資料2 科学技術・学術審議会 第6回基本計画特別委員会における主な意見(項目別整理)

○日時:平成21年10月1日(木曜日) 16時00分~18時30分
○場所:文部科学省第2講堂

<社団法人日本経済団体連合会、産業競争力懇談会(COCN)からの発表から>

【価値創造型アプローチの重要性】

○ 国際競争力強化の観点から言えば、今後は自社のみによる研究開発といった、1つの枠の中だけでやっていくのは厳しい。今後は新しい産業を創出していくためのシステムを導入すべきであり、これを価値創造型アプローチとして明確に提示した。我が国におけるこの担い手として、大学に期待。

【今後の研究開発の方向性】

○ 従来は組織と組織がやりとりをしてきたが、今後のオープンイノベーションを考えた時、個人単位となるだろう。良い研究や成果には個人が集まりコミュニティができ、今の企業体系とは異なる雇用やプロジェクト等の仕組みが求められるようになるだろう。企業や大学側にはこのような仕組みへの対応が求められる。

【国家的課題・パラダイムシフト】

○ 国家的課題としては、低炭素・健康長寿・安全安心といった、出口として第3期科学技術基本計画でも掲げたような社会・技術課題が想定される。また、パラダイムシフトとは価値観がある時点をもって急激に変わること。例えば、ものを沢山生んで大量に消費していくスタイルの市場経済からの変革が挙げられ、現在がその変化の節目に当たると考える。

<科学技術・イノベーションのためのシステム改革2(産学官連携、知的財産戦略、地域イノベーション・システム、研究開発成果の社会実装)>

【大学発ベンチャーの課題】

○ ほとんどの大学発ベンチャーが「物質1個だけで会社を作った」というスタイルであり、これでは事業が上手くいかない。事業に向けてどうロールアップしていくかという機能を持たせることが重要。

○ 知財は、誰がどう持つかということで価値が大きく異なってくる。個別に大学が知財を持つのではなく、大学横断的に戦略的に知財を集積してマネジメントする仕組みを構築すべき。

○ 日本の大学発ベンチャーはあまりにも早い段階でVC(ベンチャーキャピタル)を使いすぎ。米国のベンチャーの約9割は最終的には大企業とのM&Aという形に行き着く。最終的な出口の姿について、日本のベンチャーは、早い段階から計画を持つ必要がある。

○ 産学官のプラットフォームの推進とともに、Ph. DとMBAを併せ持つような触媒型の人材の育成・確保も課題。

【国際的な産学官連携の在り方】

大学発の知財に関し、十分ではない状態で特許出願され、それが格好の先端研究の知見として外国企業が利用しているという現状がある。専門家がサポートし、より有効な出願が出来るようにすべき。それが十分なされないままで、海外との共同研究を積極的に行うべきというのは無理があり、優れた特許の確保を前提に諸外国との共同研究を進めていくべき。

グローバルな特許出願が少ない最大の原因は予算の問題。国が予算の支援を行うべき。

研究費の流れに関する内外のインバランスについて、不均衡があるとすれば、分野毎の状況も踏まえつつ、双方向の関係を築くべき。

【地域イノベーション・システム】

○ 地域レベルでどの程度研究開発投資がなされているか、整理して把握すべき。

地域の産と学をつなぐコーディネーターの役割は重要であり、従来の取り組みのブラッシュアップを進めるべき。

【研究開発成果の社会実装】

○ 研究は個人の力によるところが大きいが、成果を社会に還元していく社会貢献の営みは、研究者のみでは難しく、機関全体のマネジメントの力が極めて重要。機関におけるフロント業務の能力を国際的に通用するものにしていくべき。

産学連携の多様化として、大学内に、企業と大学がイーブンな形で連携するための拠点を作ることも有効。

○ オープンイノベーションは状況や案件により多様。一つ一つ異なることを前提として、個別のプロジェクトに対して適切な支援を行っていくことを検討すべき。

お問合せ先

研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室

(研究振興局研究環境・産業連携課技術移転推進室)