ここからサイトの主なメニューです

3.新たな観測・実験技術の開発

 地震予知のためには、地下深部の応力・歪・流体の分布や断層の固着状態及びそれらの時間変化を知る必要がある。「新たな観測・実験技術の開発」では、地震予知実現のために、今まで不可能だった「種類」及び「場所」での計測、従来を超える「精度」の計測が必要である。このような観点から、平成19年度は以下の技術開発を進める。

(1) 海底諸観測技術の開発と高度化

 プレート境界における巨大地震の発生予測のためには、海底における地殻変動を含めた諸観測が本質的に重要である。GPS−音響測距結合方式による海底測位の計測システム及び解析手法の開発においては、繰り返し精度の向上を図るために、キネマティックGPS測位の精度向上とともに、海洋音速構造の時空間変動を考慮した解析手法の開発を進める。多項目センサー搭載による海底観測の複合化を進めるとともに、海底設置型や海底ボアホール内に設置するための歪計、傾斜計、圧力計、地震計の高度化に関する研究を行う。オンラインによるリアルタイム海底観測実現のため、海底ケーブルと地震計、圧力計等の多種のセンサーを用いた長期海底観測技術の開発と高度化を行う。

(2) ボアホールによる地下深部計測技術の開発と高度化

 地表付近は気温変化や降雨による観測データへの影響が大きいため、ボアホールを用いた地下深部での計測技術開発が必要となる。大深度のボアホール内は高温となるため、そのような環境でも安定して動作する光干渉計測を利用した地震・歪・傾斜センサーの開発・高度化を進める。地下深部で精度良く応力を計測するために、ボアホールジャッキ式乾式破砕法、小口径歪計を利用したオーバーコアリング法の開発・高度化を進める。また、従来の水圧破砕法による応力計測の問題点を解決するため、水圧破砕法の改良を進める。さらに、ボアホールに設置することのできる安定性と信頼性の高い広帯域地震計及び強震計の更なる性能向上のための改良を加える。

(3) 地下構造と状態変化をモニターするための技術の開発と高度化

 地震の発生予測のため、地下の状態をモニターする新しい方法の開発を進める。特に、地震波を用いた速度構造や散乱体分布、化学成分、水温等、地下流体や固着状態変動等を示す観測量の変化を、従来の技術よりはるかに高い分解能でモニターする技術の開発を目指す。地震波を用いるものとしては、正弦波や短時間だけ継続する信号(インパルス)による精密制御震源装置を用いた、能動的な地下モニター技術の開発を行う。インパルスを用いた震源装置については、長期連続観測を継続し、微少な応力変化と弾性波伝播特性との関連を検証する。正弦波を用いた震源装置については、ボアホール内に設置できる震源装置を開発するとともに、プレート境界からの反射波検出に向けた実証実験を東海地域において行う。また、繰り返し測定の変動要因となる周辺岩盤特性の評価等を通じ高精度化を目指した研究を行う。地殻歪や地震動を高精度で計測するためのレーザー変位計についても基礎的研究を行う。化学成分等においては、マントル起源のヘリウム放出量の時空間変化測定に関する基礎的研究を、日本の主要な活断層地帯とアナトリア断層で継続する。

(4) 宇宙技術等の利用の高度化

 近年の宇宙技術利用の飛躍的進展により、日本列島全域をほぼ均等に覆うGPS観測網の構築が進み、広域地殻変動の常時モニタリングが十分に可能となりつつある。GPSネットワークは、従来の観測からは得られなかった非常に重要な情報を我々にもたらしているが、電離層や大気圏等に原因を持つ種々の誤差が含まれているため、それらの誤差源の影響を定量的に評価して補正する技術を開発する。また、より速い変動を捉えるためのキネマティック法等の測位法についても、気象要素、距離依存性、解析技術等誤差要因の解析を進め、更なる高精度化を行う。一方、平成17年度に打ち上げられたALOS(陸域観測技術衛星)のデータを利用し、大気等によるノイズを減らして干渉SAR解析技術の高度化を図り、地震等による地殻変動検出を行う。干渉解析以外のSAR画像解析による地殻変動検出技術の高度化も継続する。加えて、人工衛星に比べて機動性のある航空機を用いた三次元マイクロレーダー映像から、干渉技術を用いた地殻変動推定手法開発を行う。人工衛星の利用は地震等のデータ通信にとっても重要であるので、低消費電力で周波数使用効率の良い衛星通信装置の試験運用を進める。


「新たな観測・実験技術の開発」研究課題(または観測項目)

機関 番号 研究課題(または観測項目)名
独立行政法人情報通信研究機構 0101 航空機等からの先端リモートセンシング技術(SAR等)を用いた地表面変動の把握技術の開発
東北大学 1207 海底地殻変動観測システムの高度化
東京大学地震研究所 1418 海底諸観測技術開発と高度化
1419 ボアホールによる深部計測技術開発と高度化
1420 精密に制御された震源を用いた地下構造精密モニタリング技術の高度化
1421 宇宙技術の応用の高度化
東京大学大学院理学系研究科 1505 マントルヘリウムフラックスの時空変化の観測
名古屋大学 1706 海底地殻変動測定器の高度化
1707 ボアホール型地殻歪連続観測と間欠応力測定法の開発
1708 精密制御震源(アクロス)の実用化と地下の常時モニター手法
京都大学防災研究所 1811 キネマティックGPSによる時間〜日周期の変動の検出方法の開発
独立行政法人防災科学技術研究所 3013 超長周期地震計の開発
3014 GPS解析手法の高度化
3015 衛星搭載型合成開口レーダを利用した精密地表面変形把握に関する研究
独立行政法人海洋研究開発機構 4004 深海底ネットワーク総合観測システムの開発・整備
国土地理院 6022 高精度地盤変動測量(干渉SAR)
6027 GPS時系列データに含まれる季節的変動誤差の補正モデル構築に関する研究
6030 衛星リモートセンシングデータ解析による海外巨大地震に関する調査・研究
6032
(新規)
SAR衛星の位置情報の高精度化を通じた地盤変動抽出の高度化に関する研究
気象庁 7016 地震サイクルの中で様々な時空間的特徴を持つ地殻変動に関する研究


ページの先頭へ   文部科学省ホームページのトップへ