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(0) 課題番号:1706
(1) 実施機関名:名古屋大学大学院環境学研究科
(2) 研究課題名:海底地殻変動測定器の高度化
(3) 最も関連の深い建議の項目:3(1)海底諸観測技術開発と高度化
(4) その他関連する建議の項目:2(2)イ.東海地域
(5) 平成15年度までの関連する研究成果(または観測実績)の概要
1) 海底局位置決定精度
 これまでに開発を行なってきたシステムでは、駿河湾内の水深1000メートル程度の海底に設置し海底局の位置を5〜6センチメートルの精度で決定することに成功している。また、海底局位置決定の誤差要因の大部分はキネマティックGPSの測位にあり、システム全体の精度向上にはキネマッテクGPS測位精度の向上が不可欠であることも明らかになった。
2) キネマティックGPS測位精度の評価
 移動局からの基線長が異なる複数の基準局を設置し、基線長によるキネマティックGPS測位の精度評価実験を行なった。その結果、基線長が長くなるにつれて系統誤差が2次関数的に増加することが明らかになった。
3) 海中音速構造
 同じ海域での海中音速構造の年・季節・日変化を知るために、駿河湾内および御前崎南方沖においてCTDプロファイラでの測定を行なった。明らかになった事柄は下記のとおりである:
a) 海域が同じでも、長期的(季節、年)には特に600メートル以浅での変化が大きく、15秒速毎メートル(約1%)も変化する場合がある。
b) 短期的(数時間〜1日)には大まかなプロファイルのパターンは変化しないが、深さ200〜800メートルの層で最大5秒速毎メートルの日変化がある。数時間の変化は最大3秒速毎メートル程度に及ぶ。
4) 長期くり返し観測
 駿河湾北部の水深約1000メートルの海底に長期観測テスト用の海底局を設置し、2カ月半にわたってくり返し測定を5回行うことに成功した。これによって、長期くり返し観測の実現への目処が立った。さらに、同地域に2カ所、5年間継続観測可能な海底局を設置した
(6) 本課題の平成16年度からの5ヶ年の到達目標と、それに対する平成16年度実施計画の位置付け
 駿河湾内に既設の3カ所を含む計4カ所からなる海底局網を構築する。これは16年度中に完成させる。さらに、海底局網の南海トラフ沿いへの拡張の第一歩として、御前崎沖の2カ所に海底局を設置する。各点には3台ずつの海底局を設置する。それぞれの海底局について年間3回程度のくり返し観測を3〜5年間継続する。現状のシステムでは海底局の位置決定精度(ランダム誤差)は5〜6センチメートルである。本研究課題では、ランダム誤差1センチメートルに挑戦する。また、これまで評価していない長期くり返し観測を行なった際の系統誤差評価も行う。16年度は本格的な繰り返し観測を開始する。
(7) 平成16年度実施計画の概要
 駿河湾内の1カ所に海底局を設置し、駿河湾内の海底局網を完成させる(既設3カ所も含む)。駿河湾内でのくり返し観測を開始し、キネマティックGPS、海中音速構造の推定、音響測距などシステム全体の問題点の洗い出しを行う。さらに、繰り返し観測時の精度(系統誤差)評価を行う。
(8) 実施機関の参加者氏名または部署等名:安藤 雅孝
 他機関との共同研究の有無:東海大学海洋研究所地震予知研究センター、地理院測地観測センター、静岡県水産試験場;参加人数3名
(9) 問い合わせ先
 部署等名:環境学研究科附属地震火山・防災研究センター
 電話:052-789-3046
 e-mail:
 URL:http://www.seis.nagoya-u.ac.jp


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