第5期産学官連携推進委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成21年10月1日(木曜日)13時半~15時半

2.場所

文部科学省東館(3階) 3F1特別会議室

3.議題

  1. 国際的な産学官連携の取組について
  2. 産学官連携の推進に関する今後の重要課題について
  3. その他

4.出席者

委員

(委員)
白井主査、柘植委員、西山委員、原山委員
(臨時委員)
石川委員、石田委員、竹岡委員、武田委員、西岡委員、本田委員、三木委員、南委員、森下委員、渡部委員
(専門委員)
秋元委員、井口委員、羽鳥委員、平田委員、牧野委員

文部科学省

研究環境・産業連携課長、技術移転推進室室長代理、ほか

オブザーバー

東京工業大学特任教授

5.議事録

午後1時30分開会

【白井主査】

 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第5期科学技術・学術審議会 技術・研究基盤部会の産学官連携推進委員会の第5回を開かせていただきます。

 大変お忙しい中をいつもご参加いただきまして、ほんとうにありがとうございます。何とかここで、これまでの集積等々も使いながら、少し具体的な方向性をレポートにまとめていただければ大変ありがたいと思っております。よろしくお願いします。

 きょうは、東京工業大学の髙橋教授にご出席いただいています。後ほどご講演いただくということですので、よろしくお願いします。

 それでは、委員の出席確認と配付資料の確認を事務局からお願いします。

 

(事務局より、出席及び配布資料の確認)

 

【白井主査】

 それでは議題の(1)ですが、「国際的な産学官連携の取り組みについて」ということで、東京工業大学の髙橋先生からお話をしていただきたいと思います。ご講演の後で、意見交換をできればと思っております。よろしくお願いします。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 ただいまご紹介にあずかりました、東京工業大学産学連携推進本部で特任教授を務めております髙橋秀実と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 実は私、10年ほど前から2年間、当時の科技庁の総合科学技術会議の前身であります科学技術会議の事務局に出向しておったことがございまして、その後、企業に帰って6年間産学連携をやりまして、2年半前から東工大のほうに移籍して、産学連携を推進しておる次第でございます。このような席で皆さんに私どもの報告をさせていただく機会を持てましたこと、大変幸せに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 ちょうど私が東工大に移りました2007年度から、本学では国際的産学官連携体制を構築して、この取り組みを強化した次第であります。基本的にここで申し上げたいことは2点でございます。1つは、上から3段目ぐらいにございます、産学連携ビジョンを制定したということでございます。同じように赤字で書きましたように、国際的産学官連携の推進方針を策定したということです。つまり、しっかりとした方針を明確に打ち出して、大学の内外に発信したというところでございます。これは、実は教員と話をする機会が何回かありますけれども、産学連携推進本部、国際連携をしっかりサポートしてくださるようになったのですか、しっかりやるようになったのですか、以前はそうでもなかったように思いますというようなことを何人かの教員から言われました。法人化直後はなかなかうまく国際連携の契約が結べる体制になかったものでございますが、やはりこれは特に内部に強くアピールしたことが、この後の成果につながっていったのかなと考えております。

 もう1つは、その方針に従って企画・国際部門という形にしたのは2008年4月ですけれども、何名かの人間を国際連携担当ということで、兼任ではございますけれどもしっかりと決めまして、国際コーディネーション、国際リエゾン、それから国際法務機能をしっかりとさせたというところが、この2年半ぐらいの大きなポイントでございます。

 最初にその方針というのはどんなものかということで、ここに概要のみ記させていただきました。そもそも東工大の目標は、世界最高の理工系総合大学を目指すというものでございます。この実現に向けまして、国際的産学官連携を推進して開かれた研究活動を行い、広く世界の発展に寄与するという方針のもと、産学官連携活動を強力に推進しましょうという方針を打ち出しております。とは申しましても、具体的には産学官連携の主役であります個々の教員の有する連携の可能性を育てていくとを基本として、積極的に本部として支援をするということでございます。

 それから飛ばしまして、もう1つ、東工大としては海外に限らず、国内で従来、産学連携といっても共同研究を非常に重視したスタイルで、産学連携に取り組んでまいりました。そういう意味で、国際連携も国際的共同研究の推進を重視します。今回、企業に限らずに、海外の大学や公的機関との学学連携、学官連携も、積極的に広く世界に貢献するという観点から推進しましょうということに方針として定めております。

 もう1つ申し上げました体制整備でございます。ここにありますように企画・国際部門に延べ13名の人間が配置してあるわけです。ポイントは、そこに赤字で書きましたように、海外企業に対しましても国内企業に対するのと全く同等な対応が可能になるような体制を構築いたしました。

 それはどういうことかというと、赤字で書きましたコーディネーションの担当として、これは私も含めて3名の特任教員を配置し、また産学連携コーディネーター3名プラスアルファが、実際、国際連携は実質的に動いております。それからその下は、赤字にするのを忘れましたが、国際法務担当が2名おります。それから事務管理部門に国内・国外にかかわらず契約担当がいますが、これらの人間もメールベースでインボイスのやりとり等はできる程度の能力はある人間を配置しております。

 具体的にどんな活動なのということでございます。一番上には、この1.と書きました。教員ルートによる連携でございます。教員が産学連携をやりたいけれどもということで、本部のほうに連絡があります。そうすると、基本的には国内と全く同様でございます。担当教員がどういう思いでこの連携をしたいのか、特に海外に場合、どうしてこういう連携経緯につながったのかということです。どういう内容でどのくらいの費用が出るのか、基本どうしたいのか、先方企業はどんな要望をお持ちなのかということです。一番もめるのは知財のことです。そもそも知財の発生がないような案件について、一生懸命知財の取り組みを先方とやりとりするというのはあまり生産的ではございません。ここのところはやはりポイントとして、最初に押さえることが必要だと思います。

 共同研究契約書の検討をするわけですが、基本的には当方はひな形を持っておりますけれども、海外の場合は先方から提示されることも多々ございます。やりとりをするわけですが、どういうところで対立点が多いかと申しますと、国内も同様ですが、共同発明の非独占実施のときの実施方針をどうするというのが、やはり海外ではもう非独占で払わないという話が多いです。もう1つは費用の支払い時期ですけれども、研究が終わって全部報告書ができ上がったところで出しますというような主張をされるときがときどきございます。大学の考え方としては事前払いにするということです。分割でもいいのですが、基本は事前ですというようなやりとりをするわけです。そういうやりとりをして、フェース・トゥ・フェースの交渉も場合によってはやりまして、それぞれ契約にこぎつけるというのが一番多いわけです。

 もう1つは、国内ではこういうのもよくやっている、海外もこういうことを始めていますなど、展示会に出展したり、あるいはこういう分野の教員をご紹介くださいというようなお話が企業側からございます。特にだれという指定がなくて、こちらのほうでアレンジして、こういう先生でこういうテーマだと、どうでしょうというようなことで、赤字で書きましたように教員紹介をします。

 それから、同じような売り込みということでは、本学のユニークな活動として、共同研究を実施したいという教員に学内公募で案件公募して、いいものについては海外派遣の費用を産連本部の費用で出すというような形で、何名かの教員を既に派遣しております。それからもう1つこちら側からの売り込みということでは、米国に事務所を開きました。ここに非常勤の担当者がいるわけです。この人間が、カリフォルニアのベンチャー企業が主なんですけれども、そこといろいろコンタクトをして教員を紹介して、実際に教員を送り込んで企業と話をさせるというようなこともやっております。今のところ非常にこういう形で、この1年ぐらい、国内も含めて少し経済状況等もあってなかなかうまくまとまってはいないのですけれども、こういう活動にも地道にマッチング活動は続けていきたいと思っております。

 これが東工大のこの2年半というか、法人化前からです。法人化前は国際連携は0件でした。2004年、2005年、2006年とあまり、低調だったのですが、2007年、方針を明確にして、先ほど申し上げましたように体制を強化したところで、それと連動して国際的共同研究、委託研究合わせて2007年が12件、2008年が17件で、2億円を超えたという次第でございます。今年度は少し下がってきて、現状まだ半年ですけれども、1億円ちょっと超えるか1億円ぐらいかなというところです。

 この数字の中には、先ほど申しましたように学学連携、学官連携を含めています。学学連携と申しましても、費用が出るものでございますから、話を聞いてみると実はヨーロッパのある会社がお金を出していて、イギリスの大学が一括して受けて、その一部を東工大とその大学が共同研究ということでお金が回ってくるというものです。もともとは企業のお金が回ってきているというものとか、学官連携というのは基本的には先方の国の政府のお金、ファンドが後ろにあるというものでございます。それから海外企業の日本法人に対しても、結構国際連携ということで本学は積極的に取り組んで、今年度3,000万円ぐらいありますけれども、これは一応含めてはおりません。結果的にこの2年間、29件の1案件ごとの規模が1,000万円を少し超えるぐらいの金額になっております。海外はなかなか、うまくいった場合は大きな金額になります。参考までにお話ししますと、2007年、2008年と全共同研究の平均値は1件当たり本学では400万円程度ですから、結構大きな案件につながっております。

 これはまだ1年間だけの統計なので、海外連携といってもどういうところが主な相手先なのということを地域別に分析してみました。件数で言いますと、アジアが結構多いです。アジア、欧州が多いのですが、金額で言うと、この後ご紹介いたしますアブダビとの共同研究と、それからマイクロソフトとの共同研究ということで、中東、北米が多くなっております。これはご参考までということで。

 今から2件、マイクロソフトとアブダビの実例をご紹介させていただきます。2007年5月に、従来奨学寄附金で連携しておりましたマイクロソフト社と、バイオインフォマティックスの分野で共同研究したいと担当教員から連絡が本部のほうにありました。6月に早速先方の産学連携のマネジャーが日本に来る機会があるので、打ち合わせをすることにいたしました。今回の場合は、マイクロソフト社が使っているひな形です。米国内外の大学との契約に既に先方で使われている内容だということで、これをベースに議論させていただきました。基本的には独占実施の場合は特に問題ないですが、非独占実施のとき、先ほど申しましたように、これはNERFでやるということです。Non exclusive royalty free、NERFというふうに言っていました。そういう方向で基本的には決着をつけております。それで8月に契約を締結して、組織的連携も2テーマをやるということなので、先方と合意して、2年前のイノベーションジャパンの中でプレス発表させていただきました。

 これは教員からいただいた、技術の中身のあまり細かいことは私も承知していないのですが、東工大にはTSUBAMEという、これはごろ合わせなのかもしれませんが、Tokyo-tech Supercomputer and Ubiquitously Accessible Memory Environmentという英語名を略してTSUBAMEと申している高速なコンピューターがございます。建物のワンフロア全部を占めるような大きさでございます。これをもう少し小さいサイズでほぼ同じで、機能は当然限定するわけですが、高速なフーリエ変換という、FFTというエンジンということが書いてあります。これに限って実現しようということで、1つのノードに4プロセッサーと4つのNVIDIAのグラフィックプロセッサーが1つになった1セットが32セットあるパラレルコンピューティングで、三次元のたんぱく質の構造シミュレーションに使いましょうということで、これはほぼ実証機ができ上がった段階でございます。

 もう1つご紹介いたしますのは、アブダビとの共同研究でございます。これは太陽熱発電と申しまして、100万キロワットぐらいの発電所、いわゆる住宅の上に乗せるような小さなサイズではなくて、大型の発電所イメージです。太陽光発電というのは日本でも普及し始めていますけれども、太陽熱発電というのも海外ではかなり、今、脚光を浴びて、CO2排出のないエネルギー源ということで進んでいるわけですが、日本ではほとんど実用化推進が行われていなくて、国際特許を2005年に出願いたしておりました。

 UAEは今の皇太子がマスダール計画というのを打ち出しまして、化石エネルギーの先のリニューアブル・エネルギーの研究開発に、世界の先端技術に投資しますということを四、五年前に明確に国として打ち出しました。そういうこともございまして、東工大のこのビームダウン技術というのを先の技術として評価していただいて、投資しましょうということになりました。それが大体9月ぐらいです。2007年9月にほぼやりましょうという話ができて、今回の場合は本学の契約書ひな形をもとにやりとりをいたしました。

 具体的に既存特許の実施条件とか、あるいは共同研究で出てきた特許のこと、その辺を交渉いたしまして今に至っております。5機関による大型の共同プロジェクトということで、産連本部としてもかなり頻繁にサポートをしておりまして、将来的にはオーストラリアの化石燃料プラスソーラーエネルギー、ソーラー燃料というのをつくるというプロジェクトを現在企画中でございます。

 これが概要でございます。ご参考までにということで、100キロワットのエネルギーを、今回は光を集めるだけということで、地面に配置いたしましたミラーが全体が1枚のミラーみたいな形です。中央反射鏡で反射しまして、いわゆるカセグレン系の光学望遠鏡の原理ということで、1ペアの反射鏡で下に置きましたキャビティー型溶融塩レシーバーに光を集光します。集めるといいましても、2メートルとか3メートルぐらいの直径にはなります。そこで光から熱にかえて、熱になったものを電気にするのは火力発電等と全く同等の原理論ですが、これは蓄熱剤を使いますので、光が当たっているときだけではなくて、24時間発電可能だというのが大きな特徴でございます。このEPCといいます100キロワットの装置をつくるほうに8億円ほどのお金がかかっております。これは東工大が直接関与しております。共同研究のほうで費用をいただいておるわけです。1つポイントは、先方は人事育成も非常に熱心でして、東工大に大学院の学生を1名送り込んでおります。

 これはたまたま先方のムハンマド皇太子が首相官邸でいろいろな一連の儀式をやる中、当時福田総理、伊賀学長が署名式を行いました。右側にあるのは9月の時点での実験プラントで、10月中には完成の予定でございます。

 以上まとめますと、東工大といたしましては世界トップクラスの理工系大学を目指すということで、広く産業界、社会との連携を図るために、積極的に学学連携、学官連携を含めて産学連携を推進しております。1つのポイントは、国際リエゾン機能を強化して、国内企業と対するのと同様な対応が現状、可能となっております。これを支えておりますのが、私を含めて、手前みそでございますが、海外企業の担当者と対等に交渉ができる人材というのが必須でございます。これらの人材は海外経験を有する企業経験者に現状依存しております。現時点で国際連携で文部科学省から支援していただいているのは、あと3年半という状況でございますが、このような中で優秀な人材の育成や、将来にわたっての安定な確保というのは、産連本部として非常に重要な課題と認識している次第でございます。

 以上でございます。

 

【白井主査】

 ありがとうございました。

 それでは、今のお話にいろいろ質問があろうかと思いますが、どうぞご自由にお願いします。それでは、羽鳥委員お願いします。

 

【羽鳥委員】

 すみません。慶応義塾の羽鳥です。

 7ページのグラフを見ますと、取り組んでから急速に件数も額もアップしまして顕著な実績が出て、すばらしいなと感心しておりますけれども、この件数の内訳について、学学、アカデミア間と、あと東工大と企業、その割合がどんなものなのかということをお聞きしたいです。あともう1つ、その実施例としてマイクロソフト、それからあとUAEですけれども、これは先生ルートなのでしょうか。それとも皆様が何か出会いの場をつくって、そこから発展したものなのかというようなことをお聞きしたいです。一番最後に、専門家の安定的な確保が重要だと言いますけれども、こういった企業経験のある方が東工大で就職されて、それはやはり有期なのでしょうか。それともずっといられるのでしょうか。すみません、3つお願いします。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 最初の質問は、産学に対して、学学や学官はどのくらいの割合でしょうというお話だったと思います。今は正確なデータが手元にございませんけれども、私のうろ覚えで申しますと7割から8割ぐらいが産学――7割ぐらいかもしれません――ではないだろうかと思います。と申しますのは、今、紹介いたしましたマイクロソフトとの連携と、それからアブダビとの連携のこの2つがもうビック2でございますので、この2つが金額で言うと66%ですから、そうですね、昨年度のベースで言うと、北米の中にマイクロソフト以外もあるので、やはり7割ぐらいかなという感じがございます。

 それから2つ目の質問は何でしたっけ。すみません。3つ目は有期雇用のお話でしたよね。

 

【羽鳥委員】

 はい。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 3つ目を今思い出しましたので、先にお答えいたします。基本的に産連本部にいる人間の、大学の事務職も一緒にいるわけなんですけれども、事務職以外の人間は外部から経験者を有期で雇用しているという状況でございます。1年契約で更新します。基本的には更新はしてもらえるということですが、ただし先ほど申しましたように、国の国際産学連携の費用があと3年半でございますので、それから先どうするというのは、まだ具体的議論にはなっておりませんけれども、課題としてはございます。

 2つ目は何でしたでしょうか。

 

【羽鳥委員】

 ありがとうございます。そういった意味では、資金があれば多分継続できるという感じなのでしょうか。ありがとうございます。

 

【白井主査】

 2番目の質問というのはいいですか。

 

【羽鳥委員】

 すみません。2番目は、このアブダビと成功事例ですね。成功事例はどのルートでしょうか。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 マイクロソフトは先ほど申し上げましたように、従来奨学寄附といってもそれなりの金額のつながりがあったようですが、産連本部が共同研究重視で、しかも国際契約にちゃんと対応するということで、契約にというか共同研究という形でということになりました。

 それからアブダビにつきましては、これは玉浦教授が先ほど申しましたようにマスダール計画ということで、世界の再生可能エネルギーに対して非常に先端的な大学とのネットワークをアブダビがつくりました。その1人に玉浦先生が入っています。マスダール・リサーチ・ネットワークというものですが、カナダとか北米とか幾つかの大学とそういうリサーチ・ネットワークをつくった中に、玉浦先生も入れていただけていたということで、当方からの提案に基づいて、その縁で提案できたということです。

 

【羽鳥委員】

 ありがとうございました。

 

【白井主査】

 先にどうぞ。

 

【西岡委員】

 大変興味のある事例の紹介をいただいてありがたいのですが、特にマイクロソフトのこういうのは、将来、レベニューシェアにされるというような、そういう目標はあるのでしょうか。研究開発費をもらってやっただけでおしまいなのか、ちゃんとマイクロソフトがこれでもうかれば、大学はしっかり取りますよというような形に、本来、なっていけばいいなと思うのだけれども、そういうことについてのお考えを教えてください。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 もともとマイクロソフトの考え方として、これはマイクロソフト・リサーチというところが連携先ですけれども、計算機科学を使って世の中に貢献したいというのが1つの目標でございます。すぐにこの機械をバイオサイエンスの分野の研究者に売っていくという計画ではないのでありますけれども、成果につきましては、計算機にかかわる知財はマイクロソフトが独占的に実施をして、これは商売になったら実施料を払いますということになっています。それからバイオ関係のアプリケーションに関する知財につきましては、マイクロソフトは直接商売をしないので、東工大さんで自由にお使いくださいという、不実施というか非独占実施ということで、いい特許が出たら、バイオ関係のほうは東工大が主体で活用を図り、計算機分野についてはマイクロソフトが独占的に活用を図るという契約になっております。

 

【白井主査】

 それでは、石田委員お願いします。

 

【石田委員】

 大変ありがとうございました。ただいまの問題と関連して、大体わかりましたけれども、特にマイクロソフトとの共同研究契約において、共有の成果になった場合の、ちょっと専門的で申しわけありませんが、日本の特許法73条、アメリカで言えば262条、共有権利についてどういう契約になっているのか。例えば単独で実施できる、あるいは単独で他にライセンス許諾をすることができる、その辺については、非常にこれは日米の共同研究の場合に参考になると思います。今のお答えで片りんはわかりましたけれども、その辺、契約でどのようにつくられているか、お願いします。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 特許が出た場合に、first refusal right、最初の優先的な検討権を先方が持つということです。何日間という明確なことは少し契約によりますが、何日間かの間に結論を出して、独占的実施権を欲しいと思うか、これは東京工業大学との先ほどのNERFといいますか、non-exclusiveな形でいいかと思います。

 

【石田委員】

 全体的にfirst refusalを、その成果にということでしょうか。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 はい。案件ごとにでございます。特許が出てきた案件ごとに、向こうが何日間かで検討するということです。ただ大枠としては先ほど申しましたように、計算機にかかわる分はマイクロソフトのビジネスそのものだということでございます。

 

【石田委員】

 わかりました。それは、マイクロソフトのひな形といいますか、ベースがそちらの契約をベースにしているがゆえに、そういう内容になるのでしょうか。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 ベースがそうなのですが、それをもとに、産連本部としてどうだろうと教員も含めて判断した結果、そういう形で契約をいたしました。

 

【石田委員】

 大変参考になりました。ありがとうございました。

 

【白井主査】

 柘植委員お願いします。

 

【柘植委員】

 結論から言うと、人材育成面に、この国際的産学連携推進をどう東工大として生かしているかということの質問ですが、質問のバックグラウンドを見ますと、私自身も産業にいたときに、MITとかケンブリッジと共同研究したときに、やはりさまざまな共同研究遂行能力とか、納期を守るとか、それからそれにつけるパワフルなドクターないしはポスドク、そのあたりも比較しながら、日本の大学は弱いなと思っていたわけです。そういう意味で、やはり国立大学も先鞭を切ってここまで来たかなと、そういう敬意を持ちながらも、一方ではこの件数・お金から見ると、日本の国立大学としては、言うならばほんとうに使っているこのコストから考えると、年間2億円の収入では、ビジネスとしては日本としては成り立っていないですよね。つまりそうすると、何かプラス、ここに出ていない数字のものを日本としてはやはり価値を創造していかなければならないと思います。

 その1つの中に、もちろん先ほどの西岡委員のおっしゃった将来に対するレベニューの話も当然あると思うし、一方私の関心事は、これだけの国際共同研究によって育ち得る人材、しかもそれは日本人であるドクターであって、もう世界中どこでもドクター取得後は活躍できるポテンシャルのトレーニングの1つの場だというところがあります。こういうとらえ方だと、私は日本全体としての国立大学のビジネスモデルはあり得ると思います。

 これは少しそういう視点はなくて、せっかくアブダビから1人学生が来ていますというのではもちろんいいのですけれども、日本の学生がこういうものに参画して、学位を取ったあとは国際でもってどこでもやっていけるというせっかくのいい場なのに、あまり生かしているような自慢がないのが気になっていますけれども。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 アブダビとマイクロソフトについて、今、正確なデータはございませんけれども、アブダビに関しましては、確かに日本の学生は直接共同研究に入ってはおりませんけれども、若手の産学官連携研究室、ポスドククラスの人間がこの費用でこの企業で雇われて、若手の準教授クラスをこの費用で雇われて、いわば向こうに定常的に行き来をして活動しておりますので、アブダビに関しては、必ずしも学生だけが教育ではないという観点です。

 マイクロソフトもたしかそうだと思います。マイクロソフトのほうは、学生がもしかしたら入っていたかもというように思います。マイクロソフトのほうは学生やそれから特任教員、教授1人ではなくてそれなりの金額はいただいていますので、そういう形でやっておりますので、ご指摘のようにこの2つは多少学生が入っています。

 ほかにきょう紹介していないものでも、こちら側で開発した装置を海外に持ち込んで実証実験をして、その実証実験に1月ぐらいマスターの学生が行くというようなものも確かにございます。そういう意味で、国際経験を若いときに積むというのは非常にいいことだと思いますし、ぜひ学生も積極的に参加させていくつもりで、最終的には教員そのものの判断ですけれども、取り組みたいと考えております。

 

【白井主査】

 よろしいでしょうか。

 

【柘植委員】

 一言言いますと、やはりケンブリッジ、MITにしても、リサーチャー・アシスタントとして雇うと、彼、彼女に渡る金としては最低1,000万円要ります。研究費ではなく、いわゆるRA用です。それだけの働きを逆に契約として、しているわけです。日本のドクターというのは、ほんとうに数十万円でTAがRAに行って、非常に私としては生きた金になっていないと思います。1,000万円というものを日本の大学がきちんとRAとして抱えて、それに対してお金を出した人に対して、きちんとその成果を出していく。このトレーニングに博士課程の学生が入っていくことが、博士課程の教育には私は必須だと思っていて、そこはやはり1件人件費として1,000万円は取るというぐらいの実力を、やはり日本の国立大学は持っていかないといけないなと思って、尊敬しながらも、今後ぜひその辺を頑張ってほしいなという思いです。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 ありがとうございます。

 

【白井主査】

 ありがとうございました。それじゃあ、ほかにどうぞ。原山委員。

 

【原山委員】

 この政策についての質問ですけれども、今、文科省の産学官連携戦略展開事業をとっていらっしゃるわけですが、これがあったからやはり国際展開を強めた、あるいはそもそも東京工業大学としては、方針として国際的なことをしなくてはいけないと思っていらっしゃったので、これはプラスアルファですけれども、なかったとしてもやっていた事業でしょうか。

 それから逆にこの事業が終わったときに、サステナビリティーですけれども、本体として回るような仕組みというのは今から考えていらっしゃるのかというのが1つです。

 それからもう1つ、先ほどのマイクロソフトのところで、先ほどご説明のときがNERFのタイプでやっていらっしゃるとおっしゃったのですけれども、後の説明では少し違うことをおっしゃったので、どちらを主にやっていらっしゃるのでしょうか。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 国際連携の取り組みは、私も2年半前に参った次第でございまして、私の理解では、自主的に決定したというよりも、やはり今後は、文部科学省全体の議論あるいは内閣府も含めた議論なのかもしれませんけれども、国際的連携があまりに弱いと思います。国内に比べてあまりに比較して弱いから、もう少ししっかりやるべきだという議論があってこういうプログラムにつながってきたと思いますので、そういう動きと連動して、その政策にまさに乗っかった上でこの取り組みをやっております。

 それから終わった後につきましては、まだ議論ははっきりしておりません。実際に国際だけではなくて、国内も含めてかなりの人間をかけて、現在、本学産学連携本部をしっかりやらさせていただいているのではございますが、それなりの人件費がかかります。自主財源もいろいろ会員制度等でございますけれども、そうは言いましても、もし全く大学の費用がないとなるとどう調達するのかというようなお話が、私よりもっと副学長ぐらいで多分議論していただいていると思いますが、今の時点で、まだ私のところまではっきりと聞こえては来ていません。今のところは、私やほかの特任教員は、3年半の雇用はしっかり守るけれども、それから先はわからないという状況でございます。

 それからマイクロソフトに関しましては、先ほどの説明はNERFがすべてではございません。独占的実施を向こうが決めるものは独占的実施で、費用も向こうが持つし実施料もいただくということです。向こうが非独占でいいよと言ったときはroyalty freeだということになります。Non-exclusiveの場合はroyalty freeだという、その中身、案件ごとにそれを相談しましょうという内容でございます。

 

【白井主査】

 ほかにはよろしいでしょうか。

 

【武田委員】

 私は、今のアカデミア系というか、理研で産学官連携や、国際化というのを担当する立場でいますけれども、長年企業のほうにいまして、今の柘植委員と同じように、日本の大学とも共同研究や連携をしたこともあるし、アメリカの大手大学とも随分やってきました。その立場にいたころと、今の私の立場は違うので、時々前の企業の立場で交渉した石川先生あたりからは、武田は豹変したのではないかと言われますけれども、企業というのはその土地でのルールに従って一番もうかる方法をとらざるを得ないです。日本においては特許法で共有というのがあるから、そこで企業にとってメリットのあるような、天下国家を論じて日本のためにとかという議論の以前に、どうしても現実的な対応をせざるを得ないです。

 そういうことからすると、やはりこういう交渉事も含めて競争力の問題があって、同じ大学といっても日本の大学に物事を頼むときと、アメリカの大学に物事を頼むときとでは、いろいろな違いがあると思います。競争力とか対応の仕方とか、先ほど柘植委員の言われたような違いがあるわけです。実は経験を持った日本の企業はそういうのをある意味では比較して、やはり日本の大学に頼んだほうが得か、アメリカに頼んだほうが得かというようなことを、産業側のほうではある種のベンチマークがされていると思います。

 それに比較して、私は今、理研にいてもそうですが、アカデミアサイドはなかなかそういうところのベンチマーキングが十分されていないと思います。私もこちらの立場になってみるとあまりにも、国策的にも先ほど柘植委員が言われたように、大学院生というのは単に授業料を払ってまだ勉強している状況です。国家にとってみると先行投資であるという意味においても、授業料であるとか、あるいはそこでドクター論文の研究をすること自体がもう仕事であると思います。大学院生はバリューを生んでいるので、それに対して対価を払うというコンセプトが、日本には全くないというようなことも含めて、こういう実例を通じて、特に国立大学なわけですから、改めて日本の国策とか国益に沿ったことがほんとうに行われているのかという意味でのいいケースになると思います。

 ですからぜひ、マイクロソフトとやれたとか、アブダビとやったということと、日本のそれこそ三菱とやっているとき、こういうのと比較して、一方的に企業がおかしいという意味ではなくて、何が違いなのかというようなことを、非常にいいベンチマーキングだと思いますので、そういう観点からまたこういうところで浮き彫りにしていただきたいと思います。そうでないと、私なんかが言っても常に一般論で聞き流されてしまいますので、あちら側にいるそのお役所の人にも、やはりリアルなベンチマーキングで、しかも先ほどから原山先生が言われているように、国のお金を使って国際連携を進めた結果の得られるものは何かということの大きな成果は、むしろそのベンチマーキングだと思います。

 それから私は今のを見ても、アメリカとやるときと、韓国の最大手の企業なんかとでは、やはり全然違います。韓国企業がだんだん日本企業みたいになって、共同研究だったら共有させてくれとか、これだけ金を出しているから権利があるだろうって、アメリカでは通用しないことを言ってきます。もうMITとつき合うのはやめて理研とつき合おうかなんて、ちょっとリップサービスで言ったりしていますけれども、アブダビはどうなのかとかいうようなことも含めて、日本自身のポジションを、今、どこに定めるかということも大事だと思います。

 どこが正しいではなくて、途上国などはそこなりの戦略でもって産学連携を考えるでしょうし、そうしたときに今の、これからの日本はどういうポジションで、あるいは相手によって、ああいうアメリカのすごいところとやるときはこのひな形で、どちらかというと教えてあげられそうな途上国のほうにはこのひな形でということになるかもしれません。そういうことも含めて、ちょっと比較研究のいいケーススタディーをしていただきたいと思います。

 

【白井主査】

 大変重要なご意見をいただいたと思うんですが、ほかには何かありますか。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 今のご意見に対しましてコメントさせていただきます。

 私自身、実際国際連携だけを担当しているわけではございません。国内の三菱電機とか、私がもといたパナソニックであるとかも担当させていただいておりますので、おっしゃるようにそういう視点の整理というのは必ずしも十分にできておりません。そういう形でもまたまとめる機会がございましたら、お話させていただきたいと思います。

 

【白井主査】

 ここでの議論でこれから運命が分かれるところですが、こうやって政府が補助金を出して各大学を維持しているというのは、先ほども3年先どうするのかという話もありましたが、まず自立できるようなところは幾つもないという状況であります。

 今、武田委員が言われたような産業界から委託する場合の、日本の大学に出しているお金と、世界のほかの大学に出しているお金はけた違いです。これは考え方がまず全然違うから当然そうなるのですけれども、そういうものをどう日本ではこれから今後考えるのかということら辺も、ひとつ大きく考え直ししませんと、日本では産学連携というのは、少なくともコスト的には成立しないと私は思います。大学院の学生に確かにその何十万円かぐらいは少し払っても、彼らもそのぐらい分の仕事しか別にする義務もないという感じもあるし、何をどういうシステムでやろうとしているのか、そこをやはりもう少ししっかりしないといけないと思います。それが日本の大学の実力であるという言い方もできるけれども、日本の産業界がどういうふうにそれを育てようと思ってやろうとしているのか、そこのところを少し考えないと、いつまでたっても答えが出てこないというか先へ進めないです。

 それ以外に、今、非常に技術的な、確かに海外とやるときにはいろいろな細かいことは、細かくもないかもしれないけれども、基本的なところは重要な問題も出てきたと思います。ほかにはいかがでしょうか。

 よろしいですか。それでは、髙橋先生のお話は大変興味深かったと思いますが、ありがとうございました。

 

【東京工業大学(髙橋特任教授)】

 どうもありがとうございました。(拍手)

 

【白井主査】

 それでは、議題2に移らせていただきます。これは産学官連携の推進に関する今後の重要課題についてで、これまで議論いただいたものを徐々にまとめつつあります。これを事務局のほうから少し説明いただいて、今後のこの扱いの問題もありますが、その点についても含めて説明してください。

 

(事務局より、資料2-1、2-2、3-1、3-2の説明)

 

【白井主査】

 今までの議論を踏まえてかなり具体的になったと思います。少し字が多いので見るのが大変ですけれども、これに基づいていかがでしょうか、こういうまとめ方で。

 

【竹岡委員】

 やはり政権が変わったんですよね。基本的にはこれを出すことの目的というのは、補正予算も色々ありましたけれども、大きくは来年度以降の予算の獲得に向けて、引き続き国の予算の中で産学連携、大学と企業との活動に対する支援をお願いしたいというためのベースの文章だと思います。もしその目的が最終的にきちんとあるのだというのであれば、多分、こういう書き方にはならないのだろうというのがあります。すみません、非常に少し厳しい言い方をしました。

 なぜかというと、基本的には今までの施策をよくわかっていてというか、その延長線上でそれで構わないだろうというか、問題意識を持たない方にとってみればそれでいいと思います。だけど民主党などは、ゼロベースで一から考えると言っているわけですよね。それであれば、基本的に、これはこれからの日本にとってどれほど大事かということをわかりやすく、短い言葉できちんと言わないとわからないだろうと思います。

 具体的に言えば、やはり成長戦略を担うということの位置づけです。民主党は、今、成長戦略がどこにあるのかわからないといろいろ言われていますけれども、公共事業による成長ではなくて、こういう技術力強化、産業力強化による成長戦略だということが施策だということを彼らが言えるような、成長戦略というキーワードを入れた方が良いと思います。それから地域活性化です。地域活性化も公共事業で活性化するわけではないです。環境にしても何にしても、今言われていることというのは、全部科学技術力です。これがやはり非常に重要で、地域の中小企業のレベルを引き上げることも含めて、それに結びついていくと思います。

 3つ目が、ここにも出ている社会貢献ですが、あとは国際的な産学連携活動と言うのであれば、国際貢献という言葉も入れたほうがいいです。今、先ほど中東とのプロジェクトも出てきましたけれども、あのような国際連携というのは、イコール社会貢献でもあり、国際貢献でもあるというような言い方ですね。そのキーワードをきちんと出して、それに結びつけて論じていくという立て方をされれば、すごくよくなると思います。

 つまり書かれていることは別に間違いではないです。アピールの仕方がわかりにくいと思います。全然今までのことを知らない新しい政権の人たちに一からレクするということであれば、やはりわかりやすく、大きなところに結びつけてアピールをしていくというやり方が、大事ではないかと思います。それが1点です。

 それから2点目が、少し思っているのが知の創造、それから権利保護・活用というのは、少し前のキーワードですよね。内閣府の知財専門調査会でずっとやってきて、それはおととしまでのキーワードで、それでは足りないということでイノベーションの創出というのが出てきたというはずです。要するに少し引っかかっているのは、「知、知、知」と書いてあること。それは別に知財だけを言っているわけではないだろうと思いながらは読んでいますけれども、やはり何となく知財っぽい感じが受けとめられます。

 やはり大事なことは、国際産学連携でも、きょうの話でもそうだし、たしか牧野委員が第1回目に、国際産学連携と言うけれども、それってやってみると結局は人と人とのつながりで、人材の問題で、深い国際的な人と人とのリンケージをつくっていくことが大事だとおっしゃっていました。私もいろいろな大学と活動を実際やってくると、やはり人と人とのつながり、人材、それを担っていく人材です。それは、産学連携活動を担う人材であり、先ほど柘植委員がおっしゃったように、研究者の中にそういう、世界へ出ていって国際的な場で活躍する研究者の人材をつくるということだと思います。

 だから何か人材というか人という言葉が感じられないと思います。そういうものがもう少し、何となく表面的にきれいに知という形で、言葉で流されてしまうのだけれども、日本にとって知は単純に知財なんていうのは単純に1つのアウトプットに過ぎなくて、大事なのはやはりそれを担う人材をたくさん輩出していくような、そういう大事な仕組みだというところが、もう少しわかるような書き方が良いと思います。それをしていただけるともっといいものになると思いました。

 

【白井主査】

 ありがとうございました。これまでの議論もずっとそういった議論が非常に多かったと思います。残念ながら作文がそこまでまだ少し追いついていかないというところがあるので、ぜひこれはリファインして、まだこれは最終報告ではありませんので、ぜひそういう、特に政権が変わったのは非常に重要なポイントであると思いますし、どのようにアピールすればいいのかということも考えて、ぜひまとめていったらいいのではないかと思います。

 例えば、この中でも地域だと思います。地域の中小企業みたいなものに対して、何かこういうもの、産学連携のいわゆる仕事というのは非常に重要であるというのは、重要なような気もするけれども、果たしてここのところにどれだけの投資をして、どういう人たちがそこに行って何をやったらほんとうに有効に働くのかはわからないと思います。

 今までこれは、同じようなことを随分長くやっていますが、さらにプッシュしようというもので、最近また次のプログラムとか、やっているけれども、果たしてそれは見込みがあってやっているのかどうかだと思います。中小企業からも、こういうことをやってくれたら自分たちが元気になるというような明確な要求とか、そういうのが見えると非常にやりやすいです。

 この前、三重県のお話がありまして、大変参考になったと思いますが、あのようなアプローチをさらに支援したらほんとうにいいのかどうかだと思います。支援しないほうがいいのかもしれないけれども、支援したほうがいいかもしれない。それは場所によったり、分野によったり、いろいろだと思います。そういうものに対してどういうことを具体的にほんとうにやったらいいのかということです。効果があるに違いないというようなものを、書いたほうがわかると思います。まさに民主党なんかは、そういうのだったらすぐにでもやるという感じがします。

 少しそういうことが見えるような話も含んでいると思いますが、そのようなことにもう少しするといいと思います。

 

【渡辺技術移転推進室室長代理】

 補足でございますけれども、地域につきましては、今回参考資料2で、地域科学技術施策推進委員会というところでも議論をしてございます。そこの中でかなり地方自治体における科学技術振興の現状でございますとか、課題とか、具体的な施策も書かれているということもございまして、我々としてもこれをなぞったような形で同じようなことを言ってもしようがないなという思いもございまして、ですから少しそことの整合性を図りながら、少し若干遠慮して書いているところがございました。

 ただ、確かに三重大学さんの取り組みなどにつきましては、この課題のところでも具体的に事例として挙げてございますし、かなり前回もご意見いただきましたので、少しこの地域推進委員会との調整も見ながら、具体的なイメージが出るようなところは少し考えたいと思います。

 

【白井主査】

 ぜひそうしてほしいです。とりわけここにも研究開発独法というのが書いてあるけれども、これは地方に持っているわけだし、建物も崩れるのではないかというようなものがあるわけです。それは機能しているのでしょうか。あるいは、もうそういうものと、その大学とが何か違う組み方をしたら、ほんとうに中小企業のためになることができるのか、できないのかどうかです。できないのであれば、それはお金を出すのが無駄になるからやめたほうがいいと思います。そのぐらい、今、日本は考え方を変えないと、僕は無理だと思います。

 

【西岡委員】

 少し発言してよろしいでしょうか。

 私は産官学というこういう連携が機能するには、これはいつも言っているのですけれども、一番大事なのは産が食いつくことだと思います。会社が食いついてこないようなことでは何も前に行かないと思います。

 この報告書を見て、会社が食いついてくると思うでしょうか。これ、4ページぐらいまでしか読まないのではないでしょうか。何かやはり産に対する売り込み、今、少しおっしゃったことに似ていると思いますが、売り込み能力が不足していると思います。だからそれは報告書をつくるということが目的化してしまっていて、ここには書いています、ここには書いています、ここにもあります、それは書いていますと言うけれども、何というか、すごく楽しい落語と漫才を聞いて議事録をつくったというようになってしまうのではないかと思うので、座長がもう少しここを加えてよくしておきなさいと言っても、だめではないかと思います。結局、同じものしか出てこないと思います。だから、それならもっと委員の思いを入れてほしいと、事務局はそういう叫びがあるのではないかと思います。

 

【白井主査】

 少しまた議論になりますね。

 

【武田委員】

 私、きのうはまた別の委員会でしたが、我々委員も考えなければいけないのは、総合科学技術会議の仕組みからここの学術審議会のこの仕組みも含めて、我々はだれに向かってしゃべっているのかということです。我々がしゃべったものを文章にしているのはお役人の方々です。この構造を是認して、私は今の竹岡委員のご指摘ももっともだと思うけれども、それを言うなら、やはり白井主査が委員会のライターを持って、それで文部科学省に対して、もちろん文部科学省から諮問を受けたこの委員会が文部科学省に対してかくあるべしというレポートを書く構造にしない限り、議事録をとってもらって作文をさせてというのは、結局我々はそこに落語をしている役割をみずから演じているわけです。

 

【西岡委員】

 そう思いますね。

 

【武田委員】

 そこまで踏み込んだ議論をしないと、建設的なほうに行かないような気がします。

 

【西岡委員】

 そのつもりで言いましたけれども、言い方が悪かったかもしれないです。

 

【武田委員】

 それはすべて、総合科学技術会議も柘植委員がいらしたけれども、もちろんブレーンがいて、内閣府がサポートしていても、基本的にある意味で現在の行政で行っている人とは少し離れてレビューし、サジェスチョンし、指導性を発揮するという意味でキャパシティーを持たないまま、ということになると、結局ゆだねる格好になって、この文章でいいですか、という世界に入ってしまう。

 

【西岡委員】

 今、そうなってしまっていると思います。

 

【白井主査】

 これは非常によく今までの議論、皆さんの意見がいろいろな意味で結構入ったまとめになっていると思います。だから別にこれに文句を言ってみても、確かに委員が言ったことなのです。

 だけど、それでは委員が言ったことがほんとうにそれで意味があるのかというところが、僕は既に問われていると思います。だから委員自身も答えを持っているわけではないです。こうしたら絶対日本の産学連携が絶対よくなりますと言えるのでしたら簡単です。そうなっていないところに問題があります。

 

【渡辺技術移転推進室室長代理】

 今回の第2回の産学官連携推進委員会の中でも、この政策形成とかを考えるに当たって、まずはデータをしっかりと、量的なもの質的なものも、今、政府の研究など出しているものなども踏まえて、まずそこは検証するべきではないかと、非常に厳しいご意見をいただきました。そういったことを踏まえまして、この素案の後ろについているデータなどを見ていただきますとわかりますように、今、いろいろなところに出ている、少なくともある程度国全体をカバーするような調査についてはかなり我々でも見た上で、そこで課題などを抽出していきました。それと、そこから出てきた課題を踏まえて、委員の意見を踏まえて、報告書の素案というのを作成させていただきました。さらにはその過程においては、ワーキングチームという形で約8名の委員の方々にも加わっていただきまして、そこでご意見をいただいたものも入れてございます。さらには何度かこの委員会の方々に対しまして、意見があれば出してくださいという形でお願いしたものをまとめさせていただいております。

 ただ、そこのそういった具体的な意見を出してくださいというところでどれほどの意見が出てきたかというと、正直に申し上げますとそんなに出ていなかったということで、我々としてはこういった議事録などを踏まえて調整するとこういう文章にさせていただいたというところでございます。

 

【武田委員】

 くだらないかもしれませんけれども、私はメールでも意見を出していますし、それで今、ここでできる限りで言いましても、例えば竹岡委員のようなスタンスも含めて、委員会側から今の文部科学省のやり方について一言というスタンスがとれれば、例えば今の地域活性はまさにいろいろなご意見が出て、ものすごく日本にとって大事なことです。ここの限られた文部科学省ができる範囲では難しいと思う。

 となると、文部科学省と経済産業省が今度一緒になってクラスターで何か議論するという以前に、やはり地方分権とか地方に財源を持たせるとか、そういう地方の自立性ということとカップリングしない限り、何も進まないのではないかという意見がここに書けるかということです。それは何度も私は申し上げています。でも、そういう表現にはなりません。

 1番のイノベーション創出に向けた新たな場の形成も、これは大変大事なことです。だけどここに、独立行政法人や大学と役割は書いてあるけれども、政府の役割は書いてありません。JSTがありNEDOがありという、例えばファンディング・エージェンシーがこの一貫した、それこそ教育から研究からイノベーションにつながるここの連続を協働してチェックする仕組みは、それはある意味では文部科学省の学術審議会のもとではできないかもしれないです。もっとトップレベルにしないとできないかもしれないけれども、それをやらないままここ何年も何年もやってきて、白井主査が言われたようにいろいろな施策は打ち、お金を使ってきたということです。ほんとうに効果は出ているのだろうかということを、我々自身も十分な分析はできなくても、さっき言われたデータその他を見ていると、やはり国として投資したことの効果は不十分ではないかと思います。そこの根源はどこにあるかと言ったときに常に出てくる理論では、縦割り理論ということに対してやはり踏み込めていないです。するとここの委員がみんなそれに踏み込むつもりがないのかということになってしまうわけです。

 この表現のところに、我々ではできないかもしれないけれど、ここの部分を一生懸命やっていると、例えば方法論としては、ファンディング・エージェンシーを通じてちゃんと縦割りを排するような施策があってこそこれが生きるなど、きのうの委員会では、それは要望事項で書こうという話になりました。我々はこれをやろうと思っているけれども、これが機能するためにはより大きな法規制の問題だとか、そういうお金の使い方や省庁の連携の問題なしには、これは実現できないぐらいのことはせめて書こうと言っているわけですけれども、どのレベルで、先ほど竹岡委員が言われたように、もちろん何も知らない人にインパクトも与えなきゃいけないし、同時に本質的な議論、やはりここで若干破壊的なチェンジをしようというところに対して、本質的なところをちゃんと伝えないといけないのではないかなという思いはあります。

 

【西岡委員】

 僕は渡辺さんはよくやっていると思います。文句言うほうがおかしいと思うのだけれども、仕組みの問題があります。

 

【白井主査】

 いやいや、別に渡辺さんがよくやっていないと言っているわけではないです。

 

【柳研究環境・産業連携課長】

 今、武田委員のご発言を踏まえて一言申し上げると、今回の検討自身は、単純に来年度予算とか我々の予算だけということではなくて、この後予定されております、例えば科学技術学術審議会のもとでの基本計画特別委員会、この基本計画特別委員会も必ずしも文部科学省でできることだけを書いているわけではないです。それは、ある意味その次に打ち込んでいく先として総合科学技術会議があります。総合科学技術会議は科学技術に関する政策の重要事項を議論するということで、関係大臣も入って政府全体の会合だということです。そこまでいずれ打ち込まれていくということを考えると、例えばこの中で考え方と施策がパッケージで示されているものというのがありますが、先ほど武田委員がおっしゃったように、要望とかワーニングを発する、ないしはこういう点が重要だという指摘をするという意味では、この委員会で意見が出たことを残していくことはある意味、例えば上位の基本計画特別委員会、ないしはそこは皆さん委員の方たちがいらっしゃるので、そこでもそうだということになれば、また文部科学省を出て総合科学技術会議に出ます。総合科学技術会議の議論でも、またさらに必要があれば政府の別の横の機関で議論されていくということもあると考えております。

 その意味では、前に地域の話をしたときも、別のところでも議論されていると言いましたが、それは役所の中の縦割りというご指摘があって、それはおっしゃるとおりでして言うことは重要です。我々はこの産学官連携という視点から見たときに重要だと、枝葉が広がっていくというのは、施策として我々ができるかどうかは別として、ご指摘をして、それをまた上位ないしは横のところで拾っていっていただくということはあると思っております。ご指摘としては、我々施策を組めないにしても何か書いていくことによって、留意事項、要望事項という形で広がっていくのはあると思っております。重要なご指摘だと思っております。

 以上です。

 

【白井主査】

 では、柘植委員お願いします。

 

【柘植委員】

 竹岡委員が発した問題提起に対して、私なりにもちろん同意しています。全く今までの我々のこの活動というのは、どちらかというと大学を中心として、もちろん産業もありますが、当事者同士がもう少しお互いに深化をしようとすることです。それでスタンド・アローン、つまり経済的も含めてスタンド・アローンするまでに、国がするべきミッションはこうだと示すことです。こういうのを今までの旧産学官連携から大分深化してきたというのは、今、渡辺さんがブリーフィングした中であるが、ここでまとめた話というのは、言うならばもうその同じ穴のムジナ同士で、かつ、国のなすべき話ということで、そういう意味ではよくまとめたなと思います。

 一方では竹岡委員がおっしゃったように、全くゼロベースで政治行政はするという相手に対してのドキュメンテーションとしては欠陥があるというのは、私もうなずけます。これはあえて言うとこの本委員会の今現在の欠陥、レディネスという面ではできていない面もあるし、基本計画特別委員会でもそれは避けて通れないし、まして総合科学技術会議の第4期に向けて、話も第3期のそのままの延長ではもう許されないということは明らかであります。したがって、今後そういう話で、今竹岡委員がおっしゃった話はやはり構築していかなくてはいけないと思います。

 その構築するネタは、委員もおっしゃったように、私はここに確かにあると思います。ただ1つだけ、やはり今、私もこれ、コメントを出してきて今さらと思いますが、明らかに産学連携、日本は深化してきたけれども、先ほどの東工大のプレゼンテーションにもありましたように、明らかにまだスタンド・アローンで自立していくメカニズムまで深化していないということです。それを経済的なバランスで、将来のレベニューを含めて取っていくのかというと、私はそれは大学のミッションとしては無理であって、やはり教育というものにこれを生かしているということです。この今回のレポートの中にも教育と研究とイノベーション、社会経済的価値、その三位一体を進めるために、この産学官連携というのは大事だとすると、それをどうするというところが、まだ掘り下げが今後の課題というか、この委員会としては次の委員会を続けるとしたら、そこのところかなと思っています。

 結論からすると、言葉が少し難しいけれども、同じ穴のムジナではなくて、産学官の当事者同士のレポートとしてはかなりいいところまで来たけれども、政策をつくり、そこに投資責任を持った行政に対してはもう一歩、確かに竹岡委員がおっしゃった話は、この委員会も基本計画特別委員会も、総合科学技術会議もやらないといけないなということで、それは分けられないというのが私の考えです。

 

【竹岡委員】

 事務局の皆さんとてもよくやっていただいていると思っております。思った上での発言だということで、少しご容赦ください。ただ、ほんとうに状況がこの1カ月間ぐらいの間でものすごく劇的に変わったという中で、この委員会のやり方というのが、まとめ方というのが、今までのようなやり方でいいのかということです。

 やはり少しいろいろ考えていまして、確かに先ほどお話が出ましたように、この委員会の中でのペーパーのライターというのが別にいないわけで、全部まとめを事務局にゆだねているという現状ですね。どうしたらいいかというのがありますが、1つは、この素案のごく1枚目なのかどうかわかりませんが、とにかく1ページか2ページぐらいの何かまとめというかアピールするためのペーパーみたいなものをこの委員会が主導になって、ほんとうはできたらいいなという感じが少ししました。要するに文章を長く、あるいは正確に細かく書くということになると、委員では無理だし適任でもないと思います。しかもこの素案の中身自体は、書いてあることが何か全然完璧に間違っているとか方向性が違うとかそういう問題では全然ないので、何かそういうものを委員ベースでつくれればいいかなというのが1つあります。

 だからそれは、1つは基本的な今後の国家戦略に向けて、これがどう位置づけられるのかという、つまりものすごく重要な分野だよということを、我々はもちろん同じ穴のムジナの中で言っているから、何か自分たちのために言っているのではなくて、基本的にこれからの日本国のあり方として、ほんとうに大事だと思っているからほんとうにみんな言っているわけです。そういうことがまず出ていて、それから次に、私はこれまでの産学連携の取組というのは、この短期間でほんとうによくやられたなと思っています。

 文部科学省さんも努力したし、大学も努力したし、それまでの長い大学の歴史の時間を考えると、この数年の変わり方というのはものすごい変わり方です。やはりそれはきちんと実は評価しなければいけないです。評価して、制度設計してここまできて、各大学が頑張っていろいろ取組をしたところです。ここまできたけれども、これから先、これがきちんとサステナビリティーというか続いていくのか。発展していくのか。今、そういう一番大事な時期に実はあると思います。だからこれからの支援が大事だよというところが出てきて、そして最後に武田委員がおっしゃっていたような、例えばそうは言ってもこういうような、実は根本的な問題がもう見えてきたという問題提起みたいものが1枚の中に入ってくると、非常にわかるかなという感じがしています。

 

【白井主査】

 ありがとうございます。非常に基本認識で、大変おもしろい議論だと思いますが、どうしましょう。原山委員からお願いします。

 

【原山委員】

 きょうの議論、これまでいろいろな会議の中で初めての議論だと思います。これは政権が変わった話の以前の話であって、審議会システムの限界というものはまさにきょう、議論のいわゆる議題に上ったということです。

 それは何かと言うと、私は両方の立場をわかっているつもりです。つくる側も知っているし、こちら側の、通常はこの審議会の中では我々委員というのがいわゆるどちらかというと評論家という立場にいるわけです。出していただいた問題に対して評論をする。それで、コメントを受けた形で盛り込むという形ですけれども、どこまでコミットしているかというと、やはりお願いしている立場にあって完全にコミットしていないです。

 だから本来であれば、やってはいけないわけはどこにもルールが書いていないわけです。まさにペーパーを一緒に書くということだって可能なわけであって、そんなことをしてはいけないとはどこにも書いてないけれどもしていない。やはり、いわゆるそちら側の方々たちも遠慮なさっているわけです。皆さん忙しいだろうから、お願いベースでやってくださっている。けれども、これではやはり限界です。私は総合科学技術会議に入ったときには、幾つかのペーパーに関しては自分で一緒に書きました。やはりそこまでしないとできないです。

 ですからここで1つのトライアルとして、はじめの基本的な考え方について、数名でいいのですけれども、一緒にたたき台をつくって、それを皆さんで共有した上でそれにのっとった形でストラクチャーをつくって、この施策を入れていくという形でやったらいかがでしょうか。これは提案ですけれども。

 

【白井主査】

 ありがとうございます。若干、この委員会も行き詰まって、分科会もつくってもらいまして、必ずしも時間を十分とったわけではないけれども、一、二回は何かいろいろ意見交換もしていただいて、別にそこのところに作文をしてくれとまではお願いしませんでしたけれども、そういう考え方もありますね。

 それでは牧野委員。すみません、じゃあ、順番でお願いします。

 

【牧野委員】

 こちらの意見が少ないので、意見を言わせてもらおうと思いますが、私は現段階ではこういうまとめ方になるという気はしています。書き方は少し変えないといけないのかもしれないですけれど。

 私はいろいろ会社の方と話をしてきていますけれども、やはりパラダイムシフトが随分頭の中に会社の方はあって、大学が変わってこないといけないということをよく言われるのですが、そういうフラストレーションを感じておられるのが現状ではないかなと思います。大学も随分変わってきていると思います。かなりの勢いで変わってきていると思いますが、あまり目に見えてきていません。だけど変わり方というのは、こういう変わり方もあるけれども、大体こういう変わり方だろうと思います。

 私はちょうど80年ぐらいにアメリカにいましたけれども、あの当時、そういうパラダイムシフトにアメリカがぶつかったときに、どれだけひどい状況だったかというのは見ているのですけれども、それが日本に来るかもしれないということをよく企業の方はおっしゃるわけです。大学はどういうことがこれからできるかというと、海外の大学も随分当たってみたけれども、「京都大学、who?」という感じです。京都大学とはだれなのかということです。ワールドランキングのここら辺にはいるけれども、中身を知らないわけです。

 だけど文部科学省のこの事業によって、先ほどのお話にありましたけれども、随分中身を知ってもらって、そしてお互いに認め合うような状況ができつつあるのではないかなと評価しています。そういうのを通じて、初めて向こうの大学のポートフォリオもわかってきますし、僕らのポートフォリオも向こうがわかってくれると思います。お互いにどういうことができるかという話もよく話しているのですけれども、東京工業大学みたいに、産学連携にすぐ入っていかれるところもありますけれども、そういうことはやっていないにしても、随分下準備ができている大学はたくさんあると思います。ですから、これからなのではないかと思います。会社の方にしたら非常にストレスフルな発言かもしれないけれども、この辺はやはり、ここまでやっと持ってきていると考えていただくといいのではないかと思います。

 少し気になるのは、そういうイノベーションの方向というのがもうひとつわからないです。地方のことが出てきたり、世界に向けたものが出てきたり、この2つが交錯して、少し事を難しくしているのではないかと思うので、この辺、両方大事だから、そこら辺をちゃんと書き分けて書くといいかなと感じております。そんなにひどい状況ではないけれども、あまりパラダイムシフトというのが耳に聞こえ過ぎるので、僕らもどうしたらいいかなと思いますが、その辺の企業と大学の意見のすり合わせ、情報の交換といいますか、そういうのが大事なときに来ていて、そこがうまくいけば、うまくいくのではないかという楽観的なことも少しはあるかなと思います。

 

【白井主査】

 ありがとうございます。それでは森下委員お願いします。

 

【森下委員】

 基本的な認識は皆さんかなり近いと思います。ただ、問題としてここで書けるかどうかという話があると思いますが、先ほど原山委員が言われたように、別の委員会等では、一緒に原山委員とやったことがありますけれども、有識者委員というか委員有志として、ペーパーをまとめて問題点なりを提出したこともありますし、まさにこの中での議論としてはやはり実務の話をせざるを得ないと思います。逆に、あまり正直浮かれ過ぎてはいけないだろうと思っていまして、現状としてはとまることのデメリットのほうが大きくなると思います。

 実際、今回補正予算の執行がとまってベンチャーが何社かつぶれそうです。というのは試作品をつくるということ自体、グランド等もとまっているので、資金繰りがもう回らないということでかなり影響しています。これは別の省庁関係ですが、銀行融資も、新規の融資がもう全く実はとまっているという状況の中で、もう今、足をとめること自体が危険になっています。

 そういう意味では、やはりやるべきことは粛々とやるべきであって、その仕組みの変化というのは、もう少しまじめに大局的な観点から考えてやらなければいけないと思います。この委員会をいじってどうこうというよりも、もっとやはり全体の仕組みを言うべきで、それをつけるのは反対ではないです。むしろつけるべきだろうと思いますけれども、ただあまり時間がない中で、そのために全体のスキームをとめてやるよりかは、早く動かしてやらないと、血液がもう流れなくなる可能性が極めて高いかなと思います。

 特に要求の組みかえというのも、聞いているところですと7兆円ぐらいむしろ予算を出さなければいけないということで、増えるという話ではなくて削られるという話がほとんどみたいですから、そうすると産学連携の重要性というのを理解してもらうことをアピールしながらも、かつ、早く、先ほど話したベンチャー等でお金に苦しんでいるところ、あるいは実際かなりいいところまで行った話がいろいろな意味でとまっているようなケースが増えてきていますから、やはり動かすべきところは動かすというスタンスは大事かなと思います。

 

【白井主査】

 柘植委員、お願いします。

 

【柘植委員】

 進め方について提案ですが、竹岡委員がおっしゃった話を、私はこの委員会の委員ペーパーとして紙をつくるというよりも、何とかこの資料3-2の審議状況報告(素案)について、まだこれは案ですから、特に2ページ、3ページについて改良の余地があると思います。「はじめに」の1ページのところでも私は竹岡委員のおっしゃった話はプラスできるなと思いながらも、2ページ、3ページの基本的な考え方、これはもう明らかにもう我々今までのずっと同じ仲間の中で、大学も行政も、それから大学と辛抱強くつき合っている産業との、そういう仲間でのずっと深化の過程、そして今後のさらなる深化の方向、そしてそれを支える国の役目だよということが3ページに出ているもので、これはもう我々の今までのこの委員会の思考プロセスが非常によくまとまっていると思います。

 一方では、竹岡委員の指摘の話が抜けているぞという受けとめ方をして、私は2ページ、3ページにまさにその科学技術駆動型の成長戦略を支えていくしか日本は生きられないとして、それを実現しようとすると、このねらっているほんとうの意味の産学官連携をしていかなければいけないです。当然、それにはお金だけではなく、結局生み出す人材も含めたバランスシートですと、こういう主張で新政権に対して説得をする点で、私は確かにそういう面で2ページ、3ページでは少しまだ抜けているのではないかと思います。しかし、ここは評価できるのではないかと思います。

 私の提案は、竹岡委員にここのところを少し、もし私の見方が、この2の3が料理しようがないというのであったらだめですけれども、修正、ブラッシュアップでできるというのであれば、2ページ、3ページ、5ページは上げて、それで結果的にこのレポートの最後の結論もそれに呼応したものにしていくことを私は提案したいと思います。

 

【白井主査】

 大変貴重なご意見をいただいてありがとうございます。実はだんだん時間が迫ってきたので、少し待ってください。あと何をやればいいのでしょう。あとどのぐらいやればいいのでしょうか。大体重要なことは終わっているのでしょうか。

 

【渡辺技術移転推進室室長代理】

 はい、そうです。

 

【白井主査】

 そうすると安心してできます。

 それでは、西山委員お願いします。

 

【西山委員】

 聞いていて、皆さんのおっしゃっていることは極めてもっともなことばかりおっしゃったと思いますけれども、柘植委員の提案、私は賛成します。いいのではないかと思います。

 それで、常々こういう委員会に参画していて、西岡委員も武田委員も申されました委員会の仕組みのあり方の限界はもちろん構造的にある中で、もうこの委員会の、ほとんど最後の段階に来ていることも事実だと思います。ですがこれは、今のようなやり方で決着をつけることが必要ではないかと思います。今まで事実、これでいいと言っていたので、そこを徹底的に取りかえるというわけにいかないので、ここで1つの決着をつけるのが良いと思います。そのときには竹岡委員の言うことを柘植委員の提案のように織り込むというのは非常にいいことだと思いますから、それは賛成しております。

 もう1つ、武田委員がおっしゃっていますように、ただ単にこの委員会の仕組みの問題の限界もあると思います。もっと上位場面で考えれば国のあり方の問題もあり得るわけですから、それはできたらもう1度、その分はあることが確かなので、それについて、政権交代もしたし、この仕組み自体を、私がかねがね思っているのは、いろいろなことを改良してよくしていこうということについては非常に見合っている仕組みだけれども、何かを大きく革新しようとしたときには、この仕組みはどうしても無理だと思います。

 今回の場合は政権交代したし、いろいろなことを政権も変えようとしていることも事実なので、こういうときに、同じ国のあり方の意見があったときに、この委員会としてこういうことを言っていくというのは1つのチャンスではあるわけですから、普通のときよりはその取り上げ方が可能性として十分あり得る可能性もあると私は個人的には思います。それは最後の1ページぐらいで、この委員会を越えているかもしれないけれども、こうやったらもっとこの部分がより国としてはよくなるという意見は付していいのではないかと思いまして、これも1つの提案です。そうすれば、ここのまとめとしてはいいところではないかと私は個人的には思います。

 

【白井主査】

 なるほど、西山委員としては非常に合理的な考え方ですね。正当な議論をいただきましたが、ほかには何か特にありますか。

 

【西岡委員】

 やはり表現だと思います。後ろを読みたいという、いわゆる起承転結で事を起こしていくと読まなくなります。先ほど言われたように、産官学はここまで来ていると言うのであれば実績があると思います。使わなければ損ですと、こんな例があるというふうに前へ持っていったら、次を読んでいくと思います。すみません。私は日本の会社ではないので、委員会ではそうします。こうやらなければ損ですと言ってしまえば読む、というようなまとめ方を少ししてみると良いのではないかと思います。今の西山委員のおっしゃられた最後の1枚は見ないので、それを前に置いてほしい、そういうご提案です。

 

【白井主査】

 大変すばらしい討論だと思います。確かにこれ、みんな読まないと思います。ほんとうに悪いけれど、いや、別にいいことがたくさん書いてあるけれども、悪いけれども。だって僕ら委員ですらちゃんと読まないとすると、だれが読むのだろうと思います。

 だけど目次ぐらい見ると、こういう方向をやらなければいけない、産学連携をやらなければいけないと思います。担当者は一生懸命いろいろどうすれば一番いいだろうかともちろんお考えだから、それで予算に行くわけだけれども、そういうやり方自身がある意味ちょっと問題だというのは、非常にいい場合もあります。その施策が非常に重要であると、それはもう当然だと、だれが考えたってその施策しかないというのであればいいのですが、僕はこの施策、悪いけれども結構先が厳しいと思います。

 だから、根本的に日本のいろいろなもの、これはやってはいけないということはないと思うけれども、全部に問題があります。大学にも問題があるし、企業にも問題あるし、それから企業と大学が組んで、ほんとうに日本の国力を一緒に増進するためにどうしたらいいかという取り組みは、日本の中でははっきり言ってそんな意識はないと思います。この委員会くらいはあるかもしれないけれども、そういう程度の話で、やはり僕は非常に悲劇的だと思います。いろいろなものが欠けていると思います。

 それを、どうしたらつくれるかといったら、やはり基本的な教育のところであるとか、あるいは両方が会ってほんとうに議論して、どうするかということを真剣に自分の仕事にも反映させるようなメカニズムがなければいけないと思います。だから会社のトップの人にはそれを考えてもらわなければいけないけれども、会社のトップに訴えるのは、確かに言われるとおりで、1枚の紙で結果でも言ってくれなければ、そんなの聞いてはいられないと言うかもしれないです。

 そういうことも含めて、僕は要するにお金をつぎ込んでも、さっきの東京工業大学のお話ではないけれども、終わったらどうしますか、私たちの雇用は期限が切れることだけは確かですと言われるとすごく悲しいです。だからそこをブレークするようなことは言えるのだろうか、言えないだろうかというのが、正直言って、僕はこの委員会をできればやめたいぐらいつらいです。それを何かやりたいですね。

 何かまだどうぞ、三木委員お願いします。

 

【三木委員】

 いろいろお話を伺っていて至極もっともな話ですけれども、この報告をまとめるということで言いますと、先ほどの西山委員のご発言、竹岡委員のご発言は正しいと思っていまして、アブストラクトを冒頭につけておいたらいいと思います。

 その中ではまず相応の成果、過去の相応の成果をきちんと出すということです。そして実質化を今度どんどん進めていき、そして期待されるアウトカムズは何だということを明示することです。そして国にとって、地方にとって、こんなことが期待される、これがアウトカムとしてそこに出てくるということさえあれば、私は、最後はお忙しいからアブストラクトしか読まないです。そのアブストラクトが勝負だと思っています。ですからこの中に関しては、必要なことはきちんと書かれていると思います。それのどこに力点を置くかということは今後の話ですし、私はそれで十分だと思います。

 それから、そのときに多分、新しい政権になったときの問題で言うと、企業で言うとROICのような、こういう観点が多分必要だろうと思います。きょうの東京工業大学でのお話を伺っても、目標がどこにあるのか、そしてROICの観点で見たときに、柘植委員が言われたような人材育成のところにリターンがあるということを組み込んで評価するようなことができていればいいわけです。ですからそのような今後の問題についてはまたこの後の、この10月1日以降の委員会で、各大学とか産学連携を取り組む機関がどういう評価指標を持っていけばいいのかとか、そういったことはまた今から深化させていけばいいと思います。ですけれども、この段階のまとめで、やはりアブストラクトをつければいいのではないかと思います。

 

【白井主査】

 ありがとうございました。それでは、原山委員一言お願いします。

 

【原山委員】

 基本的な考え方での成長の話と、もう1点ここで入れていただきたいのは企業のことです。産学連携すると大学はこう変わらなければいけないという学に対することはいっぱい書いてあるけれども、企業自身もみずからを変革させる1つのツールとして産学連携を使うべきであって、それがやはり売りになると思います。それを書かないと、いつも文科省サイドであるから大学にいろいろとメッセージが行くのはわかるけれども、やはりこの位置づけを考えたときには、企業も変わらなければいけないと思います。そのために、その1つのやり方という売り込みが必要だと思います。

 

【白井主査】

 きょう、この後、科学技術・学術審議会の基本計画特別委員会で、少なくともこの資料2-1で今の進捗状況は報告させていただきたいと思います。

 ただ、きょうの問題意識について、皆さん大体共有したと思いますが、少しスタイルを今後改めて、例えば最初の基本的な考え方なんかは三位一体でやると書いてあるけれども、こういう言い方、表現がいいかどうかだと思います。これは間違っていなくてまさにこれが大事です。その中で、産学連携というのはどういう役割をするだろうかということを書けばいいと思いますし、そういう目的に従って、ここまで大学もほんとうに変わってきたということも書けるわけだし、僕はそんなにストーリーは違っていないと思います。だからきょう出た意見に基づいて、次のレポートが若干の修正が加わっても私はいいと思いますけれども、とにかくきょう、これをやらしてもらえないと、何も我々は働いていないということになるのも少し嫌なので、一応この筋で報告はさせていただいたほうがよろしいのではないかと思います。

 ただ、今皆さんからいただいたようなことがありますので、今後の作業として少しそういう修正を加えてみたらいかがでしょうか。

 

(事務局より、資料4の説明)

 

【白井主査】

 その扱いでよろしいでしょうか。きょう、本委員会ではないので、違う委員会ですが、そこで我々がどんなことをやっているということを一言は言いたいと思います。それは主にこの資料2-1に基づいて行いたいと思います。基本計画特別委員会で配られる以上、これは知りませんというわけにはいかないので、一応こんなふうに進んでいると。ただ、まだまだ我々としてはインパクトのあるレポートを用意しているところだから、次回を乞うご期待ということでやらせてもらったらいかがでしょうか。

 私は、こういう活動はある程度支援しないと、日本の中では残念ながら、自然発生的にこのままほうっておけばどんどんいい方向にいくというわけにもいかないと思います。したがって、最も効果的な方法は何なのかということはまじめに考えて、施策はやってもらわなければならないだろうと思います。そうすると、こういうレポートになるけれども、もう少しインパクトのある表現方法は確かにあると思いますし、それから各大学に対して、こう考えなければいけないのではないかと思います。

 例えばどこの大学も、今まで価値判断がほとんど同じです。だから、基礎研究みたいなところではどういう研究をやったらいいのかということです。みんなそこだけしかあまり意識がないし、ファンディングなんかもそういうところだけにしかファンディングがいかないです。むしろこういう産業界なんかと組んでどんどんやるようなところ、もちろんある程度いっているところ、お金を使っているところもあるけれども、若干、例えば中小企業と一緒にやろうなんていうところに支援がいくかと言ったら、そんなにいっていないです。そういうようなところの考え方ももっと多様にしなければいけないと思います。いろいろな、ほんとうにノーベル賞級の研究をやるグループももちろん必要だし、それ以外のところも必要であって、そういうような大学のあり方を、今、大きく転換していく時だと思います。

 そういうところに僕は1つステップとして、これまでの歴史から言えばきているとは思います。実際、産学連携をやってくれている人はそれなりに少しずつ増えてきていると思います。だからそういう意味で言えば、牧野先生ではないけれども、希望が全然ないわけではなくて、非常に発展はしてきていると思います。だから、それをどう伸ばすのかということです。

 それからやはり僕は、日本の企業がグローバル企業とか言うけれども、もう少し世界戦略でどういうふうにやっていくのかということを考えて、その中で大学というのはどれだけの役割を果たし得るかということを考えて大学を育成しないと、非常にまずいと思います。どこかいいものがあったらそこから拾ってくればそれでいいというような精神では、日本の大学が発展しないと思います。ですから企業の中だって、どこかで研究をやらないと製品開発できないというときには相当に猛烈な投資をやっているわけであって、そういうことをやらないでおいて、大学から何かうまいものが取れるだろうって、それはやはりないということも事実です。

 それから、さっき東京工業大学で太陽熱発電がありましたけれども、ああいうものだって、たまたま先生がそういう方だったけれども、ほんとうに次世代の太陽光発電の技術を日本でちゃんとやろうと言ったら、もう少しどう取り組めばいいのか、産業界ももう少し何とか考えるべきだし、大学間でももう少し考えるべきだし、そういう連携はあってもいいと思うけれど、そういうことがないです。太陽光発電を一生懸命言っていても、東京工業大学の中で結構孤立無援というか、日本の中で孤立無援ではないかと思います。レンズで集めるのはとんでもなくて、そんなのやってられないという、そういう反応をする人が結構多いと思います。ですから、やはり日本というのは、そういう意味で土壌が自分のことしか考えないというのか、そういうことがすごく多過ぎるので、どういうふうにすればいいのか、そういうところに、今、問題点が入っていると思います。

 細かい技術について言うと、例えばきょう、原山委員が学術会議でまとめられたような知財に対する考え方とか、データベースをどういうふうにつくるべきだとか、契約をどういうふうにやったらいいだろうかとか、実はもう相当そういうものは整っています。ただ普及しているかどうかわかりません。普及しているかどうかは別としても、整っているのです。だけど、それをほんとうに生かしていくようなそれぞれのコンポーネント、産業界、大学、そういうものがどういうふうに伸びていったらいいのか、それに必要な仕組みは何なのか、何か助けなければいけなかったら何を助ければいいのかというのを、今、少し明確にすればアピールではないかと思います。

 11日にはそれでは、またすばらしい渡辺さんのスマートなるレポートがまた出てくると期待したいです。僕らも、意見を言うようにしましょう。だから11日にいきなり出てくるのではなくて、その前にこれで文句があったら言ってくださいと、何かつけ加えることがあったら言ってくださいということをどのようにしましょうか。

 

【竹岡委員】

 みんなあてに出してはいけないでしょうか。要するにメールをいつも事務局にあてるのではなくて、例えば今考えているのは、柘植委員のおっしゃるように、ここの「はじめに」のところと2ページ目、3ページ目を変えるということで、かなりわかりやすくなるだろうと思います。だとすると、例えばここをこういうふうにしたらいいという案を、例えば私や原山委員が一緒につくって、例えばそれで全員に出して、みんなが好き勝手に直していただくとか、そういうことはできるでしょうか。

 

【西岡委員】

 でも好き勝手に直して、まとまるでしょうか。

 

【竹岡委員】

 すみません。

 

【西岡委員】

 具体的にその話はすごく安易だと思います。それで、今からまた意見をメールでもらってつけ加えるのでしょうか。今までやってきた議論は一体どうなのかということになります。僕はむしろ今からは主査がそぎ落とす、そういう作業に入るべきであって、今から加えるというのも全然おかしいと思います。重要なことはそぎ落とすということです。

 

【柘植委員】

 今のご発言の私の理解は、みんなが修文するのではなくて、竹岡委員と原山委員がこの特に1ページ、2ページのところをブラッシュアップする案を提案していただけるということです。

 

【竹岡委員】

 提案してみんながどう言うかということです。

 

【柘植委員】

 それでノー・オブジェクションならばそう直そうと、そうおっしゃったと思います。

 

【原山委員】

 ゼロベースではないとは思います。

 

【西岡委員】

 ゼロベースというか、これにまた加えるのはやめましょう。

 

【原山委員】

 そうではなくて、はじめの部分をいわゆる私が学生の論文を直しているのと同じような感じで直させていただいて、一番アピールするべき点は何なのかというのを見直した上で、少し論文修正みたいな形で書かせていただいて、それを皆さんにチェックしてもらうというのはいかがでしょうか。

 

【西岡委員】

 売り込みを入れておいてください。

 

【原山委員】 

 もちろん、企業ベースで売り込みしていきます。

 

【白井主査】

 それではすみません、原山委員と竹岡委員に少し、いろいろな西岡委員のご意見もありますけれども、若干ニュアンスが変わっても、みんなが賛成するならそれはそれでいいと思いますし、その作業の一応中心をお願いして、ほかの方もご意見がある場合は事務局にメールでも何でも入れていただいて、そういうものの中でどうしてもこれを取り上げるべきだというものがあれば両委員にお回しして修正していただいて、10月中にそういう作業をやると良いと思います。

 

【石田委員】

 すみません、一言だけお願いします。

 先ほど渡辺さんからも説明ありましたように、プロジェクトの皆さんが機能されてこれだけまとまったわけです。したがって、今、出ている問題についてもプロジェクトの皆さんが一たん受けとめていただいたほうが効率もよいかなと思うけれども、どうでしょうか。

 

【白井主査】

 そうですね。一応プロジェクトには少しお回しして、その状況をやりとりしながらやっていただけますでしょうか。あまりたくさん開いたわけでもないけれども、一応皆さんにオーソライズされているという意味で。

 そんなところで、いかがでしょうか。大分きょうは、民主党のおかげで有意義な議論が進んだような気がします。やはり政権交代は大事だったのでしょうか。

 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

午後3時36分閉会

 

 

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