7.「国立大学等の教官等の発明に係る特許等の取扱いについて」(昭和53年3月25日付け文学術第117号文部省学術国際局長、大臣官房会計課長通知)-抄-

改正:昭和62年5月20日文学助第138号、
平成9年3月27日文学助第163号、
平成11年3月24日文学助第163号

各国立学校長
各国立大学共同利用機関長

  国立大学等の教官等の発明に係る特許等については、従来、特許権等の帰属等についての統一的な基準がなかつたため、個々の大学等によりその取扱いが異なつていましたが、昭和52年6月17日付け学術審議会答申「大学教員等の発明に係る特許等の取扱いについて」において、その統一的な取扱いについて基本的な考え方が明らかにされました。よつて、同答申の趣旨に従い、昭和53年度以降は、国立大学等(大学、短期大学、高等専門学校及び国立大学共同利用機関をいう。以下同じ。)の教官等(教官及び研究活動に従事する技術系職員等をいう。以下同じ。)の発明(考案を含む。以下同じ。)に係る特許(実用新案を含む。以下同じ。)については、下記のとおり取り扱うこととなりましたので、各大学等におかれては、学内規程の整備、発明委員会の設置並びに教官等への周知等についてよろしくお取り計らい願います。
なお、「国立学校における国有特許の外国出願に係る事務処理要領」(昭和44年11月27日大学学術局長裁定)は、昭和53年3月31日限り廃止します。

1 国立大学等の教官等の発明に係る特許を受ける権利の帰属についての基準

(1)国に帰属する場合

  国立大学等の教官等が、その研究の結果発明を行つた場合、当該発明に係る特許を受ける権利は、その発明が次のいずれかに該当する場合は、原則として国が承継するものとする。

  • ア 応用開発を目的とする特定の研究課題の下に、当該発明に係る研究を行うためのものとして特別に国が措置した研究経費(民間等との共同研究及び受託研究等経費のほか、科学研究費補助金を含み、教官当積算校費、奨学寄附金等のような一般的研究経費は除く。)を受けて行った研究の結果生じた発明
  • イ 応用開発を目的とする特定の研究課題の下に、原子炉、核融合設備、加速器等のように国により特別の研究目的のため設置された特殊な大型研究設備(電子計算機等のような汎用的なものは除く。)を使用して行った研究の結果生じた発明

(2)発明者に帰属する場合

  • ア 上記(1)により、国が承継することとした場合を除き、国立大学等の教官等の 発明に係る特許を受ける権利は、発明者に帰属する。
  • イ ただし、発明者が希望するときは、発明者からの譲渡の申出に基づき、国は、当該発明に係る特許を受ける権利を承継することができる。

2 発明に関する学内規程の整備

(1)上記1の(1)に該当する発明に係る特許を受ける権利を国が承継するためには、当該発明を行つた国立大学等の教官等は、当該権利を国に譲渡すべきことを大学等の長が定めておく必要があり、その旨を学内規程(所内規程及び校内規程を含む。以下同じ。)で明確にするものとする。

(2)学内規程には、前記(1)のほか、発明委員会を設置すること、教官等はその行つた発明を大学等の長へ届け出ること、国が特許を受ける権利を承継するか否かは、発明委員会の議に基づき大学等の長が決定すること、その他必要な事項を定めるものとする。

(3)発明委員会においては、透明性を確保しつつ、権利の帰属の決定が速やかに行われるよう、例えば以下のような方法により迅速で効率的・効果的な運営に努めること。

  • ア 必要に応じ、学部、大学院の研究科、附置研究所等の部局単位に設置すること。
  • イ 発明届等の様式を可能な限り簡便なものとすること。
  • ウ 発明の届け出があつた都度開催すること。
  • エ 必要に応じ、持ち回りによる審議を行うこと。
  • オ 緊急を要する場合には、学長等への届け出前に出願でき、事後の報告により、審査できるようにすること。

3 国が特許を受ける権利を承継した場合における特許の出願手続等について

(1)国が特許を受ける権利を承継した場合における特許出願等にかかる予算の配分及び執行について以下のとおり取り扱う。

  1. 文部省学術国際局長は、大学等の長の申し出に基づき、あらかじめ予算の範囲内で所要経費の配分を行うものとする。
  2. 配分の方法は次によることとする。
    • ア 年度当初に、学術国際局長より当該年度にかかる執行方針及び経費配分について通知する。
    • イ 大学等の長は、アにより学術国際局長から通知した経費配分等について、必要な場合には、関係書類を添付の上、追加配分等の申請を行うものとする。
    • ウ 大学等の長は、イの追加配分等を申請するにあたつては、出願、中間事務、維持等、当該年度中に必要な経費の見積等について、あらかじめ科学技術振興事業団の意見を求めるものとする。
    • エ 学術国際局長は、予算の範囲内で追加配分等を行うものとする。
  3. 大学等の長は、経費配分を受け次第、科学技術振興事業団に出願、中間事務、維持費にかかる事務手続きかた依頼する。
  4. 出願等にかかる契約及び支払いは、関係会計法規に従い、国立大学等が行う。

(2)国が特許を受ける権利を承継した場合における特許の出願等にかかる事務手続等については、大学等の長の依頼に基づき科学技術振興事業団において以下のとおり処理する。

  1. 国内出願等にかかる事務手続
    国が権利を承継した特許の特許庁への出願等にかかる事務手続については、大学等の長からの依頼に基づき、科学技術振興事業団がこれを行う。
    なお、昭和53年3月31日以前に大学等が特許庁への出願を行つた特許で、昭和62年4月現在出願中のものについては、大学等が引き続きその出願等に関する手続を行うものとする。
  2. 外国出願等にかかる事務手続
    • ア 外国出願等にかかる事務手続は、大学等の長からの依頼に基づき科学技術振興事業団が行う。
    • イ 外国において特許権の設定登録を受けた国有の特許権に係る外国特許行政庁に対する特許料(維持費)の支払のために必要な事務手続は、大学等の長からの依頼に基づき、科学技術振興事業団が行う。
  3. 特許権の実施に関する事務
    • ア 科学技術振興事業団は、専用実施権設定契約に基づく第三者に対する実施許諾等の事務も処理する。
    • イ 国立大学等が管理する特許権については、社会的要請等に即応して有効に運用及び処分を図るべき性質のものであることから、科学技術振興事業団に加え、大学等技術移転促進法に基づく認定を受けた技術移転事業者も必要に応じ適宜活用するなど、その実施の促進等に努めること。

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研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)