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アジア科学技術協力推進に係る今後の取組み方針

平成17年12月19日
 

 科学技術振興調整費「アジア科学技術協力推進戦略プログラム」においては、

  (a) 中韓(東アジア)、ASEAN(アセアン)諸国(東南アジア)、インド(南アジア)の地域特性を踏まえた地域共通課題解決型の国際共同研究
  (b) 機動的かつ政策的な研究交流

 に対する支援を行うこととしている。この制度を念頭に置き、アジア科学技術協力推進に係る今後の取組方針を取りまとめると以下のとおり。

1.地域共通課題解決型国際共同研究について

1.基本的考え方

 次の13の要件を満たす共同研究課題を基本的に支援する。

  1 社会経済情勢を踏まえ、日本とアジア諸国にとって、共に取り組んでいくべき政策的必要性が高い課題に対応した研究活動であること。【政策的ニーズ】
  2 研究開発成果が地域共通課題の解決に如何につながっていくのかに関して、社会経済的実効性の高い提案であること。【社会経済的実効性】
  3 産業界主導で行うべき段階の研究開発活動ではないこと。民間ベースの技術協力、ODAによる技術供与、既存の研究開発プログラムなど他の制度ではカバーできないような取組みであること。また、他の制度で行われている取組みとの関係の中で、本制度による取組みの位置づけ、付加価値が明確にされていること。【制度の付加価値】

 また、次の45の要件を満たす共同研究課題の採択を推奨する。

  4 当該課題に関して当該相手国が共同研究に参画することが可能な程度の研究資源(人材、フィールド、試料等)を提供できること。【共同研究への参画】
  5 過去、当該分野で、当該相手国との間で活発に研究交流が行われ、日本への元留学生などの知日派人材とのネットワークなど本格的な共同研究に取り組むのに必要なネットワークが既に構築されていること。(或いは、近い将来かかるネットワークを構築できる見込みが高いこと。)【過去の累積】

2.優先的に取り組むべき分野

 この枠組みの中で、政策的に優先して取り組むべき分野としては、次のものを挙げることができる。

  (1) 喫緊の社会経済的ニーズに対する科学技術による貢献
1-1)自然災害への対応に資する防災科学技術などの研究開発
1-2)感染症対策に資する研究開発
  (2) 中長期的な課題に対する科学技術による挑戦
2-1)持続可能な発展のための環境・エネルギー技術などの研究開発
2-2)情報通信分野等におけるアジア発の標準の創出

3.地域特性の考慮等

 2.の各分野に関しては、1.の15の要件や、各地域の抱える特性を踏まえて精査すると、次のように共同研究に取り組むことが適当である。

  (1) 喫緊の社会経済的ニーズに対する科学技術による貢献

   我が国とアジア諸国が直面する喫緊の社会経済的ニーズに対する科学技術による貢献を行うため、当該国の機関との協力の下に我が国研究者がアジア諸国に赴くなどして研究開発活動に取り組む。

   

1−1)自然災害への対応に資する防災科学技術分野の研究開発
大学、研究機関による学術交流レベルの取組みは過去行われてきたものの、最近の政策的ニーズを踏まえれば、学術面でのネットワークを生かして、自然災害の被害を軽減するため、その技術の適用までを視野に入れた研究開発を実施していくことが必要である。例えば、東南アジア諸国を中心に、津波・地震分野の国際共同研究を推進することは政策的に有意義である。アジア地域のデータが集積されることは、我が国の防災対策のためにも役立つものであり、さらにこれを更にアジア諸国に情報発信することにより、アジア地域全体の防災対策の向上に資するものである。
1−2)感染症対策に資する研究開発
中国、東南アジアとの間で過去の取組みの蓄積は多く、ごく最近においても感染症研究拠点育成(中国、タイ、ベトナム)のプロジェクトが進展している。以上に関わらず、先のAPEC(エイペック)首脳会談において主要議題となるなど政策的ニーズは極めて強いため、例えば、上記プロジェクトが進展している国以外で、さらに取組みを強化すべき感染症対策研究開発分野があれば、その取組みを支援することは政策的に有意義である。また、かかる感染症対策の進捗が我が国を含むアジア地域の健康増進に結びつくことにより、我が国にとっての利益も大きい。

  (2) 中長期的な課題に対する科学技術による挑戦

   我が国とアジア諸国が抱える中長期的な課題に対して科学技術により挑戦していくため、アジア諸国の機関との協力の下、当該国の研究者を我が国機関に招くなどして研究開発活動に取り組む。

    2−1)持続可能な発展のための環境・エネルギー技術の開発
 環境・エネルギー分野の取組みは数多く行われているが、特に、他分野の知見も交えて総合的、分野横断的に取り組むべき課題については取組みが難しいことから遅れており、政策的に一層推進する必要である。例えば、環境・エネルギー分野と材料科学分野の複合領域におけるエコ・マテリアルに関する研究開発や、環境・エネルギー分野とライフサイエンス分野の複合領域における環境悪化(大気、水)に対応した健康被害対策や安全な食品の持続的確保のための研究開発等を挙げることができる。
 かかる複合領域については、例えば、研究水準が一定程度の水準に達している中韓の研究機関(東南アジア諸国のうち高度な科学技術水準をもつ一部研究機関との共同研究を含む)との連携を中心に推進することが考えられる。
2−2)情報通信分野等におけるアジア発の国際標準の創出
 アジア諸国の国際競争力が比較的強く、かつ言語多様性のようなアジアの文化に独特の問題などを内包する情報通信分野や、環境基準の分野等において、アジア発のイニシアティブを発揮し、国際標準に結びつくような技術やシステムの創出とその発信を図ることは中長期的な地域共通課題といえる。例えば、日本の弱点といわれるソフトウェアや通信に関する基礎研究分野において一定の研究水準を持つインドとの間の共同研究など相互補完的な協力に取り組むことが望まれる。


2.機動的国際交流について

1.基本的考え方

  1の1.15のような条件を満たす研究交流案件について支援していくのが基本である。この際、1.共同研究とは異なり、研究交流については、柔軟かつ迅速に実施に移して、将来的な国際共同研究に政策的につなげていくことが重要であることから、予め対象分野等を特定せず時々の政策ニーズを機敏に反映しながら機動的に支援していくこととする。
 さらに、既存及び新規の研究交流の実施状況を俯瞰的に把握し、産学官などの各交流相互に連携を図ることなどを通じて、我が国と当該国との間の研究交流の効果を最大化することも目指す。

2.機動的な研究交流の実施方法

 機動的な研究交流の実施は、国際研究交流の支援に実績を有するコーディネータ機関による機動的なサポート体制を整備することにより可能となる。
 このようなコーディネータ機関は、次のような要件を満たすことが必要。

  1 国際研究交流への政策的ニーズを把握・分析する能力を有していること。
・我が国やアジア諸国の政策ニーズに関する情報収集体制を有すること。
・我が国やアジア諸国の政策ニーズを的確に分析することができる有識者を的確に探し出し、かかる有識者とのネットワークを構築して情勢を分析し、意思決定に活用できるノウハウを有すること。
・既存及び新規の研究交流の実施状況を俯瞰的に把握し、産学官などの各交流相互に連携を図ることなどを通じて、我が国と当該国との間の研究交流の効果を最大化するための現実的な構想を有すること。
  2 機動的に国際研究交流を実施する実務能力を有していること。
・国際研究交流を支援した実績をもつなど、機動的な実施に必要なノウハウを有すること。

(科学技術・学術政策局国際交流官付)

-- 登録:平成21年以前 --