各国立大学、各国立高等専門学校、各大学共同利用機関
研究協力担当部課長、物品管理事務担当部課長
文部科学省では、研究成果物の利用を促進することに対する要請、昨年の米国における経済スパイ法違反容疑事件を契機とした研究開発成果物の帰属と利用に関する関心の高まり、昨年12月の総合科学技術会議における研究開発成果の取扱いのルールを緊急に整備すべき旨の提言を受け、研究開発成果の取扱いに関する検討会を設置し、平成14年1月以来6回に及ぶ会合を開催して、平成14年5月に研究開発成果の取扱いの基本的な考え方を示す「研究開発成果の取扱いに関する検討会報告書」をとりまとめたところであります。
今回示したガイドラインは、上記報告書の趣旨を踏まえて、研究開発成果としての有体物の取扱いについて、管理運用面における基本的な考え方、指針を示すものであり、さらに、研究開発成果としての有体物の研究の場での利用、産業上の利用を簡易に行うために、研究成果物の譲渡、貸付等に係る契約書等の参考例を提示するものであります。
各機関においては、本ガイドラインを参考にして研究開発成果としての有体物の取扱いに関する規則を整備し、その規則に基づき適切かつ円滑な取扱いを確保願います。
研究開発成果としての有体物(以下「成果有体物」という。)については、円滑かつ適正な取引・流通を可能とし、知的資産の蓄積と研究開発の場での利用を促進するためにも、国の帰属としておくのが適当である。
成果有体物の範囲は次の1から3に該当する、学術的・財産的価値その他の価値のある有体物である。(論文、講演その他の著作物等に関するものを除く)
成果有体物は、研究機関及び研究者が研究開発の場で自由に成果有体物を利用できるよう、円滑な提供と適切な取扱いを確保することが必要である。また、産業利用を通じて国民に利益が還元されるよう、適切な契約により提供することが必要である。
成果有体物は国の帰属とすることから、その管理は物品管理法、物品の無償貸付及び譲与等に関する法律その他の関係法令に基づく適切な管理が必要である。一方、成果有体物は、多種多様なものが膨大に存在するため、事務的負担も考慮し、その性質や財産的価値に応じて、物品管理関係法令を踏まえつつ合理的に管理することが必要である。
成果有体物は、研究開発の場及び産業利用への積極的活用を図ることが重要であるが、その提供にあたっては、事後に問題が生じないよう成果有体物の帰属や提供の相手方などを明確に記録しておくことが必要である。
成果有体物を提供する場合には、成果有体物の性質、提供の相手方及び利用目的に応じ、適切な提供を行うことが必要であることを考慮し、提供の指針は次のとおりとする。
成果有体物の提供要請は膨大であるため、これに円滑かつ迅速に対応するためには提供手続きの簡素化が求められる。簡素化にあたっては、提供の相手方と成果有体物の性質等を考慮し、また物品管理関係法令等に留意しつつ、一定の範囲内で実施することを可能とする。
機関が管理する成果有体物(備品等)を国の機関に一定期間継続して提供する場合には、次の方策で物品管理法の管理換手続の簡略化を図る。
研究者が管理する成果有体物を、研究に供するため国の機関に所属する研究者に提供する場合には、次により研究者間での提供を可能とする。
学内規則を整備するにあたっては、基本として次の事項を定めることが必要と考えられるが、各機関の実情に合わせた内容での整備が必要である。
成果有体物を提供する際の手続きに関する書類のモデル例を提示するので参考とされたい。なお、このモデル例を利用する場合には、各機関の実情等に合わせ適宜変更をすることが必要である。
成果有体物に関するデータ等の取扱いについては、この成果有体物の取扱いに関するガイドラインの該当する次の事項を準用して、適切に取り扱うものとする。
このガイドラインは法人化までの取扱いを示すものであるが、法人化した場合には、平成14年5月に公表した「研究開発成果の取扱いに関する検討会報告書」及びこのガイドラインの趣旨に鑑み、適切な取扱いを行うことが必要である。
(参考:成果有体物の提供に関する書類のモデル例) 略
研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室