新世紀において「知」の創造と活用を図る社会的環境を整備することが、国の競争力の向上と豊かで潤いのある社会の実現の鍵とされている。産学官の連携・交流はそのための有効なシステムであり、今後これを強化する必要がある。その際、産学官それぞれの役割を明確にしつつ連携を推進することによって、わが国における学術研究の活性化と経済・社会発展の両方に寄与する視点が重要である。こうした認識の下に、大学等公的研究機関(以下「大学等」という。)の研究開発成果と産業界の企業化ニーズが相互に刺激しつつ連鎖的に技術革新やこれに伴う新産業の創出を起す産学官連携システムの在り方を検討する。
(1)産学官連携の意義
(2)経済・社会ニーズに対応した大学等の研究開発の推進
(3)大学等の研究成果の効果的な社会還元(人材交流の促進を含む)
(4)大学・国研発ベンチャーの支援・育成
(5)産学官連携を支える組織の強化と人材の育成
(6)TLO活動の強化とJST事業との連携方策
(7)産学官連携にかかわる利害調整ルール
(8)産学官連携の観点から、産業界に期待すること
(9)産学連携から見た大学システム
(10)知的クラスターの形成
(11)その他産学官連携に関する重要事項
5月15日(火曜日)第1回会議開催。緊急な対応を要する上記(2)、(3)、(4)及び(5)の課題を中心に検討し、委員会としての中間取りまとめを7月31日(火曜日)に公表した。中間取りまとめ公表以降は、残る論点等について検討を行い、適宜、追加報告を行う。平成14年度中には最終報告を取りまとめる。
(備考)関係省庁のオブザーバー参加
川崎 雅弘 | 科学技術振興事業団顧問(平成13年8月1日より現職) | |
◎ | 末松 安晴 | 国立情報学研究所長 |
川合 知二 | 大阪大学産業科学研究所教授 | |
岸 輝雄 | 独立行政法人物質・材料研究機構理事長 | |
北村 行孝 | 読売新聞社論説委員 | |
清水 勇 | 財団法人理工学振興会常務理事 | |
白川 功 | 大阪大学大学院工学研究科長(平成13年8月26日より現職) | |
堀場 雅夫 | 株式会社堀場製作所取締役会長 | |
○ | 安井 至 | 東京大学生産技術研究所教授 |
生駒 俊明 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社代表取締役社長 | |
市川 惇信 | 東京工業大学名誉教授 | |
伊藤 弘昌 | 東北大学未来科学技術共同研究センター副センター長 | |
小野田 武 | 三菱化学株式会社顧問 | |
田中 道七 | 立命館大学びわこ・くさつキャンパス副学長 | |
田村 真理子 | 日本ベンチャー学会事務局長 | |
丹野 光明 | 日本政策投資銀行新規事業部長 | |
平井 昭光 | レックスウェル法律特許事務所弁護士・弁理士 | |
古川 保典 | 株式会社オキサイド代表取締役社長 | |
吉田 和男 | 京都大学経済学部教授 |
以上(敬称略)
注)◎は主査、○は副主査を示す。
○ 今後の審議の進め方について(自由討議)
○ 独立行政法人の事例について
(独立行政法人産学官連携担当者からのヒアリング)
・後藤隆志(独立行政法人産業技術総合研究所産学官連携部門長)
○ 「国立大学法人」(仮称)の制度設計について
(「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」中間報告の説明)
・杉野剛(高等教育局大学課大学改革推進室長)
○ 産学官連携からみた「国立大学法人」(仮称)の在り方について
(問題点の整理・自由討議)
○ 「国立大学法人」(仮称)における産学官連携の在り方について
○ 「国立大学法人」(仮称)における産学官連携の在り方について
○ 「国立大学法人」(仮称)における産学官連携の在り方について
※経済産業省産業技術環境局大学連携推進課からオブザーバーとして出席
科学技術・学術審議会技術・研究基盤部会の下に置かれた「産学官連携推進委員会」(主査:末松安晴国立情報学研究所長)において、文部科学省の「国立大学等の独立行政法人化に関する調査検討会議」の審議状況を踏まえて、国立大学法人(仮称)(以下「国立大学法人」という。)における産学官連携の在り方を検討するため、平成13年9月から11月まで計6回の会議を開催。これまでの審議の結果を「審議の概要」として公表。
産学官連携活動は、世界水準の教育・研究を目指す「国立大学法人」の活動の一部であるが、経済・社会の活性化のみならず、今後の我が国の大学及び大学システム全体の発展にとっても極めて有効な手段といえる。産学官連携の推進は、「国立大学法人」にとって重要な役割として位置付けられるべきである。
産学官連携活動には、教育面・研究面の連携、技術移転、相談・助言・指導等様々な形態がある。各大学の理念や特色に応じた多様な産学官連携活動がなされることが基本であり、大学は、主体的、戦略的に産学官連携に取り組む体制を整備する必要がある。
「国立大学法人」の制度設計において、教職員の産学官連携活動への参加の自由度を高める方向で、教職員の身分を検討することが必要である。一方、各大学が「責務相反」や「利益相反」の問題に対応するルールの整備などにより、大学の公共性を考慮した理念の下での取組を進めることが肝要である。
大学等で生じた特許等は、発明者へ十分な対価を還元することに留意しつつ、「国立大学法人」有を原則とする方向で検討すべきである(本委員会で検討)。
地方公共団体から「国立大学法人」への施設提供など、地域の産学官連携における大学の積極的な役割、業務やそのための制度改善を更に検討すべきである。
科学技術・学術政策局政策課