〔用語集〕

アスペリティ

 プレート境界や断層面において、普段は強く固着していて、地震時に大きく滑って大振幅の地震波を放出する領域のこと。

アムールプレート

 バイカル湖付近を北西縁、スタノボイ山脈を北縁、中部日本を東縁とするマイクロプレート(小さなプレート)として提唱されている。もとはユーラシアプレートの東端の一部と考えられていた。

一元化処理

 地震調査研究推進本部の「地震に関する基盤的調査観測計画」(平成9年8月)に基づき、気象庁は、文部科学省と協力して、自らの地震観測データに加え、防災科学技術研究所や大学等のデータをリアルタイムで収集し、震源の決定等の処理を一元的に行っている。この処理は一元化処理と呼ばれ、また、一元化処理により決定された震源は一元化震源と呼ばれる。

異方性

 一般には方向によって物性が異なることを言うが、ここでは地震波速度の異方性のこと。振動方向や伝播方向によって地震波の伝播速度が異なること。

インテリジェント型歪計

 CPUや記憶メモリーを組み込んだ自動計測型のボアホール歪計。この開発によりボアホール利用の歪計測が高精度化しかつ容易にできるようになった。

応力

 物体内部での力のかかり具合を示す。物体内部に考えた仮想的な面を通して及ぼされる単位面積あたりの力。震源域の応力が破壊強度より高くなったときに地震が発生すると考えられている。三次元媒質中の任意の応力状態は互いに直交する三つの軸に平行な圧縮と引っ張りで表すことができるが、この三つの軸を応力の主軸と呼ぶ。

オーバーコアリング法

 最初に開けたボーリング孔の外側を同心円状に削孔して周囲の応力を解放し、そのときの歪変化などから応力を推定する方法。

オホーツクプレート

 アムールプレートを導入した場合に日本海東縁の収束速度を説明するために提唱されたマイクロプレート。東北日本、北海道、オホーツク海が属していると考えられている。

海底基準点

 GPS-音響測距結合方式の海底地殻変動観測により決められる海底の位置基準点。GPS-音響測距結合方式を参照。

活褶曲(かつしゅうきょく)

 地質時代でいう第四紀後期(数十万年前~現在)に成長し、現在も活動的であると考えられる褶曲(地層が波状に変形する現象)。

活断層

 地質時代でいう第四紀後期(数十万年前~現在)に繰り返し地震を発生させ地表近傍まで食い違いを生じてきた断層で、今後も同様の地震を発生させると考えられる断層。

間隙流体(水)圧

 土や岩石中の空隙を占めている流体(水)の圧力。

乾式破砕法

 流体を使わずにボアホール孔壁に亀裂を作成し、生成後に亀裂を再開口するのに必要な力をボアホールジャッキ式応力測定プローブ(機械的な圧力測定装置)により計測することで地殻絶対応力を推定する手法。流体の挙動に起因する水圧破砕法の問題点が克服できると期待されている。

キネマティックGPS

 GPSによる相対測位の一種で、搬送波位相を用いて移動体の位置を測定する技術。

規模別頻度分布

 地震の規模(マグニチュードM)ごとの地震の発生度数n(M)の分布。通常は、グーテンベルグ・リヒターの式logn(M)=a-bM(a、bは定数)に従うことが知られている。bは0.7~1.0程度の値。

境界積分方程式法

 境界面(たとえば断層面)を離散化し、それぞれの境界要素での応力や変位等が物理法則(弾性体力学、摩擦・破壊構成則)を満足する解を数値的に得るための数値解法。

強度回復過程

 地震が発生したときに低下した断層の摩擦強度が、時間とともに回復していく(高まっていく)過程。

ケーブル式海底地震計

 海底での地震観測を行う一方式で、複数の地震計を海底ケーブルでつなぐ。地震計からのデータは海底ケーブルにより陸上局まで伝送され、リアルタイムのデータ取得ができる。

広帯域地磁気地電流(広帯域-MT)観測

 数百Hz(ヘルツ)~数千秒帯域の自然電磁源を用いた比抵抗探査法。地磁気地電流(MT)観測を参照。

固着域

 プレート境界上で、注目している期間において、二つのプレートが堅固にくっついている領域のこと。

地震発生サイクル

 地震発生後、断層面の強度が回復するとともに、プレート運動などによる広域応力により再び歪エネルギーが蓄積され、次の地震が発生するまでの一連の過程。

地震波伝達関数

 地下の微小な断層で地震が発生した場合に、ある点で観測される地震波。断層面が大きい大地震からの地震波は地震波伝達関数を重ね合わせることにより表現することができる。

地震モーメント(モーメント)

 地震の破壊域の面積と滑り量の積に比例する量で地震の規模を表す。単にモーメントと呼ぶこともある。また、地震波を放射しないゆっくり滑りの規模を表すときにも用いる。

シナリオ地震

 地震動の評価などのために、断層破壊域の大きさ、滑り量、破壊伝播過程などをもっともらしく仮定した仮想の地震。

シミュレーション

 実際の事象を、その事象を支配している法則に基づいてほぼ同様となるように組み立てた模擬空間で再現試行すること。コンピュータを用いた数値シミュレーションを指すことが多い。本計画では、強震動や地震発生サイクル等のシミュレーションが行われた。

蛇紋岩

 かんらん岩(上部マントルの主要な岩石)が水を含んで変成した岩石。強度が小さく変形しやすいため、非地震性滑りの原因とも考えられている。低温型(クリソタイル、リザーダイト)と高温型(アンチゴライト)がある。

状態空間モデル

 過去の履歴を現在の先験情報としてデータとともに用い、値を逐次推定する統計的手法。

シュードタキライト(摩擦溶融岩)

 断層運動などに伴う摩擦熱により断層の周囲の岩石が融解・急冷されて生成したと考えられている断層岩。

震源核

 地震が発生する前に断層面上で準静的に成長すると考えられている地震の種(たね)。外的な力の増大とともに滑りが進行し応力が低下している領域。ある臨界状態に達すると成長が加速し、動的破壊、すなわち地震発生に至る。「破壊核」とも呼ばれる。

水圧破砕法

 応力を推定する手法の一つ。ボアホールの任意の深さより浅い部分と深い部分を遮蔽し、水圧をかけて引張亀裂を造成した後、その再開口や閉塞条件から地殻応力を推定する。水圧破砕法では、地表で計測された流量や水圧に基づいて亀裂開口の検出を行うが、これは困難との指摘がある。すべての装置をダウンホールに設置し、加圧系の剛性を高め、亀裂開口時の水圧を精度良く推定できるように改良した手法が高剛性水圧破砕法。

スケーリング(則)

 現象の規模によって、物理量などがどのように変わるかを記述する法則。たとえば、断層の長さや滑り量が地震の規模にどのように依存するかを記述する法則。

滑り欠損

 プレートの相対的平均速度から期待される相対変位量から実際の相対変位量を引いた値。

制御震源

 地殻構造等を調べる目的で地震波を人工的に発生させる装置。爆薬や、水中に圧縮空気を放出するエアガンなどがある。

精密制御定常震源システム(ACROSS)

 精密に制御した地震波や電磁波を連続的に地下に送り、戻ってきた信号の変動によって地下構造の変動をとらえるために開発されたシステム。岩盤中の割れ目の開閉や流体の移動に敏感であると考えられている。

セグメント

 活断層は常にその全長にわたって破壊されるわけではなく、いくつかの区間に分かれて活動するが、それぞれの区間をセグメントという。

絶対重力計

 絶対重力とは、基準点からの重力差(相対重力)と対をなす概念で、観測点における重力加速度そのものを指す。現在の絶対重力計は、真空中でコーナーキューブなどの反射鏡からなる物体を、投げ上げもしくは自由落下により重力場の中で鉛直運動させて、加速度を計測する。測定精度・確度とも1マイクロガル(地上重力値の10億分の1)程度である。

全磁力

 地球磁場ベクトルの絶対値。磁場の観測量として、その長期的安定性が最も高い。磁気を帯びた鉱物の帯磁は、温度や応力によって変化するので、全磁力の変化は地下の温度、応力状態の変動を示唆する。

前駆的滑り

 地震の発生に先行する非地震性の滑り。前兆滑りともいう。

走査型震源決定法

 仮想震源からの理論走時を考慮して地震波を重ね合わせ、観測データを最もよく説明する震源を決める方法。初動の到達時刻を読みにくい深部低周波地震の震源決定などに有効。

相似地震

 互いに波形がよく似ている地震群のこと。ここでは、波形の相似性が極めて高い地震群のみについて「相似地震」と呼んでいる。このような地震群は、ほぼ同一の震源域で繰り返し発生したと考えられており、「小繰り返し地震」とも呼ばれる。

ソナー

 超音波の発射信号と反射信号との位相差を測定することにより、反射体との間の距離(変化)を精密に測定する機器。水中では光が届きにくいためレーザー計測の代替手段として使われることが多いが、同距離を測定した場合、光に比べて波長が長く水中の屈折率も大きいため光に比べて誤差が大きい。

地殻活動

 地震のほか、火山活動、断層の滑りや媒質の応力変化などを含めた地殻内での地学現象全般。

地磁気地電流(MT)観測

 自然電磁源を用いた比抵抗探査法の一つ。地表で電場と磁場の測定を行い、電磁場間の周波数応答関数より地下の比抵抗分布を推定する。低周波(長周期)ほど、より深い構造が得られる。観測する周波数帯域によって、広帯域地磁気地電流(広帯域MT)観測(数百Hz(ヘルツ)~数千秒:地殻から最上部マントルを対象)、超低周波地磁気地電流(ULF-MT)観測(数秒~数万秒:中部地殻から上部マントルを対象)などと分類される。また、電場測定において通信回線網を用いて長期長基線観測を行い、広域深部構造を推定する方法として、通信回線網地磁気地電流(ネットワークMT)観測がある。

地球シミュレータ

 海洋研究開発機構のベクトル型並列スーパーコンピューターで、平成14年の運用開始から2年半にわたって世界最速の計算機と認定されていた。現在でも、大気海洋や地震における複雑な問題の数値シミュレーションでの実効性能の高さは、世界のトップクラスである。多数の計算を同時に行うことができるベクトル型プロセッサを5,120個内蔵している。

注水試験(注水実験)

 地下に圧力をかけて水を注入して人工的な擾乱を与えることによる様々な変化を計測する実験。地下の岩石の透水係数や、水の注入によって引き起こされる微小地震、比抵抗変化を計測する。

超低周波地磁気地電流(ULF-MT)観測

 超低周波(数秒~数万秒)自然電磁源を用いた比抵抗探査法。地磁気地電流(MT)観測を参照。

超低周波地震

 地震の規模の割に低周波の地震波が卓越し、短周期地震波をほとんど放射しない地震。南海トラフ沿いの浅部で発生するものがよく知られている。

通信回線網地磁気地電流(ネットワークMT)観測

 自然電磁源を用いた比抵抗探査法の一つ。通信回線網に用いられている金属の通信線を利用して、長期長基線電場観測を行う。地磁気地電流(MT)観測を参照。

津波堆積物

 津波によって運ばれた砂や礫などが堆積したもの。これを調べることにより、過去の津波の年代や規模を推定することができる。

低周波地震

 地震波の低周波成分が卓越し、高周波成分の地震波が相対的に少ない地震のこと。ここでは特に陸域の地殻深部やマントル最上部付近で発生する地震を指す。

低周波微動

 地下深部において、微小地震と同程度の振幅だが通常の微小地震より低周波の地震波が、長い時間にわたって放出される現象のこと。継続時間は数分から長くとも1時間程度である場合が多い。低周波微小地震と似た現象だが、波の始まりが不明瞭でかつ長時間継続することが異なる。

定常散乱体干渉合成開口レーダー(PSInSAR)

 SARを参照。

電子基準点

 国土地理院が全国に展開している、GPS衛星からの電波を受信する観測点のこと。受信アンテナ、受信機、テレメータ装置などが配備されている。GEONETを参照。

同化(データ同化)

 複雑な現象の高精度予測のために、数値シミュレーションの結果として得られる物理量が観測データをなるべく再現できるように、適切な初期値や境界値、各種パラメータを推定すること。

撓曲(とうきょく)

 地中の断層によるずれが、その上の柔らかな地層をたわませてできた構造。

透水係数

 岩石などの水の通しやすさを表わす係数。単位断面積を単位時間に通過する流量と水圧勾配の比として定義される。

トモグラフィー

 地下の二次元または三次元構造を求める手法。地震波速度や減衰構造の推定によく用いられる。医学の分野において、X線や超音波で身体の二次元断面を求めるための手法が、地球物理学に応用されたもの。

トレンチ調査

 断層面を横切る方向に細長い溝を掘り、断面を観察して断層のずれ方や地層の年代を測定し、断層の動いた年代や周囲の環境を調べる調査。

新潟-神戸構造帯

 新潟から神戸にかけての歪速度が大きな領域。GPS観測によって明らかになった。

二重差(DD)トモグラフィー

 近接する地震の走時の差を利用することにより、震源域周辺の地震波速度構造を高精度で推定する手法。

粘弾性

 物質に加える力と変形量が時間に依存せず一対一に対応する弾性的性質と、力を加えると時間とともに変形が進行する粘性的性質とを併せ持つ性質。地下深部の高温下の岩石は粘弾性的性質をもつと考えられている。

発震機構(解)

 地震の起こり方を意味するが、地震波の放射パターンなどから求められる震源断層の走向、傾斜角、滑り角を指す場合が多い。断層にはたらいていた力の方向を知る手がかりになる。

非地震性滑り

 断層やプレート境界における、地震波を放出しないゆっくりとした滑り。

比抵抗

 単位断面積、単位長さあたりの電気抵抗値。電気伝導度の逆数。

付加体

 海溝で海洋プレートが沈み込む際に、沈み込むことができなかったプレート上の堆積物等が、上盤プレートの先端に押し付けられてできた地層。

不均質構造

 地球内部の物性定数が、空間的に均質ではない状態(構造)。例えば、組成の違いや空隙の分布状態、流体の含有などによって、物性定数が変化する。応力場も不均一になり、特定の場所に応力集中が生じる可能性がある。

フリーエア重力異常

 任意の高さの観測点で測定した重力をジオイド(平均海水面と一致する重力の等ポテンシャル面)での値に換算した補正値と標準値との差。

プレート

 地球表面は、地殻と十分に冷却して固くなっている最上部マントルとを合わせた、厚さ100キロメートル程度の固い岩石の層で覆われている。この固い岩石の層は、いくつかのブロックに分割されている。それぞれの板状(球殻状)のブロックをプレートという。

プロトン磁力計

 プロトン(水素原子核)の振動の磁場に対する応答を利用して全磁力を測定するための装置。

平均散逸スペクトル法

 複雑な挙動を示す時系列データも定常状態では、その時間発展を記述する運動方程式は、ランダムな動の部分(揺動項)と力学的な静の部分(散逸項)に分けられる。この手法は、時系列の定常性を検定し、ある一定区間の平均的な散逸項を求めることで、その時系列データの周波数構造を推定するものである。

変換波

 地震波速度の境界面でP波からS波またはS波からP波に変換された波。変換波を解析することにより境界面の位置を推定することができる。

ポアソン比

 弾性体をある方向に圧縮すると、圧縮方向に縮むとともに、圧縮軸と直交する方向に伸びる。このときの伸びと縮みの変形量の比をポアソン比という。

ボアホール

 地下深部の情報を取得するために掘削される円筒状の穴。直径は10~20センチメートル程度のものが多いが、深いほど大きくするのが普通である。ボアホールは地下深部の岩石のサンプル(コアサンプル)を取得する目的の他、地下深部での地震計や歪計、傾斜計などの計測機器の設置、地下水・応力測定などに利用される。

放射特性

 震源から放射される地震波の強さは、断層面や滑りの方向と地震波が伝播する方向との関係で決まるが、地震波の強さの方向依存性を放射特性という。

マイケルソン干渉計

 異なる光路を通ってきた光を重ね合わせた干渉縞を調べることにより、微小な距離変化を計測する装置。

摩擦・破壊構成則

 岩石の破壊強度や断層面上の摩擦を滑り変位や滑り速度などの関数として記述したもの。

面内せん断

 二次元媒質中のせん断(ずれ)破壊の問題で、滑りの方向と破壊伝播の方向が一致するようなせん断。滑りの方向と破壊伝播の方向が直交する場合は面外せん断という。

ゆっくり滑り

 地震波を放射しない、断層面やプレート境界面でのゆっくりとした滑り。ここでは、継続時間が数か月以上のものを長期的ゆっくり滑り、それ以下のものを短期的ゆっくり滑りと呼ぶ。

余効滑り

 地震のあとに震源域あるいはその周囲で発生するゆっくり滑り。

陸域観測技術衛星(ALOS/だいち)

 地図作成、災害状況把握、資源探査等を主目的とし、2006年1月に打ち上げられた国産衛星。地殻変動検出に適するLバンド(波長23.6センチメートル)のSARセンサー及び2種の光学系センサーを搭載する。

リモートセンシング

 遠隔観測手法の総称。様々な波長の電波や光を用いて、対象物の地形、温度、物質などを測定する。人工衛星や航空機から測定することによって広い範囲を速く測定できる。

レーザー計測式距離変化計

 レーザー光の照射光と反射光との干渉縞を計測することにより反射体との間の距離変化を精密に測定する測器。可視光の波の干渉を使うため波の波長程度までの微小な距離変化を検出できる。しかし、水中では透過率は低く長距離の計測は難しい。

b値

 規模別頻度分布を参照。

CMT(セントロイドモーメントテンソル)

 CMT(Centroid Moment Tensor)の略。地震波形データを用いて、震源過程全体を時空間の1点で代表させた場合のその位置、発震機構などを求めること。

DGPS局

 GPSのコードを用いた相対測位方式であるDGPS(Differential GPS)を実施するために設けられた基地局のこと。DGPS局から発信される補正信号によって、観測局ではリアルタイムに1~2メートルの測位精度が得られる。日本では海上保安庁やFM局による日本全国のDGPS局網がある。

ENVISAT衛星

 ヨーロッパ宇宙機関(ESA(イサ))によって2002年に打ち上げられた地球観測衛星。地殻変動や地形を観測できる合成開口レーダー(ASAR)を始めとして、大気・海洋・陸域を観測する複数のセンサーが搭載されている。

F-net

 防災科学技術研究所が日本全国約70か所に整備した広帯域地震観測網。奥行き50メートル程度の横坑の最奥部に、固有周期約120秒または360秒の3成分広帯域速度型地震計、及び3成分速度型強震計が設置されており、連続データのリアルタイム収集が行われている。

GEONET

 国土地理院が全国に展開しているGPS連続観測網。平成18年時点での観測点(電子基準点)数は1,231点。1秒毎のGPS観測データがほぼ全ての観測点からリアルタイムでつくば市にある中央局に送信されている。定常的に3時間毎及び24時間毎の各点の座標値を計算している。電子基準点を参照。

GPS

 汎地球測位システム(Global Positioning System)の略。地上高約20,000キロメートルの高度を航行するGPS衛星からの電波を地上で受信し、三次元的位置と時刻を正確に計測するシステム。地殻変動計測には干渉測位と呼ばれる搬送波位相を用いた相対測位法が用いられる。

GPS-音響測距結合方式

 海底の地殻変動を観測するための手法の一つ。海上の船舶やブイの位置をGPSによって精密に決定し、それらと海底に設置された基準点との間の距離を海中音波を用いて測定することにより、間接的に基準点の変動を推定する。

Hi-net

 防災科学技術研究所が日本全国約800か所に整備した高感度地震観測網。深さ100メートル程度の縦孔の底部に、固有周期約1秒の3成分高感度速度型地震計が設置され、連続データのリアルタイム収集が行われている。

K-NET

 防災科学技術研究所が日本全国約1,000か所に整備した強震観測網。地表に設置された3成分加速度型強震計は、計測震度計としての機能も有しており、地震発生時の波形データの収集が行われている。

KiK-net

 防災科学技術研究所が日本全国約700か所に整備した強震観測網。Hi-netに併設される形で、深さ100メートル程度の縦孔の底部と地表の両方に、3成分加速度型強震計が設置され、地震発生時の波形データの収集が行われている。

SAR

 合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar)の略。人工衛星や航空機などに搭載されたレーダーの移動により大型アンテナと同等の高い分解能を実現したレーダーシステム。干渉SAR(Interferometry SAR、InSAR)は、2時期の観測データの差をとる(干渉させる)ことにより地表面の変動を詳細にとらえる手法である。PSInSAR(Permanent Scatterer InSAR)は、常に強いレーダー波反射を示す建造物などが複数の時期の観測データに存在する場合、それらを比較に用いることで変動を詳細に追跡する手法。

SLR

 人工衛星レーザー測距(Satellite Laser Ranging)の略。人工衛星に搭載した逆反射プリズム(コーナーキューブ)に対して、地上基地局からレーザー・パルスを発射し、そのパルスの往復時間から衛星までの距離を1センチメートル程度もしくはそれより良い精度で求める技術。

VLBI

 超長基線電波干渉計(Very Long Baseline Interferometer)の略。クエーサー(準恒星状天体)から放射される宇宙電波を数千キロメートル離れた複数の観測点で同時に受信し、その到達時間差から観測点間の距離や位置関係を測定する。

Vp/Vs

 P波とS波の伝播速度の比のこと。通常の岩石は、1.7~1.8程度の値をとることが多い。岩石の鉱物組成、割れ目の量・形状、割れ目内の流体の性質等によってこの値が変化するため、地下の岩石や流体の状態・性質を調べるための有用な情報となる。

VSP検層

 VSPはvertical seismic profileの略。掘削孔の様々な深さに地震計を置いて、地震波速度を計測することにより、地震波速度の深さ変化を調べる方法。

お問合せ先

科学技術・学術政策局政策課

(科学技術・学術政策局政策課)