産学官連携基本戦略小委員会(第4回) 議事録

1.日時

平成22年6月10日(木曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省東館 3F2特別会議室

3.議題

  1. 大学等の特許の戦略的活用について
  2. TLOの在り方について
  3. 産学官連携基本戦略(仮称)の骨子案について
  4. その他

4.議事録

 

午後14時59分開会

【西山主査】

 それでは、定刻となりましたので、ただいまから産学官連携推進委員会の産学官連携基本戦略小委員会の第4回目を開催いたします。
 本日は、オブザーバーといたしまして、科学技術振興機構の菊池部長及び島田副センター長、そして東京大学の西村先生にご出席をいただいております。後ほど島田副センター長及び西村先生にはご説明をして頂くことになっております。
 初めに、委員の出欠確認と配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

(山﨑技術移転推進室長補佐より委員の出欠、配布資料の確認)

【山﨑技術移転推進室室長補佐】

 欠席のご連絡をいただいておりますのが柘植主査代理と森下委員のお2人でございます。

 続いて配付資料の確認をさせていただきます。資料の議事次第をごらんください。4の配付資料でございますが、4点ご用意させていただいております。まず、資料1は17枚物の両面になっており、大学等の特許の戦略的活用に関する参考資料。資料2は、科学技術振興機構からのご説明ということで、知的財産戦略委員会での議論についてのご紹介というようなことで、両面13枚の資料になっております。資料3-1が産学官連携基本戦略小委員会の調査・検討状況報告の骨子案でございまして、両面10枚物になっております。枝番の3-2は、これまでの小委員会における主な意見ということで、1枚物を用意しております。資料4は、小委員会のスケジュールについてということで1枚物を用意してございます。
 なお、机上配付資料ということで、後ほど東京大学の西村先生からご説明いただきます「日本における技術移転機関の産学連携関連活動に関するパフォーマンス調査」ということで、両面10枚物になってございます。なお、本資料につきましては、会議終了後、回収させていただくことになってございますので、ご了承いただきたいと思います。

 資料は以上でございます。何か資料の不足などございましたら事務局までお申しつけください。よろしくお願いいたします。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 それでは、早速、議題1に入ります。議題1は、大学等の特許の戦略的活用についてです。大学等の特許の戦略的活用について現状の確認もう一度行い、今後の課題を整理しようと思っております。

 事務局から資料の説明をお願いいたします。

(渡辺技術移転推進室長より資料1の説明)

【渡辺技術移転推進室長】

 それでは、お手元の資料1をごらんいただけますでしょうか。大学等の特許の戦略的活用に関する参考資料でございます。まず、大学等の知的財産活動の状況について説明させていただきます。資料の2ページをごらんいただけますでしょうか。大学等の特許出願につきましては、出願件数が平成15年度から19年度にかけて増加してきてございますが、知的財産戦略が量から質へと移行してきているということもございまして、平成19年度より若干減少傾向にあるというところでございます。なお、中ほどの表にございますように、大学等の国内特許出願のうち、海外にも出願されている割合、グローバル出願率は約25%で、ほぼ横ばいとなってございます。これは右の表にございますが、欧米よりも低い水準となってございます。
 続きまして、3ページをごらんいただけますでしょうか。分野別の出願件数の状況でございます。大学等の特許出願はライフサイエンス分野が一番多くなっており、続いてナノテクノロジー・材料分野が多いとなってございます。特に右下の円にございますように外国出願ではライフサイエンス分野の出願が約半数を占めているという状況になってございます。
 その次のスライドでございます。4ページでございますが、共同出願についてでございます。共同出願は国内出願・海外出願ともに過半数を占めています。左下のグラフにありますように、近年、国内出願・海外出願とも共同出願の割合が増加してきている状況にございます。
 続きまして大学等の特許の保有件数の状況でございます。国内特許・海外特許ともに、左下のグラフにありますように増加傾向でございます。保有特許に占める共有特許の割合、右下のグラフでございますけれども、やはり国内特許・海外特許とも増加傾向にあるという状況になってございます。
 続きまして資料の6ページでございますが、大学等特許の実施許諾件数、左下の表にございますが、国内、海外ともに増加傾向でございます。同じ実施許諾収入も国内、海外ともに増加傾向にあるというところでございます。しかしながら、平成20年度のトータルにおきましても、我が国全体の大学等特許の実施許諾料収入は10億弱程度ということにとどまっているというところでございます。
 続きまして7ページをごらんいただけますでしょうか。大学等の特許の平成20年度の実施許諾の内訳でございます。左下の表にございますように、大学等特許の実施許諾の内訳のうち、譲渡件数というのが全体の23%になってございます。その1件当たりの平均金額というのは24万円ということでかなり低い数字になってございます。ただ、この左側のライセンスというものの内訳を右側の円グラフに書いてございますけれども、このライセンス料の内訳といたしましては、契約時に受け取る、いわゆるイニシャル・ロイヤルティというものが50%以上となってございます。そういったことに対しまして、いわゆる不実施補償というものはわずか2%程度にとどまっているというところでございます。
 続きまして、大学等特許の国内特許の実施許諾の技術分野別の実績でございます。こちらはやはり下の表を見ていただきますように件数、収入ともライフサイエンス分野の割合というのが非常に多いという状況になってございます。
 次の9ページでございます。外国特許の実施許諾につきましては、実施許諾件数に占めるライフサイエンス分野の割合というのが50%弱という左下の円グラフのとおりでございますが、国内における実績よりもライフサイエンス分野でのライセンス活動が活発であるという状況でございます。さらに実施許諾料の収入の占めるライフサイエンス分野の割合というのは、右下にございますように過半数を超えているということで、ライフサイエンス分野の実施許諾料は他分野よりも多額ではないかということが類推されるところでございます。
 続きまして、大学等の知的財産権の経費でございます。これは左下の表にございますが、大学等が負担している出願料、審査請求料、特許料、弁理士費用等の経費につきましては、ここ数年増えてございますが、おおよそ25億円程度となってございます。それに対してこの右下の表でございますが、これはかけた経費に対してどれだけ実施許諾料収入を得ているのかということを単純に比較したものでございます。したがいまして、特許実施許諾料収入から左の表に出てございます特許等出願取得にかけた経費を比較したものでございます。これを見ますとやはり大学等の特許の取得・維持経費は収入をはるかに上回っているということでございまして、今後はどのような発明について特許権において経費をかけて取得していくかというのは戦略が必要ではないかというものでございます。
 ただ、しかしながら、この収支の比較は非常に単純に比較したものでございますので、左の表というのが、その当該年度におけるかかった経費でございます。それに対しまして右側の表で実施許諾料収入というのは、過去の努力によって特許化されたものがその年度に収入になったというものでございますので、単純には比較するのは難しいのではないかとは思ってございます。
 続きまして、年度ごとの大学等からの特許出願の状況でございます。この下の表は文部科学省が実施しておりました戦略展開プログラム実施66機関を対象に2009年3月31日、平成21年の3月末現在の状況を調査したものでございます。見方といたしましては、それぞれの年度に出願されたものが平成20年度末にどのような状況になっているかというものをあらわしたものでございます。したがいまして、平成16年度の欄を見ていただきますと、平成16年度に出願されたものが20年度末にどんな状況になっているか。赤が未審査請求の段階のもの、黄色が審査請求済みのもの、薄い水色が審査開始済み、その隣の青が特許査定済み、右が既に譲渡されたものという内訳になっているところでございます。こちらを見ていただきますと、平成15年度に大学等に知的財産本部が整備され始めたわけでございますが、それ以降に出願された特許の大半というものは、まだ審査結果が出ていないということが見て取れます。
 したがいまして、特許審査から見た大学等保有特許の質を議論するにはまだもう少し時期が、時間がかかるのかなと考えてございます。しかしながら、審査請求というものは出願後3年以内に行うということになってございますので、大学等からの出願のうち、最終的に審査請求がなされなかったものの割合というのが、この16年度と17年度の33%と41%ということになるわけでございますけれども、こちらは平成18年度まで国立大学法人からの出願に係る審査請求料が免除されていた時期においても、民間企業が34%ということでございますので、それと遜色がない、もしくは少し高いぐらいということでございますので、実際、出願したものを審査請求するに当たっては、ある程度選別が行われてきたのではないかということが類推されるというところでございます。
 続きまして、こちらは民間企業、特に計測装置関連とナノ素材関連の民間企業に対してアンケート調査を実施した結果でございまして、左下の表が大学等の特許に対してどんなイメージを持っているかというアンケートでございます。こちらにつきましては、大学等の特許の将来性については高く評価されているものの、そのままでは大学の特許は使いにくいという意見が多いということでございます。また、複数の特許を集約する特許群というものの情報について利用したいかということにつきましては、多くの企業が興味を持っている。特にその右下の表にございますが、提示した特許群のモデルに対して、大企業よりも規模の小さい企業がより関心を示したというデータになってございます。
 それから、近年、大学等からの海外への特許出願が増加してきてございます。今後、海外での権利行使が必要な場面が出てくるものと思われる状況でございますが、しかしながら、この下の表にございますが、米国における特許訴訟コストでございます。この右側の軸が損害賠償金額の規模でございますので、大体2,500万ドル、約25億円程度の規模の裁判に関しましては、訴訟費用が大体5億ぐらいかかっているというような表になってございます。そのほかの別のソースのデータを見ましても、米国における訴訟の平均的な費用や欧州における平均的な費用が出てございますが、比較的高額であるということで、仮に海外で訴訟を行うということになった場合には、大学等で負担するのはなかなか難しいのではないかというところでございます。
 続きまして、大学等関係者を対象とした調査結果によりますと、大学等の特許出願活用戦略については事業化を想定した特許網の事前構築が必要。戦略的な研究・特許出願・ライセンス活動の推進が課題。基本特許のみならず、周辺をカバーすることが重要といったことが課題として挙げられてございます。
 次に、政府からの提言は少し飛ばしまして、こういったことを踏まえまして大学の特許の活用に係る諸課題としては産業界側から見た場合でございますか、大学等の特許の多くが基礎レベルでピンポイントの技術であって、そのままでは事業に結びつけていくことは困難ではないか。それから、企業にとっては企業側のニーズを広くオープンにして、こういう特許が必要だ、みたいなことをオープンにしてシーズを探索するというのは他者にその戦略を明らかにしてしまうことになるのでなかなか難しいということもあるのではないかということでございます。大学側の事情といたしましては、個別大学などの成果だけでは特許のパッケージ化やポートフォリオの形成は困難ではないか。それから、大学等特許の多くは基礎レベルであり、その実用化に期間を要する中で特許の維持管理費は大きな負担になっている。
 それから、大学等が長期間にわたり特許権を保有していても、特許侵害に対処する体力に乏しいといったことを踏まえますと、課題解決に向けて方向性としては大学等特許の戦略的集積・活用や海外特許の取得や海外侵害対応の支援でございますとか、大学等の研究者に対する知的財産意識の啓発といったことなどが考えられるのではないかというところでございます。
 続きまして、大学等保有特許の活用向上に向けた取り組みでございますが、次の18ページの特許の特許群管理のところにつきましては省略させていただきますので、後ほどごらんいただければと思います。
 次に、19ページでございますけれども、平成21年7月に産業革新機構というものが産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法に基づきまして、株式会社として発足いたしました。その主な業務としては、その革新性を有する事業にリスク資金を供給することで産業革新を支援するということでございますが、その支援対象の中に先端基礎技術ということで、企業や大学に眠る特許や先端技術の知的財産を集約し、有効活用しようということなどが出てございます。この産業革新機構の仕組みでございますけれども、国から平成21年度で820億円の出資がされております。さらに企業などから85億円の出資がされています。それに加えて左上にございますように、金融機関等に対する政府保証枠が8,000億円ということで、政府のバックアップなども受けつつ、産業の革新を図っていくということで、具体的には左下にあるようにファンドに出資をしたりとか、直接企業などに出資をしたりするということで、こちらは15年の時限組織となってございます。
 次のページでございますけれども、産業革新機構の当面の投資の方向性という中に、左上にございますが、先端技術の結集・活用ということで、複数大学と連携し、関連する知的財産をプール化、組み合わせることでライセンスや事業化を促進するということで、知財ファンドということで複数のテーマ、領域ごとに知財ファンドを組成、支援することを検討中と伺ってございます。こういった状況を踏まえまして、今後の論点といたしましては大学等の特許の質を向上させるために何をすべきか。大学等が保有する特許を有効に活用していくために何をすべきかといった論点がございますので、ご検討いただきたいと思います。

 以上でございます。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 続きまして、科学技術振興機構の知的財産戦略委員会でのご議論につきましての紹介について、科学技術振興機構の島田副センター長よりご説明いただきたいと思います。

 島田副センター長、よろしくお願いいたします。

(島田副センター長より資料2について説明)

【島田副センター長】

 科学技術振興機構の島田です。どうぞよろしくお願いします。私どもは去年の4月に知財センターというのを設置しまして、委員会を設けて活動を行っております。それについてご紹介させていただきたいと思います。
 知的財産戦略委員会という形で理事長の諮問機関で、委員の先生、有識者の先生に入っていただきまして議論を進めている。それから、組織としては知財センターという組織を置いて、阿部博之先生にセンター長になっていただいてございます。私は事務局で取りまとめを行っているという立場でございます。委員の先生ですけれども、委員長は阿部先生で、ここにお示しするような、いわゆる有識者の先生に入っていただいております。本小委員会の先生としましては、例えば秋元先生ですとか、渡部先生とかにも、私どもの委員会にも入っていただいております。
 それから、6ページの論点のところですけれども、いろいろな点で、幾つか議論しているのですが、本日ご紹介するのは大学等における特許の管理、それから、活用についてということでご紹介させていただきます。
 7ページに幾つかグラフが載っております。左上で大学が特許出願されるようになって、毎年1万件くらい出願されるようになりました。それから、右上の棒グラフで、しかしながら、お金、コストが非常にかかるようになってきている。特に出願費用、青いところですけれども、これがかかるようになって負担が大きくなっている。それから、左下ですけれども、相変わらず80%ぐらいがなかなか未利用の状態で残っているというような状況にございます。
 それから、コスト削減について大学は努力しなくてはいけないのですけれども、まず、そのやり方として、この8ページの左下の横の棒グラフなのですけれども、出願を絞り込む。出願の時点で絞り込むようになったという結果が得られております。それから、さらに右下の円グラフですけれども、審査請求のときには絞り込む。いいのを残したいというような動きが見られます。
 それから、9ページに行きまして、さらにコストを減らすために特に棒グラフに出ていますけれども、企業と共願で出すような場合、出願人としては共願なのですけれども、お金は企業に持っていただくというようなことで削減を図る。特にこれは外国特許につきましてかなりの部分、こういうようなことでお金がかかりますのでコストの削減の努力を行っているということがあります。ただし、あまり企業に持っていただき過ぎると、大学の場合、性格として実用化までに長期間を要するような基本的なものがありますので、それが維持されなくなるおそれがあるのではないか。それから、特定の企業とあまり密接にやってしまうと、当該企業以外のところへの技術移転の可能性が制約されるおそれがあるということです。というような問題があるのではないかと考えております。
 それから、今度はその活用することによって増収を図っていくという動きも見られまして、ポートフォリオ化という言葉が出ていますけれども、1件1件単独で持っていてもなかなかうまく利用できないということで、複数の特許を合わせ、自分の大学が持っている特許だけではなくて、複数の大学がうまく協力して相補うみたいな形でポートフォリオ化して特許群として活用していく動きが見られます。それから、下のほうに科学技術コモンズという言葉が出ていますが、これは私どもJSTの平成22年度の新規の施策として予算をつけていただいており、これは特許の質を高めてより活用しやすくするというような制度で、年度後半から今立ち上げに向けて作業をやっていますけれども、そういうのを利用していただいて活用される特許のクオリティーを高めて機会を増やすというような取り組みをやっていただけるといいのではないかということで議論しております。
 それから、11ページ目のグラフは、管理・維持体制の整い具合いの状況なのですけれども、右上の棒グラフを見ますと国立大学では機関帰属にすると決めていまして、それなりの組織、体制が整備されているという状況にありますが、左下の公立大学、それから、右下の私立大学は機関管理ということは決めているのですが、まだ必ずしもそれを受ける体制が整っていない。特に私立大学においてはなかなか、それは非常に厳しい状況にあるというようなことが見て取れます。
 私どもの活動としまして、大学等との意見交換会を進めておりまして、ニーズをきめ細かにお聞きして、いろいろ答えていきたい。あるいは提言に盛り込んでいきたいというのがありますので、ここにお示ししたような形で頻繁に意見交換を行っています。通常は事務レベルというか、いわゆる課長、部長クラスでやるのですけれども、時には大口の大学さんなどとは双方の役員クラス、大学で言えば副学長さんとか、私どもで言えば担当役員クラスというような形でも意見交換をして、大学のニーズをお聞きしているというようなことをやっております。
 それから、16ページに行っていただきまして、今、議論していただいて提言をまとめている最中なのですけれども、例えば大学に対して1からずっとありますけれども、JSTは特許評価を支援するということをやっています。それから、外国出願も支援している。それから、新技術説明会のようなものを開いて積極的に活用の場を設けている。それから、場合によっては大学が手に負えないような場合にはライセンスに対して依頼があればご協力をするというようなことで、これは既存の政策としてやっているのですけれども、引き続きこういうことは進めていきたい。
 それから、青い字のところが新しい部分になるのですけれども、科学技術コモンズという新たな施策が今年度から立ち上がりますので、こういうようなところに積極的に大学さんが持っている特許を出していただいて、活用を図っていく。その活用の仕方として、例えばポートフォリオ化するとか、それから、特許の質を高めるとか、そういうようなやり方で考えております。それから、さらに私どもだけの力ではうまくいかないような場合もあると思いますので、そういう時には外部機関として産業革新機構さんというようなのが組織として去年立ち上がっていますので、技術のリスクをとるというような活動をされていると聞いていますので、こういうようなところも利用してやっていきたいと考えております。
 それから、18ページ目に、これは私どもの制度のご紹介になりますが、技術移転センター事業ということで、総額で約23億円ぐらいの予算なのですが、これでいろいろなフェーズできめ細かく対応しているということがあります。それで、19ページ目に大学特許強化支援制度ということで、出願前の段階で特許相談をしたりとか、人的な支援を行ったりとか、こういうようなことでやっておりますので、こういうような制度はぜひ利用していただきたい。
 それから、実際、出願する段階、特に外国出願なのですけれども、費用がかかりますので、外国特許出願支援制度というのがありますので、こういうのもぜひご利用いただきたい。毎年800件ぐらいの外国出願を支援しているということがございます。
 それから、これも迅速、きめ細かい対応ということで努めているのですけれども、6つのブロックに分けまして、20ページですが、専門的な職員を配置しましてご相談に伺うとか、個別のやりとりに応じているということがございます。特に今後、本部を減らして地方の要員を増やしていきたいと考えております。
 それから、これは実績ですけれども、2,746個の発明、海外出願ですね。支援しておりまして、アメリカが約1,000件、ヨーロッパが558、中国238、こういう数字が出ております。
 それから、大学が望む項目ということで、アンケートとかいろいろ打ち合わせをさせていただくと、発明の評価を行ってほしい。それから、先行技術調査を行ってほしいというようなニーズが大きくなっております。それから、これは少し細かいのですけれども、同じように審査請求の可否判断をしてほしい、明細書をチェックしてほしい、出願の可否判断をしてほしい、あるいは発明の評価、先行技術調査、発明の発掘、特許戦略の策定、こういうようなところにニーズが高くなっております。
 あとは、さっき出てきた群で対応するというようなことで、複数の特許を束ねる形でやる。ライセンスに対応していくというようなことも今後積極的に取り組んでいきたいと思います。

 以上でございます。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 それでは、事務局と島田副センター長の説明をあわせてご質問、ご意見おありになる方からお願いいたします。

【秋元委員】

 1つは質問なのですけれども、事務局からの資料1で、5ページの左のグラフで、大学等の保有特許の推移というのは、これは17年度から20年度にずっとかけて、これは加算されているというふうに考えていいのですか。単年度ではなくて。

【渡辺技術移転推進室長】

 はい。

【秋元委員】

 これは引き算してやれば単年度が出るのか、あるいは放棄しているというのがどこかに出ているのか。

【渡辺技術移転推進室長】

 そういうことになります。委嘱したものもあれば、譲渡したものもあると思いますので、今、にわかに出ないのですけれども、この左下のグラフというのは、その年度において大学等がどれだけ保有しているかという状態を示したものです。

【秋元委員】

 これまでは確認だけなのです。次に質問なのですけれども、独法化されて大学が権利を持つようになった。まだ5、6年ですか、そのぐらいしかたっていないわけですね。そうすると、このデータの中でライフサイエンスの分野が非常に多いですよね。ということは、そのぐらいの期間ではほとんどは成果が出ない。最初のイニシャル・ペイメントぐらいの問題であって、実際、ライフサイエンスの製品が出るというのは10年、15年かかるわけですよね。だから、その辺を踏まえて、やはり分野別にある程度考えられたほうがいいのではないか。一律にまとめてしまうと、さっき言った1件二十何万円とか、そんな程度で最初のペイメントだけですから、成果というのはもう少し長く考えなければいけない。
 たとえば、産業革新機構もご存じのように15年続きますよね。あれはもともとライフサイエンス、厚労省で考えてできてきたわけなので、そういう意味では大学のライフサイエンスの特許出願が非常に多いということであれば、その辺の考え方をもう少し、数字としてはこれでいいのですけれども、もう少し長く見てやられたほうがいいのではないかなと思います。
 それからもう一つは、JSTの島田さんの話をお聞きして、19ページで非常に評価できることは、発明のところで特許相談であるとか、そういう最初の評価をする。これは今後、いい研究成果を特許にしていくというところで、従来よりも非常に改善されているのではないかと思います。そのときの議論に出てきていなくてこの絵が出てきてしまっているので考えていただきたいのは、発明があって学内評価をして、国内出願して、一部海外出願する。ただ、海外出願か国内出願かというのは、これはそのときにあわせて評価したほうがいいのではないか。基盤的な研究はむしろ海外出願を先に出したほうがいいのではないか。
 それで、最近ではJSTさんも一部外国出願のほうを先に出しておられるので、絵もそういうふうに考えられて、国内出願と海外出願はどちらをよりよく考えたほうがいいのかということをここで十分議論しなければいけないし、それから、先ほどライフサイエンスの話になりましたけれども、ライフサイエンスのマーケットシェアということを考えたら、日本は9%で、アメリカがほぼ50%近くあるわけですね。そうであればライフサイエンスの研究成果をどこに出すかというのは、ここの国内出願、海外出願のところを同時に評価して、どっちにするのだというような絵にされたほうがいいように思いますが。

【島田副センター長】

 貴重なご意見、ありがとうございました。おっしゃるとおりで、特に戦略的な重要な科学技術みたいな、例えばiPSとかいろいろな超伝導関係とか、そういうのが立ち上がりつつありますので、特にそういうような場合などは、そういう対応が真っ先に必要になるのではないかと思います。検討させていただきます。

【西山主査】

 よろしいでしょうか。ほかにございますか。どうぞ。

【南委員】

 質問して伺ってもよろしいですか。私は特許とかあまり根本的にわかっていないのでかなり素朴な疑問なのですが、この資料1の13ページに特許訴訟の平均的な費用というのがあるのですが、このアメリカと例えばイギリスでは10倍のオーダーで違いますよね。それから、ドイツ、フランスになるとさらにそれより小さい桁になっているのですが、これはつまり、特許というものの考え方自体が非常にアメリカ的な文化といいますか、そういうものだというふうな考え方なのでしょうか。このオーダーの違いは何を意味していますか。教えていただければ。

【渡辺技術移転推進室長】

 それは事務局からで、こちらは調べさせていただいたところで、データは得たところなのですけれども、なぜこれだけ違うかというところまでは、その資料のほうにも書いてございませんでしたので、もし実務的なところから竹岡先生からコメントをいただければと思うのですが。

【竹岡委員】

 代理人の費用が全然違いますよね。それから、システム自体が、ディスカバリーなど手続負担が大きいという部分もありまして、必然的にその代理人に、訴訟とかになっていくといろいろなことを頼まなければいけない。基本的にタイムチャージ制なので、どんどんお金が出ていくということですね。

【南委員】

 よろしいですか。

【西山主査】

 はい。

【南委員】

 私がそういうことをお尋ねする理由は、私は特許を専門的に全然わからないので、明瞭な答えがいつもできないのですけれども、この特許という考え方自体がものすごくアメリカ的な考え方に基づいているものではないかというような疑問の声というのが一方に常にあるんですね。つまり、エイズの新薬にしても、非常に高価なもので新薬が幾ら開発されてもなかなか途上国のほんとうに困っている方に行かないというような枠組みが世界にはあるわけで、そういうことがこの特許制度自体の持っている宿命みたいなものではないかというようなことをよく聞くのですが、そういうことと関係があるのか思ったものですから伺ったのですけれども。

【西山主査】

 どうでしょうか。どうぞ。

【秋元委員】

 最初の質問と今のご質問について、私の知っている範囲でお答えしますけれども、先ほど竹岡委員が言われましたようにアメリカの訴訟制度と日本の訴訟制度は完全に違う。日本は書類を出したり、口頭弁論を幾つか重ねていけばいいのですが、アメリカの場合にはディスカバリーとかデポジションというのがありまして、例えば製薬企業が訴訟を起こすとすれば、すべての資料を全部出す。ですから、1つの訴訟になると段ボール100箱以上、トラック何台分かあります。それをすべて弁護士さんが読んで、そしてそのデータを集めてデータベースをつくって訴訟をやるということになります。デポジションというのも関係者を呼んでそれぞれの意見を聞く、質問をするというやり方をしますので、ものすごい時間がかかります。竹岡委員が言われましたように弁護士さんの1人の費用が1時間5万円とか10万円しますから、1つの訴訟をやると年間5億から10億は軽く飛んでしまいます。日本はせいぜい1,000万とか2,000万ですから、その違いがまずあるということになります。
 それからもう一つ、最後のエイズのお話ですけれども、確かに知的財産というのは先進国でつくったもので、それでガチッと固められてしまうと発展途上国になかなか行かないということがありますが、エイズの話は例えばナミビアであれば実はそこには特許権がないんです。そして、それを製造する技術もありません。というのは、製造する技術のないところに特許を出す必要はないわけです。でも、そこにほんとうにエイズの患者さんがたくさんいる。どうしたらいいかというようなことで数年前にWTOの閣僚会議で、そういうほんとうに困ったところには特許権ということとは関係なしに、例えばインドとか、そういうところに特許権があったとしても、そこで安くつくって、そういうところに届けるというようなことについては特許権の除外というか、そういうような形で処理されております。
 したがいまして、特許がなくてそこで製造する技術もない。一方、中程度に発展した国というか、インド、中国とかブラジルとかそういうところは自国の産業を、医薬品産業を育成したいという考えから、エイズとかそういうところに後進国――後進国と言ったら怒られますが、そういうところに薬を提供するために特許権を除外して強制実施できるようにしろという意見があって、そこのせめぎ合いがあったためにWTOの閣僚会議で、先ほども言いましたように、そこに提供するだけのものを製造することについては、これは構わないというような政治的な配慮で決着がついたと思います。ですから、単に特許権があるなしという問題ではなくて、そこに製造する技術がない。あるいは特許権があるけれども、自国の産業を発展させたいために、そこに供給するだけでは当然商売になりませんから、ほかのところにも提供できるような形にしたいというようなせめぎ合いで決着がついたと考えております。

【竹岡委員】

 意見よろしいでしょうか。

【西山主査】

 どうぞ。

【竹岡委員】

 たしか第1回目の、渡部委員の資料にも出ていたのですけれども、基本的には日本の産学連携が「共同研究」という整理をして、ですから、成果が共有特許になる。ところが、アメリカのようにスポンサードリサーチで大学単独特許になるというところと根本的に違う。これは法的にはものすごく大きな違いです。それを一緒に比較するということ自体が、あり得ないだろうと思っています。共有特許をどう活用するかという、その苦しみがやっぱりあります。基本的には、私、秋元委員のおっしゃったように、まあ、たかだかまだ5年ぐらいではないかと。今、制度整備してやっと走り始めて5年とかで、まだ結果などできないよというところをベースにして、今までやってきたこと自体は肯定的に一応評価をした上で、しかし、この5年たって1つの区切りの中で見えてきた問題というのを今議論するところかなと思うんです。全否定ではなく。
 それを前提として少し言いますと、要するに共有特許というこの仕切り自体を前提とするのであれば、それはもともと共同研究先に技術移転をする。そこが活用するということを想定しているわけですね。ノーマルにそう行っているものもたくさんあるわけですね。ところが、そういかなかったものというのがあるわけですね。ここが問題なわけです。つまり、共有特許を出したのだけれども、相手方が実施しない。実施しないとき、どうなるかというと、じゃあ、第1回目のとき渡部委員がおっしゃった、アメリカなどは大学単独特許ですから、ベンチャー企業への実施件数がすごく多い。ところが、日本のように共有特許になると、共有の相手方の企業が「うん」と言わない限り、それはできないわけですね。日本の特許法では、第三者へのライセンスは共有の相手方の同意が必要ですから。こういう場合、もちろん共同研究契約では、一応「同意しなければならない」とか書いてあるんですけれども、実際問題は相手方が「うん」と言わないときに強制的に、例えば訴訟を起こすなどということはしませんし、強行突破して相手方、ベンチャーに例えばライセンスするなどということもしませんので、結局、塩漬けになるわけです。これをそういうときに大学に戻すとか、大学側に譲渡するとかいう仕組みを考えてもいいのではないかというのが1つ。
 今度は、逆の話で、企業側への共有特許の譲渡件数が比較的多いというのも、これは逆のパターンで、これは分野によってはポジティブに評価してもいい。特に情報通信とかエレクトロニクスのように、「群」としての特許出願が常態、という中で「1個の特許がどの程度か」みたいな世界のときはそうだし、もう一つ、今の海外出願にどこまで大学がつきあっていけるかという部分もあって、譲渡してしまったほうが活用されるだろうという場合もあるのだとすれば、それもありだと。問題は、じゃあ、譲渡したからといって、ほんとうに何にも活用しなかったら、また戻す仕組みだってあったっていいわけだし、そこのところを、戻さなければいけないという意味ではないですよ、何も二律背反的にかたく、かたく考えるのではなくて、いろいろなフレキシブルがある仕組み、つまり、共有をそのまま維持しなければいけないという、そういうような前提にあまりこだわらないほうがいいのではないか。共有特許をいかに活用するかということの仕組みは、今、5年たった段階でいろいろなパターンを考えてもいいのではないかなというのが1つです。
 2つ目は、根本的な問題としてやはり先ほどから出ているのですが、ブラッシュアップの問題だと思いま、大学の特許の。これはなかなかいかんともしがたい問題だと思っています。大学だけで頑張ってくださいというのは、大学レベルを落としていきますと、その研究室で頑張ってくださいという話、その研究者が頑張ってくださいの話になって、とてもではないけれども、組織的にはできないわけですよ。これをどうするか。例えば周辺特許を固めていくとか優先権の期間中にどんどんブラッシュアップするとか、その辺は企業さんの力を借りるほうがほんとうは一番いいのだろうと思います。それをやってもいいと言うかどうかというのが1つあると思います。私はブラッシュアップの効率性という面から考えたら、企業にお願いするのが一番いいなと思っています。
 ただ、余りにもドラスティックな意見だとすれば、次の議論として、例えばこのJSTさんの大学特許強化支援制度というのが、これでいろいろ支援をしたものの実施許諾の割合というのが高い。つまり、ライセンスに結びつく割合が高い。これをもっと進めていろいろな大学さんの、地方の国立大学さんとかいろいろなところ、あるいは私立大学さんとか、そういう特許のブラッシュアップをどこかでお願いをする。そこでブラッシュアップをして、かついろいろな大学さん、特許を群として組み合わせてみたいなことを、機能をどこかが、ちゃんとやったほうがいいなと思っています。その制度設計としてはJSTさんもあるし、あるいは中核的な幾つかの地域の大学が連合して、どこかの大学が頑張ってやるというやり方もあるでしょうし、まあ、それはやり方はあるのだろうと思うけれども、とにかくそれをやる仕組みとして考える時期に来ているのではないかなというのが2点目です。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 どうぞ。

【渡部委員】

 今の話も含めてなのですけれども、これで先ほどの文科省のプレゼンテーション、10ページですか、大学の知的財産活動の収支、この絵だけがひとり歩きすると事業仕分け確実みたいな感じになってしまうんです。多分、これはそういうふうに見るべきではないということを3点お話ししたいと思いますが、まず今回冒頭から分野別に分けて、出願数とか、ライセンスのパフォーマンスとか出していらっしゃるわけですけれども、先ほど秋元委員も言われましたけが、分野別で分けたら分野別で収支を考えたほうがよくて、例えば2004年以降の法人化の知の出願であれば、これは製薬企業で2004年以降の発明が今キャッシュフローを生んでいるかというと、それは現実に無理ですよね。そういう意味では、ここはライセンスだけで比較すればという結論です。これはむしろあり得ない。イニシャル・ペイメントだけということになりますし、それからもう一つは、材料などだともう少し時間が短くはなりますけれども、でもやっぱり少し厳しいでしょうね。材料系の機能材料のほんとうにいいやつは、普通10年ぐらいかかりますね。
 それからあと、情報通信のほうはずっと足の短いのも入っていると思いますが、それは特許の使われ方のスキームが根本的にライフサイエンスとかと異なっていますので、これについてはまた全然違う見方をしなければいけない。特に情報通信とか、こういう世界になりますとオープンイノベーションというような考え方というか、いわゆる特許権もアライアンスのために使うとか、プールするとか、それこそIBMなどがやっていらっしゃるパテントコモンズというのは、あれは別にドネーションではなくてやっぱりビジネスの面もあるのですが、見かけ上は開放しているわけですね。ということは結局あそこに入った特許というのは直接収入に結びつかないわけでありまして、それについて幾ら収入があったかと聞かれても困りますよという世界で使われていく可能性があるものですから、これもまたそこは見方を変えないといけない。そういうようにここを途中まで分野別に言ったのであれば、ここの活動の収支みたいなものも、そういう見方をすべきであるけれどもということで課題を考えたほうがよろしいのではないかということが1点です。
 それから、今、竹岡委員が言われましたように共有特許権の問題というのは、日本は特殊です。特殊というか、海外の方が日本の産学連携、テクノロジー・トランスファーで、ほんとうによくわからないので教えてくれって結構ありますが、私もよくないのは、英語でいっぱい書いているので、海外のほうで説明することが多いのですが、欧米と日本の特徴的な違いというのは、一言で言うと特許の1件1件の価値が全部共願に飲み込まれていくという構造です。これも少し時間をかけないと説明しにくいのですが、基本的に、そういう意味ではこの10ページの収支の絵というのも、インプットしている特許の費用というのが結果的に大学には共同研究費で入ってきているような、そういう転換が行われているわけです。ですから、特許の中では共願があるからそこがほんとうは出てくるはずだということになるのだけれども、いろいろな事情で不実施補償の問題とか、日本の法律の問題とかいろいろなことでそこが出てこないわけですね。これをどういうふうに考えるか。
 さらに言うと、そもそも企業の特許というのは、特にこのライフサイエンス以外のところに関しては、未利用がほぼ半分なわけです。企業自身の出願している特許の未利用がほぼ半分。これ、未利用という表現はしないでくれと企業の方はよく言われるのだけれども、防衛特許というのもそういう意味では使っているのか、いないのかというのは明確にはわかっていない。ただ、将来コンペティターにわたることがやっぱり懸念されるというようなものも含めると、積極的に使っていないというものが半分なわけですね。そういうところに入っていってしまっているということで、この収支はそこの中まで見ないとほんとうはわからなくなってしまうというとい問題があります。そういうようなことを少し整理していかないといけないのだろうと思いますが、さらに言うとこれも大企業と中小企業で、これも冒頭1回目のときにやりましたけれども違っていて、特に大企業の場合は今言ったような傾向が強いということなので、この10ページの表の見方は、ぜひそういうようなブレークダウンを今後していく。その分野ごと、それから、共願という構造の中でどういうふうにこの評価をしていくかという課題が存在していると考えていただきたいと思います。

 以上です。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 私のほうからですが、先ほど共有特許について竹岡委員がおっしゃったことには賛成です。大事な点は、特許というのは何も、権利を保護するということだけではない。本来は産業を振興するための手段としてつくられているということですので、死蔵されているような特許は本来ならば望ましくない。死蔵されている状態であるのであれば、竹岡委員のおっしゃったように大学へ戻すのも手だし、あるいは他社でだれかやる人が出てくれば、そちらのほうに移していくのもよい。そういうのが実はほんとうに大事なことで、それが運用と制度を国として考えていく時代に来ていると思います。産業を振興するための特許なのですから、ただ持っているだけでは意味が無いですし、ほかがやりたいというのに出さないのも問題です。だから、本来はそういうことについての運営を上位概念として考えた中で特許権者も保護するというふうにしていかなければいけない。
 もう1点の質問は、まだこの辺だというのだけれども、事務局の2ページ目で、量から質へ移行すると断定的に書いてあるのだけれども、何を根拠に質に変わったということが言えるのでしょうか。

【渡辺技術移転推進室長】

 先ほどJSTの資料のほうにもありましたように、大学等のアンケートなどをとりましても、確かに平成15年度以降、知的財産本部が整備されたということを契機にして、まずは特許出願を増やさないといけないというような雰囲気が学内にも結構あったと。そういうことを見直しして、特許というのはコストがかかるものだということを認識して、大学の中で戦略を変えたという意見というのは結構、大学を回っている中でいろいろ声に聞いてございます。

【西山主査】

 そうするとやっぱり、状況証拠ですよね。特許自体の質を評価することが、本来必要なのではないでしょうか。はっきり言えば状況証拠のような感じを受けます。

【石川委員】

 よろしいですか。今の議論の幾つかに関して現場から少しだけ補足しておきます。まず、竹岡先生がおっしゃったものなのですが、特許だけを切り出して議論するのはあまり得策ではなくて、研究成果をどう活用するか。西山委員がおっしゃったのと同じなのですが、そういう観点で見る必要があります。ですから、特許だけということはないのですが、ただ、大学の技術というのは実用されることを高く望んでいるものですから、東京大学のすべてとは言いませんが、一部の契約は、もし共願の相手先が実施しなければ、何年かたった後に大学へ戻すという条項を必ず入れています、必ずというのは、ある部分に関しては必ず入れています。この間、中間評価をしたときにそれを入れていない、それを全く考えていないような大学があったので、それに関しては少し心配かなという気がします。これは交渉事だから、相手がだめだと言えば入らないのですけれども、そこはいろいろな交渉の中で議論していく形になると思います。
 それから、譲渡に関しても同じでありまして、譲渡してしまったときにいろいろな危険性が出てきます。こちらも努力の範囲なのですが、譲渡してもランニング・ロイヤルティをもらうとかという交渉は必ずやります。結果としてそうなるかどうかはまた別問題なのですが、一応はおねだりしてみるということは常識問題としてあります。譲渡の場合の危険性は何かというと、安い金額で譲渡したのが万が一爆発したときに、その会社がどう説明するかという問題になる。その会社が変な説明をされますと、大学は利益供与という責を社会から受けるということになりますので、それに対するディフェンスは必ずとってあります。50万円で譲渡したのだけれども、相手が何億円ともうかったときに、大学はそれをわかっていてやったのではないかという疑いをかけられるのが嫌なものですから、それに関しては必ずディフェンスをして、このディフェンスの内容はいろいろなのですけれども、やります。ですから、そういった問題に関しては、大学でもよく考えてやっているということはご理解いただきたい。
 それから、最後に西山委員がおっしゃったように、というか、質問に答えられたように、特許の出し方が大分変わってきました。東大などはずっとマーケットモデルといって活用の可能性をもとに出願していたので、もとから数は制限している。ただ、大学によっては大分違う運用をとっていた大学があって、それが何とはなしに収束してきたかなというのが今の現実だと思います。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 では、三木先生。

【三木委員】

 手短に。実は大学の特許に対する物の見方をもう一度きちっと整理しておく必要があると思います。産業界の側でいきますと、当然、特許は、先ほど主査の言われたとおり、産業に使うということが目的なのですけれども、大学の場合はイノベーションにつながるかもしれない技術シーズを見える形にして権利化しようという、こういう考え方が非常に強い。そうすると、その段階ですぐに経済効果につながるというのは、まだまだ先が遠い。そういう形で特許出願を日本の大学はしている。その中で、先ほど渡部先生も言われたように、次のステージに進めようということで共同研究に持っていくということが非常に多いのです。ですから、実施料収入の話だけではなくて、特許がきっかけになって共同研究がどう動いているのか。それがステージアップをしていっているのか。この統計は絶対に分析する必要があると私は思っています。
 それから、大学発ベンチャーなどの場合には、大学でももうビジネスの武器にするということで最初から考えているのはあるわけです。ですから、そういったものはわずかながら少なくともある。そうすると、中小企業さんは実は早くビジネス武器が欲しいわけですよ。そうすると、先ほどの12ページに規模の小さい企業のほうが大学の特許が1個ずつでは役に立たないけれども、群になったら使えるかもしれないと考えていると思います。そういったところにあるわけですね。ですから、中小企業向けという観点で言うと、特許群をどんどん活用して出口に近いものをどんどん出していく。これは国の政策として、私はやったほうがいいと思っている。
 それから、大企業の場合は少しニュアンスが違っていて、長期的な投資という観点があります。ただ最終段階では私はもう6、7年前から譲渡主義者なので、ライセンシングよりも最終的には高い金額で譲渡をするということを、大学として真剣に考えていく時期に来ていると思うんですね。そういう大学の特許に対する考え方、それから産業界がそれぞれのセクターも階層がありますので、それぞれの階層別に分けてしっかり分析しておかないと、何となくエモーショナルな話になってしまうような気がしています。

 以上です。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 それでは、議題2のTLOの在り方について、西村先生よりご説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。

(西村先生より机上配布資料について説明)

【西村先生】

 皆様、こんにちは。東京大学の西村と申します。よろしくお願いいたします。本日は、私からこちらの産学官連携戦略展開事業の一環といたしまして、私どもが委託を受けました日本における技術移転機関の産学連携関連活動に関するパフォーマンス調査というものの報告を差し上げたいと考えております。そのため、必ずしも特許の活性化だけの議論ではなくて、今まで第1回から委員の皆様がご議論いただいていた話とかなり重複する部分もあると考えておりますのでご理解ください。また、傍聴の方々には非常に恐縮なのですけれども、本発表は多分にまだ発表していない、公開していない資料が含まれてございます。そのため、お手元のほうに資料はございません。決して私がおくれて出したわけではないのですけれども、こちらは6月の下旬ごろには発表資料が文科省からWebサイト上で公開されることになってございます。また、今報告書も作成を続けておりますので、内容の詳細に対してはこちらのほうをご高覧いただければと存じます。
 まず、こちらは皆様ご存じかと思うのですけれども、TLOの歴史について、特に承認TLOの歴史について記載をしております。1998年から2009年までで青は大学、黄色は会社組織、そして緑は財団組織で、中に書いているのが数字でございます。このように年度を経ていろいろな承認TLOが追加されているわけなのでけれども、2003年、法人化の直前では外部機関が26、内部機関型が6となっていたものが2009年には内部型が大幅に増加して17、外部型は微増で30となっております。
 これはご承知のように、例えば2007年、こちらの知財本部整備事業で立ち上がりました知財本部関連というものが、こちらで一気に承認TLOとして生まれ変わったというか、名前を変えたようなものも1個にはございまして、この1998年から2004年に至るまでと2004年から2009年現在に至るまでというものは、承認TLOの歴史というものは大きくかじを切ってございます。こちらはデータにもかなりきちんとあらわれてございまして、承認TLOが関与した特許出願件数の推移で見ますと、2003年から2004年にかけてはこの出願件数は落ちているのですが、2006から2007に関しては、いわゆる大学の内部型の承認TLOというのが増加した結果、6大学がこちらのほうに名を連ねた結果、出願数が大きく増えたという形であらわれてございます。
 今回の調査の目的なのですけれども、当然承認TLOですとか、別のTLOのパフォーマンス評価に関しましては、こちらにいらっしゃいます渡部委員をはじめとして、多くの先行文献がございます。しかしながら、今申し上げました承認TLOの多様化というものに伴いまして、やはり法人化前ですとか、知財本部整備事業実施のときのそちらとの比較といった単純なものはなかなか難しくなっている。そうなると、現在のデータ、今々のフレッシュなデータを用いて、現状は一体何なのだという分析をいま一度するとともに、業務遂行のための助成の在り方についても今の形というものを検討する必要があると思いまして、こちらの研究をいたしております。特に、私どもはこれはデータがそちらが多かったというのも正直あるのですが、やはり市場への貢献度というものを意識した形での分析というものをしてございます。
 使用いたしましたものは、こちらのほうに書いております文部科学省さん、経済産業省さんの各省が保有している、もしくは一緒に調査をしたデータになっております。正直、この4年度、使用してボラティリティー、経時変化というのを見たかったのですが、悲しいことに、これは各年で全然データの項目数ですとか、それぞれの定義の在り方が異なっておりまして、正直、これは4年度の比較というのができませんでした。ですから、そのあたりの議論は来年度以降に譲る形にさせていただきたいのですけれども、今回、基本は平成19年度、20年度のデータをもとに分析をいたしまして、平成17、18に関しては参考データとして使用しております。また定量調査だけではなくて、定性といたしまして全部で16の承認TLO、そして7の産学連携本部ですとか、会社組織等にヒアリングを行いまして、合計23の箇所に定性調査をいたしまして、この定量と定性の双方からこちらの研究をしております。
 まず、パフォーマンスデータを用いたこちらの指標なのですけれども、今回、Key Performance Indicator-KPIツリーとして考えました。このようにこちらの利益というものから考えますと、利益というものは支出の項目もございますけれども、ライセンス収入、非ライセンス収入が分かれまして、非ライセンスは例えば会費とか、助成とか、業務委託とか、その他のもの、そしてこのライセンス収入というのは、継続件数というものともリンクしておりまして、1件当たりの収入ですとか、あとは業務開始件数ですとか、発明届出件数等々にこのように分類されていくかと思われます。ここでそれぞれのパラメータを見てみますと、こちらの青いところ、我々は投入フローと呼んでおりますけれども、この投入というものに関しては実はこの黄色、緑との相関関係はございませんでした。しかしながら、こちらの赤、私どもは付加価値化と呼んでございますが、こちらに関してはこの黄色、そしてこちらの黄色、そしてこちらの緑という、こちらは収入、資産、こちらは利益としてくくっておりますけれども、こちらに関してはすべにおいて相関関係がございました。
 つまり、こちら側の投入フローというのは、例えば人といったものですとか組織の維持といったものに有効であろうと。そして、こちら側の付加価値化というのは、必ずしも投入フローが増えたから増えるものではなくて、やはり創意工夫というものが必要になってくるフローであろうと考えております。したがいまして、今回は、こちらのピンクで囲っております7つというものを取り上げさせていただきまして、クラスタ分析をまず実施しております。その中で正規化後の指標が4割未満、つまり、活動がそれぞれ余りにもパフォーマンスが低いものというものは、あえて低活動型というふうに除外をさせていただきまして、それ以外のTLO、nイコール25ですけれども、こちらに対してクラスタ及び分散分析を実施いたしました。
 そちらの結果がこちらになります。統計的には優位なのですけれども、まず、1からご説明申し上げます。まず、1にクラスタリングされたのは3つのTLOです。これは付加価値化と言われる、先ほどの私どもが申し上げたフロー、資産・収入・収益のパラメータがどれも高いタイプになっております。ちなみにこのライセンサー、余りにも皆様、幅があったのでログでとっています。対しまして、こちらの2番目のところは収益性・業務委託重視タイプと名付けたTLOが6つございました。これはライセンス収入はそれほど高くはないのですけれども、これと比較して、あくまでも比較なのですが、非常に収益性というものを意識しておられる。そして、取り扱い発明届出件数が多いのですが、実は業務委託の継続件数ですとか、開始件数というのはあまり多くないようなタイプになっております。
 そして、3つ目はライセンス活動重視タイプとなっております。これは黒で見づらいのですけれども、ライセンス収入はこれぐらいまで上がっているのですが、それ以外のこの項数というのでしょうか、それ以外のパラメータが極めて低いもので、こちらが11TLOございました。また、最後に国・自治体からの助成金が多いというものが5つございまして、これはこちらの助成金というところが突出していて、あとはさほどでもないというような形。そして、最初に分離させていただきました低活動型のTLOというものに分かれます。
 こういう分析をいたしますと、例えばここで支出というところで人件費がどうなっているのだとか、いろいろなご意見をいただくので、それぞれ分析を、それぞれのクラスタリングをしてみましたところ、結論から申し上げますと、こちら側が総数で内部型と外部型、そして外部型の中で広域か単一か、もしくは会社組織が財団かというものに分けさせていただいた結果、多少この2に関しては内部型が多いかなとか、外部型、ライセンス活動重視タイプは外部が多いかなというものはありますが、極端なこのタイプは内部型だけとか、これは外部型だけというのはございませんでした。特に低活動を見ていただくと、17の中で6が内部、外部が11、これはほとんど比率と一緒でした。
 これらの定量の結果をもとに私どもはライセンス活動の現状等の項目を中心として、こちらだけは16分の9、ヒアリングをさせていただきまして、あとはそれぞれにばらけた形でヒアリングを実施しました。その中で各大学、こちらは基本的には報告書の中でも、これが一体どこに、どの大学が属しているかというものは記載しないということになっておりますが、もしご自身の大学でご興味がありましたら、それはおっしゃっていただければ、ご自身の分だけお伝え申し上げたいと思います。また、それぞれに関しまして各承認TLOのほうから許諾を、内容の中身まですべて含めて許諾を得た4つの事例を紹介申し上げたいと思います。
 まず、東北テクノアーチさん、TTAさんなのですけれども、ここでざっと見て特筆すべきは、この成約率であると思います。受託率、発明届出件数から評価の受託をしてくださいと言われた受託率は、この2004年からほとんど変わらず、そして活用率もほとんど変わっていないにもかかわらず、成約率というものはどんどん上がってきているというのが大きな特徴になっています。ご承知のようにTTAさん、東北大学、その他の大学といろいろと課題を経て現在に至るわけなのですけれども、結果として現在、大学との信頼関係というのを維持して、しかも、その独自組織を持つという意識が非常に中のマネジメントの方々に強いということがわかりました。また、若手の話、これはずっと人材の話がこの後も出てくるのですけれども、こちらは3年間かけてシニアがなしておられた業務を若手移行期間として3年設置して、今年の2月の末に若手にすべて切りかえが成功しております。その結果、アソシエイトもすべて若手、そしてマネジメントのほうはシニアという形で採用、そして育成というのをかなり意識してなさっておられる組織でございました。
 TTAと申しますと、やはり脳トレの話が出てくるかと思いまして、こちらのほうに全体を、余りにもここが小さくて見えないのですけれども、ボーンと出ているものを紹介させていただきましたけれども、こちらに関してはやはりいろいろなご意見があると思いますが、私どもはホームラン案件であると考えております。これはライセンス活動による収入では必ずしもないですが、やはり大学側から透明性のある産学連携を行うため、つまり、契約のごちゃごちゃしたものをちゃんとひも解いてくれという協力要請があったがゆえに対応してホームランに結びついたものである。つまり、彼らの活動というものがこちらのホームラン案件のマネジメントに成功した結果、収益が生まれたのではないかと考えております。また、ホームラン案件を除いたものに関しましても、こちらをごらんいただければおわかりのように、実施料収入、加入額ともに順調に増加していることも挙げられます。
 次に事例2といたしまして関西TLOの例です。こちらは見ていただければおわかりだと思うのですが、最初にポーンと創設期ではねて、法人化等に伴いましてどんどんじり貧になっていって、ここで経営体制を刷新して、そこからまた大きく上がって、2008年に社内リストラが完了ということになってございます。具体的に実施した社内改革といたしましては、社員が、我々は大学の一部ではなくて独立した企業なのだというような意識をとったこと、そして外部のアソシエイトというものを廃止して、我々は自分たちの企業は自分たちで支えていくという意識をとったこと、そしてこちらでも若手ですね。キーはすべて若手になるのでけれども、若手をちゃんと育てるという意識を持って営業の前線に出したこと。そして、このあたりで少しぐちゃぐちゃしておりました大学知財本部さんとの関係というのを再構築することに尽力したこと等、あとは個人営業からチーム営業にして、若手を営業のほうに回して、バックのほうでプロフェッショナルというものが活躍するという形にした結果、2008年度の売り上げは前年度の2倍になったという効果が挙げられております。
 現在、複数の大学の技術移転というものを請け負っておりますが、彼らの意識といたしましては、技術移転というのは商売である。なので、商売人の意識を持った組織というものがやはりこの役割を担っていかないと大成しないという意見。そして、先ほどの委員の方の議論にもありましたように、川上・川下戦略ですね。ただライセンシングでこちらからあちらへ投げっぱなしではなくて、それを持ってくるついでに何の付加価値化をつけるのかという、このライセンス以外という意味でも付加価値化をつくるということを意識したプロデュースを実施するというのが彼らの意見で出ております。
 とはいえ、今この意識したプロデュースをどれだけできているかといったらまだまだということで、今後の課題はこれからいわゆる量から質への転換というのを図らなければ、大成していかないだろうというのが第1点。そして、それ以外にも挙げてございますが、やはりコンプライアンス、ガバナンスの部分に関しては、いろいろと課題、問題がございますので、これから検討していくというふうに話しておりました。
 そして、事例の3ですが、こちらはもう既に解散したTLOでございます。たまたまというか、当該TLOの方々に対して複数ヒアリングを実施することができましたので、許諾を経てこちらのほうに記載してございます。こちらは知財本部とTLOが同時期に設立していたので、最初は補完関係があったんですね。しかしながら、仕事のすみ分けが進むにつれましてやはり交流が減ってきて、隣のオフィスなのですけれども、相乗効果というのは減少していった。そして、またこちらのいいことは、NEDOフェロー制度を使っているのですけれども、若手人材というものを2名、それぞれ2年、3年かけて育てて、その隣のオフィスである大学の知財本部の職員プロパーとしてちゃんとそちらに送り込んだという実績がございます。つまり、活動停止はしてございますが、この大学は知財本部にちゃんとこのTLOのナレッジを有している若手が入っているということは、非常に価値があるのではないかと考えております。
 しかしながら、まだ赤字になる前にこちらは解散を決意したのですが、一番の理由は収益の計画を立てる人材、そして知識がなかったことです。このままやっていっても収益計画を立てる人を探している時間というものが非常にかかってしまって、結果的には赤字垂れ流しになるのであれば、その前に解散しようといって解散に至っております。ここまで見ていただければおわかりだと思うのですけれども、この3のタイプの収益というものが極端に低いところというのは、かなりこれから問題になるのであろうかなと考えております。ちなみに、今年度末に事業停止をいたしましたTLOさんがいらっしゃいますけれども、全部こちらのクラスタの3に含まれております。彼らからの意見としては、やはり旧小規模大学には小規模大学なりのやり方があって、府省のほう、役所側がいわゆる旧帝大モデルというものをつくってしまうと、そこに追随せざるを得ない。もう少しそこは考慮してくれという意見がございました。また、人材問題が解決されなければ何を何度やっても長期的な成功はないということで、このあたりはぜひ中央で考えていただきたいというご意見をちょうだいしております。
 そして、事例の最後なのですけれども、千葉大学さんの例です。千葉大学さんはTLO組織、3年、後発組になるかと思うのですけれども、前に出ている数々の大学の事例をよく研究していらっしゃるようで、例えば収益の多様化ですとか、付加価値化ですとか、あと、おもしろいのが研究担当理事さんが機構長をやっていらっしゃって、産学連携担当理事さんではなくて、まさに研究そのものを考えるトップが、こちらの知財マネジメントのトップを兼任していらっしゃるというのも大きな特徴かと存じます。あと、コンプライアンスや利益相反に関してもかなり意識して、あと若手ですね。若手の人材を採るといったことで、今後は期待される大学、組織なのではないかと考えております。
 以上、簡単に申し上げて非常に恐縮なのですけれども、マネジメントの視点から判断した場合、十把一からげにこちらを見るわけではなく、そしてグループ1、3つしかないので、ここでは議論の対象にはしていないのですけれども、グループごとに2、3、4を見ていた場合にやはりライセンス活動に関する収入が高くても、この利益というのを考えた場合には必ずしも高くないようなところというのは、やはり経営の不安定さというのはありますし、このあたりはちゃんと考えていかなければならない。そして、経営効率の部分ではやはりグループ4というところは、助成金は今多いのですけれども、実は発明届出件数は多くない。したがって、助成金がなくなれば危ないというグループになっております。経営効率が非常に悪い。そして、先ほどから量と質の議論がございますが、実施許諾件数が増加して、これは継続件数が特に増加しないと増収にはつながらないので、ここはグループ2というものは、それを考えなければ1には行けないということになります。また、管理体制の強化というものもいろいろな課題がございました。
 これらを見た結果、基本の話なのですが、まず前提条件といたしまして、承認TLOの経営環境はべらぼうに厳しいと申し上げてよろしいかと思います。これは国内だけの話なので、海外と比べたときどうなのだといったら、現段階で成長軌道に乗るであろう、もしくは乗っているところはやはりグループ1と2の一部のみであって、そのほかというのは、今後、存続を危ぶまれる状態にあるのではないかと考えております。そうなってきますと、まず3、4から2に行くには、2から1に行くには、というステップを考えると、3、4から2に行くのは、当たり前なのですけれども、研究成果の母数である発明届出件数をどう拡大するか。そして、1件当たり収入をどうするか。そして今議論にもありましたが、非ライセンス収入の拡大をどうするか。そして、2から1に関してはやはり収益基盤の拡充というものがキーになるかと思います。
 それぞれに対して具体的に書きますと、このあたりのTLO間の合併、統合ですとか、事業連携というのは必須になってくるかと思いますし、あとやはり前回の高橋さんからのご意見でもありましたが、産学連携というのは大学内での連携というものが必須になっていますので、そのあたりの信頼関係も含めた強化は必要であろうと。そして、収入の向上に関してはフェアバリューの考え方。非ライセンスに関しては先ほどの石川委員等のお話もありましたけれども、その他の川上、川下の考え方、そして収入基盤に関してはやはり地域、国、横断的な営業力の強化等が必須ではないかと考えます。
 これを受けまして私どもから4つ提案をさせていただきます。まず1つは、最初に申し上げましたが、時系列の変化をどうしても見たかったのですが、現段階において国が有しているパフォーマンスデータに統一性がないというのは、いかなるものかなと考えています。それが1府省、複数の府省だけが有しているのではなくて、やはりこのような調査データをちゃんと共有していく必要は非常に多くあるのではないかと思います。資源を投入したときから利益を創出してまでの一貫した時系列調査と、そして検証というものが必須ではないかと考えております。また、これをやるのは定量だけではなくて、定性もきちんと踏まえた上で、いろいろなこの委員会だけではなくて、各学会や協会というものとの共有というのが必要になるかと思います。
 次に、これからTLOの広域化、専門化というのは間違いなく必要になってくると私どもは考えております。しかしながら、一方で地域ごとに区切るような話はやはり市場競争原理にはそむく形になりかねないのではないかと考えておりまして、慎重な検討が必要だと思っています。ここから先は仮になのですけれども、もし地域ごとの広域TLOをつくるといったことがあるのであれば、やはり助成をとにかく手厚くして将来的な保証を検討する。単純にお金の問題です。これがなければやる必要はない。そして、これも仮になのですけれども、もしそのような助成を実施するのであれば、今の既存のTLOの整理・統合という部分に対しても助成を-こんなところにお金をつけられないと言われそうなのですけれども、そういうものをしない限りはどんどん新しい組織ができて、それを潰さず人材が薄くなるのではないかと考えます。
 また、人材の話は、やはりこちらもお金のかかる話でございますので、なかなかデリケートな話でもあるのですが、他府省を巻き込んだ発展的な人材育成プログラム、これは1年間でも非常に有効だという多くの承認TLOさんからの声が出ていました。この見極めとか、特定業務育成とかも含めて人材育成の費用というものはやはりこちらの中央で検討すべき課題ではないかと思います。また、今既に皆様から議論が出てきましたので、私から特段申し上げる必要はないかと思うのですけれども、市場が育てるというか、まさにつくるといったステージ、特に国内に関してはまだつくるといったステージだと思いますので、単願特許の話ですとか、共同研究先へ優先、特許法改正の話ですとか、先ほど委員の皆様がおっしゃったような議論というのは、これからも活性するべきであると考えております。また、この府省たがらではなくて、跨いだ形でのプログラム実装というのも必要になってくるかと存じます。

 以上です。ありがとうございました。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 早速ですが、西村先生のご説明につきましてのご質問、ご意見。どうぞ、竹岡委員。

【竹岡委員】

 ありがとうございました。資料の8ページ目の承認TLOの形態別分類の中の5つのタイプの分類の中で、これは総数が最初のところに、今現在段階では外部型が30、内部型が17ということなので、数から言えば1対2ぐらいなのが普通だということを前提として考えますと、(1)と(5)は両方とも大体1対2ぐらいになっているので、これはおっしゃったとおりかなと思ったのですが、(2)(3)(4)については、例えば(3)(4)は1、4で、つまり、内部型は1に対して外部型が4倍、つまり、いかに外部型はライセンス収入に依存しているかということがよくわかる。あるいは補助金に依存しているのも外部型であるということもよくわかる。こういう意味でやっぱりこれは違うのではないかなというのは1つ思いました。
 それから、少しわからなかったのは、2番の収益性・業務委託重視タイプというのは、この前のページの7ページ目の赤なのでしょうけれども、この収益性・業務委託重視タイプというのは、要するに3)、4)に比べて業務委託というのは何をどう出ているのかというのがわからなかったので、そこをもう少し説明して欲しいと思います。多分、これは収入の話かなと思って理解して聞いていたのですけれども、どういうふうなことなのかということを詳しく。

【西村先生】

 ありがとうございます。まず、2)のの収益性・業務委託重視タイプというところなのですけれども、こちらは大学のそれぞれ詳細について、今回、全く申し上げてございませんけれども、かなり規模が大きい大学となっております。赤のところをごらんになっていただければおわかりかと思いますが、こちらは取り扱いの発明届出件数は非常に多く、継続件数ですとか、契約の開始件数は非常に少なく、しかしながら収益性は高いという少し変わったでこぼこを示していて、これは何かなと思ったところです。実は文科省さんたちが有しておられるところで業務委託の金額というものが記載されていないので、我々のプリディクションでしかないのですけれども、恐らく業務委託のお金を、つまり、国からでも会費でもないお金というものを大学もしくは他機関さんからいただいて、そちらのもとにこの収益というものが果たされているのではないかと考えています。また、取り扱い発明届出件数が多いということは、それだけ大学側が積極的にアクセラレートしているのかもしれませんけれども、一方で大学の規模が大きいという規模の範囲にもなるのではないかなと考えました。

【竹岡委員】

 発明届出に関する業務委託という意味ですか。要するに業務委託何とかと言っている、その業務委託の内容がよくわからなかったので、そういうふうに分類にされているじゃないですか。だから、これは推測して、多分、発明届出の件数がすごく多いということは業務委託量が多いのではないかという意味ですか。

【西村先生】

 はい。

【竹岡委員】

 わかりました。ありがとうございます。

【西山主査】

 よろしいでしょうか。ほかにございますか。どうぞ。

【渡部委員】

 これは多分、ここにもそう書いてあるのですが、TLOという分析単位がもうあまり意味がないんですよね。ざっくばらんに言うと、先ほど業務委託って、大学の何かの機能のここの部分だけやっているところと全部やっているところと比較するというのはあまり意味がなくて、恐らくその分離をするところまでで多分、終わってしまいます。2004年時点での、要はライセンス収入ということに対してTLOが組織的にどういうパフォーマンスとの関係を持っているかというのをやったときには、極めてきれいな結果が出ているんですね。というのは、逆に言うとライセンスという仕事は、先ほど言ったように非常に難しい仕事なのだけれども、きちんとやればできるというパフォーマンスに影響するような組織的な努力が効く仕事であったはずです。そのときにそのパラメータの最適値をとれば、実際は結構もうかったはずなのだけれども、そこに対して外部要因がいろいろ入ってきてしまったために非常に難しいように見える状況になっているということですね。
 これを何か見ていると、何かもうTLO法はやめたほうがいいとか、そういう感じになってしまうので、大学と一緒に見ていろいろ考えていかないといけないのだと思います。ただ、2003年時点での結論は恐らく今でも変わっていないのは、TLOのライセンス収入に対して何が効いていたかというのは、マーケティング重視の活動、これは非常に効きます。ちゃんとそうやってマーケティング重視の活動をやるかどうかは非常に大きくて、そこのバランスが崩れている、単に法務的なリーガルな仕事だけしていても全然収入に上がらないということと、それから、これも非常に重要だったのは、研究者との単位、大学とか研究者とのつながりが非常に強いということがすごく重要で、大学の技術って不確実な外部性が高過ぎるので、それを単にライセンスしてそれで終わりというのは絶対ないわけですね。だから、その後もいろいろなつながりを維持しないといけないので、結局、大学から遠いというのはやっぱりパフォーマンスに影響してしまう。
 これは広域TLOの問題で非常に問題になるところで、ある程度の研究者の数がいないとこういう活動ができないのですけれども、そのために研究者との距離とか、大学との距離が遠くなってはいけないんですね。その辺を解決して、いい環境で仕事をしていただいてオーガニゼーション、パラメータがちゃんと効くようにすれば効果は上がるのだと思います。ただ、今いろいろな意味で複雑にしてしまったことをどういうふうに整理するかという段階にあるのだと理解をしています。

【西村先生】

 ありがとうございます。全くご指摘のとおりで、我々は知財組織というものを網羅的にいろいろ検討しようかと思っていまして、そのために公式データというのを必要として、このような委託調査という事業が始まったわけなのですが、結果といたしましては、やはり文科省、経産省さんともその承認TLOに関してはお金の部分まで含めてかなり押さえておられる。データを持っておられるのですが、それ以外のものに関しては、例えば特許出願件数とか、そういう知的成果のアウトの部分はあるのですが、インの部分ですとか、そのあたりの複雑な関係に関してはどなたもデータを持っておられない。したがいまして、一番リッチにデータがあるものに関して、今回は検討を行ったということになります。しかしながら、これから継続的な検討というのをしていく中では、承認TLOだからとか、ではないからとか、そういうのではなくて、もう少しおおまかなデータでもいいので、継続してそれ以外の組織もとらせていただいて、定性・定量、両方を踏まえた形で調査をしていく必要はあると強く感じました。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 ほかにございますか。どうぞ。

【飯田委員】

 1つ質問と、それから、もしされていなかったら今後検討していただきたいということがあります。特に広域TLOの問題ですが、TLO同士の間の連携のとり方というのをぜひ調査して欲しい。もし調査が済んでいるのであれば教えていただきたい。単純に僕らがTLO関係者と話をしているときに、実際にコネクションとしてあそこのTLOだとあそこの会社とコネクションがあるのに、と思いながらこちらの方の関係のTLOで話すと、あの会社あるいはTLOとは連携がとれません、で終わってしまうケースが多い。TLO同士でもっとうまく連携がとれるようになるとかなり大きな知財流通の流れが出てくるのではないかなという感じがします。
 それから、そういうTLOに限ってまだ動きが鈍い。もっと若手を入れて活動していただきたい。どうしてもコネクションのある方のみをTLOで採用して活動しているところが多いのではないかなと思うのですが、先ほど若手の方のTLOの話が出てきましたので少し安心しました。広域TLOの中での若手の割合ってどれぐらいになっているかというのは、まだ調査していませんか。

【西村先生】

 実はこっちの事業ではないのですけれども、特許庁さんのほうから少しだけいただきまして、こちらはすべての知財マネジメント機関、2005年から特許出願をしたことがあるところに関しての人材調査というのを既に終えておりますので、もしご興味がございましたら、またそれは後日、日を改めて報告申し上げたいと思います。今、うろ覚えで恐縮なのですけれども、承認に限らないのですが大きい知財マネジメント組織ほど20代の割合は大きいです。それ以外のところも全部一緒に言うと、20代と60代にピークが来てしまって、真ん中の40代、50代は抜けているという結果で良いか悪いかは分かりませんが、結果があらわれました。
 先ほどの広域TLOの連携の在り方ですが、我々、定性の調査の中でやはりこれからTLOが広域化、専門化という話になるときはどのように、あなた方でしたらどうしますかというのも含めていろいろな議論はさせていただいております。その結果、やはり出てくるのは人の顔が見えるかどうか。つまり、あのTLOだから、あのTLOにあの人がいるから、そこだったら話をしてもいいというところで、かなり抵抗感のレベルは下がるのだなということがある一方で、戦略的な非常に競争的な分野に関しては、広域TLO同士の連携というものはかなり皆様、身を引いていらっしゃるというような印象はございました。また、先ほど人が見えるというふうに、顔が見えると申し上げましたが、その中では30代の方が3名ぐらい挙がって実名も教えてもらったのですけれども、あとはシニアの方という状況にはなっています。

【西山主査】

 よろしいでしょうか。少し時間が押していますので、議題3に移らせていただきます。議題3は産学官連携基本戦略小委員会における調査・検討状況報告(骨子案)についてです。今までご議論いただいた内容をベースにしておりますけれども、それをベースとしての骨子案が、今、案としてできております。それを事務局からご説明いただきたいと思います。

(渡辺技術移転室長より資料3_1、資料3_2について説明)

【渡辺技術移転推進室長】

 それでは、お手元の資料3_1をごらんいただけますでしょうか。時間も押してございますのでポイントのみ説明させていただきます。こちらはこれまでの議論を踏まえまして事務局において本小委員会の調査・検討状況報告の骨子案としてまとめさせていただいたものでございます。
 まず、1番としてイノベーション・エコシステムの確立に向けた基本方針でございます。中ほどの丸のところにございますが、我が国が国家的観点、世界的な観点からサステイナブル・イノベーションを導き出していくことを目指して産学官連携のサイクルを効果的に躍動させていくため、イノベーション創出システムの構造改革が喫緊の課題となっている。こういった問題意識に基づきまして、一番下の丸でございますが、科学技術駆動型のイノベーションは基礎研究、研究開発、製品化、量産化に至るまでの一連のプロセスにおいて、国や地方自治体、大学等、公的研究機関、企業等のさまざまなプレイヤーが渾然一体となった活動を推進していく中から生まれるものであり、生態系システムのようにそれぞれのプレイヤーが相互に関与し、絶え間なくイノベーションが創出される環境、すなわち、イノベーション・エコシステムを醸成していくことが重要である。
 2ページ目の2つ目の丸でございますが、このためイノベーション・エコシステムの確立に向けて以下のような施策を短期(今後1~2年で実施)、中期(今後3~5年で実施)、短期・中期(今後1~2年で着手し、3~5年で本格的に展開)のスコープに分けて実施していくことが必要である。それで、1が産学官による「知」の循環システムの確立、2.大学等と民間企業との共同研究の戦略的推進、3.大学等における産学官協働機能の強化、4.大学等特許の戦略的活用、5.産学官連携を担う人材の育成。
 右ページの3ページをごらんいただけますでしょうか。図1に示してございますが、これらの施策を実施していくことによりましてイノベーション・エコシステムを確立し、大学等のシーズが市場に結びつくことなく死蔵してしまう、いわゆる「死の谷」を越える「明日に架ける橋」というものを築いて将来の価値創造に向けたシーズ段階と市場につながる実用化段階を結びつけることが必要である。その下の丸でございますが、上記の施策を実施していく際には人材育成、知の創造、イノベーションの3要素を三位一体で推進していくことが重要である。このため上記1~4の施策を通じて知の創造からイノベーションの創出につなげていくとともに、その過程を通じて産学官連携を担う人材育成が図られるようにすること。2、上記5の施策を通じて人材育成を図り、その人材が将来的に上記1~4の施策の実行を担うことにより、知の創造からイノベーションの創出のプロセスを支える人材基盤を確立していくことが重要であり、それぞれの施策がスパイラルに連携して展開していくことが必要であるとしてございます。
 こういった基本方針に基づきまして、5ページ以降に戦略的取り組みを記載してございます。1が産学官による知の循環システム確立といたしまして、今後、取り組むべき施策の1_1.産学共創の場の構築、これは短期・中期でございます。2つ目の丸ですが、同じ技術課題を共有する産業界、基礎的研究を行う大学等が対話を行い、出口イメージの共有を図りつつ、イノベーションの創出につながる戦略的な共同研究を効率的に生み出す枠組みを産学共創の場として整備することが必要であるということでございます。具体的には図2に書いてございますように、この産学共創の場におきましては既競争領域と競争領域の設定を的確に行って、産業界の技術課題の解決に資する基礎的研究の成果を共有するとともに、それぞれの企業戦略に即した競争領域の成果を得るための共同研究パートナーを獲得する機能を果たし、我が国のオープンイノベーション化を促進するということでございます。
 6ページの一番上の丸にございますが、産学共創の場においては、社会的に優先度の高い分野の技術課題を重点的に産学官が協働して解決していくことが必要であり、例えば環境・エネルギーに関する課題、健康・長寿に関する課題などの解決が考えられる。さらに一連の過程を通じて社会が求める人材育成を図ることが必要であるとしてございます。
 7ページ、1_2.公的事業投資機関との連携による実用化研究支援の強化(短期)でございます。こちらは大学等の研究成果をベンチャー等による事業化につなげていくためには、製品化や事業化を視野に入れた戦略的な研究開発とともに、製品化や事業化を進めるための当該ベンチャーへの投資が不可欠であり、これらの取り組みの強化とその円滑な連携を図る必要があるということで、省庁の枠を越えて公的事業投資機関、これは例えば先ほどご説明した産業革新機構などが考えられるわけでございますが、そういったところの活動と連携・協調した研究開発支援の枠組みを構築することによって、実用化研究支援を強化すべきである。図3にございますように、この枠組みのもとで大学等の研究成果の実用化を進めるベンチャー等が研究開発リスクを研究支援制度により低減させつつ、事業立ち上げのための経営上の助言と資金的支援を公的事業投資機関から受けることにより、当該ベンチャー等のより着実かつ迅速な発展を促し、大学等の研究成果の社会還元と新事業の創出を加速させていくことが期待されるということでございます。
 続きまして8ページ、2.民間企業との共同研究の戦略的促進でございます。2_1、出口イメージを共有した戦略的な共同研究の推進(短期・中期)でございます。共同研究の実施に入る前に大学と企業とが徹底的に議論を行い、最適な研究テーマを設定し、研究の方法、スケジュール、そういった共同研究のスキームの合意形成を行い、出口イメージを共有した戦略的な共同研究を推進していくことが必要である。
 9ページでございますが、2-2、大型の共同研究の推進に向けた取り組み(短期)でございます。大企業や複数の企業との大型の共同研究を推進していくためには、理工系分野のみならず、人文系分野も含めて分野を超えた研究者を結集し、独創的な研究開発戦略を策定し、ヒト、モノ、カネの戦略的な活用を全学的な視点で図っていくことが必要である。
 2_3、中小企業との共同研究の推進に向けた取り組み。こちらは都道府県の枠を越えてニーズに対応できる大学等やTLOの連携を強化し、大学等間の壁を越えて研究者の研究力を結集し、地域で生んだ研究成果を広域的に活用する地域発イノベーションを促進することが必要である。さらに中小企業においては、研究開発を担う人材の質と量に課題があるため、企業人材の研究開発力、研究マネジメント力、課題発見力等の育成を強化していくことが必要である。最後の丸ですが、大学等のマーケティング機能を補完し、中小企業のニーズを掘り起こし、中小企業への研究開発・事業化の資金を呼び込んでいくため、産学官連携活動における銀行、信用金庫等の金融機関との協働を促進することが必要である。
 10ページでございます。2_4、共同研究等に学生を参加させる際のルールの明確化。2_5、共同研究における人材交流の重要性。2_6、共同研究の間接経費の在り方の見直し。それから、2_7、共同研究の促進に向けたインセンティブの付与などについて記載をさせていただいてございます。
 続きまして12ページでございます。3番、大学等における産学官連携機能の戦略的強化ということでございますが、まず、3_1、産学官連携システムの抜本的改革に向けての調査・検討。それから、13ページ、3_2、大学等における産学官連携活動の自立化でございます。それから、3_3産学官協働ネットワークシステムの構築(中期)でございますが、こちらは2つ目の丸にございますように金融機関等の民間企業の情報力・コーディネート力等を活用しつつ、複数の大学等の強みを結集し、大学等、公的研究機関、TLO、金融機関、地方自治体等が有機的に連携する産学官協働ネットワークシステムを構築することにより、現行の産学官連携システムを抜本的に改革することが必要であるということでございます。具体的には図4に記載しているとおりでございます。
 14ページ、3_4、ソーシャルイノベーションに向けた産学官連携機能の強化でございます。
 それから、15ページ、4.大学等特許の戦略的活用でございます。こちらは4_1が大学等特許の戦略的集積・活用(短期・中期)ということで、具体的には16ページの2つ目の丸をごらんいただけますでしょうか。ビジネスの視点での公的事業投資機関との連携が重要であるということで、JSTにおいて重点領域における特許情報を収集し、技術的観点からの特許の分析・分類を行い、複数大学等のライセンスを調整し、特許のパッケージ化等の提案を行うとともに、パッケージ化された大学等の特許について大学等の特許権利者の承諾が得られた場合には、公的事業投資機関が出資する知財ファンドに紹介することにより、事業活用を促進することが必要であるということで、具体的には図5に示しているところでございます。
 それから、17ページ、4_2、グローバル化に対応した海外特許取得・海外侵害対応の支援。4_3、大学等の研究者に対する知的財産意識の啓発などについて記載させていただいています。
 18ページでございます。5.産学官連携を担う人材の育成でございます。これは5_1、産学官連携による人材育成プログラムの開発・実施ということで、19ページにございますが、人材育成に関して大学等と産業界との対話が重要であり、産学人材育成パートナーシップのような場を通じて大学等と産業界との対話を促進し、大学等における人材育成と産業界における人材活用にフィードバックしていくことが必要である。最後の丸ですが、産学官連携による優れた博士課程教育プログラムを構築し、世界で活躍する人材を輩出する優れた取り組みを実施するリーディング大学院の形成を重点的に支援していくことが必要である。
 5_2、リサーチ・アドミニストレーターの育成・確保で、2つ目の丸でございますが、研究開発に知見のある博士号取得者等の若手研究者を競争的資金の申請、採択後の進行管理、知財マネジメント等を行うリサーチ・アドミニストレーターとして大学等において雇用・育成することを支援することが必要。さらに全国的な研修プログラムやネットワークの構築などリサーチ・アドミニストレーターを育成し、定着させる全国的なシステムを整備していくことが必要ということで、具体的には図6に記載させていただいてございます。
 以上が事務局でまとめさせていただいた骨子案でございますが、資料3_2にございますように、産学官連携機構戦略小委員会における主な意見につきまして、それぞれの意見につきまして矢印に記載させていただいたところに記載させていただいたつもりでございます。

 以上でございます。

【西山主査】

 ありがとうございました。

 やや駆け足の説明ではありましたけれども、ただいまの内容につきましてご質問、ご意見ありますでしょうか。どうぞ。

【竹岡委員】

 基本的に、検討状況報告というものは政策を議論しているわけではないという前提なんですね。「ここに書かれていなければやらない」という意味なので全部書くという、そういうスタンスだということでしょうか。小委員会で議論しているわけですけれども、基本的には今までの施策を全否定しているわけではないと思うんですね。基本的に今までの施策は間違っているわけではないと思っているのですが、ただ、もう何年かたって、やはりまたいろいろ変えていかなければいけないところがあるとしたら、どこなのだろうという見方で今日も議論されているのだと思うんですね。ただ、そういうときは、今までこうで、次にこうするのだという書き方になってくるのでしょうけれども、これ自体はいろいろなことが書かれていて、逆にここに漏れてしまうと施策の中から落ちてしまうからということだとしたら、それは我々はそういう目で見なければいけないのではないか。議論されていなくても、当然のこととして、当たり前のこととして重要であれば書かなければならないのではないですか。そういうことなのかどうなのか、というのが1点目です。
 それからもう一つ、書き方としてよくわからないのは、読んでいて「必要である、必要である、必要である」。例えば「取り組むことが必要である」。それは必要ですよね。別に必要だということについては多分、だれも異論を言わないのだろうと思うのだけれども、大事なのは、施策なのであれば何をするというのが、書いていない部分、書いていないで「必要である」というのは単純な問題提起ですよね。だから、そこを読んでいて施策を言っているのか、これは単純にこれから施策を出すための問題提起文章なのかというのが読んでいてよくわからなかったのです。もちろん個々の内容についてはまたいろいろと細かい議論はできるのかなという気はするのですが、前提を少しお伺いしたいと思いました。

【渡辺技術移転推進室長】

 まず1点目でございますが、やはりここに書いてあること以外はやらないというスタンスではございません。これもまさに骨子でございますので、ご意見をいただきながらまとめていきたいと思ってございますけれども、最初に3ページに示させていただいたように、何をポイントとしてやっていくかということを考えたときに、この小委員会の中でも5つの課題というものを中心に議論してきたことを踏まえまして、この絵の中である、左にある1.から5.のようなことが主なテーマなのかなと。その主な課題に対してどういうことが必要かということをこれまでの議論の中でいただいた点、それから、事務局の中でデータなどに基づいてそういうようなことを整理させていただいたものでございます。したがいまして、これに書いていないことはやらないということでございます。
 それからあと、「必要である」という言い方をしているのは、これは実際に政府というか、文部科学省の文章という扱いではなくて、あくまで小委員会としてこういったことをまずは親委員会である産学官連携推進委員会のほうに報告していくということでございますので、こういったことが必要であるということを提言させていただくスタンスであります。ただ、反省点といたしましては、どこがやるか、やることが必要であるということが明記していないところもございますので、大学がみずからやることなのか、それは政府がやることなのか、そこら辺はもう少ししっかりメッセージを発するためには整理して書く必要があるかというふうに反省してございます。

【西山主査】

 竹岡委員、よろしいですか。

【竹岡委員】

 いや、まあ、納得はしていないですけれども、一応説明は分かりました。

【西山主査】

 今の竹岡委員の問題提起について、他の委員の方からご意見があれば。

 では、私から関連して少し申し上げたいと思います。このアイテムは全部出てきているという感じはだれもすると思います。抜けがあったとしても少ないと思います。それはそういう整理は1つはしておくことは望ましいのではないかと思うので、それを否定することはしなくていいのではないかと私は思っています。だけれども、ここでは、アイテム全部が併存しているわけです。したがって、まとめ方の段階で、これは私の全く独断と偏見の意見なのですが、今までもやってきているわけだから、今までやってきたことをさらにもっと強力に取り組むよという部分と、いやいや、これはスローダウンしていくよ、新たにこれを新しい施策として打ち出すよというものと、その辺のめり張りをつけた説明を要するなと思います。そういうふうにまとめた方がインパクトがあるように思いますね。特に新政権になっていますから、その辺がポイントだと思いますよ。

【竹岡委員】

 おっしゃるとおりで、例えば仕組みとしてこういうものをつくり出していかなければいけないという、すごく大事なことと、例えばこう言ってはいけないのですけれども、共同研究契約における学生の守秘義務などというのは当たり前のことですね。そんなの共同研究契約書でどうしているとか、各大学でそういう誓約書をどう取るかなどということは実務レベルの話ではないですか。それを同じ扱いで言うと、聞いているほうはわからなくなってしまうので、そこは先ほど読んだときの印象は、とにかく何でも言わなければだめなのか、施策に入らないからだめなのかということなら、それはもうしようがないのですけれども、そうではないのであれば委員長のおっしゃったように。

【西山主査】

 どうぞ。

【柳研究環境・産業連携課課長】

 ご指摘のとおりだと思っていまして、この最初の2ページのところに1.から5.まで並んでいますけれども、この中でも今回議論したものを順番に並べているところがあって、新しい施策としてまとまったものについては施策として今年度実施していく。その強弱が短期とか中期とか書いた中で出そうとしたのだろうけれども、そこがもう少し明確にわかりやすく、次、分類していく必要があると思っています。ただ1点、今、竹岡委員がおっしゃった共同研究、じゃあ、どうかといったときに、我々の認識として申し上げると、実は昨年、事業仕分けで廃止と言われた、例えばかつての戦略展開事業も個別の大学に対して毎年30億というお金を入れていて、いずれ自立化してほしいという議論をした中で、実は民間企業から大学に対して出されているお金というのは共同研究が基本です。そのときに共同研究制度がどういう形があるべきなのか、かつては受託研究という概念が日本の中であって、受託研究の場合には実は成果を全部大学側が取っている。そのかわり、ある程度必要な金は取る。その中で間接経費は30%取るという固定された概念の中で、ある程度個別の大学がその裕度を求めて共同研究という形をつくり出してきたのだと思うのですが、その中で共同研究というものがかなり大学によって扱い方が違っていて、それで実は共同研究というのは産学の関係をつくっていく一番基礎になっていくのに、そこがしっかりしていないとどんなに頑張っても、例えば以前、データでお示ししたように実は間接経費を全く取っていないというのが例としてもあって、そうすると共同研究をやればやるだけ大学の持ち出しが大きくなってきて、大学の事務部門は全く協力しないとか、実は共同研究を一生懸命やっているのに産も学も双方不満がある。
 そういったところを根本的に何か改善するような、例えば日本の場合、受託研究と共同研究とありますが、海外においてはスポンサードリサーチと言われるように、ある意味、全く共同研究という日本の概念を変えていかなければ、例えば海外からの研究を受け入れるということもできないのではないか。一番基本ではあるものの、そこは引き続き議論していく必要があるのではないかという意味で、すぐやるべきものと、まだ議論をしていって、根本に一番屋台骨、要するに白アリではないですけれども、気がつくとそこの土台を崩しているものなのではないかという認識もあって、そういったものはもう少し強弱をつけながら、まだ議論すべきものというのは分類しながらやっていきたいと思います。おっしゃるように、じゃあ、共同研究、すぐ何かができるかというと、すぐ施策に行くものでは…。

【竹岡委員】

 共同研究に学生を参加させる際のルールの明確化とか。

【柳研究環境・産業連携課課長】

 それは細かいメニューとして、実はそんな論点があるというだけで。

【竹岡委員】

 いや、それを反対しているわけではなくて、例えばそのルールの明確化の議論と、そのおっしゃっている、そもそも共同研究はいいのかという議論などというのは一緒というか、強弱なく並べられるということ自体が読んでいる側がわからないよねという意味です。

【柳研究環境・産業連携課課長】

 おっしゃるとおりだと思います。

【竹岡委員】

 別にそれをするなという意味では全然ありません。

【柳研究環境・産業連携課課長】

 もう少し強弱をつける必要があると思っていて、その意味で我々が思っていることがもう少し明確に出るように整理をして、先ほど西山先生ご指摘のように、変えるもの、このまま延長、力を入れていくもの、抜本的に何をやるかというのが見えるような形にしたいと思っております。

 以上です。

【西山主査】

 どうぞ。

【三木委員】

 今回のこの位置づけ、今の説明で少しわかってきたのですけれども、基本的に今議論されたことプラス、いつまでにということが非常に大事だと思います。6W2Hが全部モデルとしてできるものについては、特に重要な施策になるわけですね。そこが詰まっていないものは、当面、今は検討段階での施策になる。特に重要な施策とか、それから、今後、中長期的にはさらに検討を深めていく必要がある。施策に落としていく必要があるとか、それから、政府はどうしたいのかとか、大学はどうしたいのか。要は6W2Hをきちっと入れ込んで階層別に整理して、エクセル表で整理すれば非常にわかりやすくなると思うんですね。そういう作業が必要だと思っています。

【西山主査】

 ありがとうございます。

 どうぞ。

【渡部委員】

 これ、1の2つは結構具体的な何かプログラムというか、特に1_1はそうですよね。問題は多分、2と3のところが並んでいるのが、どういう思想で並んでいるかという話だと思うのですが、今回、きょうの議論でもありましたけれども、共同研究をやった成果の共願の取り扱い、譲渡やオプションをどうやって活用するかとか、そういうような話はやはり重要事項で、大学の共同研究の契約力とか、そういうようなものの強化と環境整備みたいなタイトルかなと思いますね。この3のほうに共同研究だけではなくて、ライセンスも含めた制度整備があるのだけれども、何か少し共同研究を中心とする大学の契約力強化と環境整備というような格好で2と3があるような感じを受けています。その2の中に少し細かいことまでいろいろ入ってしまっているので、そこを少し分ければ、そこはそういう分け方で全然違和感はないかなと思います。
 特に大学の場合は、今まで知財本部とかそういうところのスタッフは出願系の人が中心でやってきましたので、契約力は実はあんまり強くないと思うんです。これは民間でもほんとうに高度な契約をできる人はそんなに多くはないですけれども、そういうことをしていかないと、先ほど出たような議論でほんとうに特許の力を大学の中に還元していくとか、そういうことがなかなかできなくなっているのかなと。ただし、それは契約力だけの問題ではなくて環境整備の問題はあるから、環境整備というのは制度的な問題ですよね。共願の取り扱いとか、その2つが多分中心ではないかと私は思いました。

 以上です。

【西山主査】

 どうぞ。

【菊池部長】

 JST、名前がここに明示されているような、図の中に入っていたりしますので、かなりこれは具体的なイメージでおとりになるかなと思いますが、私どももまだこういう仕組みが機能すればいいなということでございまして、具体的にこれができるものかどうかというのは、これからまだ詰めていかなければいけないというところでございますので、この図の3とか5とか、このあたりにJSTが登場しているところもございまして、少し誤解を与えるとまずいかなということだけ少しコメントしたいと思います。

【西山主査】

 どうもありがとうございました。

 ほかに。どうぞ。

【澤井委員】

 わざと振った議論なのですけれども、この2ページのところの4.の大学特許等の戦略的活用というのがありますが、これは権利がありきで議論するのか、もう要らないようなものは全部捨ててしまったほうが、むしろ持っている人以外の、それの価値を認めて広がるからイノベーション促進には効くのではないかという側面もあるので、そういう観点もあってもいいのではないかなという感じがします。だから、さっきの三木先生の話で、大学で持っているもので渡してしまうという選択肢は全部そちらのあるものに渡すのだけれども、むしろパッと全部捨ててしまったほうが、もっと別の知恵が集まってくるという意味では、そういうやり方もあるのではないかというのがこの戦略的な活用の中に、あくまでも権利をホールドしているという前提では物を見ないほうが大学の場合はいいのではないかなというのは少しコメントで、それをやれという意味ではなくて、そういう面もいいのではないかなということです。

【西山主査】

 そのほかございますか。本日はこれで終了させたいと思います。次までにまたまとめていかなければならないと思います。そうは言っても、きょう議論して不十分だったところだとか、そういうことというのは、一応、骨子案が出てきておりますので、まとめ方の議論もありましたので、ご意見のある方はメールで6月11日までに事務局にご提出いただけることを望んでおりますので、よろしくお願いいたします。もちろん間に合わなければ、その後まだ7月9日もありますから十分間に合いますけれども、できる限りそのようにご協力いただきたいと思います。

 以上で本日は終了させていただきます。ありがとうございました。事務局、何かありましたか。

【渡辺技術移転推進室長】

 資料4をごらんいただけますでしょうか。本小委員会のスケジュールでございます。第5回につきましては、7月9日の13時から15時におきまして、産学共創の場の構築についての検討と、この本小委員会における調査・検討状況報告の取りまとめをさせていただきたいと思ってございます。

 以上でございます。

【西山主査】

 この7月9日が最終ですね。

【渡辺技術移転推進室長】

 はい。小委員会としては今のところ7月9日をもって一定の取りまとめをさせていただきたいと思います。ただ、それを踏まえて、今後、産学官連携推進委員会においてさらに今後の戦略などについて検討を引き続き行っていただければと考えてございます。

【西山主査】

 わかりました。

 それでは、どうもありがとうございました。

 

午後5時03分閉会

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)