの若手ではなく、シニアなクラスのほうを優先していたんですね。若手の場合には、助手で数年するといなくなっちゃうので、大体どこの大学でも採用されないということがあったので、90年前後だと思いますけれども、若手枠をわざわざつくったんですね。

それと、80年代半ばぐらいに特別研究員の先ほど紹介された制度がJSPSでできていたのと二つ重なって、若手の仕組みがそこでつくられたんですけれども、法人化した後、若手のほうに関しては何となくその制度は残っているんですが、シニアクラスのほうに関しては自分のお金で行けというような感じになっています。昔は在外研究員に出るためにその時間をあけるという、みんな約束事があったんですが、なくなったものだから、講義とか、なかなかあけられなくて行けないという状況も出てきている。そういうことでいろいろ批判があるんだろうと思います。

【大垣主査】  若手の助教授クラスが行きにくくなったというのがありますね。どうぞ。

【國井委員】  別件です。

【大垣主査】  別件でいいですか。話題を動かしていいですか。それじゃ、どうぞ。

【國井委員】  全体としては、よくまとまっていると思うんですけれども、イノベーションという観点では、エンジニアリング分野の切り口での分析がちょっと弱いかと思います。FP7にしても、中国の動きを見ていても、エンジニアリング分野で企業も巻き込んで、産学官連携が非常に強化されているんですね。産学官連携といっても、いろいろレベルがあるので、例えば中国だと大学の中に企業がいっぱいありますよね。企業も大学も国ですから、民間と大学とで権利がどうのとか、フェアでなければいけないとか、そういう議論はあまりなくて、ものすごく密着してやられているわけです。

FP7は中小企業も取り込んで、産業に資する、イノベーションに資する研究というものに対して、各国で連携するということに対する評価が高い。ですから、海外はそういう方向で回っているけれど、そういう国際連携の観点はあまりここに出ていないですし、産学官連携も含めた国際連携というところも考える必要がある。物理とかサイエンス側のところは別として、イノベーションが第4期科学技術基本計画の中のポイントですから、今日出されたデータのFP7の中で多少あると思うんですけれども、さらにもう少し取り上げたほうがいいんじゃないかと思います。

【大垣主査】  ありがとうございます。科学技術政策研が今度出したレポートの、日本の大学のランク上げみたいな厚いレポートが出ました。それを見ると、実はいわゆる理学、物理、化学は世界のトップクラスの範疇に入るんですけど、日本の大学全体で見ると工学系は第2ランクに入ってしまっていますけれども、そういうのもいろいろな意味で関係があるかもわかりません。

はい、どうぞ。

【永野委員】  予算がないけど、何かよりよいことをしなければいけないということを考えると、例えば産学連携とか、国際協力とか、一つの制度が一つのことを達成するというのではなくて、JSPSもJSTもいろいろな制度がたくさんあると思うので、いまあるプログラムを組み合わせて二つか三つの目的を同時に達成するとか、一遍、壁をみんな取り払って、一つのものが二つに役立つ方法はないかというふうに考えると、同じお金でも結構役に立ちそうな感じがするんですけどね。抽象的な話ですみません。もちろん、今まで通り素直に実施していったほうがいいものは、それはそれでちゃんとやったらいいと思うんですが。

【大垣主査】  よくわかります。全く同感で、例えばさっきの2年間長期に派遣するというのは完全にワンセット、すべての費用をこの事業で賄う、ある一人を送るという形なんですが、各機関、それなりの予算を持っていたり、人件費はもともとカバーしているわけですから、補助金的なきっかけになるお金さえ出せば、多分半分のお金、あるいは4分の1ぐらいのお金で人が出やすくなるんじゃないかというような気が機関側にいると感じますね。

【角南委員】  今、主査がおっしゃったことは非常に重要で、一つは、他の省庁がやっているプログラムがどういうもので、文部科学省の事業がどういう位置付けにあるのかという視点が多分必要になってくるんだと思うんですね。

【中西JST国際科学技術部長】  参考情報ですけれども、SICPという研究交流のプログラムにつきましても、それからSICORPという共同研究のプログラムにつきましても、企業との参画というのは相手国も非常に強く求めております。中国、スウェーデン、イギリス、フランスなども、やっぱりイノベーションにつなげるための産業界の参画というのを強く求めていて、そちらのほうにシフトしていく状況が見られます。例えば最近、大型の共同研究について中国科学技術部と一緒に公募しましたけれども、半分以上、7割ぐらいは企業がどちらか側に参加していると、あるいは企業自身が代表研究者になっているというような応募がありました。これから選ぶんですけれども、そういうものが選ばれていくようになっていくんじゃないかなと思っております。

【大垣主査】  ありがとうございました。重要な案件ですので、御意見いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

【小林委員】  これは希望なんですけれども、資料6で小野委員が指摘された所で頭脳循環で国際共著論文の本数について報告を求めるという話があったんですけれども、こういうのはとてもいいと思うんですけれども、その前の段階で、ある程度サンプリングとかで実態は調べればわかるんだろうと思うんですね。せっかくこういうことを言っても実態が伴っていないと意味がないので、調べられるものはとにかく実態を調べて、ほんとうにこういうことをやるのが意味があるかどうか、あるいは、どの程度の意味があるかということをわかるような判断材料をそろえてもらうと助かるという気がします。サンプリングという意味です。

【大垣主査】  作業的には大変かもわかりませんけど、ただ重要ですね。どうぞ。

【伊藤委員】  資料6について事務局に御質問です。一番最後に研究開発情報データベース、これは開発情報というよりも研究者の情報だと思われますが、今後つくっていくことが望ましいと書いてあります。これは確かに重要ではありますが、それと頭脳循環の促進とか、いわゆる国際的な活動とどういうふうにリンクしてくるのかなというのが、よくわかりませんでした。と申しますのは、確かに米国NSFのほうには市民権とか、出生国が書いてありますので、そういう意味では外国から来られた方もここに登録してあるのかもしれないんですが、そのあたり、どういうお考えなのかなと思って御質問です。

【奥国際交流官補佐】  前回の国際委員会の中であった議論かと思いますけれども、研究者情報、あるいは、この研究者の方がある国際交流、あるいは国際研究交流に関する事業を採択されて実際行われた。そういったことの成果として、どういうアウトプットがあったか。そういったものをデータベースとして打ち込んで登録していくことによって、個別の事業の成果というのを定量的に把握することができますでしょうし、あるいは研究者とのネットワークを構築していく上で、国内の主要な研究者の情報を発信していくことは、お互いの交流をデータベースで蓄積をして、さらに発展につなげていく上で有効な情報の基盤になると思いますので、そういう観点からデータベース構築というのは意味があるのではないかと考えているところでございます。

【大垣主査】  はい、どうぞ。

【眞峯委員】  私どものほうの状況に関して実量ベースで申し上げますと、今後、NSFとか海外のファンディング・エージェンシーと私どもJSTのようなファンディング・エージェンシーが特定の研究課題で共同研究を進めていこうというような事例が今後、特にグローバルな環境問題とかエネルギー問題については出てくる際に、先方はNSFのファンド、今まで得た、あるいは得ていなくても、どういうテーマでどんな研究者がいるかというデータベースをNSFのホームページから全部調べることができるんだけれども、日本の場合はどうですかという問いかけがございます。

これは各機関がそれぞれ答えるべきことだと思うので、私どもJSTに関して申し上げますと、今までJSTが把握している、どんな研究者の方がどんな研究分野で研究されているのかという、特に英語版についてのデータベースが存在していないということで、お互いが共同研究のパートナーを探す上で、そういうデータベースを持っているということは重要だろうというような必要性が今生じておりますので、ここに記述されておりますような日本のデータベースが出てきますと、そういう国際共同研究を推進する上で非常に効率的なのではないかなと考えております。

【大垣主査】  ほかにはいかがでしょうか。はい、どうぞ。

【永野委員】  多分、今後の取り組みの中では、資料5-1第2章の中長期派遣研究者数減少への対応についての取り組みを書くのだと思うのですが、さきほどの在外研究員制度の廃止の前にもいろいろ書いてあります。例えばよく聞くのは、昔だと講座制だったので助手の人が二人いたんで大体一人は外国に行けましたが、今は一人ずつになっていて、かつ、みんな独立しているので、海外に行けなくなっているということは、皆さん、言われるのですが、それについて、じゃ、どうしたらいいのかということをちゃんと書いておかないと、解決につながらないと思います。そこが一番困っているらしいので、それへの対応を書かないと取り組みにならないと思います。

【大垣主査】  資料6の2ページの(2)の2)あたりでしょうかね。

【永野委員】  ええ。

【大垣主査】  先ほど永野委員から御指摘のあった個別事業の枠を超えた統合型というんでしょうか、複合的な支援体制が必要じゃないかというようなことも関係しますね。よろしいですか。

【永野委員】  ええ。

【大垣主査】  ほかにはいかがでしょうか。はい。

【國井委員】  今の統合型のことが極めて重要だと思います。他省庁の方たちと議論していても、先ほどおっしゃった省庁間の連携が極めて重要ですが、こういうことをすべきという話をしていても、それは、文科省さんのテリトリーだからできませんという話が出てきちゃうわけですよね。ですから、そこがもっと連携できたら、効率よくできますよね。たとえば、韓国はIT関係が進んでいますが、リソースがないから、かえって進んでいるというところもあります。リソースが少ないから、組織が少ない。したがって統括もしやすい。お金がないからではない気が私はします。

それから、講座制があったときは動きやすかったという話がありましたけれども、今の組織の中でも柔軟に仕事を分担できる体制をつくらないといけない。そうすれば、育児に当たっての研究者の支援というのもやりやすくなるわけですよね。女性の研究者は非常に少ない。日本再生戦略の働く「なでしこ」大作戦の中でも女性の活躍というのは挙がっているんですけれども、女性研究者は頭打ちになっています。少しずつは増えている分野はありますけれども、特に工学分野は全然増えていないという状況です。そういう中で抜本的に仕事の仕方を見直すべきです。それがグローバル化にもつながるし、いろいろな効率的な研究体制の構築というところでも有益だと思います。

【大垣主査】  ほかにはよろしいでしょうか。はい。

【永野委員】  その統合型を考えるときに、多分役所のほうが心配するのは、最近の事業仕分けなんかを見ると、重複があるといけないというのが日本では多いんですね。外国の事業を見ていると、重複なんかあっても、調整をしながらどんどん勝手にやっていることが結構あります。重複を極端に嫌う傾向をうまく乗り越える知恵が必要です。

【大垣主査】  ただ、国際的な頭脳循環みたいな人材に関係、あるいは教育に関係する事業について文科省は言いやすいというか、接着剤みたいな事業はやりやすいとは思うんですけどね。

【眞峯委員】  いろいろな御議論あると思いますが、JSTは産学連携も事業として展開しておりまして、最近、先ほど中西のほうから申し上げましたけれども、従来の研究者をベースにしたバイラテラルの、あるいはマルチラテラルの連携の中に産業界のメンバーの方にも入っていただいて、ある意味で2バイ2、要するに2というのは研究者と産業界のメンバーがペアになってお互いの連携をするというような事業も、これから推進していこうということで、まだ、やっぱりハードルはなかなか高くて、これからスタートするという状況でございますけれども、そういう試みをしていきながら、イノベーション創出というような形に貢献できていったらいいなと考えております。

【大垣主査】  よろしいでしょうか。まだ大分議論する課題があるような気もしますが、本日の議論はこの程度とさせていただきます。報告書(素案)等につきましては、本日、皆様からいただいた意見を踏まえて修正を事務局でお願いしたいと思います。

それでは、そのほかの案件について、事務局からお願いします。

【奥国際交流官補佐】  それでは、資料7でございます。今後のスケジュール(案)を御覧いただければと思います。次回第8回の国際委員会は10月ごろ、第9回の国際委員会は12月ごろに開催をしまして、年末目途で報告書を取りまとめる予定でございます。日程につきましては、改めて委員各位と御予定を確認させていただきました上で、大垣主査と御相談の上、事務局から皆様方にお伝えさせていただければと思います。

本日の資料につきましては、大部になってございますので、そのまま机上に置いておいていただければ、事務局から郵送させていただきたいと思います。以上でございます。

【大垣主査】  本日のもしも意見が残っておりましたら、言い尽くせない点がございましたら、事務局へEメールなどでお知らせいただければと思います。

それでは、これで本日の委員会を終了いたします。どうもありがとうございました。

 

── 了 ──

 

 

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(科学技術・学術政策局国際交流官付)