第5期産学官連携推進委員会(第7回) 議事録

1.日時

平成22年4月14日(水曜日) 15時~17時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 産学官連携をめぐる動向について
  2. 科学技術振興機構における産学官連携に関する取組について
  3. 産学官連携基本戦略小委員会の設置について
  4. その他

4.議事録

午後3時02分開会

【白井主査】 

お忙しいところ、どうもありがとうございます。定刻過ぎておりますので、始めさせていただきます。

 第5期の科学技術・学術審議会 技術・研究基盤部会 産学官連携推進委員会の第7回ということになりますけれども、始めさせていただきます。

 今日は、科学技術振興機構の小原理事にご出席をいただいていまして、後ほどいろいろお話をいただけるかと思いますが、初めに委員の出欠の確認と配付資料の確認を事務局からお願いいたします。

(事務局より配布資料の確認)

【山﨑技術移転推進室室長補佐】

 その前に、本日はテレビ朝日様のほうが冒頭の頭撮りということでご要請がありますので、若干頭撮りだけお許しいただきたいと思っております。

 また、本日は、事業仕分け等の会合によりまして幹部がちょっとおくれて参りますことをお許しいただきたいと思っております。

 それでは、出欠の確認でございますけれども、ご欠席のご連絡がございましたのが武田委員、西岡委員、西山委員、渡部委員の4名の方でございます。竹岡委員等々、おくれてございますけれども、ご出席の予定。出席は今のところ15名ということでございます。

 配付資料の確認でございます。議事次第のほうをごらんいただきたいと思います。4の配付資料のところで一覧させていただきますが、資料1-1は2枚物の「新成長戦略」でございます。資料1-2は両面で2枚物になっておりますが、基本方針の概要でございます。それから、資料1-3につきましては両面で17枚ということで、本体になっております。資料1-4は2枚物で、新成長戦略に向けた産学官連携施策のイメージ案ということで配らせていただいています。
 続きまして、資料2関係でございますが、資料2-1は知的財産戦略本部の「知的財産推進計画2010」についてというもの、これは3枚物でございます。2-2は両面6枚物で、「知的財産推進計画2010」の骨子でございます。資料3は事業仕分けについてということで、1枚物になっております。
 資料4でございますけれども、枝番になっておりまして、資料4-1はJSTの産学連携事業ということで、両面9枚物になっております。資料4-2は、文部科学省の主な産学官連携関連施策ということで、文部科学省本省、それから、JSTのほうで行います事業を俯瞰した1枚物を用意させていただいております。
 資料5-1は2枚物で、産学官連携基本戦略小委員会の設置について。続きまして、資料5-2は両面3枚物で、産学官連携基本戦略小委員会の検討事項についての案でございます。

 このほか、参考資料として、この審議会関係法令等ということで9枚物を用意しております。

 裏面行っていただきまして、ブルーのファイルで机上配付の参考資料ということでお手元に用意してございます。

 以上でございます。

【白井主査】

 ありがとうございます。

 それでは、今日の議題に入りたいと思いますが、今日の議題1は、産学官連携をめぐる動向についてということであります。各種委員会における状況について、これは事務局のほうからまずご説明をお願いします。

(事務局より資料1-1から資料3について説明)

【渡辺技術移転推進室室長】

 それでは、資料1-1をごらんいただけますでしょうか。最近の政府の各種委員会等における産学官連携施策に関する動向をかいつまんで説明したいと思います。

 まず、資料1-1の「新成長戦略」についてです。新成長戦略の基本方針につきましては、昨年の12月30日に閣議決定されました。それに従いまして施策を具体化し、本年6月を目途に新成長戦略の全体像を取りまとめることとしてございます。
 具体的には、2ポツの考え方にございますように、まずマル1、各府省において、その実現に向け検討を求める施策、制度見直し。それから、マル2、各府省みずからの発意で、新成長戦略に盛り込むべきものとして検討を行う施策や制度の見直し。それから、マル3、早期実施事項(平成22年度予算への反映)のうち、目標達成に効果的な施策の抽出。こういった3点を踏まえて、3月中旬より各府省からのヒアリングを実施するなど、成長戦略策定検討チームを中心に検討を進め、5月を目途にその具体的内容を決定するという方向になってございます。それで、6月ごろには新成長戦略の全体像を取りまとめるというスケジュールになってございます。


 その新成長戦略の基本方針でございますが、資料1-2をごらんいただけますでしょうか。こちら、新成長戦略(基本方針)、昨年の12月にまとめたものの概要でございます。1-2の1ページの下にございますように、これまで公共事業の依存であるとか、市場原理主義といったことから離れて、右の下にございますように、第3の道ということで需要からの成長というのを掲げてございます。
 具体的に申し上げますと、おめくりいただいて2枚目の3ページと書かれているスライドを見ていただけますでしょうか。「需要」からの成長ということで、GDP成長率、名目3%、実質2%を上回る成長を2020年度までの平均で目指すと。さらに、名目GDPについては、2009年度473兆円を、2020年度650兆円程度にまで引き上げるということ。さらに、失業率については3%台へ抑制するということを目指すとしてございます。具体的には、その下にございますように、大きく6つの柱が立ってございます。強みの発揮ということで、環境・エネルギー分野、健康分野、それから、フロンティアの開拓ということでアジア、観光・地域活性化ということをキーワードとして事業創出を遂げていこうということでございます。その成長を支えるプラットフォームとして、科学・技術、それから、雇用・人材という柱が立ってございます。それぞれの柱についての中身がその次のスライド以降にございますが、最後の6と書いてあるスライドをごらんいただけますでしょうか。成長を支えるプラットフォームの中の科学・技術というところで、2020年までの目標、官民の研究開発投資GDP比4%以上、理工系博士課程修了者の完全雇用、情報通信技術による国民の利便性向上などを目標としまして、主な施策としてイノベーション創出のための制度・規制改革、大学・研究機関改革の加速などが掲げられてございます。
 こちらが概要でございますが、その基本方針の本体が次の資料1-3でございます。その中で、産学官連携に関連する部分をかいつまんで説明させていただきます。
 22ページをごらんいただけますでしょうか。資料1-3の22ページの下にございますが、成長を支えるプラットフォーム、(5)科学・技術立国戦略の中で、(研究環境・イノベーション創出条件の整備、推進体制の強化)という項目の中の下に書いてございますが、研究資金、研究支援体制、生活条件などを含め、世界中からすぐれた研究者を引きつける魅力的な環境を用意すると。さらに、シーズ研究から産業化に至る円滑な資金・支援の供給や実証試験を容易にする規制の合理的見直しなど、イノベーション創出のための制度・規制改革と知的財産の適切な保護・活用を行う。科学・技術力を核とするベンチャー創出や、産学連携など大学・研究機関における研究成果を地域の活性化につなげる取り組みを進めると記載されてございます。こういった記載を踏まえまして、各府省において成長戦略に盛り込むべき施策を検討しているところでございます。

 文部科学省におきましては、資料1-4をごらんいただけますでしょうか。新成長戦略に向けた産学官連携施策(イメージ案)とございます。こちらは、昨年、本委員会においてご審議をいただきまして、おまとめいただきました審議のまとめに提案された重要事項なども踏まえつつ、文部科学省の事務局として新成長戦略に盛り込むべき産学官連携施策として整理しているイメージ案でございます。
 まず1枚目でございますが、オープンイノベーションを実現する知の循環システムの構築として、目標を「世界をリードする我が国の研究開発力を産学協働によりイノベーションにつなげ、国際競争力を強化」するということ。
 戦略1として、共創/競争の場の構築による知の循環としております。課題として、大学において、知の創出段階からの産業界との協働が不足しているのではないか。企業においては、自前主義に陥って、国際競争に出おくれているのではないかといった課題を踏まえまして、重点対策として、産学対話を促すプラットフォームを構築する、基礎連携レベルへ産学連携を拡大する、こういったことを通じてオープンイノベーションを促進するということでございます。具体的には、強みを生かし、社会的に優先度の高い技術課題を産学が協働して解決するということで、環境・エネルギー、それから、健康・長寿などといったところに関しての技術課題を産学が協働して解決することを目指すというところでございます。
 戦略の2が産学協働機能の戦略的強化でございます。課題としては、大学等における産学官連携活動の自立化が不十分ではないか、持続的なイノベーションを創出するシステムが脆弱ではないかと、こういったことを踏まえまして、重点対策としてはイノベーション・エコシステムの確立ということで、これは下の注にございますが、政府、大学等、企業、金融機関など、さまざまなセクター間の相互作用により、持続的なイノベーションを創出する生態系的なシステムを構築するということでございます。具体的には、金融機関を含む民間企業の情報力・コーディネート力などをも活用したネットワークシステム等の構築により、イノベーション創出基盤を強化するということや、大学等の研究成果のグローバルな展開や地球規模の社会的課題の解決に向けた国際的な産学協働機能の強化。
 それから、戦略3といたしまして、基礎研究の強化に連動した実用化研究の抜本的拡充ということで、課題としては、課題解決に向けた研究開発成果の実用化支援が不十分ではないかということ。これを踏まえて、重点対策として国として取り組むべき課題の解決につながる基礎研究成果からのイノベーション創出に向けて、実用化段階の支援スキームを充実していくべきではないかというところでございます。
 2枚目をごらんいただけますでしょうか。次に、高度専門人材が活躍する研究開発環境の整備といたしまして、目標として、新たなキャリアパスを確立し、高度専門人材の育成・確保により、世界をリードする研究開発環境を実現するということでございます。課題といたしましては、その下の枠にございますが、今、研究者がマネジメント業務に忙殺されて研究に専念する時間を確保することが難しくなっている、研究支援に係る人的基盤が諸外国と比較して著しく脆弱である、こういったことを踏まえまして、重点対策として、左にございますが、研究マネジメントや知財管理等の専門人材を強化、研究者が創造的研究活動に専念できる環境を創出するということ。具体的には、研究開発に知見のある博士号取得者等の若手研究者を大学がリサーチ・アドミニストレーターとして雇用・育成するということを支援。さらに、全国的な研修・教育プログラムやネットワークを構築していくということでございます。さらに、右側におきましては、重点対策として、最先端の技術動向や研究開発現場に精通した博士号取得者を先端技術コンサルタントなどという形で、高度な研究機器などを活用するテクニシャンとして雇用・育成する大学等の取り組みを支援することでございます。
 戦略3として、我が国の研究開発水準を引き上げる専門人材層の厚みを確保するということで、技術と経営がわかる高度専門人材が欧米に比べ著しく不足しているという課題を踏まえて、理工系のバックグラウンドを持つ博士号取得者等を対象に、法律、経営、金融、知財管理等に関する人材育成プログラムを実施し、クロスボーダー産学官連携人材を育成するといったことなどを現時点における新成長戦略に向けた産学官連携施策のイメージ案として整理してございます。

 続きまして、資料2-1をごらんいただけますでしょうか。知的財産戦略本部の「知的財産推進計画2010」についてです。現在、知的財産推進計画に係る重要課題の調査のために、知的財産戦略本部におきまして、知的財産に係る競争力強化・国際標準化専門調査会、コンテンツ強化専門調査会が設置され、「知的財産推進計画2010」の策定に向けた検討が行われているところでございます。その中で、特に産学官連携に関しましては、この知的財産による競争力強化・国際標準化専門調査会において検討が進められてございまして、2月の中旬から3月末にかけて委員会において検討が行われまして、3月30日におきまして、知的財産戦略本部会合において「知的財産推進計画2010」の骨子が決定されたところでございます。今後、この骨子を、より中身をつけて、工程なども整理して、5月中を目途に知的財産戦略本部会合におきまして「知的財産推進計画2010」を決定していくことを目標としているというところでございます。

 次に、資料2-2をごらんいただけますでしょうか。「知的財産推進計画2010」の骨子、これが3月30日に知的財産戦略本部でまとまったものでございます。その中の産学官連携関係を簡単に見ていきますと、まず1ページをおめくりいただきまして、2ページに3本柱と目標と書かれてございます。
 (1)特定戦略分野における国際標準の獲得を通じた競争力強化、コンテンツ強化を核とした成長戦略の推進、知的財産の産業横断的な強化策とございまして、この(3)の中で産学官連携の施策が検討されてございます。その重点施策といたしまして、次に、4ページをごらんいただけますでしょうか。4ページの(3)の上から4つ目の丸のところにございますが、複数の企業、大学や公的研究機関がそれぞれの研究リソースをもってイノベーションの出口イメージを共有して共同研究する場を構築すると。(中期)と書いてございます。これは、3から4年程度を目標として実現するというものでございます。
 その次の丸に、研究者が創造的研究活動に専念できる環境を実現するため、知的財産管理を含む研究マネジメントを行う専門職などの社会的地位を確立するとともに、その人材を育成・確保すると。(短期)と書いてございます。これは、1から2年程度を目途に実現すべきものということでございます。
 それから、5ページの5ポツ、詳細政策(別添参照)とございます。その別添の中に、さらに細かい施策の案が示されてございます。10ページをごらんいただけますでしょうか。10ページの10のところが、先ほど来説明してございます産学官が出口イメージを共有して競争する場の構築(中期)となってございます。それから、例えば13番を見ていただきますと、既存の大学知財本部・TLOの再編(ネットワーク化、広域化、専門化)、知的財産マネジメント人材の質的強化により産学連携機能を強化するというのが中期で上がってございます。それから、14に、先ほど出ました知財管理を含む研究マネジメントにかかわる専門人材の育成・確保(短期)と出てございます。それから、16番に外国企業・機関からの研究資金の拡大に向けて、国費により大学や公的研究機関が獲得した知的財産をもとにした共同研究や受託研究における外国企業・機関との連携のルールを明確化するということで、こちらは内閣府を中心に文部科学省や経済産業省などで連携して検討を進めていくという方向性で施策が示されているところでございます。

 続きまして、資料3をごらんいただけますでしょうか。事業仕分けの状況でございます。行政刷新会議におきまして、独立行政法人、それから、政府系の公益法人が行う事業を取り上げ、予算面にとどまらず、事業の必要性、有効性、効率性、緊要性や、実施する主体として適当かといったことについて検証を行うために事業仕分けを実施する予定となってございます。それで、4月23日から事業仕分けが実施される予定となってございますが、まずは独立行政法人ということで、産学連携関連では科学技術振興機構などが対象となる見込みとなってございます。それで、最終的に5月下旬におきまして、事業仕分けの評価結果の報告という見込みとなっているというところでございます。

 駆け足でございますが、以上でございます。

【白井主査】

 それでは、今、非常にたくさん説明がありましたけれども、これについてご質問とかご意見のある方はどうぞお願いします。

【柘植委員】

 この我々の産学連携推進委員会としてのクレジットの資料は資料1-4だと思うので、これにこだわりたいと思います。

 2つありまして、1つは、この課題のところに大学と企業とありますけれども、アメリカだと多分大学と企業で、私はオープンイノベーション、知の循環システムというのができると思いますが、国立研究法人ですか、研究型の独立行政法人、今度は国立研究法人になるのでしょうか。この話は、私は日本の強みというのは、ここを国立研究法人も大学と企業と一緒になって回すというのが日本の強みを生かす近道ではないかと思う。そこについて全く触れていないのが、私としては、ちょっと忘れているんじゃないかと。まさか意図的に外したわけじゃないと思います。もう1つ大事な話は、主な施策として3つ書いてありますけれども、非常に抽象論としてイノベーション・エコシステムの確立、これは1行で書くとこうだと思いますが、まさに持続的な、今も10年後も30年後もイノベーションを生み出していくシステム、こういうことを考えると、戦略の2番のところに教育の話が全く抜けています。これは、以前、産学連携推進委員会の本会議に出した報告にはたしか教育と、研究から技術革新、それから、イノベーションは社会経済的価値創造ですが、この三位一体的な推進という、このメカニズムを構築することがイノベーション・エコシステムの確立に不可欠だと、こういうことを言っていたと思うのですが、ここのところでそっくりそれが消えちゃっている。若干イノベーション・エコシステムというエモーショナルな話だけでとまってしまっているのは、私はこの委員会としては後退ではないかと。ちょっとその2点はコメントというか、何とか直していただきたいと思います。

【白井主査】

 前回というか、まとめをやったときに柘植委員から教育のところが薄くなっているのではないかというご指摘はそのときもあったような気がしましたが、その点はどうですか。

【柳研究環境・産業連携課長】

 産学官連携の官の世界というのは、もとから国研が担っていた役割は、前回の報告書にも書かせていただいたように結節点であるし、また、研究法人の議論の中でも、例えば産総研とかが果たしてきた役割、それから、うちも物材機構とか、いろいろつながっていくところで産と学の間をつなぐ仕組み、そこは重要だという議論があって、そこはうまく、そちらの議論が固まっていけば反映されていくという思いでおります。
 それと、また、人材教育の話について言うと、教育といったときに2つのとらえ方があって、実際に学生さんを指導するという立場と社会が必要な人材を育てていくというところで、非常に小さいのですが、一番目の戦略1の共創/競争の場というところで、これをやることによって、その真ん中の重点対策で社会の求める人材の育成というのも、こういう産学がともに対話する中でつくっていくということで、(一応人材ということについて非常に意識はあるのですが、それだけ取り出したという形にはなってなくて、こういう中での人材育成。あともう1点は2枚目のペーパーのほうは、どちらかというと人材のほうをとっていて、人材育成と書くよりも全体として研究環境の整備と書かせていただいたのですが、戦略の3のところでも、どういうふうに我々の産学連携とか産学官連携を進めていくための人材を育てていくのかという議論をちょっとこの中にも盛り込んで、戦略の3というのはクロスボーダー人材と書いていますけれども、人材の必要性というのはこの中に込めているという気持ちではございます。
 ただ、おっしゃるように、教育でどうとらえるかというのはあまりストレートに入っていないというところは、また今後の検討として入れていきたいと思っています。

【白井主査】

 柘植委員、よろしいでしょうか。

【柘植委員】

 一言だけ簡単に言いますと、教育だけ切り出しても、あるいは研究だけ切り出しても、イノベーションだけ切り出してもエコシステムにならないと思います。結局、今も10年後も20年後も、ほんとうの科学技術を引っ張ってくれる人の教育というのは、技術革新の中に大学院の教育を組み込まないとだめだし、それはイノベーションとのリンケージ、つまり、格好よく言うと教育と研究とイノベーションの三位一体のスパイラル状の推進が初めてエコシステムになるわけで、一つ一つを切り出してやると、それはそれなりに意味があるんですけれども、スパイラル状の推進というメカニズムを忘れてしまうといけないという、それをちょっと追加します。

【白井主査】

 ほかにはいかがでしょうか。非常に重要なご指摘をいただいたと思いますが。

【野間口主査代理】

 柘植先生と文科省のやりとりを聞いていまして、確かに産学官連携施策のイメージ案というあれでありながら、事業仕分け等の結果がどうなるかわからないのでという話でありますけれども、産学官連携の部会としての基本的な考えといいますか、信念みたいなやつを示さないことには、そういうことばかり気にしていたら、本来のやるべきことは出てこないんじゃないかという気がしますが。

【白井主査】

 もうちょっと本来の、腰を据えて、仕分けをむしろこちら側からやるぐらいじゃないといけない。

【柳研究環境・産業連携課長】

 事業仕分けというか、今まさに研究開発法人に関して、たしか野間口先生も関与されていると思いますけれども、政府全体として政務ベースで議論をされているということで、そこの結論が入ってくるということで、事業仕分けでここをなくす、あそこをなくすという話とは別に、研究開発法人というのは普通の独法と違う性格があって、どうあるべきかという議論がまさになされている中で、おっしゃられたようなつなぎの役割というか、我々の報告書の中で結節点と書いていただいた要素が考慮されていると認識しております。

【野間口主査代理】

 だから、オープンイノベーションというからには、やっぱりそういうトータルなイメージを描かなければ、せっかくの意見が意見として弱いのではないでしょうか。

【白井主査】

 私の印象でも、これは前のまとめのときからずっと一貫して大変苦しんでいる、この委員会としても大変議論はしているのですが、現実にここだけで議論できないような問題もかなり含んでいるということもあるので、この程度に今のところまとまっている今ご指摘があった2つの点、柘植委員からあったこと、それから、考え方の骨がそろそろ言わなきゃしようがないんじゃないかという感覚は、この委員会の中でも横溢していると思うんです。
 例えば、研究体制そのもの、大学と企業とあるのですが、実際は確かに研究独法だとか、たくさんそういうものがある。その中で、非常にアカデミックな基礎研究をやっているところとは別に、産学連携という観点からいっても、文科省の所管でも結構あるし、経産は野間口先生のところでちゃんと組織があると。そういうのがあって、これは省庁が別というので今までもあまりやってきていないけれども、日本全体でどうかということを言っちゃうと、これは世界をリードするために日本の中、省庁でそれぞれがリードするということでいいわけがないのだから、どういうふうになるんですかということでしょう。
 私は、省庁、所管が別であっても、そういうことはもう関係ないのではないかと。そういうことの議論ではなくて、大体みんな、全体が一緒に、さっきの知財のデータなんかでもありますけど、みんな通じて集めているわけです。だから、そういうことの結果として、今度はほんとうに全体、有機的にこうなるような研究体制というようなことに踏み込まないと、今、野間口委員言われたような骨が出てこないということになるのかなというのが明らかです。
 そういう意味で、そろそろそんなことをもう思い切って言っていかなきゃしようがないときが来たということじゃないか。その中で、教育の面はどういうふうに結びつくかというと、大学も産学官連携すべきところはすべきで、それと教育システムをどういうふうに結びつけるのかということを言えばいいわけで、そんな難しい話じゃない。難しくないのだが、ほとんど実行不可能なしがらみの中に生きている。それを実際は仕分けてもらえれば一番いいが、仕分けがそういうふうにいくかどうかは非常に疑問があるので、こっち側から逆に、そういうところを仕分けるというよりは構成を示していく必要があるのではないかと考えます。
 そういう意味では、この1-4の資料はもう1回我々もリファインする必要があるし、思い切ったことを言ってもいいという覚悟を決めるべきじゃないかというご意見だと私は思いました。そのとおりだと。大体そういうふうになっているが、イメージが必ずしもそこまでまだいっていないということかなという気がします。

 ほかに何かご意見ございますか。

【野間口主査代理】

 白井先生がうまくフォローしていただいたのであれなのですけれども、今、せっかくいい形の議論が行っていますよね、研究法人についても。なぜああいう独立行政法人的にしたのかと。それでよくなった点、さらによくしたい点とか、そういうのから踏まえて、非常にいい議論が、委員の方もそうだし、文科省中心ですが政務三役の各省集まって、議論が今進んでいて、私は非常にいいほうに向くなと思っているのですが、そういったのは、やはりこのJSTの資料を見てもなかなかいい考えですよね。その辺は相当勇気を持ってやっていただく必要があります。そうでなければ、産学官連携は悪いことをしているのではないかと、悪いことが相当含まれているのではないかと、そんなに考える必要は全然ないんじゃないかと思ったので言いました。

【白井主査】

 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。 それでは、議題の2に移らせていただいて、今日は科学技術振興機構における産学官連携の取り組みについてお願いします。小原理事にご出席いただいております。よろしくお願いします。

(小原理事(独立行政法人科学技術振興機構(以下JST))より資料4-1及び4-2について説明)

【小原理事(JST)】

 JSTの小原でございます。それでは、15分から20分ほどにわたりまして、私どもが進めております産学連携事業につきましてご説明したいと思います。

 私どもの事業ですけれども、これは科学技術基本計画の実施機関で、それも中核的な役割を担う機関ということで、俗に5本柱で現在、事業を進めております。まず、この5つから成ります。一番大きいのは左のほうにあります技術シーズの創出を目指す課題解決型基礎研究ということで、基礎研究の中でも課題解決型ないしは目的指向型の基礎研究を行っている。これが事業の半分以上を占める大きな割合を占めております。
 それから、右のほうですけれども、研究成果の社会還元を目指す産学連携・技術移転ということで、これは基礎研究で発生しましたシーズを育成して、産業界、あるいは企業にお渡しするという事業、これが全体の4分の1弱を占めております。
 それから、この2つを下支えするという位置づけで科学技術情報の流通促進、これは主にデータベースの提供になっております。それから、科学技術の国際共同研究、これは科学技術ODAといった形で、国際的な連携を踏まえた共同研究等を行っているということです。
 最後に、下の右ですが、科学コミュニケーションの推進ということで、これは一昨年までは理解増進という呼び方をしておりましたが、双方向のコミュニケーションが重要であるということから、科学コミュニケーションの推進という名前にして、これも進めております。

 以上、5つで事業を進めております。

 次は、私どもの平成22年度の予算について、これはトータル1100億少し超えた金額になっております。この図でおわかりのように、基礎研究が半分以上を占める大きな割合になっております。その中で、少しミシン目が入っておりますけれども、これは産学連携を担っている部分が、金額では69億ぐらいになっていますけれども、これが基礎研究の予算の中に入っておりますのでミシン目を入れているということです。
 それから、新技術の企業化開発ということで、これが産学連携による技術移転を行っている。それ以外が幾つかあります。
 それで、産学連携・技術移転事業ですけれども、これは大きく分けまして3つあります。産学イノベーション加速事業、それから、研究成果最適展開支援事業A-STEP、それから、技術移転支援センター事業。上2つがファンディングという位置づけになっております。それから、3つ目のセンター事業ですけれども、これはファンディングではなくて、むしろ側面的支援事業ということで、人的な支援、ないしはシステム的な支援を行っているということです。
 JSTの産学連携の歴史といいますか、変遷を1つの図であらわしたのがこの内容になっておりまして、私ども、技術移転事業は1958年、昭和33年から始めております。このときは委託開発だけでした。その後、科学技術基本計画ができまして、ある面では雨後のタケノコのようにいっぱい事業が設立されております。大学発ベンチャーとか、独創モデル化とか、シーズイノベーションとか、革新的ベンチャー、いろいろ出てきました。
 これではいくら何でも使いづらいということで、昨年にすべてをまとめまして、A-STEPということで再編成をしました。さらに、今年からは若手研究者ベンチャー創出とか、それから、地域イノベーション創出総合支援事業、これらもやはり束ねまして、A-STEPというところにさらに再編成しております。

 それから、もう一つが戦略的イノベーション創出推進事業、産学共創基礎基盤研究、先端計測分析技術・機器開発、これらも単独で募集していたのですが、これは産学イノベーション加速事業ということで3本をまとめて1本化しております。

 それでは、個別的な事業を少し説明したいと思います。産学イノベーション加速事業の中の産学共創基礎基盤研究ということで、これは先ほど申し上げましたように、平成22年度、今年から始める新しい事業という位置づけになっております。この事業のコンセプトですけれども、これは企業のニーズ先行型という位置づけになっております。すなわち、産業界、ないしは複数の企業が持っております長期的な技術課題、これもさらに共通的なテーマということになりが、それを提案していただきまして、それに対して学のほうが提案して、基礎研究を2年とか、そういう単位で基礎研究を行っていただき、その成果を企業ないしは産業界のほうにお渡しするという事業になっております。
 ただし、今2年と申し上げましたが、基礎研究は1つのタームとして2年を想定しておりますけれども、全体の課題の大きさからいえば、やはり10年スパンぐらいで考えるべきだろうということで、全体の期間としては10年ほどを考えております。
 どのようなものがあるかということですが、これは産業界のほうから提案していただかなければ何ともいたし方ないわけなんですけれども、事務局レベルで考えたものは、例えばシリコンレスの半導体とか、最近ブームになっておりますカーボン・キャプチャー・アンド・ストレージ、それにさらに、じゃあ、CO2を材料として使ったらどうだというような話も当然出てくるのではないかなということで、事務局レベルでは、ある面では産業界の提案を期待しているというところです。

 それから、次が戦略的イノベーション創出推進ということで、これは昨年始めた事業になっております。これは私ども、さまざまな基礎研究の事業を進めておりますけれども、その中から、将来大きく花開くであろう課題ないしは分野をピックアップしまして、速やかに産学連携というトラックに載せまして、10年間産学共同研究を行っていただくというのがこの戦略イノベーション創出です。S-イノベと呼んでおりますのがこの事業です。
 これは金額的にも比較的大きな事業で、1つのテーマ当たり5億円ということで、テーマ1つの中に5課題程度想定しておりますので、各課題1億円程度ということです。これはJSTから見ればかなり大きな、かつ長期的なプログラムであるということが言えるかと思います。
 ただし、10年と非常に長い期間ですので、これを3つのステージに分けており、応用基礎研究とか要素技術の研究開発、それから、アプリの開発ということで、それごとにステージゲート法を採用しております。これは、それぞれ渡っていくときに厳しい評価をするということを考えておりまして、それで実行しております。

 今まで発足しているのが左の4つです。iPS細胞、有機エレクトロニクス、フォトニクスポリマー、超伝導システム、この4つが既に発足しております。今年は、ワークショップを開き、この中から2つほど選びたいと思っております。現在は脳とか神経のイメージング、それからテラヘルツ、無機発光素子、高齢化社会、高齢化社会はかなり漠然としておりますけれども、パーソナルモビリティーとかロボティックスとかコミュニケーションといったようなところを考えております。この後、ワークショップを開き、本委員会のほうでこの中から2つに絞り込んでいきたいと思っております。

 次は先端計測分析技術・機器開発です。これは平成16年から始まっております。比較的歴史のある事業になっております。これはご存じのとおり、我が国においては計測分析機器が諸外国に比べて劣っているというようなことから、それを強化する意味で先端的ないし独創的な計測技術を開発しようということから始めた事業になっております。
 先ほど申し上げましたように、平成16年、その当時は要素技術、機器開発のみでしたが、その後にソフトウェア開発プログラム、プロトタイプ実証・実用化プログラムが、それぞれアラカルト方式でメニューを選んでつなげていくような仕組みにしております。

 次が研究成果最適展開支援事業、A-STEPと呼ばれるものです。今まで述べた事業が比較的大型ないしは複数の企業、団体、機関が参加するプログラムでしたが、このA-STEPは1対1、研究者1、企業1の、先ほど申し上げたプログラムに比べれば小型の事業という位置づけになっております。これはかなり独特なプログラムになっており、ここの右の上のほうに書いてありますコンセプトということで、ワンストップ、フレキシビリティー、シームレスと3つのコンセプトで運用しております。
 ワンストップ、これは今まではそれぞれ受け付ける部署がばらばらでしたが、1カ所で受け付けしようということと、相談なんかも1カ所でしてもらおうということを考えている。
 それから、フレキシビリティー、これはFSがあって、ハイリスクがあって、シーズ育成タイプがあって、実用化タイプ、このような流れでたどってくることができるのですが、つまみ食いでハイリスクをやった後にシーズ育成、その後はもう結構ですと、それでも我々としては全然問題ないというようなこと。それから、極論すれば、FSだけやってあとは自分でやりますというようなところもあるだろうと、それはそれで結構ですということで、入りも自由、出も自由という事業です。
 それから、シームレス、先ほどもちょっと説明しましたが、それぞれたどることができます。今までですと事後評価、事前評価ということで、それぞれ異なる先生方の評価を受けて採択されていたのですが、これの場合にはステージゲート法を採用しておりまして、同じ先生がずっと分野ごとに見ておりますので、例えばFS終わった後に評価を受けてハイリスクに入っていく。ハイリスクが終わった後にシーズ育成に入っていく。終わったら出ていくと。まだもうちょっとリスクがあるという場合には、実用化挑戦タイプに入っていくということで、それぞれたどることができると。フレキシビリティーとシームレスが大きな特徴になっております。
 それから、徐々に、右に移るにつれて企業さんのほうに少しリスクを負担していただくといいますか、金額的な負担をしていただくということをここのプログラムの特徴にしております。


 それぞれ、今ご説明しました内容をまとめたのがこの事業になっており、成果ということで私どもの今までの実績を書いております。右のほうに金額ベースで書いております。私ども、実は今はそれほど大きな特許は持ってないのですが、今までバイ・ドールを適用するまでは特許を持っておりましたので、今までの実施料累計188億円、それを3%で割り戻しますと6,300億円の市場効果があったのではなかろうかと。その内訳はあっせんと委託開発に分けており、あっせん・実施許諾が約1200億、それから、委託開発が5100億ぐらいのレベルであろうと。
 それから、JST事業の成果をもとにして設立されたベンチャー、これはJST発ベンチャーと呼んでおりますが、大学発ベンチャー、プレベンチャーにプラスして、やはり幾つかのベンチャーができておりますので、それを全部足し合わせますと221社のJST発ベンチャーが設立されているということです。
 それから、どのような成果が出たのか、先ほどお話がありました仕分けのときなんかもよく言われるわけですが、私どもは先ほど言いましたように51年の歴史を持っているものですから、比較的小ぶりなもの、まあまあなもの、大きなもの、それぞれが成果という形で出てきております。その中に、1、2、3とありますが、これがおそらくトップ3だろうと思っております。


 それで、1番目、大きなものがガリウムナイトライドの青色発光ダイオード。これは、前の名古屋大学の赤﨑先生の成果をもとにして豊田合成が実用化した内容です。
 それから、2番目が、これはアモルファス合金、増本先生の成果。企業の数が相当多かったので全部足し上げますとかなりの金額になるということで、2番目に位置しております。
 それから、3番目が光触媒です。これは私どもKASTで行っておりましたが、藤嶋先生の成果を私どもの地域事業に採択させていただきまして、それで5年間推進して、最後にはNEDOさんとか、文科省さんの都市エリアとか、それから、私どものCRESTのほうにも分かれていったりして、それぞれ分かれていって、結果としては大きな成果が上がっているということで、1、2、3を上げております。それぞれ次のページに少し詳しく書いております。これは3500億ぐらいだろうと。これは外部の有識者の方から評価していただきまして、この程度ではなかろうかという数字を書いております。
 それから、2番目、ナンバー2が先ほど申し上げましたアモルファス金属です。これは先ほど言いました増本先生の成果を日立製作所、日立金属が実用化に至っているということです。これもかなりメーカーさんが多かったものですから、結果として約3,000億ぐらいだろうと。これはこの前、増本先生が私どもの産学官連携ジャーナルに投稿されておりましたので、それを参考にしてこの金額をまとめております。
 それから、次が藤嶋先生の光触媒です。これは、先ほど申し上げましたようにKASTで基礎研究を行っておった藤嶋先生の成果を、私どもが地域事業で採択しまして、5年間支援しております。結果としては、NEDOさんのほうで実用化まで至って、2000億円以上の規模になっているということを聞いておりますので、私ども、ある面では中継ぎをしたんだろうということで、1つの成果ではないかということで2000億という数字を出しております。
 それから、次が側面的支援事業ということで、これもさまざまな事業を行っております。やはり一番大きいのは大学の海外出願を支援する特許化支援の事業です。これが一番大きな事業になっています。ただし、国内文献の支援のほうも、コンサルティングも含めて大学さんと協力しながら、さまざまな局面で支援をしております。今まで、これもどのような成果かよく問われますので、参考ということで、これは大学のほうと、情報をもらいましてライセンス収入が3億600万、それから、共同研究に至ったものが99億というような数字をいただいております。よって、この特許化支援、国内、海外も含めて結果としてこのようなところに至っているということが言えるかと思います。
 それから、科学技術コモンズ、これは今年から始まる全く新しい事業ということで、大学や企業で保有する特許権を研究者に研究に限って無料開放するものですが、これは現在、有識者を含めて制度設計をする準備を進めているところです。
 それから、私どもの側面的支援の1つの特徴としまして、新技術説明会、大学見本市を開催しております。新技術説明会、これは大体毎週1回のペースで大学の先生から企業の方々にプレゼンをしていただくという仕組みになっておりますが、大体マッチング率が23%で、その中の大体半分、10%ぐらいが共同研究に至っています。それ以外にはMTAとか技術指導等がありますが、このような実績になっております。
 それから、もう一つが大学見本市、これは9月に開催しておりますが、今年も9月29日から10月1日まで、3日間、NEDOさんと協力して大学見本市を開催しております。マッチング率が10から30とばらついておりますが、これは直近で測定しますとなかなかパーセンテージが上がらないんですけれども、実は2年ぐらいたってきますとぐっと上がってくるということで、幅をとって10から30という数字を掲げております。
 それから、もう一つが産から学へのプレゼンテーションということで、果たしてこんなものができるかということから始めた事業です。これは大学というよりむしろ企業のほうから、大学と共同研究したい課題、分野についてプレゼンを行っていただくということで、先ほどの新技術説明会とは全く逆の方向のプレゼンテーションを行っていただいております。これにつきましては、各企業さんと個別交渉をお願いしまして、それで、今まで11回開催しまして、今月も4月23日に資生堂さん、三菱電機さん、ほかはちょっと名前を出さないでくれと言われておりますので、ほか1社、3社の産から学へのプレゼンテーションを行う予定にしております。大企業さんもありますし、中堅もありますし、ベンチャーもあると、さまざまな企業さんと連携しながらプレゼンを行っていただいております。もちろん秘密保持にはかなり神経を使っておりまして、必要であれば秘密保持をあらゆるケースで結んでいくということで信頼を得るようにしております。これは、マッチング率は28%という数字になっております。
 最後に、今後の課題ということで、これはJSTというより私の私見がかなり入りますけれども、今後はやはりオープンプラットフォーム、これをどうつくっていくかということが重要であろうと思っております。特に産と学との意見交換・対話を通した課題設定が今後重要になってくるだろうということで、今までどうしても先生の指導で企業を見つけて、それで応募してくる、ないしは、企業が先生を見つけて応募してくるというケースがやや多かったわけですが、この後はやはり真剣な対話をしていただいて、それで合意形成の後に課題提案をしていただくという方向にいくべきではなかろうかということで1つ書いております。

 それから、次のステージに向けた取り組みということで、JSTは今までは基礎研究の成果をベースにしてシーズを育成するということが中心になってきました。それはそれで大きな流れではありますが、今後はやはりプラットフォームを通した新たな取り組みということで、社会問題解決型、よく例で出てきます高齢化社会とか、それから、低炭素、エネルギー、環境といった問題に対しては、やはりプラットフォームを通した、対話を通じた、そのような取り組みでいくべきではなかろうかということと、もう一つは、将来の顧客創造型ということを掲げております。シーズだ、ニーズだ、どちらが主導だというような議論もいろいろあるわけですが、ニーズ主導になりますと、それはそれで産業界に直結した内容になり、いわば改善・改良型もまた多くなるのも事実ですので、そうではなく、もう一段機動をアップさせて、新しい顧客、生活スタイルをにらんで、そこで新しい技術を提案していくというような、新しいユーザーをつくり出すような仕組みが必要ではなかろうかと。
 例えば、最近話題になっておりますアップルのiPadとか、そういうもので新しいパラダイムシフトを起こすような生活スタイル、それをにらんだ研究開発が必要ではなかろうかということで、私見ながら掲げさせていただきました。

 以上でございます。

【白井主査】

 ありがとうございました。大変広範な内容なので短時間で大変だったと思います。4月の23日の仕分け作業でいろいろ議論されるということですが、今日は別に事前にここで仕分け作業をするわけじゃないんですけれども、何かご質問とかございましたらどうぞ。

【羽鳥委員】

 JSTさんのさっきの説明のうち、2点あります。1点は感謝というか、外国出願の支援は非常にありがたいなと思っております。特に、例えば慶応義塾ですと半分ぐらいが医学部で、バイオ系の特許出願になるのですが、その医薬シーズを海外の企業に紹介する際に、例えばスイスに本社があるビックファーマは、スイスに出願がなければライセンスは受け難いとか、聞いたことがあります。しかし、ワールドワイドに出願するにはかなり出願費用がかかります。
 あと、医薬系ですと活用まで長期間要しますので、そうすると、やっぱり公的な資金がないとそこまで大学だけではつなげることができないという意味で、この支援は非常にありがたいなと思っております。

 あと、2点目はA-STEPのほうですが、これは研究者から時々聞くのですが、一番最後の実用化チャレンジ、A-STEPの最後のステージ、これだと8ページになりますけれども、実用化挑戦タイプで応募する際に、将来うまくいったら5%のロイヤルティーをくださいというふうに定義されていまして、それはどうも高いのではないかと。もうちょっと段階的にやってもらえるとうれしい。もちろんもうかったら返すのは当たり前だと思うのですが、それをいきなりではなくて、もっと段階的とか、緩やかにできるとありがたいなと思います。
 例えば、この資料でも実施料率は3%と仮定されていますので、例えば3%にしていただくとか、そういったことがあるといいのではないかというふうに思います。これはお願いのほうです。ありがとうございました。

【白井主査】

 ロイヤルティーが高いのではないかというお話が出ましたけれども、これは確かに内容にもよりますが、(5%一律ということができるのかよくわかりませんが)、これはどういうふうになっているのでしょう。既にそういうロイヤルティーが入っているのはあるのですか。

【小原理事(JST)】

 今、開発中でございますので、まだロイヤルティーをいただいているということはございません。実は、この内容について、実用化挑戦タイプの中小・ベンチャーのところだと思うのですが、実は前は委託開発のところに入っておりまして、ベンチャー枠というのはあったんですがも、委託開発はさすがに中小・ベンチャーには酷だということで、いわばカーブアウトして切り出しまして、新しいプログラムという位置づけにしております。
 ただし、これは金額も比較的多いというようなことから、これはいろいろなところと相談しまして、さりとて回収も必要であるというようなことから、1つの案として5%が提示されてきたということで、私どもも全面的に賛成したわけではないのですが、結果として、やはり何らかの形で回収させていただかなければいけないというようなことを言われておりまして、結果として5%になったという経緯になっております。
 ただし、これはある一定期限過ぎますと、そこで終わってきますので、必ず全額回収というところまではいっておりません。それから、もう一つは、事業が始まって売り上げがたってからということですので、プログラムが終わったらすぐ回収ということはしておりませんので、そこら辺の配慮はしておりますけれども、5%は常に私ども言われております。

【白井主査】

 ほかにはいかがでしょうか。

【竹岡委員】

 4つあります。1つは、知財の技術移転支援センター事業の中の大学への支援という部分は、本当にいい役割を果たしていらっしゃるなと思っております。特に、今、大学の知財本部整備事業が終わって次のステージに入ったときに、とにかく今までの段階は特許を出すということだったのでしょうが、今直面している問題は、大学さんは研究者が出したいと言えば何でも出しちゃうというか、あまり戦略性なく出してしまうこともある、特許としてのブラッシュアップがされないまま特許を出してしまうことがある、そこを何とかしないと、特許は出したもののライセンスに結びつかないし、逆にそんな特許だったら出さないほうがいい場合だってあるわけで、その辺の支援というのは、やはりある一定規模以下の大学にとっては自前でするのはほんとうに難しいことなので、ぜひこれは、この技術移転支援センター事業って、予算はすごく少ないわりにはとても大事な役割を果たしていただいていると思っているので、引き続き、特に大学の特許のブラッシュアップというところを含めて拡充していただければなと思っております。

 2点目は、私、中小企業政策審議会の委員もやっておりますが、中小企業政策審議会では中小企業の悲鳴が聞こえていて、あそこも事業仕分けでばさばさ中小企業向けの研究開発予算が削られています。リーマン・ショック後の今の世界というのは新興国向けの市場を開拓するために、大企業の研究開発拠点が新興国に移っていると。今までは中小企業が研究開発のパートナーとして大企業と組んでいたのですが、研究開発拠点が新興国に移っていくことによって、中小企業は研究開発的な役割を果たせなくなってきているというのが非常に危機意識として出ています。しかし、そこのところの中小企業の研究開発向け予算が切られてしまっている。そういう予算を切るのはけしからんと私は思っています。ここのA-STEPとか、こういうところで研究開発型中小企業への支援をぜひ、引き続き大きな役割を担っていただきたい。こういうところは企業側にいかに役立っているかという、企業側からの声を、何とかして仕組みで集められないかなと本当に思っておりますので、やっていただきたいなというのが2つ目。

 それから3点目が、同じ中小企業政策審議会で出てきたのは、これは地方自治体から出てきたのですが、地方自治体が企業さんの研究開発の支援を自治体の職員がやろうとしても、どこに何があるか全然わからないと、おっしゃっていたのは荒川区の区長さんだったんですけど、とにかく全部データベースをつくっていただいて、どの分野にどの先生がどの大学やどの研究機関にいるということを地方自治体の末端の現場の人たちまでわかるような施策をしてほしいと。つまり、結局地方分権とかそういう形になっていって、地方自治体の現場のほうでやっていこうというときも、案外情報が流通していないという意見が強く出ていました。そういうことも、これはJSTさんの中では今日は触れていないのですが、多分地域のサテライトみたいなものがあるのではないかと思うのですが、JSTさんが相当役割を担うところじゃないかなというのが3点目です。

 4点目、最後におっしゃった、最後のページの、次のステージに向けた取り組みのところで、今後はプラットフォームを通した新たな取り組みというところの社会的問題解決型、将来の顧客創造型。これは本当に、例えば新興国市場とか、あるいは日本の中の高齢化問題とか、今までと全く違うマーケットとか、違うニーズとかを酌み取っていくというところの取り組みが必要になってくるんだとすると、多分、もしかしたら技術系だけじゃなく、文系の経営系の人のリソースをどうやって取り込むかとか、デザイン系のところのリソースをどうやってこの中に取り込んでいくかという部分もあると、ここのおっしゃっている社会問題解決型、あるいは将来の顧客創造型というところにいけるんじゃないかなという気がしております。

【小原理事(JST)】

 それではちょっと答えられるところを答えたいと思います。まず、知的財産、大学の支援ということで、戦略的にということですけれども、実はそれが全部というわけではないのです。1つは群特許での出願を進めていこうということで、去年から試行的にやりまして、今年度から本格的に群特許でのパテントの出願をしていこうと今動いております。先生がある程度発明したと、どうしてもそれがその後単独で出てくるケースが多いわけですが、そうではなくて、やはり周辺も含めてパッケージ化するような形での出願を奨励するようにしていこうということで、これは選定をする先生方は大変ですけれども進めていこうと思っております。

 それから、中小企業の支援ですが、A-STEPの中で中小・ベンチャーありますけれども、これははっきり申し上げて非常に件数が少ない内容になっております。ただし、私どもは地域事業、先ほどお話がありましたサテライト、プラザ、その事業では地域ニーズ即応型の事業ということで、中小の企業さんと公設試さん、それでジョイントで申し込んできた場合には支援しますということで3年ほど前に始めていました。しかし、例の事業仕分けで物の見事に切られまして、残念ながらその事業はなくなってしまいました。私自身も非常に残念な事業だと思っています。

 それから、地方自治体の企業支援の件ですけれども、仕分けのせりふは、地方のことは地方に任せなさい、産学連携の重要性はわかるけれども、特徴を持った事業を推進するためには地方に任せたほうがいいだろうということで仕切られたわけなんですけれども、地方自治体、ご存じのとおり、確かにいろいろ活躍といいますか、事業を進めているところもありますし、それから、なかなか科学技術ないしは産業まで手が回らないというところもあります。その中でどう支援していくのかということですが、私ども、プラザ、サテライトは事業廃止になりましたので、各自治体に移管していかなきゃいけないんですけれども、そこら辺をにらみながら移管していきたいと思います。
 ただし、情報につきましては、私ども平成22年度事業予算のところに、先ほども言いました技術移転支援センター事業の中の研究成果の公開というページがありますけれども、これは3ページ目になりますけれども、そこにさまざまなデータベースがあります。J-STORE、e-seeds、それ以外にもあるわけですが、代表的なものとしてJ-STORE、これは大学が持っている特許、これを未公開特許も含めて公開しております。だれでも使える仕組みになっております。もちろん大学の了承を得たといいますか、協力を得て、このデータベースを作成、提供しております。
 それから、e-seeds、これはデータベースというより、むしろウエブ上の仕組みになっておりまして、大学と協力して、大学の研究者の研究内容にキーワード検索した後に飛んでいくような仕組みになっております。これも多くの大学の協力を得て飛び込んでいくような仕組みになっておりますので、ここら辺を使っていただければかなりの研究者にアクセスできるのではないのかなと思います。ただし、自治体の方が全部知っているかどうか定かではありませんので、今後、より、先ほど言いましたように、地方自治体への移管のときにはこのようなことも一緒に移管していかなきゃいけないのではないのかなと思っております。

 以上です。

【白井主査】

 ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

【石田委員】

 どうもありがとうございました。感想と、それから多少提案、あるいはこうやったらいかがですかという趣旨から1つだけ申し上げたいと思います。JSTにおける産学連携、または技術移転事業は、これは論をまたない、必要不可欠、重要、大事だと思います。しかし、先ほど聞いていますと、ライセンシングのロイヤルティーレートを5%、あるいは3%で計算すればということで非常に固定的に聞こえてきます。おそらく技術分野や、特許の性質などから1%から5%くらいでリーズナブルな使い分けをしていただいているとは思うのですが、その辺の実態をちょっと確認したい。
 そして、提案的になるのですが、仕分けとか、あるいはこの事業について指摘があるということに対しては、やっぱりロイヤルティーレートなどについては合理的に納得できるような、いわば、まさに使い分けをしていくべきだと思っています。現状はどうかを確認し、そういう提案に対していかがでしょうか。
 お願いします。

【小原理事(JST)】

 先ほどもちょっと触れましたが、実は5%の回収といいますか、ロイヤルティーについて、これはまだ事業を終了した企業がございませんので、お金をいただいているケースはございません。今のところは5でいこうということで進めてはおりますが、実はこれも、この前大学の知財本部との意見交換をしたときにも高いという大学もありましたし、逆に安いのではないのかという大学もあり、さまざまなご意見があったのは事実ですので、これはまた皆さんのご意見をいただきながら検討させていただければなと思っております。

【石田委員】

 一言だけ。それを統一的に5%と決めると高いという分野、あるいは高いという大学もあると思います。それをもうちょっと合理的にしたらいかがでしょうか。

【小原理事(JST)】

 そうですね。ちょっと私の一存では決められませんので。

【石田委員】

 ありがとうございます。

【白井主査】

 ほかにはいかがですか。

 原山委員。

【原山委員】

 今後のことについてちょっと質問させていただきます。オープンプラットフォームというのは概念として必要だということはわかりますが、これを確立するときに、どのような形でもって何を指名して具体的にどのパーツをJSTがやっていくかというのをもうちょっと狭めた形で言わないと、やはり今後の方針にはならないと思います。その辺のところをどういうふうにお考えになっているのか。
 もう1点は、具体的なものがあったとして、それに対して何か仕掛けていくときには、これまでのファンディングの仕方では通用しないと思います。ですので、新たなファンディングの仕方に関して既に議論をなさり始めているのか。これまでお金をいただいて使い勝手が悪いとかいろんなことを言われているところがあると思いますが、その辺の改良、改善ということに対しての取り組みについて、JSTさんはどういうふうにしているのかということをお願いいたします。

【小原理事(JST)】

 このプラットフォームですけれども、私どもプラットフォームの概念はちょっと広くとらえておりまして、例えば資料の中の戦略的イノベーション創出推進、6ページになりますけれども、詳細には申し上げることができなかったのですが、実はこれもかなりユニークな内容を持っております。といいますのは、平成21年研究開発テーマ、これは4つになっておりますけれども、そのときにワークショップを開いて議論しております。これは当然産学官の方々に出席いただいて、それで現状はどうだ、それから何が課題だ、どんな分野がいいのかというかなり真剣な議論をしていただいて、それを本委員会のほうに持ち上げて、結果として4つに絞られたということになっております。そのような1つのワークショップ、これも私どもは1つのプラットフォームと位置づけておりまして、今まではそういう仕組みはなかったわけですが、今回戦略的イノベーション創出推進ではそのような仕組みをとったということです。
 平成22年度も4つ挙がっておりますけれども、このまま採用するのではなく、これで産業界、産学官の方々、研究者とか技術屋さんが多いのですが、いろいろ議論していただく。この分野こそやるべきだ、この分野はまだいろいろ技術課題があって、すぐには産学官の連携には乗らないということもありますので、そこら辺を議論していただいて、また本委員会のほうでその結果を持ち寄って、この中から2つ選ぶ。正式なプラットフォームなのかわかりませんが、広義的なプラットフォームではないのかなと。そこを使って、分野を選んでプログラムオフィサーを選定して課題を求めるというスタイルをとっております。
 さらに正確に言いますと、それ以外にも、私どもプラットフォーム事業を行う部署を設けておりまして、現在5月の中旬の開催に向けて準備を進めているところです。それは私どもの安藤上席フェローを中心としまして、安藤さんはアンブレラ産業ということで本を出された専門家ですが、そこを中心として社会的な課題、持つ課題についてプラットフォームを構築しようということで、私も詳細までまだ把握していないんですけれども、やるつもりにしております。ただし、何にフォーカスするか、やはり重要ではないのかなと思っております。

【白井主査】 よろしいですか。

 本田委員。

【本田委員】

 今後の方針として、群での特許というお言葉があったと思うんですが、群での特許といったときに、JSTさんが持たれる特許と大学が保有する特許と、やっぱりばらばらではなかなか群での特許というのはうまく構成できないのではないかなと思いますので、JSTさんのモデルケースをつくっていただきたいなと思うのですが、せっかくファンディングの機能と特許化支援という側面支援の両方の事業をやっておられるので、ぜひ群での特許をとったときに、その後そこでファンディングして、出口の方向に引っ張っていくようなモデルケースをつくっていただくと、それは多分大学ではできないことで、ファンディングの機能を持っているJSTさんならではできるようなことになるのではないかと思います。ですので、どちらかというと産学連携といって受け身的な大学ではどうしても、積極的に産業界にアプローチはしているものの、やはりそこはファンディングの能力を持っているJSTさんであればできるようなモデルケースをつくっていただきたいなと思います。
 具体的には、群での特許をとった後にどういうプロセスで出口の方向に向かっていくかというところで、ファンディングであったり、今リサーチ・アドミニストレーターであったりという議論がされていますので、そういうようなメンバーをそろえてチームとしての産学連携みたいな形を、ぜひモデルケースをつくっていただけると大学側としても明るい未来が見えてくるんではないかと思います。

【小原理事(JST)】

 そうですね。それにつきまして、私どもの理事長もかなりそこは心に置いておりまして、ページで言えば、14ページになりますけれども、技術移転支援センター事業の中のコモンズが1つの大きな仕組みになるのではないのかなと思っております。これは先ほど申し上げましたように、今年から始める新しい事業ですけれども、文科省の研究環境・産業連携課のほうと打ち合わせをしながら進めております。このコモンズの中に、まず私どものパテント、もちろんライセンスをしているパテントは除きますけども、約8000件ありますので、それをまず評価して入れたいと思います。その後に各大学に呼びかけまして、コモンズに参加できる大学がありましたらコモンズに登録してほしいという呼びかけをします。それだけですと、ただリストになっているだけですので、私どもはそこにパテントマップとかポートフォリオをつくって、この分野であればこの大学とこの大学、それからJSTが一部入っているとか、そういうのをつくって、それで産業界のほうに提示したいと思っております。さらに、それを使ってR&Dをしたいという場合にはそこを支援するような仕組みも今考えているところです。その件につきましては、明日私どもの知財戦略委員会がございますので、少し詳しく説明したいと思いますけれども、今のところはその程度でご容赦願いたいと思います。

【白井主査】

 よろしいですか。

 三木委員。

【三木委員】

 2点ほど質問させてください。

 1点目は長期的な視点を持ったファンディングエージェンシーという立場を持たれているということでの質問です。具体的にはイノベーション創出を最終的に持っていこうとする。早い段階では科学的には丸ですが、ビジネストレンド的にはクエスチョンという、こういった非常識テーマを当然ピックアップしていくことが大事になると思います。そこにリスクマネーを投じるということが非常にポイントになると思います。そういう面で見たときに、例えば先ほど省庁間の話もちょっとありましたけれども、省庁間の話は抜くと、JSPSの持っているいろんなデータと、それからJSTのデータがそこからアクセスして、これをピックアップしていこうとか、そういう仕組みというのが既にできているかのどうかということが第1点です。

 それから第2点目は、これは人材とか、教育のことにも少しかかわるかもしれませんけども、ファンディングエージェンシーから相応のお金が入っていったときには、研究開発の現場では1つは物に対する投資がかなり行われる。それと、人に対する投資が行われます。これはポスドクであったり、外国人研究者を雇ったりとか、いろんなケースがあると思うんですけれども、その投資比率は当然プログラムによってかなり違うと思うんですけれども、投資比率は大体ざっくりどんな感じなのかということ。それから、人に対する投資のうち、日本人への投資と外国人への投資、そして女性研究者、ここのところがどんなふうになっているのか、もしデータがおありでしたら教えていただきたい。

 以上でございます。

【小原理事(JST)】

 今、2つあったと思います。JSPSの持っているデータからピックアップということですけれども、これは具体的には行っておりません。基本的には公募型、募集をかけて公募して応募していただくという仕組みになっておりますので、JSPSのデータを使ってJSTがどうこういうものは行っておりません。
 それから、ファンディングしたときに物なのか人なのか、比率といったことですが、これもやはり分野によってばらつきがあろうかと思いますけれども、ちょっと正確な数字は見てないのですが、比較的ポスドクに対する費用が多いというのも事実です。その中で産学連携において女性は少ない。やはり基礎研究が圧倒的に多くて、産学連携のポスドクの方に対しては基礎に比べればかなり少ないという印象を持っております。

【白井主査】

 井口委員。

【井口委員】

 今のJSTの話をお聞きして、私も実はここで基礎から開発研究、そして実用化、商品化というところの、JSTの地域事業の評価の審査をしているのですが、なかなかそれでは成果がどのぐらい上がって、5%戻せるかという段階はまだ難しいと思います。やはり今一番地域で苦労しているのは、さっき言いましたように、いわゆるプラザとサテライト、終了です。ここで地域がやっと少しずつ立ち上がってきているということで、成果をずっと見ていると、10年ぐらいかかってやっと商品化、実用化になってきている。この後、実はそれぞれの地域で中心的大学、あるいは自治体がその事業を受けるか受けないか、受けられるか、旧7大学があるようなプラザはそれぞれ受けられる可能性を含めていますけれども、サテライトを自治体がそれで受けられるかどうか、ここは非常に厳しいのではないかと。ですから、ここの委員会等がある意味でまとまっているようなところで、柘植委員が全体で言われたように、教育とか人材育成というのは巨大な大学があるところでもなかなか難しい。だったら地域はもっともっと難しい。

 それからもう一つ、産学連携ということで、地域は産学連携の産がどれだけ育ってきているかということ。育ってきたなと思っていたら、もう地域じゃなくて、外国企業のほうがどんどん出てきていると。もちろんあるのはありますが、そういうところに、それでは産というのは中小企業も含めてどうやって産学官連携推進する、促進するというところのイメージの中に、やはり非常に重要なのは、そういうことをできる産というのをどうやって、まだまだ育ってないんではないかということと、育っているのはもう立ち上がっていますので、育てるためと、地域イノベーションとどう連携するかということもこの委員会でまとめていく中の施策に、文科省とも、JSTが一番近い可能性があるんですけれども、地域からの声だとして、ぜひお願いしたいと思います。

【白井主査】

 秋元委員。

【秋元委員】

 非常に失礼なことを言うかもしれませんが、お許しください。この計画を見ていると非常にすばらしいことが書いてありますが、今まで、例えば文科省が産学連携本部、それから経産省がTLO、これをずっとやってきて、その中でやってきたような文言、あるいは言葉を変えたようなものが非常に多い。でも、そういうところから反省して、どう新しくやったのかというのかというのがあまり見えてきてないように思います。
 その中で、科学技術コモンズというのはある1つの新しい方向性ですけれども、これがうまく成立するためには、やはりその前の特許化支援というのがどうしても必要です。先ほど8000件あってまとめてデータベースをつくる、こういう話がありました。でも、その「ざる」の特許を、幾ら8000件集めたって全部水漏れですから、やはりその前からやらなきゃいけないだろう。それにつきましては、特許化支援のところにTLO等が行う外国出願の費用を支援、これは今までだってやっていますし、権利化強化のための助言、技術評価等の支援もあわせて実施する、これもやってきたはずです。じゃ、今後どういうふうに変えてこれをやっていくのか、これが見えてこない、そういうことがあります。
 それから、もっと、例えば具体的に言えば、下のほうで学から産へ、発明者みずから実用化を展望した新技術の説明を実施と、発明者はきちっと研究するべき問題であって、これをやるために産学連携本部があったと私は思います。それがうまくいかなかった。これをどうするかということも必要でしょうし、大学見本市、これだってJPOが特許マートをずっとやって全然成果がなかったわけです。そういうような、いろんなことが繰り返されて同じように出てきておりますけれども、これについてどういうふうに、ほんとに新しく考えていくのか、何が必要なのかということをもう少し具体的にやっていかないと、また同じ方向になってしまうのではないかなと思います。
 先ほどの群特許にしましても、ほんとに産業を見つめた形の群特許ができない限り、産業はこれを受け取らないわけです。そういうところも踏まえて、じゃ、どう一緒に、具体的にやるのかというところをぜひお考えいただきたいなと思います。明日は多分こういう話は言わないと思います。

【白井主査】

 結構、確かにそういうご発言のようなところがあろうかと思いますが、何かJSTさんのほうは、いや、これは新しいと。

【小原理事(JST)】

 仕分けはもっと厳しいことを言われるかもしれないので、仕分けのプレは、もう今日終わっているはずだと思いますが、本番は23日以降ということなんですが、先ほどの特許化支援、確かにおっしゃるとおりでして、確かに美辞麗句を並べているというのもありますけれども、全体的に見てやはり虫食いといいますか、結構穴だらけの特許があるのもまた事実です。そこをどう補完するかということで、今回は、どちらかといいますと、出てきたものを整理するというところに主眼を置いていたわけです。今後やはり全体として網羅的にとらえなきゃいけない、ないしは重要なところをちゃんと押さえておかなきゃいけないということを、むしろ前向きにアドバイスすることが必要になってくるだろうと思っておりますので、そこら辺は、先ほどちょっと触れました、私どもは知的財産戦略センターを昨年の4月に立ち上げておりますので、パテントマップとかポートフォリオか、そこら辺の技術を利用して、各大学の知財本部と連携しながら、少しでも使える特許群にしていきたいと思っております。そこまでは今日触れていなかったので、そうしていきたいと思っております。

 それから、新技術説明会、大学の先生にここまでさせるかというおしかりを受けましたが、大学の先生はもう少し外に出ていくべきだろうということもあります。実は大学の先生に喜んでいただいております。といいますのは、それまでは大学の中に閉じこもって研究をしていたわけですが、このような場で、その後相談コーナー、これは大体1人平均5人ぐらいの相談を受けております。それに対し、いろいろディスカッションすることによって相当の先生方が触発される、ないしは、新しいアイデアをもらえるということもありまして、これは5年目、6年目に入っております。それで、同じ大学が定期的に先生方に依頼して来ていただいているということになっており、私どもとしては先生が嫌々出てきているとは決して思っていなくて、むしろ産業界の人といろいろ対話して、自分の研究に役立てたいということから、このようなことで6年も続いているんではないかなと思っております。

【白井主査】

 ありがとうございます。ほかに、ございますか。

 牧野委員。

【牧野委員】

 私はJSTのやってこられたことを高く評価している一人ですが、なかなかいろいろといい計画が最後まで実行できないシステムがこの国にあるというところを少し考えないといけないのではないかと思います。例えば、コモンズのことですが、これは、イギリスのMRCTなんかでは、特許のバンドルをつくるのに彼ら自身がインキュベーションシステムを持ってやっているわけです。ですから、非常に実効的なものができるシステムがありますが、この国ではインキュベーションがとにかくお粗末なんです。ですから、何ともこういうところで挫折する可能性がある。
 それと、もう一つは、そういうのをもとにしてベンチャーが立ち上がらないといけないのですが、昨年度新しく上場したのは10社ぐらいになっていると思います。こういう経済状態では、倒産したときに20万円ぐらいしかポケットに残らない国では、だれも勇気を持ってそういうことにチャレンジしようと思わない。僕は実際の数字は知りませんが、アメリカの場合、ポケットに1000万ぐらいは残るシステムがあるということで、ベンチャーにチャレンジするシステムがちゃんとあると聞いています。ですから、そういうシステムがどこかで途切れ途切れになっているところが大変問題じゃないかと思っております。

 JSTに大学はやはり助けられていると思うんですけれども、どこに問題点があるのか、もう少し考えないといけないと思うんです。それは大学もそうですし、企業もそうだと思うんです。大学も、私どものところでは今少し改良しているんですが、企業のほうも、じゃ、どういうふうな手を持ってこういうシステムをいいほうに持っていこうという援助、支援をされるのか、していただけるのか、こういうところも含めて総合的に考えていかないといけないのではないかという気がします。

 以上です。

【白井主査】

 ありがとうございました。

 森下委員。

【森下委員】

 2点ありまして、1つは、バイオ系で私どもがよく見ますが、大学発ベンチャーをJSTの事業でつくった場合、あまりビジネスサイズのモデルというか、ビジネスサイズがあまり考えられていないんじゃないかと。実用化に関しては非常に近いようなものが多いかと思うんですけれども、反面、これでベンチャーをつくってほんとに大丈夫かなというのも結構あると思います。単品でベンチャーをつくっている感じがしますので、そのあたりの事業評価をどういうふうにしているかということが1つ。

 それからもう一つは、委託開発事業がかつてあって、今もA-STEPの中には入っていますが、一応これは上限20億までということで、おそらく日本の国のやつでは一番大きな金額だと思います。これは、ほんとはバイオなんか創薬に使いたいのですが、最近あまり委託開発が見えてこなくなったんじゃないかと。かつては皆さん記憶に残っていると思いますが、これはA-STEPになってかなり小さくなった印象を受けます。そのことが実際にあるかどうか、あるいは、かなり大学ベンチャーができて、それぞれの商品がレートステージに入ってきて、いよいよお金がかかる段階に入って、先ほどお話がありましたように、証券市場もかなりつぶれている状況の中で、この金額はかなり魅力的だと思います。そういう意味ではこうしたものをもっと拡充していくなり、あるいは積極的に何か活用するといったような方向性があるのかどうか、ちょっとこのあたりをお教え願えないかと思います。

【小原理事(JST)】

 それでは、まず大学発ベンチャーの評価でございますが、これはもうほんとにその技術を使ってベンチャーを立ち上げるぐらいになりそうだというふうになりますと、具体的には立ち上げなくてもいいのですが、可能性が高いとなりますと、これは評価が高いということにしておりまして、そういう意味ではまさに単品主義のベンチャーが、JST発ベンチャーのみならずほかもそうだと思いますが、多いというのも事実です。
 それで、実は私どもそれを補うということで、A-STEPの中ですけれども、先ほどちょっと言いました中小・ベンチャー、去年から中小がつきました。その前までは革新的ベンチャーという名前で事業を進めておりまして、昨年度から名前を変えたんですけども、これは実はベンチャーの二の矢、三の矢の研究開発をしていただこうということで始めた経緯もありますので、私どももそれは十分認識しておりました。やはり1つの技術だけではだめで、もう少しほかの技術、派生の技術ないしは周辺とか、強化するような技術も開発していかなきゃいかんだろうということで、それを支援するという意味でも革新ベンチャー、今名前変えて、中小・ベンチャーになっています、それを立ち上げております。ただし、件数は少ないのでほんとにご迷惑をおかけしていることになっています。

 それから、委託開発でございますけれども、確かにA-STEPの中に入りまして、地盤沈下したのは否めないと思います。でも、これは予想しておりました。それまでは委託開発ということで、かなり大きく出ることができたんですけれども、A-STEPの中の1つのサブプログラムみたいな形になりましたので、そういう意味では若干PR不足だったのかなという反省はしております。それで、ただし、最近は実は創薬系の企業さんからの問い合わせとか実際の応募もございます。比較的ものづくり・材料系は5億円レベルが大きいんですが、やはり創薬になりますと20億、この前は20億でも足りないから2倍にしてくれないかと言われてひっくり返りそうになったんですけども、そのような創薬系の企業さんもございます。そういうことで、少し地盤沈下といいますか、ちょっと見えなくなってしまったのですが、これはもう少し今年度から工夫していきたいなと思っております。

【森下委員】

 予算的には金額が大きいのでかなりしんどいかと思いますが、何件か採用できるような予算は本来あるんですか。

【小原理事(JST)】

 ええ、大体3件かそこら辺はしていきたいなとは思って、実はA-STEPに入りまして、全体の枠が広がったのはいいのですが、ほかのところでとられますと、委託開発のほうが少なくなるとか、そういうのがあるんですけれども、3件くらいはとっていけるのではないかと思っています。

【柘植委員】

 いいですか。JSTが長く随分いろんなところで工夫をされて自己改革をされていることを、先ほどの牧野委員と同じように尊敬するものです。その思いがあるから余計、17ページの今後の課題の中で、これはぜひJSTの中だけで考える答えではないという認識が要るのではないかと思います。別の言い方をすると、日本のイノベーションエンジン、エンジン・オブ・イノベーションですね。しかも、それはサステイナブルでなければいけないわけですけれども、その中には先ほど議論がありましたように、社会経済的価値をつくるというイノベーションに対して、それを支える研究による技術革新があるし、当然高等教育の話もあるという三位一体の話がありまして、そういう意味の持続可能なイノベーションエンジンの日本の構造、その全体の中でJSTはどういう役割をするんだということが見えるかが、私は17ページのことを具体的にやろうとすると、避けて通れないと思います。
 なぜか、私はいつも日本の弱点というのは、アメリカのファンディングシステムと日本のファンディングシステムとの違い。日本の場合は、各ステージごと、知の創造から社会改革までの各ステージごとに各省庁で分担しているわけです。これはアメリカの場合なんかは、NSFはもちろんベースとしてあるけども、やっぱりエネルギーとか環境とか、それからヘルスの話にしても、アグリカルチャーにしても、すべて、むしろ入り口から出口まで一貫したファンディングの責任を持っている。あの絵を思い浮かべていただけると、日本のエンジン・オブ・イノベーションの面での弱みというのがあの絵に象徴されていて、あれはそう簡単に変えられないわけですから、ただ、やはりあの絵の中でJSTはここの役割をするんだという話が避けて通れないときにきている。特に社会的問題解決型とか、将来の顧客創造型とか、今新政権が目指しているお話になると、もうほんとにそれは避けて通れない。
 実はこれはJSTだけの話じゃなくて、我々の委員会の問題でもあって、今日も、説明の時間がなかったんですけれども、資料4-2というのは文科省のレベルの中で、全体の中で書いてくれたなと私は思います。だから、ぜひともこれも随分議論すると、まだ私は日本全体のエンジン・オブ・イノベーションとしては十分書き切れてないなと思いながらも、こういう視点を文科省として持っているということが非常に大事だと思います。ですから、JSTも相当イノベーションの戦略開発センターですか、ありますので、やっぱりJSTの中でも日本全体のエンジン・オブ・イノベーションはこうだ、だから、うちはこうするんだと、こういう話を逆に発信していただくと日本全体が進化していくんじゃないかなということです。やっぱり期待をしていますので。

【白井主査】

 そろそろ時間ですが、どなたかございますか。

【平田委員】

 先ほど地方からの話がありましたけれども、ちょっとほかの省のケースですが、今いろんな形で事業仕分けをすると、これは地域に任せるべきだとか、そのほうが顔が見えていいケースもあろうかと思います。ただ、それによって、非常に重要なことがすぽーんと抜けちゃったケースがあります。やはり中央がやらなければならないこと、地方に任せていいこと、それから地方に任せたときに、横の情報はなかなか流れないのです。それを中央がきちんと吸い上げて、また再分配しないと、逆に地方に任せたことによって地方にものすごい格差が生まれるということがあり得ると思います。ですので、特に情報ということが中心になろうかと思いますけども、レベルの話とか、ノウハウの話とか、あらゆるレベルで中央じゃなくちゃできないことというのをやはり明確にして、事業仕分けのときには、そこのところは絶対譲らないということをされないと、特に教育というのは非常にセンシティブな話ですし、1個間違うと5年、10年の禍根を残すことになりますので、ぜひそこら辺は明確にされておかれるとよろしいかと思います。

 以上です。

【白井主査】

 すいません。ちょっと次の議題があるものですから、ここら辺で一応この議題を終わらせていただきたいと思います。小原理事、どうもありがとうございました。ひとつ仕分け、頑張っていただきたいと思います。

【小原理事(JST)】

 頑張ります。

【白井主査】

 それでは、議題の3番目になりますけれども、産学官連携基本戦略小委員会の設置ということです。これは、今日もたくさん議論がございましたけれども、そういうものをさらにまとめて、産学官連携の基本戦略というのをもう少し明確、具体的な形にして示さなきゃいけないのではないかということが趣旨です。皆さん意識は非常に同じようなところにいっているのですが、若干抽象的で、もうちょっと組み立てないと説得力を持たないと思われるので、そういうことをやってはいかがかということです。この委員会には運営規則第2条1項に委員会がそういうものを置くことができるということになっておりますので、小委員会を設置したいと考えるわけですが、その理由等々について渡辺室長から説明してください。

(渡辺技術移転推進室長より資料5-1の説明)

【渡辺技術移転推進室室長】

 資料の5-1をごらんいただけますでしょうか。産学官連携基本戦略小委員会の設置についてということでございます。

 先ほど主査よりご説明がございましたが、今後の産学官連携の方向性であるとか、次のフェーズに向けた産学官連携の基本戦略を検討していくために、専門的な観点から調査、検討を行うことを目的として小委員会を設置してはどうかというものでございます。構成につきましては、白井主査が指名する大学関係者、企業関係者等の有識者ということで、別紙1に掲げた11名の方にお願いをしているところでございます。調査・検討事項といたしましては、産学共創の場の構築、企業との共同研究のあり方、大学等における産学連携機能の戦略的強化等を想定してございます。当面のスケジュールでございますが、お認めいただければ4月26日月曜日に1回目を開催させていただきまして、5月、6月にかけまして、トータル5回程度を想定してございます。それで産学官連携の基本戦略についての調査・検討結果を取りまとめさせていただきましたら、7月に産学官連携推進委員会に報告してはいかがかということでございます。

 以上でございます。

【白井主査】

 もう何回もこういうものをやらせていただいて、大変恐縮ですけれども、ぜひとも、もう一回この小委員会を構成して、基本戦略というものをまとめてみたいということですが、よろしいでしょうか。
 それでは、別紙があります。5-1の資料の2枚目に別紙がついていますが、こういう委員の皆様方にお願いをしたいと思いますが、ご了解いただけますでしょうか。

 ありがとうございました。

 大変お忙しい中で、また似たような作業をやらせるのかとおっしゃる方もおられるかとは思いますが、一回一回少しずつ進歩しているということはあろうかと思いますし、今のポイントは、政権が変わって、我々としてはこの機会を最大限生かしていかなきゃいけないだろうと、これはこの委員会としての任務でもあろうかと思いますので、ぜひともいい議論をお願いして、またそれに基づいて本委員会のほうでも十分にそれを議論してまいりたい。途中で何かやるということはあります。あまり長い時間ではないから、小委員会は小委員会でずっと続けてということでございますか。
 場合によっては、皆さん非常に熱心に考えていただいています。ですからこの小委員会のほうからあるテーマが出てきたら、あるいはこういうことについて意見をみんなが寄せろということかありましたら、委員のほうにも何かの形で、集まらなくてもいいと思のですが、意見を徴するとか、そういうようなことをやって、小委員会だけにあまり押しつけるのも気の毒だということもあるし、そんな機会を設けていったらどうですか。

【渡辺技術移転推進室室長】

 はい、そのような形で本委員会と連携して、小委員会での議論の検討状況をフィードバックしながら進めさせていただきたいと思います。

【白井主査】

 どこかの節目でもちろんいいと思いますが、何かの形で。
 そんなことで、この委員に選ばれていないからといって、これに協力しないというわけではないと皆さん思いますので、この作業にある時点で何かの形でご意見をお寄せいただいてまとめていただくというような形にしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、その他について事務局から何かありますか。

(渡辺技術移転推進室長より資料5-2の説明)

【渡辺技術移転推進室室長】 一応、資料5-2を用意させていただいてございます。今後産学官連携小委員会において検討していくべきではないかと思われるものを整理してございます。これは昨年の本委員会の審議のまとめで、特に重要であるということにつきまして、さらに検討を進めるべき事項でありますとか、もう少し違う観点から検討すべきではないかというものを整理させていただいてございます。
 ざっと見ていただきますと、まず1枚おめくりいただきまして、産学共創の場の構築。こちらは先ほどご説明させていただいておりますが、共創の場をつくるということが合意されてございますので、今後産学共創の場というものを効果的に機能させていくにはどのような工夫が必要であるかということを検討していってはいかがかと思ってございます。
 2番目が民間企業との共同研究のあり方ということで、特に産学官連携ということを考えるときに、大企業との産学連携と中小企業やベンチャー企業との産学連携は全く性質も違うし、課題も違うのではないかということで、共同研究をより効果的に推進していくために、大企業や中小企業、ベンチャー企業といったそれぞれの特性に応じて配慮すべきことは何か。それから共同研究において学生を研究者として活用する場合の知的財産の取り扱い等についてのルールの明確化が必要ではないか。さらに大学等と民間企業との共同研究の充実に向けて、間接経費の見直しが必要ではないか。現在大体10%ということになっているようですけれども、それがほんとに適切であるかどうかということを検討してはどうかということでございます。
 次に、3番目でございますが、これは昨年の事業仕分けにおきまして、産学連携事業が廃止という厳しい評価をいただきました。その後文科省に寄せられた産学官連携事業につきましては国で行うべきだという声を踏まえまして、これまでの事業を補助事業という形で整理いたしまして、大学等産学官連携自立化促進プログラムということで、平成24年度まで継続させていただくことになりました。しかしながら、平成25年度以降、大学等に対して産学官連携機能を強化していくために、どういった支援が必要かということを検討していくことが必要ではないかという問題提起でございます。
 それから、4番目でございますが、大学等の特許の数が非常に増えてきてございます。しかしながら、データにもございますように、大学の特許の利用率は20%程度であると、民間企業における利用率と比べると低い水準にあることなどから、大学等の特許の質を向上させていくためにはどういったことが必要であるか、さらに大学等が保有する特許を有効活用していくために何をするべきか、ということを議論してはいかがかという提言でございます。
 最後でございますが、産学官連携を担う専門人材の育成ということで、柘植委員のほうからもイノベーションを進めていくためには研究、教育、それからイノベーションの三位一体の推進が必要だということを踏まえまして、まずはリサーチ・アドミニストレーターの重要性が指摘されてございますので、そういったもののキャリアパス、全国的な研修システムをどう整備していくかということ、さらに今後の産学官連携を担う人材育成のために何をすべきか、といったことなどを検討してはいかがかということでございます。

 以上でございます。

【白井主査】

 大産学共創の場をどういうふうに構築するかというのも非常に大きい、新しい展開をしなきゃいけないというご意見だったと思います。
 それから、大学のほうが、どちらかというと、これまでの取り組みは孤立した大学一つ一つが一生懸命取り組めば目的を達すると考えてきた。もちろん一生懸命取り組むのもいいんだけども、どうも一つ一つの大学が産学官連携というのを孤立してやること自体がもう頭がおかしいということも大体わかってきたと思います。したがって、これは産学連携の共創の場というのを大学間も通じてどういうぐあいに構築可能なのかということと、それから結局独法みたいなものもあります。そういうものがどれだけかむのかという、大きい絵を私は描いてもらったほうがいいのではないか、今日のご意見もそんなところにあるんじゃないかと思うんです。
 今日JSTさんにお話しいただきましたが、JSTさんが抱えておられる問題というのはこことまた非常にダブってきているということも、いろいろなご質問等々にもあらわれてきていたんじゃないかと思います。
 それから、さらに知財、これは今日の特許の問題なんかありましたから、大分具体的だったと思いますが、5番目の人材の育成というのかな、これが日本の取り組みはやっぱりちょっとおかしかったのかなと。本末というのがどうも逆、要するに人材育成をやってきていません、ほとんど、現実には。どっちかというと、それに関係していたような分野の年配の方にお願いをして、何とかやってくれよということで一生懸命やってきました。これはほとんど、どうも間違っていて、そこら辺の人がベンチャーを起こすはずがない。もともと可能性のないところからやろうとしていたということも言えるんじゃないかと。これは結局、日本の企業というのは大企業が中心主義できましたから、アメリカなんかと非常に大きく体制が違うのはやむを得ないというか、当たり前のことですが、そこも考えながら、日本の産学官連携というのが現実にどうやれば、最も可能性があるのかということは構図として出さざるを得ないのではないか。
 それから仮に大企業の中にいる人であっても、それはベンチャー的というか、事業を起こしていくようなセンスのある人材というのは絶対必要なわけで、それはどうやって育成するんだと。これは大学の教育を変える必要が僕はあると思います。大学もどこかでやってください、ではダメで、じゃ、大学間がどうやって協力をして、現実にそういうものをつくるかというところに踏み込まないと、どれだけ育成する、どんなふうに育成するかと、どんな能力を持った人が絶対必要だということを、ドクターの人の就職を面倒見てやるとかそういう議論はやめて、ほんとに余っているのであれば、その人達にそういう能力を、何人か役に立つのもいるかもしないから、そういうのを鍛え直すとか、いろいろ何か方法はあると思います。もっと若い人でもちろんいいと思いますけど、そういうコースをつくっていくとか、そういうことも含めてやらないといけない。
 それからリサーチ・アドミニストレーターの資格なんていうのもどんどんやれば僕はいいと思うんです。幾らでもやってくれる人はいると。

 そんなようなことを具体的にぜひ、この小委員会の中の議論として踏み込んでつくって、もう省庁なんか構わないと。全然気にしていませんというレポートを出したほうがいいんじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたしたい。そうすると、この委員会としては大分荷物が、やることがなくなって解散できるかもしれない。よろしくお願いいたします。

 特に何かございませんようでしたら、終わりたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。

 どうも今日はありがとうございました。

 

午後4時59分閉会

 

 

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