(7‐1)光ファイバーを用いた地下深部計測機器の開発
地下深部での高精度観測技術として、光計測を用いた観測機器の開発を行っている。地下深部で広帯域地震観測ができれば、震源の近傍で低雑音の観測が可能となることから、光ファイバー式の広帯域地震計の開発を行った。直径140 の筒に組み込まれた長周期振り子のおもりの位置を光干渉を用いて測定し、おもりの位置をバランスさせることで、その信号から地面の加速度を検出する。孔内のセンサーまでは光ファイバーで光源を導入し、干渉信号も光ファイバーで取り出す。深さ10 の試験観測井に装置を設置し、STS地震計との信号比較をした結果、100秒程度の低周波までの地動雑音が計測できることが確認できた。図1に光ファイバー式広帯域地震計を示す。
(7‐2)高温環境下での動作試験のための実験環境整備。
高温で使用できる光ファイバーの情報収集を行った。光ファイバー自身は石英でできているためかなり高温まで使用可能であるので実用上はファイバーの被覆の材質によって使用温度が制限される。その点では、金属コーティングされたものが有望であることがわかった。高精度な観測を行うためには、定偏波ファイバーを用いてファイバー内の偏光を保持する必要がある。従来の応力付加型定偏波ファイバーでは高温環境での応力変化が予想され、安定性に不確定な部分があった。しかし、近年PCF(Photonic Crystal Fiber)という全く原理の異なる定偏波ファイバーが開発され、原理的に高温でも安定使用できるものであることがわかった。このように、光源を孔内に伝送するための光ファイバーについて、これまで不確定な部分が解消される見込みがあることがわかった。
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| 図1.光ファイバー式広帯域地震計 |
(7‐3)乾式破砕法の信頼性評価。
精度的および原理的問題点が指摘され ている水圧破砕法に代わる手法を開発するため別途申請していた予算が認められなかった場合を想定した計画に従い、既存のボアホールジャッキ式乾式破砕応力測定プローブ(図2)をもちいて原理的な評価研究を実施した。プロトタイプ設計当初、クリアランスおよびボアホール孔壁の精度が懸念されたため、標準のHQホールをさらに精度よく加工することを前提に102 径という特殊な径のプローブを作成した。その後の現位置試験により、通常のプローブ(プロトタイプ)。 HQ リーミングビット付きボーリング孔で差し支えないことがわかったので、HQタイプにも対応可能なパーツを設計製作した結果、標準孔による測定が可能となった。このため感度係数(ジャッキ圧と孔壁のフープストレスの比)も変わるため、二軸載荷室内試験により感度検定試験を実施した。ボアホール設置時のクリアランスを確保するため応力測定プローブ内の加圧部は10 以上動くが、一方で、孔壁面変形測定用のTSSはサブミクロンの変化をとらえる必要がある。これまで用いていたTSSは片あたりによる誤動作確率が高く信頼性が低かったが、今年度、新たに設計製作したTSSにより信頼性が向上した。
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| 図2.ボアホールジャッキ式乾式破砕応力測定 |
(7‐4)修正水圧破砕法を含めた、水圧破砕法の問題点に関する議論の決着をはかる。
水圧破砕法については、過去20年以上にわたって精度的および原理的問題点が指摘されたまま今日に至っている。問題点の基本は水により直接加圧することにある。乾式破砕法は水を使わないので、この種の問題から逃れることができる。しかし水圧破砕システムを保有している研究機関数、およびこれまでにえられたデータ数を考慮すると、水圧破砕法の改良および過去の試験結果見直しの基準策定が必要であろう。今年度は、釜石鉱山550 レベル(地下300 )の花崗閃緑岩岩盤において、水圧破砕法によりきれつを作成し、従来型および修正型による再開口試験を実施した後、室内試験で校正された乾式破砕法による再開口試験を実施する。これまでにボーリングが終了し、2月10日から水圧破砕法および乾式破砕法による試験を実施する。この試験により、水圧破砕法の問題点がクリアになるものと期待されている。
(7‐5)地殻ひずみを高精度で計測するためのレーザー変位計の基礎的研究
この研究は、当初の事業計画に含まれていなかったが、重要な機器開発研究であり、今年度途中から予知研究事業として実施することにした。地下構造をモニターするためには、地殻ひずみを長期にわたり高精度に検出する必要がある。レーザー計測は基線長を任意に長く取ることができるため、空間的に平均化することでローカルな雑音を低減させることができる。神岡で開発しているレーザー伸縮計(図3)は基線長が100 であり、ひずみに対する分解能はレーザーの能力から推定すると10-13に達する。しかし、急激な変動が加えられた場合には干渉縞の欠落を生じ、データの連続性が損なわれるという欠点がある。このような場合でも地下の状態変化を連続に観測するために、分解能は若干劣るが連続性が保障される「絶対ひずみ計」を組み込み伸縮計の信号と比較した。「絶対ひずみ計」は100 の距離を0.1 程度の分解能で計測できるので10-9のひずみ分解能であるが、距離の絶対長が計測できることからデータの連続性が保たれる。図4に最新実験結果を示す。まだ開発途中でデータの途切れがあるが、99.92131〜99.92132 の間の微小な変化量が絶対長さの変化として捉えられていることがわかる。実際の観測ではレーザー伸縮計との比較で、データの連続性が保たれていて、地球潮汐が絶対距離の変動として捉えられる分解能があることが確認された。広い計測レンジと長い時間スケールを必要とするひずみ観測においては、このような相補的な計測手法での並行観測が重要である。
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