第9期 技術士分科会 制度検討特別委員会 国際的通用性検討作業部会(第3回) 議事録

1.日時

平成30年5月31日(木曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省(旧文部省庁舎)2階 文化庁特別会議室

3.議題

  1. 前回の議論内容の概要について
  2. ヒアリング調査について
  3. 今後の方針について
  4. 国際的通用性の観点からみた技術士制度の各課題について
  5. その他

4.出席者

委員

岸本主査、中谷主査代理、佐藤委員、鮫島委員、中川委員

文部科学省

坂本人材政策課長、渡邉専門官ほか

5.議事録

【岸本主査】  それでは、定刻になりましたので、ただいまから、第9期制度検討特別委員会第3回国際的通用性検討作業部会を開催したいと思います。
 お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。今回は、都合によりまして小野委員が欠席されております。
 事務局の方に御異動があるということですので、御紹介いただくとともに、併せて資料の確認をお願いいたします。
【渡邉専門官】  それでは、少しお時間を頂きまして、4月1日付けで人材政策課長であった塩崎が異動いたしまして、後任に坂本修一が参っておりますので、御挨拶させていただきます。お願いします。
【坂本人材政策課長】  人材政策課長を4月1日付けで拝命いたしました坂本です。今後とも、是非御指導をよろしくお願いいたします。
 この作業部会におきまして、国際的通用性という非常に重要な課題を御検討いただけるというところでございます。人材育成、あるいは教育も含めて、国際的通用性の議論というのは今盛んに行われておりまして、例えばこちらの技術士分科会、あるいは、その関係する有識者の皆様にも御協力いただいたと伺っておりますが、ヨーロッパのチューニング・プロジェクトにおいても、コンピテンシーをベースとして、そのコンピテンシーの構成要素、あるいは、それをどう達成していくかという評価基準を開発していき、国際的に比較するということが非常に重要であるということで、エンジニアリングも含めて様々な分野の人材の能力の発達過程というものをきちっと評価し、かつ、その能力水準をクオリファイしていくかということが非常に重要であるということは、例えば若手の研究者の育成の分野、あるいは理数教育の分野など様々なところで盛んに議論されているところでございます。
 そういった中で、この技術士制度についての国際的通用性も、資格制度として、試験や実務経験、また、継続研さんというものを総合して、クオリフィケーションの質をより高めていくというふうな御議論をしていただけるということで、これは、技術士資格の価値を社会的にも見える化して、普及拡大に向けての非常に重要なプロセスだと考えております。
 是非、こういったところの御議論を踏まえながら制度改善に取り組んでいきたいと思っておりますので、今後とも、是非御指導をよろしくお願いいたします。
【岸本主査】  どうもありがとうございました。
【渡邉専門官】それでは、次に、本日の配付資料の確認をさせていただきます。
(事務局より資料の説明)
【岸本主査】  それでは始めさせていただきたいと思いますけれども、この部会は、今回と次回ぐらいである程度作業部会としてまとめまして、上の委員会に報告資料を提出するようなことでいきたいと思いますので、是非、本日はいろんな観点から御議論いただきたいと思いますので、事務局からの説明はできるだけ簡素にして、今日は議論の時間を取りたいと思っています。
 それでは、議題1.前回の議論内容の概要についてに入ります。まずは、事務局から説明をお願いいたします。
(事務局より資料1の説明)
【岸本主査】  ありがとうございます。
 前回の議論内容について、委員の皆様から現時点で改めて確認しておいた方がいいこと、補足等あればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 分科会の方からの指摘事項等を踏まえて前回議論したわけですけれども、これらを踏まえて今回ヒアリングを行って、その資料が出てきておりますので、またもし何かあればここに戻ってきて議論したいと思いますので、先に進めてよろしいでしょうか。
 それでは、続いて、議題2.ヒアリング調査についてに入ります。まず、事務局より説明をお願いいたします。
【渡邉専門官】  資料2、技術士の国際的通用性に関するヒアリング調査についてでございます。
 こちらの調査としましては、調査対象としまして、こちらに記載のAPECエンジニアのCivilからBioまで、非常に幅広い分野の方から御意見を頂いておりますし、あとコンサルト関係企業、土木や施工関連企業、PEとか、チャータード・エンジニアの資格者の方からも意見を頂いております。
 なお、こちらにつきましては、委員の先生方には実際の細かい議事録をお送りしておりますけれども、このヒアリングを行うに当たりましては、所属・氏名等は伏せるということを条件にしていただいておりますので、後ほど御説明する資料でも、マル1とかマル2とか、そういう形で記載しておりまして、大変恐縮ですが、この議論においてもその点については御留意いただければと思います。
 資料2の縦長の表は、本調査での主な意見を取りまとめたものでございます。この右の発言者、マル1、マル2、マル3というのが、資料2別添の横長の表の中の上に発言者番号が、マル1からマル9まで振られておりまして、この番号を表しています。
 資料2の説明は以上です。
【岸本主査】  ありがとうございます。
 資料2に関連しまして、内容については後で細かく見ていきたいと思いますけれども、これまでの調査のやり方、インタビューから得られた資料のまとめということで、よろしいでしょうか。
 都合22名ヒアリングいたしまして、御覧になっていただいたように、かなり丁寧にインタビューに応じてくださいまして、いろんな形での意見やコメントを頂いたのかなと思います。これからの議論に非常に役に立つのではないかなと考えているところです。
 これまでのところでの御質問とか御意見ございますでしょうか。
 それでは、これが本題になると思いますけれども、今後の方針についてということで、議題3に入りたいと思います。説明の方、よろしくお願いいたします。
【渡邉専門官】  資料3、国際的通用性検討作業部会の議論のまとめ方針でございます。
 こちらの作業部会で取りまとめたものを、上の方の制度検討特別委員会、最終的には技術士分科会に上げまして、提言的なものを出すような方向で取りまとめられるのかと思いますが、その議論のまとめ方について、現在、制度検討特別委員会で議論されている課題としましては、技術士資格の国際的通用性、技術士資格の普及拡大・活用促進、CPDの在り方、更新制の導入、技術士及びIPDの在り方、第一次試験の適正化、総合技術監理部門の在り方の、以上6つが主なものでございます。こちらを国際的通用性を横串としてまとめるということで、各国の資格や今回行わせていただきましたヒアリング等の調査を参考としまして、今申し上げた6つの課題の問題点の整理や今後の方針をまとめていく方針です。
 今後の調査でございますが、別にお配りしています各国の資格表については、6月末にIEAの総会がロンドンでございまして、この委員会からは岸本先生が、文部科学省の方から野島が派遣されますので、そちらでも情報を収集いたしまして提言等の補足にさせていただく予定でございます。
 今後の日程は、本日第3回の作業部会がありまして、本日の議論や先ほどの各国表の調査がまとまりましたら、そちらをもとに7月頃作業部会としての議論をまとめ、制度検討特別委員会に上げることができればと考えております。
 簡単でございますが、以上でございます。
【岸本主査】  ありがとうございます。
 先ほど申し上げましたが、今後の日程ということで、7月頃にこの部会をもう一回開いてまとめていきたいということですが、その議論のまとめ方について、資料3で事務局から説明いただきましたけれども、このような方向でよろしいか御意見いただければと思います。
 全てのことについて、今回、調査、ヒアリングが整ったわけではないかもしれませんので、全てに触れるか、どのようなところに着目するかは後ほど議論したいと思いますが、流れとしてはよろしいでしょうか。
 それでは、議題4の方に進んで、そこで議論したいと思います。それでは、議題4.国際的通用性の観点から見た技術士制度の各課題についてに入ります。
 今御議論いただいたような方針で最終まとめに向けて議論を進めていきたいと思います。
 先ほど御説明いただきましたヒアリング調査の結果、また、机上配付資料の各国の資格比較表等を踏まえて議論を進めていきたいと思っています。
 各国の比較表については、追記修正を進めていただいているということで、これは机上配付になりますけれども、鮫島委員の方から御説明ということでよろしいでしょうか。
【鮫島委員】  はい、分かりました。
  これは、いろんなものを参考に作っていますけれども、一番大きいのは、インターネットでの各国のホームページから記入したものが多くて、あと、それを今回のヒアリングで、イギリスのチャータード・エンジニアの方、それから、アメリカのプロフェッショナル・エンジニアの方のヒアリングの際に得た知見で、前回のものをかなり修正して作ったものがあります。あと、文科省の方で、平成26年度に行った調査の資料、日本技術士会の制度検討委員会の中で各委員から提供していただいた資料等を基本に作っております。
 インターネットで取れる情報では、これ以上詳しいものは今のところないかなと思っています。
 そういうことで、せっかく6月の末にIEAの会合がありますので、そのときに、できるだけこれを修正していただいて、精度を高めていただくことで、より良い比較、正確な比較ができるのかなと思っています。
 これを一々説明はいたしませんけれども、横に眺めますと、先ほど坂本課長からも話があった、コンペテンスのそれをどう検証していくか、確認していくかという方法について大きく、実績を中心に評価していく英国やオーストラリアのやり方と、あとは、基本的にほかの国は試験をベースに確認していきますけれども、ただ、試験だけだと、マネジメント能力とか、評価力とか、問題解決力とか、ペーパー試験だけではどうしても確認が難しい項目はありますので、各国がそれぞれ工夫しながら、そういったものを面接だとか、自己評価書とか、あるいは、保証人、スポンサーとか、レフェリーとか、言い方がありますけれども、保証人とか推薦人から得た人物評みたいなものを組み合わせながら、コンピテンシーの確認をしていると思います。
 日本技術士会の制度検討委員会の中では、この表の主な項目について分析したものがありますけれども、まだ制度委員会を通っていませんので、とりあえずはこちらの表だけの提出になっております。
 あとは、皆さん、この表で何か特にここは聞きたいというような点がありましたら、補足させていただきます。 以上です。
【岸本主査】  いかがでしょうか。
 また、大分表の中が埋まってきているということで、作業していただきました方々にお礼申し上げたいと思います。
【中川委員】  よろしいですか。これはお願いでもありますが、鮫島委員と一緒にこの作成に関わりましたが、例えば英語圏のものはまだ比較的そのままニュアンスが伝わりやすいんですけれども、例えば、韓国のものは、一回韓国語を英語に直したものを、我々がそれを見て訳していくと、やはり本来のものとどうも違っている部分が、理解できない部分があるんですね。
 先日韓国の分については、韓国人の方に韓国語のものを見て、ニュアンスが違うということで、訂正したものが結構入っているので、ロンドンのときは、是非、そういう観点から各国のものを見ていただいて、これは本当に合っているのかどうかとか、特に活用なんかはなかなかその国の実態を知らないとニュアンスが読み取れないというようなところもありますので、その辺を是非お願いしたいなと。
【岸本主査】  そのときに相手側にお願いする資料として、これの英語版があるといいんですかね。
【中川委員】  英語版もあります。
【鮫島委員】  いや、これ自体はまだ英語にはしていないですけど。
【中川委員】  以前のバージョンで。
【鮫島委員】  なので、以前のバージョンで直していきます。
【岸本主査】  そうですね。相手国にそれを示して、このあたりを教えてください、あるいは、戻ってから表を埋めて返してくださいみたいなことをやれれば、精度が上がるかなと思いますけれども。そんな準備もできたらいいかなと思います。
 それと、中国が今どんな形で準備がされているのかというのも気になるところかなと思いますけれども、そのあたりも、表を埋めるという形にならないかもしれませんけれども、ヒアリングできるといいですね。
【鮫島委員】  そうですね。中国は、2枚目の表に全然何も入っていないので。これはインターネットでは全く取れないので、中国は、本当にIEAの場で聞いていただかないと、表が埋まりません。
【岸本主査】  そのところも、できる範囲になるかもしれませんけれども、やっていくということで。この表については更に精度を上げていくということになりますが、御覧になっていただいた状況で、何かコメントございますか。
 今、試験方法のお話が少し触れられましたけれども、私がざっと見たところ、ほとんどの国が更新制度を持っていて、名簿の公開をしているようですね。
【中川委員】  技術士会としては、そこが今回やってみて目からうろこではないですけれども、改めて、日本だけが取り残されていると。
【岸本主査】  そうですね。国際的通用性といったときに。
【中川委員】  もう入り口のところで日本だけないじゃないかと。カテゴリー1とか2とかあるんですけれども、それ以前の話で、更新制度のない技術士制度は日本だけだと。
 もう1点あるのは、更新制度はあるけれども、各国は、日本でいうところの技術士会に相当するところに、基本的には強制加入になっているようだと。ですから、その協会に対して、毎年なり3年に1回CPDを申請して、その協会が認定することで、更新制度が成り立っているようだというところがあるので、日本は任意加入ということになっていますが、そこの仕組みも、やっぱり日本と海外と違うところかなというのを今回気が付きましたけれども。
【岸本主査】  ありがとうございます。
 後ほどインタビューの方の話にはなりますけれども、こちらの方から今御指摘いただいたようなことを、この部会としても、この調査の結果からこういうことが見えているというのはまとめておいた方がいいですよね。
【鮫島委員】  もう一つ、私がこの作業をやって気が付いたのは、技術士会は21部門ありますが、その部門が日本だと学会みたいなものに結び付いていて、一方ほかの国が大学のカリキュラムみたいなものと結び付いていまして、日本の部門というのがどうも国際的通用性という観点では違和感があるといいますか、なじみがないというのに気が付きました。
 例えば、水産みたいなものが日本の技術士の部門にありますけれども、水産なんてどの国にもないので。それは水産でも、例えば、水産加工であればケミカルの方とかに入っていますし、漁船を作るなら船舶のところに入っていますし、漁港を造るなら建設に入っているということで、そういった部門の名称が、日本だけは日本の学会みたいなものと産業界と結び付いているのとは違うなという感じがします。
【岸本主査】  相手の専門性と照合させるときに、どういう形で照合させていくかというのが、1つ課題になるのではないかと。
【鮫島委員】  そうですね。
【岸本主査】  部門を変えるという議論があるかもしれませんけれども、今のものがどう対応していくかという表を作っておくというのもあるかもしれないですね。
【鮫島委員】  それから、日本で例えば、技術士(水産)では何だか分からないですね。
【岸本主査】  相手側にね。
【鮫島委員】  水産で、選択科目まで入れれば分かってきますけれども。例えば、部門の次まで書くとか、そうすると、少しよその国と通じてくると。
【岸本主査】  部門の書き方、英語でどういうふうに書き表せるかということですね。
では、この表から見えてきたことについては、それはそれとしてまとめるということにしていきたいと思います。ほかはいかがでしょうか。
 それでは、この表については、今のような形で進めていきたいと思います。
 それでは、議論の方に入りたいと思いますけれども、進め方ですが、先ほど資料2にヒアリング調査についてというのがございましたけれども、資料2の2ページ目にヒアリングでどんなことを聞いたのかということで、これについては、皆さんと相談して項目出しをしたわけですけれども、それに基づいて行われたヒアリングの細かい内容については、別添の資料になっていますけれども、それをこのA3の縦長の表にまとめてくださいまして、これを見ながら皆さんと議論していったらどうかということです。
 それで、この委員会としてどういう形でまとめるかということの提案としては、この表、ヒアリング項目があって、どういうねらいでヒアリングを行ったのかということと、次のところが主な意見概要ということになっていまして、その次の欄が、どの方がこういうことをおっしゃったかということで表にしていただいています。すごい作業だったと思います。
 それで、この表を充実させるということで、まとめをしていけばいいのかなと考えまして、この主な意見の概要というのを、またそれぞれの項目にいうか、例えば、資格取得の目的について、この意見の中から分かることをまとめとしていくというので、このそれぞれについて、更にまとめを作るということと、あと、そこから分かってきたことについて、どんなアクションが必要か。制度の方、いろんなことがあると思いますけれども、技術士制度を良くするためにどんなことをしたらいいかという、そのアクションについて表を作って、全体の表になればいいかなと考えまして、そこに入らないものについては、また別に作るという。先ほどの国際的な比較なんかは、ここに入ってこないかもしれません。そんな進め方を考えていますけれども、どうでしょうか。
 それでは一つ一つ進めていければなと思いますので、今日はいろんな形で御意見を頂いて、どんなアクションが必要かという観点からコメントいただければと思います。
 それでは、順番に行きたいと思いますけれども、資格取得の目的、資格取得者の資格へのニーズを明らかにするということで、APECのこと、あるいは、技術士のこと、両方入っていますけれども、そこに書かれたような内容であります。このPEは、これはアメリカのPEを取られた方からのインタビューで、それぞれ、APECのエンジニアについては、国際的に通用するエンジニアの資格という意味であるとか、そこの業界で仕事するには必須の資格であるとか、あと、技術士の数が多いことが高い技術力につながるという、余り明確でないけれども漠然とした意識があるとか、PEについては、PEが仕事の上で必要であるということからされたということで、これについては大体カバーできているのかなと思いますけれども、このあたりでコメントございますか。
【中川委員】  この4つ目のPEの方は、実際にこの資格でアメリカかなんかで仕事をされたという、活用されたということですか。
【岸本主査】  直接仕事されたというところまでは断言されていませんでした。そういう可能性があるから取られているということで。
【中川委員】  可能性があるからと。
【金友技術参与】  この4人のPEの方は、全員がPEを使って仕事をしたというわけではなくて、2人ぐらいの方が実際に使って仕事をされたと言っておられましたね。
【岸本主査】  そうですね。そういう方も実際にいられたのですね。失礼しました。
 その中で、後で出てくるかもしれませんけれども、APECエンジニアについて、相手国で名乗ったところ相手国の人たちには理解されなかったと。技術士だとか、プロフェッショナル・エンジニアというのが、その国に制度がないと理解してくださらないということなので、やはり相手の国に伝わるようにしておかないといけないのかなというのがある。その目的がちゃんと叶えられるためには、そういった整備が要るのではないかと考えたところです。
【鮫島委員】  ただ、アメリカのPEが言っておられましたが、表記の話ですけど、アメリカのPEも24部門に分かれているので、PE(Civil)と書きますかと聞いたら、いや、そんなのは書かない、PE USAと書く、それで全世界に通じるとおっしゃっていた。そうしたら日本もPE(水産)とか書かずに、PE Japanと書けば、世界に通じるんじゃないかなと。そういう表記の仕方の工夫も要るのかなと。
 国際的に名称を使うときに私だったら(Agriculture)と書くのですが、実際の専門は私はCivilなので合っていなくて、名乗りたくないんです。だから、海外に出るときは、余り日本の法律にこだわって標記する必要がないように思いますけれども。
【岸本主査】  英語表記については、国際的に通用する形に考えてやった方がいいのではないかという御意見ですね。
【鮫島委員】  はい。
【岸本主査】  後で出てくるかもしれませんけれども、それはメモしておいた方がいいですね。
 それでは、ちょっと先に進ませていただきまして、海外業務で資格を活用できた場面ということで、これについては、そこに書いてあるとおりですけれども、先ほどAPECエンジニアが通じなかったというのがありましたけど、逆に、きちんと通じたというところもあるということでありました。
 あとは、JICAの派遣技術者としての選ばれるときに有利だったとか、海外で仕事をする場面の図面に有識者としてサインができたとか、そういったような具体的な場面での、特に海外でといったところでの活用について事例がございました。
【中川委員】  この2つ目と3つ目ですけれども、これは恐らく日本で派遣技術者として選定されるときに技術士の資格が役立ったということで、直接国際的に評価されて役立ったということではないんですね。
 3つ目もコンサルの方と書いてあるけれども、以前我々が調査した段階では技術士という資格が求められている案件は、ここ数年ではほとんど皆無に近かった。その中で要件となっていたのは無償案件の調査業務で2件か3件あったという非常にさみしい状況でした。ひょっとしたらこれはこの2,3件の中の案件で有資格者として活用された方という解釈でよろしいんですかね。
【野島係員】  こちらは業務を取る際の要件というよりも、業務を行っている中で図面にサインをする際、サインをする方が資格を何か持っているのか、学歴があるのかというのを現地の方から確認をされて、そのときに資格を持っていない方がそこの業務に就いていたようで。
【中川委員】  それは現地政府の方から技術士の資格を要求されたという、そういう解釈でよろしいんですか。
【野島係員】  そうですね。技術士だけを限定しているわけではないですけれども、何かしらの資格や学歴がないのかと言われて、もともとサインをするはずだった人から、資格を持っている人に代えてサインをしたということが例として挙がっていました。
【中川委員】  ということは、資格そのものが活用されたという感触ですね。
【野島係員】  そうですね。
【岸本主査】  こういうことから、もっといろいろな場面でお使いになっている方々がいらっしゃるのを、こういうふうに使えますよという形で公表できるともっと活用してみようという方が出てくるのかなということで、うまく使えた場面を増やして皆さんで情報共有していくのが必要かなと思いましたけれども。事例は少ないかもしれませんけれども、そういう場面がどんどん増えていけばいいのかなと思います。
 それでは、次の方がいろんな御意見が出てくるかもしれませんけれども、資格を活用等できなかった状況と理由ということですけれども。認知度が低い、あとは、活用の機会がなかった、2国間協定の運用形態が不明確、相互承認の手続がまだできていない、海外における技術者のエンジニア能力は学歴や経験が重視されるため、資格が直接的に活用できない、同様の資格がない国では日本の資格を説明しても理解できないようであったというようなことであります。
 海外で、特にAPEC関係で仕事をしようとすると、そういうような状況があるということです。いかがでしょうか。こういうことから、何をしていったらいいでしょうかね。
【鮫島委員】  よろしいですか。
 APECエンジニアや技術士の認知度が低くて役に立たないというのは、多分、東南アジアの話だと思います。その東南アジアの国にそもそも余りプロフェッショナル・エンジニアの制度がなくて普及していないので、自国にプロフェッショナル・エンジニアの制度がなければ、よその国から来た人の名刺を見たって分からない。まして、APECエンジニアの登録者も、日本、韓国に比べて、東南アジアでは非常に少ないですから、知らないのは当然です。
 私がJICA時代に南米・中米に行ったときは、皆さん普通にインヘニエーロというプロフェッショナル・エンジニアの肩書を名刺に書いてあって、JICAとの2国間協力でもいつもプロフェッショナル・エンジニアが間に入っていました。相手国の政府にはほとんどインハウスエンジニアなんかいなくて、ほとんど全部をプロフェッショナル・エンジニアがやっているので、多分、日本のプロフェッショナル・エンジニアでも、APECエンジニアでも、中南米の国へ行けば、みんな知っていると思います。だから、役にも立つし、認知もされると思いますけど。
 多分悲観的なこういう御意見は、東南アジアでの御経験ではないかなと思うので、あんまり東南アジアで駄目だったから世界中駄目だというふうに思わなくてもいいかなと。ですから、聞かれた方がどこの国かというのは非常に重要なポイントだと思いますが。
【岸本主査】  はい。ほかの国で、そういう形で活用できるということもそうでしょうし、今東南アジアでの仕事が増えてきているので、東南アジアの方でも、マレーシアなど各国で制度ができてきているので、それを日本としてきちんと支援する活動が要るのではないかと思います。これは個人ではなかなか難しくて、組織的に対応していかないといけないものかなと思いますけどね。
【中谷主査代理】  いろいろとこの調査結果を読んでいると、技術士制度として、技術士という資格に国際的通用性を持たせて、例えば、東南アジアに技術士と言う資格をそのまま外に出していくというふうにするのか、それとも、今現在技術士の資格を持っている方たちにAPECエンジニアの資格を取っていただいて、それで外に出ていっていただくのか、その辺のゴールというか、それはどうでしょう。
 例えば、東南アジアの話がありましたけど、これからいろいろ、日本も出ていく、韓国も出ていくということになっていくと、いずれは技術者の資格制度というのを作っていかなければいけないと思いますけれども、そのときに、お手本にしていただけるような技術士制度になるのか、あるいは、やっぱりAPECエンジニアで相互に乗り入れをしていくという形にすることを推奨していくのかという、その方針というのを決めた方が良いのではないかなという気がするんですが。
【岸本主査】  いかがでしょうか。むしろ、ここでどちらにするかというよりも。私たちの委員会としては、それを考えなければいけないですよという形にして、もっといろんな形で議論して決めていったらどうですか、という方がいいような気がするんですよね。
【中谷主査代理】  そうですね。
【岸本主査】  いずれにしても、資格制度を海外で使うには、海外にも同じような制度が必要で、その際、日本の技術士制度はそれに対してどうするか。今、中谷先生がおっしゃったような観点が重要かなと。
 あともう一つは、2国間協定の運用形態ということですけれども、今、オーストラリアとの間に2国間協定、日豪協定があるわけですけれども、実際にどうしたらこの協定の下で、相手国、日本の方がオーストラリアの、チャータード・エンジニアを取れるのかというやり方が分からないということで、その情報もなかなか見えてきていない。技術士会の中でも情報は出されているようですけれども、いざやろうとするとなかなか分からないので、もっとこういう手続をすればいいということを明確にしていく必要があるのではないかなということと、この相互承認をもっと進めた方がいいのではないかということも、オーストラリアだけに限らず、そういうこともあるかなと思いますけれども。
【中川委員】  TPPの中で技術者の資格云々の話がありますけれども、あれのニュアンスはどういうふうに受け取ればよろしいんでしょうかね。
【岸本主査】  サービスを、国境を越えてということですけれども、進めていきましょうということになっているとは思います。実際にこの委員会としては、技術士の方々、あるいは、それに関連する人たちが、進めた方がもっといいですよという声を上げていけば進むし、そうでなければゆっくりになるかなという気もするので。
【中川委員】  多国間でそういうような協定が仮にできたとしても、実際にある国に行って、APECエンジニアなり日本の技術士の資格でやろうとするときに、やっぱり2国間の何か明確なものがないと、なかなか活躍できないのではないのかなという気がしますね。
【岸本主査】  どうでしょうかね。日本で技術士の資格を取られた方々が、海外で仕事をされるケースが拡大してきつつあると思いますけれども、そのときに、やっぱり相手側の方のところでの資格が取れるということは、大きなメリットにならないかなと。また、日本に入ってきて貢献してくださるようなプロフェッショナル・エンジニアがいると、日本にとってもいいというような観点から、方向性としては、2国間協定あるいはマルチでやるにしても、進めることを考えてはどうでしょうかということになるのかなと思うんですけれども、どうですかね。
【中川委員】  先日のヒアリングのときにもちょっと話があったかと思うんですけれども、仮に2国間の協定ができて、例えば、日本の技術士がある国に行こうとしたときに、その相手国の本当の意味で基準というか、スタンダードを多分理解していない可能性がありますね。そうすると、そのスタンダードを理解していない日本の技術士に、相手国が本当に任せてくれるのかという。仮に認証ができたけれども、任せてもらえるかどうかというところは、非常に大きなポイントかなと。
 逆に、日本が海外の技術士を受け入れたときに、やっぱり日本の、例えば土木の基準を理解していない技術士の方に設計とか計画は任せられるかという問題と、両方あり得ると思うんですけれども。
【岸本主査】  ありますね。どういう形の仕事をしていただくかというのもあるかもしれないですね。ディテールをやるのか、プロジェクト全体の監理的なことをマルチでやるのかということもありますし、今度、多国間でチームを組んである国のプロジェクトをすると考えたときに、いろんな仲間が一緒になっていくことも想定できますよね。
 あと、ここに書かれていなかったんですけれども、パーマネントな資格ではなくて、1年間とか、2年間とか、期間が限られた国際免許みたいなもので通用させているというのがアメリカでしたかね。
【鮫島委員】  アメリカのPEが、NAFTAで、カナダとメキシコについては3年を限度とするテンポラリーでやっていると。
【岸本主査】  だから、テンポラリーな形で仕事ができるようなものも望ましいかなと。
【中川委員】  プロジェクト限定みたいな形をしているというか。
【岸本主査】  同じ資格として使える体制を整えていくというのが、海外の物を見るとありますね。
 だから、そういう意味で、2国間協定の運用形態が不明確のためということですけど、そこを少し広げて、今のようなコメントがあるかなと思います。
 それでは、次が資格の認知度ですけれども、重なるところがありますが、逆に、PEとかチャータード・エンジニアは非常によく認知されている中で、アメリカだとかイギリスという名前がある中で動いているという強みもあるかもしれませんけれども、やっぱり日本の制度をきちんと伝えていくというのが必要かなと思いました。
 あとは、APECのエンジニアについてAPECというのはみんなが知っているけれども、その中でこのAPECエンジニアの位置付けがよく分かってもらえていないのかなということかなと思います。
 それで、4番目ですけれども、日本に留学してきた学生さんたちに技術士資格を取りやすい環境を提供しよう。その人たちが国に戻って、あるいは、いろんなところで活躍してもらえると、技術士そのものの認知度も高まるのではないかという御意見です。
 これについては、直接的に書かれていないですけれども、今の技術士試験の二次試験であれだけの日本語を書くのは、相当留学生にとってはハードルが高いと。そもそも大学教育から仕事まで今は英語でやっているということなので、問題文の方は理解してもらいたいなと思いますけれども、筆記のところは英語でも回答を認めてほしいと、そういう声は何人かの方から言われましたので、大学教育とか、いろんな形でグローバル化されている中で、日本語だけが壁になっていると難しいのかなと。皆さん、ワープロで打たれるのはできるとしても、漢字を日本人と同じ速さで書くのは相当難しい。この試験は相当なレベルの日本語が要りますよね。ということで、試験の中身になるかもしれませんけれども、日本に留学した学生たちが技術士が取れるように何かアクションが要るかなということですけれども、どうでしょうか。
【中谷主査代理】  韓国の選択肢形式の記述で9時間というのがありますけれども、これはもう韓国語だけで行われているんですか。
【中川委員】  恐らく韓国語だと。
【中谷主査代理】  韓国語ですか。なるほど。
【岸本主査】  ハングルで書いていったら大変だろうな。
【中川委員】  だから、当社の韓国人も、アメリカのPEは取ったけれども、韓国のPEは取っていないと言っていましたから。かつて、アメリカのPEを取ると韓国の技術士が自動的に取れる仕組みがあったらしいんですけど、今、それがなくなっているという。
【岸本主査】  動いてないという話でしたね。
 特に国際的通用性ということは、ある種日本で勉強した人たちが、国籍を問わずに取れる環境というのを何らかの形で整備しておく必要はあるかなということかと思いますけどね。
 ほかはよろしいでしょうか。この資格の認知度を上げるという。国際的な観点から認知度を上げていくということで。
【中谷主査代理】  これ、誰に対して認知度をということになりますか。社会的に、日本の国内で、あるいは、アジアや世界で一般的な人たちが知っているという、「ああ、技術士ですか」とか言われるところを目指すのか、それとも……。いや、もちろん、そうではないと思うんですけれども。
 認知度と言って実際に活動しようとしたときに、何を対象にやっていくのかというのは重要かなと。実績を積んでいっていただくしかないような気もしないでもないですけどね。
【岸本主査】  1つは、例えばオープンなデータがあって自分は技術士だというと、そこで調べればこういう人だと分かるように整備しておく。それは日本語だけではなくて、きちんと海外から見ても分かるようなものにしておく。
【中谷主査代理】  それは例えば、名簿の件もそうですね。
【岸本主査】  名簿の件もそうですね。ちゃんと権威あるところに資料を公開しておくというのから始めるというのもありますよね。
 それと、プロジェクトだとか考えたときに、向こうの国なら国の、そういうことを中心になってやっている組織や機関の人たちに日本の技術士制度を理解してもらって、技術士はこのような技術者の集まりであるということを分かってもらえる。だから、もっと積極的にうまく伝えていくというのもあるかなと思いますけれども。
 だから、個人のレベルでやるのは1つありますけれども、何か組織的にやっていくというのが要るということではないかなと思います。
 また全体で戻ってくることもあるかもしれませんが、先へ行きますと、国際的に活用されている他資格についてはそこに書いてあるような資格がありますけれども、分野によっては、国際的に認知されている資格というのがないので、そういった意味から技術士というのは非常に価値があるとおっしゃっていたということと、ドクター、博士については、各国共通して理解があるので、博士ということについては国際的に、資格というのかどうか分かりませんけれども、理解してもらえているという状況がありました。
 この辺についてはどうでしょうかね。そういう意味で、技術士というのは、2番目の意見のように、非常に価値がある資格というふうに捉えて、もっと認知度を高めることが要るかなということです。
 それでは次に行きまして、更新、CPDについてということですけれども、先ほども少し議論がありましたけれども、主に日本だけが更新制度を持っていないということですが。インタビューの中から見えてきたことは、CPDの制度に今のままだとなかなかやりにくいところがあるので、CPD制度の改善が求められるということでした。プロフェッショナル・エンジニアとかチャータード・エンジニアの更新については、ほかの国はどうしているかというのが示されていましたので、そちらの方を参考にしながら議論していただければと思いますけれども。
 国際的にと言ったときに、更新制度がないというのはやっぱり問題かなと。作る方向でということと、それを今度はどうやって運用していくかについては、今のままの運用の仕方では非常に難しいかなと、もっと使いやすい形があると。
 アメリカのプロフェッショナル・エンジニアでしたかね。レポートを書くけれど、その提出者のうち割合か何かで一定数の人にチェックが来て、そこでディテールを出すというやり方だそうで。だからチェックのないときには最初のレポートで済んでいて。このように、毎回毎回細かい部分まで全てチェックされるわけではないというやり方をしていましたね。だから、基本的には性善説に立って幾つかピックアップしてやると。今の日本の税金の取り方もそうですよね。電子申請の場合には、きちんと根拠資料は自分の方に置いておけばいいということで。
 このようなことも踏まえてその内容についても検討した上で更新制を導入するのが必要ではないかと、国際的な通用性からも言えるということでしょうか。
 だから、これについては幾つかの国も出てきましたけど、もう少し海外の更新制度について事例を集めていくというのが要るかもしれないですね。具体的に現場でどうやっているかですよね。
【中川委員】  これについては、技術士会の方でもいろいろ検討しているので、この委員会か、上の方の特別委員会かで、こんな案を考えていますというのを一度御紹介させていただきたいなと思います。
【岸本主査】  はい。ですので、ここではどの制度にするかというよりは、国際的な通用性の観点から、更新制の導入は必要であるみたいなことのように見えるということでいいでしょうか。制度検討特別委員会とかの方で是非検討してくださいというようにするのはどうでしょうか。
【鮫島委員】  その際ですけれども、アメリカのPEさんに名簿は公開していますかとお伺いしたら、名簿は公開していますと。更新をされたときには必ず、更新した人はアクティブ、更新しない人はノンアクティブなのか分かりませんけれども、アクティブという表示をして公開しているということなので、更新制度を取り入れるということは、やはり名簿の公開は必ずセットだろうと思うので、そこは制度検討委員会なのか分かりませんけれども、それはセットで考えていただいた方がいいと思います。
【岸本主査】  そうですね。公表の仕方もあると思いますけど、名前を入れると、ちゃんとその人が登録中であるとか、アクティブであるとかというのが出てくるというのは、透明性を持った資格とすれば、あって当然なんでしょうかね。
【鮫島委員】  性善説を前提とするだけではやっぱりいけないんだろうと思いますよ。
【岸本主査】  名刺に書かれているのを信用するだけではやっぱり駄目かなと。
【鮫島委員】  ほかの国もみんな名簿は公開しているみたいなので、日本だけが更新制度もないし、名簿も公開もしていないのは、それが100%国際的通用性ではないにしても、してないことが特異だというのは感じますね。
【岸本主査】  はい。では、CPDとセットにして考えていくということはどうでしょうか。
【金友技術参与】  あと、ここに書かれていますけど、更新制は、ヒアリングした方は皆さん賛成なんですね。ただし、取りやすくしてくれというのはみなさんおっしゃっていて、やっぱり業務を行う中で50時間となると、なかなか時間が割けないということを随分言っておられました。
【岸本主査】  そうですね。ヒアリングさせていただいた方々は、みんなきちんと現役で仕事をしていて、それで名乗っているわけで、そうじゃない人がいる方が、自分たちも困ると。その仲間じゃないということをちゃんと明確にしてほしいという意味から、更新制は必要だとおっしゃっていましたね。
【中谷主査代理】  先ほど岸本主査から話がありましたけど、やっぱり環境整備というのは必要だと思うんですよね。例えば、CPDで、20時間にしても、30時間にするにしても、50時間にするにしても、取りなさいというだけでは、やはり皆さん困ってしまわれると思いますけれども。いろいろな教育の機会を提供するとかということを。
 JABEEをやっている大学がありますけれども、もちろん、CPDというと学会が主催するというのもありますけれども、JABEEをやっている大学と協力をして、もっと学生と技術士の方との交流を深めるという意味でも、技術士の方々にCPDを受ける機会を、大学と協力してやるというのも1つの手かなと。
【中川委員】  そうですね。先生がおっしゃったように、単に20とか30とか50でもいいですけれども、時間を決めるだけではなくて、それを担保できるシステムがないと、幾ら数字だけやってもしょうがないですね。それは、だから、いろんな形で取れるように。講習会もそうですし、自己学習も必要ですし、ここにあるように、eラーニングのいろんなツールをそろえることも必要だと思いますし。
【中谷主査代理】  そうですね。
【金友技術参与】  あと、業務自体がCPDでの点になると良いというようなことを言っておられる方が二、三おられましたね。今は、業務に直接関係するような仕事は、CPDでつけるのは難しいという話があるので。
【中川委員】  これは各国のものも調べてみたんですけれども、全ては分かりませんけれど、ほとんどのところが、やっぱり直接業務に関わることはCPDのカウントからは除外しているのが今の状況ですけれども。
【岸本主査】  仕事に直接係るというのが、どこまでを直接と見なすかですよね。同じ業務をやるにしても、自分が研修をして高めてその業務に取りかかれるようにするのは、それはやっぱりCPDですよね。だから、どこで切り分けるかですよね。今まで知らない知識を蓄えた上で仕事に入るというのだったらいいので、その直接業務に関わるというのは何を指すか。勉強したとか、本も読むとかしてプロジェクトを良くするための勉強したことというのは、やっぱり技術者として能力を高めているわけで。そこをちゃんと切り分けてあげなければいけないのかなと。
 業務と関係なく勉強するというのは、何か変な感じでもあるんですよね。
【鮫島委員】  今、中谷先生からお話があったCPDの環境整備に関連してですけれども、韓国の欄の一番下にKPEA-e Learning Centerという、実態は何も分かりませんけれども、KPEAは韓国の技術士会ですが、eラーニングセンターを持っているみたいで、それを多分CPDの環境整備として作ったのかなと思います。
 詳しくはみんなハングルの世界でそれ以上分からないんですけれども、日韓技術士交流をやっていますので、一緒にパーティーするだけではなくてこういう制度の情報交換を是非日韓技術士交流の中でやっていただきたいなと。
【岸本主査】  そういったトレーニングや、技術士の方々のメンタリング能力を高めるようなものをカリキュラムやプログラムとして、技術士だけではなく、放送大学だとかそういったところに、社会人の学び直しということがあるので、技術者全体のコンピテンシーを上げるという意味から、継続教育みたいなものをエンジニア全体に対してやっていくということがいいかなと思います。技術士だけに特化して整備するよりも、もうちょっと広くやっていくというのもあるかなと思いますね。文科省の方々にも是非そういうのが伝わるように書きたいなと。
また、ほかの国がどういう形で整備しているかですけれども、日本は、中谷先生がいらっしゃる放送大学で、誰でもどこでも学べる。今度、だんだんインターネットで学ぶ形になるんですかね。
【中谷主査代理】  はい、そういう話ですね。
【岸本主査】  そうすると、日本にいなくても勉強できる環境を整えていこうというので、ちょうど作り上げるところだとすれば、一緒になって考えていくというのがあるといいかなと思いますけれども。
 ということで、更新制とCPDについては、やっぱり環境整備ということになって、これは国際的にどこまでやっているかですけど、やっていなくても、日本はいち早くやるというのがいいことだと思いますね。
 それでは次ですけれども、技術士と海外の技術者資格の違いということですが。読んでいただくと、PEの方は業務独占のところがあるとか、PEに比べて技術士資格は地位や権限が低いように見えるとかということと、国際的な他の国の資格は、大学の方とリンクしていると。ある種高等教育を受けているということになっていて、そこの中で、技術士には学歴要件がないというところをどう取り扱っていくかというのがあるだろうと。
 それと、日本におけるエンジニアの国際的通用性への意識は低いというような形になっていますけれども、そんなところで、多くの方々が国内での仕事ということが重要視されているということだと思います。
 あと、合格率が低いということは、逆に、海外から見ると、技術者全体のレベルが低いと取られると。日本の技術者はそれだけしか受からない集団なのかと、そういう意味でも言っていましたね。
【野島係員】  試験が難しいから合格率が低いという認識には結び付きませんというふうに言っていらっしゃる方がいらっしゃいました。
【岸本主査】  試験が難しいからではなくて、ほかの国と同じにもかかわらず何で日本の技術者は10%しか受からないのだと取られるのは、これは目からうろこかもしれないんですけど。
【中谷主査代理】  なるほど。しかも、学歴要件はないというのは。
【岸本主査】  そういうのが逆に取られるというような。
【中谷主査代理】  これはそういう意味だったんですね。
【佐藤委員】  この表現は、技術士というよりは、技術者全体という意味でしょうね。
【岸本主査】  そうです。技術士のレベルというより、技術者のレベルが低いと取られかねないと。
【鮫島委員】  ただ、アジアの国を見ると、シンガポールも合格率9%、韓国6.7%、台湾14.62ですから、日本の技術士15は別に格段低いわけでもないので。
【中谷主査代理】  この辺は日本を参考にして作っているということはないですか。文化的に。
【鮫島委員】  科挙の国だからね。台湾も韓国も科挙の国だから、こんなことになっているのかな。
【中谷主査代理】  そうなんじゃないですかね。
【岸本主査】  だから、合格率が低い難しい試験でいいというのは、そういう文化だけど、国際的に見ると逆に取られるというのは確かにあるかなと。
【鮫島委員】  英国の方がおっしゃっていたのは、エンジニアみんなで教育をしてそういうレベルまで持っていって、基本的には100%登録するのを目指しているというので、50%、60%の合格率なんてとても認められないと言っていました。やっぱり全然考え方が違いますね。
【岸本主査】  だから、そういう意味で、大学を出た後のIPDについてメンタリングをしたり、いろんなサポートによって技術者のレベルを皆で上げているから皆さんが合格しているので、トレーニングしないから技術者の力は伸びてないという言い方を彼らはしますよね。
【鮫島委員】  そういう見方なんですね。
【岸本主査】  日本はOJTでやってきて、今までだとプロジェクトのリーダーになるまで10年とかかなり時間を掛けてやってきていますよね。そうじゃなくて、ある程度経ったらすぐにさせちゃう。そのためにトレーニングさせているみたいな。やっぱりそうしていかないと、人口が減っていく中で、これから困るんじゃないかなということで、先ほどCPDの話もしましたけれども、技術士になるまでの最初のトレーニングというか、メンタリングというか、そこを整備していくことが、やっぱり日本として求められているかなということでしょうかね。
 その下にもありましたけど、チャータード・エンジニアでは、専門とする分野の技術者協会に入って、CPD等のサポートを受けると。その技術者協会が企業のエンジニア教育制度の認証も、大学の認定もしているということで、企業の中でトレーニングしていることもちゃんと認証対象になっていると。それで、いいプログラムを持っているところがそこでトレーニングされた技術者をチャータード・エンジニアに育てていくみたいな、技術者をどう育てていくかというのが、国際的通用性という観点でもそうだし、国際的競争力を上げるということで不可欠かなと思いますね。
【中谷主査代理】  CPDと併せて考えると、CPDの中に何人技術士になるべく後輩エンジニアを教育、指導したかといったところもカウントしてあげると、増えますよね。このようなことが動機付けにならないでしょうか。
【岸本主査】  指導者としてというと、自分を高めないと指導できないですよね。そういった意味での、技術士としての役割の中に、後輩を育てていくことを入れる。
【中谷主査代理】  この試験の資格要件の中に、保証人であるとか、確認者であるとか、そういうことを求めている国がありますけれども、ここでこういうふうに保証人であるとか確認者として名前を付ければ、ポイント幾つと言って増やしていただく、そういうことに協力していただくというのもあります。
【岸本主査】  アメリカの例は、FEとPEは、大学を出るとすぐに受けられるそうです。それを受かっただけではプロフェッショナル・エンジニアにはなれなくて、ある州に登録するときに、リファレンスが5通要ると。その中には、3人PEがいて、どういう業務をやってきて、何ができるかというディテールを書いて、そのレターがものすごく大事でそれにより登録できるかどうかが決まると。その人たちがメンターであればきちんと書いてもらえるということだろうと思いますので、それによってコンピテンシーを見ているということになるんだと思うんですよね。
【野島係員】  FE試験が今コンピュータで、PEもしようとしていて、今なりつつあるという。
【岸本主査】  なりつつあると言っていましたね。だから、筆記試験で何か書くというようなものではなくてというようなニュアンスでしたっけ。
【鮫島委員】  模擬試験はみんなやってみましたけど、択一です。PEも。
【岸本主査】  だから、基本的に採点というのについては、マークシートですから時間がかからないと。だから、すごかったですね。試験への持込みがすごく厳重で、ペンシルも全部用意されたものでやって、絶対カンニングができないようになっている。答案用紙も持ち出せなくて、問題は全部秘密になっていると。だから何回も何回も繰り返して問題を使っているというような、言ってみれば、自動車の免許を取るときの試験の大型版みたいなものですよね。だから、それだけではやっぱりコンピテンシーは見られないので、こういった業務をどういうふうにやってきたかというところを通じて、プロフェッショナル・エンジニアとしてふさわしいかをチェックしているというやり方。
 なので、日本として、二次試験とかをどうしていくかというのも、こういうのを見ていくと、考えさせられるところがあるかなと思いますね。
【金友技術参与】  私は電気企業が長かったのですが、さっき中谷先生がおっしゃった、技術者の研さんの中に人を育てるというキーワードを入れたらというのは非常にいいと思います。昔景気の良かったときは、企業もお金をたっぷり持っていたんで、社内で教育するということが随分できたんですよ。ただ、今はもう厳しくなって、そういうことができなくなってきているように見えるんです。だから、そういうところをちゃんと技術士は押さえていますということが見えると、非常に価値というか、評価というか、そんなものが上がるんじゃないかと思うんですけどね。
【岸本主査】  では、このあたりはそういった議論でということで、二次試験だとか、合格までのプロセスについても、ある種コンピテンシーベースでやったときに、今のものがふさわしいかどうかは常に考えていく必要があるかなと。すぐにやるというよりは、今ちょうど二次試験を改定しているさなかですけれども、やっぱりそれがこのままでいいというわけではなさそうだということですね。
 それでは、次に行きまして、外国人技術者及び海外の日本人技術者の能力等ということで、1つは、外国人の技術者に対して求める能力だとか、それを雇用するときの障害だとか障壁というのはありましたかということであります。
 海外での雇用といったところでありますけれども、特に外国人技術者の能力の評価が難しいという御意見、学歴だとか職務履歴等の判断が難しいとか、資格がない場合能力が測れないとか、資格があっても制度が異なるため厳密な能力が分からない。
 特に東南アジア系ではないかと思いますけれども、そういった意味から、相手国にもきちんとした制度を作っていってもらうと。学歴要件もしっかりしていくということで、それは国際的に、日本が国際化をどんどん進めるためには、こういった点でのサポートというか、リーダーシップも要るのかなということですかね。
【中谷主査代理】  なかなか日本で学歴が要件になっていないのに海外の人たちには求めるというのは、ちょっと矛盾するような感がしますけど。これは、外国人技術者に対して、日本が求めるものですね。学歴を求めると。
【岸本主査】  というか、学歴を判断に使うんだけれども、どの程度の教育を受けてきたかが、例えば、修士卒だといっても、相手国がどのくらいの修士の教育をしているかが分からないから、修士卒業だからとか、学部卒だから、このくらい日本と同じようにできるだろうかというのが分からないということで、この辺は、ワシントン・アコードとかに加盟することによって、同等性の話になるので。だから、逆に言うと日本はJABEEの数が少ないとなると、日本の大学教育についての信頼度は海外から見ると非常に低いということの裏返しになっていると思うんですよね。
【中谷主査代理】  そうですね。今のお話はそのまま日本の教育に当てはまると思いますね。
【岸本主査】  だから、外国人技術者の能力の評価が難しいと日本が思っているように、日本の技術者の能力評価が、相手国からすると難しいのかもしれない。
 あとは、外国人技術者に期待することだと思いますけれども、新しい技術が出てきたときに、それを最適化して応用する能力なんかを持っている人たちを雇うのがいいというようなお答えもありました。この辺はいいでしょうかね。
 今度は、日本人の技術者の方が海外でエンジニア業務を行う場合に必要とされる能力というのは何がありますでしょうかということでお聞きしたんですが、ここは、いわゆる技術士に求められる資質・能力というのがあるわけですけれども、それを踏まえた上で、更にどういうところを期待しますかというような聞き方になっています。
 ということで、加えてというふうに考えていただくと、これ、契約についてということで、これは相手国における契約とか、商習慣のことだとか、異文化への対応能力だとか、専門能力の知識や経験。この専門能力や知識や経験というのは、これは日本の中でもそうですけれども、海外に行ったときにはなお効いてくるぞという話です。あとは、相手とのコミュニケーションだとか、類似業務の経験の多さということで、海外での業務経験が海外で仕事をするときに非常に重要になってくるということです。あとは、リスクが高い仕事が多いので、そういったところの管理能力が重要、というふうにお聞きしました。
 それで、こういったものは皆さん必要だろうなと考えるわけですけれども、それで国際的に通用する資格といったときに、これを制度の中でどういうふうに扱っていくか。何か提案みたいなものがあるといいんですけれども。やっぱり技術士になられるときに、これを全部持っていなさいというのはちょっと無理ですよね。むしろ、このCPDの中のところだとか、そういうところでこのような能力を高めていただくというのがありました。またもう一つ、これがいいかどうか分からないんですけど、制度の中で例えばAPECエンジニアの登録のときに、こういうのを見ますよというような。今のAPECエンジニアの登録は、比較的、CPDをちゃんとやっていますかとか、どんな業務でもいいので責任ある業務をやってくださいということで、海外でというのは何も入っていないんですね。むしろ、APECエンジニアはそういう経験がある人だということを打ち出そうとすると、そういう経験があるということを逆に問うような制度にすれば、いわゆる国際的に活躍しているエンジニアの名称になるかなということで、このあたりを高めるというのを要件にするというのもあるかなと思うんですね。
 海外にも、逆に、APECエンジニアというのがそういうのだったら、そういうふうにしてくださいということも主張できるかもしれないし、これからAPECの中でもいろいろ議論があると思いますので、今みたいなことをコメントしておいてもいいかなと思いますけど、どうでしょうか。
【中谷主査代理】  少なくとも、日本の技術士あるいは技術者が海外に行くときには、こういうことが問題になりますよということを通知というか、広く知れる環境を作ってあげるというのは重要だと思うんですよね。
【岸本主査】  それと、経験豊かな方がいらっしゃるし、これからそういう人たちが日本として増えていくことになりますよね。そういう人たちがちゃんとメンタリングできるようなところをCPDの中に入れていくとかって、やっぱり人を育てなければいけないんでしょうね。
 よろしいでしょうか。それでは、次に、外国人技術者の国内への受入れについて、今後の国際的通用性に関するニーズということですけれども。先ほど中川委員がおっしゃったような、日本のいろんな状況を知ってほしいとか、あとは、日本が海外に投資する場合と逆の場合の、お互いの国に入り込む双方向の時代となるので、エンジニアの人たちも、日本の方と海外の方が一緒になって働く場面が増えてくるということ。あるいは、これから人口減少していくので、優秀な技術者が不足してくることが想定されるので、一定の能力のある技術者の受入れは、既に企業はたくさんやっておられると思いますけれども、ますますそこのあたりが加速されるということであろうということです。
 あともう一つは、日本の技術者はコストが比較的高いので、国際的なプロジェクトをやろうとすると、海外の技術者を入れたチームを作って仕事をすると。それは日本の中での仕事もそうですし、海外の仕事もそうなので、そういったところでの技術者のクオリフィケーションというのが必要になるだろうということなので、このあたり、国際的通用性という観点から、何を、提言すればいいんですかね。
【鮫島委員】  この辺は、技術士の国際的通用性とは違う観点の話ですね。
【岸本主査】  技術者の、と言った方がいいかもしれませんけれども。だけど、普通のプロジェクトを推進するマネージャーになるのは、皆さん、技術士相当の資格を持っていてほしいというのが前提にある中で、全体も技術士に関係ないとは言えない。
【鮫島委員】  あるとすれば、総合監理をもう少し中身のある部門にしてですね。やれるとしたら、総監はペーパーテストじゃなくて、実績本意で総監の制度を作り替えるとかですね。そうすると、20部門の技術士プラス総監で、本当に実力あるねというような見方ができるかもしれませんけど。
【岸本主査】  総監に国際的通用性というか、国際性を持たせる。
【鮫島委員】  そういうことです。
【岸本主査】  ただ、総監は海外に対応するのがないんですよ。だから、日本の総監が何だといったときに、海外に通用しないから。だから、鮫島委員のおっしゃるところは総監の位置づけについて非常に大切だと思いますけれど、技術士制度そのものの話かもしれない。
【中谷主査代理】  たしか、総監を持っていらっしゃる方は、ほとんどの方が技術士の資格というか、特定の部門の技術士を持っていらっしゃる方だという。
【鮫島委員】  もうほとんど。3人ぐらい持っていない人がいるらしいですが。
【岸本主査】  そうですね。今の総監のところのコメントは、最後の技術士制度に対する要望みたいなところで、総監について、国際的な観点からどうするかというものもあるし、いわゆる特定の専門を収めた人たちに対して、どう取り扱っていくかという、制度の面からもありますので、後でまた議論しましょうか。
 国際的通用性の今後のニーズということからすると、海外の人たちが日本で技術者として働いて、プロフェッショナル・エンジニアになっていくというんですか、やっぱりそこのところのメンタリングを一企業でやるのか。今、大学までは留学生に対してやっていますけど、技術者教育、海外からなっていく人たちにどこら辺を教育するかという問題ですよね。自己学習してくださいというよりは、やっぱりこういうふうなものを用意することによって、いいエンジニアが採用できるのではないかなと思うんですよね。
【鮫島委員】  一度だけ楽天の人事部長の話を聞いたことありますけど、社会人採用は9割が外国人だそうですから、そういう中でどうやってエンジニアをトレーニングしているのかなと思いまして。
 お話を聞くと、すごいなと思いました。もう日常的にチームの中でいつもプレゼンテーション訓練をして、お互いに課題を出し合って、評価し合っているという。もちろん、全部英語でやっているというんで、すごいなと思いました。
【岸本主査】  1つは、会社の中でやる。それと、もう一つは、今、海外での業務がいろんな企業で多くなっていますよね。現地に工場が出ていったときに、そこの中でいわゆる技術士と同じプロフェッショナル・エンジニアのリーダーになってくれる人たち、それも日本のことをよく分かって働いてくれる人たちをどう育てていくかという。日本は人材の育成というのを非常にちゃんとやってくれるという定評があるので、そういった海外に出ていったところでの人材育成みたいなものが要るかなと。そこを技術士の人たちが、先ほどの指導ではないけど、やれるとかね。
 ということなので、こういうことが必要だとすればそれを満足するにはどうしたらいいかとなると、日本のことを学んでくれる人たちを増やすということかなと思うんですよね。
【中谷主査代理】  何とか外国人の方に技術士の資格をあげられるような環境づくりというのはできないですかね。せっかく日本人と一緒に日本の企業で雇われて仕事をするのであれば、まさに今、岸本先生がおっしゃったように、技術士が教育をするというのであれば、やっぱりそのゴールはどこにあるかというと、日本の技術士の資格を取れるというのは。
 だから、外国人が受けやすいような試験を考えてあげるというのは、1つ課題としてあるかもしれませんね。
【岸本主査】  アメリカのFE、PEは相当海外で試験をやっていて、受かったら登録できるわけではないから、その後の業務で見ていると。先に仲間に入れちゃうんですよね。英語だということでまた日本は日本語のバリアがあるから難しいんですけど、どうするかですね。
 あるいは、FE試験、PE試験を通った人を相当として見なして、日本の中でトレーニングしてその人に技術士をあげるというのも。試験の相互乗り入れするといいかななんて考えたこともありますけど。ただ、そこはコンピテンシーを測っていないので、それはなかなか日本としてはやりにくいかもしれないですけどね。でも、英語能力の試験なんかは、もう国に関係なくやっていますよね、日本は。そこはちょっと書けないかな。どうしますかね。そんなアイデアですかね。
 そういうふうな人たちに対して、英語だけで受け入れるのではなくて、そういう人たちが日本のことを勉強したら技術士になっていく道を作るとかいうのはあるかもしれないですね。
【中谷主査代理】  もうちょっと言うと、日本から見て、例えば、PEを取りましょうとか、チャータード・エンジニアになりましょうということを目指す技術者の方々がいらっしゃるわけじゃないですか。だとすると、将来的に東南アジアの技術者たちが、日本の技術士を取るということを目標に日本企業で働いていただくというのはいいのではないかとも思うんです。世界で3つ技術者の資格がありますと言って、チャータード・エンジニア、プロフェッショナル・エンジニア、それと技術士という、そういうふうになると、知名度も上がっていき、学生も夢を持ち、大学もJABEEを受けようというふうに動機付けされていくという感じがしますが。
【岸本主査】  そうですね。外に開いていっちゃった方がいいんじゃないかという。
 だから、技術士の資格の国際的通用性を上げるためには、それも1つの大きな方策だということで、それがどう取り扱っていくかはまた別にして、書いておいた方がいいと私も思いますね。できるだけ、実効性は後で考えることにして、いろんなアイデアがたくさんあった方がいいかなと思いますよね。ありがとうございます。
【鮫島委員】  ただ、APECエンジニアを間に入れて、日本の技術士を取るというやり方は、今、オーストラリアしかないですけれども、2国間協定をもうちょっと開拓していくというのもあるのかなとは思いますけどね。
【岸本主査】  そういう意味では、相手方の方のAPECエンジニアの人が、例えば、日本の技術士に登録するときには、CPDを受けてもらって、日本のこういう話を聞いてもらって、トレーニングを受けたら日本の技術士として登録しますよという制度にしておくと、かなりそういう人たちが日本の技術士を取ってくれると思うんですよね。だから、それに対して講習料をたくさん取って、日本の技術士になれるというふうに持っていくというのもいいかもしれないですよね。
【中谷主査代理】  そういう意味だと、やっぱり法律が今はまだまだ。
【岸本主査】  法律の方は、2国間協定を作ればいいですよね。
【中谷主査代理】  現状だと、それはできないですよね。
【岸本主査】  今オーストラリアとの相互認証でやっているように。
【渡邉専門官】  オーストラリアは、政府を通して結ぶような感じで。
【岸本主査】  そうですね。政府間でやるということになりますよね。だから、それを日本はもっといろんな国とたくさんやって。ただ、日本の技術士に登録するときには、すんなりではなくて、ちゃんとこういうトレーニングを受けた人がなれるみたいなのは、それはこっちの国内で制度を作ればいいことなので。 そういうふうにやるときに、TPPの方でももし議論が進んだときに、そういうことはこちらでは考えていますというのをある程度は用意しておいた方がいいですよね。
 ということで、今、国際的通用性に関するニーズということからしたときに、こういった素養を持った形でやれたらいいということであれば、それに対して用意が要るということでしょうか。
 それでは次に行きたいと思いますが、次は資格の相互乗り入れについてということなので、今ありましたが、相互認証によって外国人技術者が日本でも広く業務を行えるようにすると。その認識の明確化と受入れの準備ということで、登録のやり方と、先ほどあったように、パーマネントにするか、あるいは、期限限定でやるのかというのもあるだろうと。
 それで、各国に技術士制度に相当する制度が確立するかが疑問であるというようなコメントもあるんですけれども、それは今、やっぱりIEA中で、そこに加盟するということが1つのポイントになっているので、加盟国が増えるときに、日本としてはチェックしなければいけないし、加盟するために賛成が3分の2で良いか、全会一致かということは確認する必要がありますが、反対者が出れば、そうすぐには入れないので、
いずれにしても、相互乗り入れが進むときに、相手の国がそういうところでちゃんと認証されているということが相互乗り入れの基本になるんだろうなと。だから、新規加盟の申請があったときにちゃんとチェックしておくというのが重要かなということですね。
 それでは、最後のところなんですが、これはいろいろ幅広にコメントいただいているところです。ざっと目を通していただいてから、お気になるところを御指摘いただいておきたいと思います。
【中谷主査代理】  最後の英語版のホームページに技術士を記載というのはもうすぐできます。
【岸本主査】  はい。では残り15分ぐらいですけれども、何かございますか。かなりもっともだなという意見がたくさん並べています。この最後のはすぐにやらないといけないですね。技術士会にリンクを張るということでもいいですけれども、日本の技術士の説明というのも海外に発信するというのが、まずすぐできることでしょうかね。
【中谷主査代理】  技術士試験の合格率アップということが書いてありますが、その1つの上の相互乗り入れのところに、資格制度が先行して技術力のない技術士が生まれることが問題だと書いてあるんですが。たしか、技術士の制度改革の議論をしていたときに、35歳で取得できるようにしましょうという話をしていったにもかかわらず、合格率がほとんど変わらないのはなぜなんでしょうか。もうちょっと合格率を上げて、そして、技術者として一人前で活動できる入り口にしましょうということを話をしていたと記憶していますけれども、この合格率アップをするとレベルが下がるんじゃないかというのは、ずっと続いてきていて、この辺の意識改革がどうもできていないような気がするんですね。そのために、多分、試験を採点している側も、やっぱり合格率何%ぐらいを目標にというところがあって、ここの辺の合格率アップは確かに国際的に見てももうちょっと上げてもいいような気がしないでもないので、この辺、もうちょっと議論する必要があるのではないかと思いますけど。
【岸本主査】  若手技術者の方にお伺いしたのは、試験を受けたときに、自分でも評価しているんですけど、何が足りなくて不合格が続いているのかが分からない、あるいは、どういうことをきちんと研さんすればそこにたどり着くのかが分からないということなので、何となく難しくてというふうに思われているから、落ちる人は何回も落ちてしまうので、そのあたりの、研さんを積めば、時間が掛かる人、短い人はいるかもしれないけれども、あるレベルには達するような仕組みが要るかなというのもありますし、あとは、ここでの議論かどうか分かりませんけれども、筆記試験は通ったのに面接で落ちたときは、もう一度筆記試験からやり直しというのは非常に不合理であると。要するに、コンピテンシーベースでやると、そこができたというふうに一度認めたことになるので、別の観点で見ている部分は切り離してもいいのではないかとか。そうすると、面接のところだけを次に準備すれば受かる可能性が出てくるということで、それは1つの方向性かなと思いますね。まず、すぐできるかもしれないのは。
【中谷主査代理】  面接のときに直接会っているので、多分、試験官が、御本人の問題点、あるいは、足りないところについて、かなりしつこく質問していると思うんですけどね。面接の場で、「こういうことはどうですか、それはどうですか」と聞いたりしていないんでしょうか。
【岸本主査】  試験の場面でアドバイスはできないんですよね。それが通じていないかもしれません。だから、メンタリングのところで予備面接なんかをしてトレーニングしてあげると、それは心の準備があって、こういうふうに内容的に答えればいいかというのも、何を聞いているかが分かればできますけれども、その辺の内容の詰めは要るかもしれないですね。
【中谷主査代理】  そういったことですと、それはIPDに入るというところでしょうか。
【岸本主査】  はい。
【鮫島委員】  合格率が低い原因で、試験委員さんの悩みを聞きますと、多分、低い理由はこうなんだろうなと推測するんですが。平成25年度以降、課題解決力という問題を入れて、しかも、その問題はいつも公表していて、同じ問題を出せないので、課題解決問題がどんどん微に入り細に入りなって、もう私が見ても、この試験だったら自分も落ちるだろうなというぐらい難解になっているのが原因だろうと私は思います。
【岸本主査】  問題のところですね。
【鮫島委員】  だから、その課題解決問題を今の形で出題していると、どんどん難解になっていって、だから、そのうち誰も受からなくなるんじゃないかと。
【岸本主査】  そのこともありますね。
 あとは、合格率が低い原因の一つかどうか分かりませんけれども、本来ならば、そういう能力を持っている人たちが受けていないと言っている方がいましたよね。土木建設系は、かなり人数がいらっしゃるので、どうか分かりませんけれども、ほかの部門は、技術者の数に比べて、技術士になっている方が少ないと。それで仕事がちゃんと回っている分野だとすれば、そういうレベルのエンジニアの人たちはたくさんいらっしゃるけど、技術士を取っていないから、試験にもっとそういう人が来れば合格率は上がるだろうというような議論もあるかなと。だから、問題の易しさというよりは、もっと広く、皆さんが目指すものにしないといけないのかなというのがありますよね。
 きちんとしたいいトレーニングがあって、それを受ければ自然に技術士に近づいていけるということになっていれば、それで技術者としても成長するんであれば、みんな自然に受けてみようかという気になるかもしれないですよね。1つはトレーニングかな。さっきからの繰り返しになっていますけど。
【中川委員】  今、合格率の話が出たんですけれども、合格率が低い部門というのは、建設とか、上下水だとか、比較的公共工事に近い部門、要するに、活用度が高い部門は、受験者も多くて合格率が低いわけですね。その代わり、今、あんまり受けられない人が多いんじゃないかと言われたような部門は建設なんかに比べると合格率はかなり高いというのが私の認識ですけれど。それなりのレベルの方が試験を受けておられるのではないのかと。
【岸本主査】  今、ちょっと逆のことになりましたね。みんなが受けちゃうから合格率が低くて、研さんを積んでいる人たちがたくさんいる集団だったらば自然に合格率は上がるけど、そうでない人もいるかもしれないということかな。だからやっぱりそこら辺が、ただ単に合格率をアップさせようだけではいけないということですね。そのための仕組みづくりをしてから臨むべきだと。
【鮫島委員】  ペーパー試験でマネジメント力とか評価力とか、課題解決力を聞くのはやっぱりどう考えても無理があるので、アメリカは、そこはもう完全に試験ではそういうコンピテンスは聞いていないので、スキルセットしか聞いてないので。あとは、登録するときに、残ったものは全部確認しているわけで。そういうやり方にした方がいいのかなと。
【岸本主査】  海外のを見ていると、そういうような考えが出てきますね。やっぱり仕事を通じて能力が高まってくるのは、ペーパーテストでは測れないんじゃないかと。それについては、すぐにまた二次試験の改革というのにいかないかもしれませんけれども、やっぱり課題として出しておかないといけないということですね。
 ほかはいかがでしょうか。
 あとは、海外のプロジェクトとかいろんなプロジェクトを、この途中に書いてあるんですけど、プロジェクトの要求項目に技術士だとかプロフェッショナル・エンジニアの要件が、特に開発途上国だと余りないと。そうすると、いわゆる経験が15年とか20年ということだけがハイライトされると。それはあんまりいいことではないんじゃないかということで、これは日本の国として働きかけるかどうかというのはありますけれども、そのプロジェクトを受注する資格要件の中に技術士をカウントしてもらうようなことはやっぱり働きかけた方がいいんじゃないかということですよね。例えば、日本政府がそういうことを海外に指導することによって、日本の技術がどんどん外に広まるのではないかというふうな指摘だと思うんですね。
【中川委員】  そうですね。これは、例えば、日本の公共調達というか、建設工事なんかですと、ある工種の経験年数もありますけど、やっぱり資格要件、技術士であるとか、1級土木施工管理技士とか、そういうことがやっぱりポイントになってくるというのが一般的ですから、それと同じようなシステムが入っていけば、やはりもうちょっと資格の活用というのが進む可能性はありますよね。
【岸本主査】  そうやるのが、日本の技術者にとってというか、企業にとって有利な方に働きますかね。
【中川委員】  これは二説あって、日本でもやっぱりそれを積極的にやってくれというグループと、特に、例えば、技術士はハードルが高いので、そういうことをやってもらっては困るというグループもあるんですね。差別化したい方は、活用してくれと。だけど、そうでないグループは、ちょっと待ってくれと。
【岸本主査】  両方でも分かれてくるわけですね。日本人だけでチームを組めなくて、海外の人たちを入れてチームを組んでいるときに、やっぱり日本の技術士がちゃんとハイライトされるような形で行った方が、技術士の活用という面では、そういう提言を入れてもいいのかなと思いますけれども。
 ほか、よろしいでしょうか。まだまだ議論はあるかもしれませんが、一応一通り御覧になっていただいて、コメントも頂きました。
 それで、これからのまとめの作業ですけれども、先ほども申しましたように、主な意見の概要をできるだけ、最後のところはできないかもしれないですけど、まとめをして、更にそれに付け加えて、今日御意見いただいたような、これからへの提言というか、そういうことを表として作っていくと。それをまとめていきたいということですけれども。事務局の方で、そこのたたき台までは作っていただけますでしょうかね。
 それを、事前に委員の方にお送りして、きょうは皆さんお話ししただけなので、御覧になっていただいて、いろんなコメントをそこに加えていただく作業を、宿題になりますが、やっていただくというのでどうですか。それを次回皆さんで見て、まとめるというようなやり方をしたらどうかなと思いますけれども。きょう御欠席の委員もいらっしゃるので、その委員の方からもコメントいただくみたいなやり方がいいかなと思います。
【野島係員】  そうですね。かしこまりました。
【岸本主査】  事務局の方も作業にもなりますけれども、委員がフィードバックするのが、2週間ぐらい取れるといいですかね。
 それでは、一通り議論しましたけれども、何か追加してございましたらと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、事務局の方から最後に何かございますか。
【渡邉専門官】  事務的な話でございますが、本日の会議の議事録につきましては、後日、事務局より先生方にお送りさせていただきますので、御確認いただいて、御了解いただいたものを文科省のホームページにいつもと同じように載せさせていただきます。
 また、次回の作業部会ですけれども、恐らく日程的に最終回となる可能性が高いんですが、今のたたき台をお送りしてコメントを頂くという作業の進捗状況にもよるかと思うんですけれども、7月ぐらいにできればなということで、またそちらについては改めて日程調整させていただきます。 以上です。
【岸本主査】  それでは、本日は活発な議論を頂きまして、どうもありがとうございました。これで終了したいと思います。

―― 了 ――

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