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大学等の国際的な産学官連携活動の強化について(参考資料)

2006年08月31日
 

1.産学官連携推進委員会 審議状況報告-大学等の国際的な産学官連携活動の強化について-【概要】

1 現状と課題

産学官連携については、第1期科学技術基本計画が策定されてから、様々な制度改正や体制整備が国主導で進められてきた結果、平成17年度の産学連携等実施状況調査結果によれば着実に進展している。

一方、国際的な産学官連携の状況を見ると、実績・ノウハウ・経験ともに少ない状況にあり、大学知的財産本部整備事業の実施機関(43件)を対象としたアンケート調査の結果からは以下のような課題。
 
海外特許の戦略的な取得や国際的な産学官連携のスタンス・ポリシーが不明確
海外企業との契約交渉・手続き、国際特許侵害訴訟等に精通した人材の不足
海外企業との交渉実務を担う事務処理・組織等の国際法務機能の不足
研究成果・知財情報の海外企業への情報発信の不足
海外特許の実態を把握し、海外出願の特許戦略を策定する人材の不足 等


2 国際的な産学官連携活動の強化の背景・必要性・意義

(1) 背景
「知的財産推進計画2006」においては、1大学発の基本特許を国際的に取得・活用することや、2海外企業との国際的な共同研究や受託研究などの産学官連携を推進するため、モデルとなる大学知財本部における国際機能を強化することが指摘されているほか、「イノベーション創出総合戦略」「経済成長戦略大綱」等においても、国際的な産学官連携の強化の必要性が指摘されている。

(2) 必要性・意義
大学等による研究成果には、長期間を経た後に実用化され、将来的に基本特許につながる可能性があるものが含まれている。こうした優れた発明を多くの発明提案から選別して、海外に特許出願し国際的な権利取得につなげていくことは、国際競争力の強化の観点や意図せざる技術流出を防止する観点から重要である。

大学等が海外企業からの受託・共同研究を進めることは国内産業にとって、例えば希望する企業が我が国の大学等を介在して、優れた研究成果を有する海外の有力ベンチャー企業と連携するなど国際競争力の強化を図る上で重要である。また、大学等にとっては、研究成果の向上や優秀な研究者の輩出など教育研究を活性化するとともに、教職員の契約マインドの向上が図られ、国内での産学官連携の深化などの効果も期待できる。


3 国内外を通じた戦略的・組織的な取組の強化

(1) 大学毎の「国際的な産学官連携ポリシー(仮称)」の策定
産学官連携をどう進めるかは各大学等の主体的な判断に委ねられており、国際的な産学官連携についても何ら変わるものではない。しかしながら、大学等の研究者の中には、大学全体としての戦略が不明確であること、契約交渉を担う体制が未整備であることなどから躊躇している実情もあるという。

間接経費等の財源を有効に活用し、国際的に権利取得するためには、海外特許出願の基本的な考え方など、財務担当等関係部局と連携しつつ、大学全体としての戦略を明確にしておくことが求められる。

このようなことを踏まえ、あらかじめ大学等としての国際的な産学官連携のポリシーを明確にし、文書として学内外に明らかにすることが望ましい。大学等においては、このポリシーに基づき、国内外の産学官連携活動全体を通じて、戦略的・組織的な取組を強化すべきである。

(2) 「国際的な産学官連携ポリシー(仮称)」を策定する上での基本的考え方
ポリシーの策定にあたっては、大学等の知の活用を通じた社会貢献としての役割を踏まえ、海外特許の出願など中長期的なコストを視野に入れたリスク管理に留意するとともに、オープン・イノベーションへの対応が大学等の教育研究の活性化に資する点と、大学等が公的資金等に支えられており、国民の理解と支援を得ることが重要となる点とのバランスにも留意する必要がある。

さらに、コミットメントを明確にし、厳格なスケジュール管理等の下に計画的に進めるなど研究マネジメント体制の強化や、研究支援者の十分な確保など研究サポート体制の構築に配慮することが重要である。

大学等においては、毎年、自己点検・評価を行い、その結果を積極的に社会に公表し、自らの戦略等のマネジメント体制について継続的に見直し・改善を図ることが望ましい。

なお、ポリシー自体は理念的なものに留め、海外特許の出願等の判断基準など詳細な取り決めについては内規などで定めることにより、多様で柔軟なポリシーを作成することも考えられる。


4 今後取り組むべき施策等

(1) 国際的に通用する知財人材の育成
海外研修等を通じ、大学知的財産本部における国際的に通用する知財専門人材(科学技術に詳しく、海外での侵害訴訟や契約に精通し、経営に明るく、国際的に通用する人材)を育成・確保するための取組を支援することが必要である。

(2) 国際法務機能の強化と紛争予防
大学知的財産本部において、共同研究契約書等の書類の英訳など事務処理体制を整えるのみならず、弁護士、弁理士等の外部専門家を活用した契約・交渉や契約書の作成など組織的な支援体制を整備することが必要である。このことは、国際的な産学官連携を進める上で生じる紛争リスクを回避するためのマネジメント体制の構築という観点からも重要である。

(3) 国際産学連携・情報発信機能の強化
諸外国における海外企業の研究開発動向等を踏まえて、当該海外企業にアプローチを行い共同研究を推進するため、海外企業をターゲットにリエゾン活動を行う人材を大学知的財産本部に配置することが必要である。

(4) 海外特許の戦略的な取得と出願支援の強化
効率的・効果的な海外特許の出願や取得を行うため、諸外国における特許事情等に明るく海外特許戦略を策定できる専門家を大学知的財産本部に配置することが必要である。

大学等からの申請件数が増加していることを踏まえ、支援件数の増加など海外特許出願経費の支援を強化することが必要である。

(5) 地域の大学等を支援する産学官連携のためのネットワーク(場)の形成
費用対効果の観点から、海外企業との契約・交渉などの国際機能の強化等に対して独自で人材や資金を充てにくい大学等が存在することや、大学等における成功・失敗事例等については、大学間で共有化することが重要であることから、地域の大学等における国際産学官連携に関する共通的な事務を補完するとともに、有益な情報を共有化するため、ネットワーク(場)を形成する必要がある。

なお、国では、共有特許の扱いの各国での相違点、米国バイ・ドール法の留意点など先進的な内容について調査研究を行い、積極的に情報発信することが大切である。

(6) その他
大学等は、研究者に対して、外為法をはじめ各種法令に基づく規制内容について周知することが望ましい。



概要図(PDF:324KB)