17.科学技術基本計画(平成13年3月30日 閣議決定) -抄-

第2章 重要政策

2.優れた成果の創出・活用のための科学技術システム改革

2.産業技術力の強化と産学官連携の仕組みの改革

(2)公的研究機関から産業への技術移転の環境整備

(a)技術移転に向けた公的研究機関における取組の促進
公的研究機関からの産業への技術移転を進めるため、産学官連携のための組織的取組を強化することが重要である。特に、大学の共同研究センターについて、学部・学科等の枠を越えた最適な専門要員・人材の配置等により、一層の機能向上を図る。また、公的研究機関の研究活動の成果の事業化のために技術移転機関の活用促進を図るなど、技術移転に向けた各機関の主体的取組を促進するための支援等を行う。
また、産学官連携の活動実績を、機関、研究者等の評価の基準の一つと位置付ける。

(b)公的研究機関が保有する特許等の機関管理の促進
公的研究機関において、有用な研究成果を実用化に結びつける仕組みを整備する。このため、以下のような施策を推進する。

  • 第1期基本計画においては、自らの研究成果を伴って研究者が流動できるとの観点、及び研究者個人へのインセンティブを向上させる観点から、職務上得られる特許等について個人への帰属を導入し、活用促進を図ってきた。しかし、当該特許等の個人帰属は増加したものの、その実施という観点では必ずしも増加に結びついていない。研究開発成果の活用をより効果的・効率的に促進するため、個人帰属による活用促進から研究機関管理を原則とする活用促進への転換を進める。
  • 研究機関は、研究機関管理に必要となる特許等の取得、管理、展開の機能を整備する。技術移転機関は、研究機関のこれらの機能を支援する活動を促進する。
  • 研究機関管理への転換に当たって、発明者である研究者に対するインセンティブの一層の向上を図る観点から、実施料収入からの個人への十分な還元が行えるよう制度を整備する。なお、研究者が異動する場合における発明者インセンティブの継続についても十分に留意することが必要である。

これらの改革は、まず、自主的な運営の中で特許等の活用が可能となる独立行政法人研究機関等において取り組み、大学等、他の研究機関については、今後検討する。なお、研究成果の特許化を進めるに当たっては、特許を取り巻く環境がグローバル化しつつある状況にかんがみ、公的研究機関においても、国内での取得のみならず海外における特許化を促進する。

(3)公的研究機関の研究成果を活用した事業化の促進

公的研究機関と企業等との共同研究や、企業等から公的研究機関への委託研究によって得られた研究成果の企業等への移転を促進し、企業等が共同研究等を推進する意欲の高揚等を図り、公的研究機関の研究成果の事業化を促進する。したがって、共同研究や受託研究により得られた研究成果の関与した企業等への移転、とりわけ、

  • 企業等に対する国有特許等の譲渡及び専用実施権の設定による活用
  • 技術移転機関への国有特許等の譲渡及び専用実施権の設定による活用の拡大

等を進める。特に、このため、関与した企業や大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律(平成10年法律第52号)により認定されたTLOへの随意契約による譲渡、TLOへの延べ払いでの譲渡契約の実施などにより、事業化を促進する。
また、人材面においても、公的研究機関の研究者は、研究成果を活用する民間企業等の役員等への兼業制度及び休職制度等を積極的に活用する。国は、民間企業等における研究、指導等への従事に係る兼業許可の円滑な運用を図る。これらにより、公的研究機関の研究人材が社会全体で活躍できるようにし、公的研究機関から民間への技術移転、事業化を促進する。

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研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)