第5期産学官連携推進委員会(第6回) 議事録

1.日時

平成21年11月11日(水曜日) 10時~12時

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室

3.議題

  1. 産学官連携の推進に関する今後の重要課題について
  2. その他

4.議事録

 午前10時07分開会

【白井主査】

 定刻をおくれてしまいまして、申しわけありません。

 それでは、これから第5期科学技術・学術審議会 技術・研究基盤部会の産学官連携推進委員会の第6回を開催します。

 まず、委員の出席確認と配付資料の確認、これを事務局からお願いします。

(事務局より配布資料の確認)

【白井主査】

 ありがとうございました。

 それでは、きょうの議題に入ります。議題(1)は、産学官連携の推進に関する今後の重要課題についてですが、前回10月1日に開催された本委員会においての議論を踏まえて、原山委員と竹岡委員に大変ご尽力いただきましたが、審議状況報告(素案)について修文をいただきました。また、11月5日に開催された産学官連携の推進に関するワーキングチームの議論を踏まえて、事務局で審議状況報告(案)に最終的に修正を加えました。その内容について、まず事務局からご説明をいただきます。

(事務局より資料1-1、1-2について説明)

【白井主査】

 ありがとうございました。少しまとめ直したらというようなご意見をたくさんいただきましたが、それをかなり原山委員と竹岡委員で実行していただいて、特に頭のほうは修正をしていただきました。大変すっきりしたのではないかと思いますし、いただいた意見はかなり、それぞれの部分に反映させていただいたのではないかと思います。

 特に何かご意見等々ございますでしょうか。

 武田委員、お願いします。

【武田委員】

 こういう形で委員会のキーの方が、政権の交代もあるし、改めて、言い方悪いですけど、お役人のつくった文書にコメントしたわけではなくて、委員会では考えているということをやったらどうかと言い出した本人としてみれば非常にありがたく、しかも、言い方悪いですけど、2人の女性委員が書いたものとして、女性はすぐれているなと思います。しがらみなく書いていただきましたし。私自身も読ませていただきましたし、内容的にこれ以上どうこう言うつもりありませんが、先々週、私、実は仕事の関係で中国へ行きまして、北京と上海と広州の3カ所で、理研と主な大学とのいろいろアグリーメントの調印であるとかセミナーをやってまいりましたが、ここに常に出てきて、お書きになった方は世界情勢を意識して日本のあるべき姿という視点で書いておられるのはわかるのですが、繰り返し、繰り返し「我が国は」「我が国は」と出てきていますが、後ろのデータを見ていても、我が国が今どういう状況にあるのかということを他国と比較した上での問題提起という点においては、まだ弱いのではないかと思います。大学の出願件数とか、やったというデータのほうがどちらかというとメインになっていて、たまたま産学連携で言えば、最近、製薬企業、特に欧米の製薬企業が中国へ進出していくことなんかも、我々は座視できないのでいろいろ調べてみると、もう既に、例えばケミストリーの分野では、これが正しいとは言いませんが、どこの大学も引用しているトムソンや何かの引用度数で見ますと、2年前は、中国は、論文の数ではもちろん、あそこは人間が多いから中国のほうが量は多いけど、質はまだまだって、我々、実は言っていたのですが、去年あたりから、インデックス、引用度数その他を比べてみても、数字的には中国のほうが、アメリカを除くと中国がトップで、日本、UK、ドイツと、そのような数字も出ていますので、そういうデータを踏まえた格好にだんだんしていく必要があるのではないかなと思います。前から申し上げていますけど、データリサーチのところですね。それを読み解くところは委員のほうで主導的にやるにしても、データが若干、国内になっているので、もう少し危機感を持って、特に新政権に科学技術や大学教育では産学連携に危機感を持ってもらう意味でも、お願いしたいと思います。

【白井主査】

 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。西岡委員、どうぞお願いします。

【西岡委員】

 いいまとめにしていただいたと思って喜んでおりますが、一番最初のところを読むと、このまとめ方はすばらしいと思いますが、「科学技術の高度化・複合化などを背景として、大学等との連携が加速度的に重要性を増してきた」書かれています。ここには、仮定があって、私たちの願いがあって、大学の研究は高度・複合化していると、だからここと連携すべきであると、こういうことですけれど、大学にぜひよろしくお願いしますと、それに耐えれる大学であってくださいよというように、耐えれるよということが前提になってしまっていて、今、中国の例を見ても、向こうは随分発展して高度化しています。日本がそれに対抗できているとは思えないので、よろしくお願いしますということです。

 右のページ見ると、(4)の下ですけれど、こういうことをやることが、「大学等の教育の側面で見れば、企業等との協働による課題解決であり、優れて実践的な科学技術人材育成の場である」となっていまして、すごいまとめ方だと思っていまして、重要だと思います。

 それは結構左のほうも補足していると思いますが、そのページの2の最後、「こうした国の施策と」、ここを読むと、整備は進みつつあるし、受託研究は増加しているし、飛躍的にふえているし、成果は出ているし、評価することができると読むと、新政権は、これはやらなくていいと、予算はつけなくていいなということにならないかなと思いまして、少し心配になりました。でも、すごくうまくまとめていただいたと思っております。

【白井主査】

 成果がないと言っても切られるし、もう十分あると言ってもいけないですし。

【西岡委員】

 ほんとうに困ったものですね。

【白井主査】

 困ったものです。微妙な表現を少しして、でも足らないと、あるいは、これからもっとできるんだという表現にしてもらったほうがいいですね。

【西岡委員】 ここまで来たから、今からだということです。

【白井主査】

 少し表現の問題かもしれないです。要するに、評価することができるのはもちろんそのとおりですが、一層必要だということを前向きに書けないでしょうか。

 さっきの大学等との連携というのは、ここの項は産学官連携を言っているから、大学等の「等」というのは何を意味するのかよくわからないけれど、従来の意味で大学等が研究側だとすれば、要するに、大学、そういう研究機関、そして産業がもっと一体になって今やるという時代になっているわけで、その連携が必要になっているという表現にしても、矛盾はないですね。この項はそういうことを言っているから、西岡委員の、大学はちゃんとしてくれないとまずいというものではなくて、複合化して全体で取り組まなければだめだから、大学のものを持ってきてくっつけたらそれでできるという話ではないというほうがいいのではないかと思います。

【西岡委員】

 だから、この右側はなかなか上手です。

【白井主査】

 いいですね。(4)はそういう意味でもまだ弱いと思います。量が少ないということも少し不満はあるけれど、人材育成のところに、もう少し新しいシステムをつくらないといけないと思います。特に実践的な、開発的な場所というところは、いわゆる基盤型の研究という場所とは違います、というセンスでやらないと、もう勝てないと思います。そういう意味では、プロジェクト型のいろんな研究はありますが、中途半端だということは言えるのではないかと思います、世界の趨勢を見ると。

【西岡委員】

 ここは人材育成のことだけ言っているのではなくて、おっしゃっているのは、シーズがあって、ニーズがあってという連携が要るという話ですよね。

【白井主査】

 野間口委員どうぞお願いします。

【野間口主査代理】

 きょうは原山委員も竹岡委員も来ておられないので、私自身もちょっと目を通しましたが、サポートしてくれる事務方にいろいろディスカスしまして、少し足らない、時代おくれではないかなという点があるのではないかという意見がました。全体としては非常にいいと思いますが。それは、産学官連携ですから、どういう成果、出口を期待するかという点で、今や新しいものをつくって世界にいち早く売りましょうというだけでは、競争力の半分にしかならない時代ではないかなと思います。それを売って、世界の人が使う仕組みというか、そこまで持っていかなければ、ほんとうのイノベーションという、世界の中のイノベーションにはならないのではないかと思います。そういう意味では、世界のシステムに持っていくため、すなわち標準化とか、そういうものに産学官連携としてどう取り組むかということです。標準化と言えばすぐ、デファクトでもいいのではないかとか、わざわざデジュールをねらう必要はないのではないかとなりますけれども、アメリカ西海岸のデファクト的なモデルはもう少々古くなって、国際的に大きな課題に立ち向かっていくには、世界で合意するようなデジュールでなければいけないとなっています。この前、ISOの総会に出ましたが、欧米をはじめとして、総がかりで産学官連携ですね。私、電機の出身ですけれども、昔、電機分野でしたら、電機メーカーは世界中しっかりしていましたので、あまり官の干渉を受けずに自分らで仕組みを決めていこうというIECの伝統の歴史がありますけれども、環境とか何とかと入ってくると、そういう時代ではないです。ましてや気候変動というような課題になったら、いろんな分野の研究を総がかりでやらなければいけません。そうしたら、統一した評価基準とかいうのをどんどん標準として課題の若い段階から決めながらやっていきましょうという時代になっていると思いましたけど、これはまさに産学官連携の格好の題材だと思います。そういう視点をどこかに入れておく必要があるのではないかと思います。それがあまり出てないというのが残念だなと。竹岡先生とか原山先生、それを日ごろ痛切に感じておられる方々じゃないかと思っていましたけど、我が国で、我が国のものづくり、製薬業も含めて、そういうものの競争力と言っているだけでは全く不充分ですので、それを持続させる世界システムづくりへの貢献という視点で国際標準を見直す必要があるのではないかと思います。これは産業界だけでもだめな時代ですね。やはり、学や官がサポートしていく必要があります。秋元委員は痛切に感じておられるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

【白井主査】

 いかがでしょう。秋元委員どうぞお願いします。

【秋元委員】

 先ほどのご意見がありましたように、私もこれを読んで痛切に感じるのは、日本という枠の中でしか考えてないと思います。やはり、世界がどう動いているか、あるいは現実の世界はどうであるかと、これを入れて、先ほど言いましたように、評価できるけれども、例えば世界のそういう趨勢から考えたらまだまだ足らないとか、そういう観点がどうしても必要ではないかと思います。その端的な例が、先ほど武田理事が言われたことです。実は私も上海に行ってきたのですがん、中国は、たしか5カ年だか7カ年計画で、世界のメガファーマ、ファイザーやロッシュ、こういうのと拮抗できる会社を数社つくりたいという話がありまして、8月にまず上海にできました。その次に、今、昆明につくろうとしています。上海は、数十社まとまって中央研究所のようなものをつくって、上海薬業集団公司といいますが、従業員はもう5万人になっておりまして、ファイザーに近です。ただ、売り上げはまだ少ないです。それから、研究もこれからでしょう。でも、これを中国は国家戦略としてやるとのことです。昆明につきましても、伯楽集団公司がもう既にできています。そういうのをすべて国家戦略として統合してやっているので、非常に早く進むと思います。そういうような観点で、今、薬業界を言いましたけれども、ほかのところも非常に中国は侮れないと、もう抜かれているというような状況ですから、そういう世界の情勢を考えた上で日本としてどういうふうにしていくかという視点がどうしても必要ではないかなと思います。

【白井主査】

 西山委員どうぞお願いします。

【西山委員】

 ここまでよくまとめていただいておるということは皆さんと全く同じ意見で、それはここで一つの節目として決める必要があると思いますけれども、これからの課題としてまだどんどん検討していかなければいけない課題が山積しているのはここにも述べられておりますから、そのときに若干のコメントをいたしますと、やや具体策に欠けると思います。総論のベースでとどまっている段階です。だから、次に行くのは、いつまでやるかということがいつもセットでないと具体策ははっきりしないと思います。そうすると、これは私の意見ですけれども、2050年のことを言ってもしょうがないので、2020年というのをターゲットに入れた中での具体策をしないと、いつも正しいことの中で、入り口の中で終わっちゃうと思います。時系列というのは非常に重要なので、産学官連携ということは、これみんな書いてあるけれど、部分ではなくて、日本国としての産学官連携ですから、これは全部、主語は日本国だと思います。だから、我が国は、我が国はとあるのは当然のことだと思いますけれども、どうするかということは、時系列としては2010年をクリアに意識しないと、2020年だと世界がどうなるかというのは大体読めると思います。もちろん中国が台頭するのはそうだし、アメリカと拮抗してくるでしょう。そうしたときに日本の重要度はその中でどうするかというのは、個人的には、アメリカと中国の台頭が著しくなればなるほど、日本の重要度は増すと思っています。それにはやはり日本の科学技術力の競争力はそれなりにある部分で高まっている前提で日本の重要度が高まると思っていますから、そういう認識が必要だと思います。

 具体策としては、そのときにやはり、国際連携というと、欧米との連携と、発展途上国、特に東アジアとの連携とをある程度、トータルでは全体の戦略は全体で考えなければいけないけれど、区分した具体策を考えないと、日本の地盤沈下は著しくなると思います。その辺が一番大きな課題だと、私は思っています。次の課題という意味で申し上げました。

【白井主査】

 ありがとうございます。

【野間口主査代理】

 実は、竹岡委員がお見えになるのを待っていました、非常にすばらしいご努力をいただいたので。ただ、みんなまた勝手なことをいろいろ言わせていただきました。

【白井主査】

 羽鳥委員どうぞお願いします。

【羽鳥委員】

 私は、大変すばらしいまとめになったと思っていまして、竹岡委員がちょうどいらしたから言っているわけではないですけれども。基本的にはやはり一区切りというのがあるのであろうと思いまして、今の西山委員と同じ意見ですが、仮に、3ページの、大変いろんな成果が出て、評価することができるという、それに対して、今後も予算をつけてもらうあたりのくだりでは、少し一点だけ思ったのは、日本の大学が組織的に産学連携を始めて、一番古いところでも10年、東大はじめ10年ぐらいしかたってないですね。10年前にスタートして、そこから尖形的に立ち上がってきて、5年ぐらいで定量ベースになったかもしれないです。そうすると、定常になってから5年か6年しかたってないという状況もあるのかなと思います。他方で、アメリカのMITの技術移転担当者や産学連携担当者がよく言っているのは、実際に大学の研究成果が生まれて、つまり、例えば特許が出て、提案があって、そこから成果が出てくるには10年必要だと思います。そういうあたりでは、まだその時期に達していないところ、あるいは初めて達したような時期というのが今ではないかと思います。とすると、新しいこともどんどんやっていく必要もあるのかもしれませんが、正念場という意味で、地道な努力、持続力といいますか、地道にやっていくという、そういった側面も必要で、何か、毎年新しいことというよりは、持続的に、少し地味かもしれませんけれど、例えば共同研究をやり始めて、途中で放り投げて次に行くのではなくて、それをもっと発展させる努力というのでしょうか、地道な努力、持続力、そういったところも一つの視点なのかなと思いました。

【白井主査】

 ありがとうございました。成功しているのなら、さらにそれを進めるという部分が必要です。継続しないとやはりだめだと思いますね。

 竹岡委員、どうもありがとうございました。おかげさまで非常にすっきりしたとは思いますが、さらにみんな望みが高くて、今、いろいろなご意見をいただいているのですが、作業をやっていただいて、何かコメントすることはございますでしょうか。

【竹岡委員】

 この前のワーキンググループで(1)のところが少し、特に予算編成のことが、きょうから仕分け作業があって、危機感をもっと持たないといけないのではないかと、つまりそれを訴えなければいけないのではないかということで、2ページ目の(1)の、「そのためには」と黒く書いてあるところの上の3行、つまり「科学技術力による国際競争力強化と新しい需要の創造を怠った場合は、我が国における科学技術の空洞化が生じ、ひいては国力の衰退という取り返しのつかない事態を招くおそれがある」と、「科学技術の空洞化」という言葉をここに入れて、特に政治家に危機感を持ってもらわなければいけないのではないか、と思います。そうすると、この次の「そのためには」というのが科学技術の空洞化を指しているかのようで、すみません、今、文章的なことで、ここは少し、ここに入れたために「そのために」というのが何を受けているのかなというのがわかりにくくなってしまったと、でき上がった文章を読んで少し思いましたので、そこは修文していただければと思います。

【白井主査】

 「そのため」というのは、空洞化のためではないですからね。

【竹岡委員】

 そうです。何かそういうふうにも読めてしまうので。あとは特にございません。

【白井主査】

 ありがとうございました。また後でご意見をお願いします。

 ほかにはいかがでしょうか。さらに次があると思って、世界を見て回ると、特に中国等々、1カ月行っただけでも私も何か違っているという、それがいいのかどうかというのはいろいろ議論あるでしょうけれど、いずれにしても目標を持って何かやっているということは事実だし、長らく、大学での人材育成というものと産業界が求めるものは非常に違うと、特にドクターの人材なんかは違うということを言ってきましたが、どうもその議論は不毛だから、大学は大学でしっかり基礎研究をやる、これはその立場では当たり前であって、そうしていただければいいと思います。だけど、大学みたいなところで人材育成をしなければ産業も強くならないし、それから開発そのものは一大学とか一産業と言っていられない時代にもう既になってしまったと思います。一企業、一産業といいましょうか。日本はどちらかというといまだに大学単位です。我が大学はという感じでやっていて、その範囲でできることは非常に限られちゃっていて、いくらすばらしい大学でも競争にあまりならないです。世界の方向性は、先ほど上海で薬の薬業などありまして、そこでは、開発も行われるけれども、若い人たちの育成も当然行われております。そこでは、それこそ特許を扱う人とか、製品開発をやるとか、マーケティングをやるとか、そういうほんとうの実践の場で鍛えられます。これはある種、人材の育成システムです。そういう育成システムを持たないと、大学がドクターコースで育てた者がそういう意味で役に立ったというのは、大体ピントが狂っているということだと思います。したがって、研究開発をやり、それから商品開発をやり、そしてほんとうに売って歩く営業的なことも含めて、できる場所というのは別にあって、そこで行われる仕事というのは当然、純粋に基礎研究をやっているのとは違うわけであって、これを同じに考えるということ自体がほとんどピント合ってないから、少し、人材育成のやり方も、産学連携でまさに場所を設定してしっかり育成するシステムをつくらないと、大学にないものを一生懸命ねだっても、これはやっぱりよくないと思います。ここら辺は、秋元委員あたりはご意見あるのではないかと思いますけれど。

【秋元委員】

 私、色々なところで授業を持たせていただいていますけれども、やはり人材、特に知財の人材というのは、発明があって、それで知財を考えて、それからそれを産業につなげると、こういうところがないとどうしても、特許法だけを勉強するとか、これではうまくいかないです。だから、大学でそれをやれというのは難しいかもしれませんが、できるだけそういう産業につながるような形、あるいは知財というものをどう経営に使うのか、あるいは、どうやってグローバルなマーケットシェアを考えて、グローバルな戦略も含めたような知財の教育をするのか、これはすぐ役に立つとは思いませんけれども、そういう考え方を若いときから広く植えつけておいたほうがいいと思います。各大学の、特にほかのところも見ていますと、シラバスを見ると、大体、特許法の解釈とか、そういうことばかりになっていますが、産業界がどうしているのか、これをぜひ大学でも教えてほしい。その上で、産業界に入った上で、今度はどろどろした修羅場をくぐって、そしてほんとうの戦略・戦術を身につけるということが一番早いのではないかと思っています。ですから、大学は大学の役目はもちろんあります。基本的な特許法であり、場合によっては民法であり、そういうことを勉強しなければいけないと思います。それと同時に、それがどう使えるのか、どう産業で使われているのか、これをぜひ教えてほしいと思います。

【白井主査】

 大学は基本的なことをまず最初にやるというのは当然のことかと思いますけれども、現実の厳しさ、特にドクターコースレベルというようなところに来ると、現実のところに行かないで、訓練にも何もなりません。

 逆に、純粋に一生懸命研究をやっている人、この人に特許法の勉強もやったらどうだとか、そういうことを言っても、そういうものやっている時間ないから、むだですよね。それよりは、自分の才能を徹底的に研究に使うべきである。ここのところが切り分けできてないのではないですかね。

【井口委員】

 今の知財人材の育成という話で、私は今、日本知財学会の人材育成担当理事をやっておりまして、実際、3つの分科会が動いていて、1つは高度の知財を扱える人材育成。これは、産学連携してかなりの、いわゆる法務とか知財の部長とか、そういうクラスと、人材も育成しながらやっています。それからもう1つは、知財マネジメントをどうするかという分科会です。それからもう1つは、小中高、初等中等、高専や大学のあるレベルの基盤となる人材育成、知財教育分科会です。これはやはり長くかかりますけれども、非常に重要だということで、私どもも、新学習指導要領の中の色々なところに知財という言葉を散りばめていただきたいということで、高等学校、学習指導要領は初等中等教育局ですので、そこには、理科の教科書、あるいは、いわゆる商標もありますので、芸術や美術など、そういうところにも知財という言葉をかなり入れさせていただいております。今一番は、私は現在、高専なので、高専って中堅技術者で、技術のほうもしっかり教えていますけれども、知財を本科5年と専攻科2年、この辺を連携するような知財テキストをつくり始めて、今年度内にその辺をつくろうと思っています。これは、工業所有権情報館とは別に、高専の性格上、特化したようなテキストをつくろうとしています。ただ、教育や人材育成は非常に時間かかります。我々としては、息切れしないようにぎっちりやりたいと思います。そういう意味でも、人材育成というのは、成果あったというよりは、さっき持続的という言葉を言われたように、ぜひそういうようなことをこれからやっていかなければいけないと、そのように考えております。

【白井主査】

 なるほど。

 それでは南委員お願いします。

【南委員】

 非常に竹岡委員と原山委員にご苦労いただいて、とても読みやすく、よくわかりやすくなったと思います。ありがとうございます。私は、産官学の連携ということの事の次第の厳しさというのはよくわかっているつもりですが、それでもあえてここに出席しているのは、一応メディアとして出ていますので、少し皆様とは違ったことを申し上げるかもしれないですけれども、産官学の厳しい状況と危機感とか、それから、とにかく連携を強化してグローバルなものすごく大変な戦いに勝っていかないことには仕方ないというのは全くそのとおりだとは思いますが、ただでさえ、産官学の連携とか、大学だ、企業の競争力というのは、一般の国民には非常に遠い話になっているわけですね。それで、先ほど野間口委員が言われた出口ということと少し似ているのかもしれないですけれども、これをすっきり読んだときに、一般の国民が読むかどうかは別としまして、どういういいことがあるかというと、間接的には世の中を潤して、いいことはたくさんあるというのはわかりますが、例えば広く社会に還元するとかいう、わりとあっさりした言葉で済まされていて、もう少し何か、日本国民だけではない、産官学協働して英知で世界をよくしていかないといけないという、何か文言みたいなものがないと、やはり今の社会状況からいって説得力がいま一つかなという気がするので、あえてそういうことも申し上げたいと思いました。

【白井主査】

 (3)ですか、国際貢献など、一応全部入っていますが、どう表現すればいいかでだと思います。何か知恵がありましたら、ぜひお願いします。日本国民に役に立つという感じではないですねこれは。

 先ほどから出ている色々な、産学連携のような非常に大きな研究と開発組織というのはどんどん世界中にできつつあるわけです。それはものすごく、雇用創出などには実際役立って、それが世界の今後の、何か人類に役に立つのかどうかと、そこまで言われるとよくわからないですが、やらないほうがいいのではないかと思います、大局的に言うと。でも、これは競争だからしようがないというところもあると思います。だけど、基本的には日本の産業を少し活性化するのであったら、それはプラスにはなるでしょう。だから、そういう日本の中での産業・雇用創出、そういうものにはどこか役に立つというのが少しぐらいあってもいいのかもしれないです。

【竹岡委員】

 基本的にかなり政権を意識して書いていまして、だから、この4つのキーワードのうちの一番最初、科学技術駆動型の成長戦略という言葉、これは実は柘植委員が前回のときにおっしゃっていた言葉がすごくいいなと思いまして、つまり、今成長戦略というものがないのではないかと思います。この前、昨日か一昨日ぐらいに成長の柱として環境と雇用と子供と書いてありましたけれど、雇用や子供というものは結果であって、経済が発展して雇用があるわけですから、そうすると環境しかないのかなということになります。そうだとすると、「コンクリートから人へ」であれば、まさに今、ほんとうは科学技術駆動型の成長戦略というのは最たるものです。そこにピンポイントにはまるような言葉、あれがすごくいい言葉だなと思いました。だから、(1)の見出しですけれど、要するに科学技術駆動型の成長戦略という言葉や、あと地域という言葉です。今非常に、これはどちらかというと重点項目になっているので、こちらもコンクリートではなくて、今までのイノベーション、地域クラスター創成事業などが基本的になかなかうまくいってないのも、地域との連携がとれてないとか、そういうことだと思います。それから、3番目は国際貢献ですけれど、先ほどの南委員のおっしゃっていることというと、多分、ある意味で報道的な視点から見たことだと思います。つまり新聞記事の見出しをつけるような。私はなるべくわかりやすく3ページに書きましたが、それでもまだわかりづらくて、多分、アピールするためにはほんとうに新聞記事の見出しになるような形の言葉でどこかで書くのが良いとは思いますが、でもこれは、ブリーフで文部科学省にやっていただくのかもしれません。

【武田委員】

 ジャーナリズムのほうも良質なキャッチコピーをつくっていただくのが良いと思います。

【竹岡委員】

 そう、ジャーナリズムの方に、要するに見出しになりやすいような、そういうような概要など、それは文部科学省のほうにぜひお願いしたいなと思っています。

【白井主査】

 概要のところのつくり方を考えたらいいのかもしれないですね、確かに。

 どうぞ野間口委員お願いします。

【野間口主査代理】

 要するに国際貢献とかいうところで思うのですが、先ほど南委員もおっしゃられたように、国際貢献の仕方が、日本が成長してどんどん経済社会の活力を上げてプロダクトアウト的に貢献するという時代ではなくて、竹岡委員がやっておられる例えばパテントなんかは、世界システムですね。産学官連携の成果は新しい世界システムづくりみたいなものにつながっていくという視点が、やはり貢献のあり方が、今までの貢献のあり方とは一味違ってくると思います、グローバル化時代で。例えばアジアなどは、自分のところでつくって世界に売るという、日本をキャッチアップしようとやっているけれど、ヨーロッパは既に世界システムづくりみたいなもので先行していますよね。その辺のところを、日本としてもそういう領域まで貢献していくという国際貢献のところの中身がもっと具体的に示されたほうがいいのではないかなと思います。ここに書いてあることは方向性としては非常によくまとまっていると思いますけれども、そういうのを示したほうが、この産学官連携の、多くの人の知恵を集めた成果として、より時代の方向性というのでいいのではないかなと思いますけれど。

【竹岡委員】

 3番のところでそういう課題解決、日本の科学技術力などを、要するに産学官連携するということによって、地球規模の課題を解決する、貢献するという方向性で書いていますが、本文のもともとの中にはそこが欠けていました。欠けていたというか、弱いという感じでしょうか。だから、つくっていて、この(3)のところが中とタイアップしてないです。ほかのところは大体出ていますが、それが少し野間口先生のおっしゃるとおりのところです。

【白井主査】

 出ているというか、これまで日本があまりやってきてない領域です。要するに、例えば環境技術などというのも、技術は持っているかもしれないけれど、技術をただ外に売ることしか考えてないから、もっと知財としてどういうふうに組んでいくのか、世界中の知財をどのようにこれからお互い共有して使っていくかという視点が非常に薄いということです。だから、たまたま今日から、京都で知財に関する会議が開かれていますが、ここでは話題はまさに、ヨーロッパ勢はどういうことを考えているんだ、アメリカの特許勢の連中はどう考えているんだ、日本はどうだということが議論されています。そろそろ共通化しなければいけないけれど、どうしたらそういうプロセスがたどれるかという議論が始まっています。そういうものの主導権はなかなか簡単にとれないけれど、日本は日本のシステムだとすると、それをあわせるとしたら、結構大変です。それの議論が既に始まっているわけであって、そういうところにまさに貢献すべきだというのが先ほど野間口委員が言われたことだと思います。

【西山委員】

 南委員と竹岡委員に関係することで申し上げますけれども、結局、日本国としてのアイデンティティーが今は何で、どこに向かっていくかという考え方が国民とのつながりの中で極めて重要だというご指摘のように私は受けとめましたが、その場合、全くの私見ですけれども、第2次世界大戦までは、日本はやはり、何ですかと言われれば、軍事大国を目指したわけです、間違いなく。それから、第2次世界大戦後に営々とやってきたことは、経済大国を目指したわけです。今は軍事大国を目指しているわけではないし、現段階では経済大国を目指すというような方向は必ずしも正しくないように思います。そうすると、まさに竹岡委員がおっしゃられたように、科学技術駆動型の成長ということについてもう少し踏み込んだときに、日本はずっと科学技術創造立国と言っているけれども、実質的に国の政策は科学技術創造立国ではないです。ですから、それを文字どおり科学技術創造立国にするということをやれば、国民は理解できると思います。要するに、国際貢献も科学技術を通じてやっていくということは非常にわかりやすいし、日本が得意な分野であるからして、そういうメッセージを発信する中で、そのプレーヤーをだれが担うのかということです。日本国としては、産学官でなければ担えないわけです。私は、そういうスタンスが非常に重要かなと思っております。

【白井主査】

 だから、大きい流れとして今まで出ているところは、これまで日本は製品を売って輸出しているというパターンです。そうすると、競争力のあるものをつくるということに非常に大きい力点があって、それでなければしょうがない、それを続けなければ生きていけないと、こう言ってきたけれど、それよりは、まさに人材と知財、そういうものを全部ではないけれども相当な部分をカバーして、それで世界貢献して生きていくという表現になります。それ以外は、少し考えられないです。何か物をつくって競争優位だという時代は終わったということも明快にしないといけないと思います。そういうトーンを少し入れて強調したらいいのではないかと思います。それで、さきほど竹岡委員が言われた(1)の「そのためには」云々というところ、ここのところはそういう趣旨で少し書き直してくれたら非常にいいなと思いました。

 あとは、先ほどの終わりのところの評価できるというところは、もう少し先に行けるようにすると良いと思います。「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズをこの文章の中に入れてしまうと、民主党の肩を持っているというふうに見えるからやめておいたほうがいいという気がするけれども、人の育成に変わってきたということを何となく意識しているというのがどこかに入るといいと思います。

【三木委員】

 ワーキングチームのほうで一緒に検討してきたので、この案については、きょうの段階では基本的にはいいと思っているけれども、実は、この検討の過程で、私、幾つか気になったことがございました。トータルで3点ほどありますけれども、1つは、先ほど南委員のほうからご発言あった、わかりやすさということの点ですけれども、そのときに、歴史はやはり繰り返しているということだと思っています。江戸末期から明治維新のころに「富国強兵」という形で科学技術を一気に導入すると、そういう時期があって、当時のキャッチコピーは「富国強兵」だったわけです。今のキャッチコピーは多分、民を豊かにして、ともに生きる世界で、「富民共生」みたいな、そんな感じでしょうけれども、産業の育成はその究極のゴールとの関係でやはり産業競争力の強化というのも位置づけておく必要があるだろうと思います。そういうキャッチコピーのつくり方というのは、今後、科学技術駆動型のイノベーションを考える場合でも非常に重要なことであろうというのが、第1点です。

 それから第2点目は、実はこういった総論の話はいいですけれども、1つずつ具体論に落としていったときに幾つかのプランが出てきて、そのプライオリティーをやはりいろんな形で示していくことが必要であると思います。そのときに、西山委員が言われたように時間軸を考慮したプライオリティーを示していくことが必要だということで、これは今後の課題だろうと思っています。

 それから第3点目ですけれども、常に大学のことが問われますので、私も大学人ということで、いろいろなご指摘、かなり当たっていると思っています。1つは、日本の大学ではほんとうの意味でスカラーシップ論というのがなされていないと思っています。これはこの委員会でやるべきことなのかどうか、少し範疇を超えるかもしれないですけれども、例えばアメリカなんかでも30年ぐらい前からスカラーシップ論というのが非常に検討され始めて、最近では幾つかの考え方が出ています。例えばボイヤーの考え方だと、スカラーシップ論は、まず発見(ディスカバリー)、それから、インテグレーション、アプリケーション、ティーチングと、こういった問題を提起しているわけですけれども、こういったことが日本の大学では実は、アカデミックフリーダムということで、先生方は個として存在しています。個としての研究者として存在している。ところが、法人化以降、組織としての大学ということが問われている。国立大学でもそうなっています。こういうスカラーシップ論のところまで踏み込まないと、結局、いろんな人材育成で、こうしてほしいというようなことを書いても、現場のところで力にならないと感じています。そういった単なるアカデミックリサーチャーではなくて、スカラーシップとしての大学の、ティーチングも行い、リサーチも行うスタッフだという、こういった位置づけを、ここでやるのか、それとも文部科学省のほかの委員会でやるのか、ここは微妙なところですけれども、そういったことを今後やっていかないと、産学連携自身もどこかでデッドロックに乗り上げる可能性があるという印象を持っています。

 以上3点、感想めいたことで、今後この委員会でも検討する必要が出てくるのかもしれないと思っての発言です。

 以上です。

【白井主査】

 ここの委員会にスカラーシップとかそういうものが関係するとすれば、大学は何のためにあるのということになってくるかと思いますが、結構難しいと思います。アカデミックフリーダムというのは、今、どこの大学も一応均一に、一応原理にしていいます。だけど、そういうのでいいのでしょうかという疑問はもちろんあるわけで、とりわけ産業界と密接しなければできない分野、人材育成からはじまって、全部そうだという分野は、さっき申し上げたけど、考え方を変えなければいけないです。特に税金でやっているような学校、国立大学法人は、全部とは言わないけれども、相当そういうものに加担してもらわないとならないということになります。それは既にヨーロッパなんかでも起こっていることだと思います。それがいいかどうかというのは確かに議論があるけれども、どっちか考えないとなかなか先へ進めないというか、今のままで競争力ができるかというと、それは少し難しそうだと思います。ということがかなりここでははっきりしてきていると思います。そこまで踏み込んで、かなり踏み込んだ、半分ぐらい、片足ぐらい今出したというぐらいのところだと思います。

 西山委員が言われた、もう少しタイムスケールというのか、例えば第4次というのを言っているけれども、第4次ではこんな体制が必要だということはあえてまだ言ってないけれども、具体的に言う必要はありますでしょうか。そこは少し、このレポートとして最終的に少し問題かもしれない。だけど、いつごろまでにそんなことをやらなければいけないとは言ってない。

【西山委員】

 これでのまとめの中では触れているのではないかなと思います。

【白井主査】

 少しずつ修正できるところはあろうかと思いますが、南委員の言われた、もう少し一般の人にきっちりわかってもらう、そのために概要づくりとか、少しそこら辺を工夫してみたらどうでしょうか。まずタイトルの書き方からしてよくわからないというふうに言われると、そうかもしれないですけれども。あまり考えられていないですね。

【南委員】

 すみません、一般の人がみんなこれを読むわけではないので、そうしますと、あまり薄まっていくのも好ましいことではないと思いますので、また逆に、私、初回のときに少しそういうことを申し上げたかもしれないですけれども、科学技術が役に立つから必要みたいなイメージはもうよくないと思います。役に立つためにとか、有用性ということに今少し誤解があって、それでは役に立たないことはやってはいけないのかという話になってきて、英知といいますか、真理の探究ということは役立つこととは違うことだと思いますので、そこはさらに強調すると、かえってまずいと思います。国の税金を使ってこういうことをやることについての説得性というか、そういうものが少しにじめばよろしいのではないかと思います。言葉では難しいですけれど、そういう意味で申し上げました。

【白井主査】

 ありがとうございます。

 大分書かれているかと思いますけれども、もう少し一言というところがあると思います。石川さんは何も言っていないみたいですけれど、何かありますでしょうか。

【石川委員】

 前も一度だけ発言しましたが、この総論のレベルでの議論は、今の議論はいい議論だと思いますけれど、いつかやった議論をまたという感覚があって、大学の現場サイドからすると、次へジャンプアップするための何か一つ大きな柱が欲しいというのはあります。言っていることは全然間違ってないので、いいこと言っていると思います。だけれども、現場サイドから見ると、いい話でして、いいこと言っていると思いますが、ではジャンプアップするためのエネルギーになりますかということに関しては、少しないかなと思います。ただ、これは課題を提起しているだけなので、課題を解くほうは多分別なエンジンになると思うので、そのエンジンのほうできちんとやるべきだと思います。そこがどれだけできるかが実は産学連携の肝であって、課題がきれいにまとめてあるのでいいですけれど、その肝のほうをどうやってつくり出すかという議論に早く移ってもらいたいなというところもあります。

 前も少し申し上げた、大学はこの5年、10年、相当な改革をやってきたわけで、この改革をさらに改革せよということは、教育システムの時ほど数は1年2年で変えることはなかなか難しいので、5年10年の話では、さらに変えるという、よりよくはあまり残ってないです。ですから、何らかの大きな施策の中でジャンプアップすることと、それから、大学の外と社会のほうの変化を強く、企業も、日本の企業が産学連携に対する感覚をもう少しジャンプアップさせるような施策が欲しいなと思います。例えば我々の大学が何か大きな成果を発表すると、今、飛んでくるのはアメリカ、ヨーロッパ、中国及び韓国であって、日本の企業は3週間か4週間おくれて出てきて、先生、何かおもしろい話をやっているようですねときますが、そんなものはもう1週間前に全部終わっていますよという話です。それから、日本の企業が来るというときに、先生の知財はうちではこうやりますという話になっていて、戦略はなければ、知財に対する構造の理解もなければ、そういう日本の企業でいいのかというのも少しあって、大学だけではないんだということです。社会や日本もジャンプアップできるだけの具体的な施策へこの課題がつながるように持っていくほうが重要かと思います。

【西岡委員】

 少し関連して発言させてください。前にこういう話をさせていただいたと思いますが、産がしっかりしていれば、今の仕組みでどんどん連携は生まれます。全然そのことに興味を示さない産というのはどうなっているのかということです。先ほど一般の人にわかりやすい話というものがありましたが、これを読んだときに産の人がやらないと思うかというと、何の興味も示さないと思います。だから、石川委員が言われたように、連携ができるのは、今でもできます。やらない企業をどうするのかという視点も要るのかなと思います。

【白井主査】

 日本の産業はずっとそうなんですね。それで得したのか、損したのかということでして、これは結構微妙に思っているのではないでしょうか。

【西岡委員】

 ですけれど、こういう話はすごく個人に依存するので、すばらしい産学連携のプロジェクトはいっぱい成功しています。それでも、その会社でもその人のところに行かないと成功しないというのがあります。だから、もう少し成功例を上手に示さないといけないと思います。このレポートをどうしようという気はないですけれど、動かないと思います。

【白井主査】

 さんざん議論してきた人材育成、要するにそういう感覚を持った人、それが産業界ももう少し増えてほしいというのはもちろんあると思います。大学のほうもそれにこたえられないということはあるかもしれないけど、多分、産業界からのアクセスがあまりにも弱いというのは事実だから、というか、あまり考えてないと思います。

【西岡委員】

 大学が弱いから使えないのではなくて、今、使おうと思ったら、使えます。

【白井主査】

 知的には使えると思います。

【西岡委員】

 それで前に回していくとごろごろ回っていくと思いますが、その一歩を踏み出さないからあまりうまくいっていないと思います。

【白井主査】

 あまり本質的なことを話してしまうと、こっちも調子悪いです。

【本田委員】

 私も追い打ちをかけるようにというところがあるのかもしれないですけれど、ほんとうに現場サイドでは、石川委員がおっしゃられたとおりでして、産学連携の私たち技術移転活動者というか、情報発信者はだれに向けて情報発信しているかというと、やはり日本の企業の方々に情報発信をしていて、なかなか論文では情報をフォローできない日本の企業のためにブリーフをつくって発信しているというのが現状でして、我が国、我が国とあるのが気になるとおっしゃられるご意見もありましたけれども、私たちは我が国の産業の方に使っていただくために動いているというのが現状なので、こういう言葉になってしまうのは実態と合っているのかなとも感じております。

 それとあと、(3)のところですが、地球規模課題の解決と言ったときに、大学でどこまでできるかというと、やはり限界があって、企業の一層の協力があったりとか、サービスイノベーションをねらったときには大学だけでは当然できないので、やはり産学連携と言ったときには、どちらかというとこれは学側の視点が多いとは思いますけれど、そこには産業界があってこその産学連携なので、どこかに企業(産)側の一層の協力というところが一言入って、両者が組み合うような見せ方ができるといいと思います。

【野間口主査代理】

 西山さん、何かないでしょうか、産学官連携委員長として。

【西山委員】

 要するに、企業、産業界をひとくくりにとらえて言うと、難しいです。同じ会社の中でも、政策的に打ち出してうまくいきますかというと、そうもいかないので、同じ会社でも個人差がすごくあります。だから、今、西岡委員もおっしゃったように、うまくいっている事例もたくさんあるわけです。もしうまくいかなかったら、企業はつぶれてしまいますから。大学と違って企業の場合は世界から撤回を余儀なくされてしまいますから、そういうレベルではどこかで踏みとどまるところはあるけれども、あまり総論的に産業界云々という部分ではなくて、だから、冒頭申しましたように、ある程度具体策が必要で、具体策で議論しないと、必ずしも総論の部分は間違えないと思います。具体策でどうだということを考えるときに、冒頭言いましたように、時系列の設定での具体策でないと意味がなくなってしまうということをずっと申し上げています。だから、次なる課題は具体策だと、申し上げています。

【野間口主査代理】

 西岡委員の発言から始まったので、私も西山さんの経団連の産学官連携推進部会長ですからまとまったと思いますが、この議論をするときに気をつけなければいけないのは、アメリカやヨーロッパの話をするときは、成功している例、いい例を取り上げて、アメリカはこういうことで成功しているということです。日本は、先ほど西岡委員がおっしゃられたように、非常にうまくいっている例もたくさんあると私は思いますが、それではなくて、うまくいかない例が必要だと思います。石川先生はほんとうに苦労しておられるから、よくわかると思いますが。それ以外の人が付和雷同的に日本の産学官連携はものすごく問題だとおっしゃるのは、具体的なところまで考えてないからだと思います。アメリカのIT産業は、産学官連携といいますか、そこは非常にうまくいっていました。創薬の分野でもそうかもしれませんけれど、例えば製造業は惨たんたるものです。あれは産学官連携をものすごくやっていました。我々が若手でいろいろやっているころは、アメリカがうらやましいなと、アメリカのお金の出方、DOEやDOCだけではなくて、DODからも出ますから、うらやましいなと思っていましたけれど、民生用はもうほとんど、航空産業以外は影も形もない感じで、うまく成功しなかったのではないかと思います。日本はそこでしぶとく今日まで続いているのは、京都の産学官連携推進委員会で私言いましたけど、文部科学省のプロジェクト、経済産業省のプロジェクト、これらのおかげです。だから、審議官や局長は自信を持って政策やってくれと、経団連の代表として福田総理のメッセージの後、講演したものですから、言いましたけれども、あれがなかったら産業界は競争力を失った事業がいっぱいあるような気がします。だから、いいところを見て、それをどう広げるかという視点も要るので、あまり悲観的になってしまうのはよくないです。そういう意味でこれは産学官連携の成果は今日まで結構いいほうに来たのではないかというとらえ方は、私は大賛成です。それでは、どういうので効果があったのかというのを考えてみると、非常に自信が持てる例がいっぱいあります。改善すべき点も山ほどあります。大分前ですけれども石川委員がこういう場で発言されたのを聞いたことがありますが、産業界としても反省しなければいけない面が多々あるなと思いましたけれど、そういう面もあることはあります。だけど、全体としてはいいほうに行っているのではないかと思います。その上で、さらによくするにはどうかということです。グローバルの時代の産学官連携というのはどうあるべきか、日本の産学官連携はどういう視点でやるべきかという時代ではないかなと思います。

【白井主査】

 秋元委員、どうぞお願いします。

【秋元委員】

 産業界なので、非常に反省を込めて。今、西山委員、野間口委員が言われたとおり、私もうまくいっていると思います。ただ、現実的に見ると、一括りで言うのか、あるいは大企業になるのかわかりませんが、海外の大学等の共同研究のほうがほぼ2.4~5倍ないし3倍多いです。これは事実です。同じ日本という土俵、それから、距離的にも非常に近いにもかかわらず、そのぐらいまだ差がついています。でも、今後どうするかという話ですけれども、多分、うまくいっているのは、大学について言えば、ハーバード、スタンフォード、及びウイスコンシンなど、こういう主なところだと思います。これはなぜうまくいっているのかと、あるいは、日本で同じような研究領域でやっておられる方がおられますけれども、なぜうまくいかないのかと、こういうようなところをよく解析して、日本として今後どうしたら産学連携がよりうまくいくのかということを検討することが今後の課題ではないかと思います。

【白井主査】

 武田委員お願いします。

【武田委員】

 私も、非常に半端な産業界の経験と、アカデミックなところと、それからアメリカ駐在など、いろいろ総合しまして、今の議論の中でも、西山委員のことにもつながりますけれども、少し、これから目指すべきものと現状の問題点、それを相関させなければいけないと思います。もちろん産業界を一括りで言うのも、産学官連携というのも、もう少し分解能を上げないと、全然、議論、具体策にならないと言っていましたが、一つの見方で言うと、日本の現在の産業技術力は世界でトップだと思います。それが先ほど言った世界標準になっているかとか、個別の企業としてぼろもうけしているかということはクエスチョンがつくけれども、技術力では負けてないということです。それは、国の研究開発投資から見たときに、先進国の中でも日本の研究開発に投じているお金の額は大きいけれども、そのメジャーなポーションが企業における研究開発投資になっているところにあらわれていて、やはり個別の企業が、自前主義っていうネガティブな言い方もありますが、自分で一生懸命研究開発もやっているから、現在、世界トップの産業技術力があるということです。しかし、新しい産業が生まれないと次の日本は、西山委員が言われた、2020年や2030年、環境や何かをいろいろキーワードにして、もしかすると産業構造が変わるかもしれないといったときには、現在のような日本の構造で企業が一生懸命自前のお金で研究開発投資するというのは、生き延びること、あるいは延長上で延ばすことに行っているわけです。なので、やはり国の公的なお金がそこに注がれないと、新産業創出など、大きく変える力にはならないという面においては、少し方向性をクリアにして、産学連携の方向性の中にも、今あるものをさらに強くしていく話が今はないから、大学にあるところをやらせながら、企業もそこをやっていこうではないかという話に分けていくとか、あるいは、今度は、先進国というか、先頭を走っているアメリカを追っかけているそのはざまにあると、そういう意味でもそれぞれのところを取り入れながら日本の生き方ということでいけば、明らかに中国やその他の国は我々をどんどんレッスンして追っかけてきます。なので、途上国あたりとの競争をにらんだ我が国の産学連携のやり方と、そうはいってもどんどん新しい産業を生み出していかなければいけないということからすると、アメリカあたりのものをレッスンに取り入れていくという意味で目を開かないと、どうしても最後は、こういう話をしていくとまた内向きになって、なかなかうまくいかないことになるので、西山委員の言われた、少し個人的な意見で、ここは多数決になってしまうかもしれないですけれど、ある意味では2020年とか2030年の姿を我々はこう想定しているので、こういうことをしなければいけないと思います。そこで見たときに、ここが欠けているとか、これでうまくいった例があるということが、この先の議論だと思います。

【白井主査】

 それでは、森下委員お願いします。

【森下委員】

 今回は非常によくできていると思いますし、皆さんが言われたように、産学連携の今までを、どちらかというとこれは自然に行くので、どちらかというと悪いところを見つけて、よくしようという話でずっと議論していたけれども、もう一回、うまくいっているんだということを言い直さなければいけないシチュエーションに入ってきたかなと思います。というのは、今回、たしかこの事業も事業仕分けに入っていますし、それから、先ほどの文部科学省の予算を見ても、ほとんど減少になっています。科研費も減少に入っています。経済成長戦略もはっきりしない中で、正直、産学連携自体がマクロ経済の中でどういう役割をしているのかということを、今まで自明の理だと思っていましたが、再度言わなければいけない状況に入ってきたかなと思います。もしかしたら第4期科学技術基本計画はないかもしれないという話も出ていますので、そうすると、もう一度、バブルの崩壊の後、なぜこの産学連携が始まって、この第3期はどのようにうまくいったかということです。何が問題かはもちろんしなければいけないですし、再度ふんどしを締め直さなければいけないところはありますが、一方で、ここまで伸びたということは明確に言わなければいけないと思います。今回、そういうことも竹岡委員の努力で書かれていますし、非常にいい内容だと思いますが、それでももっと大きな声では言わなければいけないシチュエーションに入ってきたのかなという気がします。

 環境というのはバイオの中でも非常に重要な分野ですし、重点4分野、以前から重要な分野ですが、反面、日本が弱い領域でもあります。そうすると、それ以外の領域を含めてどういうふうに有機的に連携するのかということです。あと、創薬の分野は既に、実は日本には製薬企業の研究所はもうないです。海外の製薬企業の研究所は全部、実は日本から撤退して、中国に移ってしまっています。先日もノバルティスが中国に5年間で1,000億投資をすると発表しましたけれど、今、同じことが、たしか自動車、それから電気もそうではないかと思います。派遣の禁止、円高及びCO2の問題で、皆さん、中国やインドへ工場つくりを発表し始めているところです。正直、大阪や地方にいると思うのは、企業の疲弊が急速に進んでいる気がします。しばらくよかったような気がしましたが、ほんとうに皆さん不景気だと言うことがふえてきて、中小企業との連携もかなり難しくなっていると思います。もうそれどころではないような印象を受けます。そういう意味では、もう一回やはり、大学なり、あるいは公的な資金をうまく使って事業展開をしていくかという、もともとの話を言い出して、それがうまくいっている例というのも見つけていく必要があるなと思います。実際、例はたくさんあると思いますけれど。今まではどちらかというと悪口を言っていればよかった時期が続いたので、少し頭を切りかえて、こういう分野が将来のために重要だということを改めて言う必要があると思います。この10年ぐらい実際うまくいっていたと思いますので、我々もぜひそうした目で今回の報告書を見る必要があるのかなと思います。

【白井主査】

 どう表現するかだけですね。確かに政策的には、一般の人に科学技術というのを、もうそんなお金はないから第4期科学技術基本計画はやめようとか、そういう話が出てくる可能性はあります。まず子供をちゃんとしなければいけないなどの話があります。何を考えて子供を育ててもらうかというイメージをつくらないといけないけれど、そういうところに話がなかなか行かないのをどうするかです。

 時間がそろそろきましたが、ご発言のない方がおられます。それでは、本田委員、ひとつ簡単にお願いします。

【本田委員】

 先ほどの発言で、もしかしたら勘違いされたかもしれないですが、企業の一層の協力というのは、もちろん既に協力いただいていて、産学連携はすごくうまくいっている事例もあり、うまくいっている事例というのはおそらく、わりと近未来的な市場が見えているものがうまくいっていると思います。一方、長期的な連携、例えば2020年、2030年を見据えたといったところでなかなかうまく連携がいってないのではないかと思われます。ですので、今後、こういうまとめの中で具体的な施策としては、長期的な連携の中でプロダクトをつくっていける、システムのような起爆剤的な施策が必要で、そこがうまくいけば、企業のより一層の協力という、二者が、しっかり組んだ形の産学連携が動き始めるのではないかなと思います。

【西岡委員】

 予算を取るためにうまくいっていると書くのは絶対問題だと思っておりまして、うまくいっていません、産学連携は。でも、うまくいっている例があるということだと思います。それなら、ここによい例を列記するのもいいかもしれないです。こういう例があるということで。それで、日本の企業の場合、例えばアメリカのハーバードはうまいこといっていますかというと、少し言い過ぎかもしれませんが、日本の企業から結構向こうに出していて、あれは成果なんか求めていません。あそこと共同研究をやっているというだけで、いい人が採れると思っています。少し言い過ぎかもしれませんが、そういう例もあります。だから、そういうのでうまくいっていると言うのはあんまりにも安易で、産学連携は日本ではうまくいってないと思われるかもしれないが、実はこういうよい例もあると、こういう表現のほうがいいかなと思います。今、いいという意見が多いから、少し危険になっていると思います。

【森下委員】

 でも、僕らは最初を知っているので、正直うまくいっていると思います。

【西岡委員】

 全体的にでしょうか。

【森下委員】

 というか、産業界という言葉を言うだけで大学でどれだけつまはじきにされたか。それから考えたら、今の体制というのは明らかにうまくいっています。ですが、この四、五年で言えば、確かに言われるように発展性が少しとまっていると思います。でも、10年、15年ぐらいを考えたらうまくいっていると思います。

【西岡委員】

 でも、日本の国力を維持するような意味でうまくはいっていませんよ。

【森下委員】

 それはそうだと思います。

【西岡委員】

 明治維新のときに追いかけようと言っていたのと、今とは違います。どんどん微分係数はマイナスです。それでもいいのかということを考えると、ものすごく危機感があります。

【森下委員】

 でも、そういう意味では、うまくいかないのは産学連携だけでもないですけれど。

【西岡委員】

 それはそうですけれど。

【森下委員】

 でも、言えることは、大学サイドから言えば、もともとこの議論自体ができなかった風土の中から始まっていたので、そういう意味ではこの10年、15年の変化というのは、ある意味コペルニクス的変化があるのは事実です。

【西岡委員】

 だから、議論できるようになったということですね。

【白井主査】

 平田委員、何かございますか。

【平田委員】

 議論白熱のところだと思いますが、うまくいったか、いかないかというのは歴史と社会がどう評価するかという話でして、このまとめの中ですごく重要な点というのは、バブル崩壊後十数年たっているわけですけれども、この間に非常に頑張ってきたというのは、多分あると思います。ですけれども、明らかにこの数年で、産業界も、おそらく大学も、世界の色々な競争ルールが大きく変わってきていると思います。これからの10年を過去の延長線上でやっていいのかどうかというのは、多分、明らかにノーと思います。少なくとも企業、私はもと自動車におりましたので、自動車は明らかに大きくパラダイムシフトしています。考え方そのものが変わってきているという中で、大学がどう変わるかというのは、多分すごく竹岡委員とかは悩まれながら書かれているのではないかなと思っています。でも、その中でも大胆にも、今まで製造技術で日本の産業が大きく雇用も吸収しながら発展していくのを、もう製造技術ではないと、まさに科学、ある意味、創造型の技術開発でやっていくというときに、大学が今のままの延長線上で、あるいは今までやってきた中で、その延長線上でいいのかどうかというのが、正直言って非常に疑問に思います。大学は、中からは変わらないと思います。変えられないです。それこそ国の政策であるとかいう力が加わらないと、大学は変わらない組織だと思います。そこら辺が企業とは少し違う部分がありますので、大学の色々なアクションを変えるには、まず教員から変えていかなければいけないです。ところが、教員というのは、もちろん首というのはありませんので、ずっと、年功序列ではなくて年齢序列ですので、その方がいなくなるまで変わらないということです。その間に世の中はどんどん、世界が変わっていきます。音を立てて、まさに中国が力を立て、そして世界のいろんな産業技術のルールが変わってきている中で、今までのやり方をただ進化させるだけでいいのかなということです。それをはっきりと、大学の役割、位置づけ、それは多分、過去の10年とは変えていかないとだめだと思います。ここ文部科学省から出す書類であれば、産官学を並列にするのではなくて、大学はどう変わるのかということをはっきりと言っていいのかなと思います。

【井口委員】

 私もずっと大学にいて、そしてこの10年、バイドールおくれで10年、日本はどうしたら追いつけるかというところで大学の研究成果をどう活用したらいいか、それはベンチャーをそこから出すということでやったりしてきました。大学もここ10年、ものすごく変わりましたが、大学のシステム、組織が変わっても、今、平田委員が言われたように、やはり教員、個々の教員をどう変えるかというところを、今、どれも法人化になっていますが、その管理・運営する立場では悩みです。でもやはり、色々な外圧をかけて学校を変えるということは非常に重要だと思います。ですから、こういうところで、文部科学省も、経済産業省も、色々なところを使いながらお願いしたいということと、それから、実はこの基本計画特別委員会における主な意見というところを見せていただいて、そこでベンチャーというところに対するかなりご批判もありますけれども、さっき言ったように、大学の研究成果を活用するには知財をしっかりしなければいけません。そして、それをもとにベンチャーをつくらなければいけません。雨後のタケノコのように、1,500社を超えるようなものをつくったとしても、ベースがありません。そして、それに対してアメリカはエンゼルなのでといって、これは民間だと言いながら半官的なベンチャーキャピタルがかなりできて、そこがお金を出してやってきたと思います。ところが、この金融危機みたいのでベンチャーキャピタルも投資組合をつくれなくなっていて、じり貧になって、そして、アメリカのほうはいち早くいわゆるIPOからこういう大企業によるM&Aというところに進みましたけど、日本はそこへ行く前の段階でかなりのベンチャーは息切れしています。ごく最近のいわゆる官民ファンドの、色々出たり入ったりしていますけれども、産業革新機構だとか、イノベーション、色々な大きい支援の機構はありますが、政権が動いたからのせいかどうかわかりませんが、実質に動いてないです。そうすると、ベンチャーはものすごくしんどい状況に今あると思います。産業界は、さっきから出ているように、ベンチャーキャピタル、大学の先生がつくったベンチャーキャピタルなんて全然役に立たないという目も多いです。したがって、M&Aは、夢ですね。だから、すき間的なベンチャーがどうやって活躍するかというところを、いろんな施策をこれからつくっていかないといけないと思います。森下先生のIPOをしていて、私なんか目前ですけれども、やはり苦労しています。

 そういう意味では、ここに書かれた、非常によく書かれていて、13~14や27ページあたりにベンチャーについて書かれていますので、さっきから出ているような次に向かった、いわゆるロードマップ、年代的な、どういう施策を設けていけばできるかということをぜひ、この報告はいいと思いますけれども、次のステップはそうしていただかないと、大学も改革の手は緩めてはいないと思いますけれども、やはりしんどいと思います。ぜひその辺のことも含めて、よろしくお願いしたいです。

【竹岡委員】

 この重要性のところの(2)の地域の話、それから(3)の国際貢献の話、これをほんとうに次に具体的な施策に落としていくときに、実は日本の大学というのは、よく理系人材がタコつぼ化していると言われていますけれど、私が見るところ、文系も実は同じではないかと思っています。ただ、中小企業政策審議会の委員もやっていますから、そっちのほうには文系の先生方、例えば、伊丹先生や、早稲田大学であれば柳先生など、色々、文系でも科学技術政策とベンチャーとを全部ちゃんと見てやっていらっしゃる先生は、非常にいい先生がたくさんいます。問題は、そういうところでやっていらっしゃるリソースとこの科学技術面でのリソースがあまり対話がなくて、つまり、例えばソフトウエアの分野でもそうですけれど、実はソフトウエアの技術というのは、例えば大学の教育にしても何にしてもそうですが、社会とのかかわりがあるので、文系の先生方の知恵と科学技術を融合するというのが一番大事ですけれど、そこのダイアログがないです。だから、次の具体化のところで、きょう秋元委員が分析、ウイスコンシン大学などの色々な分析や、次のを分析して具体策に落としていくプロセスの中で、ぜひ文系の先生方をうまく巻き込んで、要するに大学総力として産学連携をやるということです。その文系の先生の力で例えばベンチャーキャピタルの話や、あるいは国際貢献といっても、例えば標準化を含めた色々な戦略性などを、知恵を出してもらって、より理系のすばらしい技術力が世界的に出ていく、産業に活用されるためにはどうしたらいいのかということを次の具体的施策のところで分析していくときにぜひ入っていただいて、そうすると大学全体として産学連携に取り組むという形ができてくるのではないかと思います。

【白井主査】

 大変貴重なご意見だと思います。

 そういう雰囲気になですね。大体そういう文系の人たちなどにインセンティブないと思います。意見、批評家はできるけれども、大体もうからないです。だから、そういうところに参加してくるのは、その仕事がよほどおもしろいか、よほどもうかるか、何かがなければ、だれもやらないということです。苦労ばかりして責任が生じるとなおさら嫌だから、できれば近づきたくないというのが本音ではないかと思います。だから、意見を言っていること、あるいはそれを研究すること自身はおもしろいからやるけれども、というのが今の状況だと思います。非常によく知っているけれども、それでは、あなた少し手伝いなさいと言ったら、あなたの仕事でしょうという、そういう感じです。でも、今のご意見、全くそうだと思います。これはシステムがそうなっていないということがあると思います。

【野間口主査代理】

 まさに貴重な意見ですね。

【白井主査】

 そろそろ時間なので、一応きょうのところはこんなところにさせていただいて。原山委員と竹岡委員に大変なご努力いただいて、ありがとうございました。おかげさまで何とか、格好はとにかく、今までのものは非常にすっきりまとめることができましたし、これをもって、この後、技術・研究基盤部会で報告しなければいけないですが、きょういただいたご意見、もう少しそれぞれのところに反映させていただいて、報告させていただきます。その修正については、私にお任せいただいてよろしいでしょうか。

 それでは、そういうことでまとめさせていただきたいと思います。きょうは、大変貴重なご意見がたくさんいただけたと思います。それから、今後の方向性というのは非常に、また議論を繰り返しではなくて、進められるようなものをいただいたのではないかと思うので、そこも次にどういうふうにやっていくかということをぜひ何か記録に残しておくといいのではないかと思います。みんな、また同じことを繰り返しているような印象を非常に持っておられる面もあるので、それをできるだけ避けて先に進められればありがたいです。

 これは11月26日に報告させていただくということにします。

 それから、最後ですけれども、議題(2)に、平成22年度の概算要求、これは今色々な作業が進んでおるようですけれども、とにかく概算要求が出ていますので、それについて事務局のほうから簡単に説明をお願いします。

(平成22年度の概算要求について、事務局より説明)

【白井主査】

 今後の見通しについて、あえてご質問など、何かございますか。

 例の事業見直しの中でここに関係している部分というのは、具体的には挙がっているのでしょうか。

【柳研究環境・産業連携課長】

 具体的には、当課絡みでいきますと、この1枚紙で書いております産学官連携戦略展開事業ということで、大学に対する体制支援ということで30億円ほど予算ございますけれども、これが刷新会議のヒアリング対象事業となっております。また、研究開発の支援のほうに書かせていただいております、従来、JSTでやっております基礎研究に関する戦略事業があって、その後継ということで戦略の成果を産業界につなげていくという戦略イノベーション創出事業というのがございますけれども、これもまた対象になってございます。この2件が、従来、産学連携でカウントしたうち、刷新会議のヒアリング対象となっているものです。

【白井主査】

 そんな状況で具体的に挙がっている項目もありますが、それ以外もいろいろ、絞り込みというのか、削減の対象にはなる可能性はもちろんあるんでしょうけれども、頑張っていただきたいと思います。

 特にご質問なければ、これは民主党さんがしっかりやってもらうという以外にないのですが。

 以上で、きょうの議題は無事に作業を進めていただきました。ほんとうにありがとうございました。一応これでこの委員会としての一区切りということですので、柳課長、何か一言お願いします。

【柳研究環境・産業連携課長】

 本日の審議をもちまして、この審議状況報告、とりあえずおまとめいただいたという形になります。これをもちまして我々また上位の委員会等に報告させていただきたいと思いますけれども、これまで6回にわたる審議、お忙しい中、大変ありがとうございました。

 また、今回、ワーキングチームという形でこの会とは別にご議論いただいたこと、それから、原山委員、竹岡委員には基本的考え方の起草をいただきましたこと、この場をかりて深く御礼申し上げます。

 また、審議の過程におきましてご指摘いただきましたこと、現在の段階は審議状況の取りまとめということで論点整理でございまして、今後これを、先ほどもご指摘いただいたように、提起された問題をどう解くかということで、この委員会、引き続き実施してまいります。我々としましては、ご指摘いただいたように、日本を取り巻く環境が変化してきている、国際的な中で我が国はどう立ち向かっていくのかという国際的視点を加えた検討、そして、分解能を上げていけというお話もいただきました。分野別のさらなる解決策、解を見つけていくための検討をしていきたいです。そしてまた、実際に具体策をどう示していくのか、期間を示した、時系列を示した上で具体的にどう取り組んでいくのかについて厳しく言われました。今回の話はまさに論点整理ということですので、これで具体策を出したと我々も思っておりませんので、また引き続き皆様方のご意見をいただきながら、この産学連携、きょうのご意見でも森下委員をはじめ応援していただきましたように、必ずしもすべてが悪いということではなく、今まさに、今回の検討の中でも言っていただいているように、新たなフェーズに向けてジャンプアップしていくとき、まさに大学が法人化して五、六年がたったと、成果をまさにこれから刈り取っていくときではないかと思います。ここで何か新しい努力をしなければ次の芽がないという、まさに分岐点だと思っておりまして、我々も今後の取り組み、皆様方のご指導のもと積極的に考えていきたいと思いますので、ぜひ今後ともどうかよろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

【白井主査】

 ありがとうございました。

 それでは、そういう気持ちを込めた修文を若干させていただいて、報告したいと思います。

 大変長い間でしたけれども、私自身もお引き受けして、どうなるのかなという非常に不安感もありましたが、委員の皆様がほんとうにすばらしく、とりわけここ数回の議論はものすごく、話が進んだというのはおかしいけれど、収れんしてきた、方向性が少し見えてきたのかなという印象を受けて、大変ありがたかったと思います。竹岡委員、ほんとうにありがとうございました。御欠席だけれど、原山委員にもお礼を申し上げなければいけません。ほんとうにありがとうございました。

 それでは、きょうとこの委員会のシリーズは一応これをもって閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

午前11時56分閉会

お問合せ先

研究振興局 研究環境・産業連携課 技術移転推進室

(研究振興局 研究環境・産業連携課 技術移転推進室)