第2、3回国際的通用性検討作業部会の主な発言

資料3


1.分科会等からの指摘に基づく議論 (第2回) 

  • 国際的通用性というと追いかけるイメージがあるが、もう少し各国がどのように国際的通用性を保証しているのか、といったところから議論をしてもよいのではないか。
  • 海外で活躍する技術者が技術士資格を持っている状態を目指すためには、実際海外で活躍する技術者の傾向(年齢、経験等)を知らなければならない。
    →技術者は年齢に応じて必要とされる能力が異なるはずだが、試験を受けて欲しい層に求める能力を聞く試験でなければ矛盾してしまうため。(例:若手が海外で活躍している一方で、試験が若手に求めるのには難しいような、優れたマネジメント力を求めるものだと彼らが技術士資格を取得できない。)
  • 目標の優先度としては、GA,PCを満たすことが確認できる制度にすることが第一で、そのうえで海外の対応する資格と同等なものとなることがある。この二つが優先されるべき。
  • 海外では技術者と言ってもエンジニア、テクノロジスト、テクニシャンと分かれていて、技術者の定義や携われる業務が明確である。一方日本はその区分が曖昧なので、エンジニアは何ができて、何を任せられる人なのかをもっと明確にする、あるいは周知することが重要。
  • 日本は海外に比べ、一人前になる(マネジメント能力を持つ技術者になる)までの、教育を受け学ぶ側でいる期間が長くなってしまっているのではないか。入社した段階からもっと第一戦にいることを認識させるべき。技術士はもっと若くして取得してもよい資格である。
  • 技術士のコンピテンシーを試験の中でしっかりと確認するとともに、さらに海外で活躍する人たちが持つべき能力(外国の文化や言語など)を聞くことも求められる可能性がある。
  • 一方で、30代前半の仕事が忙しい時期に働きながら目指せる資格にするためには、試験の段階ではコンピテンシーを意識して仕事をしているかを確認し、その後の研修やCPDでフォローを行うような方法もあるのでは。他国のように合格率を上げるにはそのようにしなければなかなか難しいだろう。
  • もっとIPDや社内教育などをしっかりとさせて、社会人の学び直しの中に入れて行くべき。
    受験者が多く、全員に対応できるかが問題だが、IPDでマネジメント能力やコミュニケーション能力など、試験では評価しづらい点の研修の受講やレポートの提出などで、その能力を満たしているとする方法もあるのではないか。
  • 人口減少の中で高度な技術者がさらに必要ならば、海外の技術者を取り入れ共に仕事をするようになるはず。日本企業がグローバル化して外国人技術者を雇用する際に、自国の制度が整備された国はその資格により能力見ることが出来るが、資格が整備されていない国の技術者を雇うときにAPECエンジニアが能力の判断基準として役立つのではないか。
  • 今の試験では海外の技術者が技術士を取得することが難しいが、日本で働きたいと考える技術者がエンジニア資格を取得できるような仕組みを考えることは必要だと思う。
  • 部門ごとの人数差が国際的通用性に与える影響を懸念する意見があるが、IEAの考え方から言えば国際的通用性は部門横断的な問題であり、部門はあまり関係ないと思う。

2.各国の資格表に基づく意見(第2回、第3回) 

  • 表の英語版を使用して、IEA会合の際に各国の担当者に調査を行う。(特に英語圏以外)
  • 実績を評価する国と試験を行う国とがあるが、試験と面接の2つを行う国が少ないように感じる。このような実績、試験、面接の実施に関係性があるのではないか。
    →韓国、マレーシア、シンガポールは日本同様試験と面接を行っている。(日本を参考にしているからか。)
  • 試験を実施する国でも択一の国もあり、各国のものが同じレベルかはわからないと言える。
  • 日本のAPECエンジニア登録者数の減少には1登録のメリットが感じられない。2更新のためのCPDを記録するのが大変、という理由があると思う。ただ、1については海外業務に関わりがない方の意見であることが多く、一方実際に海外業務に携わる人からは自己PRのために役立っているという話も聞く。
  • 登録者数は減少しているが、実際活用していない人が更新をしていないだけで、海外で活躍する技術士自体が減ったことには結びつかないのでは、という見方もある。
  • 登録者数の減少は、仕組みとして十分に海外で活用できるような制度にならなかった(例えば相手国の資格を取得できるわけではない、など)からかもしれない。増加する国もあるし、なぜ日本が他国と異なっているのかということを考える必要があるだろう。
  • ほとんどの国が更新制を持っていて、名簿の公開を行っている。
  • 日本の技術士会と同様の組織(協会)に強制加入となっており、その協会のCPD認定が更新になっている国も多い。
  • 海外の各部門の専門性と日本のそれとが合っておらず、相手の専門性と照合させるときにどのように照合させるかが一つの課題になる。
  • 国際的に通用するよう、英語での表記に工夫が必要(科目まで書く、PE(Japan)とする)

3.ヒアリング調査に基づく意見(第3回)

【今後のまとめ方・方針】

  • 参考1-2の表に以下2点を書き加え、表をさらに充実させる形で部会のまとめとする。
    1.主な意見概要欄から、ヒアリング項目の内容ごとに意見から分かることのまとめ
    2.それに対して制度をよくするためにどのようなアクションが必要か
  • また、他国の資格との比較から考えられることなど、表中に入らないものについては別にまとめる。


【各ヒアリング項目の内容に対する意見】

(上記「1.、2.」の概要※意見が出てきたところに記載をしているため内容と題が必ずしも一致していないことがあります。)

(海外業務で資格を活用できた場面)

  • 事例は少ないが実際に資格を活用している技術士がいるので、その活用できた場面を情報共有することで資格の活用を促し、さらにその幅を拡大していくことができればよい。

(資格を活用等できなかった状況と理由)

  • APECエンジニア等の認知度が低いのは東南アジア等の途上国のはず。相手国に同じような制度が無いと理解ができないため仕方がないが、一部で活用できなかったからと言って世界的にそうとは言えないだろう。
  • 制度ができていない国、作ろうとしている国に対してその活動を支援することも必要なのでは。これは個人では難しいため、組織的に対応していかなければならない。
  • 技術士がそのまま国際的に通用するとするか、取得後さらにAPECエンジニア等の資格を取った方を国際的に通用するとするか、方針を定めていく必要がある。
  • 2国間協定の下で、実際にどのような手続きが必要かが明確でなく、活用できていないので、その道筋を明確化していくべき。
  • 2国間協定ができたとして、その国の基準を理解していないエンジニアに本当に仕事を任せることができるか、任せてもらえるか、というのは非常に大きな問題である。
  • 相互認証でも資格をそのままでなく、一時的な資格として与えるという形もあるのでは。(実際にそのような協定を結ぶ国もある 例:米国PE(テキサス州)―カナダ、メキシコ)

(資格の認知度)

  • 技術士試験には相当なレベルの日本語が求められるが、国籍問わず日本に留学した学生等が取得できるような工夫(英語解答等)も必要になってくるのではないか。
  • 認知度といった時、その対象がどこかを明確にすべき。(社会一般か、また別の枠か)また、名簿の公開も認知度向上につながるのでは。
  • 技術士がどのような人の集団かをもっと積極的に伝えていく。

(更新、CPDについて)

  • 他国を見ても、更新制の導入は必要と言える。ただ、その方法については他国の例等を踏まえて検討が必要。
  • 名簿の公表と更新制の導入はセットで行うべき。
  • CPDについて、時間を定めるならば教育の機会の提供、カウントしやすいような制度改正など、環境整備も併せて行うべき。

(技術士と海外資格の違い)

  • 技術者をどう育てていくかという観点での制度の検討も必要

(日本人技術者が海外で業務を行う場合に必要な能力)

  • 海外業務で求められる能力をどの段階で確認するかは問題。それに関わらず日本人の技術者が海外業務のためにどのような能力が必要か学ぶことのできる機会は設けるべき。

(外国人技術者の国内への受け入れについて、資格の相互乗り入れについて)

  • 海外から来た技術者も含め、技術者を教育する仕組みがあるとよいだろう。

(技術士制度に対しての要望、その他)

  • 総監について国際的な観点から見てどう扱っていくかというのは技術士制度そのものの問題である。
  • 以前から制度改革の議論の中で試験の合格率アップを目指していたが、なかなか上がらない。合格率を上げようとするとレベルが下がるのではないかという議論はずっと続いているが、このあたりの意識改革ができていないように感じる。合格率アップについてはもう少し議論を行う必要があるだろう。

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