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(0) 課題番号:5004
(1) 実施機関名:(独)産業技術総合研究所
(2) 研究課題名
断層面上の強度分布と不均一、応力変化の把握に関する研究
(3) 最も関連の深い建議の項目
1. (3) ア. 断層面上の強度分布と不均一応力変化の把握
(4) その他関連する建議の項目
3. (2)   ボアホールによる地下深部計測技術の開発と高度化
(5) 平成15年度までの関連する研究成果の概要
 1999年台湾集集地震後、Chelungpu断層ではすでに浅い掘削が行われ、2003年には2キロメートルの掘削が開始された。
 南海トラフではすでに海溝側での浅い掘削が行われ、今後、IODPでの大深度掘削が計画されている。
(6) 本課題の平成16年からの5ヶ年の到達目標と、それに対する平成16年度実施計画の位置付け
 断層掘削によって得られた試料に基づき、動的破壊の開始から停止までの全体像を理解するためのモデル化に必要な断層の応力と強度の絶対値を見積もる研究を進める。
 対象とする断層として、まず台湾車籠埔断層を選定し、その後南海トラフ掘削等への適用を図る。
 台湾車籠埔断層掘削では、精密な温度測定を行い、世界で初めて大地震の際の断層運動による発熱を観測する。地震の熱エネルギーについては20年以上も前から議論が重ねられてきているが、台湾車籠埔断層以外には直接測定された例はない。地震による摩擦発熱を観測することにより、断層の動摩擦と断層に働く応力の絶対値を見積もることができる。地震発生にかかわる応力の絶対値は長い間地震学の中心的な課題であったが、本研究によりこれらのパラメータをはじめて推定することができる。
 台湾車籠埔断層掘削における地震による摩擦発熱の研究から、地震の際の全エネルギー収支と高・低応力問題について決定的な結論を得ることができる。このような研究は大地震については過去行われてこなかったため、本研究により世界で初めて、大地震を引き起こすメカニズムについて解明される。特に大地震の際の大きなすべりを引き起こす要因が明らかになる。近年地震のアスペリティについて、強震動発生と大地震発生を規定する可能性が大きいとされてきている。しかし、アスペリティについて今のところ物理的なメカニズムは提出されていない。本研究により、アスペリティが大きなすべりを引き起こすメカニズムが明らかになり、アスペリティに関する理解が深まることにより、他の大地震発生への理解が深まることが期待される。
 さらに精密温度モニタリングシステムは本研究終了後我が国において活用されることも期待される。
(7) 平成16年度実施計画の概要
1) 精密温度モニタリング:装置の開発と測定
2) 断層コア解析
3) 断層発熱モデルの作成
4) 断層破壊モデルの作成
を行う。精密温度測定システムの将来の国内での活用についても検討する。
(8) 実施機関の参加者氏名または部署等名:地質情報研究部門
 他機関との共同研究の有無:
台湾Chelungpu断層掘削では台湾・米国の共同研究として行う。国内は京都大学防災研究所・名古屋大学・海洋科学技術センター、東京大学と共同研究を行う。南海トラフ掘削は国際共同研究として行う。国内は海洋科学技術センター、東京大学・東京大学地震研究所・東北大学・名古屋大学と共同研究を行う。
(9) 問い合わせ先
 部署等名
:地質情報研究部門 伊藤 久男
 電話:029-861-3757
 e-mail:
 URL:http://staff.aist.go.jp/houlie-hirota/hisao_ito/


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