平成24年9月28日(金曜日)午前10時00分~午前11時59分
文部科学省東館3階 3F2特別会議室
野間口分科会長、石田分科会長代理、柘植委員、山脇委員、池田委員、内村委員、大中委員、岡澤委員、小林委員、斉藤委員、戸嶋委員、中谷委員、西川委員、廣瀬委員、福山委員、松嶋委員、椋田委員、吉永委員、和里田委員
土屋科学技術・学術政策局長、板倉基盤政策課長、吉田専門官ほか
経済産業省、国土交通省、公益社団法人日本技術士会
午前10時00分開会
○野間口分科会長 皆さん、おはようございます。大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。
ただいまから科学技術・学術審議会技術士分科会の第23回を開催いたします。
まず初めに、前回分科会以降、新たに議論に参加いただくことになりました委員の方々を御紹介いたしたいと思います。お手元の資料の確認につきましては後ほど事務局より説明してもらいます。
それでは、資料1を御覧いただきながら御紹介いたします。
初めに、柘植委員でいらっしゃいます。
○柘植委員 柘植でございます。産業が出身ですけれども、工学の高等教育と科学技術政策等の経験がありますので、その3つの面で貢献したいと思いますのでどうかよろしくお願いいたします。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
それから、中谷委員でいらっしゃいます。
○中谷委員 筑波大学の中谷といいます。今回から参加させていただくということになっておりますので、どうぞよろしくお願いします。
○野間口分科会長 よろしくお願いします。
福山委員でいらっしゃいます。
○福山委員 福山でございます。私は日立製作所を卒業いたしまして既に何年かたっているわけでありますけれども、今回、こういう御指名をいただきまして大変光栄に思っております。製作所での仕事はものづくりでありますとか、品質保障でありますとか、そういうものを全社的にまとめることをやりました。私は経営工学部門・総合技術監理部門の技術士でございます。ひとつよろしくお願いいたします。
○野間口分科会長 松嶋委員でいらっしゃいます。
○松嶋委員 職業能力開発総合大学校の松嶋と申します。よろしくお願いいたします。専門分野は広くいいますと電子工学で、もう少し具体的にいいますと通信工学やその基礎理論について中心に研究を行っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○野間口分科会長 よろしくお願いいたします。
本日は欠席でございますが、西田委員にも加わっていただくことになっております。
それでは、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○小林専門職 資料を確認させていただきます。お手元の資料でございますけれども、配付資料と参考資料がございます。配付資料につきましては、資料1、委員名簿。資料2につきましては、前回の技術士分科会における主な発言に基づく論点(案)として事務局がまとめさせていただきました。資料3につきましては、大中委員からこれから御説明いただく資料でございます。資料4につきましては、福山委員より御説明いただく資料でございます。参考につきましては、参考1は前回の分科会においても配付させていただきました種々のデータということになっております。参考2につきましては、文部科学省の高等教育局で設けました協力者会議において平成22年に公表されました「大学における実践的な技術者教育のあり方」という報告がございますので、その概要をつけさせていただいております。参考3につきましては、こちらもIEAが出しましたProfessional Competencies等について、その翻訳を配付させていただいております。参考4につきましては、前回の分科会の配付資料5と同じものでございます。参考5は前回の分科会の議事録となっております。
○野間口分科会長 それでは、議事次第に従いまして進めていきたいと思います。
議題1でございますけれども、「技術士制度の在り方について」でございます。まず事務局から御説明をお願いします。
○板倉基盤政策課長 それでは、お手元の資料2、さらには参考1~4までを用いまして御説明申し上げます。
まず資料2でございますが、前回、6月27日に開催いたしました技術士分科会で「技術士制度の在り方」について自由に御議論いただいたところでございます。その際、様々な御意見を頂戴しました。主な発言をもとに、今後、技術士制度のあり方について議論を進める上での論点の案といたしまして「技術士資格の必要性」「技術士資格取得後の活用促進」「技術士資格の取得方法」、技術士試験で確認すべき内容という大きく3つを挙げさせていただきました。 これらの論点は制度の本質にかかわるところでありまして、例えば「技術士資格の必要性」につきましては、技術士の資格は業務独占資格ではないことから、技術士の資格を使わずとも産業活動が行われているという実態があって、こういったことを重視していないという御意見がございました。さらには技術士という資格は何ができる資格なのかわからないという御意見もございまして、ここにありますように、技術士であればこれができるというコンピテンシーのようなものが必要ではないかという御意見を頂戴したところであります。
「技術士資格取得後の活用促進」につきましては、技術士の資格を取得することにインセンティブがあればよいのではないかといった観点の御意見、さらには平成12年の法改正によって新設された技術部門であります総合技術監理の活用を図るべきではないかという御意見もございました。また、CPDにつきましては内村会長から前回分科会で御説明ありましたけれども、これは配付されております参考資料4にもございます。その中で日本技術士会が行うCPDの登録者数が、技術士全体の10%にとどまっているということで、その増加を図り充実させるべきではないかという御意見。さらには国際的な視点からはAPECエンジニアにつきましても、これはお手元の参考資料1にございますが、その登録件数が6,076件ということでございまして、その数はまだ不十分ではないかという御意見もございました。
「技術士資格の取得方法(技術士試験)」でございますが、国際的には技術者がプロフェッショナル・コンピテンシーを持っているかということを試験によって明らかにする方向であるという御意見を頂戴してございます。そのほか、もっと若手の人が資格を取得すべきではないかということもございました。
続きまして、参考資料1でございますが、これは前回の技術士分科会でも配付した資料でございます。1枚目は平成22年度の国勢調査の抽出速報集計でございますが、この約220万人の技術者のうち大きな割合を占めておりますのは16番の「システムコンサルタント・設計者」で48万人ですが約22%程度に相当いたします。さらにはその下の「ソフトウェア作成者」につきましても約13%に相当するという統計上の数字がございます。さらには参考1の2枚目以降、これが技術士に係るデータでございます。現在7万5,000人程度登録されている技術士でございますが、資料の3ページ目にありますように21の部門に偏りがあるということで円グラフに示してございますように建設部門で45.3%、さらには上下水道で6.5%、機械や電気電子ではそれぞれ5%というふうに土木系部門の技術士が全体の半分以上を占めているという実態がございます。そのほかの部分につきましては説明を割愛させていただきます。
参考資料2でございますが、タイトルにありますように「大学における実践的な技術者教育のあり方」についてということで、「大学における実践的な技術者教育のあり方に関する協力者会議」の報告書の概要でございます。これは文部科学省高等教育局で実施した検討会の報告でございますが、これによりますと2ページ目にもございますけれども、今日、自然科学等の知識とその応用力を駆使して複合的に絡み合う課題を解決でき、社会の変化に対応できる質の高い技術者を養成するニーズが高まっていると。必要な基礎学力を明確にし、現場、現物、現実を踏まえ、自然科学等の知識を適切に応用できるようにする実践的な教育が重要であるという御提言がされています。
さらには具体的には4ページですが、「技術者教育のあり方」という中で、技術者のキャリアパスを踏まえた上で、各段階で達成され、身に付けるべき知識、資質・能力の評価指標を産学共同で整理することが期待されるということ。さらには大学における実践的な技術者教育での学生の共通的な到達目標を示す分野別の到達目標として、スピーディーかつオープンに策定されるべきであると、このような提言もされています。
続きまして、参考3でございます。IEAでまとめた報告書の翻訳でございます。国際教育機関における教育の質保証、国際的同等性の確保、さらには専門職資格の質の確保を検討して作成したものでありまして、このIEAはワシントン・アコード、シドニー・アコード、ダブリン・アコードというエンジニアリング教育認定の3協定、さらにはAPECエンジニア、EMF、ETMFという専門職資格認定の3つの枠組により結成されたものでございます。
この報告書では資料の4ページと書いてあるんですが、GAという概念が出てまいります。GAというのはGraduate
Attributes、資料の3ページの脚注に定義が載ってございますけれども、GAという考え方が示されておりまして、高等教育機関の学生が卒業後に適切な水準で業務を実践するために必要な知識・能力とされております。このGA、さらにはその次の段階としてPC-Professional
Competenciesという、これは同じく定義が載っておりますけれども、専門職として業務を履行するために必要な知識・能力の要素をまとめたものでございまして、6ページ以降それが記載されております。エンジニアリング活動を役割に応じて典型的に分けると、「エンジニア」、「テクノロジスト」、「テクニシャン」と分けることができるという提言がされておりまして、それぞれが専門職として業務を履行するために必要な知識・能力というものをまとめております。
資料14~15ページにその「エンジニア」、「テクノロジスト」、「テクニシャン」に分類した上で、Professional
Competenciesのあり方について表にまとめているわけでございます。これを見ますと左側に幾つかの要素が書いてありますけれども、例えば3番目に「問題分析」というところがございます。この問題分析について、「エンジニア」、「テクノロジスト」、「テクニシャン」それぞれ書かれているわけでございますが、例えば「エンジニア」については「複合的な問題を明確にし、調査し、及び分析する」、「テクノロジスト」につきましては「大まかに示された問題を確認し、明確化し、及び分析する」、さらに「テクニシャン」は「明確に示された問題を確認し、記述し、及び分析する」といったことが分類されて書かれております。さらには4番目になりますが「解決策のデザインと開発」、こういった要素につきましては、例えば「エンジニア」につきましては「複合的な問題に対する解決策をデザインし、又は開発する」といったことが書かれております。
次の15ページに参りますと、例えば9番目で「エンジニアリング活動のマネジメント」といった視点で見た場合には「エンジニア」については「一つ又は複数の複合的な活動の一部又は全体をマネジメントする」能力、こういったものがコアコンピテンシーであろうということが求められております。日本の技術士制度における技術士が、どれに相当するかということでございますが、IEAが掲げるProfessional
Competenciesにおいては「エンジニア」に相当する者であると考えられることから、本日の分科会において技術士制度のあり方を御議論いただくに当たって、このIEAのProfessional
Competencies、なかんずくこのエンジニアリングの部分について参考になるかと思い、配付させていただいた次第でございます。
参考資料4、これにつきましては前回の分科会で日本技術士会の内村会長から御説明があったとおりでございます。CPDの現況、さらには登録者数などを示しております。
説明は以上でございます。
○野間口分科会長 続きまして、技術士制度のあり方をこれから議論するに当たりまして、平成12年に大きく改正しましたこの制度の背景と経緯、国際的動向等につきまして大中委員より資料を作成していただいておりますので、御説明をお願いいたしたいと思います。
また、今年5月にロシアのカザンで開催されましたAPEC
Engineer会議、6月にシドニーで開催されましたIEA2012シドニーに出席されたことも、あわせて御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
○大中委員 それでは、資料3を御覧ください。まず平成12年度に技術士法が大きく改訂されたわけでございますけれども、当時の状況をまず1.1のところに書いてございます。今でも似たような状況にありますけれども、社会は技術に多くを依存し、技術が社会に及ぼす影響がますます大きくなっており、技術に携わる者が公共の安全、環境の保全等の公益の確保を図るべきことが強く求められておりました。また、国際的な経済活動の活発化に伴いまして、今では成立いたしましたけれども、APECエンジニア制度が活発に議論されておりました。そういう状況で、日本はバスに乗りおくれるなというような雰囲気でございました。それから、科学技術立国を目指す我が国としては、技術基盤の強化及び技術革新による国際競争力強化を図るため、これを支える技術者の育成・確保が重要な課題というふうに認識されておりました。技術士は、それと関連いたしまして、高等の専門的応用能力をもって我が国の科学技術の向上に資することが期待されておりました。
そういう状況のもとでいろんな検討が始まりまして、特に1992年ごろから日本技術士会でも技術士制度の国際的整合性への関心が深まり、1995年に海外制度の調査を実施しております。それから、1996年ぐらいからAPECエンジニア制度が検討され始めまして、技術士制度の改善と国際的整合性をとるための提言が、ここに記載のようにいろんなところでなされております。そういう提言を受けまして、1999年~2000年にかけまして技術士審議会で集中的に審議が行われました。JABEEは1999年11月に設立されましたけれども、それに先立つ6月の技術士審議会ではJABEEの設立についても説明をしております。当時、そういう議論を通じて問題点として挙げられましたのが、1.3の(1)~(5)までの問題点でございます。1つは公共重視の規定がないということ。それから、継続的能力開発の規定がないということ。3番目に受験資格が7年の実務経験のみであり、あまりにも開放的であるということ。4番目に急速に進展する技術者資格の国際的な相互承認への対応が困難であるということ。それから、5番目に質が高く、十分な数の技術者を育成・確保し、技術者資格を持っている者を普及させるということができていないということ、こういう問題点が当時指摘されました。
結局、こういう審議を経まして、2000年3月、衆参両院におきまして技術士法改正に関する審議が行われまして、中曽根国務大臣がその提案理由及び要旨の説明をしております。ここにちょっとそれを記載してございます。要旨としまして、1番目に、外国との相互承認に対応するための規定の整備をするんだということ。それから、その中で一定の外国の技術者資格を有する者を技術士として認めることを可能とするということ。2番目に、試験制度の改善についての規定の整備の説明がございます。マル1におきまして、第一次試験において新たに科学技術全般にわたる基礎的学識及び技術に携わる者として果たすべき公益に対する責務等に関する理解について確認する。マル2としまして、第二次試験の受験資格として原則として第一次試験の受験を課すということ。マル3としまして、より多くの若手の優秀な人材が技術士を目指すよう、一定の大学等の課程を修了した者について、第一次試験の受験を免除し、技術士補なる資格を有する者として扱うこと。これは具体的にはJABEEの認定されたプログラムの修了生ということを意味しております。マル4といたしまして、技術士補として技術士を一定期間補助した場合等に加えて、新たに優秀な指導者による監督のもとで科学技術に関する専門的応用能力を必要とする業務に一定期間従事した場合を認めるということ。
それから、3)で新たに技術士等が技術に携わる者として果たすべき責務に関する規定を追加するということで、マル1・マル2に記載のとおりの説明がございます。結局、この法案が反対意見もなく成立いたしまして、2000年4月から技術士法が改訂され施行されております。従来、国家試験と大学教育とは直接的な関係がありませんでしたが、JABEEの修了生に第一次試験を免除するということは、高等教育と国家試験の関係を認定制度という新しい制度を介して、密接に関係づけるという意味で画期的なものでございました。
図1でございますが、これは平成12年ごろの科学技術系人材の量的構成でございます。当時は技術士が約5~6万人で技術者が240万人、研究者が66万人、毎年、工学だけでも10万人ぐらいの学士の卒業生がおりました。こういう法改正とJABEEとの連携によって技術士の数を、ワシントン・アコードのほかの国と同程度、少なくともイギリスですと19万ぐらい、カナダも19万ぐらいですから、5万人をその3倍、4倍にしようという夢を持っていたわけでございます。
1.5のところに、そういう問題を解決するためにこういう法改正ができまして、どの程度それが解決されたかということを簡単に記載してございます。1.3に記載の問題点(1)~(5)、そのうちの(4)まではある程度解決していると思います。ただし国際的整合性につきましてはまだ改善の余地がございます。それから、(5)の「質が高く十分な数の技術者を育成・確保し、有資格技術者を普及させる」という点につきましては、たびたびここでも議題になっておりますように必ずしも十分ではありません。さらに、法改正の要旨のところの法律案要旨の2)の中にマル1~マル4までございますけれども、このうちのマル3、これは先ほどの技術士数を増やすということと関連しておりますが、その点、それから、マル4の技術士補制度、これもまだ十分活用されていないと思います。また、APECエンジニアにつきましては先ほどもちょっと話がございましたけれども、制度自体はできましたが、実際にAPECエンジニアとしての予想していた活動というのはあまり行われていないというのが現状だと思います。
3ページ目に別添としてございますけれども、これは私が今後の方向として、技術士制度はこういう方向で進むべきではないかということをまとめたものでございます。まず現在あるいは今後の社会的状況というのは、10年ぐらい前とあまり変わってないかもしれませんけれども、エネルギー・資源問題であるとか、あるいは、原子力問題、自然災害等、エネルギー、それから、安全に関する問題はますます重要になっております。また、日本の経済は低迷しています。科学技術基本法でかなりのお金を投じたわけでございますけれども、それが本当に経済に反映しているのかということになると、クエスチョンマークがつくのではないかと思います。
非常に危惧しておりますのは、エンジニアリングとテクノロジー、日本語では両方ともに「技術」といいますし、科学技術と一緒くたにして呼ぶ場合もございますけれども、少なくとも教育、人材育成においてはエンジニアリングとサイエンス、あるいはテクノロジーを、十分に区別すべきだと思います。エンジニアリングの定義もどうも日本は矮小化した定義になっているような気がいたします。先ほど板倉課長から説明がございましたIEAのエンジニアリングの定義は、人々の必要を満たし経済を発展させ、また社会にサービスを提供するために必要な不可欠な活動であり、それを主に担うのがエンジニアということでございます。もちろんこれには安全も入りますけれども、経済を発展させるというところが入っています。先ほど板倉課長が説明されました参考資料2では「実践的な技術者」と呼んでいます。それで、今、大学がどう捉えているかというと、一流大学は研究者を養成しているのであり、実践的技術者は高専とか地方の国立大学の役割と思っているようです。このような状況に私は大きな危惧を抱いております。
それで、まず1つの方向というのは、技術士が実力ある技術者のキャリアモデルとなり、より多くの技術者を先導するということです。「実力ある技術者」というのは何なのかということになりますけれども、これは先ほど説明がございましたProfessional
Competencies、そういうものを持っている人、これが具体的にイメージになると思います。信頼できる実力ある技術者、それは、PCという類いのコンピテンシーを持った人材で、これには研究者も含まれる。ただし、技術者としての研究者とサイエンティストとしての研究者は通常目的が違いますし、やり方も違ってきます。この辺を認識しておかないとどっちつかずの人材が育ってしまうということになります。いずれにしても実力ある技術者が技術士にならなければ話になりません。そして、技術士がキャリアモデルになり、多くの技術者、後輩たちを育てていく、そういう役割を担うべきだと思います。
ここで注意しないといけないのは、今の技術士の資格試験で合格した人が実力ある技術者と同義語、同じ意味ではないということです。技術士資格試験はその一部しか評価していない。特に知識に関する評価のウエートが非常に高いですよね。このPCを見ていただきますと、13項目ありますけれども、そのうち知識に直接関係している項目は2、3項目にしかすぎない。ですから、ある意味では今の試験は評価すべき実力の50%以下の評価しかしていないのではないかと思います。ですから、技術士として中には優秀な方もおられるけれども、そうでない方も含まれているはずでございます。
それから、2番目に教育と連携した制度であるということです。技術士試験資格だけで人は育つものではありません。学校教育が非常に重要です。その効率を上げなければ何のための教育投資かということになります。それから、評価も技術士試験資格だけで評価するということは極めて困難です。一方、学校教育での評価をきちんとすれば、学部だったら4年間の時間があるわけですから、評価の精度はいいはずです。したがって、学校教育での評価結果も利用すべきです。しかし残念ながら今の学校教育では評価精度が十分とは言えません。ですから、そこも改善する必要がありますけれども、基本的には教育と連携した制度でなければいけないと思います。
それから、3番目の実務経験により学びの質を上げることです。学校教育では経験による学習は不十分でございます。経験を通じての学習というのは極めて重要で、特に想定外の事故等に対しては経験的なものがなければ、対応できないと思います。この実務経験を通しての学びの質をどうやって上げていくかが非常に重要でございます。幸いPCみたいなものが出てきましたから、ああいうものを実務経験を通じて身に付けさせるという具体的なイメージを私共は持つことができます。昔は非常に曖昧な技術士像になっていましたので実務経験によって何を身に付ければいいかというのがはっきりしていませんでしたが、今はかなりはっきりしたイメージがあるわけでございます。
それから、4番目に分野の範囲を広げることです。複合的問題を解決するには狭い専門知識だけでは解決できません。一方で研究者重視の教育が行われていますけれども、科学的な研究者の育成に偏っています。そうなるとますますその分野は狭くなる傾向があります。したがって、今のまま放置しておくと狭い分野の知識しかない、それも卓越した知識・能力だったらいいんですけど、狭い分野で平凡な能力の人ばっかりになってしまうとこれは大変なことでございます。
それから、5番目に他の技術系専門資格と連携させることです。極めて多数の資格が他にございますけれども、そういうところでの安全の問題であるとか、それから、想定外の事態に遭遇したときの対応、そういうものは本当に役に立つ知識、利用できる知識、それはやはり経験を通じて確実に身に付いた基礎的な知識ですけれども、そういう「生きた知識」と私は言っていますけれども、それが必要です。それは他の多くの技術系専門資格に共通しているはずです。ですから、他の専門資格では事によるとベーシックな知識の評価はあまりないかもしれませんけれども、そういうところは共通にして国全体としての合理化を図る必要があると思います。それによって他の資格も教育と連携がとれるはずでございます。
それから、6番目に、当然、国際的に通用する制度、資格試験であることが必要でございます。国際的に通用するとはどういうことかといいますと、a、b、c、dに書いてある条件を満たすことです。aは質保証された高等教育修了者という学歴要件でございます。それから、bが実務による学びです。それから、cがPCのような知識や能力があるという評価と、それから、dのCPDを実施しているということです。Professional
Competenciesはあのままを適用するというよりは、あれを評価できるような形に変形する必要があります。特に認定の場合にはそれを要求しています。要するに評価できない知識・能力というのは困るわけですから、評価できる形に書き直すということをJABEEでは要求しております。あと、ここでは学歴要件がこういうふうにありますけど、そういう学歴を持っていない人への対応、これは別に定めることができます。ですから、学歴がなければ絶対駄目ということではなくて、それは別に定める。ただ、メーンストリームとしてはこういうa、b、c、dというものを満足している必要がございます。
日本が手本としてきた国の資格試験は知識偏重であるという批判がございます。これは、先ほど、分科会長から紹介ございましたが、6月にシドニーで開催された「IEA2012シドニー」で出た話です。IEAでは、2年に1回総会がございまして、間の年は総会ではありませんけれども、いろんなシンポジウムがございます。
5月にカザンでAPECエンジニアの特別なシンポジウムみたいのがございましたけれども、ロシアは非常にAPECに関心を持っておりましてAPECエンジニアに加盟をしております。それから、ワシントン・アコードにも加盟いたしました。ただロシアの状況はちょっと違っていまして、ロシアはソ連の崩壊でそういう資格制度が崩壊したわけですね。そういう状況でいろんな国がロシアの中で仕事する際、海外の企業が来て有資格者を採用します。そうすると、ロシアの人たちに資格がないと非常に不利になります。ですから、早急に資格制度を確立するということを急いでいるようでございます。そういう意味ではちょっと他の国と事情が違うと思います。いずれにしましてもロシアはアジアに非常に関心を持っていると、皆さんもそれはお感じになっておられると思います。
それから、6月の先ほどのIEAのシンポジウムでは、APECエンジニアだけでありませんで、EMFインターナショナル・プロフェッショナル・エンジニアとか、あるいは、ワシントン・アコード、それから、そのほかの「テクノロジスト」あるいは「テクニシャン」関係の協定に関するいろんな課題を議論いたしました。以上でございます。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
意見交換はもうお一方の話を聞いてからにしたいと思います。企業におきまして技術者、技術士の現状、課題、高度な技術者に期待される役割等につきまして福山委員より御説明をお願いします。福山委員は先ほど自己紹介されましたけれども、日立製作所の中の日立技術士会で大変御尽力なさった方でございますが、執行役常務をお務めになりまして、現在は同社の名誉顧問でいらっしゃいます。
それでは、福山委員、お願いします。
○福山委員 どうもありがとうございます。それでは、「企業における技術士および技術士制度の現状認識と課題」ということで、日立の状況を織りまぜながら、私どもは今どういう関心を持っているかということを御紹介させていただきたいと思います。
このレポートはまず「はじめに」ということで、技術士制度の在り方を考える上での以下の問題意識(1)、(2)、(3)を前提にしております。2011年8月19日に第4期科学技術基本計画が閣議決定されたわけでございますけれども、その決定の中にもございます「多様な場で活躍できる人材の育成」というのが、やっぱり企業における最大の関心事であろうかと思います。そのために技術の高度化とか、競合化に伴い、技術者に求められる資質能力はますます高度化、多様化している。このため国としてこうした変化に対応した技術者の育成と能力開発の取組を強化する。その取組方策として国は技術士など、技術者資格制度の普及、拡大と活用促進を図るとともに、制度の在り方についても時代の要請に合わせて見直しを行う。また、産業界は技術士を積極的に評価し、その活躍を促進していくということが述べられているわけでありますけど、初めてこの技術士という文言がこの基本計画の中に盛り込まれたということで、私たちは非常にすばらしいことだというふうに捉えております。この産業界で求められる技術者人材のニーズにつきまして、技術士への期待は大きいのでありますが、一方で技術士資格制度の産業界での活用とか普及への道のりは未だしであるというふうに理解しておりまして、その課題も多いわけでありますけれども、問題意識は共有できていると思っております。
一企業であります日立から見た次の2点について、問題意識を整理してみたいと思います。1番目が企業における技術者・技術士の現状及び課題、2番目が高度な技術者に期待される役割であります。1番目の日立における技術者・技術士の現状であります。まず技術士がどう評価されているかということでありますけれども、一部の業界を除きまして多くの産業・企業においては技術士の資格を取得することが、技術士としての業務の始まりでなくて、技術士としての仕事の到達点、いわば技術者の「あがり」というふうになっていないだろうかと。企業においては技術士を取得することは、その業績、業務遂行能力の高さとして高く評価される要素になる場合もありますけれども、いわば技術者としての勲章、功労表彰のようなものに近いと思います。多忙の中でよくとったと褒められることがありますが、技術士になったからといって業務の幅が広がるとか、仕事が変わるとかいうようなことにはつながっておりません、これが現状であります。いわゆる資格というのは何かというと、企業の中で何をすることができるのかと、何を持っていなければならないのかというあたりを、今後、企業としては明確にしていかなくてはいけないと思っています。
次に、技術士の活用でありますけれども、一部の業務受託案件の引き合いとか見積もりにおいて、技術士の参画が要件として指定されているものに対して技術士が活用されていることもありますが、全体的にはそういう事例は少ないという理解をしております。社内業務におきましては例えば設計・開発の段階におきますデザインレビューというプロセスがありますけど、このデザインレビューのレビュー責任者としてのシニアエクスパートが参画する場面があるわけであります。技術士もまた相当する上位の技術専門職、例えば日立の制度でありますけど、技師長、主管技師長や主管技師、こういう人たちとレビューに当たるわけですが、そういう人たちが参加しないとこのレビュー成立条件が成り立たないということで、デザインレビューの有効性が却下されるわけであります。しかしそういうシニアエクスパートの中におきましても、技術士の割合というのは決して大きいとは言えず、またそういう仕組を運用している事業部も本当に一部にとどまっているというのが現状であります。全般的に見ますと技術士を評価する仕組というものはありますけれども、それを積極的に活用する仕組とか、資格制度が弱いと言わざるを得ないと思います。
技術士の支援が日立の中でどうなっているかといいますと、日立には、今、ちょっとそこに書いてございませんけど、全体で877名の技術士がおります。主な技術士というのは機械が21%、電気が20%、総合技術監理が17%、情報工学17%、原子力・放射線6%、金属6%、経営工学6%、そのぐらいの構成になっておりまして、先ほど文科省から御説明されました日本における技術士のパイチャートの分布がございましたけれども、あれとは極めて異なった様相を呈しているというのが私どもであります。日立には日立技術士会というのがございまして、この877名の社内の技術士に対してその活動をサポートしているわけであります。1番目に会員メンバーの生涯学習とか、自己・相互研鑽を支援する活動、日立の技術士を増やすための活動、会員への情報提供サービス、日立技術士会及び技術士活動の社内外へのPR、技術を必要とする団体等への技術士、特にOB会員を紹介すること。来年が日立技術士会30周年記念になるんですけれども、これを前にいたしまして、昨年、技術士会の会員へどういうことを期待するかという調査をアンケートいたしました。特に多いのは仕事を通じて技術士が活用されるとか、活用できる状況を整備することというのが一番大きな期待でございました。
しからばこの2番目に書きました高度な技術者に期待される役割というのは何かといいますと、やっぱり産業構造の変化と、それに必要な人材をそろえることが重要であると思います。日本企業が直面しているこの当面及び将来的な課題というのは、やっぱり進展するグローバル化に対応して、例えば地球環境の保全とか、エネルギーとか、資源の安定調達、雇用・賃金・少子高齢化対策等を考慮したいわゆるバリューチェーン、マーケティング、研究開発、生産、販売、サービス等の強化を行うことと、その拠点戦略をつくる必要があります。そのためには国内と海外の事業の棲み分けとか、その戦略に対応できる人材の確保が必須となっております。このようなニーズに対して現行の技術士法の定める一部門とか、専門分野だけの狭い範囲の知識だけでは十分とは言えないわけであります。世界で活動する技術者には広い視野での見識と知識を持って変化する社会に対応することが求められております。
そういう技術者として期待される能力というのは何かといいますと、技術士法に定めております技術士の定義がございます。計画、研究、設計、分析、試験、評価、又はこれらに関する指導の業務を行うものとされておりますけれども、本来、企業における技術士像というのは、いわゆるT型の技術士、Π型の技術士でありますとか、いわゆる深い専門技術とともに技術横断的に広くシステムとして問題を捉える能力とを兼ね備えた者ということができると思います。平成12年に総合技術監理部門というのが創設されまして、経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理、社会環境管理に精通した技術資格が明確になったわけですございます。企業が期待しているシステム思考に基づいた経営的観点に立って行動できる技術者像に照らして、総合技術監理技術者が具備すべき技術の範囲と、深さ、専門性、有効性について再度見直して検証する必要があるのではないかと捉えております。それは企業の中で技術革新とか製品イノベーションが求められ、そういうことをできるイノベーション人材とかグローバル人材のニーズが非常に高まっていると、それに応えなければならないと思うわけであります。
それでは、技術者に期待される役割というのがございますけど、技術士法に定める3つの義務と2つの責務がございますが、この中でも特にやっぱり技術者としては高い倫理観を備えているということが大変重要な、また大前提となる1つの価値だと思っております。近年増加しております企業とか技術者の不祥事の発生を防御するためにも、高い倫理観と総合技術監理的なシステム思考ができる技術士という者が、社会及び企業にとって必須の存在となるはずであります。企業とか事業においてシステム思考で多角的・総合的にシステムの計画・設計を、第三者的に評価・監査することが義務付けられて、その評価・監査に技術士が担うべき業務として制度化されることが望ましいと考えております。
今回、提言ということでまとめさせていただきましたけれども、かなり焦点がぼけているところもございますが、御容赦いただきたいと思います。この科学技術を応用する製品の開発とか、製造とか販売・サービスを生業とする企業の技術者は、前述のごとく広い分野の見識と知識を有することが求められております。企業では長期にわたり同じ専門分野で業務に携わることは極めてまれであります。高度の技術者には専門分野の知識はもちろんのこと、広い範囲での応用能力を有することが期待されております。
現行制度における専門部門を掲げる技術士が企業の期待する技術者とマッチしているかという点で見直しが必要であると思っています。技術者として現在及び将来的力量を有することを証明する資格とするために、産業界の必要性にマッチした試験内容に改革すること。それから、専門知識プラス幅広い応用能力を有することの資格とするために、部門制を廃止するか、5部門程度に統合すること。総合的すなわち経営的に判断・管理する能力であることを証明する資格とするために、総合技術監理部門の位置付けと他部門との差別化を図ること。一方で、諸外国と比較した場合に飛躍的に資格者数を増加させて、社会における存在力とか発言力を向上させる必要があると思います。そのためには挑戦意欲の湧く技術士制度と試験内容の改革、産官の中枢技術者の認定資格新制度等が必要であると思っています。
産業界での活用の制度化ということで最後に申し上げます。近年、企業で業務を遂行するに当たり監理すべき事項が増えて、かつその重要度が増しております、産業界と連携して総合技術監理技術士の活用について制度化することが望まれます。実用面におきましては所轄する各省庁の権限に委ねることで改訂への道が開けると期待しております。企業において技術士を積極的に活用する制度を構築することを義務付けることが望ましいと思っています。先ほどの科学技術基本計画では、企業にそういうことを期待するという表現になっておりますけれども、もう少し積極的な表現が必要ではないかと思っております。企業は経営的課題を総合的かつ多角的に解決できる技術者を養成するための仕組みを構築する必要があると思っております。企業に対して経営的な視点、いわゆるシステム思考に基づいて第三者的に多角的かつ総合的にシステムの計画及び設計を評価・監査することを義務付けるとともに、その評価・監査業務を技術士が行うべき業務として制度化する必要があろうかと考えております。以上でございます。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
それでは、自由討論を行いたいと思います。皆さんから御意見を賜りたいと思いますが、お二方のお話を伺いまして、端的に申しましてこれからの技術者・技術士とはどのような能力を身に付けるべきか、企業における技術者・技術士の人材像みたいなものに関するお話、問題提起と、それから、その技術士の社会的な活用を促進するために、どういう方策が考えられるのであろうかということかと感じた次第でございます。
どちらかに限定する必要はないかと思いますが、最初に技術士はどのような能力を身に付けた者であるべきか、という点等につきまして御意見を賜ればと思いますが、いかがでしょうか、どなたからでも結構でございますけれども。
大中先生から非常にこれまでの長年にわたる技術士のあるべき姿について取り組んでこられた御経験、あるいは、国際的にいろんな会合等で出ている意見等を踏まえてお話がありましたし、福山委員からは実際の技術士として企業で活躍されてきた上での問題提起もございましたけれども、柘植委員、工学会の会長もしておられてどうでしょうか。
○柘植委員 今の第1の命題が技術士がどういうコンピテンシーを持つべきかという話の中で、今の技術士がせっかく努力してとられているのに、社会あるいは産業からきちっとした評価なり処遇がされていないという、現実とのギャップを埋めるということで一番私はプライオリティーが高いのは、大中先生の今後の進むべき方向の最後のページの6)番の「国際的に通用する制度、資格試験であること」という、あまりにも問題が広いのでこれに集中していくことがいわゆるセンターピンといいますか、この今こじれている問題を解くのに一番のセンターピンは、この「国際的に通用する制度、資格試験であること」という、これが一番センターピンではないかと思います。そうすると、産業も今はもう外に出た途端に、プロフェッショナルエンジニアの資格を持ってないと仕事できないということで、一生懸命、そういうことでは切実に企業は人材というか、その資格をとるわけですので、今の産業とのミスマッチもこれをすると自然に埋まるんではないかと。
もう1つは、後ほどの議論になるかもしれませんけれども、そうなってくるときに、やはり大中先生の進むべき方向の中の2)番にあったやっぱり「教育と連携した制度」という、特に高等教育と連携しない限りなかなかそれは実現が難しいわけで、高等教育局が所掌としているものといかに共同して、今の国際的に通用する能力、制度、資格試験にするかという、それがハウツー的な面としては教育と連携した制度であるということを指摘したいと思います。以上です。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
新しい方に大変フレッシュな立場から意見をいただきましたので、せっかくですから新しく参加された中谷委員、次は松嶋委員と振りますので。
○中谷委員 では、多分、初回なので多少皆さんが捉えている考え方とはちょっと違う考え方をしているんではないかという感じがしますけど、初回なのできっと許されるだろうと思って好きなことを言わせていただきます。
技術士制度というのは多分3つの視点があるんじゃないかなと思ってお話を今聞いておりました。まずは技術者を雇う企業側の視点があるんじゃないかと、先ほどの国際的な資格が必要だというのは多分企業の視点なのかなと思います。あと、技術者に対して技術士資格をとりたいと思わせるような動機付けというか、そういう側面も必要なのではないかなと思います。それから、あと技術士といいますと何かの製品をつくって市場に提供していくとか、利用者に提供していくということになると思うんですけれども、社会として技術士という人たちが関わった製品というものに対しては、どういういい点があるのかという考え方があるんじゃないかなと思います。多分、社会がどういう製品を求めているのかという視点を技術士資格というものに与えると、技術者が「あ、そういうことであればやはり資格をとりたいな」という動機付けを与えることができるのではないかなと思いました。
それで、私の立場ですけれども、私、情報工学という部門の特にソフトウェア工学という部門を専門としているんですが、何回か技術士試験に関わったことから申しますと、企業で実務を学んで経験を積んだ方というのはやはり非常に分野が狭いんですね。それに対して技術士の資格の試験という、ソフトウェア工学という分野に限ったとしても、資格を受けるかというと、やはりかなりの試験に合格するために求められる知識と実務で使っている知識との量の差が大きくで、どうしてもやはり再教育をしなければいけないのではないかなと思います。そうすると、私のところになりますけれども、社会人教育を今やっておりまして、それで教育する側で社会人の方、つまり実務で経験を積み、技術を持って知識を持っている方がいらっしゃるんですが、そこでもやはり圧倒的に知識の不足というのを感じます。
JABEEが認定した課程の大学で教育をしようということがずっと進められておりますけれども、大学で教育した内容は残念ながら実務で3年やるとほとんど忘れてしまうみたいでして、どうしてもやはり技術士資格というのが重要なんだということを技術者に動機付けして与えることがまずできるという、その環境づくりが必要だということと、それから、技術士という資格を得るための再教育の場というものも提供して、積極的に技術者が業務をやりながら知識を得て、そして、技術士の資格を得て、そして、国際的に活躍していくという、知識を成長させるというか、そういうキャリアパスというものを提示していくという必要があるのではないかなと思いました。
○野間口分科会長 それでは、松嶋委員。
○松嶋委員 初めての分科会で、先ほどの大中先生のお話でとても技術士の問題点がよくわかりまして、改善されてきたという経緯もよくわかりまして、それですぐにこんなお話をするのはちょっとあれかもしれないんですけれども、それから、私も実は電機メーカーにいた経験がございまして、先ほどの日立のお話を聞いて確かにそういうところがあるというのを納得するようなところがございました。技術士の資格の活性化という意味では、直接的にはやはり福山委員からお話があったように、産業界できちんと評価されて活用される具体的な仕組みというのがないといけないというのはとても大事なことだと思いました。
しかし、一方で技術士が本当に先ほど言ったようなプロフェッショナル・コンピテンシーとか、総合力とか応用能力がある資格であるということをきちんと社会的に認められるということも非常に大事なことで、そのためには試験制度とかいうものの見直しも必要なのかなと。大分改善されているということは先ほどのお話ですごくよく分かったんですけれども、さらにより活用化されていくためには、それが産業界で使われるということと、能力があることを証明する資格であるということの両方というのは、何か鶏と卵のような話でどちらを先にやったらいいかというものではないかもしれないんですが、一方だけではなくて両方を相互にうまく発展させながら、徐々に改善していくようにやっていくのがいいのではないかなというふうに、ちょっと僭越ではございますけれども、思いました。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
お三方の御意見、ここ何回かの技術士分科会で委員の皆様方から試験制度のあり方等を議論するたびに指摘され、お互いに悩みながら指摘し合った問題も含まれておりまして、大変痛いところを突かれたという感じがしますけれども、こういった認識で議論を進めていってよりよい方向につなげていきたいと思います。今までのお話をお聞きしまして、これは一度局長か課長の御意見を聞きたいと思いましたが、突然で申し訳ございませんが、いかがでしょう。長年、技術士制度を引っ張ってきていただいた局長及び課長から一言ずつ、お願いいたします。
○板倉基盤政策課長 今、最後の松嶋先生からの御意見にもあったように、鶏と卵というのは確かにそうだなと思う節がございまして、この2年間ほど、ずっと試験制度の議論をかなり詳細にしたわけでございますが、試験制度を変えることによってこの資格が世の中に認められるというのもありますし、その逆に実際に活躍されている技術者がさらに活躍されることによって技術者のステータスが上がっていくと、多分、両方の面があるんだと思うんです。そういう中で、私ども今まで考えておりますのは、今まで議論に欠けていたのはやはりコアコンピテンシーというのが一体何だろうかというところを突き詰めて議論してこなかったということかなと思っておりまして、経験が重要だという議論は前回の法律改正のときにも非常に大きなポイントになったわけでありまして、先ほどの経緯の御説明があった際にもそれは法律改正の論点に上がっていたわけでございますが、逆にその経験を重視するあまり経験が積み重ならないと技術士になれないというんでしょうか、逆に経験値をはかる物差しとしての側面があまりに強調されてきたのかという気が、この試験制度の議論をする中で私も個人的に思ったところでございます。
そういった結果、先ほど福山委員からも御説明あったように、最後のあがりの勲章のようなものになってしまっていないかという問題提起が出てきたわけでありまして、むしろまさにこれから活躍するという技術者の、たとえは悪いんですけど、運転免許とはちょっと違うんですけれども、まさにこれから世の中で技術者として活躍していくいわば出だし、スタート地点であるというような証明になっていくというのも1つの考え方なのかと。ただし、その際には最低限の経験というものが当然必要になってくるんですが、その辺のバランスをどのように考えていくかというのは論点になるのかと思いました。
○土屋科学技術・学術政策局長 よろしいですか。
○野間口分科会長 はい。
○土屋科学技術・学術政策局長 発言の機会をいただきましてありがとうございました。今日の先生方の御指摘で大きく論点が2つあると思っていまして、いわゆるコアコンピテンシーの問題と、それから、職業というか、エンジニアリング業務を行っていく上での職業的スキルというか、そういう知識とか、その業務がきちんとできることの保証問題とこの2つがあって、そこが整理し切れていないと思っております。それで、大中先生の資料にちょうどいい絵がありまして、大中先生の資料の2枚目の下にコンセプトが書いてありますが、今、企業においてエンジニアリング業務をやっている中で、10年前とやっぱり相当変わってきていると思います。10年前はサイエンスをベースにしたエンジニアリング、テクノロジーがあって、その上でビジネスをやっていたということですが、今やサイエンスベーストビジネスみたいなことになってきて、エンジニアが行う業務というのは相当サイエンスのことをわからないといけない、ビジネスのこともわからないといけないというような中で、技術士、技術者は何を求められているか、あるいは、技術士制度はどういう技術者を育成するための制度とするかという、その整理をきちんとしないといけないんじゃないかと。
ひょっとして技術士制度という名前は同じでも、昔に比べると今はここで御議論いただくのは同じ名前でも中身は相当変わってしまうということであってもいいんではないかと思います。大中先生のこの絵の中に書いてある一番濃い青い部分が、おそらく技術士制度で目指すべき対象のところではないかなと思うんですが、ここのあたりについて少し御議論いただいて整理をしていただくと。そうすると、コアコンピテンシーの問題と職業上のスキルの問題と整理が出てくるんではないかと。その際にやはり先ほど柘植先生がおっしゃったように、1つの大きな評価軸は国際的に通用する者、大学の高等教育においても単位互換であるとか、そういったことで国際的な通用性というのは非常に重要になってきている。これはもうこの10年間の大きな変化だと思うんですが、技術士の資格においても同様にこれが進んでいくと思いますので、国際的通用性という軸でこの問題を御検討いただくのがいいのかなと思っております。以上でございます。
○野間口分科会長 はい、ありがとうございます。
はい、大中委員。
○大中委員 私が思うには重要な検討課題の一つは研究者と技術者の関係です。この仕分けといいますか、「研究者とは何か」が明確でないため教育現場では非常に混乱をしていると思います。JABEEが広がらない1つの理由は、うちは学問を教えている、サイエンスを教えている、サイエンティストや研究者を育てているのであってエンジニアを育成しているのではないから関係ないと、一流大学ほどそう主張する傾向があります。私はここに非常に大きい問題があると思います。
もう一つはGraduate
Attributes、これは今ワシントン・アコードではかなり強く求められてきていて、各国の基準がどの程度マッチングしているのかということをお互いに報告し合って、2019年にはかなりマッチングさせるということになっています。このProfessional
CompetenciesとGraduate Attributesは大体対応しています。Professional CompetenciesもEMFインターナショナルエンジニアの場合には、これを満足していることが資格の条件になっていますし、APECエンジニアも原則としてはこれと似たような能力を要求しています。それから、ヨーロッパのFEANI(ヨーロッパ諸国技術協会連盟)で要求されるPCとか、ヨーロッパでの学士、修士、博士に要求される知識・能力、これも結局似たようなものです。したがって、柘植委員がおっしゃるように、一応これを出発点としてどういう知識・能力が必要かということを、もう少しクリアにすべきだと思います。それで十分だと思います。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
ほかにどなたか。はい、池田委員。
○池田委員 私は、今、大中委員あるいは福山委員からの御指摘はまことにごもっともな御指摘で、こういう国際的に通用する技術者をこれから育てていくというのは非常に重要で、我が国が進むべき道を表していると思います。今、大中先生から技術者教育と連携させるということが大事だとおっしゃったんですが、実は大学の評価自体に私は問題があると思っていまして、大学の評価というのは今はやはりどうしても研究が中心の評価になっていて、大学はそちらの方を向かざるを得ないという状況にあります。そういう点をやはりこれから改善していく必要があるのではないかと思います。
それから、私は、試験制度の担当をしておりましたので、その観点から少し申し上げたいと思いますが、今回の試験制度の改革でもやはり基本的な構造は変えるのは難しかったということを強く感じております。
今の制度はやはりある面で昔のキャッチアップのシステムが続いているんじゃないかと思います。一次試験をやって、それから、何年かの実務経験をやって、それから、二次試験を受けるというシステムになっていて、非常に受験する人々にとっては、受験者にとっては非常に負担が大きいと。福山委員が御指摘になったようにあがりのシステムになってしまっているんですね。こういうシステムというのは多分、他の試験制度ではほとんどなくて、命を預かっている医師の国家試験でも一発で試験を合格できるようになっているわけです。それに比べてあまり活用がされていない、建設技術者はこれは活用が進んでいると思いますが、活用が少ない他の分野にとっては、非常に敷居の高い制度になっていると思います。そこをやはりこれから試験制度を教育といかに連携させるかということを考えないと、受験するインセンティブが働かないだろうと思います。
それから、もう一つは分野の問題であります。これも大中先生から御指摘がありましたが、やはりこの分野が非常に狭いというのはキャッチアップをする場合には非常に有効なシステムなんですが、これも非常に複雑化した問題とか課題が増えている中では、やはり非常に狭い範囲の中に閉じこもっていたのでできないということがあります。分野の範囲を広げるというのは重要で、これが柘植先生が言われている、いわゆるT型人間とか、シグマ型人間の制度上の担保に私はなると思うんですが、そういう方向をこれから目指さないといけないんだろうと思います。実はこの分野について10年ぐらい前に統合していこうということで大分努力したんですが、これは現場があってなかなか難しいということなんですが、そこを担保できるシステムにこれからしていく必要があるだろうと、私はこれまで技術士分科会の委員を10年以上やらせていただいたんですが、非常に強く感じるところであります。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
分野の問題は大中先生も福山委員も同じようなお考えで主張しておられるというふうに理解したのですけれども。
○大中委員 それでいいと思います。
○野間口分科会長 具体的にどういうふうにこれを制度化していくかというのは、池田先生、長年御苦労していただいていますけれども、国際的通用性を進めていくためにも、今のままではちょっといろいろ課題を抱えているように思います。
○大中委員 もう一つだけよろしいですか。
○野間口分科会長 済みません、内村会長に一度、今の日本技術士会の会長ということで御意見を頂いて、その次、大中先生にお願いします。
○内村委員 ありがとうございます。
これまで各委員の方から、少し産業界での活用が進んでいないという観点からの御意見でしたが、実はそうでもなくて活用されているという部分も説明しながら、今後の方向性をお話しさせていただきたいと思います。1つは先ほど参考資料の中で建設部門が4割という御説明がありましたけれども、実はこれは総合技術監理部門も、技術部門に分かれておりますので、線引きをしますとおそらく過半数が建設部門ということになります。なぜこのように建設部門が多いかということでございますが、これまで委員に参加された方は御存じかもしれませんが、新しい委員の方もいらっしゃいますので少しフォローしますが、建設部門、特に公共工事の設計であるとか、そういった部分においては責任ある立場として技術士資格というのが今はほとんど必須になっております。
したがって、建設系のそういう企業においては、ほとんどのエンジニアは技術士資格を目指すことになっておりまして、実態として資格を持つべき技術者のおそらく7割、8割は技術士を将来にわたって取っていく状況でございます。そういうことを考えますと、先ほど板倉課長は運転免許証というふうにおっしゃいましたけれども、エンジニアとしての必要条件として、資格としての技術士が成り立っており、その上にどういう経験を積んでいくかというのが非常に重要になっております。おそらく今後の技術士のあり方というのは、そういう方向を目指すべきではないかと、私としてはこのように考えております。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
それでは、大中委員。
○大中委員 経験というところに批判がいろいろあるような感じがいたしますけれども、私が言っているのは経験を通じて学びの質を上げるということを言っています。この20年位の間に、教育方法、評価方法は非常に進歩しました。ですから、皆様方が受けられた教育、その評価方法、それらで判断されては今後は大変まずいことになると思います。経験を通じて学びの質を上げるというのは、例えばProfessional
Competenciesのそれぞれの項目がございますね。このそれぞれに対して自分は経験を通じてどれをどういうふうに学んでいるかと、そういうことを絶えず認識させる、それから、指導者もそれを指導していく、そういうことが今できるわけですね。昔はこういうものはなかったですから、例えば、情報関係で漠然と単に実務上必要なプログラミングに従事させていると、獲得する知識の幅が大きく制限される場合もでてきます。しかしそこにSE的なものをいろいろ入れるとか、いろんな問題をプログラムに挑戦させるとか、そういうふうにして知識の幅も広げていくことができるはずです。
それから、評価方法も例えば、ポートフォリオ・シンキングという言葉があります。これは自分がやったことをポートフォリオとしてため込んでいく、そして、自分は何を学んでいるのかということを内省する、反省する、それを次の「学び」につなげていく考え方です。さらに、それらを他者が評価する、そのような仕組みがどんどん出てきています。それはITを利用したテクニックですけれども、そういった昔はなかったような評価方法と学習方法がいろいろ出てきていますし、まだまだ進んでいます。そういうものを導入しながらやっていかないと時代遅れのものになってしまうと思います。
○野間口分科会長 石田委員。
○石田分科会長代理 皆さんのおっしゃること、本当にそのとおりだと思っております。したがって、議論の1つは確かにスタートかゴールかという話がありますけれども、これはやはりこれまでの議論等々を踏まえながら、やはりゴールじゃなくてスタートという方向にしなきゃいけないんじゃないかという感じを持っております。
それから、いま一つは技術士を含めた国家資格とはそもそも何であるかということがあります。技術士は非常に広い意味での国家資格ではありますけれども、例えば原子炉主任技術者というのは各原子力発電所等々の原子力施設にいるわけですが、東京電力福島第一原子力発電所事故の場合、必ずしも原子炉主任技術者が十分活用されなかったと、そういう議論も国会事故調で行われているところであります。それはもちろんいろんな制度上の問題点もありますけれども、やはり全体、特定の狭い分野の資格といいますのは、とにかく限られた非常に狭い分野の高度な知識を求めるということがあったりして、実際いろんなバックグラウンド、あるいは、バウンダリーコンディション、想定外のことが起こればそれに対する対応というのは非常にできない。多くの技術者はああいう電源供給が長く途絶するという、そういう状態を全然想定しなかったということがあったりして、やはり広い分野の知識を持っていないとなかなか広い意味では、原子炉主任技術者も機能しなかったというのが明らかになっているところであります。そういう意味では、確かに技術士は非常にそれぞれ分野はあるわけでありますけれども、更に広い分野の一般的な知識を必要とする、そういう確かに、今、土屋局長はコアコンピテンシーと言われましたが、そういうようなものをきちんと持っている国家資格という位置付けというのは非常に大事なんじゃないかというふうに感じておるところでございます。
それから、最後にいま一つでありますけれども、確かに大学における工学部の教育というのは何であるかと、工学部でも実際多くの先生方は一生懸命ペーパーをお書きになるということで、自分の業績を固められるとありますが、その教育内容でその業績をいかに判定するかと、これは非常に長い議論があるわけでありますけれども、教育で業績を明らかにするのは非常に困難であるというのが今までの実態でありますので、それをいかに教育といいますか、実際、新しいこういう人を生み出してくる、育てていくという、そういうことについての評価をきちんとやるかということを考えるかということと、それから、まさに工学部の先生方の論文以外に何があるかということについて非常に関心を持っていると。以上でございます。
○野間口分科会長 それでは、先に戸嶋委員。
○戸嶋委員 初めに感謝申し上げないといけないのですけれども、今回、柘植委員、福山委員はじめ多くの方々を新たに委員に任命していただきまして、野間口分科会長、文科省に対して深く感謝申し上げます。その中で大中委員から言われた国際的な位置付けの問題と、それから、福山委員からそれもありますけれども、総合技術監理の問題、これを企業の側で評価だとか監理だとか、そういう点で位置付けをしていくということが必要だということで、最後のページにぜひともそれを制度化せよというふうに書いていただきました。これも前回申し上げたことをそのまま書いていただいたような気がして非常にうれしく思いますが、それに関連しまして3ページの下はその説明としてよくわかるんですが、中段のところに「企業が期待する」云々とありまして、総合技術監理の技術士が具備すべき範囲の深さ、専門性、有効性等について見直しが必要であるということで、その次に「技術革新や製品イノベーションが求められるイノベーション人材やグローバル人材のニーズに応えるものである」と、ここのところがちょっとわからなくて人的資源管理の中でそういう人材を配置するというので足りるということではなくて、それ以上のことを期待しておられるということであれば、総合技術監理というのはどうしても、適切な表現ではないんですが、後ろ向きというか、保守的というか、安全だとか、危機管理だとか、そういうところに力点が置かれるものですから、環境管理も後ろ向きという、企業として創造的にやっていくというのを総合技術監理の中に求めるというのは、どういうところを期待しておられるのか、どのようにやっていこうか、その辺を教えていただきたいと思います。
○野間口分科会長 福山委員どうぞ。
○福山委員 そのあたりは私どもも本当に悩んでいるところでございまして、結局、企業の組織形態を見ていますといわゆる一番上にトップマネジメントがあり、それを監査する監査委員会等があります。その中でトップマネジメントと中堅といわゆる一般社員としたときに、その役割の中で技術者、技術を持った人間は、どういう役割を今後果たしていくんだと。私はトップマネジメントに全部上がるわけにはいけないわけなんですけれども、ある技術も理解する、それから、マネジメントも理解する、そういう人たちがステップアップしていく1つのいわゆるマイルストーンというか、位置付けが総合技術監理みたいなものになっていけばいいんじゃないかなと思っています。
現行の総合技術監理に求められた5つの観点ですね、あれではやっぱり不十分なんですね、経営でいいますと。ですから、これはもっと私どもの社内でも議論したいと思っていますし、関係者の方のお知恵を拝借しなくてはいけないと思っていますけれども、やっぱり最終的には企業が強くなっていく、そういう変化の中の1つの位置付けが総合技術監理であるべきではないか。少なくとも言えることはいわゆる一般部門の技術士ではいかにも範囲が狭過ぎるというふうに捉えております。何か答えになってなくて難しいところなんです。
○野間口分科会長 この点に関して議論しはじめますとまたいろいろ出ますので、和里田委員の話を聞きましょう。
○和里田委員 本日この福山先生のメモを拝見しまして非常にうれしかったのは、これまでこの会でいろいろ議論している際に、企業側が技術者に何を求めているのかということが必ずしも明瞭でない中で、分野・部門を整理するとかしないとかいう話が先に行ってしまっていたものですから、やはり企業が何を求めているのかということを知りたかった際に、この資料4を御提示いただいたと、非常に貴重なことだと感謝しているわけであります。
先ほど内村委員がお話しになりましたように、行政との対応が強い建設部門、あるいは、上下水道・衛生工学ですとか、農業・森林、そういうような部門は業務をするに当たってこの技術士の資格を持っている人たちが中心になって責任を持ってやってほしいという発注者側の求めだとか、いろいろな形で位置付けが非常に明白なわけですが、民間の皆さんたちが企業活動を通じながら国家・国民のために貢献し、かつ国際的にも貢献される中で技術者に何を求めていくのかということが見えなかったわけですが、ここでこの資料4を出していただいて、かつ提言をしていただけたということは、これから技術士のこれまで持ってきている制度をより充実・強化していくに当たって、非常に適切なヒントを与えていただいているんじゃないかと受けとめました。
さらに先ほどちょっと総合技術監理の話も出ましたけれども、まず各部門の統合も含めた形でそれぞれの業界分野で求めている技術者に対する要請というものを明確にしていくということが必要でしょうし、さらにこの総合技術監理部門が発足したときに単なる部門の1つであるという位置付けでスタートしたんですけれども、やはり世論の求めは総合技術監理という名前だけに、もう一つ高い見地からの資格ということも求められているんじゃないかと思いますし、そういうものを含めてこの資料の御提言は非常に貴重な、これから議論を進めていくに当たって大事なテーマを出していただいているんじゃないかと思っております。
○野間口分科会長 はい、岡澤委員。
○岡澤委員 今の話、全く賛同いたします。結局、企業にとって、つまり技術士を抱える企業にとってメリットがあるという状況をどうやって作っていくかということが重要だと思うんですね。もう1つは、これは業務独占資格ではありませんので業務にはそのまま直接は通じないんですが、今の建設業界の話もあったようにボランタリーな話としては少しずつ広がっている。それはそれでこれからもそういう努力をしていくということは必要なんですが、やっぱり技術士を抱えるのはあくまで企業ですので、その企業にとって彼らを抱えることのメリットがないといけないんじゃないか。1つは仕事の業務独占があればそれはいいんですが、あとはやっぱり会社として海外へ出る場合がありますよね。海外の受注条件になっている場合は、それは1つそういう意味ではある。それから、あとは会社が技術士を持つ技術者に対して期待している、技術者一般に対して期待している役割といいますか、そういうことをやはり技術士がしっかり受けとめていかないとだめだと思いますね。
特にやっぱり今の業務受注の関係からいうと、縦割りがきっちりされた狭い分野の今のような区分というのは非常に有効なんですが、会社側は多分そうではなくて、先ほど福山委員の話もあったようにもっとブロードな視点を求めている。そこのところが、だから、一方では業務をさせるための適切な技術者の資格制度というものを考えながら、一方で企業の求める技術者像というものをイメージしていくと、何かやっぱり試験区分のところにどうしてももうちょっと工夫が要るような感じがすると思います。だから、ちょっといずれにしても、和里田さんも言われましたように、文科省もあまり製造業、あるいは、建設業の業界の意見は今まで聞いてこなかったんじゃないかと思いますので、これからそういう声も聞いた上でいろんな区分などを考えていく必要があると思います。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
技術士はどのような能力を身に付けるべきか、また、それをどういうふうに評価すべきかということでいろいろ議論いただきましたけど、今、岡澤委員から技術士の活躍の場をいかに活性化するかとか、広げるかという観点からの御意見も出ましたので、そういう内容も含めて少し枠を広げて議論していただければと思います。
斉藤委員。その次、吉永委員。
○斉藤委員 本日配られた参考資料1の一番最後のページに「技術士資格の公的活用」という表があるんですけれども、先ほど来、技術士資格が役に立つ分野と役に立たない分野があるという議論がありますが、私たちは機械なのでほとんど役に立たない。企業にとってみれば技術士を持っているか持っていないかは、名称独占ですのであまり直接には影響しないわけです。私は、土屋局長の代に、この表に機械技術者に少しでも役に立つような項目が、1つでもいいから入れば、機械系の技術士というのはずっと増えると思います。私どもの会社は日立製作所の日立技術士会の方々に随分お世話になりながら、五、六年前から技術士の講座をつくって技術士になることを奨励しています。それは会社の人事が奨励している。最近になって30代、40代の技術士が随分増えてきました。ただ、それは会社の自主的な判断で、みんなが勉強するということが会社にとってはいいことなんだという、そういう観点で進めているんですけれども、この公的活用の欄に1つでも入れていただければ、非常に技術士は励まされると思います。ひとつよろしくお願いいたします。
○野間口分科会長 吉永委員。
○吉永委員 一般的に、建設というと実は建築と土木というふうに分かれると思います。私はその中の建築の仕事をやっております。先ほど内村委員から公共工事で技術士を持っていないと云々というお話がありましたけれども、私は建築なんですが、建築の中には私の今までの経験の中では技術士というのを持っていないと業務ができないとか、発注しないということは今までも経験がないんですけれども、必ずあるのは建築士なんですね。実は建築士法も変わってきておりまして、今から3年ほど前でしょうか、構造一級建築士というのと設備設計一級建築士という、また別の一級建築士を持ってなおかつ何年か経験するということで、そういう制度ができてきました。建築士法は昭和25年にできていますから、技術士法とは歴史も違うし、もっと言うと大学でも建築学科というのがあるぐらいで他の分野とちょっと違うのかもしれません。
今、実は私も大学へちょっと行っているんですけれども、どちらかというと技術士をとらせるというよりも一級建築士をとらせるというようになってきていると思います。その延長線上が学位をとるということで、技術士というのはあまり目が向いていないのが実情だと思います。それはなぜかというと、当然、先ほどからも話す独占権があるわけです。建築には、建築に対する設計の独占権があるもんですから、制度的に技術士は、ちょっと言い過ぎかもしれませんけど、独占権がないということで、それだったら建築士で、その延長線上がそういうことから勉強しながら学位をとるとか、あるいは、民間の企業で勤めていて建築の現場なんかにいると、その延長線上で今までやった技術を集大成するために技術士をとるということで、実際の業務ではあまり必要はないというのが現実です。
ところが、今、だんだん外国に建築の方も向くようになっておりまして、外国の話もいろいろ来るんですけど、そのときの話でもやはり今度は向こうの建築士制度との関係があって、技術士というのはあまり世界的に海外でも各国の建築士制度とリンクするのかよくわかりませんけれども、技術士とはあまり関係ないというところにあるのが現状だと思うんです。ただし、多分、ここはあまりよくわかりませんけど、土木の分野ではそうではないんだと思います。土木の場合は、当然、土木技術士という制度がないはずですので、そうすると、技術士という資格を持っていない人は土木の設計ができないということがあるんだと思うんですけれども、特に建築について言うとそういうわけでやはり独占権があるというところにみんなが寄ってくるのかもしれません。だから、逆に言うとそういう制度のやり方も1つは独占権を持たせるような、法的に持たせるのかよくわかりませんけど、そういうやり方もあるのかなという感じがします。
それともう一つ、やはり産業界とのミスマッチがあるような感じがします。やはりこの何年か建築の業界でもいろいろ建設業といいながらも住宅産業とかいうものが出てきております。そちらの方が会社が大きいところもあります。そういうところは、そういう会社というのと今の技術士制度の部門とはちょっとマッチングしないところがあるんですね。だから、もう少し産業界と技術部門をミスマッチがないような選択の仕方があるんではないのかという感じはしております。
○野間口分科会長 ありがとうございます。
はい、小林委員。
○小林委員 和里田委員と、それから、岡澤委員と同じことの繰り返しになって恐縮なんですが、少し私の観点から同じことですけど、お話をさせていただきたいと思います。
福山委員の出されたペーパー、私も非常にこれで相当納得いく部分がありました。技術士が企業とか組織、官公庁の中もそうだろうと思いますが、その中でどんな役割を果たしているのかということを考えたときに、先ほどの産業界のように、例えばプロジェクトリーダーとして活躍するということであれば、非常に課題・問題解決能力も磨かれるし、そして、そういう人に限って結構技術士をとっていないことが多いわけですけれども、そういった形でこれは官庁の中でも同じだろうと思います。国交省も農水省も同じですけれども、若いうちに現場に出て管理職として相当そういった中でいろいろな経験をしながら困難な課題に直面し、課題解決能力というのを磨いていくのかなと、そんなふうに思います。
ただ、一般の技術者、これはかなり能力のある人もそうだろうと思いますけど、どうしても特に官庁よりも先ほどの福山委員のお話ですと民間の方が厳しいなと。厳しいというのは、どうしても組織の一歯車にならざるを得ない部分が相当あるということだと、総合的に物を見るというのがなかなか、これ間違っていたら申しわけないんですが、磨きにくいところがあるのかなと、そんな感じがあります。その場合に、将来性のある若手の技術者をターゲットとして技術士の資格を取得させるようにすることが大事だと、これも私も大賛成です。
そうしたときに、どうしたらいいのかなということですけれども、一番いいのは建設部門ではっきりしていると思いますが、その資格をとることがもう運転免許証だというぐらいにインセンティブがあれば、皆さん努力してその資格を目指すだろうと思います。ただ、その他の部門でやはりなかなかインセンティブが生じないとすると、やはり将来性のある技術者をターゲットに技術士の資格取得に持っていくためには、また、産業界の技術士に対するニーズを高めるためにも、やはりもう少し公的活用という側面をきっちりできるように、各省、文科省が中心になって連携することがどうしても必要だと、そんなふうに感じます。以上です。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
多くの皆さんから御意見賜りましたけれども、予定の時間となってまいりましたが…。
西川委員、どうぞ。
○西川委員 済みません、ありがとうございます。
文科省への注文が出たので私からも。ここ数年の我が国の動きを見たときに、我が国は科学技術立国を目指し、技術立国、人間の資源を有効に活用して将来に向かって生きていかなきゃいけない、人の資源以外はあまり資源のない国ですから、それにも関わらず、実際はその専門知を、何ていうか、統合化して活用するというところが最近特に失われているんではないかと思うのです。というのは、最近というか、数年前にSARSの話があった際、最近は原子力発電所の問題があり、あるいは、それに伴って食品の汚染の問題があった際に、これについて誰がしゃべっているのだろうかと、専門家がちゃんとしゃべっているのだろうかと。あるいは、年金問題等があったときに、非常に社会は混乱したけれども、実務経験を持った人がちゃんと判断しているのだろうかということになってくると、意外とそうなっていないというのが、今、日本の社会の大きな問題じゃないのかと思います。
技術士制度も含めてもう少し文部科学省も専門知を大事にすると。公でしゃべる人はやっぱりきちんとした専門知を持っている方、単なる大学の教授からというのではなくて、さらに言わせていただければ、結構間違ったことを言っておられることが多いですよね、現実とは違うことが。だから、そういう面で文部科学省としてはもう少し日本の社会が専門知を大切にすると、技術士を大切にすると、そういうことを大いにやっぱり主張すべきじゃないのと、そんな気がするということをちょっと一言。
○野間口分科会長 日本技術士会の会員の声は大変重要な指摘ですけれども、科学技術・学術審議会でも、今、委員の御指摘のようなことがいろいろ出まして、科学技術コミュニケーションのあり方とか、大いに議論になりました。技術士分科会だけでなくて、科学技術・学術審議会全体のあり方に対する御意見でもあったような気がしますけれども、今のお話も含めて大変貴重な意見をたくさんいただいたように思います。科学技術・学術審議会を取りまとめている土屋局長、最後にいかがでしょうか。
○土屋科学技術・学術政策局長 簡単に御報告させていただきますが、今の御指摘は大変重要な部分でございまして、例えば先ほど石田委員からお話がありましたような福島第一原子力発電所事故を踏まえた我が国の科学技術についてのいろんな反省を今行っておりまして、それを踏まえた形での改善・改良・改革をしていきたいと思っているんですが、今お話がありましたある事象が起きたときにいわゆる専門家という方々がいろいろ話をされることが昨年いろいろあって、専門家と呼ばれる方々の中に非常に幅があって、右から左まで「大丈夫だ、大丈夫でない」とか、日本の社会の中で非常に1つ明らかになったのは、専門家の意見はばらばらだということは非常に多くの人がそういう認識をしたと思います。審議会で今御議論いただいているのは、そうした中で科学的助言というのはどういうあり方がいいのか、それを受けてどう意思決定をすることが望ましいのかと、こういう議論をしております。
それから、それとの関係で言えば、いわゆる、今、野間口分科会長からお話がありましたリスクコミュニケーションでありまして、個々の技術のリスクについてこの情報が一般国民といわゆる専門家の間の共感・共有ができなかった。したがって、ある事柄についてのリスクがあるのかないのかという、そこのベースがないまま昨年の場合議論が行われたわけです。日本の場合はリスクコミュニケーションを避けてきた。この今日の技術士・技術者の本来あるべき姿の議論に相当近いと思うんですが、説明すると非常に話が難しくなったり、説明すると安全なのか安全でないのかと、そういう二分法じゃなくて、ここまでが危ないんだというようなことの説明を、そういう努力をいわゆる専門家の側がやってこなかった、そこをどうするのかといったようなこういう議論をしておりますので、今の御指摘も踏まえながら、本来、技術者は技術と社会の間をつなぐ重要な役割を担っておりますので、その本質的な事柄も踏まえて考えていきたいと思っております。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
大変格調の高いところの話が西川委員のおかげで出たところで、今日はこの辺にしたいと思うのですが、分野・部門の統合の話など、実際、具体的に進めようとしたら大変いろんな意見が出るのではないかなと思いましたが、今日は賛成に近い意見がたくさん出ましたけれども、今後もう少し煮詰めていく必要があるかと思います。板倉課長、今後の進め方等について何かありましたら、あるいは、その他の議題で何かありましたら、どうぞ。
○板倉基盤政策課長 本日は大変貴重な御議論ありがとうございました。このような形でさらに産業界、さらには、今考えておりますのは他の事業官庁ですね。例えば国土交通省、経済産業省、そういった意見も聞きながら、あとは海外に向けて活躍の場を広げておられるような、そういう技術士の団体もございますので、そういったところからの意見などもさらにお聞きしながら議論を深めてまいりたいと思います。今後、おそらく月1回ぐらいのハイペースになるかと思いますが、さらに、こういった議論を重ねさせていただきたいと思います。さらに、できれば次回は今回欠席されました東芝の西田委員のお話もお聞きしたいと考えてございます。
ということで、日程につきましてはまた改めて皆様に御照会させていただきまして、決定して御連絡したいと思います。また、本日の会議の議事録につきましては後日事務局より皆様にお送りさせていただきまして御了解いただいた上で、ホームページに公開させていただくことにさせていただきます。
以上でございます。
○野間口分科会長 ありがとうございました。
それでは、今日はこれで終了といたしたいと思います。
午前11時59分閉会
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