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24.知的財産ワーキング・グループ報告書(概要)

1.WGにおける検討の経緯

  科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会産学官連携推進委員会の下におかれた「知的財産ワーキング・グループ」(主査:伊藤 弘昌 東北大学未来科学技術共同研究センター長)においては、大学における特許等知的財産の帰属の見直しと組織的管理・活用の在り方を検討するため、平成14年5月から10月まで計9回の会議を開催。その審議の結果を報告書として取りまとめた。

2.報告書の概要

1.知的財産の取扱いに関する基本的考え方

1.大学の使命と大学にとっての知的財産

  • 大学は、社会貢献を教育・研究に加えて「第三の使命」として位置づけるべき。
  • 知的財産の組織的な管理・活用は、大学の基本的役割であり社会貢献の一つ。
  • 大学教員は、大学組織の一員として知的財産の保護・活用に貢献する責務。
  • 研究成果の活用は、学術研究の活性化、研究資金の充実の観点からも有意義。

2.大学における知的財産等の帰属に関する基本的考え方

  • 従来の個人帰属原則のもとでは、大学で生み出された知的財産等の活用が不十分。
  • 近年、知的財産の組織的な管理・活用を図るための体制整備や制度改善が進展。
  • 法人化により国立大学が組織として知的財産を管理・活用することが可能に。
  • 大学で生み出される知的財産等について、今後は、原則大学帰属とし活用するなど、各大学が自らのポリシーの下で組織として一元的に管理・活用を図ることが望ましい。

2.知的財産等の帰属の見直しと制度の整備

1.対象となる知的財産等

  • 特許権、実用新案権、意匠権、著作権(データベース及びプログラムに係る著作権)、回路配置利用権、育成者権、研究開発成果としての有体物、その他技術情報やノウ・ハウ。

2.特許権等の取扱い

(1)特許法上の職務発明と大学教職員の発明

  • 個人帰属を原則と定めた昭和52年の学術審議会答申以降、大学が自らの研究成果の活用を図ることが重要視され、今日では大学の重要な役割の一つ。
  • 研究成果の扱いについては国民(納税者)の理解が得られるような配慮も必要。
  • このような前提で、学術研究の発展、知的財産等の有効利用等の見地から「最善の道」を今日の時点で選択するとすれば、職務発明に係る特許権等のうち大学が承継するものの範囲について見直しを行い、機関帰属を原則とすることが適切。
  • 具体的には、「大学から、あるいは公的に支給された研究経費を使用して大学で行った研究又は大学の施設を利用して行った研究の結果生じた発明」を職務発明の最大限ととらえ、その範囲内で各大学が自らのポリシーに基づいて承継する権利を決定。
  • ただし、具体的な在り方は、大学ごとの合理的判断に基づく多様性を尊重。

(2)大学教員と大学の関係

  • 知的財産等の組織的管理のためには、発表前の発明届出を徹底することが必要不可欠。その前提として、教職員の意識の向上や相談体制の充実とともに、知的財産担当者が発明を行った教員と一体となって届出に係る発明を迅速に活用することが必要。
  • 各大学では、発明規則等の改正により大学が承継する範囲を変更することが可能。
  • 大学が承継した特許権等の活用の可能性が十分に見出せない場合は、権利の譲渡・放棄を含めて適切に措置。
  • 各大学の発明規則等において、特許法第35条の「相当の対価」を規定。その際には教員に対する補償やインセンティブの観点から、十分な対価の支払いが必要。
  • 教員又は所属研究室等への研究奨励金としての還元もありうる。

(3)国立大学の法人化前に生じた特許権等の取扱い(経過措置)

  • 法人化時点で既に決まっている権利の帰属は、法人化後も変更しないことが適当。

(4)学生等が寄与した発明の取扱いに関する考え方

  • 教員との共同発明や大学の施設を用いた発明は、大学の一元的管理が望ましい。
  • 大学と雇用関係にある学生等の発明は職務発明として原則大学が権利を承継。
  • 大学と雇用関係がない学生等については、発明規則等により大学への届出を義務づけた上で、学生等と大学の移転契約により承継。その際には、対価の額の決定方法や学生がベンチャーを興す際の扱いに留意が必要。

3.特許権以外の知的財産に係る権利の取扱い

(1)特許法の職務発明規定と類似の規定がある知的財産権:実用新案権、意匠権及び育成者権

  • 発明に関する取扱いを準用。

(2)データベース及びプログラムに係る著作権並びに回路配置利用権

1.データベース及びプログラムに係る著作権
  • 有効活用の観点から組織的な管理・活用が望ましい。
  • 学外へ移転する場合や他の関連する知的財産等を大学に届け出る場合には、大学への届出を必要とし、個別契約により必要に応じて権利を承継。
  • 教員等に対する還元も含め、著作権の取扱いに関する学内規則の整備が必要。
2.回路配置利用権
  • データベース等の著作権の取扱いも参考にしつつ、必要に応じて各大学で検討。

4.有体物その他の取扱い

(1)研究開発成果としての有体物に関する取扱い

  • 各大学では学内規程の整備と円滑な運用体制の整備が必要。
  • 教員への還元に配慮しつつ、学内規則や契約に基づき原則大学に帰属。
  • 学外へ移転する場合や具体的利用価値が認められた場合に大学への届出を必要とし、その後は大学による組織的管理の下におく。
  • 学外への移転に際しては、利用目的に応じ、契約に基づく適切な取扱いが必要。
  • 有体物の提供を受けた者がそれを利用して新たな知的財産権を創出した場合の取扱いについての判断も重要。
  • 大学自身が学術研究の遂行のために外部から受け入れる場合の配慮も必要。

(2)その他技術情報、ノウ・ハウの取扱いと成果の発表

  • 研究室の規律だけでなく、大学が組織的に取り扱うことが必要。
  • 具体的には、特許出願前の研究成果、特許等とともに企業に移転する技術情報等、共同研究において企業との関係で守秘が求められる情報など。
  • 研究成果の発表の重要性など、大学の特質と学術研究への理解を企業側に求めることも必要。

3.大学のポリシーに基づく研究成果の組織的管理・育成・活用推進の在り方

1.各大学における知的財産ポリシーの作成

  • 今後は各大学が個性や特色に基づいて知的財産ポリシーを作成・公表することが必要。
  • 知的財産ポリシーでは、各大学の使命や責務、研究成果の育成・活用に関する考え方、個別具体的な知的財産の取扱いの方針、紛争解決のための手続等を規定。

2.利益相反と知的財産の管理・育成・活用推進

  • 知的財産に関わる利益相反(大学や教職員が産学官連携活動から得る個人的利益と教育・研究に関する責任との衝突)についても、適切な管理が必要。

3.研究成果の組織的管理・育成・活用推進に向けた体制の整備

(1)各大学における教職員等の意識の改革

  • 知的財産等の管理等を進めるためには、教職員や学生等の意識の改革が必要。

(2)各大学における体制の整備

  • 各大学は、知的財産の組織的管理・育成・活用を戦略的に進める体制(「知的財産本部」機能等)の整備が必要。
  • その際、複数の知的財産の一体的な管理とともに、技術コンサルティング、共同研究、ベンチャー起業等各種手段の組み合わせによる総合的取組が必要。
  • 各大学では、産学官連携の諸機能を集約し一体的に取組む体制の整備が必要。意思決定の迅速性・柔軟性も求められる。

(3)産学官連携や知的財産管理に従事する人材の養成・確保

  • 従来の組織や業務にとらわれず外部から実務者を積極的に招聘し活用。教職員がこれら外部実務者と有機的に連携しながら業務を推進。
  • 産学官連携や知的財産管理等に従事する職員には、高い専門性に応じた処遇が与えられることが望ましい。
  • 長期的な展望・戦略から必要な人材の採用・養成に努めることも必要。

(4)知的財産の創出・育成・活用への貢献に対する評価

  • 教職員の知的財産の創出・育成・活用への貢献についても適切に評価。TLO等を活用した「目利き」機能の充実強化を期待。

(5)国立大学法人とTLOとの関係

  • 国立大学法人化後のTLOは、大学法人の外部組織(大学法人が出資する場合を含む)か内部組織か、どのような機能を分担するかという点から、多様な形態が可能。
  • 各大学がその個性や運営方針に応じて、最も効率的・効果的な体制を選択。

(6)大学における研究成果の組織的管理・育成・活用推進のための支援と環境整備

  • 知的財産権の取得・管理等のために必要な経費は、大学運営の基盤的な経費や競争的資金の間接経費等により多角的な財源の確保が必要。
  • 移行期においては、機関帰属への移行に伴う体制整備のための支援措置が必要。
  • 専門的人材の確保(派遣)、養成(MOTコースの充実等)の支援措置が必要。
  • 大学がライセンスの対価としてストックオプションや株式を取得できるよう制度の見直しが必要。
  • 大学とTLOとの連携の確保のため、大学からTLOへの出資や人事交流等が可能になるよう環境整備が必要。
  • 特許の海外出願への支援、知的財産の保護・活用が進んでいない大学への支援等は法人化前にも早急取組むべき。
  • 知的財産等の活用実績の広報等、国民の理解や意識の向上への努力も重要。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)

-- 登録:平成21年以前 --