第28回技術士分科会における主な発言

 技術士に求められる資質能力 ~国際的通用性を含む~ 

●技術士は、技術者としての知識・能力・資質に加えて、複合的な技術問題を解決する能力、自律した判断を行い自立して業務を遂行できる能力、業務遂行過程で倫理的判断を下す能力が必要ではないかという最重要命題について、これらの能力は、専門技術部門の技術士に求められる資質能力なのか、総合技術監理部門の技術士がこの命題に応えていくことが適当なのか

技術者に求められる資質能力があると認定された者が「技術士」であり、技術者の資質を、試験を通して、国家資格としてのクレジットを与えるものだと思う。
国際的通用性を持つ技術士資格にするという方向に大きく舵(かじ)を切ったというメッセージが必要ではないか。

 技術士のキャリア形成スキーム

●民間企業等が求めている技術者・技術士は、経験を重ねるごとに、どのような資質能力を具備すべきなのかを明確にしていけば、これら企業等における技術者のキャリア形成にとって、技術士制度が活用される制度になるだろう。
●これからの日本の経済構造・産業構造を考慮すると、同一企業内における技術者のキャリア形成の姿に加えて、横にシフトできる複線的なキャリアパスがこれから望まれる技術者像であろう。技術士資格が技術者の有する能力を証明するパスポートになる、また転職等の際に評価の物差しになることも考えられる。
●技術者が経験を通して身に付けるべき複合的な問題の解決能力の視点から、技術者が成長していることを保証する資格とする考え方が重要ではないか。大学卒業時点、10年程度経験した段階、更に20年程度経過した段階での能力保証という位置付けにすれば、若い技術者にとって目標になる。このようなシステムを設けることで、自己研さん、継続教育のシステムも明確になるのではないか。技術者資格として屋上屋を重ねることが必要ではないか。 

 総合技術監理部門(「総合技術士(仮称)」を含む)

●今後の技術士制度の在り方に関する論点ごとの「障害となる事項」(配付資料3)について、表層上の障害を具体的に掘り下げて追求していかないと、技術士の上に「総合技術士(仮称)」を設けるなどの制度改革が適当であるという方向に結びつかない
●技術をめぐる問題が複合的になっており、いろいろな知識や経験が必要とされ、特定の分野だけでは対応できない問題が増加している。しかし「複合的な問題を解決できる資質能力」や「総合力」を定義しにくい。総合的なものを扱う資格を設けること自体に違和感がある。
●「技術士補」「技術士」「総合技術士(仮称)」という三段階制の発想はよいのではないか。ただ、国際的な同等性を考慮した際に、「技術士」がエンジニアに相当するとしたら、「総合技術士」はどのような位置付けとして国際的に説明していくのか、しっかりと詰めていかないといけない。技術士に求められている資質能力に加えて、例えば、分野横断的な問題に取り組み解決する能力、技術面で社会の発展に貢献すること、技術の持つ様々な側面を社会へ正しく情報発信するなど、積極的な役割を果たすことが重要である。
●「屋上屋を重ねて延々と最後まで取得しないといけない資格」という感じがする。総合技術士(仮称)や総合技術監理部門の技術士に求められる内容は、専門技術部門の技術士が基本的に持たなければならないものであって、技術士に必要とされる資質能力に付加していく方が適当ではないか
●総合技術士(仮称)の資格を設けた場合、筆記試験というよりは、技術者の実績に基づき判定する方が重要ではないか。
現行制度において技術士資格を有する者は、今議論している「総合技術士(仮称)」に求められる資質応力が既に備わっているのではないか。技術士が、単に各技術部門のスペシャリストではないと思う。
国際的なハーモナイゼーションも考えて、「総合技術士(仮称)」に関する議論を引き続き重ねてほしい。

 技術士試験

●産業界のニーズと試験内容がマッチすること、資格が社会で評価されて活用されること、資格が国際的同等性を有することという3つの視点で、試験制度の見直しを検討すべき。
●技術者がこれまで培ってきた経験が重要であるため、口頭試験を重視すべきではないか。
第一次試験は第二次試験を受験する資格があることを判定する試験という位置付けにした方がよいのではないか。 

 CPD

●CPDによる研さん(受講内容の提供)の仕方について、インターネットでいつでもどこでも研さんできるような工夫が今後必要になってくるのではないか。 

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